パソコン・インターネット

2017年1月 7日 (土)

既存メディアとネットニュース、どちらも本当であり嘘でもある

日本でもありそうな話ですけれども、先日アメリカでこんな事件が報じられていました。

偽ニュース、ネットで拡散=ピザ店に脅迫や銃撃-大統領選にも影響か・米(2016年12月24日AFP)

【12月24日 時事通信社】米大統領選では、虚偽の情報を記事のように仕立てた「フェイク(偽)ニュース」がインターネット上に広がった。事実と異なる内容を平然と語るトランプ次期米大統領に、そうした偽ニュースが追い風を送ったとの見方もある。今月初めには、デマに基づく銃撃事件が起き、米社会に衝撃が広がった。

 ◇デマ信じ「捜査」

 事件が起きたのは首都ワシントン郊外のピザ店「コメット・ピンポン」。4日午後、半自動小銃と拳銃で武装した男が押し入って発砲した。死傷者は出ず、男はすぐに逮捕された。首都警察によると、男はネット上のデマ「ピザゲート疑惑」を信じ、「私的捜査のために来た」と供述した。
 ピザゲートは、11月8日の大統領選直前から広がったデマだ。「コメットは児童売春組織の拠点であり、民主党候補ヒラリー・クリントン氏が関わっている」という妄想に基づく投稿が、ツイッターや匿名掲示板に拡散した。
 もともとコメットは、クリントン陣営のポデスタ選対本部長らのなじみの店。選挙前に告発サイト「ウィキリークス」が続々と暴露したポデスタ氏のメールに、店名が記されていた。
 10月28日、連邦捜査局(FBI)がクリントン氏のメール問題の再捜査を発表すると、ツイッターには「クリントン陣営が関わるコメットの児童売春が捜査される」とのデマが拡散した。「小児性愛の証拠」と称した画像や資料も次々に投稿され、極右サイト「インフォウォーズ」などがクリントン氏の「犯罪」を糾弾。コメットは脅迫にさらされた。

 ◇トランプ氏側近も

 この問題では、トランプ氏の側近らが偽ニュースをあおったことも表面化している。次期政権の大統領補佐官(国家安全保障担当)に就くフリン元国防情報局長官は11月2日、ツイッターに「警察が新たなヒラリーのメールを告発した。資金洗浄、小児性愛など。読むべきだ」と投稿。フリン氏の息子は銃撃事件後、「ピザゲートは、うそと証明されるまで存在し続ける」と書き込み、批判を浴びて政権移行チームを事実上解任された。フリン氏の投稿は既に削除されている。
 米報道機関や警察はピザゲートをデマと認定したが、コメットの店員は、事件から3週間近くたっても「電話やメールでの嫌がらせが絶えない」と語る。
 ネットでは「オバマ政権が疑惑を隠すため、俳優を雇って偽の銃撃事件を起こし、世間の関心をそらした」といった新たなデマが広がり始めた。ツイッターで「ピザゲート」と日本語で検索すると、陰謀論を肯定する多数のアカウントが、新聞やテレビによる「情報操作」を批判している。

デマの類というのは古今東西人の世の中から消えた試しがありませんが、こうしたネット経由で広く情報が拡散し共有されると言うのが今日的なデマのあり方であり、またその過程でいわゆるソースロンダリング的な行為が行われた結果真偽が判りにくくなっていくと言う効果もあるようで、未だに拡散を続けているデマの類も少なくありません。
興味深いのは記事の末尾にある「陰謀論を肯定する多数のアカウントが、新聞やテレビによる「情報操作」を批判している」なる一文ですが、ネット経由で拡散したデマである以上ネット利用者がその関与の主体であることは明らかだろうし、一般論としてもネット利用率の高い人ほど既存メディアに対する信頼感も薄い傾向はあるでしょうね。
この辺りは既存メディアの方では逆にこうしたネット批判的な記事を展開するケースが多くお互い様とも言えますが、先日は朝日新聞社会部が「相手に十分取材をして、記事を書く。そんな当たり前のプロセスが存在しない」とネットメディア批判と受け取られるつぶやきを発したところ「お前が言うな」の大合唱が起きたように、既存メディアとネットとはしばしば対立的な関係にあるように見えます。

今やニュースはネット経由でと言う人が新聞と肩を並べるほどだと言い、興味深いのは若年世代のみならずいわゆる情弱とも言われてきた60代ですらネットニュース利用率が過半数に達したと言う点、そして新聞を読まない人ほどネットニュース利用率が高いと言う点が指摘されています。
他方で若い人ほど既存メディアの代表格である新聞への信頼度は低く、50代以上ではおおむね4割であるのに対して若年層ではわずか2割ほどだと言うことですが、この辺りは調査方法や対象者選定によるバイアスが非常に大きいようで、既存メディアでしばしば取り上げられるのは新聞など既存メディアは高い信頼を維持していると言う調査結果に偏っているようです。
先日はローマ法王が誤った情報を拡散することは「メディアができうる最大の加害行為」と語ったと報じられ、特に冒頭の記事のような行為は罪であると批判したとも言いますが、媒体の種類を問わず誤報や捏造は常に発生し得るものである以上、その後にどのような対処を取るのかと言う点も信頼度の判断における一つの目安になるのでしょうか。

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2016年12月31日 (土)

ネット通販が業務拡大し宅配便サービスが破綻する日

年の瀬で忙しい最中、このところ労基署が仕事をしていると世間で報じられ注目されているのは周知の通りですが、一方で大変な過重労働にあると言われるのがこちらの業界で、その背景には特定顧客関連の業務の激増が大きな理由となっているようです。

「アマゾン多過ぎ」ヤマトドライバーから悲鳴続出、「利便性」が生んだ過酷な実態(2016年12月28日弁護士ドットコム)

あるセンターの前に出されたカゴ台車。Amazonの箱が複数目に入る
「12月に入って、3キロも痩せました」。首都圏のヤマト運輸に勤めるAさんは、入社10年以上のベテランセールスドライバー。体重が減るのは、長時間の肉体労働に加え、昼食の時間が取れないためだ。
「荷物が多くて、まとまった休憩が取れません。12月は、お歳暮、クリスマス、おせちと1年で一番忙しい。朝7時半から夜11時くらいまで働いています
実質的な時間外労働は「過労死ライン」と呼ばれる月80時間前後。「僕だけでなく、大半がそんな感じで働いているんです」
(略)
Amazonの配送はもともと佐川急便が受け持っていた。ところが、運賃の値上げ交渉が決裂し撤退。入れ替わりで、ヤマトが2013年から参入した。現在、Amazonの配送はヤマトを中心に、日本郵便や「デリバリープロバイダ」と呼ばれる中小企業などが受け持っている。
佐川が撤退するような運賃でもヤマトが手を挙げたのは、佐川とのビジネスモデルの違いが大きい。佐川の宅配便の多くは、下請け業者に代金を払って届けてもらっている。これに対し、ヤマトはほぼ自社ドライバーで届けることができる。配達効率を上げれば、利益が出る
しかし、目論見に反して、現場はパンク寸前だという。前述のAさんは次のように証言する。「この1年で周りのドライバーが10人ぐらいやめました。下請けの人にお願いして凌いでいるけど、社員自体はなかなか増えない。この間も、体験入社の子を1日、トラックの助手席に乗せたところ、『仕事が慌ただしすぎる』と言ってやめてしまいました」

●「送料無料」を求める消費者

Aさんはこうも述べる。「Amazonについて言えば、会社(ヤマト)が安く仕事を取って来て、現場に押し付けているという感覚です。そもそも『送料無料』は厳しいと思います。最近は、米や水など重いものもネット通販。消費者の方も『送料=手間賃』だと思ってもらえないでしょうか…」
送料が無料なのはAmazonだけではない。急速にシェアを伸ばしているヨドバシカメラなどもそうだ。野村総研が2016年に発表した「買い物に関するアンケート調査」によると、「ネットショップを選ぶ際の必須条件」は、「送料が安いこと」が約70%で、「価格の安さ」を上回る1位だった。送料無料の背景には、消費者の強い要望がある。
適正な送料をいただければ、給料も上がるし、人も増えると思うのですが…。ダッシュボタンも出て、これからAmazonやネット通販の利用はもっと増えますよね。肉体労働ですから、今のままでは、あと何年体がもつか、まったく先が見えません」

