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2018年4月20日 (金)

最近目に付いたニュース三題

今日はこのところ目にした興味深いニュースを紹介してみようと思うのですが、まずはこちらから御覧いただきましょう。

300円が0円に…遠足の「おやつ禁止」に波紋 マツコ「だったら遠足やめれば?」(2018年4月17日しらべぇ)

「おやつは300円まで」、ワクワクしながら何を買うかで頭を悩ませた遠足に、大きな変化が起きている。
16日放送『5時に夢中!』(TOKYO MX)で「遠足のおやつ持参禁止」に触れ、マツコ・デラックス(45)、株式トレーダー・若林史江氏(40)が持論を展開した。

■若林「禁止はやりすぎ」

アレルギー体質の児童に考慮し、遠足でのおやつ持参・交換を禁止する学校が増えている。保護者の中には「学校が対策してくれるのは嬉しい」と歓迎する意見があると報じられた。
これに対し、若林氏は姪が重度のアレルギーで「自身で判断できる」と前置きした上で、「命に関わることなので全面解禁すればいいとは言えないが、おやつ禁止はやりすぎ。禁止する前にアレルギーの教育をすべき」と熱弁。
「差別がなくなる教えになる。危ないものを取り上げるだけでは解決しない」と断じた。

■マツコ「家でケーキ食べたほうがいい」

マツコは教師側の負担を考慮しながらも、「防御線を張る気持ちはわかるが、これはちょっと違う。禁止すればいいってもんじゃない、その時々に応じて対応するしかない。だったら遠足やめればいい」と語った。
「遠足なんのためにするの?」と疑問を口にするマツコにおやつの思い出を尋ねると、「(300円ルール)守ったことない。家にあったお菓子を適当に持っていっていた」と当時を振り返る。
遠足を楽しいと思ったことがない。野原で駄菓子食うくらいなら家でケーキ食べたほうがいい」と本音を吐露した。
(略)
しらべぇ編集部で全国20〜60代の男女1,348人を対象に調査したところ、約1割が「自分や家族に食物アレルギーはある」と回答している。
あらゆる食物にあるのではないかと思われるアレルギー。当人や周囲が細心の注意を払っていても、小学校低学年では思わぬ認識漏れから口にしてしまう事例もあるだろう。
児童の安全確保、学校側の負担を減らすという意味でも「おやつ持参禁止」は仕方ないのだろうが、「アレルギーやお金のやりくり」への教育のチャンスも失ったかもしれない。

すでに10年ほど前からこうした対応が全国で見られていたそうですが、しかし交換禁止ならまだしもおやつ禁止と言うのでは筋が通らない気がするのですが、保護者的にはむしろ歓迎なのでしょうか。
医学的あるいは社会的なリスクを最小化しようと思えば当然ながらそうなるだろうと言う話なのですが、300円で何を選ぶかと言うのもなかなかに知恵を使う話で、あれはあれでなかなか得がたい教育機会だったとも思うのです。
今の子供には「バナナはおやつに入るんですか?」と言う定番ネタも通用しなくなったと考えると寂しいものですが、しかしおやつもない遠足など単なる苦行にしか過ぎないと言う意見にも一理ある気はします。
教育と言うことに関してはやはり年々規制は強化されるものだと感じるのですが、こちら先日からそれはさすがにいささかどうよ?と一部の方々から声が上がったニュースがこちらです。

タイトルに「エロ」の書籍、相次ぎ有害指定 研究書も(2018年4月17日朝日新聞)

 性的表現の歴史などを考察した書籍が、相次いで自治体の有害図書指定を受けた。研究書まで指定するのはやり過ぎだとの声も上がっている。

 3月30日に北海道が有害指定したのは「エロマンガ表現史」(太田出版)。同月23日には滋賀県が「全国版あの日のエロ本自販機探訪記」(双葉社)を有害指定した。いずれも青少年健全育成条例に基づき有識者による審議を経て「青少年の健全な育成を阻害するおそれがある」と判断した。18歳未満への販売が禁止され、書店などでの陳列も一般書籍と区別される。

 二つの書籍は、タイトルで「エロ」とうたい、女性の裸体や性的行為が描かれた本の表紙やマンガのコマを引用している。だが「表現史」の主題はマンガにおける乳房や性器の描き方の変遷の研究。「探訪記」はネットの普及により消えゆくエロ本自販機の現在を探るルポルタージュだ。日本雑誌協会は「新たな分野の研究書であり、フィールドワークの労作だ」と、有害指定に疑問符をつける。

以前から一部自治体でこの種の動きは報じられていたのですが、基本的に有害図書指定されるのは程度の差はあれいわゆる性的表現を目的とした趣味本の類で、「エロ」であること自体に異論は少なかったと言えます。
ところが今回話題になったのは記事にもある「エロマンガ表現史」のように、学術的観点からも非常に興味深い真面目な書籍が有害指定されたと言う点で、そもそも青少年が手に取って読む類のものか?と言う声もあります。
この調子ではいずれ美術書の類も有害指定されかねないと言う懸念の声が出るのももっともなのですが、しかし「貧しい漫画が多すぎる」とまで言い切った他ならぬ朝日がこうした記事を出すことに感じる向きも多いようですね。
最後に取り上げるのは同じく人間の性に関わる問題ですが、このところ進歩的な方々を中心に急速に支持が広まっているあの動きに対して、改めてこんな問題提起がされていました。

LGBTにペドフィリア、ズーフィリア、ネクロフィリアも加えるべき? (2018年4月14日WEZZY)

 今月14日からスタートした特集「性を語ること」。本稿では、タレント・文筆家の牧村朝子さんに「LGBTPZN」をテーマにご執筆いただきました。
 本記事で牧村さんは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとった、性的マイノリティを総称する言葉「LGBT」に、ペドフィリア・ズーフィリア・ネクロフィリアの頭文字をとった「PZN」を加えようという主張がネット上で見られます。「LGBTPZN」が生まれた経緯と主張の背景にある問題を丁寧に追いながら、性を語る際に必要な姿勢を提示しています。

LGBTばかり権利を主張するのはおかしい。P(ペドフィリア/小児性愛)、Z(ズーフィリア/動物性愛)、N(ネクロフィリア/死体性愛)も加えて“LGBTPZN”とすべきだ」
 このような主張が、2018年4月2日現在、日本のインターネット上で見られます。そう聞いてあなたは、どう思われたでしょうか。それぞれのご意見があるかと思いますが、この記事でお伝えしたいのは次の2点です。

全ての人には、性のあり方にかかわらず、
1.好きなものを好きでいる自由がある。ただし、性暴力は他者の自由の侵害である。
2.嫌いなものを嫌いでいる自由がある。ただし、侮辱・蔑視・攻撃は他者の自由の侵害である。

 本人の性のあり方にかかわらず、何を思っても自由。ただし、合意なく他者を巻き込むことはその人の自由の侵害である……LGBTがどうの、PZNがどうのではなく、実はそんなシンプルな話なのではないでしょうか。
(略)
「やらせろという連帯」から「やってしまわないための連帯」へ

