パソコン・インターネット

2017年5月19日 (金)

意外と安泰だった日本の病院

先日以来OSのセキュリティホールを狙ったサイバー攻撃が世界的に大問題になっていますが、見ていますとなかなか興味深い現象も起きているようです。

英病院にサイバー攻撃 病院業務に支障(2017nenn5月13日産経新聞)

 【ロンドン=岡部伸】英BBC放送によると、ロンドンを含む英イングランド各地の国営病院で12日、国営医療制度、国民保健サービス(NHS)関連施設のITシステムに大規模なサイバー攻撃があり、多数の病院でコンピューターが使えなくなるなど障害が発生した。
 診察の予約をキャンセルしたり、手書きで事務手続きを行ったり、救急患者を別の病院に搬送したりするなど病院業務に支障が生じた。患者の情報が盗まれた形跡はなかった。

 攻撃は、コンピューターをロックし、解除する代わりに金を要求する「ランサムウエア」(身代金要求型ウイルス)とみられる。何者による犯行かは明らかではない。ビットコイン(仮想通貨)で金銭を要求するメッセージも出ていた。
 BBC放送によると、NHSネットワークとつながる中部ヨーク、ブラックプールなどの16病院が被害を受けたが、ウェールズやスコットランドなどの病院に影響は出ていない。


「PC全滅、何もできない」英医療機関が大混乱(2017年05月13日読売新聞)

 【ロンドン=角谷志保美、ベルリン=井口馨】12日に起きた「ランサム(身代金)ウェア」によるサイバー攻撃で、被害は全世界に拡大した。

 最も深刻な被害を受けた英国の医療機関は大混乱。病院などのコンピューターが次々と使えなくなった。医療現場の様子はツイッターなどで生々しく伝えられた。専門家は「過去最大規模のサイバー攻撃だ」と警戒を呼びかけている。

 「事務室のパソコンが、一台また一台と全てダウンした」「パソコンが全く応答せず、何もできない。患者が気の毒だ」「処方箋が出せない!」。12日午後1時半(日本時間同日午後9時半)ごろから、英国の病院や診療所、医療関係事務所などで、パソコンが次々とウイルスに感染。現場の医師や医療スタッフがツイッターで現場の混乱を発信した。

茨城・日立の日立総合病院でメール不具合(2017nenn5月15日産経新聞)

 世界各地で大規模なサイバー攻撃の被害が報告される中、社内システムが攻撃を受けた大手電機メーカーの日立製作所が運営する「日立総合病院」(日立市城南町)でも、メールの送受信などに障害が生じていたことが15日、病院への取材で分かった。

 病院によると、13日から職員のメールが送受信できなくなったり、添付ファイルの閲覧ができなくなったりするなどのトラブルが続いている。ただ、診察業務に支障は生じていないという。15日も障害は続いており、病院は復旧作業を急いでいる。

 データを暗号化して読めなくし、復旧に必要として金銭を要求する「ランサムウエア」(身代金要求型ウイルス)による被害が世界各地で起きており、同病院総務グループの三浦正浩主任は「本社(日立製作所)の技術者などが確認している」と話した。

イギリスではNHSのシステム自体に攻撃が加えられていたようで、多数の病院において診療に支障が出たと言うことなのですが、幸いにも日本では今のところ医療業務自体に目立ったトラブルは発生していないようです。
もちろん病院レベルでいくら対策を講じてもネットワークシステム本体がやられたのでは意味がないとも言えるのですが、日本の一般的な病院では電子カルテに連結した院内医療業務と、外部に接続されたネットワークは完全に分断されているのが通常で、データなどの中から外への持ち出しに関しても非常に面倒な手続きや制限がありますよね。
時折患者情報を含んだUSBメディア等を紛失したと言ったニュースが流れ、医療関係者の情報管理体制の甘さを批判する記事も見かけますけれども、個人情報の持ち出しにより将来発生するかも知れない被害を批判するなら、外部からのウイルス等の持ち込みによる現在進行形の被害はもっと叩かれてしかるべきで、今回被害を出した企業や団体は同情よりもまずは大いに批判されるべきだとも言えるかも知れません。

以前にネットワークセキュリティ対策として何が重要かと問われて素人の多くがウイルス対策ソフト等の使用と答えたのに対して、プロフェッショナルの多くは最新版へのアップデートだと答えた、と言う話を見たことがありますが、事実多くのサイバー攻撃がシステムをきちんと最新版にアップデートしておけば防げると言う声もあるようです。
ただ多くの企業では当然ながら業務内容に応じて独自に構築されたシステムを使用していて、アップデートしようにもまずは業務に支障が出ないかどうか確認してからでなければならず、そのためにかかる時間がタイムラグとなって攻撃を受けてしまうそうですから困ったものですよね。
日本の医療機関のように物理的に外部と遮断する方法などは原始的で余計な手間暇がかかるようにも見えるのですが、こうした攻撃に対してはそれなりに強固な防御力を発揮することを実証した形とも言え、各業界においても今回の騒動を検証した上でより強力な防御態勢を構築していただきたいものです。

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2017年5月 1日 (月)

日々信頼を失い続けていると言う自覚はあるらしい人々の弁

昨今テレビなどで活動されていると言う池上彰氏が先日、インタビューに答えてこんなことを言っています。

信頼失う新聞・テレビは滅ぶのか 池上彰さんが「楽観できない」と語る理由(2017年4月15日BuzzFeed Japan)

メディアの信頼性が下がり続けている。フェイクニュース(偽ニュース)や不正確な情報が、インターネットで急拡散する時代。私たちは何を信じ、どう対応すべきか。池上彰さんに聞いた。【BuzzFeed Japan / 古田大輔】
(略)
従来のメディアが信頼を失っているからこそ、フェイクが本当のニュースよりも広がる。池上さんは「アメリカで起こっていることは、日本でも起こる」と警鐘を鳴らす。
(略)
そもそもなぜ、メディアは信頼性を失っているのか。池上さんは、報道は本質的に危うさを抱えているものだという点から、話を始めた。
(略)
視聴者が見たいものを報じることが、業績を伸ばす近道。歴史的に見たメディアの現実であり、危うさだ。「ただし」と池上さんは付け加える。
ニュースに関しては、知りたくないことでも、伝えなければいけないことは伝えるという風にやってきた。そこが信用された」
その信頼性が、ネットの登場によって崩れたと見る。
ネットには新聞やテレビで報じられていないことが出る。『大新聞やテレビ局が報じない真実』という、昔の週刊誌のような見出しで。『ネットにしか出ていない。本当はこうだったんだ。新聞やテレビは隠している』という誤解が広がり、ネットの方が信頼できると感じる人が増える
週刊誌の影響力はそれを読んだ人に止まる。しかし、ネットでは「新聞やテレビは隠している」という記事に共感した人が、その思いをネット上に書き込み、不信感がシェアされる。他にも同じような不信感を抱いている人がいる、と可視化され、不信感は増幅していく
(略)
輪転機や販売店、電波などの情報の流通手段をメディアが独占し、何の情報を流すかを選別する「ゲートキーパー」の役割を果たすことは難しくなった
「まさに私も悩んでいます。自分で確認していないのに、ネットに情報を流す人がいる。それを見て『新聞やテレビが伝えないことをネットがいち早く伝えている』と捉える人がいる
ネットでスピードを競う。しかも、競争相手はかつてのようにメディア業界内だけではなく、ネットで発信するあらゆる組織や個人にまで広がった。
裏を取らずに書いてしまう危うさ。ウェブファースト、とにかくウェブを第一に急いで出せというのが背景にあるのではないかと思います」

もちろん、ネットは報道やメディアにとってマイナス作用しか持たない訳ではない。ごく限られたマスメディアだけではなく、あらゆる個人が情報発信できるようになったことで、マスメディアの情報を相対化し、検証もできる。「情報の民主化」とも言える。
問題は、それらの情報の中に不正確なものや嘘が大量に混じっていることだ。
(略)
「私たちのように常にニュースに接している人間であれば、これはおかしいとわかる。でも、みんながメディアリテラシーを持っている訳ではないところに恐ろしさがある。では、誰が対策を取るべきか。政府や公的機関が『これはフェイクニュースです』と言い出したら、これほど恐ろしいことはない」
そう、それは検閲の始まりを意味する。
(略)
報道の課題はファクト(事実)のチェックだけではない。論調にもあるという。元外交官で作家の佐藤優さんとの共著「僕らが毎日やっている最強の読み方」の中で、二人は新聞=客観報道の前提が崩れている、と指摘する。