●「労働時間の削減」がかえってサービス残業を生む

ヤマトは今年8月、横浜市にある支店が労働基準監督署からの是正勧告を受けた。問題視されたのは、(1)休憩時間が法定通り取得できていないこと、(2)時間外労働に対する賃金が支払われていないこと。
労基署に窮状を訴えた元ドライバーによると、労働時間を短縮するための取り組みが、かえってサービス残業を生み出していたそうだ。
ヤマトの労働組合は、会社との協定で労働時間の上限を決めており、上限は年々短縮されている。しかし、業務量は増える一方。サービス残業しないと、仕事が回らない状態だったという。
ヤマトの社員ドライバーは5年前から約4000人増えて、およそ6万人。しかし、荷物の増加に追いついているとは言いがたい。単純計算だが、この間、社員ドライバー1人当たりの宅急便の件数が年3000件以上増えているからだ。
(略)
今年はクリスマス期間中に、佐川急便に大規模な遅配が発生し、大きな話題になった。ネット通販で生活は飛躍的に便利になったが、運ぶのは「人」だ。宅配便の増加に、業界が耐えられなくなって来ている
とはいえ、Amazonをはじめ、ネット通販の便利さを手離すことは難しい。Aさんに尋ねてみた。「利用者として最低限できることはなんでしょうか」。返って来た答えは、次のようなものだった。
「僕も『利用者』なんで、あんまり偉そうなことは言えません…。時間指定して、その時間必ず家にいてくれる、それだけでもだいぶ違います

不肖管理人も熱帯雨林を始めとするネット通販のユーザーですが、確かにあまりに小分けで送ってきてもう少しまとめてくれればいいのに…と感じたりだとか、小さな荷物が巨大な箱に入れられていて無駄が多く面倒だと感じることもあるのですが、ああしたものも配送が遅いだとか封筒では中身が破損する等々、それぞれユーザーからのクレームに対して順次対処していった結果なのでしょうね。
記事中にもある佐川撤退の顛末は以前にも紹介したことがありますが、基本的には送料無料だとか即日配送だとか利便性を求めるユーザーの声が運送業界の現場負担になっていると言え、下請けにツケを回さずにどこかの誰かがきちんと業務やコストを負担すればと言えば言えるのですが、では誰が負担すべきかと言えばそれは結局ユーザー自身であるとしか言えません。
近年運送業界の人手不足と高齢化が問題になっていて、いずれ運賃体系なども大幅な見直しを強いられることになると思いますし、そうなれば利用車側としても送料無料が当たり前と言う感覚を改める必要が出てくると思うのですが、一方で当事者である通販大手の方では最近こんなことを言い出しているそうです。

Amazonは空飛ぶ倉庫とドローンの編隊でフルフィルメントと配達の一式を空挺化へ(2016年12月29日テッククランチ)

Amazonは2013年から、ドローンによる配達に挑戦している。でもAmazonの最近の特許申請文書をよく見ると、Amazonが考えているのは単純に品物をドローンで運ぶだけでなく、フルフィルメントセンター全体を“空飛ぶフルフィルメントセンター”にしてしまう、という大規模な構想であることが分かる。つまりそれは、倉庫のツェッペリンだ(上図)。

この空挺型フルフィルメントセンター(airborne fulfillment centers, AFC)は、特定の品目の需要が近く急増する、と予想される地区の上空に、一定量の在庫を積んで停泊する。
このAFCには、食品の配達に適した冷蔵冷凍タイプも含め、各種のドローンが付随し、客が指定した日にち時間のスケジュールに基づいてAFCから送り出される
特許文書には、実際の例としてスポーツのイベントが挙げられている。今、下の方では、何かの種目の全国大会の決勝戦が行われているとき、上空のAFCにはスナック類や、スポーツファンが殺到する記念品が山のように積まれている。
さらにその文書は、AFCは音声や垂れ幕などによる広告媒体にもなりうる、と示唆している。

また、空輸配送を可能にするための複雑なネットワークシステムにも、言及されている。
空飛ぶフルフィルメントセンターや、それが装備するドローン船隊に加え、Amazonはさらに、人間や各種サプライやドローンたちをAFCの近くまたは地上に運ぶ、大型シャトルも構想している。
大型シャトルがドローンをAFCへ運ぶ、という形では、ドローンのエネルギー(電池)が現場での配達だけに使われる。
もちろん、この空挺型システムの全体が、Amazon全体としての在庫管理システムのサブシステムになる。そしてこのサブシステムを、空中や地上から適切なソフトウェアとリモートコンピューティングリソースが制御し管理する。
そしてシャトルや飛行船やドローンは、配達のために空を飛ぶだけでなく、全体がメッシュネットワークを構成して各種の情報を連絡しあう。たとえば天候や風の予報から、互いに、その日その時間帯の最適ルートを教え合うだろう。また地上でeブックを読んでいる人のためにコンテンツを送信することもできる。

文書に記されているこれら大小さまざまな構想がそれぞれ、今どれぐらいの開発段階にあるのか、テスト、あるいはローンチの予定はいつごろか、などについてAmazonに問い合わせている。AFCの巨大飛行船は、いつどこで、初お目見えするのだろう?
Amazonはまだ、何も答をくれない。

何とも空想的と言うことも出来そうな壮大すぎる計画に思えるのですが、実際にドローンによる配送はすでに行われ1時間どころか30分以内の配送も試みられているのだそうで、法律の整備が追いつかないほど急速に発達しつつあるそうですが、今回の件もいずれ本気で実用化しようと考えていると言うことなのでしょう。
実際にこうした配送が行われるようになればもちろん配送のための人員や手間が減るのはもちろんですが、ドローン配送の性質上その場にいて受けとらなければならないでしょうから再配達のリスクも大きく減少すると思われますし、当然配送のためのコストや機材は顧客とアマゾンが負担することになり多少なりとも料金負担の公平化が図られそうですね。
問題は世界的に見てももっとも宅配便サービスが発達した日本に関して言えば、これだけの人口密集とドローン離着陸に適した空き地の少なさ、街中での電線の多さなど様々な障害も予想されると言うことなのですが、近所のコンビニで受け取る代わりに近所の空き地で配送を待つと言うスタイルがいずれ日本でも定着するのでしょうか。

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2016年12月24日 (土)

その答えは仕事ではなく遊びだから?

このところ違法な長時間労働を強いていたとして各方面でブラック企業と糾弾される向きが増えているようですが、そんな中でこんな発言が話題になっていました。

エイベックス松浦氏が労基署の是正勧告を受けコメント 「時代に合わない労基法なんて早く改正してほしい」(2016年12月22日キャリコネニュース)

エイベックス・グループ・ホールディングスが、社員に違法な長時間労働をさせていたとして、12月9日に三田労働基準監督署から是正勧告を受けた。これを受けて、同社の代表取締役社長の松浦勝人氏が22日、自身のブログで労働基準法についての持論を展開した。

毎日新聞の報道によると、同社は三田労基署から、社員の実労働時間を管理していない、長時間残業をさせている、残業代を適正に支払っていないなどと指摘され、9日付けで是正勧告を受けた。
これを受け、松浦氏は22日に自身のブログを更新。「労働基準法 是正勧告とは」と題された記事で、持論を展開した。
松浦氏は、是正勧告を「真摯に受け止め対応はしている」としながらも、「労働基準監督署は昔の法律のまま、今の働き方を無視する様な取り締まりを行っていると言わざるを得ない」と反論する。
2015年に労働基準監督署が指導した8500の事業場のうち、「75%以上が何かしらの違反とみなされている状況」を挙げ、「そもそも法律が現状と全く合っていないのではないか」と指摘。また音楽業界では、「好きで働いている人が多い」のだから、長時間労働を抑制するのはいかがなものなのかと苦言を呈している。

    「僕らの仕事は自己実現や社会貢献みたいな目標を持って好きで働いている人が多い。」
    「(長時間労働を抑制すると)自分の夢を持ってその業界に好きで入った人たちは好きで働いているのに仕事を切り上げて帰らなければならないようなことになる。」
    「好きで仕事をやっている人は仕事と遊びの境目なんてない。僕らの業界はそういう人の『夢中』から世の中を感動させるものが生まれる」

音楽業界などで働く人々は夢を持って、好きで働いているのだから、好きでしている長時間労働を抑制しないでほしいというのだ。
そして改めて「時代に合わない労基法なんて早く改正してほしい」と、労働環境の改善ではなく、労働基準法の改定の方を主張している。

今回同社が労働是正勧告を受けたことに関して、ネットでは、

    「労基はどんどんあぶり出していってほしい
    「ユニクロ、電通に続きエイベックスも労基調査入りか。こうやって大手からどんどんブラック企業がなくなればいいのに。」

と労基署の対応を支持する声が出ていた。
ただ一部からは「エンタメ業界は労基法を守っていたら成り立たない」という声も。エイベックスだけに留まらない、業界全体の問題もあるのだろう。いずれにしても、「世の中を感動させるもの」を生み出す人々が快適に働けるようになるになるためには、まだ時間が掛かるのかもしれない。