 日本含む各国では、小児性愛・動物性愛・死体性愛・加虐性愛・日本語で痴漢と呼ばれるものを含む性暴力加害その他、実行に移せば他者の権利の侵害となる欲望を持つ人が、その行為に合意を示せない小児・動物・死体や、その行為に合意を示していない対象に手を出してしまうことのないよう、似たような欲望を持つ人同士で話し合う自助団体が存在します。つまり、「やってしまわないための連帯」があるのです。
 しかしながら、LGBTにPZNを加えようという人の一部は、LGBT社会運動を「大っぴらな変態性欲」「やらせろという運動」などと矮小化し、「LGBTだけじゃなく自分たちにもやらせろという連帯」を求めているように思えます。

 本人がどんな人であろうが……異性愛者であろうが、同性愛者であろうが、シスジェンダーであろうが、トランスジェンダーであろうが、男性であろうが、女性であろうが、こうした二元論におさまらない人であろうが、オムツフェチであろうが、ロリコンであろうがとにかく、性別・性自認・性表現・性的指向・性的嗜好その他一切関係なく、同意していない相手を性的な行為に巻き込むことは性暴力です。そして小児・動物・死体は、行為時点での同意を、客観的に確認可能な形では示すことができません
(略)

このLGBT問題に関しては以前から主に二つの観点からの異論が出ているように感じますが、一つには筆者氏も言及するように特定の性的嗜好だけを尊重するのは如何なものかと言う反論です。
大多数の善良な小児性愛者はまさに「実行に移せば他者の権利の侵害となる欲望を持つ人が、その行為に合意を示せない小児に手を出してしまう」のではないかと苦悩し、何とかその対策を講じようとしています。
代表的な例が実在の他者に何ら害を与えない人形や創作物などによって欲望を充足させる方法ですが、何故かLGBTの権利などに理解を示しそうな進歩的な方々にこうした誰の害にもならないための努力を全否定する向きが多いようです。
LGBTは擁護されるべきだがペドフィリアは虐待排除されて当然だと、一体どのように理屈づけが出来るものかは興味深いテーマだと思っているのですが、未だにこれで決定的だと言えるほどの論説を拝見したことがありません。

またもう一つの異論としては「合意なく他者を巻き込むことはその人の自由の侵害」と言う点ですが、いわゆるカミングアウトなども同意を得ずに立場を異にする相手を強制的に巻き込むと言う点で批判される面があります。
先日は朝日の記者が書いた「LGBTが気持ち悪い人の本音」なる記事に対して、アンケートに本音を書いてしまった結果差別主義者呼ばわりされる羽目になったと言う指摘があり、なるほどと思わされました。
筆者氏の言う「侮辱・蔑視・攻撃は他者の自由の侵害」だと言うのは一面の真理なのですが、ただそれは一方が他方にだけ求めるものではなく、常に双方向のテーマであるようにも思いますね。
同じマイノリティの中でも自分は他に比べて少しばかり上等だとか、だから劣等な連中は蔑視し攻撃していいのだとか、当のマイノリティの方々自身はあまり思っていないのだろうと思うのですが。

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2018年4月13日 (金)

憲法違反だから規制は反対され、憲法も制限があるから規制は強化される

東京新聞と言えば今や朝日も越えたと言われるほどの進歩的なメディアで、かねて憲法解釈に介しても独自の見解をお持ちだと言われますが、その東京新聞がこんな記事を載せていました。

漫画海賊版サイト遮断 政府検討 「憲法違反」法学者ら声明(2018年4月12日東京新聞)

 政府が、漫画などの海賊版サイトへの接続を遮断するようインターネット接続事業者(プロバイダー)に要請する方向で検討に入ったことを受け、法学者の団体などは十一日、「検閲の禁止」や「通信の秘密」を定めた憲法に反するとして、一斉に反対の声明を発表した。

 「サイトブロッキング」と呼ばれる接続遮断は二〇一一年から、児童ポルノのサイトに限って政府の要請で実施されている。プロバイダーらによる団体が政府情報を基に対象サイトを決め、「自主規制」の形で利用者のアクセスを遮断している。

 この遮断対象について、菅義偉(すがよしひで)官房長官は三月、著作権侵害による被害を防ぐため海賊版サイトにも拡大する考えを表明。内閣府の知的財産戦略本部が、有識者会合で検討している。

 これに対し、法学者らでつくる情報法制研究所は十一日、立法措置や国会での審議もなく政府の裁量で遮断対象を広げることに、「通信の秘密、検閲からの自由、法治国家の原理が危機にさらされる」と反対声明を発表。ブロバイダーらでつくるインターネットコンテンツセーフティ協会や、主婦連合会など四つの団体も同日、同様の声明を発表。「海賊版サイトへの責任追及などに力を入れるべきだ」などと指摘した。 (吉田通夫)

この海賊版サイト問題に関しては先日も取り上げたところですが、漫画家の皆さんにすれば生活の糧が直接奪われている状況であり、言ってみれば人生を否定されているような悲惨な状況であると言えます。
幸いにもと言うべきか、このところ最大手の海賊版サイトは閉鎖されたとも噂されているのですが、この種のものの性質として消えてはまた現れることの繰り返しで、根本的な解決はなかなか難しいでしょうね。
当然ながらこうした国民の自由な言論を否定する憲法違反の政府案に対しては各方面から反対意見が続出していると言いますが、一方でひっそりとこんな言論統制が公然と行われようとしているとも報じられています。

京都府がヘイトスピーチを“事前規制”へ 「ネット上の発信内容もチェック」(2018年3月22日毎日放送)

特定の民族や国籍の人に対し差別的な言動を行うヘイトスピーチ。全国各地で問題となり国が対策法をつくるなど規制の動きも進んでいますが、京都府は公共の施設でヘイトスピーチが行われる恐れがある場合、つまりヘイトスピーチをしそうな人が施設を使いたいと申請してきた場合に、「使用を認めない」「許可を出さない」という方針を固めました。これは全国でも珍しい試みです。というのも、ヘイトスピーチは確かに許されませんが、この人が何を言うかがわからない段階で行政が規制をかけることはできるのか、という問題があるからです。

京都では、2009年に「在日特権を許さない市民の会」いわゆる在特会が朝鮮学校前で憎悪に満ちた言葉で罵倒を繰り返すなどのヘイトスピーチが行われました。
こうした中、国はおととし「ヘイトスピーチ対策法」を制定し、各自治体にヘイトスピーチ解消に向け取り組むよう求めてきたのですが、それを受け京都府が打ち出したのが「公共の施設でヘイトスピーチが行われると予想される場合、施設の利用を許可しない」という方針。まだ行われていないヘイトスピーチに対して事前に規制をかけるのは神奈川県川崎市に次いで全国2例目です。
「街頭宣伝活動が行われるのは公園であったり、不特定多数の方が集会を行うことが可能な施設。事前にヘイトスピーチが行われることを防止していく」(京都府人権啓発推進室 浅野浩司参事)

一方、大阪市は全国に先駆けてヘイトスピーチ対策の条例をつくり、ヘイトスピーチを行った団体や個人の氏名を公表するとしていますが、公共施設の使用については制限していません。「事前にヘイトスピーチをするかどうかは判断できない」として見送られたのです。
さまざまな市民の活動を公権力である役所があらかじめ抑制するというのは、本来の姿ではない」(吉村洋文大阪市長・2016年)

