心と体

2017年5月24日 (水)

どこの世界でも後に待っている人が多いのに長尻する人は好かれません

本日の本題に入る前に、先日は医療サービスの質が高い国ランキングと言うものが出ていたのですが、それが意外な理由で話題になっていました。

医療サービスの質が高い国ランキング、日本はトップ10逃す(2017年05月19日AFP)

【5月19日 AFP】世界195か国を対象に医療サービスの質を比較したランキングが19日、英医学誌ランセット(Lancet)に発表されたが、日本やカナダはトップ10入りを逃し、米国は35位に沈んだ

「ヘルスケア・アクセス・アンド・クオリティー(HAQ)インデックス」は、適切な医療を受ければ予防や効果的な治療が可能な32疾患の死亡率に基づいたもの。今回発表されたランキングは2015年の状況を反映している。
 1位は前回に引き続き、フランスとスペインに挟まれた小国・アンドラで、2位は北欧のアイスランド。人口100万人以上の国で最上位にランクインしたのはスイスで、3位だった。上位20か国中、オーストラリア(6位)と日本(11位)以外は全て欧州の国だった。
 欧州はほとんどの国が何らかの形で国民皆医療保険制度を導入している。ただ、英国は期待されるレベルに大きく届かず、30位にとどまった。一方、多くの米国人に初めて保険適用の恩恵をもたらした米医療保険制度改革(通称オバマケア、Obamacare)の撤廃を与党・共和党が求めている米国は、英国に次ぐ31位だった。

■医療サービスの質が高い国トップ10(HAQインデックスによる)

1. アンドラ
2. アイスランド
3. スイス
4. スウェーデン
5. ノルウェー
6. オーストラリア
7. フィンランド
8. スペイン
9. オランダ
10. ルクセンブルク

日本は11位だったと言うことが高いのか低いのか微妙なところですが、それよりも何よりも多くの人が真っ先に感じたのが「アンドラってどこの国?」と言う疑問だったようで、近年ようやく国内が安定し経済発展著しいと言うアフリカ西岸のアンゴラのことか?と勘違いした方もいらっしゃるかも知れません。
正解はフランスとスペインの国境に挟まれた山間の小国だそうで、面積が金沢市とほぼ同じで人口はわずか8万人足らずだと言いますからまさしく小さな田舎町レベルですが、一応首都には総合病院もあるらしいとは言えこうした小さな国の医療水準を大きな国と同列で比較すると言うのもどうなのでしょうかね。
ともかくも上位に並んでいるのは人口規模の小さな西欧諸国が多いと言う点が特徴的で、日本が11位に入っているのは検討していると言えるのではないかと思うのですが、そもそも今回の調査では死亡率に基づいて順位が算出されているのだそうで、確かに医療の質の評価にはいいのでしょうが医療サービスと言えばもう少し主観的な部分も評価したいですよね。
日本の医療に関して各種客観的指標では世界トップクラスであるにも関わらず、国民の医療満足度が極めて低いことが一つの特徴としてあげられていて、先の記事でも下位に沈んだ「医療崩壊先進国」英国などは逆にこの点で国民から高く評価されているのと好対照ですが、その理由の一つとして顧客満足度の低さもあげられるのではないかと言う気がします。

医者は患者にコレを言われると、内心ものすごくムッとする(2017年5月19日週刊現代)

(略)
医療ジャーナリストの松井宏夫氏が語る。
「最近は雑誌だけでなく、テレビやネットなどでも医療特集をよく見かけます。そこで見た情報を医療機関に持ち込み『こんなことが書いてあったけど、どうなんですか?』と医師に問い合わせるケースがかなり増えている。こういった状況に嫌気がさしている医師の声をよく聞きます。
中には、あなたの症状はこうだから、こういう治療をしているんですよと、きちんと説明してくれる医師もいますが、心の中では『そんなに私の言うことが聞けないのだったら、他の病院へどうぞ』と開き直っている医師も少なくない
なかには、目の前で週刊現代を破り捨てた医者もいたと、患者から本誌に投稿が寄せられたこともある。
(略)
医者は患者に意見されると不快に感じる。その理由は、彼らが「医者は患者よりも偉い」と思っているからだ。
東京有明医療大学教授で一般社団法人東洋医学研究所附属クリニックの川嶋朗氏はこう語る。
「あくまで一般論ですが、医者はプライドの高い人が多いです。それは難易度の高い大学医学部を出て、医師国家試験も通過して医師免許をもっているから。自分は医学を修めたという自負をもっている。だから医学的に素人である患者さんに反論されるとムッとしてしまう人が多いのも事実です」
(略)
また、外来に訪れた患者に、くどくどと要領を得ない長話をされ、内心イラッとしている医師もいるという。ではどうやって医者に自分の症状を説明すれば、快く診てもらえるのか。
「外来ではどうしても一人当たりの診察時間が限られているので、要点を2~3個に絞って、説明、質問するといいでしょう。
口下手な人、あがりやすい人は、あらかじめ病気の経過や疑問点を1枚の用紙にまとめて、それを受付で渡すのも上手な受診法です」(フリーの麻酔科医・筒井冨美氏)

患者の話を親身になって聞かない医者は問題だ。だが患者自身も自らを省みるべきケースもあるだろう。
(略)
特に「医者だから治せて当たり前でしょ」といった態度をとるのは、もっとも医者の神経を逆なでする行為だ。
「医療トラブルの多くは、患者側の誤解によるものが7割を占める」と語るのは、日々、病院で起こるトラブルの相談を受け、「トラブルバスター」の異名を持つ、大阪府保険医協会・事務局参与の尾内康彦氏だ。
「'90年代半ばから、国は病院に対して『これからは医療もサービス業』であると通達しました。その影響が昨今はますます強まり『患者はお客様である』と誤解している人が増えています。
(略)
とはいえ卑屈になり過ぎて、医師の言いなりになるのもよくない。しっかりと医師に自分の症状を伝え、相談することは、良質な医療を受けるためにも、もちろん必要なことだ。
「『医者にこんなことを話していいのかな』と不安に思う患者さんがいますが、気を遣いすぎるのもよくありません。医者は神様ではないので、患者さんに言ってもらわないと分からない
患者さんの何気ない一言で、検査をした結果、がんが早期に見つかったというケースも多数あります。
医者と患者のどちらが傲慢でも、絶対に治療は上手くいかない。医療というのは消費サービスではなく、医者と患者の相互関係によって作り上げていくものなんです。それを誤解してはいけません」(前出の尾内氏)
医者が病気を治すのではなく、病気を治すのはあくまで患者自身。その手助けをするのが医者の役目だ。それを勘違いしてはいけない。

元記事の方は週刊現代だけにあまり真面目に受け取らない方がよさそうな内容ではあるのですが、前向きなメッセージとして解釈するなら医師と患者の間のトラブルが医療満足度を大きく引き下げる要因になっているとは容易に想像出来ることですし、経験的に考えても医療の質がどうこうと言う以前のちょっとしたコミュニケーションの問題に起因する部分も多いんじゃないかと思えます。
この辺りは日本の医療の場合医療に対するアクセスが極めて容易であることからか、諸外国の医師と比べてとにかく入院と外来とを問わず医師の担当する患者数が多いことが知られていて、年間外来患者数などを見ても諸外国の医師の数倍にも及ぶ数を捌いているし、そうしなければ経営が成り立たないような診療報酬体系に設定されていることにも問題があるかも知れません。
要するに現場が忙しすぎて一人の患者に長い時間をかけられない状況である以上、いい患者であることの絶対条件として余計な手間や面倒をかけないと言うことが重視されているのではないかと言うことですが、これ自体は別に医療の世界に限った話でも何でもないし、この真逆の存在が昨今どこの業界でも忌避されているモンスター、クレーマーと呼ばれる類の顧客と言えますよね。

ただ医療トラブルの経験が豊富な尾内氏が「医療トラブルの多くは、患者側の誤解によるものが7割を占める」と言っている点を見れば、やはり幾らか余計な労力を払ってでも患者の誤解を解いておいた方が後々のトラブルを減らすことになるのではないかと言う気はするのですが、この点で昨今どこの業界でも増えているマニュアル対応のように全ての患者に公平平等な対応と言うのも無駄が多そうではあります。
理想的には一人一人の患者に応じたオーダーメードの説明をと言うことなのでしょうが、そこまで行かずとも患者の年齢や理解力などによって何種類かのバリエーションが用意出来れば多少なりともマシになりそうですから、コメディカルなどがよく使っている説明用の書式なども院内統一で一種類だけではなく、いくつかのバリエーションがあればなお良いのでしょうね。
結局のところ医師と患者の双方がもう少し空気を読む努力をすれば円滑なコミュニケーションも成り立つのは確かだとして、医師の側に余裕がない分患者にはほんの少しばかり大きな努力を払っていただければ大いに助かると言うのが正直なところだと思いますが、患者がなかなか捌けずに待ち時間が長くなってきた時に備えて診察室にチャイムなりお茶漬けなりの用意でもしておいた方がいいのでしょうかね。

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2017年5月22日 (月)

若い医師ほど腕が良い?