当然ながらあまり好意的な反応を持って迎えられたとは言えないこの発言、現場労働者が言うならまだしも働かせる側の社長が言うのはアウトだろうとか、労基法がない時代そのままの旧態依然の労働を強いる経営者だとか、様々な意見が続出しているのはまあ仕方がないところなのかも知れませんね。
実際に現場で働いているスタッフにアンケートなりを取ってみれば松浦氏の主張が正しいかどうか判りそうですが、実際には「仕事が遊びで遊びが仕事」が持論だと言う松浦氏の会社からは新卒入社の3-4割が入社5年以内に辞めていくのだそうで、少なくともエンターテイメントとして社員にあまり上等なものを提供出来ているようには思われません。
その他にも松浦氏については様々な好ましからざるスキャンダルが報じられているようで、反社会的な考え方に基づいて社員を酷使しなければやっていけない業界なのか、それとも松浦氏だけが際立って異常なのかは何とも言えませんが、いずれにしてもそうした状況にある同社なり業界なりのあり方の方に問題なしとはしないだろうと言う意見が多数派を占めているようです。

ただ注目したいのはこうした報道においてしばしば雇用者側から同じように「社員はもっと働きたがっている!」「画一的な法律で社員のやる気を削いで良いのか!」と言ったコメントが出ることですが、特に「労基法を守っていたら仕事が成り立たない」式のコメントはどこの業界でも同じように出てくるものですよね。
ただこうした労働量の管理を何故うるさく言うようになってきたかと言えば、その線を超過していると心身の健康を損ない結局は仕事の質も効率も落ちていくと言うことが背景にあるのですから、特に絶対に失敗の出来ない重要な仕事を任されている業界ほど労基法を守らなければならないだろうし、実際に旅客機パイロットなどは非常に厳重な労働規制を敷いていると言います。
一方で某業界のように「法律を守っていては」云々と言い訳をしながら長時間連続勤務を日常的に行っている業界もあるわけですが、これについても現場からはどんどん摘発してもらった方が、異常な労働環境が長年習慣的に続いてきたものがさっさと正常化していいと言う声も出てきていますから、いずれにしても労基署が手心を加える必要はなさそうだと言うことですね。
しかし松浦氏を始め世の社長さん方がどのような理由や原因によって労基法の基準を超えた労働を現場に強いることになったとしても、残業代も支払わずただ働きをさせることへの弁解には全くならないんじゃないかとは思いますけれども、業界のあり方については御高説を垂れても何故決められた給料も払わないかと言うシンプルな問いについてはまともに答えてくれないのでしょうかね。

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2016年12月20日 (火)

席につけば取りあえず出てくるあの一品がまたしても話題に

ご存知のように当「ぐり研」はお食事会系ブログを称しておりますが、そんな立場上見過ごせないこんな興味深い議論が出ていました。

お通し、「日本人でもあれは困惑」 「外国人トラブル報道」機に議論再燃(2016年12月9日J-CASTニュース)

   沖縄を訪れる外国人観光客が居酒屋の「お通し」に困惑していると地元紙が報じ、ネット上で「お通し」そのものの是非にまで議論が盛り上がっている。

沖縄の飲食店で会計時のトラブルが多発

   記事によると、沖縄でグルメ体験目的の外国人観光客が増え、沖縄観光コンベンションビューローに「お通し」やテーブルチャージなどの問い合わせが寄せられるようになった。メニューに料金の表示がなかったとして、飲食店で会計するときにトラブルが多発しているというのだ。
(略) 
   この記事内容については、ネット掲示板などで話題になっており、「お通し」そのものについて賛否が分かれる議論になっている。

   「お通し」に賛意を示す意見としては、「それが異国文化ってやつ」「郷に入れば郷に従え」「チップ代りだと思っとけば?」といった声があった。ただ、外国人には分かりにくいことから、「お通しの説明をエントランスに表示したらいい」「入場料とか席料取って、お通しはサービスって方が納得いく」などの提案も出ていた。
   一方で、「お通し」に否定的な声も多く、「日本人でもあれは困惑するわ」「頼んでないものを出すのはどう見てもオカシイ」「お通しはほんとやめてほしいな」という疑問や批判が相次いでいる。

ヤフー意識調査では、7割が否定的な回答

   「お通し」について、立教大学法学部の細川幸一ゼミが2014年1月にまとめた調査によると、学生が訪れた居酒屋チェーンの半数で「お通し」を断れず、ネットアンケートでは値段について約7割が「高い」「やや高い」と答えていた
   これはニュースでも報じられ、ヤフーが直後に「お通し」がどうあるべきか意識調査をしたところ、「無料で出してほしい」「無料でもいらない」と答えた人が約7割にも達した。「今のままでよい」は1割強に留まっていた。
   また、Jタウンネットでは、15年11月15日付記事で、居酒屋チェーン各社に客から「お通しいらない」と言われたときにどう対応するかを取材した結果を表にまとめている。5社は「お通し」カットが可能だとしたが、養老乃瀧は「基本的に対応しない」、つぼ八は「アレルギーがある場合などで対応」と答えていた。
   そこで今回、養老乃瀧の広報担当者に、J-CASTニュースがあらためて取材すると、「アレルギーで食べられないときなどは、別のものに変えられます」と話した。外国人に対しては、英語と中国語のメニューを用意して、「お通し」の説明も載せているとし、トラブルは聞いたことがないという。「お通し」については、「料理が出てくるまで、『酒の肴』として楽しんでもらうおつまみです。アルコールを飲む人だけに付けており、テーブルチャージとは違います」と説明した。
   つぼ八の広報担当者は、アレルギーがある場合などで「お通し」カットできると、Jタウンネット記事の時と同じ説明をし、アルコール注文のときだけ「お通し」を付けているとした。英語や中国のメニューでは「お通し」に触れていないが、外国人の来客は少ないため、トラブルは聞いていないという。

ちなみに元記事となっているのはこちら、12月6日付琉球新報の「「お通し」って何? 外国人客のトラブル増 沖縄、店に「多言語化」呼び掛け」なる記事ですが、沖縄に限らず、外国人脚に限らずこの種のトラブルは以前からたびたび発生し、そのたびにネット上ではちょっとした議論が繰り返されてきたものです。
記事を読んでいて興味深いのは大手チェーン担当者のアルコールを飲む人だけに付けている、テーブルチャージとは違うという説明ですが、もちろん日本全国同じルールで運用されているわけではなく、実際にはお金を取るかどうかも含めて各店毎に対応はまちまちであると考えてよいのでしょう。
ただ語源的に言えばお通しとはお客を席に「お通し」し注文を帳場に「遠し」たと言う印だったと言い、喫茶店で注文を取る際に水とおしぼりを持ってくるのと同様料金外の行為だったそうなのですが、それに対してお金を取るようになったことの説明としてしばしばテーブルチャージであるとされてきたのもまた事実ですよね。
ちなみに関西圏で言うところの「つきだし」もほぼ同義で必ず突き出すから突き出し、あるいは料理に付いて出てくるから付きだしと諸説あるようですが、こちらもお通し同様有料扱いのお店もあれば無料のお店もあり、また断れる場合もそうでない場合もあると言う点は共通であるようです。

このお通し問題、いくつかの議論が錯綜するのが常なのですが、一つには頼んでもいないものを勝手に出してお金を取るのはケシカランと言う意見、そして一つには欲しくもないのに断れないとはおかしいじゃないかと言う意見、そしてそもそもあまりにひどいレベルのお通しが多いと言う意見におおむね集約される印象です。
デフレ時代で各店とも一円でも安くとしのぎを削っている中で、やはり注文外の品で勝手にお金を取るのはどうなのかと言う意見はもっともですし、正直安さが売りの大衆店で有料でお通しもどうなのかと思わなくもないのですが、この点に関しては店側もはっきりテーブルチャージである等々明示しておくべきかと思いますね。
その点とも関連して断れないと言うことへの不満ですが、もともと勝手に料理を出しお金を取るのは法的にはグレーゾーンであるものの、社会的に認知されているから違法とは言えないと言う説もあるそうで、今回外国人客からクレームが出たと報じられたのはなかなか示唆的な話だとは思いますね。
売値時価のお店ならともかく、他の料理に関しては明朗会計を貫いているのにお通しだけ不明瞭なのは外国人ならずとも違和感を覚えるところでしょうが、特に居酒屋スタイルと言うものは好きなものを好きなだけ頼める点が外国人に受けているのだそうで、そういう意味でもクレームを受けやすい下地はあったと言えそうです。
いずれにしてもお通しはそういうものと暗黙の了解を前提にやっていると店側も余計なトラブルを招く覚悟はしておくべきだと言う話なんですが、やはりお金を取る以上はそれに見合った中身を期待したくなるのは当然ですから、あまりにお粗末なお通しを出すお店が少なからずあると言う現実にもお店側は留意いただきたいところです。