では、京都府はヘイトスピーチが行われると事前にどう判断するのでしょうか。
「申請書や申請者の説明などから、事前に判明している集会のテーマや言論の内容を判断材料にする。もうひとつは、申請者の方々が過去に行った集会の内容やそこで行われた言動についても判断材料としたい」(京都府人権啓発推進室 浅野浩司参事)
ネット上での発信内容などもチェックし、ヘイトスピーチが確実に行われると客観的に予測できるか調査。弁護士などからなる第三者機関の意見も聴いた上で、総合的に判断するとしています。
「憲法で保障された表現の自由、集会の自由を不当に侵害することだけは絶対にあってはならないので、一つ一つ丁寧に判断していくことが求められる」(京都府人権啓発推進室 浅野浩司参事)
京都府は「この取り組みをきっかけに、ヘイトスピーチ解消に向けた府民の理解が深まることを期待したい」としていて、新しい方針について今月中にも運用を始める予定です。

しかし京都市がヘイトスピーチをするかも知れないと認定すれば、反論の機会もなく発言機会が一方的に奪われると言うことなのですから、実質的に京都での言論の自由は大きく制約されたと見るべきなのでしょうかね。
先年成立したヘイトスピーチ規制法もずいぶんと議論を呼んだものですが、そもそも何をもってヘイトスピーチとするかと言う定義も難しい上に、当然ながらヘイトであるかないかを巡って異論反論も数多あることでしょう。
そうしたものを一方の視点から公的規制することがいいのかどうかも見解の相違があるところですが、興味深いのは冒頭の海賊版サイト規制に憲法違反と叫ぶ方々が、こうしたヘイトスピーチ規制には何故か反対されない点です。
ヘイトスピーチ規制派の方々は憲法で保障される表現の自由にも一定の制限があり、人権を侵害する表現は許されないと言う立場だそうですが、そうなると漫画家の皆さんの人権は認めていないと言うことでよいのでしょうか。

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2018年3月29日 (木)

誰もが頭を悩ませているあの問題で国が方針転換

以前から多くの人々を悩ませ続け、このところ情報アップデートの必要性が言われていた問題について、とうとう国がこんなコメントを出したと報じられていました。

「パスワードの定期変更は不要」総務省が呼びかけ改める(2018年3月28日NHK)

インターネットのパスワードを定期的に変更するよう呼びかけてきた総務省は、変更のしかたによってはかえって不正アクセスを受けやすくなるとして、安全なパスワードの場合は定期的に変更する必要はないと呼びかけの内容を改めています。

総務省はインターネットの安全な利用法に関するサイトの中で、パスワードの定期的な変更を呼びかけてきました。
しかし去年11月、この呼びかけの内容を、「定期的に変更する必要はない」に改めました。
その理由について総務省は、パスワードを定期的に変更すると、かえってパスワードの作り方がパターン化したり、複数のサイトで同じパスワードが使い回されるおそれが高まったりして、不正アクセスを受けやすくなるためとしています。

これは「内閣サイバーセキュリティセンター」などが示した考え方に基づいた対応で、パスワードが十分な長さになっていることなどを前提に、定期的な変更は必要ないとしています。
一方で、情報の流出が疑われる場合はパスワードをすぐ変更するよう呼びかけているほか、複数のサイトで同じパスワードを使い回さないよう促しています。
総務省サイバーセキュリティ課の豊重巨之課長補佐は「引き続きインターネットの適切な利用方法を周知していきたい」と話しています。

パスワードの一つや二つなら凝ったものを考えられても、全てのサイトで定期的に強度の高いものばかりを更新し続けるのは無理と言うもので、次第に簡単なものばかりになるだろうことは素人でも判りますよね。
昨年夏のことですが、広く用いられている米国立標準技術研究所(NIST)のルールを策定したBill Burr氏が、自らまとめた90日毎のパスワード変更などを求める手順書が間違っていたと告白し話題になっていました。
古いルールに基づいたNISTの手順書はすでに書き改められており、なるべく長いパスワードを利用すること、変更するのは90日ごとではなくパスワードが流出した場合のみと言った新たなルールが公開されています。
とは言えBurr氏自身が語っているように、一度間違った対策が世界的に広まってしまっている以上、新たな対策が世界中で標準的なものとなるのにどれだけの年月が必要なのか、見当も付かないところでしょう。

当面は相変わらず定期的なパスワード変更を要求する管理者との地道な戦いが続くのだろうし、システム上の変更なども必要なのでしょうが、実際のところ安全なネットセキュリティーとはどのようなものなのかです。
複数のサービスで同じパスワードを使い回さないとはよく聞く対策ですが、実際にあるサービスから入手したセキュリティ情報を他のサービスで使ってみると言うことは、ハッキングの常套手段として使われているそうです。
また世の中には何億件もの流出パスワードリストと言うものがあり、これを片っ端から試して見ると言ったやり方もあるようですが、流出回数が多いとは誰でも思いつく安易なパスワードであるとも言えます。
最近は複数の方法を組み合わせた多段階認証だとか、USBメモリを差すだけでパスワードが自動入力されると言った方法もあるようですが、利便性もさることながらシステム側での対応が必要なものは汎用性に問題がありますね。
いずれにせよセキュリティの基本はハード・ソフト面での対策よりもスタッフ教育であることは変わりないので、パスワードをメモ書きして張っておく等々の残念な振る舞いにはくれぐれも注意いただきたいところです。


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2018年3月22日 (木)

国がとうとうクレーマー対策に乗り出す

本日まずは先日話題になっていたこちらのニュースから紹介してみましょう。

「工事の騒音で園児がおびえる」 マンション建設差し止め求め、幼稚園が申し立て(2018年3月13日産経新聞)

 名古屋市中区にある幼稚園の南隣で建設が進む15階建てマンションを巡り、工事の騒音で園児がおびえているほか、完成後は日差しが遮られてしまうとして、「名古屋教会幼稚園」の職員や運営する宗教法人が13日、工事差し止めを求める仮処分を名古屋地裁に申し立てた。

 申立書によると、建設地は商業地域で、建築基準法による日影規制の対象ではないものの、実態は対象となる住居地域に当たると主張。園児が工事の騒音や振動におびえ、粉じんにせき込んだりしているほか、完成後の園庭は一日中、日光が差し込まず、園児らが被る不利益は限度を超えるとしている。

 幼稚園には3~6歳の園児約40人がおり、午後は小学生の学童保育も行う。石原ゆかり園長(57)は「足場を組んでいる隣で子どもたちは遊んでいる。なぜ子どもたちが危険にさらされなければならないのか」と訴えている。

 建設を計画した不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の名古屋支店は「申し立ての内容を把握しておらず、コメントは差し控えたい」としている。

このところ全国各地で地域の住民が中心となって、保育園の騒音がうるさいと建設取りやめを訴える動きが拡がっているのは周知の通りですが、今回のケースは言ってみればその逆バージョンのような話でしょうか。
訴訟の理由として挙げられている様々な被害に関して、どこまで本気で心配しているのかは何とも言えないのですが、想像するに最も大きな理由としては完成後にも永続する日照問題なのではないかと言う気がします。
とは言え保育園建設差し止め問題と同様、これまた世間からはそれを言い出したら何も出来なくなるのではと言う声も挙がっているのも事実ですが、さてこの種の訴えがどこまでありなのかは判断の難しいところですね。
以前から高校野球の応援がうるさいと球場に怒鳴り込む住民の存在は報じられていましたし、先日は救急隊員が水分補給で飲み物を買っていたところ市民からクレームが入ったと言う、よく判らないニュースもありました。
こうした風潮の延長線上にあると言うことでしょうか、どこの業界でもクレーマー、モンスターと呼ばれる悪質顧客対策にも頭を悩ませていると思いますが、先日とうとう国がクレーマー対策に乗り出したと報じられていました。