“佐藤 顕著な例ではここ2~3年、慰安婦問題、歴史認識問題、集団的自衛権や安保法制の問題、憲法改正問題、原発問題、沖縄の問題などは、新聞ごとに報道のスタンスが大きく異なります。取り上げるニュースの切り口や論評が異なるだけでなく、「A新聞では大きく扱っている出来事を、B新聞は掲載すらしていない」というケースも珍しくありません。“

ネットはこの傾向に拍車をかけるのではないか、と池上さんは懸念する。ネットでは検索やリンクなどから、自分が見たい記事ばかりを見てしまうからだ。
(略)
「リベラルかコンサバティブか。自分の考えに近い論調の方を読んでいると快適です。それがずっと続くと、どんどんそっちに行ってしまう」
近年、注目を集めている現象だが、実は、新聞にも似たような作用があるのではないか。
「新聞は民間企業が自由に出せるから、いろんな新聞があっても悪いことではない。でも、一紙だけど読むと、結果的に、その考え方にどんどん進んでしまうという党派性がでますね」
「集団的自衛権を認めるかどうかというときに、読売だけ読んでいると反対運動があることがわからない。昔は、いろんな新聞がいろんな主張をすることは良いと思っていたけれど、結果的に世論が分断され、中身のある議論を交わすことが難しくなった。悲しい現実になっています」
(略)
分断された人々に対話をもたらし、社会課題の解決方法を共に考える。それが池上さんの考えるメディア、報道機関のあり方だという。
「アメリカのローカル紙の廃刊が続いています。なくなって初めて、読者は民主主義のインフラだったと気づく。そういうメディアがあるから、選挙報道があり、投票に行く。なくなってからでは遅い。民主主義を支えるインフラとわかってもらうだけの仕事をしないといけない」
(略)

引用部分には色々とキーワードがちりばめられていますが、結局のところ既存メディアが市民の支持を得られなくなったのはやはりその提供する情報の選別や記事の内容があまりに恣意的になっていること、より厳密に言えば元々極めて恣意的であったことは昔から変わらないのですが、それが恣意的であると言うことに多くの一般人が気付き始めたことが大きな理由であると感じています。
ただこの点に関しては池上氏らメディアリテラシーを持っている方々に限らず、普段から図書館などで複数紙に目を通す習慣を持っている人であれば誰でも知っていたことであり、むしろここ最近になってそんな当たり前の「偏向」がどうこうと大騒ぎし始めている人が増えたと言うことには何を今さらと言った感じではないでしょうか。
池上氏はネットニュースについては独自ソースを流すものを中心に考えているようですが、氏が考えているようなメディアリテラシーの欠けているライトユーザーこそ大手ニュースサイトで既存各メディアの報じるニュースを流し読みすると言う旧来の方法論に近いやり方をしているとも言え、この点ではむしろ既存メディアの発信するニュースが低レベル化しハッタリや騙しが効かなくなっていることを業界人は懸念すべきでしょうかね。
この点で既存メディアの中の人を見ていて感じるのが、どうも彼らは自分達は正しい報道を行っているのに世間から誤解されているのだと信じているのではないか?と言うことなのですが、この辺り池上氏のコメントを見てもどうも問題点の所在について認識がずれているのではないかと言う気がします。

そもそも池上氏にもその傾向があるようですが、既存メディアの中の人がしばしば口にするネット情報は検証が甘くいい加減であると言うのも典型的な誤解あるいは偏見で、もともとは専門知識もない既存メディアの記者が誤解と偏見に基づいていい加減な報道を繰り返している、その現実に憤りを感じた各界の専門家達がネットと言う手段を得て市民に直接事実を語りかけるようになったと言う側面も根強いわけです。
20世紀末頃から21世紀初め頃には特にその傾向が顕著となり、各種メディアから一斉にバッシングを受けた某業界なども自己防衛のために立ち上がった結果、既存メディアの報道が如何に現場の現実からかけ離れたフィクションそのものであるかと言うことを多くの市民に知らせる結果になったのは記憶に新しいところですよね(無論、ネットソースだから全て正しい、などと言う話ではありませんが)。
最近沖縄で唯一の保守系ローカル紙が本島に進出したことが報じられていて、それに対して二大地元紙と言われるリベラル系メディアが販売店に配達禁止を迫る通達を出していた、などと言うびっくりするようなニュースが出ていましたけれども、本質的なポイントとはそれが事実かフェイクかではなく、そんなことがあっても全くおかしくないとメディアリテラリーのある人々皆からも認識されてしまう状況の方ではないでしょうか?
そう考えると既存メディアが自主的に報道内容を検証するべきだと言う池上氏の考えも理念としてはいいのでしょうが、現状を考えると世間からは町の反社会的勢力に警察の役目をさせようとでも言うような斜め上のアイデアにしか見えていないのではないか、と言う気もするところでしょうかね。

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2017年3月31日 (金)

思いがけず炎上が続く油絡みのあの問題

先日何気なく紹介したよくある類の話題なのですけれども、何故か妙な具合に延焼が続いているようです。

速水もこみちオリーブ油騒動、マジメな人が笑いの対象に(20178年3月24日NEWSポストセブン)

 ネットの言論には、独特の論調がある。思いもよらないことが笑いの種となり、盛り上がることも。たとえば、BPO(放送倫理・番組向上機構)のHPで紹介される事例集は、ネット民にとってネタの宝庫となっている。人権侵害などの深刻な問題を論じる機構が公表する情報が、なぜネタ扱いされるのか。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が解説する。

 俳優・速水もこみちといえば、朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)内のコーナー「MOCO’Sキッチン」でオリーブ油を使いすぎることで知られている。ネットではこれはネタと理解されており、速水の半身がオリーブ油の中に沈んでいるコラージュ写真まで存在する。
 しかし、この伝統芸に対しBPO(放送倫理・番組向上機構)には「使い過ぎ」「家計に配慮すべき」といった意見が寄せられ、これをBPOは「視聴者のご意見」としてHPで紹介した。これが数々のメディアで報じられたが、ネット雑談界の歴史を踏まえると、2000年代後半以降、BPOのこの「視聴者のご意見」は重要な“ソース”となっていた。
 なにせ、あまりにも生真面目な人々が静かな怒りをもって正義の組織・BPOに訴えかけている様が喜劇に感じられ、2ちゃんねる等で笑いの対象となってしまう。
「高齢の父が『プロ野球中継が少ない』と嘆いている」や「地震の現場の報道で、住民はヘルメットをかぶっていないのに、報道陣はかぶっているのはおかしい」などの投稿が厳選され、紹介されているのである。これに対しては、「そこ問題視するところかよwww」などと笑いの対象になる。

 BPOでは「※無断転載はお断りします。公表している視聴者の意見について、転載を希望する場合には、事前にBPOにご連絡ください。」と、安易に使わぬよう釘を刺しているが、実際問題としてBPOの「視聴者のご意見」はネット民にとって娯楽を提供するサイトになっている。
 また、同様にネット民の重要なソースとなっているのが各地の警察署が発表する「声かけ事案」である。これは警察が怪しい人間の情報を発し、住民へ注意を呼び掛けるものだが、これも状況が分からず文字面だけ見ると、BPOと同様に笑い、ないしは「ここまで不自由な社会になったのか……」と皆で呆れるトピック化している。
(略)
 ネットには「マジメな人を嘲笑」の文化が根付いているため、今後SNSデビューをする諸兄が「通学時の声かけで不審者から子供たちを守らなくてはいけない」などと道徳的なことを書くと「女児にハゲ頭を見せつける事案が発生w」と煽られるかもしれないが、そこでキレてはならない。

速水もこみち、大量オリーブオイル使用は人体に極めて危険…間違った食の知識、スーパーに偽物蔓延(2017年3月28日ビジネスジャーナル)