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2016年12月17日 (土)

事実に対する解釈をどう考えるべきか

あまり社会的に歓迎されない事実と言うものは時に黙殺されたり曲解されたりするものですが、先日読んでいて非常に難解な印象を受ける記事が出ていました。

子の学力と親の経済力、相関関係があるって本当?(2016年11月19日NEWSポストセブン)

L25世代が結婚を考える時お互いの経済力は気になるもの。自分たちの生活の安定が叶うかもポイントですが、将来子どもが生まれた時に「良い教育を受けさせたい」と思うと、相手にある程度の年収を求めるか、自分が仕事を続けるか…悩んでしまうのは致し方ないことかもしれません。
現に、親の年収と子どもの学力に相関関係があるとする調査もあるようです。お茶の水女子大学「平成25年度全国学力・学習状況調査」の「世帯収入(税込年収)と学力の関係」によると、たとえば小6国語Bの学力テストの結果をみても、親の年収300万円から400万円の場合は45点であるのに対して、800万円から900万円は57.6点と大きく開きがある結果に。必ずしも直線的に比例はしないものの、「概ね世帯収入が高いほど子どもの学力が高い傾向が見られる」と報告されています。
こうした“格差”はなぜ生じてしまうのか、子どもの教育格差解消を目指す活動を展開する、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事の今井悠介氏に聞きました。

「子どもの学力が親の経済力に左右される理由は明確になっておらず、所得のみで切り分けられることでもないとは思います。しかし、所得が低いほど教育費の負担と子どもに様々な“体験”をさせることが難しく、それが何かしら子どもの学習に影響を与える可能性は否定できないでしょう」(今井氏、以下同)
とはいえ、日本には義務教育の制度があるため、裕福ではない家庭環境でも子どもの努力や資質次第で、高い学力を身につけることもできるのでは?
「もちろんそういう子もいます。しかし、先ほどのお茶の水女子大学の調査によると、親が『高学歴・高所得』で全く勉強していない児童と、『低学歴・低所得』で毎日3時間以上勉強している子を比較すると、学力テストの正答率は前者の方が上回っていました。この結果からみても、学校外で3 時間以上勉強しても、学力テストの成績を追い越すことが難しいほど、学校+αの体験が与える影響は大きいようです」

実際に、学習費における「学校外活動費」(学習塾、習い事などへの支出)はかなりの割合を占めています。
「平成26年度の文部科学省の『公立小学生の学習費内訳』を見ると、学習費総額に占める学校外活動費の割合は68.2%にのぼっています。経済的・社会的な環境のよい家庭の子どもは、学校で埋められない学習や様々な体験の機会を多く得ることができるため、理解力が高かったり、効率的な学習の仕方を習得したりしている可能性があり、勉強時間の長い低所得家庭の子どもと同等の成績がとれるのかもしれません。あるいは、社会的・経済的な環境のよい家庭ほど、親などの周りの大人が子どもの家庭学習を見られる状況にあるといったことも考えられるでしょう」

同じように義務教育を受けていても学力に差が出てしまう理由に、学校以外の体験が大きく影響する理由は、子どもの“個性”にあるといいます。
「公教育は、経済状況を問わず平等に教えることができる場です。これ自体は、良いことですし、とても重要な役割を担っているのですが、一方で、子どもたちの家庭背景が様々である以上、子どもの能力などによって、一人ひとりの学びに個人差が出てきてしまうのも確か。多様な個性や能力を持つ子どもに対して、ひとつの教育手法でアプローチすることで、当然そのやり方がフィットせずに自己肯定感が低くなり、落ちこぼれてしまう子も出てきてしまう。公教育の必要性は全く否定しませんが、多様性を活かす意味では、現状では難しいシステムだと思います。その多様性や個別的なサポートの部分を補っているのが、民間の教育事業者です。そのため、そこに費用を割ける家庭の子どもが、学力という面でも有利になると言えると思います」
この不平等さは解消されるべきだという今井氏。いまの日本の教育事情に照らし合わせると、残念ながら、少なからず親の経済力が子どもの学力に影響を与えると言えそうです。

今井氏のコメントは何かしら非常に理解しにくい珍妙な解釈と言うのでしょうか、正直何を言っているのか判らないとしか言いようが無いのですが、普通に考えたらいくら教育環境を良くしても元々の素因がない人間には教育効果は乏しいと言う単純な話ではないかと言う気がしますがどうでしょうね?
ちなみにこの記事を見ていて興味深いと思ったのは、親の学力云々を無視してひたすら親の経済力に帰結させようと言う論調ですが、一般論として言えば日本社会では学歴の高い方が高収入を得るのに有利であると言う傾向がありますから、平たく言えば親の学力が高ければ子も容易に高い学力を示しやすいと言う素質があると言えそうです。
もちろん例外は幾らでもあるにせよ、地頭の良さと言われるものに遺伝的要因が大きな影響を与えていることは近年様々な方面から証拠付ける話が出てきていて、おおむね遺伝と環境の知的能力に与える影響力は少なくとも2:1~3:1くらいになりそうですが、しかし毎日一生懸命勉強しても追いつけないと言うのは正直かなしい話ですし、そうであるからこそ一部方面からは表立って認められがたいと言うことなのかも知れませんん。

いわゆる頭の良さと言うことに関しては何を以て定義するかと言う問題もありますが、一つの目安として主に機械的記憶力や単純反復過程を効率的にこなす能力が評価出来るペーパーテストも案外悪くないのではないかと見直す風潮があって、特に一定のルールに従って努力すればある程度努力に相関した成果が挙げられると言うことが近年肯定的に評価されてもいるようです。
ただそうは言っても同じ成果を挙げるのにも効率の良い人とよろしくない人がいることは経験的にも知られていることですが、やはり学力についても元々の素材の善し悪しが成果の絶対的評価に大きく影響すると言うことになれば、教育関係者としてはどうやって学生学童の勉学に対するモチベーションを維持させられるかと頭を悩ましそうですね。
この種の話で思い出すのが旧共産国で政治的要因から獲得形質遺伝説が熱心に支持されたと言う歴史的逸話ですが、今の時代の日本では何であれ違うと言うこと自体は優劣ではなく単なる個性であると言う考え方が主導的になっていますから、学習効率に個人差があると言うことも優劣ではなく単なる個性として認識されればそれでいいのではないかなと言う気がします。

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2016年12月10日 (土)

時折見かけるあの集会の謎が一部解明?

日常的に経験することでありながら意外と理屈が判っていないことと言うものはあるものですが、先日こんな記事が出ていました。

謎が多い「猫の集会」 無理に解散させる必要はなし(2016年12月1日NEWS ポストセブン

 多くの人にペットとして親しまれている猫だが、その行動についてはまだまだ謎が多い。そのひとつが「猫の集会」富山県に住むパート勤務のESさん(45才)から、こんな相談が届いた。
「夕方、自宅の裏の空き地に10匹あまりの猫がよく集まっています。一緒に遊ぶわけでもなく、ただ座っているだけです。一体、何をしているのでしょうか? 無理に解散させない方がいいのでしょうか?」
 この相談に対して、東京港区に猫専門動物病院「Tokyo Cat Specialists」開いた国際猫学会ISFM所属の山本宗伸さんが回答する。

 公園や駐車場、路地裏などに集まってくる猫たち。この“猫の集会”に関して、動物行動学の教科書には、「縄張りの中立地に地元の外猫が集まり、約4mの距離を保ち、緩やかな円を描いて座る」と記述されています。
 集会は、夕方や夜に開かれることが多いようです。数時間続くこともありますが、基本的に猫同士の接触はなく、終わるとそれぞれの縄張りに帰って行きます。鳴いたり、威嚇行為などもありません。
 なぜ集まっているのか、動物行動学者でさえも、その謎を解明できていません。しかし、わざわざ集まるのですから、意味があるのでしょう。ですから、誰にも迷惑をかけていなければ、解散させない方がよいでしょう。
(略)
 猫の社会では体の大きなおす猫が支配的な振る舞いをすることはあっても、犬や猿のような絶対的なリーダーは現れません。ですから猫の集会は、地域の猫同士の顔合わせのようなものと考える方が適当ではないでしょうか。
 稀に親子で集会に参加する猫たちの姿を見かけます。近隣地域で新しい家族が増えていないか、反対に長老猫が元気にしているのか、確認しているのかもしれませんね。
 いずれにせよ、猫の集会は謎に包まれています。ぜひ一度猫のフリをして紛れ込んでみたいものです。