先日報じられて話題になっていたのがこちらのニュースですが、皆さんはどう感じられたでしょうか。

かかるなら若手医師に? 患者死亡率、高齢医より低く(2017年5月19日朝日新聞)

 若い医師が担当した患者の方が高齢の医師が担当した患者より死亡率が低いことが、米ハーバード公衆衛生大学院の津川友介研究員らの研究で明らかになった。「英国医師会雑誌」(BMJ)に17日、論文が掲載された。

 研究チームは、2011~14年に内科系の病気で入院した米国の65歳以上の患者約73万人の予後を、担当医の年齢で比べた。患者の容体の深刻度で担当医の年齢が偏る可能性があるので、シフト勤務中に緊急入院してきた患者を区別なく診ている「ホスピタリスト」と呼ばれる内科医約1万9千人を調べた。

 その結果、患者が入院して30日以内の死亡率は、40歳未満の医師が担当した場合は10・8%、40代は11・1%、50代は11・3%、60代以上の医師の担当患者は12・1%と、年齢が若いほど低かった。ただし、多くの入院患者をみている医師では、死亡率にほとんど差が出なかった

 過去の研究で、高齢医師は若い医師と比べて最新の医学的知識が少なく、治療指針に沿った治療をしない傾向があるとされてきた。だが、実際に年齢別で治療結果に差が出るかはわかっていなかった。

 津川さんは「研究結果では、60歳以上の医師が診た患者を40歳未満の医師が診ていたら、患者77人ごとに死亡者を1人減らせる計算になる。年齢が上の医師の方が経験豊富だから腕がいいだろうという先入観は、必ずしも当たっていないと言える」としている。

若い医師と言われて何歳くらいをイメージするかと言うのも人それぞれだと思いますが、ひとまずは医師の年齢が進むほど治療成績は悪くなっているように見えると言う、なかなか興味深い結果であるのは間違いないところですよね。
ちょうど先日は食道癌手術の領域で、51歳以下の医師の方が52歳以上の医師に比べて術後の予後が良かったと言うもう一つの論文も出ていたのですが、特に食道癌などは若手医師がおいそれと執刀できる領域ではないだけに、世間的にはベテランと呼ばれるような高齢医師が中心になっているはずです。
年齢と共に手に入れるものもあれば失うものもあるはずで、そのバランスも疾患や治療法によって違ってくるのでしょうが、この辺り各種疾患毎の医師の年齢と治療成績の相関であるとか、内科的疾患と外科的疾患での違いなども調べて見ると面白い結果が出るのかも知れませんね。

何故こうした結果になるのか、記事では高齢の医師ほど最新のガイドラインから外れた、恐らく過去の知識や経験に頼りがちな診療をしていることを指摘していますが、多数症例を検討してもっとも効率が良い医療を提示したのがガイドラインだと考えれば当然ではあるのですが、年を重ねる毎に知識が専門分野に偏ってしまい他領域については古い知識で対応していると言うケースも少なくないのでしょうね。
また元データになっているのはアメリカでの研究結果で、日本の医療現場にそのまま当てはまるのかどうかは判りませんが、日本の場合特にある程度大きな病院での入院医療では50代60代の医師が患者の入院診療を直に手がけると言うことはそれほど多くなく、若い先生が実働部隊として下について診療していることが多いのではないかと思います。
各年代の医師が定期的にディスカッションなども行いながら診療しているとなると、入院後日数が長くなるほど治療内容は平均化されてくるのだろうと思うのですが、今回のように緊急入院患者が対象となるともっとも診療内容に差が付くのは初期診療の部分だろうとも想像できますから、火急の場合には若くて体もよく動く医者の方が向いていると言う、ごくごく常識的な解釈も出来るのかも知れません。

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2017年5月17日 (水)

100%病気を治せるわけではないのは当然として

今どきそのレベルの認識はいささかどうよ?と、先日ちょっとした話題になっていたのがこちらのニュースです。

くわばたりえが猛批判した医師の発言「100%病気を治せるわけではない」(2017年5月9日トピックニュース)

8日放送の「好きか嫌いか言う時間」(TBS系)で、お笑いコンビ・クワバタオハラのくわばたりえが、医師の「病院は100%治せるわけではない」という発言を、猛烈に批判した。

番組では、客からのクレームに翻弄される病院関係者がスタジオで激論を交わした。その中で「(病気が)治らないなら治療費を返せ」といった、患者からのクレームが紹介される。
これに、スタジオゲストで医師の大竹真一郎氏は、医師と患者の契約は「必ず(病気を)良くするものではない」とし「最善を尽くして診療に当たる」というのが契約だと、お互いの立場を明確にした。

この発言を受け、くわばたは、病院は100%病気を治せるわけではないといった大竹氏の言葉に噛み付いたのだ。くわばたは「それを病院が言ったらアカンちゃうの?って思うんですけどね」と非難を込めて怒りを露わにした。
しかし、大竹氏は「違います。人間の体の病気っていうのは、絶対に誰でも治せるものではない」「そんな傲慢な(ことを言う)医者の方がダメです」と反論してみせる。

坂上忍やほかの出演者が大竹氏の主張に与すると、くわばたは負けじと「ないかもしれへんけど!」と語気を強めて「『一生懸命頑張ります』みたいな(ことを医者が言ってもいい)」と、患者は専門家の診断をしっかりと仰ぎたいのだと訴えていた。
なお、大竹氏は「100%尽くします」は約束できるが「100%治します」と、結果を問われるのは無理だと補足説明している。

考え方は人それぞれではありますし、各人の言うこともそれなりにもっともではあると思うのですが、基本的に今の時代何の商売であれ絶対だとか100%だとか言い切ってしまうと、万一にもそうでなかった場合責任問題になりかねないと言う現実はありますから、むしろ事実そうであるなら決して100%ではあり得ないと言うことは言わなければならないと言うのが正しいのでしょう。
特に医療の世界ですと人の命がかかっているだけに、安易に気持ちだけで安請け合いをしてしまうと後で大変なことになってしまいますし、JBM(判例に基づいた医療)的にも100%云々などと現実的にあり得ない口約束はしてはならないと考えるべきですが、そうは言ってもこの合併症の確立は○%でなどと味気ない話ばかりでもかえって余計なトラブルを招く可能性もあります。
この辺りのさじ加減は臨床医であれば自然に経験から身につけていくしかないのでしょうが、様々な事情を抜きにしてもひとたび約束をしたことを違えてしまうと大きなトラブルの元になると言う。こんな卑近の事例が報じられていました。

“スーパードクター”の執刀かなわず死亡、遺族が埼玉医大を提訴へ(2017年5月15日産経新聞)

 「心臓手術のスーパードクター」としてマスコミにたびたび取り上げられている埼玉医科大の心臓外科医、新浪博士(本名新浪博)教授に手術を依頼したのに別の医師が執刀したとして、手術から半月後の2014年5月に死亡した埼玉県の女性=当時(64)=の遺族が16日、大学と新浪教授らに総額1億円の損害賠償を求め、さいたま地裁川越支部に提訴することが15日、分かった。

 訴状によると、女性はかかりつけ医から大動脈弁の石灰化が進んでいる可能性があると診断され新浪教授を紹介された。

 新浪教授からは「手術が必要だが簡単な部類に入る。私が執刀する」と説明され、14年4月に入院。手術直前になり、別の医師から教授の指示を受けながら自分が執刀することになったと言われ、5月1日に手術を受けたが、同16日に心筋梗塞で死亡した。教授は手術に立ち会わなかった

 埼玉医科大は「大学も新浪教授もコメントはしない」としている。

情報にも乏しく心臓外科の世界にも疎いので臨床経過については何とも申し上げられないところですが、この新浪教授は年間300例もの手術を手がけ日本でトップクラスの実績を誇っているのだそうで、何事であれそれだけの数をこなせば人並み以上には上達することだろうなとは思いますし、実のお兄さんも有名企業のトップを歴任するなど経営の方面では有名人なのだそうですね。
全くの想像だけで言うならば弁置換術の類だったのかと思うのですが、手術から半月後に亡くなったのが手術と関係があるのかどうかははっきりしないものの、患者からすれば簡単な部類の手術を受けた直後に死んでしまったとなるとやはり良い気持ちはしないでしょう。
まして記事から見ますと患者は新浪教授に手術をしてもらいたいと言う強い希望があったことは推定できますし、それに対して実際に教授から自分が執刀すると説明を受けたとなると、直前に別の医師から自分が執刀することになったと言われても納得し難いでしょうから、こうした感情的なもつれがその後の紛争化に大きいな影響を与えていると想像出来ます。
一方の当事者のコメントもない以上本当の事実関係は判らないとしかいいようがないものの、そう考えてみるるとここでは手術がどうであったのかと言うことが問題なのではなく、自分がやると請け負った仕事を人任せにしてしまったと言うことが一番の問題であったとも思えるのですが、仮にそうだったとしても執刀医交代などもきちんと説明し了承を得ていただとか、術後の経過が良ければ問題なかった可能性も高そうですよね。
生身の人間を相手にすることですから100%治せるとは決して言えないことですし、特定の医師と特定の患者と言う関係においては結果的に最善すら尽くせなかったと言うことも起こり得るわけで、あらかじめそうした想定はした上で説明をし同意を得ておくと言うのは今の時代の必然だとも思うのですが、一人の医師がそこまでやっていると年間300例もの手術はこなせないと言うことなのでしょうか。

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2017年5月15日 (月)

労基法無視の状態が続く医療の世界に外圧が介入

医師の労働環境のあり方がようやく労基法違反状態であると認められた中で、一部の方々が必至に労基法違反状態を維持しようと画策していらっしゃるようですが、最近は何やら風向きが変わってきたのだそうです。

《動き出す労基署》聖路加病院に労基署、土曜外来を全科廃止へ(2017年5月10日日経メディカル)