 今月、テレビ番組『ZIP!』(日本テレビ系)内の料理コーナー『MOCO’Sキッチン』における速水もこみちの“オリーブオイル大量使用”に対し、視聴者より放送倫理・番組向上機構(BPO)に苦情が寄せられていたことが明らかとなった。
 同コーナーはオリーブオイルが多用されることで知られており、過去には1品の料理に1瓶丸々使用することもあった。また、速水は自身でオリーブオイルのプロデュースも手がけており、「コーナーで毎回のように大量のオリーブオイルを使用することで、自身のビジネスにつなげており、出演番組を金儲けに利用している」(テレビ局関係者)との批判の声も聞こえてくる。
 気になるのは、健康というイメージも広まっているオリーブオイルだが、速水のように大量に使用することは健康を害さないのかという点である。そこで今回は、『「隠れ油」という大問題』(三五館)の著者で植物油研究家の林裕之氏に解説してもらった。
(略)
 オリーブオイルの主成分はオレイン酸(オメガ9脂肪酸)で、50~80%の高率で含まれています。このオレイン酸は、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減らし、脂質異常症や動脈硬化を防ぐ効果があるといわれています。これが心筋梗塞や狭心症、脳卒中などの心血管疾患の予防に役立つといわれる根拠となっています。
 しかし詳しく分析した結果、魚介類を中心に野菜やナッツ類、フルーツをたっぷりと摂る伝統的な地中海食が良いのであって、オリーブオイルだけに健康効果があるわけではないとわかってきました。
(略)
 次に問題なのは品質偽装です。
 エクストラヴァージンオリーブオイル(EXVオリーブオイル)は、オリーブの実を絞った汁から不純物を取り除いた、いわばオリーブ100%ジュースで、オレイン酸のほかビタミンEやポリフェノールなどの抗酸化物質を含んでいます。ところが、世界中でEXVオリーブオイルの偽物が蔓延しています。
 化学的に精製されたオリーブオイルをブレンドしたものはまだ良いほうで、なかには大豆油や菜種油、ひまわり油にEXVオリーブオイルを少しだけ混ぜて、クロロフィル(葉緑素)で着色しただけの粗悪品もEXVオリーブオイルとして流通し、イタリアンマフィアの資金源になるなど問題となっています。
(略)
 健康に良いと思いながら使っているオリーブオイルは、かえって体に害をもたらす可能性すらあるのです。
 速水さんは、オリーブオイルのみならず、サラダ油を大量に使うことも問題視されています(註1)。サラダ油はオリーブオイル以上に危険性が指摘されています(註2)。速水さんは、油についての正しい知識は持っていないのでしょう。
 タレントとはいえ、食品を扱う以上品質や安全性に対する最新の正しい情報を把握していることが必須で、優れた健康効果もなく、油から摂る必要のないオレイン酸が主成分で高カロリーなだけのオリーブオイルを大量に料理にふりかけるのはやめるべきです。

速水もこみちへのオリーブオイル使いすぎ苦情にイタリアンシェフ「本場では普通」(2017年3月25日週間女性)

 『ZIP!』(日本テレビ系)ではおなじみの、速水もこみちの人気料理コーナー『MOCO'Sキッチン』。毎回オリーブオイルを大量に使う“もこみち流”の斬新な料理が大人気。そんな彼に思わぬクレームが届いたことがネットで話題になったという。

《朝の情報番組に、人気俳優の出ている料理コーナーがある。そこで使われているオリーブオイルの量は、料理一品に対して多すぎるのではないか。オリーブオイルは体に良いものであっても、使い過ぎるとどうなのか。そもそも、安価で簡単に手に入るものなのか疑問だ。視聴者の健康や家計などに配慮するべきではないか》

(略)
 都内にあるイタリア料理店のシェフは、
「本場のイタリアンでは、あれくらいのオリーブオイルを使うことは全然普通ですよ。むしろ作るものによっては、足りないくらいです」
 と速水の肩を持つが、ニュースはひとり歩きし広まった。クレームを送りつける視聴者心理はどんなものなのか。家族問題評論家の池内ひろ美氏に読み解いてもらった。

「相手にミスがあると感じ、自分が正しいと持論が展開できれば、何でもいいのだと思います。速水さんの場合も、健康を盾に取って揚げ足取りをしているだけなんです。現実に自分がオリーブオイルを1本使うことはないとわかっていても、クレームを言えるチャンスを逃さないんです」
 今後については「メディアがいきすぎたクレームに屈して“誤った表現がありました”と謝罪すると、クレーマーにとって成功体験になります。逆に、正当なクレーム以外が放置されるとわかると、つまらないクレームは減っていくと思いますね」と見通す。

とにかくもオリーブ油の豪快な使い方で有名と言ってもいいこの番組、過去にもこの種のクレームはついていると言う話も聞く一方で、最近では以前ほどオリーブ油を使っていないと言う話もあるそうで、それはそれで残念な気もするでしょうかね。
いくつか見た限りでは読者層を反映しているのか、男性向けメディアでは厳しい論調が多く、逆に女性向けメディアではやや抑制的なのかと言う印象も受けたのですが、いずれにせよ基本的に好意的な立場を取る側の人々にとっても別にオリーブ油が好きだとか体に良いだとか言う理由で言っているのではなく、あれはそういうものなのだと言う認識があると言うことですよね。
ただ今回はそうした番組そのものの是非よりもクレームの是非の方に話題が進んでいるようにも見えるところがあって、特に昨今この種のクレームについては何かと話題になりがちですから、そもそも真面目なクレームを笑いものにする風潮は如何なものか言う論調もあれば、あれはああいうものだと判っているのだから突っ込むのは野暮だと言う意見もあるようです。

番組自体は本格的な料理番組と言うよりも、俳優が演じることによりエンターテインメントとして成立させている側面が強い類のもので、その意味ではネタにマジレスと言う言葉がふさわしいのではないかと思うのですが、しかしクレームが付くから中止する、内容を改めると言うことは今の時代ありがちではあり、それがいいのか悪いのかは判断が分かれそうだと言うことです。
有名なところでは某国民的ネコ型ロボット漫画における女の子の入浴シーンが水着姿にされただとか、国民的家庭アニメで若夫婦の寝室に置かれていたティッシュ箱が消えただとか言う話があって、世の中何にでもクレームを付ける人はいるものだと思うのですが、逆にどれだけ批判が殺到しても我が道を逝くメディアもあるわけです。
どちらが正しいのかと言われるとどちらもそれぞれの判断で行われていることなのだとしか言いようが無いと思うのですが、当然ながら世間がそれを見てどう考えどう判断するかと言うこともあるわけで、今回の思わぬ騒動を世間ではどう考えているのかと言うことですよね。

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2017年1月 7日 (土)

既存メディアとネットニュース、どちらも本当であり嘘でもある

日本でもありそうな話ですけれども、先日アメリカでこんな事件が報じられていました。

偽ニュース、ネットで拡散=ピザ店に脅迫や銃撃-大統領選にも影響か・米(2016年12月24日AFP)

【12月24日 時事通信社】米大統領選では、虚偽の情報を記事のように仕立てた「フェイク(偽)ニュース」がインターネット上に広がった。事実と異なる内容を平然と語るトランプ次期米大統領に、そうした偽ニュースが追い風を送ったとの見方もある。今月初めには、デマに基づく銃撃事件が起き、米社会に衝撃が広がった。

 ◇デマ信じ「捜査」

 事件が起きたのは首都ワシントン郊外のピザ店「コメット・ピンポン」。4日午後、半自動小銃と拳銃で武装した男が押し入って発砲した。死傷者は出ず、男はすぐに逮捕された。首都警察によると、男はネット上のデマ「ピザゲート疑惑」を信じ、「私的捜査のために来た」と供述した。
 ピザゲートは、11月8日の大統領選直前から広がったデマだ。「コメットは児童売春組織の拠点であり、民主党候補ヒラリー・クリントン氏が関わっている」という妄想に基づく投稿が、ツイッターや匿名掲示板に拡散した。
 もともとコメットは、クリントン陣営のポデスタ選対本部長らのなじみの店。選挙前に告発サイト「ウィキリークス」が続々と暴露したポデスタ氏のメールに、店名が記されていた。
 10月28日、連邦捜査局(FBI)がクリントン氏のメール問題の再捜査を発表すると、ツイッターには「クリントン陣営が関わるコメットの児童売春が捜査される」とのデマが拡散した。「小児性愛の証拠」と称した画像や資料も次々に投稿され、極右サイト「インフォウォーズ」などがクリントン氏の「犯罪」を糾弾。コメットは脅迫にさらされた。