個人的にはたまたま裏通りを歩いていてそうした場に遭遇したことがあるのですが、確かに何をするでもなくただ集まってのんびりしていると言う様子で、何かしら集まること自体に意味のある行為なのでしょうかね。
興味深いのはより集団的な生き物であるイヌにおいてはそうした行為があまり話題にならないと言うことですが、特に日本の場合ネコは放任されていてもイヌは基本的に拘束されているわけですから勝手に集会も何もないもので、多くのイヌを自由に行動させていると集会めいたことをしている場合もあるようなのですが、ただしこの場合もどうやらネコのようにじっと寝そべっていると言うことはないようです。
いささか話が脱線しましたが、ともかくもネコ同士のコミュニケーションの一環としてそれなりに重要な意味があるのではないかとも推測されるこのネコの集会と言うものについて、その意味合いの一端をうかがわせるこんなニュースが話題になっていました。

猫の恩返しかな? 野良猫を会うたびに撫でていたら猫の集会に招待される(2016年12月06日BIGLOBEニュース)

可愛がっている野良猫に導かれ、猫の集会に参加したという不思議な出来事が、Twitterで話題を呼んでいる。

猫を飼い、猫ブログも運営している猫マスターの響介さんは、ランニング中に見かける人懐っこい野良猫を会うたびに撫でていた。この日もいつものように撫でていたところ、猫は突然立ち上がり、響介さんのほうを見てゆっくりと瞬きをした。愛情表現と感じ取った響介さんが同じように瞬きで返すと、猫は「ちょっとついてきて」とでも言いたげに、チラチラと振り返りながら歩き出した

そして、猫に導かれるように辿りついたのは猫たちの集会。約10匹の猫たちが空き地の思い思いの場所でのんびりし、案内してきた猫も「まぁゆっくりしてってや」とでもいいたげな顔で寝転んだ。集会といっても、特に遊んだりはせず、猫は一定の距離を保ち寝ているだけ。響介さんも同じようにまったりと過ごしたのち、猫たちの集会は日暮れとともに解散となった。後日同じ場所に出向いたところ、その場にいた猫たちが、響介さんのもとに寄ってきてくれたという。

Twitterには、「噂が広がってみんな撫でて貰いたかったんでしょうね」「次は猫の国に連れ込まれて、嫁入りですね」「『猫マスターと秘密の集会』映画になりそうです」といった声が寄せられ、2万5千回以上リツイートされている。

かなり主観的な部分も入り込んでいるようなのですが、これが本当のことだとすれば非常に興味深い話で、ネコの集会なるものがお互いに何かしら仲間意識を高めるために開かれているものなのか?とも推測されるところです。
しかしこうした行為は人間世界では全く珍しくないことで、ただ何となく友人同士集まってごろごろしていると言うことは誰でも経験したことがあるでしょうから、そう考えるとネコもかなり高度な社会性を持った生き物なのだろうなとも思えてきますね。
いずれにしてもネコの集会に招かれると言うことは相当にネコ社会からも受け入れられていると言うことだと思いますが、これもお互いの信頼関係あってのことで、招かれてもいないのにネコ集会に乱入するようなことは全く歓迎されないのは言うまでもないことですね。

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2016年12月 7日 (水)

何故かいまさら今年の流行語大賞が炎上

年末と言えば今年のまとめ的な話題には事欠きませんが、毎年この時期に発表され特に大きな話題にもならず消えていくあれについて、何故か今年は大いに盛り上がっているようです。

流行語大賞で「日本死ね」を表彰したユーキャンが炎上、Wikipediaページを書き換えられてしまう(2016年12月2日Buzzニュース)

「新語・流行語大賞」に「保育園落ちた日本死ね」がトップ10に選ばれ、民進党の山尾志桜里議員が満面の笑みでこれを受賞したことにユーキャンが炎上しています(画像はWikipediaより)。
「新語・流行語大賞」は「『現代用語の基礎知識』選 ユーキャン新語・流行語大賞」が正式名称である通り、通信講座で知られるユーキャンの名前が冠されているため、今回「日本死ね」が流行語大賞の一つに選ばれたことに対する批判が同社にも殺到しています。
ユーキャンのTwitterアカウントには多くの非難が寄せられており、「日本死ね」に流行語としてお墨付きを与えた選考委員と共に厳しいコメントが相次いでいます
(略)
またユーキャンのWikipediaページは何者かによって12月2日19時現在、このように書き換えられており、怒りの激しさを窺わせています。「株式会社ユーキャン死ね


やく氏「日本死ね」問題に反論 流行語選考に「過激」「穏当」関係なし(2016年12月5日デイリースポーツ)

 漫画家で、ユーキャン新語・流行語大賞の選考委員を務めたやくみつる氏(57)が5日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」の電話取材に応じ、「保育園落ちた日本死ね」がトップテン入りしたことに嫌悪感を示している意見があることについて「過激だとか穏当だとか、言葉を選ぶ時になんの尺度にもならない」と訴えた。

 番組では、今年の流行語大賞トップテンに「保育園落ちた日本死ね」が選ばれたことに、タレントのつるの剛士が「悲しい気持ちになった」などとつぶやき、議論がわき起こっていることを特集。ツイッターや街の声を取り上げ「もう少し明るい言葉がいい」「強い言葉だから響いた」など、賛否両論あるとした。

 それを受け番組では選考委員のやく氏にインタビュー。やく氏は「私も当時は嫌悪感を示した方」だったとしたが、「それとこれとは話が別」とキッパリ。「流行語を選ぶにあたって、過激だとか穏当だとか、選ぶ時に何の尺度にもならない。むしろ、こういう言葉は流行語大賞でなければ拾い得ない」と、必要であれば“死ね”など過激な言葉が選ばれることもあるとした。
(略)

鳥越俊太郎氏 流行語大賞トップ10入り「日本死ね」を分析「母親の怒りの言葉」(2016年12月5日ライブドアニュース)

5日放送の「白熱ライブ ビビット」(TBS系)で、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏が、「流行語大賞」トップテンとなった「保育園落ちた日本死ね」に対し、「怒りの声」だと指摘した。

1日に「2016ユーキャン新語・流行語大賞」が発表となり、「日本死ね」がトップテンに選ばれた。この「日本死ね」とは匿名ブロガーが保育園の抽せんに落ちた怒りを綴ったエントリー記事に由来するもので、マスメディアでとりあげられるなど当時大きな反響を呼んでいる。
この受賞結果に対し、タレントのつるの剛士が自身のTwitter上で「なんだか日本人としても親としても僕はとても悲しい気持ちになりました」と嘆くなど、疑問視する声も上がっている。番組独自のアンケートでも、「日本死ね」を「流行語大賞」のトップテンに選んだことに「反対」する声が77%に達し、「賛成」の23%を大きく上回っている

昨年まで「流行語大賞」審査委員長を務めた鳥越氏は、「日本死ね」のトップテン選出に賛成と回答した。「日本死ね」がショッキングな言葉ではあると認めながらも、日本の待機児童の問題はこうした言葉を使わざるを得ないほど深刻な状況になっており、政府や自治体はこの問題になんら有効な手立てを打ってこなかったとコメント。
そして、鳥越氏は「それに対するいち母親の怒りの言葉が、『死ね』という表現になっているわけです」「だから、『死ね』という言葉だけに引っかかってしまっちゃ、その全体を見誤ってしまう」とも指摘した。「日本死ね」は「日本の今年の実相を表す言葉」だというのだ。
(略)

この元ネタである「保育園落ちた日本死ね」なる一連の発言に関しては、そもそも発言内容自体がネット上で散々批判を浴びたと言う経緯があり、今回ネット上でよほどに評判が悪かったのも流行語大賞云々以前に元発言に対する反感の方が大きかったと言えるのかも知れません。
まあ改めて字面を見てもネガティブな言葉であることには間違いなさそうであるし、正直あまり気分のいいものではないと考える人がこれだけ多かったと言うことも注目すべきところですが、選考自体はしょせんは一企業がやっていることなのですから社内なりの基準に適合したと言うことであれば部外者が文句をつけるべき事ではないんだろうとは思います。
ただ今年の流行語大賞に結局選ばれた「神ってる」なる言葉にしても、そもそもどこの世界で流行っていたのか?聞いたことがないと言う人が非常に多かったようで、国民全ての共通認識として存在するものが次第に少なくなってきている現代の世相を考えるとこの種の言葉選びに異論なきとしないはずはないとも言えそうですね。