 労働基準監督署による立ち入り調査が行われ、改善策の実施を迫られる医療機関もある。「今の政権になってから、業種を問わず、労基署の立ち入り調査が増えた」と社会保険労務士法人名南経営の服部英治氏は指摘する。労基署がチェックするのは主に長時間労働の実態で、「昔は労基署に医師の仕事は完全に『聖域』という考え方があったが、今はそうではなくなっている」とも言う(元労働基準監督官へのインタビューは別掲記事参照)。

 実際、ここ数年、熊本大学医学部附属病院、沖縄県立北部病院(名護市)など地域の基幹病院に労基署の立ち入り調査が入った事実が報じられている。最近の立ち入り事例の中でもインパクトが大きかったのが聖路加国際病院(東京都中央区、520床)のケースだ。中央労働基準監督署が2016年6月、調査を実施。病院側は医師の時間外労働の削減などを求められ、その影響で診療体制の縮小を余儀なくされた

救急車搬送の受け入れを抑制

 調査の結果、医師に関して指摘を受けたのは、(1)長時間労働の常態化、(2)夜間・休日勤務に対する賃金の支払いの問題──の2点だった(図1)。(1)については、昨年4~6月の時間外勤務が月平均で約95時間に達していた。
 (2)については、これまで宿日直として運用してきた夜間・休日の業務がそうとは認められず、時間外労働として扱う必要があるとされた。
 年間1万1000件もの救急車搬送を受け入れる聖路加国際病院では、救急外来の医師だけでなく病棟の当直医も救急の応援に当たる。本来、宿日直は通常の勤務とは違い、夜間や休日の電話応答や火災予防のための巡視、非常事態発生に備えた待機など、「ほとんど労働を伴わない勤務」と定義されている。聖路加国際病院の勤務実態は、宿日直の定義には当てはまらないと判断された。そのため同病院は、過去に遡り本来支払う必要があった時間外の割増賃金と、実際に支給してきた宿日直手当の差額分を、個々の勤務医に支払うことになった。その総額や遡及期間は明らかにしていないが、過去2年以内について十数億円を支払ったようだ。

 労基署の指摘を受け同病院では、時間外労働を承認制にするなど残業時間のコントロールに乗り出した。また、時間外労働の負担の平準化を図り、60歳に近いベテラン医師にも準夜帯の勤務を担ってもらうことにした。さらに、夜間・休日の応需体制を縮小。今年5月には全科の土曜外来を廃止する。夜間については、これまで救急外来と病棟当直を合わせ1日17~19人の医師で回してきたが、今では12~14人体制に縮小救急車搬送の受け入れも以前より抑えている
 夜間の人員配置の縮小に伴い、これまで実施してきた夜間の患者家族への病状説明などを中止したため、患者や家族からクレームが出ているという。理解を求めるため、事情を説明した貼り紙を待合フロアに掲示している状況だ。

ここで注目頂きたいのは「昔は労基署に医師の仕事は完全に『聖域』という考え方があった」と言う証言なのですが、かつて労基署に電話をしても医師だと判ると電話を切られたと言う都市伝説があるように、明らかな違法状態をやはり放置してきたと言うのは確かであるようです。
このところはそうした態度も改まってきたようですから、労基署もようやく仕事をするようになったと見るべきかですが、医療機関もようやく真面目に順法精神を発揮するようになったとはとても言えない現状であり、いつまでも医師だけは法律無視で何をやってもいいなどと考えているようでは今の時代社会の理解も到底得られません。
聖路加国際病院と言えば当時院長だった日野原重明氏の方針で救急医療機能を拡大したところ、たまたま例のサリン事件が勃発して一躍救急医療の拠点として有名になった施設ですが、それだけに救急医療との絡みでどのような改善が期待出来るものなのか、実効性がどうなのかも含めて今後の成り行きに注目するところですよね。

いずれにせよ周囲の外圧がなければ自浄作用も働かない医療現場のあり方を示す話だとも言えますが、先日の調査では企業の4割は80時間超の過労死水準の残業を行っているなど労働環境改善は急務であり、今回の聖路加やこのところ話題になっている運送業界のように、業務縮小や値上げなど様々な対策を強いられているのが現状です。
労基署も以前よりは仕事をしていると言うことは、当然ながら今まで以上にスタッフが忙しく働かざるを得ないと言う理屈ですが、別に以前が余程に暇を持て余していたと言うわけでもないのでしょうから、多忙になり過ぎて手が回らないと言うケースもあるはずですよね。
そんな中で先日長時間労働是正対策の一環として興味深い話が出ていたのですが、こちらの記事から紹介してみましょう。

長時間労働調査を民間委託 規制改革推進会議が提言(2017年5月9日共同通信)

 政府の規制改革推進会議の作業部会は8日、長時間労働の監督を強化するため、労働基準監督業務の一部を、社会保険労務士など民間に委託する提言をまとめた。労働時間上限の順守状況などに関する調査票を企業の事業所に送って回収し、実態を把握する。問題が見つかれば、事業所の同意を得た上で立ち入り調査や相談指導をするほか、応じなかった場合は労働基準監督署へ引き継ぐ。
 厚生労働省はこれまで民間委託に慎重な見解を示していたが、委託する業務範囲が限定的なことから、最終的に提言を受け入れた。違反した事業所に課徴金を課す制度を創設するといった案は提言に盛り込まれなかったが、引き続き検討すべきだとした。

 労基署が定期的な監督を実施した割合は1年で全事業所の約3%にとどまる。労働基準監督官の不足が原因のため、民間を活用して補う必要があると判断した。規制改革推進会議が6月にまとめる答申に盛り込む。
 委託先は入札で決める。労使協定(三六協定)締結を届け出ていない事業所を調査対象にする。
 今回の提言実施に労働基準法の改正は必要ない。作業部会で主査を務めた昭和女子大の八代尚宏(やしろ・なおひろ)特命教授は記者会見で「残業時間に罰則付きの上限を設ける方針を政府が決めているので、(所管の)厚労省が速やかにやってくれると思う」と早期実施に期待感を示した。

政府が提言を受け入れたと言うことですから近く実施に移されると言う事なのでしょうが、しかしなかなか興味深い話ではあって、それこそ医師からの訴えはあっさりスルーと言った過度な忖度が働くことがなくなり、淡々と機械的にチェックがなされるようになっていくのでしょうか。
この点で業務の実をあげるためにも民間委託するなら成果報酬で、レセプトチェックのように機械的に淡々と行うようにすれば否応なしに大変な社会的影響が出てくるかと思うのですが、全国の病院で三六協定が締結されていない施設が3割程度はあるとも言いますから、医療現場にいても全く他人事ではありませんよね。
ちなみに医師には応召義務があるから労基法適用外とすべきだと言う意見も未だにありますが、これも個々の医師ではなく病院に課せられた義務であると解釈すべきだと言う意見もあるそうで、医療現場が外圧による改革を強いられていく中でこうした法的な疑問点も早急にクリアされていく必要があるのだとは思います。

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2017年5月12日 (金)

生保受給者の調剤薬局を限定

医療費抑制の方策が様々に検討される中で、以前は進歩的なメディアを中心に議論に上ることすら避けられてきた感のある生活保護受給者の医療費抑制についても近年ようやく注目が集まるようになりましたが、医療費自己負担がないと言うことが過剰受診を招いていると言う指摘が多いようです。
つまりは金銭的動機に代わって何らかの別な過剰受診抑制対策が求められるわけですが、そんな中で厚労省が打ち出してきた対策が話題になっています。

生活保護者 調剤薬局を1カ所に限定へ 厚労省検討(2017年5月6日毎日新聞)

 厚生労働省は、生活保護受給者が利用する調剤薬局を1カ所に限定する検討に入った。複数の医療機関にかかって同じ薬を重複して受け取るのを防ぎ、生活保護費を節減するのが狙い。受給者は決められた薬局でしか薬を受け取れなくなる。受給者数が全国最多の大阪市などで6月にも試行し、効果や課題を検証する。

 病院で処方箋を受け取った患者は、病院近くの薬局で薬を受け取ることが多いため、複数の医療機関を受診すると、通う薬局も増える。向精神薬に限ってみると、2015年度には全国4650人が同じ病気で複数の医療機関を受診し、重複して薬を受け取っていた。薬局が限定されれば、受給者にとっては多重投与による健康被害を避けられるメリットもあるが、利便性の低下も予想される。

 厚労省は、生活保護受給者が自己負担なしで薬を受け取れる「調剤券」を、自宅近くなど決められた薬局でしか使えないようにすることを想定している。市販薬などを購入する場合の薬局は対象外。必要な薬がすべて1カ所で手に入るかなどの課題を秋までに検証し、来年度以降は全国に広げることを検討する。生活保護受給者数は約214万人。医療費は15年度実績で1.8兆円かかっており、保護費全体3.7兆円の半分を占めている。【熊谷豪】

生活保護受給者の調剤薬局を1カ所に限定、厚労省検討 ネットでは賛否(2017年5月9日ZUUオンライン)

生活保護受給者の利用する調剤薬局を1カ所に限定する--。厚生労働省が検討していると毎日新聞が報じた。複数の医療機関に通い、重複した処方箋を受け取る事を防ぎ、生活保護に掛かる費用を抑える狙いがあるというが、インターネットを中心に賛否様々な意見が出ている。