 ◇トランプ氏側近も

 この問題では、トランプ氏の側近らが偽ニュースをあおったことも表面化している。次期政権の大統領補佐官(国家安全保障担当)に就くフリン元国防情報局長官は11月2日、ツイッターに「警察が新たなヒラリーのメールを告発した。資金洗浄、小児性愛など。読むべきだ」と投稿。フリン氏の息子は銃撃事件後、「ピザゲートは、うそと証明されるまで存在し続ける」と書き込み、批判を浴びて政権移行チームを事実上解任された。フリン氏の投稿は既に削除されている。
 米報道機関や警察はピザゲートをデマと認定したが、コメットの店員は、事件から3週間近くたっても「電話やメールでの嫌がらせが絶えない」と語る。
 ネットでは「オバマ政権が疑惑を隠すため、俳優を雇って偽の銃撃事件を起こし、世間の関心をそらした」といった新たなデマが広がり始めた。ツイッターで「ピザゲート」と日本語で検索すると、陰謀論を肯定する多数のアカウントが、新聞やテレビによる「情報操作」を批判している。

デマの類というのは古今東西人の世の中から消えた試しがありませんが、こうしたネット経由で広く情報が拡散し共有されると言うのが今日的なデマのあり方であり、またその過程でいわゆるソースロンダリング的な行為が行われた結果真偽が判りにくくなっていくと言う効果もあるようで、未だに拡散を続けているデマの類も少なくありません。
興味深いのは記事の末尾にある「陰謀論を肯定する多数のアカウントが、新聞やテレビによる「情報操作」を批判している」なる一文ですが、ネット経由で拡散したデマである以上ネット利用者がその関与の主体であることは明らかだろうし、一般論としてもネット利用率の高い人ほど既存メディアに対する信頼感も薄い傾向はあるでしょうね。
この辺りは既存メディアの方では逆にこうしたネット批判的な記事を展開するケースが多くお互い様とも言えますが、先日は朝日新聞社会部が「相手に十分取材をして、記事を書く。そんな当たり前のプロセスが存在しない」とネットメディア批判と受け取られるつぶやきを発したところ「お前が言うな」の大合唱が起きたように、既存メディアとネットとはしばしば対立的な関係にあるように見えます。

今やニュースはネット経由でと言う人が新聞と肩を並べるほどだと言い、興味深いのは若年世代のみならずいわゆる情弱とも言われてきた60代ですらネットニュース利用率が過半数に達したと言う点、そして新聞を読まない人ほどネットニュース利用率が高いと言う点が指摘されています。
他方で若い人ほど既存メディアの代表格である新聞への信頼度は低く、50代以上ではおおむね4割であるのに対して若年層ではわずか2割ほどだと言うことですが、この辺りは調査方法や対象者選定によるバイアスが非常に大きいようで、既存メディアでしばしば取り上げられるのは新聞など既存メディアは高い信頼を維持していると言う調査結果に偏っているようです。
先日はローマ法王が誤った情報を拡散することは「メディアができうる最大の加害行為」と語ったと報じられ、特に冒頭の記事のような行為は罪であると批判したとも言いますが、媒体の種類を問わず誤報や捏造は常に発生し得るものである以上、その後にどのような対処を取るのかと言う点も信頼度の判断における一つの目安になるのでしょうか。

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2016年12月31日 (土)

ネット通販が業務拡大し宅配便サービスが破綻する日

年の瀬で忙しい最中、このところ労基署が仕事をしていると世間で報じられ注目されているのは周知の通りですが、一方で大変な過重労働にあると言われるのがこちらの業界で、その背景には特定顧客関連の業務の激増が大きな理由となっているようです。

「アマゾン多過ぎ」ヤマトドライバーから悲鳴続出、「利便性」が生んだ過酷な実態(2016年12月28日弁護士ドットコム)

あるセンターの前に出されたカゴ台車。Amazonの箱が複数目に入る
「12月に入って、3キロも痩せました」。首都圏のヤマト運輸に勤めるAさんは、入社10年以上のベテランセールスドライバー。体重が減るのは、長時間の肉体労働に加え、昼食の時間が取れないためだ。
「荷物が多くて、まとまった休憩が取れません。12月は、お歳暮、クリスマス、おせちと1年で一番忙しい。朝7時半から夜11時くらいまで働いています
実質的な時間外労働は「過労死ライン」と呼ばれる月80時間前後。「僕だけでなく、大半がそんな感じで働いているんです」
(略)
Amazonの配送はもともと佐川急便が受け持っていた。ところが、運賃の値上げ交渉が決裂し撤退。入れ替わりで、ヤマトが2013年から参入した。現在、Amazonの配送はヤマトを中心に、日本郵便や「デリバリープロバイダ」と呼ばれる中小企業などが受け持っている。
佐川が撤退するような運賃でもヤマトが手を挙げたのは、佐川とのビジネスモデルの違いが大きい。佐川の宅配便の多くは、下請け業者に代金を払って届けてもらっている。これに対し、ヤマトはほぼ自社ドライバーで届けることができる。配達効率を上げれば、利益が出る
しかし、目論見に反して、現場はパンク寸前だという。前述のAさんは次のように証言する。「この1年で周りのドライバーが10人ぐらいやめました。下請けの人にお願いして凌いでいるけど、社員自体はなかなか増えない。この間も、体験入社の子を1日、トラックの助手席に乗せたところ、『仕事が慌ただしすぎる』と言ってやめてしまいました」

●「送料無料」を求める消費者

Aさんはこうも述べる。「Amazonについて言えば、会社(ヤマト)が安く仕事を取って来て、現場に押し付けているという感覚です。そもそも『送料無料』は厳しいと思います。最近は、米や水など重いものもネット通販。消費者の方も『送料=手間賃』だと思ってもらえないでしょうか…」
送料が無料なのはAmazonだけではない。急速にシェアを伸ばしているヨドバシカメラなどもそうだ。野村総研が2016年に発表した「買い物に関するアンケート調査」によると、「ネットショップを選ぶ際の必須条件」は、「送料が安いこと」が約70%で、「価格の安さ」を上回る1位だった。送料無料の背景には、消費者の強い要望がある。
適正な送料をいただければ、給料も上がるし、人も増えると思うのですが…。ダッシュボタンも出て、これからAmazonやネット通販の利用はもっと増えますよね。肉体労働ですから、今のままでは、あと何年体がもつか、まったく先が見えません」

●「労働時間の削減」がかえってサービス残業を生む

ヤマトは今年8月、横浜市にある支店が労働基準監督署からの是正勧告を受けた。問題視されたのは、(1)休憩時間が法定通り取得できていないこと、(2)時間外労働に対する賃金が支払われていないこと。
労基署に窮状を訴えた元ドライバーによると、労働時間を短縮するための取り組みが、かえってサービス残業を生み出していたそうだ。
ヤマトの労働組合は、会社との協定で労働時間の上限を決めており、上限は年々短縮されている。しかし、業務量は増える一方。サービス残業しないと、仕事が回らない状態だったという。
ヤマトの社員ドライバーは5年前から約4000人増えて、およそ6万人。しかし、荷物の増加に追いついているとは言いがたい。単純計算だが、この間、社員ドライバー1人当たりの宅急便の件数が年3000件以上増えているからだ。
(略)
今年はクリスマス期間中に、佐川急便に大規模な遅配が発生し、大きな話題になった。ネット通販で生活は飛躍的に便利になったが、運ぶのは「人」だ。宅配便の増加に、業界が耐えられなくなって来ている
とはいえ、Amazonをはじめ、ネット通販の便利さを手離すことは難しい。Aさんに尋ねてみた。「利用者として最低限できることはなんでしょうか」。返って来た答えは、次のようなものだった。
「僕も『利用者』なんで、あんまり偉そうなことは言えません…。時間指定して、その時間必ず家にいてくれる、それだけでもだいぶ違います

不肖管理人も熱帯雨林を始めとするネット通販のユーザーですが、確かにあまりに小分けで送ってきてもう少しまとめてくれればいいのに…と感じたりだとか、小さな荷物が巨大な箱に入れられていて無駄が多く面倒だと感じることもあるのですが、ああしたものも配送が遅いだとか封筒では中身が破損する等々、それぞれユーザーからのクレームに対して順次対処していった結果なのでしょうね。
記事中にもある佐川撤退の顛末は以前にも紹介したことがありますが、基本的には送料無料だとか即日配送だとか利便性を求めるユーザーの声が運送業界の現場負担になっていると言え、下請けにツケを回さずにどこかの誰かがきちんと業務やコストを負担すればと言えば言えるのですが、では誰が負担すべきかと言えばそれは結局ユーザー自身であるとしか言えません。
近年運送業界の人手不足と高齢化が問題になっていて、いずれ運賃体系なども大幅な見直しを強いられることになると思いますし、そうなれば利用車側としても送料無料が当たり前と言う感覚を改める必要が出てくると思うのですが、一方で当事者である通販大手の方では最近こんなことを言い出しているそうです。