今回の経緯を見ていて関係者が各方面で釈明をしているのですが、見ていてなるほどそれはそうだと感じたのは昨年まで選考に関わった鳥越氏のコメントで、要するに大賞に選ばれるための必須条件として「表彰式に来られる人」が大前提になっていると言うのですが、それからすると今回の「日本死ね」などはそもそも大賞に選ばれる可能性は低かったのでしょう。
今年の大賞が決まった経緯についても当事者のやくみつる氏が候補を絞り込む予備選考の段階で一番高得点を得たのが「神ってる」だったと言っていますが、要するに深い考えもなく先行担当者が適当に決めているものだと言うことであまり裏の意図が云々と深読みし過ぎるのもどうなのかと言うことなのでしょうね。
ちなみにネット上では「PPAP」を推す声が多かったようで、日本だけではなく世界的にこれだけ話題になったことを見ても十二分に選ばれる資格があるだろうとも思うのですが、そもそも選考をしている方々がネット動画サイトなどを見ているか?と言う問題もありますから、人選と言う点からして一般的日本人の感覚を代表しているのかと言う話ですよね。

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2016年12月 3日 (土)

久しぶりにガチな取材と話題のアレ

今日は珍しく?マスコミに絡んでちょっと感心した人が続出と言う話題を紹介してみるのですが、その前にまずは昨今話題になることの多い大手広告代理店について今度はこんなニュースが出ていました。

電通、NHK取材に「自浄能力がない」と感想を述べた若手社員を「戒告」の懲戒処分にして自浄能力のなさを改めて示す(2016年11月30日マイニュース)

 電通が、社長セッションのあとでNHKの出待ち取材に答え「自浄能力がない会社だなと思う」等と感想を述べた20代社員に、始末書を書かせて「戒告」の懲戒処分を下していたことがわかった。先週(11月21日の週)の局会や部会等を通して、大半の現場社員に知れわたった。社員からは「ごく普通の意見で何も処分されるような内容ではない」「経営側にとって都合の悪い話が出ないよう、締め付ける目的」「かわいそう」といった同情の声ばかりが聞かれた。NHKは本人を特定できる形で、かつ「40代社員」と見た目で適当に判断して年齢を偽った報道を行い、翌日になって該当部分を丸ごと削除。誤報のうえ、取材協力者に報道被害を与え、処分で電通社内を萎縮させ、視聴者には説明なく突然「なかったこと」にするという、報道倫理が欠落した、ずさんな仕事ぶりだった。

 社員によると、石井社長からの説明は、レジメを見ながら、一方的なスピーチ形式で、およそ40分強、続いた。大枠として、3つの問題点→3つの視点からの改革→4つの具体策→2つの投資、という順番に説明された(左記概要を参照)。どれも当り前のことばかりで、逆にこれまでの経営不在ぶりが際立つ内容だ。
(略)
 そして、「様々な社員のみなさんの声を取り入れて、みなさんとともに新しい電通を作っていければ、と思っています」と述べ、最後に、あらかじめ用意された、いくつかの質問に答えたという。そのなかの1つが、以下だ。

 ――具体的に、どの業務を減らすのか?
 石井社長「ここではお答えできません。なぜならば、業務そのものに関しては、個別に、取引相手のある話だから。先日来、社内の文書が外に漏れている。業務そのものに関する内容は、相手様があるから、答えられない。情報が漏れることについて申し上げれば、ご自分の考えを述べることはもちろん構わないが、社内の情報を外に出すことは、明確な社規違反です」

 以上が、社長セッションの概要であった。「社員のみなさんの声を取り入れて」「ご自分の考えを述べることはもちろん構わない」と述べていることに注目していただきたい。その直後に、「社員のみなさん」の1人が「ご自分の考えを述べ」たら、即刻、処分されたからだ。
 経営者は、口先ではなく、行動で判断される。本音では、何も変わろうとする気などない、ということだろう。
(略)
 この社長セッションが終わり、電通ホール(電通本社ビル隣接)から出てきた社員は、次々と待ち構えていたマスコミから、コメントを求められた。多くは、黙っていた。そのなかに、正直に感想を述べた若手社員がいた。内容から判断するに、これは本音だ。
 NHK NEWSウェブでは「外から圧力がかからないと変わらないのは悲しいことで、『自分たちのことは自分たちで』という考えがない。自浄能力のない会社だ」と報じられた(冒頭画像参照)。NHK『ニュース7』の字幕では、「捜索が入って急に騒ぎ出すのは自浄能力のない会社だなと思う」と記された。

 電通の過労死事件は今回が初めてではなく、実際に再発したという事実があるのだから、「自浄能力のない会社だなと思う」という発言は、論理的に正しい客観的事実を述べているにすぎないし、社内の業務内容についてしゃべっているわけでもない。きわめて一般的な感想にすぎない。
 だが、電通は体育会系・軍隊気質の社風。規律を重んじ、上の言うことは絶対で、意見を言う者は「口ごたえ」とみなされ、許されない。小さな会議ですら、1年目が意見を言うなどとんでもない、というカルチャーだという。だから、上から押し付けられる理不尽に大量な仕事を断れず、過労死事件が起こったのである。社長のスピーチに対して、20代の若造が感想を述べるなど、とんでもない口答え、なのだった。
 この感想に逆ギレした石井社長は、電通として、この20代社員に、戒告処分を言い渡した
(略)

件の企業の体質がそういうものであると言うのは半ば公然の事実ですから仕方がない部分もありますが、一若手社員にいわば押しかけ取材でこれだけ迷惑をかけたNHKが謝罪するでも社長に取りなすでもなく、単に全てをなかったことにして終わりと言うのは何とも情けない話で、天下のNHKも強者には逆らえなかったと言うことなのでしょうかね。
とは言え大手企業ともなれば社長と下っ端社員との格差は天と地どころか天国と地獄ほども違っていると言うことなのでしょう、社長に平社員が意見めいたことを口走るなど論外だと言う考えは決して特殊なものではないのかも知れませんが、ましてやそれがアルバイトやパートタイマーであればそもそも眼中にないと言うものなのかも知れません。
ところが先日とある人物が、社長に意見するために敢えて自らアルバイトの身分に身を投じてみせたと言うニュースが出ていて、世間からその覚悟の程が半端ないと大いに話題になっているようです。

週刊文春のユニクロ潜入取材レポが「ガチ」と話題に ユニクロから訴えられたジャーナリストが改名してバイトしてみた(2016年11月30日ねとらば)

 著書「ユニクロ帝国の光と影」でユニクロから訴えられたジャーナリスト・横田増生氏が、名字を変えて昨年からユニクロでアルバイトをする潜入取材を行い、12月1日発売の「週刊文春」(文藝春秋)にレポート記事を掲載することが分かりました。文藝春秋の告知を受け、ネットでは「ガチや」「これはすごい」とその取材姿勢が話題になっています。

 週刊文春Webの記事によると、同著におけるユニクロの長時間労働についての記述が名誉毀損に当たるとして、2011年にユニクロは版元の文藝春秋に2億2000万円の損害賠償を求めて提訴しましたが、最高裁まですべて敗訴。判決確定後に横田氏はユニクロの決算会見へ参加を希望しましたが、氏による別の記事を理由に取材を拒否されていました。

 またユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正社長は、ブラック企業批判について「悪口を言っているのは僕と会ったことがない人がほとんど。会社見学をしてもらって、あるいは社員やアルバイトとしてうちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたいですね」(「プレジデント」2015年3月2日号)と語っていたそうです。

 そこで横田氏は、法律にのっとり名字を変えて昨年10月からユニクロでアルバイトを始め、現在も新宿の超大型店「ビックロ」で勤務しているとのこと。1年にわたる潜入取材のレポート記事を「週刊文春」に掲載します。3店舗、総計800時間を超える勤務から「社員たちのサービス残業や人手不足、創業感謝祭(11月23~29日)の過酷な勤務の実態が浮かび上がる」と文藝春秋は告知しています。

 「ぜひ体験してもらいたい」というユニクロ側からの発言を受け、本当に勤務、しかも改名までしたその取材姿勢に、Twitterでは「執念やな」「これは凄い」など驚きの声があがっています。

問題の記事をまだ目にしていないのでその内容については論評することが出来ないのは残念なのですが、しかしここまでやられるとこれは是非とも読まなければと考えてしまう人が少なからずと言うことなのでしょう、ネット上ではこれは買うと言う声が多数上がっているようです。
もちろん当事者の意に沿わない記事を書く人間の取材を受ける義務は企業であれ個人であれないわけですから、単に気に入らないと言う理由だけで取材を拒否すること自体は全く正当な権利の行使だと思いますけれども、それに対してこうした切り返し方と言うのは意外性もあって、何ともジャーナリスト魂を見せられたような気がしますね。
皆さんも機会があれば記事に目を通してみていただければと思いますが、しかし「社員やアルバイトとしてうちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験して」もらった柳井社長がこの記事にどういう反応を示すのか、記者氏の今後についても注目したいところです。

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2016年11月22日 (火)