生活保護費の抑制と不正受給による薬の売買の抑制も期待

厚生労働省の調査によると、生活保護にかかる費用は2014年度の実績で3.7兆円となっている。その内、46.9%は医療扶助の費用となっており、年々増加傾向にある生活保護費の抑制には医療費削減が必要となる。
生活保護受給者の医療費は原則無料となっており、中には複数医療機関に受診し、同じ薬の処方箋を受けているケースもあると見られる。同報道によると、向精神薬だけで2015年度に全国で4650人が重複した処方箋を受け取っていたという。
(略)
生活保護受給者の中には医療費が無料である事を利用し、投与された薬を自ら服用せず、インターネット等を通じて裏で売買している者もいるとの指摘もある。今回の対策はこうした取引に対する抑制にもつながる。

デメリットを指摘する声も

生活保護費用抑制や薬の不正売買に効果を発揮すると期待される厚労省案であるが、インターネットではデメリットを指摘する声が上がっている。
まずは生活保護受給者の利便性の低下である。調剤薬局が指定されると、自宅や受診医療機関の近くの調剤薬局で薬を受け取る事ができない可能性が出てくる。生活保護受給者の約半数は高齢者世帯である事も反対を呼ぶ要因となっている。
調剤薬局の指定にあたっても、どういった基準で調剤薬局を指定するかが不明確であるとの指摘もある。指定調剤薬局に選ばれない調剤薬局は売上減が想定される為、透明性のある指定基準が求められる。指定調剤薬局で全ての薬が手に入るか等の検証も必要となる。
さらに医療費の削減効果を疑問視する声もある。生活保護受給者の医療費は2014年度実績で1.7兆円となっている。同年度の国民全体の医療費は約40兆円であり、生活保護に係る医療費は全体で見れば大きな金額とは言えない。生活保護受給者の内、薬を重複投与されている者の割合も多くはないと見られ、効果は非常に限られるとの見方である。
不正受給問題等もあり、国民の生活保護に関する目は厳しい。透明性を高め、健全な運用を目指す姿勢は重要である。今回の改革は賛否両論となっており、厚生労働省は国民との対話を大切にしてほしい。

これまた表向きの話と裏向きの話とが考えられるだけに、各メディアの取り上げ方によってかなり異なった印象を与える記事になっているのですが、ひとまずこの方面で以前から独自対策を打ち出してきた生保先進自治体とも言える大阪から試行すると言うのは妥当なアイデアではないかと言う気はします。
反対意見には様々なものが考えられますが、利便性云々に関しては自宅近くの調剤薬局を指定いただくことを期待するとして、その場合処方された薬の在庫がないと言う事態が門前薬局よりも増加することが予想されますが、こちらに関しては医薬分業以来永遠の課題ですから生保受給者に限定した話でもないわけです。
受給者の半数が高齢者であると言うことも問題と言えば問題で、生保受給者の場合そうでない場合と比べて日常的な支援が期待出来る親族が不在である場合が圧倒的に多いはずですから、服薬上の各種トラブルを防止する意味でも調剤薬局は一カ所に集約し責任をもって管理していただく必要性があると言えます。

最終的な医療費削減効果に関してはいずれにせよやってみなければ判らないとしか言いようがありませんし、だからこそ大阪での結果を見てと言うことになるわけですが、上記のように見ていくと効果検証のためにもやってみない理由はないと言うことになりそうです。
むしろ生保患者に限定されるものではない課題も数多く存在している以上、調剤薬局集約化については一般の患者においても推進すべきと言う考え方もあると思いますが、現実に毎年数百億円分にも及ぶ処方薬が無駄に廃棄されていると言う話もありますし、特に高齢者においては自己管理能力の限界がある以上早急な対策が必要ですよね。
生保受給者対策と言えば何かと言えば聖域視されてきた経緯もあり、未だに何の改革であれ反対意見も少なからず出てくるようですが、純粋に医学的視点に立ってもメリットの多い話がある以上やってみるべきだろうと言うことで、後はどのようなやり方で指定薬局を決めるかと言う点が当面の課題と言うことでしょうか。

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2017年5月10日 (水)

高齢者に抗癌剤は使うだけ無駄?

このところ出てきた話ですけれども、こうしたニュースを御覧になったでしょうか。

高齢者の抗がん剤に指針 厚労省が検討へ 延命効果不明の指摘も(2017年4月27日共同通信)

 厚生労働省は27日、高齢者に対する抗がん剤治療の指針作りに乗り出す方針を固めた。高齢のがん患者は、他の病気にかかっていたり、薬を分解する能力が落ちていたりする場合が多く、きめ細かな医療を提供する必要が出てきたため。
 国立がん研究センターは同日、75歳以上の高齢者に抗がん剤を使っても延命効果がない可能性を示唆する研究結果を発表。同省はこうした結果も参考にし、今後6年間のがん対策の方向性を示す第3期がん基本計画に、高齢者を含む年代別のがん治療法の検討を盛り込む。
 具体的には、高齢者を対象とした臨床研究を推進し関係学会と協力して指針の策定に取り組むほか、認知症を合併した高齢患者を支援するための検討も進める。

 国立がん研究センターによると、2007年から08年に同センター中央病院で受診した約7千人のがん患者を調べた結果、肺がんでは、75歳未満で抗がん剤治療による明らかな延命効果が見られた。だが、75歳以上では抗がん剤治療を受けた患者と受けていない患者の生存期間に大きな差はなかった
 ただし、75歳以上の肺がん患者は19人と非常に少ないため、同センターは、これだけでは科学的に抗がん剤の効果がないとは言い切れないとしている。胃がん、大腸がん、乳がん、肝がんでも調べたが、統計的に意味のある結果は出なかった
 同センターは、高齢者へのがん治療効果を明らかにするには、全国のがん登録のデータを使用した大規模調査での解析が必要だと指摘している。
(略)

高齢がん患者 抗がん剤治療の効果調査へ 延命効果検証(2017年4月27日毎日新聞)

 政府は、高齢がん患者に対する抗がん剤治療の効果について大規模な調査に乗り出す方針を固めた。高齢者にとって身体的な負担の重い抗がん剤投与による延命効果を疑問視する声もあるため、大規模調査に基づく科学的分析が必要と判断した。高齢化が進む中、がん治療のあり方に一石を投じる可能性がある。【秋本裕子、岡大介】

    <がん対策>死亡率目標に限界

 抗がん剤はがん治療に効果を発揮するものの、痛みや吐き気、肺炎などの副作用を伴う。特に高齢者では、若年層や中年層と比べて他の病気を併発していることも多く、抗がん剤による副作用で体力や気力が落ちることで、結果的に延命効果は限定的になるのではないかという指摘が医療界にある。また、高価な抗がん剤の使用拡大は医療費の押し上げ要因になっている。
(略)
 厚労省は、全国の病院のがん患者の治療データを都道府県を通じて集約する「全国がん登録」制度などを活用して大量のデータを集め、詳細な分析を行う方針。緩和治療のあり方など「生活の質」の観点からの調査も実施する。
 学会などは、年代の区別なくがん患者の診療指針を定めているが、厚労省は調査結果を踏まえ、高齢のがん患者に特化した指針の策定を促す。結果次第で、より緩和治療を拡充するなどの方向性が示される可能性がある。

医療費抑制と区別を

 高齢のがん患者に対する抗がん剤治療効果の大規模調査は、国民の2人に1人ががんになる時代に適切な治療のあり方を探る基礎データとなることが期待される。
 増加している高齢のがん患者に、治癒の望めない段階まで抗がん剤治療が施されているケースは少なくない
 これは治療効果や安全性を調べる臨床研究の多くで70歳以上が対象外とされ、各学会が作成する診療指針でも高齢患者に関する記載が乏しいのが一因だ。
 一方、国立がん研究センターなどの予備調査で比較対象とした緩和治療も、国内の研究は進んでいない。現行の第2期がん対策推進基本計画では「早期からの段階的な緩和医療の導入」が推奨されているが、いまだに十分ではない。大規模調査で「生活の質」の向上も含めた効果が裏付けられれば、普及の後押しにもなるだろう。
 ただし、どのような治療を選ぶかは、あくまで本人の意思が大切だ。高齢者のがん治療は「抗がん剤のやめ時を考えるべきだ」という意見も、「医療費の高騰と治療をつなげて議論すべきではない」という意見もある。患者の状態や価値観は多様で、年齢で区切れるものではない。
 政府内には、財政面から医療費を抑制したいとの思惑もある。大規模調査の結果を医療現場でどう生かすかについては、経済性にとどまらない慎重な議論が必要だろう。【高野聡】

大規模調査で効果検証 指針作り、議論を注視 「表層深層」高齢者のがん治療(2017年5月8日共同通信)

 がんが進行した高齢者に対する抗がん剤治療を巡り、厚生労働省が適切な治療法を示すための指針作りに乗り出す。大規模調査を通じて延命効果などの実態を検証し、高齢患者の急増に対応する。「年齢で患者を切り捨てないで」「医療費は無制限ではない」。延命効果と暮らしの質、医療費など、さまざまな論点が予想され、関係者は議論の行方を注視している。