Amazonは空飛ぶ倉庫とドローンの編隊でフルフィルメントと配達の一式を空挺化へ(2016年12月29日テッククランチ)

Amazonは2013年から、ドローンによる配達に挑戦している。でもAmazonの最近の特許申請文書をよく見ると、Amazonが考えているのは単純に品物をドローンで運ぶだけでなく、フルフィルメントセンター全体を“空飛ぶフルフィルメントセンター”にしてしまう、という大規模な構想であることが分かる。つまりそれは、倉庫のツェッペリンだ(上図)。

この空挺型フルフィルメントセンター(airborne fulfillment centers, AFC)は、特定の品目の需要が近く急増する、と予想される地区の上空に、一定量の在庫を積んで停泊する。
このAFCには、食品の配達に適した冷蔵冷凍タイプも含め、各種のドローンが付随し、客が指定した日にち時間のスケジュールに基づいてAFCから送り出される
特許文書には、実際の例としてスポーツのイベントが挙げられている。今、下の方では、何かの種目の全国大会の決勝戦が行われているとき、上空のAFCにはスナック類や、スポーツファンが殺到する記念品が山のように積まれている。
さらにその文書は、AFCは音声や垂れ幕などによる広告媒体にもなりうる、と示唆している。

また、空輸配送を可能にするための複雑なネットワークシステムにも、言及されている。
空飛ぶフルフィルメントセンターや、それが装備するドローン船隊に加え、Amazonはさらに、人間や各種サプライやドローンたちをAFCの近くまたは地上に運ぶ、大型シャトルも構想している。
大型シャトルがドローンをAFCへ運ぶ、という形では、ドローンのエネルギー(電池)が現場での配達だけに使われる。
もちろん、この空挺型システムの全体が、Amazon全体としての在庫管理システムのサブシステムになる。そしてこのサブシステムを、空中や地上から適切なソフトウェアとリモートコンピューティングリソースが制御し管理する。
そしてシャトルや飛行船やドローンは、配達のために空を飛ぶだけでなく、全体がメッシュネットワークを構成して各種の情報を連絡しあう。たとえば天候や風の予報から、互いに、その日その時間帯の最適ルートを教え合うだろう。また地上でeブックを読んでいる人のためにコンテンツを送信することもできる。

文書に記されているこれら大小さまざまな構想がそれぞれ、今どれぐらいの開発段階にあるのか、テスト、あるいはローンチの予定はいつごろか、などについてAmazonに問い合わせている。AFCの巨大飛行船は、いつどこで、初お目見えするのだろう?
Amazonはまだ、何も答をくれない。

何とも空想的と言うことも出来そうな壮大すぎる計画に思えるのですが、実際にドローンによる配送はすでに行われ1時間どころか30分以内の配送も試みられているのだそうで、法律の整備が追いつかないほど急速に発達しつつあるそうですが、今回の件もいずれ本気で実用化しようと考えていると言うことなのでしょう。
実際にこうした配送が行われるようになればもちろん配送のための人員や手間が減るのはもちろんですが、ドローン配送の性質上その場にいて受けとらなければならないでしょうから再配達のリスクも大きく減少すると思われますし、当然配送のためのコストや機材は顧客とアマゾンが負担することになり多少なりとも料金負担の公平化が図られそうですね。
問題は世界的に見てももっとも宅配便サービスが発達した日本に関して言えば、これだけの人口密集とドローン離着陸に適した空き地の少なさ、街中での電線の多さなど様々な障害も予想されると言うことなのですが、近所のコンビニで受け取る代わりに近所の空き地で配送を待つと言うスタイルがいずれ日本でも定着するのでしょうか。

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2016年12月24日 (土)

その答えは仕事ではなく遊びだから?

このところ違法な長時間労働を強いていたとして各方面でブラック企業と糾弾される向きが増えているようですが、そんな中でこんな発言が話題になっていました。

エイベックス松浦氏が労基署の是正勧告を受けコメント 「時代に合わない労基法なんて早く改正してほしい」(2016年12月22日キャリコネニュース)

エイベックス・グループ・ホールディングスが、社員に違法な長時間労働をさせていたとして、12月9日に三田労働基準監督署から是正勧告を受けた。これを受けて、同社の代表取締役社長の松浦勝人氏が22日、自身のブログで労働基準法についての持論を展開した。

毎日新聞の報道によると、同社は三田労基署から、社員の実労働時間を管理していない、長時間残業をさせている、残業代を適正に支払っていないなどと指摘され、9日付けで是正勧告を受けた。
これを受け、松浦氏は22日に自身のブログを更新。「労働基準法 是正勧告とは」と題された記事で、持論を展開した。
松浦氏は、是正勧告を「真摯に受け止め対応はしている」としながらも、「労働基準監督署は昔の法律のまま、今の働き方を無視する様な取り締まりを行っていると言わざるを得ない」と反論する。
2015年に労働基準監督署が指導した8500の事業場のうち、「75%以上が何かしらの違反とみなされている状況」を挙げ、「そもそも法律が現状と全く合っていないのではないか」と指摘。また音楽業界では、「好きで働いている人が多い」のだから、長時間労働を抑制するのはいかがなものなのかと苦言を呈している。

    「僕らの仕事は自己実現や社会貢献みたいな目標を持って好きで働いている人が多い。」
    「(長時間労働を抑制すると)自分の夢を持ってその業界に好きで入った人たちは好きで働いているのに仕事を切り上げて帰らなければならないようなことになる。」
    「好きで仕事をやっている人は仕事と遊びの境目なんてない。僕らの業界はそういう人の『夢中』から世の中を感動させるものが生まれる」

音楽業界などで働く人々は夢を持って、好きで働いているのだから、好きでしている長時間労働を抑制しないでほしいというのだ。
そして改めて「時代に合わない労基法なんて早く改正してほしい」と、労働環境の改善ではなく、労働基準法の改定の方を主張している。

今回同社が労働是正勧告を受けたことに関して、ネットでは、

    「労基はどんどんあぶり出していってほしい
    「ユニクロ、電通に続きエイベックスも労基調査入りか。こうやって大手からどんどんブラック企業がなくなればいいのに。」

と労基署の対応を支持する声が出ていた。
ただ一部からは「エンタメ業界は労基法を守っていたら成り立たない」という声も。エイベックスだけに留まらない、業界全体の問題もあるのだろう。いずれにしても、「世の中を感動させるもの」を生み出す人々が快適に働けるようになるになるためには、まだ時間が掛かるのかもしれない。

当然ながらあまり好意的な反応を持って迎えられたとは言えないこの発言、現場労働者が言うならまだしも働かせる側の社長が言うのはアウトだろうとか、労基法がない時代そのままの旧態依然の労働を強いる経営者だとか、様々な意見が続出しているのはまあ仕方がないところなのかも知れませんね。
実際に現場で働いているスタッフにアンケートなりを取ってみれば松浦氏の主張が正しいかどうか判りそうですが、実際には「仕事が遊びで遊びが仕事」が持論だと言う松浦氏の会社からは新卒入社の3-4割が入社5年以内に辞めていくのだそうで、少なくともエンターテイメントとして社員にあまり上等なものを提供出来ているようには思われません。
その他にも松浦氏については様々な好ましからざるスキャンダルが報じられているようで、反社会的な考え方に基づいて社員を酷使しなければやっていけない業界なのか、それとも松浦氏だけが際立って異常なのかは何とも言えませんが、いずれにしてもそうした状況にある同社なり業界なりのあり方の方に問題なしとはしないだろうと言う意見が多数派を占めているようです。