AIの進化は単に人間の肩代わりに留まらず

ちょうどAIと人間の棋士とが将棋で争う電脳戦の日程が迫っているところですが、他方では中国でロボットが暴走し周囲を破壊、史上初めて人間を攻撃したと報じられていて、SFの世界で古来主要なテーマになってきた人間と人間の作り出した人工物との争いがいよいよ現実味を帯びてきたと言う声も出ているようですね。
とは言えロボットにしろAIにしろきちんと使えば極めて大きな役に立つことは明白で、特にこのところAIによる診療支援が多忙な医師の負担を軽減するのではないかと注目されていますが、このところ報じられた臨床応用のニュースを取り上げてみましょう。

AI使って診察支援 富士通、医師の負担軽減(2016年11月11日共同通信)

 富士通は10日、人工知能(AI)を用いて、医師の診察を支援する技術を開発したと発表した。AIが医師の代わりにカルテを分析して患者の抱えるリスクを指摘し、医師の診察の負担を軽減する。

 富士通によると、スペインの総合病院で精神科の患者を対象に実証実験した。3万6千人以上のカルテのほか、医療関係の論文や用語集などをデータベース化し、開発したAIに読み取らせた。
 AIと精神科医に患者のカルテを別々に分析させたところ、AIは自殺やアルコール依存症、薬物依存の危険性を85%以上の精度で判断し、精神科医が見落としがちなリスクも指摘したという。

 富士通は、技術的には外科や内科などほかの分野でも応用が可能としており、カルテを分析する時間を減らし、医師が患者と向き合う問診の時間の増加が期待できる


眼底の病気、AI画像診断 成功率8割超、早期発見へ光(2016年11月15日朝日新聞)

 目の底の病気を早期発見するために、名古屋市立大と情報システム会社「クレスコ」(東京都)が人工知能(AI)を使った画像診断システムを開発した。80%以上の確率で診断に成功し、人間ドックなどの健診での利用をめざしているという。

 AIが診断するのは「光干渉断層計(OCT)」と呼ばれる網膜の中心を撮影した画像。機器の前に座るだけで、数マイクロメートルの解像度で目の底の様子を撮影できる。必要な時間は数秒。自覚症状が無くても、老廃物がたまっていたり、異常な血管が生えていたりしないかなど病気の初期段階がわかるという。
 研究には、健康な目も含めた300人の両目のCT画像1200枚を使用。そのうち1100枚には、20年以上の臨床経験を持つ医師の診断をつけ、AIに学習させた。残り100枚の画像をAIに診断させ、1枚につき可能性の高い診断名を五つ挙げさせた。1番目に挙げた診断名が医師の診断と合致したのは83%、2番目までに合致したものを加えると90%だった。残り10%は症例数が少ない病気だったという。

 OCTはすでに普及しているものの、一つの病気でも多くの異常があり、複数の病気を併発していることも多いため、画像の診断には専門的な知識と経験が必要だ。研究チームの名市大大学院医学研究科、安川力(つとむ)准教授(視覚科学)は「すでにスクリーニングに使えるレベルは突破できている。人間ドックにOCT検査とAIによる診断を導入すれば早期発見、早期治療につながる」と期待する。検査機器を開発する企業と共同で、AIの診断システムを組み込んだOCT検査機器を開発中だという。

AIで介護計画作成研究 自立支援に最適な内容に プラン約10万件学習(2016年10月24日共同通信)

 高齢者らが介護保険サービスを使う際に必要な利用計画(ケアプラン)の作成に人工知能(AI)を活用しようという研究が、このほど始まった。実際の約10万件のケアプランなど大量の情報をAIが学習。質のばらつきをなくして自立支援に最適なプランの作成を目指し、過剰なサービスの防止や現場の負担軽減を図る
 厚生労働省の補助金による事業で、介護サービス大手のセントケア・ホールディング(本社・東京)が実施する。政府の成長戦略を策定する未来投資会議でも、実用化を検討する方向だ。

 ケアプランは要介護度や疾病、生活環境などに応じて、介護サービスの種類や頻度を決める。利用者からの依頼でケアマネジャーがつくるのが一般的だ。
 ただ、ケアマネが雇用元の事業者の利益のために過剰なサービスを盛り込んだり、利用者の要求に漫然と応じてしまったりする問題が指摘されている。AIの活用でプランの最適化や作成時間の短縮を図る。

 研究では、介護予防や自立支援で先進的な取り組みをしている複数の自治体のアドバイスを得て、高齢者の心身状態などのデータをAIに学習させる。AIが数十人分のプランを試験的につくり、老年医学やリハビリ、栄養学などの専門家が適当かどうか検討する。
 最終的には、要介護度を改善・維持できるプラン、家族の負担を軽減できるプランなど、1人の利用者に対し複数の選択肢を提案できるようにしたい考え。

 ただ、実際のプラン作成には、利用者が自宅で日常、どのように生活しているかの確認など対面によるきめ細かい対応が必要。セントケア・ホールディングの担当者は「AIはあくまでもケアマネを支援するツールと位置付けて実用化を目指す」と話している。

いずれも実用化されれば非常に便利になるだろうと期待される話ばかりなのですが、興味深いのが眼科の画像判定を自動化する技術で、眼科領域の非専門医が慣れない眼底写真を見ながら適当な所見をつけるよりはよほど真っ当な診断になるだろうし、専門外の勉強まで強いられる健診担当医のストレス軽減と言う意味でも有用そうですね。
この点では日頃こんな仕事面倒臭いと思うようなことはどんどん自動化出来ればそれに越したことはないので、毎月のレセプトチェックや薬剤等の併用禁忌のチェックなどは早速にも自動化していただきたいところなんですが、何がどのようになればより現場で有益なのかと言うフィードバックを、医療現場から開発側にきちんと返していく必要があります。
AIと言うほど高尚なものではないのでしょうが、すでに久しく以前から心電図の自動判定が末端臨床の場にまで行き渡っていて、特に心電図モニターなどにおいては異常を自動で拾い上げてくれることの有り難みは機械力様々と言うものですが、医師以外でもレントゲンやCTなどの位置合わせがボタン一つで出来たり、心電図の電極が勝手に装着されたりすればずいぶんと業務が効率化しそうな気もします。

医療の世界ではともすれば人の命に関わることで慎重な導入を期すべきだと言う反対意見もあり、特に日本においては医療現場に導入する新規機材の類は厳しいチェックを経た上でなければならないと言った規制がありますが、それ以前に機械がやることに命を預けられるものかと言う問題もありますよね。
先日はイギリスでAI裁判官が開発されたと言うニュースが出ていて、普通に考えれば人工知能から有罪宣告されると言うのでは受け入れ難いと反発も出そうですが、日本でも導入されている裁判員裁判などにおいて過去の同種事件でどのような判決が出ているのかと言ったことを参考にしたいとなれば、下手に主観が混じらないだけこうした機械の方が手助けになるのかも知れません。
非常に興味深いのが東大、JAXAおよび富士重工が協力して開発している飛行機の制御システムのニュースですが、機体の物理的損傷時の操縦を支援することで「片翼を失っても生還できる」システムを目指すのだそうで、一見すると戦闘機などに用いられる技術かと思うのですが、旅客機などに搭載されれば日航123便墜落事故のようなケースでも無事に着陸できるのかと期待したくなりますよね。
こうして見ると単純に人間のサポートや業務の肩代わりに留まらず、人間ではとても出来ないようなことがAIの進歩によって可能となる未来が近づいて来ていると言えますが、そうなれば人智を越えたAIのミスを人間がチェック出来るものなのかどうかと言う問題も出てくるもので、そのために新たなAIを開発しなければならないと言う堂々巡りすら予想されてきそうです。

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2016年11月19日 (土)

30年経って無実が判明したリアル炎上事件の真相

ネットが登場して以来その特異的な現象か何かのように言われることもある炎上と言う現象ですが、もともとマスコミなど既存メディアが得意としてきた手法ですし、現実世界でも日常的に発生する現象で何もネットだから起こり得るものと言うわけでは全くありません。
ただネットで全世界が同時につながっているからこそ炎上しやすくなったのではないかと言う指摘もあって、異文化や異なる価値観の共存するネットだからこそ発生する炎上と言うものも確かにありますが、先日その炎上と言う現象に関してこんな記事が出ていました。

◆炎上に参加するネット民はわずか0.5%、その属性は?『ネット炎上の研究』(2016年11月7日ダイヤモンドオンライン)