 ▽ドル箱

 「抗がん剤について地方でも高齢患者から相談がある。体への負担や生存率などをやはり気にされている」。愛媛がんサポートおれんじの会の松本陽子(まつもと・ようこ)理事長は、患者の切り捨てを心配しつつも、治療効果の評価は必要だと考える。「高齢になると、併発の病気や家族の介護力など、がん以外のことも含めた治療の進め方の判断が必要になる」と指摘する。
 ある患者団体の代表者は「高齢者は医療機関にとってドル箱。費用対効果でもったいないとの発想があると思うが、病気によって状況は異なる」と訴える。
 日本は2025年に65歳以上が人口の3割を超える見通し。12年に新たにがんと診断された約86万人のうち、75歳以上は約36万人と推計される。
(略)
 ▽生活の質

 がん以外の病気でも、高齢者への投薬の在り方は焦点となっている。厚労省は、何種類もの薬を併せ飲むことで副作用を起こしやすい高齢者への対策も始めた。飲み残しで無駄に捨てられる薬は全国で数百億円分との試算もある。
 がん治療薬「オプジーボ」など新型の薬には、患者1人に年間1千万円以上かかるものがあり、医療保険財政の圧迫が懸念材料だ。ただ厚労省の担当者は「指針作りは、高齢者の生活の質という観点から議論を進めたい。医療費削減ありきではない」と説明する。
 公益財団法人がん研究会の野田哲生(のだ・てつお)がん研究所長は、高齢者は治療に耐えるための体力差も大きいと指摘。「無理のない治療が生活の質を高めるためにも大切。そのためには年齢だけでなく、健康状態も考える必要がある。指針作りは大変難しいが、必要なことだ」と話している。

もちろん表向き医療費削減とは別の話と言うことになっているのでしょうが、そうは言ってもやはりそちらとの関連を全く念頭に置かずに議論しているとも思えないので、やはり昨今何かと話題になる医療のコストエフェクティブネスと言う観点も含めての議論は必要になってくるかと言う気がします。
もちろん今の時代に寝たきり要介護の超高齢者に抗癌剤治療をしたがる先生もそうそういないでしょうが、では家族がどうしてもと希望された場合それを行わない根拠にも乏しいと言うのが現実で、記事にもありますがやはりガイドライン等治療指針においても年齢や患者の状態を考慮して、治療を行わない選択をすべき場合も記載して欲しいところでしょう。
また医療においては医療行為を行うことでどれくらいの延命効果があるかと言う指標がよく用いられますが、若い人と高齢者とで同じ期間の延命効果の価値は同じと考えて良いのかと言う議論もあって、社会的活動期と社会から引退した後では価値が違うとは、抗癌剤に限らず寝たきり高齢者に対する延命的治療の是非を問う場合などにもしばしば言われることではあります。
抗癌剤治療に関して言えば未だ多くの癌で完治とまではいかない現実もあり、結局は高価な延命的治療に過ぎないと言う考え方もあって、医師の実に99%までが自分が癌になれば抗癌剤は「絶対に使わない」と答えたと言う調査結果もあるそうですから、若い人であれ高齢者であれ治療を受けることの意味合いをよく考えた上で実施の是非を決めていくと言うのは大前提ですよね。

いずれにせよ○○歳以上は原則抗癌剤治療の対象外、などと一律な線引きはもちろん難しいでしょうが、高齢者に関しては別項を設けるなりして若年者とは違う指標で評価をすべきだと言えば国民世論も許容するのだろうと思われ、最終的には抗癌剤以外にもあらゆる医療において高齢者向けの治療指針が整備されていくことになるのでしょうか。
ちなみに先日は京都市が市民に対して、終末期における延命治療の是非などをあらかじめ自ら定めておくための事前指示書を配布したところ、一部の方々から抗議があったと報じられていましたが、この指示書にしても家族ではなく本人の意志を記載することがポイントで、まだまだ元気なうちからこうしたものを用意しておかなければいざ病気になってから自分の意志をはっきり伝えられないかも知れませんよね。
そう考えると臓器提供の意思表示などと同様、患者の自己決定権を尊重すべきと訴える進歩的な方々の賛同と協力を得て全国民に広まるべきものだとも言えますが、抗癌剤治療などもまさにこうした自己決定権が最大限に尊重されるべきだと言う考えも理解出来る一方で、一部抗癌剤などはあまりに高価であり医療財政を圧迫しかねないと言う現実もあるわけです。
国民全体の医療費総額がここまでと決められている中で高齢者医療費支出がその大きな割合を占めていて、現役世代には高齢者が好き放題医療費を使うツケを払わされているだけだとの不公平感も広まっていますが、その是正を図る上で年代を問わず多くの国民に了解を得やすいとっかかりとして、高齢者に対する抗癌剤治療の制限などは頃合いな落としどころになるのかも知れませんね。

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2017年5月 8日 (月)

クレーマーは放置プレーで、と言うのは簡単なのですが

先日馬鹿げていると話題になっていたのがこちらのニュースですが、個々に見てみればいかにもありそうな話ばかりでもあるのですよね。

「我々も人間です」消防署へ寄せられる『ひどいクレーム』 消防士に話を聞いた(2017年4月29日grape)

「なぜ、消防車でうどんを食べにきているんだ!」
2017年4月、愛知県の消防団に対し、市民から「消防車でうどんを食べに来ている」という苦情が寄せられました。
(略)
該当する男性団員7名は「消防車で飲食店に来るのは非常識」と口頭で注意を促され、消防車は消防活動以外に使用しないというルールになりました

消防士や救急隊員に寄せられる、とんでもない『クレーム』

「救急隊員は連続する出勤などのため、食事がとれない場合があります。そのため、ご理解をいただいた病院の売店で飲食物を購入し、飲食をとることになりました」
病院に貼られた告知が、現在Twitterで話題になっています。そこに書かれていたのは、病院の利用者に対する「救急隊員も売店を利用します」という、一見当たり前のことでした。
この投稿に対し、「こんなことも断りをいれないといけないのか」「クレームを入れた人がいたのだろう」といった怒りの声が上がる一方、「なぜ救急車でお店に寄るんだ」といった非難の声も上がっています。
こういった『過度な配慮』や『過度なクレーム』は、消防士や救急隊員といった人命救助に関わる人たちを苦しめているのです。
多数寄せられる『過度なクレーム』に頭を悩ませている消防士たち。この件について、現役消防士に話を伺いました。

消防士Aさん
――実際に、どのような苦情が寄せられましたか。
スーパーや弁当店の近くに消防車を停めていたら、「消防車で購入していいのか」「邪魔」といった苦情がありました。たった1つの苦情で、私たちの労働環境が悪くなります。本来なら、上の人間がきちんと説明して折れないことが大切だと思うのですが、謝ってばかりです。
(略)
消防士も人間です。食べなければ、力も出ないし頭も回りません。
また、私の所属では夕食を作っているのですが、休みの日に自分の時間を削り、買い出しを行っています。
約30食分を買い出しするのに、2~3時間かかっています。夕食作りは大規模災害時の「炊き出し」の訓練も兼ねています。
全国的に、消防車での買い出しは自粛されています。私の所属も、以前消防車で買い出しをしていました。
その時は、いつ出動があってもいいように装備も車に載せた出動態勢で、無線機を持ってスーパーで買い出しを行っていました。実は、庁舎内で待機しているよりもこの状態の方が出動が早いのです。

消防士Bさん
(略)
怖いのは、こういうクレームをいちいち受け入れていると、次は「夜はうるさいからサイレン消せ」や「土日はうるさいから訓練するな」など、もっと酷いクレームに繋がり、業務に支障がでることです。
事実、うちの消防署は隣のマンションからのクレームで、土日の午前中はエンジンをかけての訓練は禁止になりましたし、サイレンも大通りに出るまでは減音モードを使うよういわれています。
ちなみにアメリカでは、スーパーに消防車専用の駐車スペースがあったり、消防士がレジに優先的に並ばせてもらったりしています。スペインでも、出動の帰りにコーヒースタンドに寄ったりはごく普通のことです。
その違いは何でしょう?欧米にもクレーマーはいると思いますが、何より消防士を尊敬する人が日本より遥かに多いのだと、自分は海外に行って痛感しました。一方で、欧米では『ヒーロー』として見られる消防士も、日本では『公務員』と見られることのほうが多いなと。
(略)
消防士Cさん
うちでは、10年前に業務中の筋力トレーニング(市民体育館での)が禁止になりました。理由は、市民から寄せられた「筋トレばっかりしてないで、仕事しろ!」というクレームに消防長が謝ってしまったからです。
また、同時期に夕飯を作るのも禁止になりました。「業務中に料理をする暇があるなら、訓練しろ!」との市民からのクレームです。
食堂が市民から見える作りになっていたせいもあるのかもしれませんが、やはり、世間様が景気が厳しい時代になると我々の風当たりも厳しくなるのかな…と。日本の消防は『ヒーロー』ではなく、『公務員』っていう目で見られてしまってるんですかね。
(略)
日々、市民の命を救うために働いてくれる消防士たち。彼らの仕事は肉体的にも精神的にも、とても厳しいものです。
そして、そんな彼らの負担をさらに増やしているのは、市民から寄せられるこういった『過度なクレーム』なのです。
「どんなクレームにも誠実な対応をする」という、日本の風潮。確かに、誠実で丁寧なのは日本のいいところですが、明らかに少数の『過度なクレーム』に従うことは正しいのでしょうか。
「我々消防士も、人間です」
彼らがそういうように、当然、消防士や救急隊員も同じ人間です。食事や休憩をとらなければ、いざという時に力を発揮することができなくなります。
『過度なクレーム』に従う社会、もうやめませんか。