悪質クレームに国が対策へ 顧客暴言などパワハラ報告書明記(2018年3月15日産経新聞)

 顧客からの暴言や脅迫など「悪質クレーム」に店の従業員らが悩んでいる問題について、厚生労働省が対策の検討に着手したことが14日、分かった。月内にもまとめる職場のパワーハラスメント防止に関する報告書案の中に、同じ職場の悩みとして「カスタマー(顧客)ハラスメント」を明記する。ただ刑法などに抵触しない限り、悪質性を判断するのは難しく、規制に踏み込めるかは不透明だ。

 厚労省は昨年5月、上司や同僚らによるパワハラ防止のための有識者検討会を設置。政府の「働き方改革」の一環として、予防や解決に向けた報告書の作成を目指している。
 一方で、同省には悪質クレームに対する被害の声が多く届くようになり、労働者の安全への配慮が求められる点で、「客からの迷惑行為は職場のパワハラと類似性がある」とし、職場環境の改善に必要との認識を持ったという。

 パワハラの報告書にカスタマーハラスメントの項目を盛り込むのも、有識者から「客だから何をしてもいいと思うようなところがある。広くそれらがハラスメントの問題であることを周知する意義がある」という意見があるためだ。
 しかし、悪質クレームはパワハラと比べて実効性のある予防策を講じることは難しい。客の要望に応じないことや、客に何か対応を要求することは事業の妨げになる場合があるという。

 厚労省が今年1月までに4社を対象に聞き取り調査したところ、「何が顧客からのハラスメントに該当するか判断基準を設けることは困難」「企業と消費者のクレームに関する紛争を仲裁する第三者機関があれば企業として対応しやすい」などの声が聞かれた。その上で、職場に悪質クレームの悩みを相談する窓口を設置するなど、客からの迷惑行為にどのような取り組みが必要かを検討していくという。

 労働組合UAゼンセンが昨年11月に公表した調査によると、スーパーマーケットやコンビニなどの従業員の約7割が悪質クレームを受けていることが判明。具体的な被害として、「バカ」「死ね」などと暴言を受けたり、買い物かごや小銭を投げられたりした事例もあった。
 ゼンセンは悪質クレームが「働く魅力を阻害し働き手不足をもたらす」として、法規制の導入など対策強化を厚労省に要請していた。

しかし穿った見方をすれば、昨今国や各省庁でもさぞやクレーマーに悩まされているに違いないなどと言う声もあるやなしやですが、いずれにせよこの種のクレーマー問題が今や社会的に無視出来ない大きなものだと言えますね。
どの業界でもクレーム顧客対応に頭を悩ませた経験のあるスタッフは少なくないと思いますが、特に専門の苦情受け付け窓口のスタッフなどは心折れる仕事なのだそうで、それがために離職を余儀なくされるケースもあるようです。
もちろん企業全体として見ればそのために浪費されたマンパワーが大いに生産性を低下させているわけで、ただでさえ人材不足と厳しい価格競争で四苦八苦している企業にとってはダブルパンチの大損害でしょう。

ただ何をクレーマーと認定するのか、どうやって対策をするのかと言う問題はあるかと思うのですが、前者に関しては一定程度以上のクレームが続いた場合これ以上はクレーマー認定すると警告を与えると言うことになるでしょうか。
そうした警告自体が相手を激高させる副作用も確かにあるでしょうが、どこかで基準を設けてそれを越えた場合には通常顧客対応からクレーマー対応に切り替えると言うのは、組織防衛上仕方のないところだと思います。
国が具体的な行為などを列挙した認定のガイドラインなりを用意できればいいのでしょうが、本当のクレーマーの場合こうしたガイドラインの内容を知った上で、敢えて引っかからないように動いてくる可能性もありますね。
この辺りは反社会的団体対策で各種法律が整備されても、団体側でもそれに対応して活動の在り方を変化させてきた歴史と全く同様ですが、少なくとも一線を越えた場合厳正に対処するルールは徹底すべきでしょう。

本物のクレーマーの場合、当然ながら特定企業・団体だけでなくあちらこちらに絡んでいるもので、中にはそれによって生活の糧を得ているプロクレーマーとでも言うべき方々もいらっしゃるとも側聞します。
金融関係などのいわゆるブラックリストなどと同様、この方面でも全国的に情報を共有出来れば対策も講じやすいかと思うのですが、クレームはどこにでもつくだけに情報をどこまでの範囲に開示すべきかは難しい問題です。
例えば強要罪、脅迫罪の疑いありのケースで警察に相談があった場合など、警察の側で常習クレーマーかを検索し常習者には早期に対応すると言った使い方もありそうですが、当然世間からの反発もあるでしょう。
誰でも一歩間違えばクレーマー認定される恐さを重視するか、一人のクレーマーがいれば周囲の多くの顧客が迷惑することを重視するかですが、日常的な実例などが多く報じられるようになれば流れも変わるかも知れませんね。


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2018年3月 9日 (金)

盗っ人猛々しいを地で行ったサイトが話題に

昨今ネット上での炎上騒動は珍しいものではありませんが、先日盛大に炎上したこちらの一件をご存知でしょうか。

「当然の対価」求める漫画家に注文 「無料で見せられる努力を」ツイートが炎上(2018年2月16日J-CASTニュース)

   日本漫画家協会が公式サイトで発表した「海賊版サイトについての見解」とする声明が、漫画読者の界隈で議論を広げている。
   海賊版サイトを読むことは「泥棒にもっと盗んでこいと応援してる」ようなもの――。漫画家の宮尾岳さんがツイッターでそう発信したところ、一般のあるユーザーが「そういうこと言うなら無料で見せられるよう努力してください」とリプライ。ネットでは、このツイートが物議を醸すこととなった。

   海賊版サイトは、人気の漫画や雑誌の最新号を著作者の許可なくアップロードしている。無料で読めるため2017年ごろからじわじわと注目を集めているが、漫画家からは懸念の声が続出していた。
   「こんな海賊版サイトがはびこると、いくら努力して面白い作品を描いても漫画家は仕事になりません」。『あしたのジョー』作者のちばてつやさんは、ブログでそう訴えた。「海賊版に対する反発(憎悪)を持つ作家や読者は非常に多く、その方向性は率直にアピールしていくべき」と、『魔法先生ネギま!』作者の赤松健さんもツイッターに投稿した。
   そんな中、日本漫画家協会は18年2月13日に公式サイトで「このままの状態が続けば、日本のいろいろな文化が体力を削られてしまい、ついには滅びてしまう」と声明を発表。海賊版サイトの利用に警鐘を鳴らした。

   ただ、漫画家たちのこうした切実な声には、納得できないという反応を示す声も一部から寄せられた。
   『アオバ自転車店といこうよ!』作者の宮尾岳さんが2月15日、「僕ら商業誌の漫画家は『漫画を描いて生きて行く』と決めた人間だ。(略)働いたことに対価を求めるのは全ての職業の常識だ」とツイッターに投稿し、
    「漫画の海賊版とは『創作することに何の努力も行動もしなかった奴が、無断でタダでばら撒き、作家を殺していく』という悪業だ。それを喜んで読むと言う事は『悪業の後押し』だよ。泥棒にもっと盗んでこいと応援してるんだ」
と持論を展開したところ、ある一般のユーザーが
    「そういうこと言うなら無料で見せられるよう努力してください。企業努力や作家の努力が足りません
とのリプライを飛ばしたのだ。