 ブログやTwitterなど様々なSNSが普及するのに伴って、ネットにおける「炎上」も広く知られるようになった。著名人のスキャンダルや不適切発言、企業のコンプライアンス、一般人の行動など、炎上の原因は多岐にわたる。ネットの炎上事件がテレビや新聞でも取り上げられ、さらに世間に周知されるようになり、事態が深刻化することも日常茶飯事だ。もし自分や自分の属する組織が炎上の対象になったら、と想像してぞっとしたことがある人も多いのではないだろうか。しかしこれまで、匿名性の高いネットの世界において、どんな人が批判的なコメントを書き込んでいるのかといった実態を、くわしく知る術はなかった。
(略)
 炎上に実際に書き込んでいる人の属性について、約2万人に対するアンケート調査のデータを用いて実証分析し、炎上の実態を掴んだ。
 第1に、炎上を知っている人はインターネットユーザの90%以上いるものの、これまで炎上に参加したことのある人はわずか約1.1%しかいない。このことから、ごく少数の人が、複数回にわたり炎上に参加していることが明らかになった。
 第2に、炎上参加者の代表的な属性として、「男性である」「若い」「子持ちである」「年収が多い」「ラジオ視聴時間が長い」「ソーシャルメディア利用時間が長い」「掲示板に書き込む」「インターネット上でいやな思いをしたことがある」「インターネット上では非難しあって良いと考えている」といったものが得られた。一方、学歴やインターネット利用時間といった属性は、炎上参加行動に有意な影響を与えていなかった

 炎上は、ごく一部の人が書き込んでいるに過ぎない。炎上に書き込んだことがある人は、インターネットユーザ全体から見ても少なく、インターネット上で非難しあってよいと考えている人に限られる。したがって、炎上して多くの罵倒を浴びせられたとしても、別段気に病む必要はないだろう。炎上を過剰に気にしてインターネット上の情報発信を控える必要もない。
(略)

炎上と言う現象がごく一部のアクティブな攻撃的ユーザーによって引き起こされていることは経験的にも知られていた事実ですが、興味深いのはその実態として年収が多いが学歴にはあまり関係ないと言った、今まで漠然とネット上で語られていた人物像とはやや異なる印象もあるように感じられるという点です。
もちろんその気になれば誰が炎上を起こしているのかと言うことはそれなりに調べられる手段はあるし、場合によっては損害賠償請求など一定の対応策も考えられるのですが、先日もネットや実社会で暴力的活動や暴言を繰り返してきた集団の幹部が大手企業幹部であり、職務上の取引先に対しても暴言を吐いていたことが明らかになったケースのように、炎上される側にも一定程度落ち度のある場合もあり難しいところでしょうね。
一方で何ら罪科もないにも関わらず言われ無き騒動に巻き込まれ社会的に大いに不利益を被ると言ったケースは極めて深刻で何とか対策を講じたいところですが、先日長年の言われ無き不名誉な誹謗中傷が間違いであったとようやく立証された人物のニュースが話題になっていました。

「ペイシェント・ゼロ」、米エイズ流行の起源ではないと証明 研究(2016年10月27日AFP)

【10月27日 AFP】米国にAIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)をまん延させた最初の患者「ペイシェント・ゼロ」として同性愛者の男性が不当なレッテルを貼られたのは、患者番号の誤解と1980年代のメディアの過剰な報道が原因だと決定づける研究結果が26日、発表された。
 英科学誌ネイチャー(Nature)に発表されたこの論文は、科学と歴史学の両観点から分析を行った。それによると、エイズの原因であり、米国内で40年ほどの間に65万人以上の命を奪ったHIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、1970年頃にカリブ海(Caribbean Sea)地域から米ニューヨーク市(New York City)に持ち込まれたという。
 33年前の血液サンプルを最新技術で分析した結果、米国にHIVを大流行させた張本人として死後に中傷されたこの男性、ガエタン・デュガ(Gaetan Dugas)さんは、エイズに侵された大勢の患者の一人にすぎなかったことが決定的に証明された。
 フランス系カナダ人で航空会社の従業員だったデュガさんは1984年に亡くなるまで、自身の多数の性交渉パートナーを特定し、科学者らがエイズの感染経路を調査する手助けをした。
 論文の主執筆者の一人で公衆衛生史の専門家、リチャード・マッケイ(Richard McKay)氏は「デュガさんは歴史上で最も悪者扱いされている患者の一人だ」と述べた。

「ペイシェント・ゼロ」の発端は1982年、カリフォルニア(California)州南部で珍しい致死性の肺感染症にかかった男性数人が、性的な関係で結び付いていることに米疾病対策センター(CDC)の調査チームが気付いたことだった。
 当時はまだエイズだと分かっていなかったこの感染症について、調査チームは患者同士の関係性を明らかにして感染源を突き止めるため、患者に聞き取り調査を実施。すると、1人の男性が繰り返し浮上した。それがデュガさんだった。
 調査チームは手順に従い、デュガさんに患者番号「057」を割り当てた。
 デュガさんの出身は、調査を行ったロサンゼルス(Los Angeles)ではなくニューヨークだったため、調査チームは「カリフォルニア州外(Outside-of-California)」の頭文字「O(オー)」を、デュガさんの番号に付け加えて記載した。
 だが間もなく、調査チームは「不明瞭な楕円(だえん)形を数字と解釈し、『ペイシェント・オー』を『ペイシェント・ゼロ』と呼び始めた」と、マッケイ氏は説明した。

 一方で保健当局者らは、潜在的な感染ネットワークが広範囲に及んでいる可能性に気づき始めていた。ロサンゼルの感染集団(クラスター)に属する同性愛男性のうち、65%以上が生涯で1000人以上と性的な関係を持ち、75%以上が前年だけで50人と関係を持ったと報告した。
 患者番号057のデュガさんは、過去3年間で関係を持った男性約750人のうち、72人の名前を挙げることができた。この数は調査対象となった患者の大半よりもはるかに多く、それが珍しくて印象に残る名前と相まって、後にデュガさんの悪評を生む一因となった可能性があると、マッケイ氏は推測する。

 1984年にCDCの調査に基づく科学的研究が発表されると、図表の中の「ペイシェント・ゼロ」に注目が集まった。この人物が、東海岸と西海岸でエイズを拡散させているウイルスの根源であることを示唆していた。
 2年後、ある野心的なジャーナリストがデュガさんの名前を嗅ぎつけ、エイズ危機を扱った自身の著書で社会に影響を与えた「そしてエイズは蔓延した(And the Band Played On)」の中に極悪人として登場させた
 米国のHIV流行が不運なデュガさんから始まったのではないことは、専門家の間では以前から明白だったが、生物学的な証拠が不十分だった。

 この件に決着をつけるために、論文のもう一人の主執筆者である米アリゾナ大学(University of Arizona)のマイケル・ウォロビー(Michael Worobey)氏は、数十年前の血液サンプルに含まれるHIVウイルスから遺伝物質を回収するための新技術を開発した。
 研究チームは1978~1979年に米国人男性から採取した血液サンプル2000あまりからHIVのDNAを抽出、HIVが1970年代にすでに高い水準の遺伝的多様性を示していたことを突き止めた。これは、HIVがすでにある程度の期間、米国本土を循環していたことを意味する。
 さらに研究チームはHIVの起源をカリブ海地域と特定、ニューヨーク市経由で米国に持ち込まれたことを明らかにした。
 ウォロビー氏は声明で、「人々が警鐘を鳴らすきっかけとなり、エイズ発見につながったカリフォルニアでのHIV流行は、実際にはそれ以前にニューヨークで発生していた流行から派生したものにすぎなかった」と指摘した。

件の著書は映画化もされ大きな社会的反響を呼んだことから、「この場合実際に炎上すべきだったのは勝手な思い込みとプライバシー侵害の捏造著書で巨大な社会的誤解を招いた「ある野心的なジャーナリスト」だったのではないかと言う指摘もあるのですが、自身もゲイであったジャーナリスト氏はすでにエイズにより死亡しており、亡くなったデュガさんの無実が晴らされたことに対して何らかのコメントを出せる状況ではないようです。
ちなみにこのジャーナリスト氏はゲイであることで就職にも長く苦労していたと言いますが、伝えられるところによれば若い頃からずいぶんと言われなき差別も数多く経験していたようで、まさに「自分自身も嫌な思いをしたことのある人間が他人を炎上させている」と言う類型通りの展開だったとも言えるのかも知れません。
現代の炎上事件がこの時代のそれよりも厄介なのは、一度それが発生し世間に名が出てしまえば事実上それを消去することが出来ないと言う問題が挙げられますが、こうした点については情報の削除を求めても限界がありむしろ隠蔽行為を働いているのだから後ろ暗いことがあるに違いないと勘ぐられ、かえって情報が拡散してしまうと言う危険性も指摘されています。
事実と異なる誹謗中傷に対してはいずれどこかで名誉回復の機会があることを考えると、例えば検索エンジンで事件報道に関連する情報を検索した場合はその後の続報も一緒に提示出来るようにすると言った対策も考えられるかと思うのですが、実社会で炎上させた側の方々もなるべくその後のフォローアップまでも責任をもって行っていただければ印象もずいぶんと良くなるかと思いますね。

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