個別にクレームの内容を見ていれば実はそこまで常識外れと言うわけでもないようにも思うのですが、消防に限らず何の組織であれ外部から見て妙なことをやっているなと感じるケースは多々あるものですし、人それぞれに何がどうあるべきだと言う考え方の違いがあるのも当然ですから、こうしたクレームが舞い込むこと自体は当たり前なのだろうなとは思います。
そうであるからこそこうした場合きちんとクレームの内容を検討し、組織の在り方と照らし合わせて対応を決めると言うのが本来なのだろうと思いますし、「そんなクレーム一つでいちいち現場を縛り付ける上司が悪い」と言う声が多いのももっともだとも思うのですが、消防に限らず日本の組織でこうした場合に完璧な対応が出来ている組織はむしろ極めて少ないのではないかと言う気もします。
クレームと言う言葉も何をもってクレームと言うのか、貴重な市民の声なり顧客の意見なりとどこから線引きするのかと考えると非常に難しい部分があって、そうであるからこそ御意見を承った個人がその場の思いつきで適当に対応してしまうべきではないだろうと言うことですが、馬鹿げたクレームにも対応せざるを得ない現実を感じさせるこういうニュースも出ていて、これも大いに話題になっています。

事故現場で女性にAEDを使用した男性が「痴漢」扱い 命の現場に警鐘(2017年05月01日しらべぇ)

「一分一秒を争う」と言われる命の現場。
救急車が到着するまでの間、傷病者の容体によっては「救命措置」が求められるのだが、「女性の傷病者に男性が措置を行う」場合について、あるツイッターユーザーの投稿が波紋を広げている。

■女性にAEDを使用した男性が「痴漢扱い」

数年前に書き込まれた「交通事故現場に遭遇した際の出来事」が記された投稿を、あるツイッターユーザーがツイッターに投稿。その衝撃的な内容にネットが揺れている。
たまたま交通事故の現場に遭遇した男性。運転手の男性は軽傷だったものの、助手席の女性が危険な状態であったため、人工呼吸と心肺蘇生法を行った後、救急と警察への通報とAEDの調達の指示を周囲に出した。
間もなくしてAEDが届けられ、付属のハサミで衣服を切ろうとすると、運転手が「なんで服切るんですか! やめろ! 痴漢だ!」などと騒ぎ、男性の腕にしがみついた

■男性は適切に対応したが…

男性は、「一刻を争う事態だ」と説明したが聞き入れられなかったため、無理やり腕を解き、女性の衣服を切りAEDを装着。間もなくして救急・警察が到着し女性は病院へ搬送された。
男性が事故について警察から事情聴取を受けていると、別の警察が到着。なんでも、運転手が男性を「痴漢」だと通報したというのだ。
その場ですぐに男性の容疑は晴らされ、素早い措置のおかげで女性も一命を取り留めたものの「後味が悪かった」と投稿を締めくくっている。

■「とんだ災難」に戸惑うネット民

救命措置を行おうとした人を「痴漢だ」と通報する人が存在するという事実に、ネットでは戸惑いの声も見られる。
中には「救急隊が来るまで待っているのが得策」や「女性の救助は戸惑う」などという投稿も。
(略)
心配停止に陥ってから、心肺蘇生開始までに5分以上かかり、除細動開始までに10分以上かかってしまった場合の生存確率は、0%に近くなると言われています。
しかし、5分以内に心肺蘇生が開始され、10分以内に除細動を行えば生存率は37%。たった数分の差が生存率を大きく左右します」
(略)
一刻を争う命の現場での、「心無い言動」により、助かるはずの命が助からなかった…なんてことは絶対にあってはならない。
正しい知識を身に着けておくことの大切さを、思い知らされる。

この場合きちんと説明した上でなお妨害行為をしているわけですから、事後の結果次第ではむしろ運転手の男性氏が女性の家族なりから訴えられる可能性もありそうに思いましたが、しかし自分の起こした事故で同乗者が死にかけている状況で警察に痴漢云々で通報する余裕があったのであれば、他にやることは幾らでもあっただろうと誰しも感じるところですよね。
とは言えとっさの場合に即座に最善の決断が出来ないと言うことは誰しも当然にあることであり、一刻を争う救急医療の現場を始めしばしば同種のトラブルは発生しがちなだけに、医療関係者の中でも他人事ではないと感じた方々も少なくないようです。
この場合当然ながら?痴漢云々の訴えは取り上げられることはなく、男性氏は警察から感謝状をもらったそうですが、緊急の場面で何から何まで全て完璧な段取りで事が進むことはないのですから、何でもかんでも誤解や正しい知識の欠如からくるクレームとも言い切れないでしょうし、場合によってはそうした認識の行き違いが紛争化の契機にもなるでしょう。
これは不当なクレーム、こちらは正当な要求とクリアカットに切り分けることが出来ない以上、ある程度のところまでは事前に用意したルールなりに基づいて対応していくしかないのでしょうが、千差万別のクレームをきちんと類型化し対応を決めておくと言うのも実際難しそうな課題ではありますよね。

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2017年4月28日 (金)

効かないものも効くものも、それぞれに問題が

まあそんなものなんだろうなとも思うのですが、先日出たこんなニュースでかなりショックを受けたと言う人も中にはいらっしゃるようです。

効き目ゼロ「難消化性デキストリン」が呼び起こした「怨嗟」と「矛盾」(2017年4月10日デイリー新潮)

 静岡県に住む46歳の男性会社員は、2012年に「ペプシスペシャル」が発売されて以来、なんと、1・5リットル入りのペットボトルを毎日飲み続けていた。夏場にはペットボトル2本を空にしてしまうこともあったというから、まさに“トクホコーラ漬け”の日々を送っていたわけだが、
「週刊新潮の記事を読んで、えーっ! と衝撃を受けました。騙された、と。だって、あれを読めば確かに効果ゼロなんだって分かるじゃないですか。愕然としましたし、怒りもこみ上げてきた。すぐにサントリーに電話しましたが、消費者庁から許可をもらっているので問題ありません、という対応で、余計に腹が立ちました」
(略)
「ショックです。今年一番のショックです……」
 と、うなだれるのは「すこやか茶」を愛飲してきた都内在住の女性会社員(29)。
「すごい衝撃でした。駅前のコンビニには置いてないので、わざわざ出勤前に遠回りしてまで毎朝買っていたんですよ、あのお茶を。今はそんな自分が不憫でならない。でも、どうりで痩せないわけだ、と納得する部分もありました」
 何しろトクホの市場規模は約6400億円にもなるのだから、2人と同様に怨嗟の声を上げた人は数えきれないほどいたに違いない。彼らは言わば、トクホを崇め奉る「トクホ教」の信者だった。しかし本誌記事によって「洗脳」が解け、ある者は怒りに打ち震え、別の者はショックのあまり呆然としているわけだ。

 何とも間の悪いことに、そんなタイミングで難デキ入りの新トクホコーラを発売した会社がある。3月27日から「コカ・コーラ プラス」の販売を始めた日本コカ・コーラ社である。
〈脂肪の吸収を抑え、食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする〉──これが新商品のキャッチコピーだ。トクホコーラの先行2商品は、〈脂肪の吸収を抑え、排出を増加させる〉というものだったが、新商品のコピーには、どこを探しても〈排出を増加させる〉という文言が見当たらない。一体どういうことなのか。
 その背景が分かる資料が内閣府のHPで公開されている。トクホの有効性と安全性の評価について審議する「消費者委員会新開発食品調査部会」の議事録だ。昨年9月、「コカ・コーラ プラス」などについて審議された際の議事録を確認すると、元々、日本コカ・コーラ社は〈脂肪の排出を増加させる〉という文言も含まれたコピーの使用を求めていたことが分かる。しかし、消費者委員会側が、

〈キャッチコピーとして強調できるほど、製品として脂肪の排出を増加させるのかを確認するため、その根拠の説明を求めました〉

 すると、日本コカ・コーラ社は、

〈許可表示から「排出を増加させ」を消去し、キャッチコピーも修正

 してきたといい、それ故、成分が同じトクホコーラなのにコピーが異なる、という珍妙な現象が起こってしまったのである。

〈消費者はパッケージの裏面を見て比べたりする、すると、こちらに書いてあってこちらに書いていない。そういう状況がいいのか、どうなのでしょうか〉(審議の席での委員の意見)

 本誌3月30日号で難デキの効能を裏付ける論文の「嘘」を看破した千葉大学名誉教授の山本啓一氏(生理学・生化学)が言う。
「おそらく、各企業は、難デキには脂肪の排出を促すことで身体への吸収を抑制する効果はない、と認識し始めたのでしょう」
 おさらいしておくと、難デキに脂肪の吸収を抑える効果がある、と謳うトクホの多くは特定の2つの論文を根拠として取り上げている。難デキの国内シェア8割を誇る松谷化学工業の研究者などが2007年と09年に発表した論文で、山本氏はそこに以下のような「嘘」が含まれていることを指摘した。

◎〈09年論文〉では、難デキを摂取した実験群は未摂取の対照群の倍の量の脂肪が糞便として排出された、との実験結果が明らかにされているが、これは数字上のゴマカシ。糞便として排出されなかった脂肪量の割合は実験群が97・4%、対照群が98・6%でその差は1・2%。これは生物学の世界では誤差の範囲で、故に難デキには脂肪の吸収を抑制する効果はない。
◎〈07年論文〉では、難デキの量が5グラムの実験群の血中の脂肪の減少率は27・2%で、難デキ10グラムの実験群では20・1%になっている。難デキの量が2倍になっているのに効果が下がるのは、科学的にあり得ないこと──。