ただ注目したいのはこうした報道においてしばしば雇用者側から同じように「社員はもっと働きたがっている!」「画一的な法律で社員のやる気を削いで良いのか!」と言ったコメントが出ることですが、特に「労基法を守っていたら仕事が成り立たない」式のコメントはどこの業界でも同じように出てくるものですよね。
ただこうした労働量の管理を何故うるさく言うようになってきたかと言えば、その線を超過していると心身の健康を損ない結局は仕事の質も効率も落ちていくと言うことが背景にあるのですから、特に絶対に失敗の出来ない重要な仕事を任されている業界ほど労基法を守らなければならないだろうし、実際に旅客機パイロットなどは非常に厳重な労働規制を敷いていると言います。
一方で某業界のように「法律を守っていては」云々と言い訳をしながら長時間連続勤務を日常的に行っている業界もあるわけですが、これについても現場からはどんどん摘発してもらった方が、異常な労働環境が長年習慣的に続いてきたものがさっさと正常化していいと言う声も出てきていますから、いずれにしても労基署が手心を加える必要はなさそうだと言うことですね。
しかし松浦氏を始め世の社長さん方がどのような理由や原因によって労基法の基準を超えた労働を現場に強いることになったとしても、残業代も支払わずただ働きをさせることへの弁解には全くならないんじゃないかとは思いますけれども、業界のあり方については御高説を垂れても何故決められた給料も払わないかと言うシンプルな問いについてはまともに答えてくれないのでしょうかね。

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2016年12月20日 (火)

席につけば取りあえず出てくるあの一品がまたしても話題に

ご存知のように当「ぐり研」はお食事会系ブログを称しておりますが、そんな立場上見過ごせないこんな興味深い議論が出ていました。

お通し、「日本人でもあれは困惑」 「外国人トラブル報道」機に議論再燃(2016年12月9日J-CASTニュース)

   沖縄を訪れる外国人観光客が居酒屋の「お通し」に困惑していると地元紙が報じ、ネット上で「お通し」そのものの是非にまで議論が盛り上がっている。

沖縄の飲食店で会計時のトラブルが多発

   記事によると、沖縄でグルメ体験目的の外国人観光客が増え、沖縄観光コンベンションビューローに「お通し」やテーブルチャージなどの問い合わせが寄せられるようになった。メニューに料金の表示がなかったとして、飲食店で会計するときにトラブルが多発しているというのだ。
(略) 
   この記事内容については、ネット掲示板などで話題になっており、「お通し」そのものについて賛否が分かれる議論になっている。

   「お通し」に賛意を示す意見としては、「それが異国文化ってやつ」「郷に入れば郷に従え」「チップ代りだと思っとけば?」といった声があった。ただ、外国人には分かりにくいことから、「お通しの説明をエントランスに表示したらいい」「入場料とか席料取って、お通しはサービスって方が納得いく」などの提案も出ていた。
   一方で、「お通し」に否定的な声も多く、「日本人でもあれは困惑するわ」「頼んでないものを出すのはどう見てもオカシイ」「お通しはほんとやめてほしいな」という疑問や批判が相次いでいる。

ヤフー意識調査では、7割が否定的な回答

   「お通し」について、立教大学法学部の細川幸一ゼミが2014年1月にまとめた調査によると、学生が訪れた居酒屋チェーンの半数で「お通し」を断れず、ネットアンケートでは値段について約7割が「高い」「やや高い」と答えていた
   これはニュースでも報じられ、ヤフーが直後に「お通し」がどうあるべきか意識調査をしたところ、「無料で出してほしい」「無料でもいらない」と答えた人が約7割にも達した。「今のままでよい」は1割強に留まっていた。
   また、Jタウンネットでは、15年11月15日付記事で、居酒屋チェーン各社に客から「お通しいらない」と言われたときにどう対応するかを取材した結果を表にまとめている。5社は「お通し」カットが可能だとしたが、養老乃瀧は「基本的に対応しない」、つぼ八は「アレルギーがある場合などで対応」と答えていた。
   そこで今回、養老乃瀧の広報担当者に、J-CASTニュースがあらためて取材すると、「アレルギーで食べられないときなどは、別のものに変えられます」と話した。外国人に対しては、英語と中国語のメニューを用意して、「お通し」の説明も載せているとし、トラブルは聞いたことがないという。「お通し」については、「料理が出てくるまで、『酒の肴』として楽しんでもらうおつまみです。アルコールを飲む人だけに付けており、テーブルチャージとは違います」と説明した。
   つぼ八の広報担当者は、アレルギーがある場合などで「お通し」カットできると、Jタウンネット記事の時と同じ説明をし、アルコール注文のときだけ「お通し」を付けているとした。英語や中国のメニューでは「お通し」に触れていないが、外国人の来客は少ないため、トラブルは聞いていないという。

ちなみに元記事となっているのはこちら、12月6日付琉球新報の「「お通し」って何? 外国人客のトラブル増 沖縄、店に「多言語化」呼び掛け」なる記事ですが、沖縄に限らず、外国人脚に限らずこの種のトラブルは以前からたびたび発生し、そのたびにネット上ではちょっとした議論が繰り返されてきたものです。
記事を読んでいて興味深いのは大手チェーン担当者のアルコールを飲む人だけに付けている、テーブルチャージとは違うという説明ですが、もちろん日本全国同じルールで運用されているわけではなく、実際にはお金を取るかどうかも含めて各店毎に対応はまちまちであると考えてよいのでしょう。
ただ語源的に言えばお通しとはお客を席に「お通し」し注文を帳場に「遠し」たと言う印だったと言い、喫茶店で注文を取る際に水とおしぼりを持ってくるのと同様料金外の行為だったそうなのですが、それに対してお金を取るようになったことの説明としてしばしばテーブルチャージであるとされてきたのもまた事実ですよね。
ちなみに関西圏で言うところの「つきだし」もほぼ同義で必ず突き出すから突き出し、あるいは料理に付いて出てくるから付きだしと諸説あるようですが、こちらもお通し同様有料扱いのお店もあれば無料のお店もあり、また断れる場合もそうでない場合もあると言う点は共通であるようです。

このお通し問題、いくつかの議論が錯綜するのが常なのですが、一つには頼んでもいないものを勝手に出してお金を取るのはケシカランと言う意見、そして一つには欲しくもないのに断れないとはおかしいじゃないかと言う意見、そしてそもそもあまりにひどいレベルのお通しが多いと言う意見におおむね集約される印象です。
デフレ時代で各店とも一円でも安くとしのぎを削っている中で、やはり注文外の品で勝手にお金を取るのはどうなのかと言う意見はもっともですし、正直安さが売りの大衆店で有料でお通しもどうなのかと思わなくもないのですが、この点に関しては店側もはっきりテーブルチャージである等々明示しておくべきかと思いますね。
その点とも関連して断れないと言うことへの不満ですが、もともと勝手に料理を出しお金を取るのは法的にはグレーゾーンであるものの、社会的に認知されているから違法とは言えないと言う説もあるそうで、今回外国人客からクレームが出たと報じられたのはなかなか示唆的な話だとは思いますね。
売値時価のお店ならともかく、他の料理に関しては明朗会計を貫いているのにお通しだけ不明瞭なのは外国人ならずとも違和感を覚えるところでしょうが、特に居酒屋スタイルと言うものは好きなものを好きなだけ頼める点が外国人に受けているのだそうで、そういう意味でもクレームを受けやすい下地はあったと言えそうです。
いずれにしてもお通しはそういうものと暗黙の了解を前提にやっていると店側も余計なトラブルを招く覚悟はしておくべきだと言う話なんですが、やはりお金を取る以上はそれに見合った中身を期待したくなるのは当然ですから、あまりにお粗末なお通しを出すお店が少なからずあると言う現実にもお店側は留意いただきたいところです。

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2016年12月17日 (土)

事実に対する解釈をどう考えるべきか

あまり社会的に歓迎されない事実と言うものは時に黙殺されたり曲解されたりするものですが、先日読んでいて非常に難解な印象を受ける記事が出ていました。

子の学力と親の経済力、相関関係があるって本当?(2016年11月19日NEWSポストセブン)

L25世代が結婚を考える時お互いの経済力は気になるもの。自分たちの生活の安定が叶うかもポイントですが、将来子どもが生まれた時に「良い教育を受けさせたい」と思うと、相手にある程度の年収を求めるか、自分が仕事を続けるか…悩んでしまうのは致し方ないことかもしれません。
現に、親の年収と子どもの学力に相関関係があるとする調査もあるようです。お茶の水女子大学「平成25年度全国学力・学習状況調査」の「世帯収入(税込年収)と学力の関係」によると、たとえば小6国語Bの学力テストの結果をみても、親の年収300万円から400万円の場合は45点であるのに対して、800万円から900万円は57.6点と大きく開きがある結果に。必ずしも直線的に比例はしないものの、「概ね世帯収入が高いほど子どもの学力が高い傾向が見られる」と報告されています。
こうした“格差”はなぜ生じてしまうのか、子どもの教育格差解消を目指す活動を展開する、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事の今井悠介氏に聞きました。