   このリプライをめぐっては、ツイッター上で
    「何処を読んだらそういう返答をするのか理解に苦しみますが、この世にコストの掛からないものはありません
    「失礼とかいう域を超えてるわ」
    「企業努力で無料はできても作家の努力で無料はできんでしょ」
    「読む人間の『努力=金を払うこと』が足りませんね」
批判の声が噴出。投稿者は2月16日朝までにツイッターアカウントを削除した。
   この投稿者に言及したのか定かではないものの、『最終教師』作者の漫画家・山本貴嗣さんはツイッターで「『企業努力』という単語があるけど『消費者努力』ってのもあるんですよね、言われないだけでw(たぶん)」と投稿した。

   ただ一般のネットユーザーには、削除ツイートの内容に危機感を覚えた人も少なくないようだ。ツイッターには、
    「これは本物だと頭を抱えたのでまぁいろいろ根が深いものを感じましたね」
    「本当にクールジャパンの為にはキチンとコンテンツに課金させるところから子供の教育を始めないといけないと思う」
    「知り合いも漫画はただで読むものだと思ってるので、状態はかなり深刻だと思います」
との声も巻き起こっている。

この種の海賊版に関しては昔から幾らでもある話で、ひと頃某国で買い物をすると無断コピーの偽ブランド品ばかりなどと言われていたそうですが、この場合知的生産活動に対する対価の意識が薄いと言うことでしょうか。
特に日本の場合モノに対する対価は支払っても、他人の労働行為そのものへの対価は支払いたがらない人が多いとも言い、その理由の一つにチップなどサービス料を直接支払う制度がないことを挙げる人もいるようです。
その説の真偽はともかく、漫画などはよほど売れっ子にならなければ儲からないそうで、わずかばかりの収入を海賊版でさらに目減りされたのでは、それを生活の糧としていこうと言う人が増えるはずもないのは当然ですね。

事が漫画など必ずしも生活必需品ではないものであれば、別になくなってもいいのではないかと言う意見もあるかも知れませんが、他人の労働に正当な対価を支払うと言う当たり前の行動原理が破綻した場合、世の中がどうなるのかです。
医療の世界もその大部分は知識や技能と言った目に見えないものを売り物にしていると言えますが、「今日は薬が出なかったから支払わない」と言う人も実際にいますし、そもそも医療行為そのものに対する診療報酬は極めて低く抑えられていると言う点で、全く他人事ではありません。
ただこの場合馬鹿げた考えを生産者に押しつけようとした一消費者が批判されたと言うだけに過ぎないとも言えば言えるのですが、その余波が収まることもない間に火に油を注ぐようなニュースが出てきました。

漫画村、有料版「漫画村プロ」開始へ 早くも批判の声「盗人猛々しい」「超えてはいけない領域」(2018年3月5日BIGLOBEニュース)

無料で漫画などを閲覧できるサイト「漫画村」が、有料版「漫画村プロ」を開始することがわかった。
漫画村は、漫画雑誌やコミックス、写真集などが無料で閲覧できるサイト。その多くは出版社の許可を得ていないため、海賊版サイトの1つと呼ばれているが、漫画村は自らのサーバーに画像を保管していないため違法ではないなどと主張している。
漫画村には漫画家をはじめとして多くの批判が集まっているが、そのことを逆に「漫画家さんが無料で広告してくれた」と皮肉。利用者は2ヵ月で1.8倍にも増加し、向上した維持費を賄うために無料版に加え、有料版を提供するという。「漫画村プロ」では、全ての広告を除去し、アダルト作品の非表示選択、ZIP形式での画像ダウンロードなどの機能を提供。また、3人まで同時に使用ができ、無料版と分離した安定したサーバーで閲覧することができるという。「漫画村プロ」の提供は4月から5月を予定している。

これまでも問題が指摘されてきた漫画村が有料版まで開始することに、ネットでは早くも批判の声が多数寄せられている。「盗人猛々しい」「今まででもアウトなのに人の漫画で課金とな」「隣の畑から野菜取ってきたから売るぜ!生産者のことは知らないけどな!みたいなことか」「作者になんのメリットもないじゃん」「そこまでするならWEB漫画でちゃんと契約しちまえよ」「超えてはいけない領域に達した」「稼げる間に稼いで逃げきるもりかな」「利用者側も取り締まらないとだめだろ」
海賊版サイトをめぐっては、日本漫画家協会が2月に利用しないよう呼びかける声明を発表。「全く創作の努力に加わっていない海賊版サイトなどが、利益をむさぼっている」と指摘し、「このままの状態が続けば、日本のいろいろな文化が体力を削られてしまい、ついには滅びてしまうことでしょう」との懸念を示している。

相次ぐ批判が「無料の広告」に? 海賊版漫画サイト問題(2018年3月5日ITmedia)

 漫画などの違法海賊版サイト「漫画村」の運営者が3月5日、「2カ月でユーザー数が1.8倍になり、Twitterの利用者数(月間4500万人)を超えた」などとWebサイトに掲載し、“有料版”サービスの計画を発表した。ネット上では「盗っ人猛々しい」などと非難する声が上がっている。

 漫画村は漫画の単行本や雑誌を“無料”で公開しているWebサイト。こうしたサイトに掲載されている作品の多くが著作権者に許可を得ていない無断アップロードであり、著作権者や出版社の影響は甚大だ。今年に入り、日本漫画家協会が「全く創作の努力に加わっていない海賊版サイトなどが、利益をむさぼっている」と批判する声明を発表したほか、漫画家個人がTwitterなどで相次いで批判している。
 だが漫画村の運営者は「漫画家さんが無料で広告してくれたおかげで漫画村のユーザーが増えた」とうそぶく。公表したユーザー数が事実かどうかは判断できないが、著作権者や出版社の必死の訴えは、むしろ海賊版サイトの知名度を上げる結果になってしまった側面もあるようだ。

 なぜ批判がユーザー数増につながるのか。社会心理学の見地から「影響力」について説明する「影響力の武器 実践編」(誠信書房)に、示唆に富む例が挙げられている。
(略)
 漫画村に対する批判も似たような側面がある。「多くの人が漫画村を利用していて、出版社や著作権者に影響を与えている」という訴えは、むしろ「多くの人が漫画村を利用している=自分も利用してよい」と受け取られかねない。今回運営者がサービス利用者数を「Twitterを超えた」と発表したのも、「多くの人が使っている」というメッセージを発信することが狙いだろう。
 では、どのような訴えなら、このようなネガティブな影響を及ぼしにくいのか。「影響力の武器 実践編」では、「月例会議の欠席者が多いことに頭を悩ませている管理職」というケースが紹介されている。「実際には大多数の人が出席していることを指摘して、欠席者は少数派だという事実を強調する」のがポイントだという。