(略)
 各企業が「再現実験」にトライするも、軒並み失敗。14年に、あの“割烹着の女性”が引き起こした騒動と似た状況なのである。
(略)
 山本氏のこの指摘とも関係する“ある疑問”が、先に触れた「消費者委員会新開発食品調査部会」での審議で取り沙汰されている。実験では、参加者94名のうち17名が最終的に解析対象から除外されたのだが、それについて委員から次のような意見が出たのだ。

途中でこの人は生活が乱れているのではないかということで除外するというのは、恣意的と言うと失礼かもしれませんけれども、その可能性も否定できないわけで、九十何名のうち17名がそうだというと割にパーセンテージとしては大きいので、これはいかがなものかという気がいたします〉

 この委員の指摘について山本氏は、
「私もその通りだと思います。まず、そもそも、途中で解析対象者から除外された人数が94名中17名もいるのは多すぎます」
 と言う。なぜなら、
「実験の参加者はあらかじめ食事の摂り方や生活記録のつけ方について、注意を受けている。にもかかわらず、その内容がおかしいという理由で、これだけの人数が途中で除外されるのは明らかに不自然。この実験では、中性脂肪値のばらつきを小さくするために、言い方を変えれば『P値』を下げたいがために恣意的に途中で解析対象者の数を減らしたのではないか。委員はそう疑ったのでしょう」

 除外された人数の多さに、実験を行った企業の“苦労”が表れている、ということなのかもしれないが、大本の〈松谷の07年論文〉について、早々にバツ印をつけていた組織がある。

〈この参照資料からは、主張されている効能を科学的に立証するためのいかなる結論も導き出し得ない

 11年にそう判断した欧州食品安全機関(EFSA)は、難デキの食後血糖値上昇抑制効果についても、〈因果関係は確認されていない〉と結論付けている。
(略)

まあしかしトクホであれ何であれ、毎日毎日コーラ1.5リットルを飲み干してしまうような消費者の場合他の増悪因子の影響も大きいのではないかと言う気がするのですが、今回の場合いわばトクホと言うお墨付きを与えたと言う形であることから、元を正せば国の責任ではないかと言う声も少なくないようです。
ちなみにこの種の食品に関する用語が数多くあって混乱すると言う方もいらっしゃるかと思いますが、トクホ「特定保健用食品)と言うものが消費者庁の許可を受け、有効性についてある程度科学的な根拠があるとされるものであるのに対して、栄養機能食品と言うものには特に審査などはなく、定められた一定基準の栄養を含んでいれば業者が勝手に称してよいものとなっています。
今回の件でその科学的な根拠なるものがどの程度のものであるのかについての疑問が呈された形ですが、一般的には食品メーカーなどが出しているデータを元に議論することが多いのでしょうから、医薬品承認などにおけるような意味での効果効能の証明がなされているとは考えない方がいいのでしょうね。
この辺りは国が許可を出していく以上さらに厳密に審査を行うようにしていくべきなのか、それともトクホと言うものはその程度のものであると言う風に認識を改めていくべきなのか今後の議論次第ですが、他方で効果についてはそれなりに証明されているものへのアクセスについてこんなニュースも出ていました。

Amazonで「第1類医薬品」の購入が可能に 「ロキソニンS」「ガスター10」「リアップ」などを取り扱い(2017年4月18日ITmedia NEWS)

 アマゾンジャパンは、Amazon.co.jp内のドラッグストア「Amazonファーマシー」において「第1類医薬品」の販売を開始した。注文の確定に当たっては、薬剤師による適正利用の確認が必要で、確認できない場合は注文がキャンセルされる。
 4月18日現在、第1類医薬品のラインアップは頭痛薬「ロキソニンS」(第一三共ヘルスケア)、胃腸薬「ガスター10」(同)、育毛剤「リアップ」(大正製薬)など76品目。
 第1類医薬品は、薬剤師からの情報提供を受けた上で購入することが必須だが、Amazonファーマシーでは以下の手順を踏むことで代替している。

1. 第1類医薬品をカートに入れる
2. レジに進む
3. 「ご使用者状態チェック」で購入者の利用情報を入力する
4. 「お薬の説明と確認」で当該医薬品の注意事項を読み、質問の有無を選択
5. 会計手続きを行う
6. 薬剤師による確認が完了次第発送

 取り扱う第1類医薬品は、順次拡大する予定だ。

ガスターを始めとする処方薬の市販化やネット通販解禁についてもそれぞれ一騒動あったところで、この種の「強い」薬を好き勝手に買えるようにしてしまうのは問題だと言う指摘もある一方、国がOTC薬推進と言いながらクリニックで処方されるより高くつくのはおかしいと言う指摘もあって、そうした警戒感もあってか今のところ日本では未ださほど大々的に普及するとまでは行っていないようです。
既存の薬局からすれば大規模ドラッグストアだけでもすでにかなりのダメージで、この上ネット通販で顧客をごっそり奪われたのではたまらないと言う反発の声も強いのは当然なのですが、他方では近隣に医療機関もない僻地離島の住民にとって医薬品ネット通販は命綱であり、一刻も早く普及拡大して欲しいと言う意見もあります。
今回ネット通販大手が第1類医薬品を売ると言うのは利便性の面で非常に期待は大きいのですが、一般的な通販利用の経験がある利用者からすると事実上フリーパスで購入出来るとも言え、かつて対面販売の必要性が云々と大騒ぎになっていた過去の経緯とは何だったのか?とも感じてしまいますね。
肯定的な評価をするなら大手がこうして購入履歴を一元管理出来る体制が出来るはずですから、明らかに適正量を超えて購入しようとする利用者の購入を制限すると言った対策も行いやすい理屈ですが、しかしこうして売られた医薬品でトラブルがあった場合、確認作業を行った薬剤師が何らかの責任を問われると言うことがあるのでしょうかね?

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2017年4月26日 (水)

大量に薬をもらってきては捨てていると言う方々もいらっしゃるそうで

経験的にもまあそうなんだろうなと誰しも感じているのだと思うのですが、では現実的にその対策はどうなのか?と考えると少しばかりややこしいのがこちらの問題です。

副作用が危険!高齢者の「多すぎる薬」防止、国が指針策定へ(2017年4月17日読売新聞)

 高齢者に多くの種類の薬が処方され、副作用で体調が悪化するケースが少なくないことから、厚生労働省は、薬の処方を適正化するためのガイドライン(指針)を策定する方針を固めた。
 医療ビッグデータを活用して全国規模で実態を分析し、副作用を招きやすい危ない薬の飲み合わせなどを調べる。17日夕、有識者検討会の初会合を開く。

 高齢者は薬を分解する機能が低下しており、副作用が出やすい。複数の持病を抱えることが多く、薬の種類が増えがちだ。高齢者が6種類以上の薬を併用すると、一層副作用が出やすくなり、転倒などを招く恐れが高まるというデータがある。医療機関からは副作用が原因で入院した高齢患者の報告が相次いでいるが、実態は明らかではない。
 厚労省は検討会で薬の専門家らから意見を聞き、問題点を整理。その後、患者が医療機関でどんな治療を受けたのかが分かる診療報酬明細書のデータベースの情報や医薬品医療機器総合機構に寄せられた副作用報告などを分析し、薬が増えた際に起きやすい副作用や、危ない薬の飲み合わせなどについて調べる。関連経費は2018年度予算の概算要求に盛り込む方針。
 指針の策定は、分析結果なども踏まえ、18年度末をめどに目指す。持病が多い高齢者は複数の医師から薬の処方を受け、結果的に多くの薬を服用しているケースも多い。そのため医師、薬剤師が、服薬状況を共有して薬の処方を減らす体制作りも進める。

意識障害など深刻な症状も

 高齢者の薬の副作用は、ふらつき、転倒による骨折、意識障害など、心身に大きなダメージを与えるものも少なくない。過去には、日本老年医学会が2015年に「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」を改訂し、慎重な投与が求められる薬のリストをまとめ、注意を促している。厚生労働省も昨年度の診療報酬改定で、不必要な薬を減らすことを促す仕組みを導入したが、効果は十分上がっているとはいえない現状だ。
 厚労省はまず実態解明を進め、科学的な根拠を基に危険な薬の組み合わせなどを医師や薬剤師に示し、対策を一層強化する考えだ。高齢者の健康を守るため、医療関係者も積極的な取り組みが求められる。

ちなみに老年医学会が作成した一般向けのパンフレットはこちらから参照できるのですが、高齢者は代謝が落ち薬も増え副作用が出やすいだとか、注意すべき飲み合わせの例だとかいちいちごもっともではあるものの、では患者に何がどう出来るのかと言えば自分の飲んでいる薬をきちんと申告することくらいで、結局医師が処方する内容次第ではないかと言う意見ももっともだと思いますね。
熱が出たと言った急性期の症状は別として、高齢者に多い慢性期の症状に対する定期的な投薬に関しては医師が適当に思いつきで出しているのではなく、各種学会が出しているガイドラインに従って行っていることですから、老健医学会が何と言おうが服薬中止による悪化のリスクを利益が上回ると言うエビデンスがない以上、現場の医師としてはガイドラインに従うしかありません。
80歳90歳の超高齢者に数十年先の予後に差が出るからと予防的な治療を過剰に行うことは無意味だろうとは思うのですが、では70歳ならどうなのか、60歳ではどうなのかと考えた場合に明確な線引きが出来るわけでもなく、また高齢ではあっても現時点で元気が良い人とADLが低下している人を同列に扱って良いのかと言う問題など、定型化するのが難しい問題なんだろうとは感じます。
ただ高齢者にこんな多くの薬を出すのは馬鹿馬鹿しい、有害無益だと休薬した後で脳卒中や心筋梗塞が発症し、万一にも紛争化した場合に厚労省なり老年医学会が薬を減らせと言ったから…では説得力として十分なのかどうかで、この辺りは各種ガイドラインなどにおいて高齢者医療に関する別項を立てるなどの対策も必要になるのかと思いますね。