「子どもの学力が親の経済力に左右される理由は明確になっておらず、所得のみで切り分けられることでもないとは思います。しかし、所得が低いほど教育費の負担と子どもに様々な“体験”をさせることが難しく、それが何かしら子どもの学習に影響を与える可能性は否定できないでしょう」(今井氏、以下同)
とはいえ、日本には義務教育の制度があるため、裕福ではない家庭環境でも子どもの努力や資質次第で、高い学力を身につけることもできるのでは?
「もちろんそういう子もいます。しかし、先ほどのお茶の水女子大学の調査によると、親が『高学歴・高所得』で全く勉強していない児童と、『低学歴・低所得』で毎日3時間以上勉強している子を比較すると、学力テストの正答率は前者の方が上回っていました。この結果からみても、学校外で3 時間以上勉強しても、学力テストの成績を追い越すことが難しいほど、学校+αの体験が与える影響は大きいようです」

実際に、学習費における「学校外活動費」(学習塾、習い事などへの支出)はかなりの割合を占めています。
「平成26年度の文部科学省の『公立小学生の学習費内訳』を見ると、学習費総額に占める学校外活動費の割合は68.2%にのぼっています。経済的・社会的な環境のよい家庭の子どもは、学校で埋められない学習や様々な体験の機会を多く得ることができるため、理解力が高かったり、効率的な学習の仕方を習得したりしている可能性があり、勉強時間の長い低所得家庭の子どもと同等の成績がとれるのかもしれません。あるいは、社会的・経済的な環境のよい家庭ほど、親などの周りの大人が子どもの家庭学習を見られる状況にあるといったことも考えられるでしょう」

同じように義務教育を受けていても学力に差が出てしまう理由に、学校以外の体験が大きく影響する理由は、子どもの“個性”にあるといいます。
「公教育は、経済状況を問わず平等に教えることができる場です。これ自体は、良いことですし、とても重要な役割を担っているのですが、一方で、子どもたちの家庭背景が様々である以上、子どもの能力などによって、一人ひとりの学びに個人差が出てきてしまうのも確か。多様な個性や能力を持つ子どもに対して、ひとつの教育手法でアプローチすることで、当然そのやり方がフィットせずに自己肯定感が低くなり、落ちこぼれてしまう子も出てきてしまう。公教育の必要性は全く否定しませんが、多様性を活かす意味では、現状では難しいシステムだと思います。その多様性や個別的なサポートの部分を補っているのが、民間の教育事業者です。そのため、そこに費用を割ける家庭の子どもが、学力という面でも有利になると言えると思います」
この不平等さは解消されるべきだという今井氏。いまの日本の教育事情に照らし合わせると、残念ながら、少なからず親の経済力が子どもの学力に影響を与えると言えそうです。

今井氏のコメントは何かしら非常に理解しにくい珍妙な解釈と言うのでしょうか、正直何を言っているのか判らないとしか言いようが無いのですが、普通に考えたらいくら教育環境を良くしても元々の素因がない人間には教育効果は乏しいと言う単純な話ではないかと言う気がしますがどうでしょうね?
ちなみにこの記事を見ていて興味深いと思ったのは、親の学力云々を無視してひたすら親の経済力に帰結させようと言う論調ですが、一般論として言えば日本社会では学歴の高い方が高収入を得るのに有利であると言う傾向がありますから、平たく言えば親の学力が高ければ子も容易に高い学力を示しやすいと言う素質があると言えそうです。
もちろん例外は幾らでもあるにせよ、地頭の良さと言われるものに遺伝的要因が大きな影響を与えていることは近年様々な方面から証拠付ける話が出てきていて、おおむね遺伝と環境の知的能力に与える影響力は少なくとも2:1~3:1くらいになりそうですが、しかし毎日一生懸命勉強しても追いつけないと言うのは正直かなしい話ですし、そうであるからこそ一部方面からは表立って認められがたいと言うことなのかも知れませんん。

いわゆる頭の良さと言うことに関しては何を以て定義するかと言う問題もありますが、一つの目安として主に機械的記憶力や単純反復過程を効率的にこなす能力が評価出来るペーパーテストも案外悪くないのではないかと見直す風潮があって、特に一定のルールに従って努力すればある程度努力に相関した成果が挙げられると言うことが近年肯定的に評価されてもいるようです。
ただそうは言っても同じ成果を挙げるのにも効率の良い人とよろしくない人がいることは経験的にも知られていることですが、やはり学力についても元々の素材の善し悪しが成果の絶対的評価に大きく影響すると言うことになれば、教育関係者としてはどうやって学生学童の勉学に対するモチベーションを維持させられるかと頭を悩ましそうですね。
この種の話で思い出すのが旧共産国で政治的要因から獲得形質遺伝説が熱心に支持されたと言う歴史的逸話ですが、今の時代の日本では何であれ違うと言うこと自体は優劣ではなく単なる個性であると言う考え方が主導的になっていますから、学習効率に個人差があると言うことも優劣ではなく単なる個性として認識されればそれでいいのではないかなと言う気がします。

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2016年12月10日 (土)

時折見かけるあの集会の謎が一部解明?

日常的に経験することでありながら意外と理屈が判っていないことと言うものはあるものですが、先日こんな記事が出ていました。

謎が多い「猫の集会」 無理に解散させる必要はなし(2016年12月1日NEWS ポストセブン

 多くの人にペットとして親しまれている猫だが、その行動についてはまだまだ謎が多い。そのひとつが「猫の集会」富山県に住むパート勤務のESさん(45才)から、こんな相談が届いた。
「夕方、自宅の裏の空き地に10匹あまりの猫がよく集まっています。一緒に遊ぶわけでもなく、ただ座っているだけです。一体、何をしているのでしょうか? 無理に解散させない方がいいのでしょうか?」
 この相談に対して、東京港区に猫専門動物病院「Tokyo Cat Specialists」開いた国際猫学会ISFM所属の山本宗伸さんが回答する。

 公園や駐車場、路地裏などに集まってくる猫たち。この“猫の集会”に関して、動物行動学の教科書には、「縄張りの中立地に地元の外猫が集まり、約4mの距離を保ち、緩やかな円を描いて座る」と記述されています。
 集会は、夕方や夜に開かれることが多いようです。数時間続くこともありますが、基本的に猫同士の接触はなく、終わるとそれぞれの縄張りに帰って行きます。鳴いたり、威嚇行為などもありません。
 なぜ集まっているのか、動物行動学者でさえも、その謎を解明できていません。しかし、わざわざ集まるのですから、意味があるのでしょう。ですから、誰にも迷惑をかけていなければ、解散させない方がよいでしょう。
(略)
 猫の社会では体の大きなおす猫が支配的な振る舞いをすることはあっても、犬や猿のような絶対的なリーダーは現れません。ですから猫の集会は、地域の猫同士の顔合わせのようなものと考える方が適当ではないでしょうか。
 稀に親子で集会に参加する猫たちの姿を見かけます。近隣地域で新しい家族が増えていないか、反対に長老猫が元気にしているのか、確認しているのかもしれませんね。
 いずれにせよ、猫の集会は謎に包まれています。ぜひ一度猫のフリをして紛れ込んでみたいものです。

個人的にはたまたま裏通りを歩いていてそうした場に遭遇したことがあるのですが、確かに何をするでもなくただ集まってのんびりしていると言う様子で、何かしら集まること自体に意味のある行為なのでしょうかね。
興味深いのはより集団的な生き物であるイヌにおいてはそうした行為があまり話題にならないと言うことですが、特に日本の場合ネコは放任されていてもイヌは基本的に拘束されているわけですから勝手に集会も何もないもので、多くのイヌを自由に行動させていると集会めいたことをしている場合もあるようなのですが、ただしこの場合もどうやらネコのようにじっと寝そべっていると言うことはないようです。
いささか話が脱線しましたが、ともかくもネコ同士のコミュニケーションの一環としてそれなりに重要な意味があるのではないかとも推測されるこのネコの集会と言うものについて、その意味合いの一端をうかがわせるこんなニュースが話題になっていました。

猫の恩返しかな? 野良猫を会うたびに撫でていたら猫の集会に招待される(2016年12月06日BIGLOBEニュース)