しかしよく堂々とやるものだと感心するのですが、ネット上ではこれだけ利用者が増えているにも関わらず、海賊版サイトの行為を擁護する声はほとんど見られないと言う興味深い現象も指摘されています。
当然ながら著作権違反の違法行為であるだけに、近く摘発の手が入りそうだという噂も出ているのですが、しかし今回たまたま特定サイトが話題になっただけで、国内外にこの種のサイトなど無数にあるわけです。
しかもネット検索をすればどんな零細サイトに収録された作品でも自由に検索して読めるだけに、特定サイトを閉鎖に追い込んだとしてもあまり意味がないと言う予想も出来ますね。

本質的な解決策について何か方法論があるのかですが、例えば児童ポルノなどと同様利用車側に対する規制の強化と言う道もありますが、当然ながらこれには反対意見も半端ないでしょう。
著作権違反があった場合、検索サイトに申告して当該サイトの削除を依頼することも出来るのですが、名前や依頼内容が公表されることに加え、そもそも大手検索サイト自身が以前から著作権違反ではないかと問題視されてきた経緯もあります。
また海賊版サイトを閲覧することで好ましからざるお土産を仕込まれてしまうと言うリスクもありますが、そもそも違法サイトを利用しているのですからこの種のリスクはあって当然で、利用する側も相応の覚悟がいると言うことでしょう。


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2018年2月23日 (金)

安い値段で求人されているクレーム対応要員の実際は

このところの流出事件で全国に名を轟かせているあの会社が、今度は別な方面でも名を轟かせていると話題になっているのがこちらのニュースです。

ネット上で「時給1600円でクレーム対応は地獄」といった声 コインチェックがスタッフを募集(2018年2月7日ITmedia)

 仮想通貨取引所「Coincheck」を運営するコインチェック。1月26日に不正アクセスを受け、26万人の仮想通貨「NEM」約580億円分が流出。対象者全員に約460億円を日本円で返金すると発表しているが、具体的な時期は明らかにしていない。また、取引所で扱っているビットコイン以外の全ての通貨の取引を停止しており、その再開のめども立っていない状況だ。
 そうした中、数日前から、「コインチェックが時給1600円でクレーム対応をするバイト(コールセンタースタッフ)を募集している」と、ネット上で話題になっている。

 きっかけは2月3日に、求人サイト「エン派遣」に掲載された求人情報(現在は削除されている)。募集先の名前は「大手金融機関」となっていたが、募集要項には「コインチェック社に関する問合せ対応」「第三者による不正ログインや不正送金の問合せ対応」「不正ログイン、不正送金等の犯罪被害に対する対応」――などと記載されていたため、コインチェックが事業再開に向けてコールセンタースタッフを募集しているのではないかと話題になった。
 ネット上では「時給1600円でクレーム対応は地獄」「社員がやれよ」といった批判的な声や、「いよいよ事業再開か」「破産せずに済むのか」という事業継続への期待を寄せる声などが挙がっている。

 事実関係についてコインチェックに問い合わせたところ、「確かに募集は行っているが、どの求人サイトを活用しているかについては回答を控えたい」と説明。前述した募集がコインチェックの求人かどうかは不明である。
 ただ、「事業再開に向けて、新たにコールセンタースタッフの増員を掛けていることは事実」(コインチェック)としており、事業再開に向けて動き出しているようだ。

しかしこの種のクレーム対応というものは企業理念や業務内容の精通などにも精通し、非常にデリケートなスキルが求められる難しい仕事だと思うのですが、何も知らないアルバイトにそれをやらせると言うのはどうなのかですね。
確かにそうした人材が多数必要であることは理解出来るのですが、しかしこのご時世に時給1600円で相当にストレスの貯まりそうな仕事であるのは確かで、どの程度の募集があるものなのか気になります。
日本の顧客サービスが丁寧であると言う評価を国際的にも受けている一方で、このところそれがあまりに充実しすぎた結果なのか、モンスター、クレーマーと呼ばれるトンデモ顧客を増加させる一因にもなりかねないと言います。
とは言え企業としてはクレームが入れば、ひとまず土下座をさせ頭を下げるスタッフが必要であると言うことも現実なのでしょうが、先日は文字通り土下座要員を募集していた企業が話題になっていました。

【激怒】日本ツイッター社が炎上! ネット知識ない老人をクレーム係で雇用か(2018年2月13日Buzzプラスニュース)

日本のツイッター社(Twitter Inc)が炎上している。作家として活躍する如月真弘先生が、ツイッターに対して有料広告を掲載。しかし納得できない理由で広告が停止され、表示されなくなってしまった
如月真弘先生は広告停止に抗議をするためツイッター社に出向いたところ、老人スタッフが対応。老人は自社サービスであるTwitterの知識に乏しく、ネットに詳しくない人物だったという。そしてその老人は、石床に跪(ひざまず)き、ソファに座る如月真弘先生に対して対応したというのだ。
石床は冷たくて硬く、誰が見ても痛々しい状態なのは間違いない。実際にその光景を見た如月真弘先生は「異常な光景です」と語っている。以下は如月真弘先生のコメントである。

「現れた社員様は大変なご高齢で失礼な言い方をすれば明らかに定年後にクレーム係として再雇用され、twitterの仕組みに私より知識がありませんでした。そんなおじいさんがソファに座る私に対し、何十分も硬くて冷たい石の床に跪いている。座って下さいと頼みましたが、「こうすることになっています」と」
「自分の祖父ほどの老人を足元に跪かせているのです。異常な光景です。段々こちらが悪いことをしているような気になってきて、強いことが言えなくなります。無論、それが会社の作戦なのはわかっています。姑息な作戦にお年寄りを使うtwitter社の魂胆に、私は正直、何よりも腸が煮えくり返りました」
(略)
この出来事を如月真弘先生がTwittwrに書いたところ、多くの人たちがTwitter社のやり方に怒りを感じ、炎上状態となっている。Twitterで炎上することは多々あるが、まさかTwitter社自体が炎上するとは驚きだ。数多くの炎上を知っているはずなのだが、自社の防火対策は疎かにしていたようである。

もちろんこうした効果を期待して雇用されていると言うことではあるのでしょうが、それにしても言ってみれば時代の先端に近い場所に立つ企業にしては、何とも古典的なやり方をするものだと思いますね。
当然ながら世間からは非難の声が続々と寄せられているのですが、その背景にあるのは自分達も職場で当事者となれば、同様の土下座を強いられる局面があると言う気持ちも大いにあるのだろうと思います。
ちなみに当の企業に問い合わせたところ公式コメントはなしだったとのことですが、社としてはクレームはネット経由でのみ受け付けているのだそうで、直接やってきたから重く扱うと言ったことは全くないのだそうです。

気になるのは対応した人物が終始一貫して「こうすることになっている」と主張したと言う点で、仮にこうした行為を会社が従業員に強いていると言うのであれば、法に違反する可能性や人権侵害の恐れもあります。
上司が業務命令として部下に土下座を強いた場合は強要罪に問われるそうですが、会社としての就業規則等には明示しておらず、あくまで従業員個人が自主的に行った場合どうなのかですね。
さらに言えばこの人物が同社社員でも何でもなく、アルバイトの類で雇用打ち切りを恐れ自主的に行っていたのだとすればどうかですが、冒頭の記事などを見る限り一部企業ではまさにそうした要員も用意されていそうです。
最近では長時間労働の是正などに関心が高まっている中で、こうした不当な業務命令も当然許容されるものではありませんが、大前提として顧客側にも不当な要求をしないと言う事も求められるはずですね。

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2018年1月26日 (金)