副作用が出る、トラブルが多発すると言うこともさることながら、国としては当然財政的な損得勘定の観点からどうなのかと言う点も気になってくるのだと思いますが、社会的に引退し生産性が失われた高齢者の場合税収等でさほど貢献出来るわけではなく、国や自治体から見れば社会保障コストがかかる分だけ常に持ち出しの赤字状態になっているとも言えると思います。
その意味では理想的には歳をとっても周囲の手がかからない元気な状態でいて、早い段階で長患いすることなくポックリ逝ってくれるのが財政上は一番好ましいと言うことになるのですが、命の価値はお金には換えられない等々と大騒ぎする前に冷静になってみると、多くの一般の方々が望ましいものと考えている老後のあり方とそう違ったものでもないようにも感じられるのは気のせいでしょうか。
大量にもらっている薬にしてもきちんと飲まずに捨てられている場合も未だに少なからずあるのだそうで、飲まないのであればそもそも処方する必要もないだろうと言うことなのですが、飲まないと言う意志があるのであれば診察室の中できちんとそう自己主張すべきだろうし、医師の側としても患者の意志をきちんと確認しながら対応するのは当然ではありますよね。
安楽死が合法化されているオランダではこのところ、特に不治の病気等の事情がなくとも高齢者にはもう人生が終わったと感じた時点で安楽死する権利を認めようと言う動きも出ているのだそうですが、日本もいきなりそうまで行かずとも何を目標に治療を行うかと言う点を考えておかないと、高齢者医療は誰に取っても喜ばしくない方向へと迷走してしまいがちな側面はあるのでしょうね。

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2017年4月24日 (月)

お産にはやはり産みの苦しみが必要?

先日こんなニュースが出ていたのを御覧になった方も多いかと思いますが、意外と世間の皆さんの注目を集めているようです。

妊産婦、今でも年50人前後が死亡  横ばい状態、なぜ減らないのか(2017年4月19日J-CASTニュース)

   日本の妊産婦死亡率は、厚労省によると、世界的に非常に低いとされるが、それでも最近の6年余で298人が亡くなっている。そのうち、無痛分娩で13人の死亡が今回初めて分かり、厚労省の研究班が緊急提言を行った
   妊産婦が亡くなれば、病院は、日本産婦人科医会にそのことを届けることになっている。

「予期しない出血など、不確実性の部分がある」

   医会の統計によると、2010年1月から16年4月まで、全国で計298人の妊産婦が死亡していた。この6年余の死者数は横ばい状態で、毎年50人前後に上っている。出産件数は、年間100万人ほどあることから、妊産婦死亡率は1%にも満たない計算だ。
   死因は、子宮内などの大量出血が最も多く、続いて、血圧が上がることなどからの脳出血、羊水が血液の中に入ることで起きる羊水塞栓症などで、この3つで半数ほどを占める。

   それにしても、なぜ毎年、妊産婦が50人も亡くなるような事態になっているのか
   厚労省の地域医療計画課では4月18日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明した。
    「それは、分娩の中では、予期しない出血や羊水塞栓などが起きるということです。一瞬のうちに心停止が起きることもあります。日本は、世界で一番妊産婦を助けられる国だと思っていますが、不確実性の部分が出て来ます」
   ただ、病院側の不手際が原因とみられるケースも報じられている。愛媛県今治市内の産婦人科医院では、3年間で2人が大量出血などで死亡していたことが分かり、日本産婦人科医会が16年12月に血圧管理などで不十分な点があったとして指導を行っている。厚労省も、「病院間の連携をしっかり取るようにするなど、妊産婦の死亡を減らす努力は必要」だとしている。

無痛分娩での死亡あるも、「率が高いとは言えない」

   6年余で298人いる妊産婦死亡のうち、厚労省研究班の調べで、麻酔を使って陣痛を和らげる無痛分娩が13人含まれていることが分かり、研究班が4月16日に発表した。
   13人のうち1人が麻酔による中毒症状で死亡していた。ほかの12人は、大量出血や羊水塞栓症といった普通分娩でもありえる死因だった。研究班では、普通分娩と同様に、陣痛促進剤の使用や、赤ちゃんを引っ張って出す吸引分娩も行われることから、病院は緊急時に備えた体制を整える必要があるとする緊急提言を行った。

   無痛分娩は、フランスやアメリカでは主流になっているが、普通分娩に比べて死亡リスクはどう考えられるのか。
   厚労省の地域医療計画課では、「普通分娩に比べて死亡率が高いというわけではなく、今回の提言は、無痛分娩は危険だなどと言っているものではありません。無痛分娩での死亡数が初めて出たので、提言を行ったということです」と取材に説明している。


麻酔使った「無痛分娩」で13人死亡...厚労省、急変対応求める緊急提言(2017年4月17日読売新聞)

 出産の痛みを麻酔で和らげる「無痛分娩(ぶんべん)」について、厚生労働省研究班(主任研究者・池田智明三重大教授)は16日、医療機関に対し、急変時に対応できる十分な体制を整えた上で実施するよう求める緊急提言を発表した。

 研究班は、2010年1月から16年4月までに報告された298人の妊産婦死亡例を分析。無痛分娩を行っていた死亡例が13人(4%)あり、うち1人が麻酔薬による中毒症状で死亡、12人は大量出血や羊水が血液中に入ることで起きる羊水塞栓(そくせん)症などだったという。

 池田教授によると、国内の無痛分娩は近年、増加傾向にあり、データ上、無痛分娩で死亡率が明らかに高まるとは言えないという。ただし、「陣痛促進剤の使用や(赤ちゃんの頭を引っ張る)吸引分娩も増えるため、緊急時に対応できる技術と体制を整えることが必要だ」と話している。

いや、何故減らないのかと言われても日本の妊産婦死亡率は他のあらゆる疾患の医療を圧倒する勢いで激減してきたわけですが、これで減っていないと言うならこれだけ技術も進歩し若者の車離れが懸念されるほどの時代になってもまだ毎年何千人も死者を出している自動車業界などはどれだけ怠惰なのかと言わなければならないですよね。
医療がどれほど進歩しても医療にアクセスする間もなく突然の発作等で亡くなってしまう方々が一定数いらっしゃるのと同様、一般的に定期的な検診など丁寧なフォローアップを行われているにも関わらず重大な結果を招いてしまう妊娠も一定数いるのだと解釈すべきですが、当然ながらさらにそのリスクを下げる努力の余地はあるわけです。
その最たるものが未受診妊婦、いわゆる野良妊婦の問題だと思うのですが、今回の死亡例の中でこうした未受診妊婦の確率が高いのか低いのかと言うことは知っておきたいですし、近年何かと話題になることの多い高齢出産や高度な生殖医療などの影響なども知りたいところですね。
一方で今回の記事を見ていて興味深く感じたのが、何故か無痛分娩を悪者にしようとしているようにも見えると言うことなのですが、記事にもあるように日本では無痛分娩の実施率は非常に低く、フランスの8割、アメリカの6割など諸外国の高い実施率に対してわずかに2.5%ほどしか行われていないのだそうで、今回の提言と併せて日本の産科医は無痛分娩がそんなに嫌いなのか?とも受け取られかねないですよね。

無痛分娩の実施率が2.5%しかないのに死亡例の4%が無痛分娩の妊婦であるなら、それは危険性が高いと言うことなのではないか?と考えてしまいそうですが、わずか40人に1人しか行われていない例外的な処置を敢えてしている妊婦さんと言うのは、心疾患など基礎疾患などがあり出産と言う大きな負荷に耐えられない可能性があると判断されたケースが相対的に多いのではないかとも想像できそうです。
そもそもお産の苦しみと言うのは全ての痛みの中でも非常に高いレベルにあって、だいたい指の切断と同程度だと言うのですが、その筋の方が指を落とすにしても普通は一瞬ですむだろうところを下手すれば延々と数十分以上も続くのだと考えると、むしろお産を無麻酔で行うのは外科手術を無麻酔で行うのと同じくらいには無謀あるいは非人道的なことなのではないか?と言う気もしてきます。
諸外国では豊富な経験があるのですから安全性などに関するデータも豊富にあるのでしょうが、いずれにせよ麻酔までかけるのですから今の時代「急変時に対応できる十分な体制」も必要なのは当然ですし、どうも今回の厚労省の緊急提言は言葉足らずで余計な誤解を招いているのではないかと言う気もするのですが、問題はそれが意図的に行われていることなのかどうかです。
今回の発表によって無痛分娩は危ないと言う印象づけが意図的に行われようとしているのだとすると、それが産科医の世界のコンセンサスに基づくのか、今回提言を行った池田教授以下偉い先生方の考えなのか、それとも記事を書いた読売以下マスコミ各社の記者達の見解なのかも気になるところですが、現場で実臨床に従事されている産科の先生方はこのニュースについてどう感じられているのでしょうね。

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