可愛がっている野良猫に導かれ、猫の集会に参加したという不思議な出来事が、Twitterで話題を呼んでいる。

猫を飼い、猫ブログも運営している猫マスターの響介さんは、ランニング中に見かける人懐っこい野良猫を会うたびに撫でていた。この日もいつものように撫でていたところ、猫は突然立ち上がり、響介さんのほうを見てゆっくりと瞬きをした。愛情表現と感じ取った響介さんが同じように瞬きで返すと、猫は「ちょっとついてきて」とでも言いたげに、チラチラと振り返りながら歩き出した

そして、猫に導かれるように辿りついたのは猫たちの集会。約10匹の猫たちが空き地の思い思いの場所でのんびりし、案内してきた猫も「まぁゆっくりしてってや」とでもいいたげな顔で寝転んだ。集会といっても、特に遊んだりはせず、猫は一定の距離を保ち寝ているだけ。響介さんも同じようにまったりと過ごしたのち、猫たちの集会は日暮れとともに解散となった。後日同じ場所に出向いたところ、その場にいた猫たちが、響介さんのもとに寄ってきてくれたという。

Twitterには、「噂が広がってみんな撫でて貰いたかったんでしょうね」「次は猫の国に連れ込まれて、嫁入りですね」「『猫マスターと秘密の集会』映画になりそうです」といった声が寄せられ、2万5千回以上リツイートされている。

かなり主観的な部分も入り込んでいるようなのですが、これが本当のことだとすれば非常に興味深い話で、ネコの集会なるものがお互いに何かしら仲間意識を高めるために開かれているものなのか?とも推測されるところです。
しかしこうした行為は人間世界では全く珍しくないことで、ただ何となく友人同士集まってごろごろしていると言うことは誰でも経験したことがあるでしょうから、そう考えるとネコもかなり高度な社会性を持った生き物なのだろうなとも思えてきますね。
いずれにしてもネコの集会に招かれると言うことは相当にネコ社会からも受け入れられていると言うことだと思いますが、これもお互いの信頼関係あってのことで、招かれてもいないのにネコ集会に乱入するようなことは全く歓迎されないのは言うまでもないことですね。

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2016年12月 7日 (水)

何故かいまさら今年の流行語大賞が炎上

年末と言えば今年のまとめ的な話題には事欠きませんが、毎年この時期に発表され特に大きな話題にもならず消えていくあれについて、何故か今年は大いに盛り上がっているようです。

流行語大賞で「日本死ね」を表彰したユーキャンが炎上、Wikipediaページを書き換えられてしまう(2016年12月2日Buzzニュース)

「新語・流行語大賞」に「保育園落ちた日本死ね」がトップ10に選ばれ、民進党の山尾志桜里議員が満面の笑みでこれを受賞したことにユーキャンが炎上しています(画像はWikipediaより)。
「新語・流行語大賞」は「『現代用語の基礎知識』選 ユーキャン新語・流行語大賞」が正式名称である通り、通信講座で知られるユーキャンの名前が冠されているため、今回「日本死ね」が流行語大賞の一つに選ばれたことに対する批判が同社にも殺到しています。
ユーキャンのTwitterアカウントには多くの非難が寄せられており、「日本死ね」に流行語としてお墨付きを与えた選考委員と共に厳しいコメントが相次いでいます
(略)
またユーキャンのWikipediaページは何者かによって12月2日19時現在、このように書き換えられており、怒りの激しさを窺わせています。「株式会社ユーキャン死ね


やく氏「日本死ね」問題に反論 流行語選考に「過激」「穏当」関係なし(2016年12月5日デイリースポーツ)

 漫画家で、ユーキャン新語・流行語大賞の選考委員を務めたやくみつる氏(57)が5日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」の電話取材に応じ、「保育園落ちた日本死ね」がトップテン入りしたことに嫌悪感を示している意見があることについて「過激だとか穏当だとか、言葉を選ぶ時になんの尺度にもならない」と訴えた。

 番組では、今年の流行語大賞トップテンに「保育園落ちた日本死ね」が選ばれたことに、タレントのつるの剛士が「悲しい気持ちになった」などとつぶやき、議論がわき起こっていることを特集。ツイッターや街の声を取り上げ「もう少し明るい言葉がいい」「強い言葉だから響いた」など、賛否両論あるとした。

 それを受け番組では選考委員のやく氏にインタビュー。やく氏は「私も当時は嫌悪感を示した方」だったとしたが、「それとこれとは話が別」とキッパリ。「流行語を選ぶにあたって、過激だとか穏当だとか、選ぶ時に何の尺度にもならない。むしろ、こういう言葉は流行語大賞でなければ拾い得ない」と、必要であれば“死ね”など過激な言葉が選ばれることもあるとした。
(略)

鳥越俊太郎氏 流行語大賞トップ10入り「日本死ね」を分析「母親の怒りの言葉」(2016年12月5日ライブドアニュース)

5日放送の「白熱ライブ ビビット」(TBS系)で、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏が、「流行語大賞」トップテンとなった「保育園落ちた日本死ね」に対し、「怒りの声」だと指摘した。

1日に「2016ユーキャン新語・流行語大賞」が発表となり、「日本死ね」がトップテンに選ばれた。この「日本死ね」とは匿名ブロガーが保育園の抽せんに落ちた怒りを綴ったエントリー記事に由来するもので、マスメディアでとりあげられるなど当時大きな反響を呼んでいる。
この受賞結果に対し、タレントのつるの剛士が自身のTwitter上で「なんだか日本人としても親としても僕はとても悲しい気持ちになりました」と嘆くなど、疑問視する声も上がっている。番組独自のアンケートでも、「日本死ね」を「流行語大賞」のトップテンに選んだことに「反対」する声が77%に達し、「賛成」の23%を大きく上回っている

昨年まで「流行語大賞」審査委員長を務めた鳥越氏は、「日本死ね」のトップテン選出に賛成と回答した。「日本死ね」がショッキングな言葉ではあると認めながらも、日本の待機児童の問題はこうした言葉を使わざるを得ないほど深刻な状況になっており、政府や自治体はこの問題になんら有効な手立てを打ってこなかったとコメント。
そして、鳥越氏は「それに対するいち母親の怒りの言葉が、『死ね』という表現になっているわけです」「だから、『死ね』という言葉だけに引っかかってしまっちゃ、その全体を見誤ってしまう」とも指摘した。「日本死ね」は「日本の今年の実相を表す言葉」だというのだ。
(略)

この元ネタである「保育園落ちた日本死ね」なる一連の発言に関しては、そもそも発言内容自体がネット上で散々批判を浴びたと言う経緯があり、今回ネット上でよほどに評判が悪かったのも流行語大賞云々以前に元発言に対する反感の方が大きかったと言えるのかも知れません。
まあ改めて字面を見てもネガティブな言葉であることには間違いなさそうであるし、正直あまり気分のいいものではないと考える人がこれだけ多かったと言うことも注目すべきところですが、選考自体はしょせんは一企業がやっていることなのですから社内なりの基準に適合したと言うことであれば部外者が文句をつけるべき事ではないんだろうとは思います。
ただ今年の流行語大賞に結局選ばれた「神ってる」なる言葉にしても、そもそもどこの世界で流行っていたのか?聞いたことがないと言う人が非常に多かったようで、国民全ての共通認識として存在するものが次第に少なくなってきている現代の世相を考えるとこの種の言葉選びに異論なきとしないはずはないとも言えそうですね。

今回の経緯を見ていて関係者が各方面で釈明をしているのですが、見ていてなるほどそれはそうだと感じたのは昨年まで選考に関わった鳥越氏のコメントで、要するに大賞に選ばれるための必須条件として「表彰式に来られる人」が大前提になっていると言うのですが、それからすると今回の「日本死ね」などはそもそも大賞に選ばれる可能性は低かったのでしょう。
今年の大賞が決まった経緯についても当事者のやくみつる氏が候補を絞り込む予備選考の段階で一番高得点を得たのが「神ってる」だったと言っていますが、要するに深い考えもなく先行担当者が適当に決めているものだと言うことであまり裏の意図が云々と深読みし過ぎるのもどうなのかと言うことなのでしょうね。
ちなみにネット上では「PPAP」を推す声が多かったようで、日本だけではなく世界的にこれだけ話題になったことを見ても十二分に選ばれる資格があるだろうとも思うのですが、そもそも選考をしている方々がネット動画サイトなどを見ているか?と言う問題もありますから、人選と言う点からして一般的日本人の感覚を代表しているのかと言う話ですよね。

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