動画配信サイトが何かと話題に

一昔前に広告収入を稼ぐ目的のアフィサイトが目に余ると言う声が高まった時期がありましたが、最近はさほどに聞かない気がするのはそれなりに社会に定着して対応の仕方が身についてきたからなのかも知れませんね。
この辺りは新聞の折り込み広告が多すぎて腹が立つ、と言う人があまりいないのと同じようなものかと思うのですが、稼ぐと言う目的で見ても最近はアフィサイトよりも動画投稿の方が人気があるようです。
ただ有名な動画配信者となると世間的な注目が高いことが武器であると言うことなのでしょうか、先日こんな動画配信者のリアル社会でのトラブルを伝えるニュースが話題になっていました。

ユーチューバー「PRするからタダで泊めて」⇒ホテルのオーナー激怒「今後、ブロガーは一切お断り」(2018年1月23日ハフィントンポスト)

YouTubeで9万人以上のフォロワーを持つイギリス人のエル・ダービーさんが、アイルランドのホテルにタダで宿泊させてほしいとメールで依頼したことが、大きな騒ぎとなっている。(ハフポスト日本版編集部)

ダービーさんがアイルランドのホテル「The White Moose Cafe」に送ったメールは、自身のYouTubeとInstagramを通じてホテルの宣伝に協力するので、無料で宿泊させて欲しいという内容だった。
これに対し、ホテルのオーナーは激怒。「親愛なるソーシャルメディアインフルエンサー様」と題したコメントとともに、彼女のメールの画面キャプチャをFacebookに公開した。オーナーは「もしあなたを無料で泊めてしまったら、誰が人件費を払うのでしょう?」と記した。「今後も、ホテルに泊まる際には、他のお客様と同じように宿泊料を支払うことをオススメします。もしあなたの宣伝にありがたいと感じたら、あなたの部屋をスイートにアップグレードするでしょう」と綴った。
「追伸、お返事はNOです」という言葉で締めくくられた辛辣な投稿には「あなたの方がビジネスをわかっていない」「そんなにこき下ろすなんてひどい」と批判的なコメントが相次いだ

自分の送ったメールを“晒された“ダービーさんは、YouTube動画で騒動について語った。
「一度にこんなに感情が押し寄せたことはない。私は、怒ってるし、悲しい、動揺しているし、不安になったし、気まずかったし、バカにされてると感じた」と思いを語り、ソーシャルメディア上で多くの心無い言葉を投げつけられたと告白した。また、「私がホテルのオーナーに申し出たことは、ブロガーだったら普通のこと」「(タダで泊めてもらうだけでなく、むしろ)報酬をもらうのが普通だし、彼はホテルで働いているんだからそれを知っているはずよ」とも反論した。

ホテル側は再反発。
翌日、「全てのブロガーを私たちのビジネスから締め出します」と題した文章をFacebookに投稿した。
オーナーは「あなた方のコミュニティのメンバーの1人が、タダで宿泊しようという試みを叶えられなかったことで見せた意地の悪さ、かんしゃく、憎しみは、業界全体の評判を下げましたね」と綴った。「サービスには対価を払うというシンプルな要求をしただけで、こんなに(ホテルへの)悪評が溢れるとは想像だにしなかった」と告白した。

ホテルは当初の投稿では、ダービーさんの名前を明かしていなかったにも関わらず、彼女自身が動画で「晒されて辛かった」と告白したことに言及。オーナーは「ブログ業界にありがちな手法」と非難し、「今後、うちの施設は一切ブロガーお断りです」と締めくくった。

この種の行為が海外でどれだけ一般的なのかは何とも言えずで、国によって業界によってはごく当たり前のことだったのかも知れませんが、いずれにせよ双方の常識に乖離があると発生しがちな悲劇と言えそうですね。
日本では未だこうした習慣が根付いていないと言うことなのが、動画配信者の側が非常識であると言う声が圧倒的に多いようですが、こうした宣伝行為と利益供与の関係は別に今に始まったことではありません。
古くは日本にもマスコミ関係者を指す羽織ゴロと言う言葉がありますし、最近ではグルメサイトのサクラによる不正書き込み問題などもありましたが、そもそもテレビ番組などでも似たような状況は幾らでもあり得る話です。
要するに今回たまたま紛争化したのはビジネスとして話の持ちかけ方があまりに稚拙だったからであるとも言えるかと思うのですが、動画配信も設け目的の人が増えてくれば、今後も同様のトラブルは多発することになるのかも知れません。

直接的な収益手段として、世界的な動画サイトにも一再生当たり幾らなど様々な収益プログラムが設定されていますが、単に刺激的なコンテンツで客集めだけに走って批判を受けると言うケースも増えてきているようです。
先日は富士の樹海に侵入して遺体の動画を撮影した有名動画配信者が批判を受けていましたし、海外では過激な批判的動画で人気を集めていた少年が批判相手であった犯罪組織から射殺される事件もありました。
他方では安易な動画配信を避け一定の質を担保すると言うことでしょうか、先日動画サイトが利用規約を改定し収益を得られる条件を一気に厳しくしたことで、零細動画配信者からは大いに悲鳴が上がったとも言います。
動画配信も社会に当たり前に定着していく過程で次第に落ち着くところに落ち着くと思われ、今は過渡期であるが故のトラブル多発とも言えそうですが、うっかり軽率な配信で不要なトラブルとならないよう注意したいところです。

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2018年1月 4日 (木)

ネトゲでのトラブルで全く無関係な人が射殺されると言う斜め上な事件発生

タイトルだけではちょっと何言っているのか判らない系のニュースなのですが、不幸な被害者のご冥福を思わず祈りたくなるのがこちらの事件です。

CoD:WWII: わずか1.5ドルの賭け試合でスワッティング、無関係の男性が射殺される最悪の事態に(2017年12月31日FPSニュース)

アメリカの28日木曜日の夜に、カンザス州ウィチタの男性(28歳)が警察によって射殺されたという報道がありました。 これだけですとゲームとは全く関係ない一文なのですが、報道の直後に『CoD』のコミュニティが、これはアメリカの警察特殊部隊「SWAT」に人質事件といった偽の通報をし相手の家に送り込む「Swatting(スワッティング)」という悪質極まりない行為のせいだとの声が上がりました。
警察の調査の結果、SWATの出動は『Call of Duty: WWII(コール オブ デューティ ワールドウォー 2)』の賭け試合に負けたプレイヤー2人が引き起こしたもので、被害者は完全に無関係な人物だという最悪な事態だったことが判明しました。

事件の経緯
CoD:WWII: わずか1.5ドルの賭け試合でスワッティング、無関係の男性が射殺される

    アメリカの28日午後、UMGというサイトで掛け金1.50ドル(約169円)の試合が行われる。
    敗北したチームの2人のプレイヤーM1ruhcleとBaperizerが激昂しお互いをTwitter上で挑発。
    M1ruhcleが無関係の近所の住所を自分の住所だと伝える
    Baperizerが、12月上旬にもテキサス州ダラスのイベントでもスワッティングを行ったと目されている人物(Swatter)にその住所を伝える
    依頼を受けたSwatterが、カンザス州の地元警察に「父が銃を持ち家族を人質にして自殺を計っている」と嘘の通報
        12月31日追記: 警察が通報の記録を公開し、「通報者自身が父の頭を撃ち、家族を人質にしている。 家にガソリンを撒いた。火をつけるかもしれない」と通報者が発言していたことが判明しました。
    SWATは通報を受けた無関係の住所に突撃、住民のAndrew Finch氏が玄関から出たところを射殺される。
    報道後、当事者のプレイヤー2人のTwitter凍結。その後削除。通報した犯人はIDを変更
    現在警察は、より詳細な調査を継続中。

偽の住所を公開したM1ruhcleは「誰かが自分をスワッティングしようとして、無実の男性が殺された」とツイート。 スワッティングを行った人物は「自分がSwatしたガキの家がニュースに出ている」、「自分は誰も殺していない、なぜなら銃を撃ったのは自分ではないし、SWATの一員でもないからだ」とツイート。 当事者達のあまりにも無責任極まりないツイートには言葉を失います。

Andrew氏の遺族が会見
突然命を奪われたAndrew Finch氏の遺族が会見に出席。 母親のLisa Finch(リサ・フィンチ)氏は「息子はゲームをしなかったし、スワッティングという行為の存在など知らなかった」と涙ながらに話しつつも、失望からの乾いた笑みまで浮かべ、怒りと混乱の様相が激しく伝わります。 またAndrew氏は銃を持っていたわけではなく非武装だったと伝えられています。また、Lisa氏は「息子は誤報で警察に殺害された」と警察の手順も厳しく批難しています。
「スワッティング」という行為が引き起こした今回の悲劇ですが、アメリカの警察はこれまでにも何度も無実の人間に危害、もしくは殺害を行ってしまったことや、Andrew氏へのSWATの対応が正しかったのかという点も合わせて、全米のニュースで注目される事件となっています。 地元警察は出動した隊員達の体に取り付けてあるビデオカメラの映像を公開しています。 (アメリカの警察はボディカメラの着用が義務付けられている)
(略)
スワッティング問題は度々目にすることがありますが、警察は全ての通報の真偽を確かめる余裕がないためにスワッティングが減ることはありません。 特にアメリカは銃の所有が信じられないほど簡単なせいで、ほぼ毎日の様に銃撃事件が発生しておりSWATの出動も頻繁にあります。 先日ある番組が13歳の俳優を雇ってお酒、タバコ、宝くじを購入できるかテストしたところ、どのお店の店員も販売を拒否しましたが、ガンショップで銃を買えるか試したところあっさり購入できてしまうという結果が出ています。
(略)

続報によれば偽の通報を行った容疑者は逮捕されたそうで、過去にも放送局への脅迫で逮捕歴があると言うことからもかなり筋金入りなのでしょうが、しかしこの場合誰がどういう罪でどの程度の処罰に値するものなのでしょうか。
もともとこの人物はこうした行為を行う存在だと知られていたそうで、もちろん直接の実行犯であるとは言えるのですが、そもそも彼をしてそうした行為を実行させたのはゲーマーBaperizerの軽率な行動であったわけです。
そして元々のトラブルの発端であるゲーム中でのトラブルを最初に引き起こし、また自らの住所と偽って赤の他人の住所を教えたM1ruhcleの責任を問う声も少なくないようで、まさかM1ruhcleもこの結果は想定外でしょう。
ちなみに同じゲーム内でのトラブルでやはりSwattingに至った別事件の場合、犯人は対戦相手のIPアドレスから住所を割り出したのだと言い、住所を明かさなければ大丈夫とも言い切れないところに恐さがあります。

誤報だろうが何だろうがいきなり武装警官隊が出動してきて、しかも場合によっては即射殺されてしまうと言う点ではいかにもアメリカらしいニュースなのですが、しかし偽通報自体は日本でも問題になっていることです。
昨今世界的なテロ頻発とも関連して、犯罪予告や怪しい通報などには警察のみならず世間も対応せざるを得なくなっており、数年前には人気漫画のイベントが脅迫により中止に追い込まれた事件もありました。
特に往年の名作映画「新幹線大爆破」よろしく時間も限られ、対応策も限定される状況での脅迫に対しどう対処すべきなのか、特に東京五輪など大規模イベントに関連して起これば大騒ぎにもなりかねません。

愉快犯も含めたこの種の行為に決定的な対策はないそうですが、誘拐事件などと同様こうした方法が有効であると判ればますます事件が続発する危険性もあって、マスコミが大げさに報じない方がいいと言う意見もあります。
また興味深い指摘として、この種の事件を行う犯人は必ずしも悪意があるわけではなく、むしろ当事者意識として正義感から行っている場合が少なくないと言う声もありますが、宗教絡みのテロと同様むしろそちらの方が厄介そうですよね。
なおこの種の脅迫で威力業務妨害と認められた場合3年以下の懲役または50万円以下の罰金になるそうですが、主催者や参加者から民事訴訟で訴えられる場合も少なくないそうで、大規模イベントともなると賠償額も大変な金額になりそうです。

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2017年12月 8日 (金)

NHK受信料判決がもたらす近い将来の予想図

すでに各方面で大きく報じられている通り、先日NHK受信料を巡って最高裁がこんな判断を下したそうです。

NHK受信料制度「合憲」 最高裁が初判断 携帯視聴では論点残る(2017年12月6日産経新聞)

 テレビがあるのに受信契約を拒んだ男性に、NHKが受信料を請求できるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は6日、「放送法の規定は受信設備設置者に契約を強制するもの」とした上で、受信料制度は「表現の自由を実現するという放送法の趣旨にかなうもので合憲」との初判断を示した。契約の成立時期は、NHKが未契約者を相手に裁判を起こし、勝訴が確定した時点とした。大法廷は双方の上告を棄却。男性にテレビ設置以降の受信料支払いを命じた2審東京高裁判決が確定した。

 15人の裁判官のうち14人の結論。木内道祥裁判官は「放送法が定める契約義務は判決では強制できない」との反対意見を述べた。
 「受信設備を設置した者は、NHKと受信についての契約をしなければならない」とした放送法の規定の合憲性が最大の争点。900万件以上とされる未契約世帯への徴収業務に大きな影響を与えそうだ。
 一方、携帯電話のワンセグ機能をめぐる訴訟では司法判断が分かれており、受信料をめぐる論点は今後も残されている。
(略)

NHK受信契約、成立には裁判必要最高裁(2017年12月6日日本経済新聞)

NHK受信契約をめぐる6日の最高裁判決は、受信契約が成立する時期について「裁判で契約の承諾を命じる判決が確定すれば成立する」とした。「契約を申し込んだ時点で自動的に成立する」とのNHK側の主張は退けた。契約を拒む人から受信料を徴収するためには、今後も個別に裁判を起こさなければならない

またいつまでさかのぼって受信料を徴取できるかについては「テレビ設置時点まで遡って受信料の支払い義務がある」とした。

NHK受信契約訴訟 契約義務づけ規定は合憲 最高裁大法廷(2017年12月6日NHK)

(略)
判決では裁判官15人のうち鬼丸かおる裁判官が、契約者に受信料の支払いという経済的負担をもたらすことを考えると、契約の内容は法律で具体的に定めるのが望ましいという補足意見を述べたほか、木内道祥裁判官は、裁判の判決によって契約を成立させることはできず、別の形でNHKが請求すべきだという反対意見を述べました。
(略)
この裁判では、4つの論点が争われました。

1つ目は、「放送法64条の規定が憲法に違反するかどうか」です。
(略)
2つ目は、「受信契約はどの時点で成立するか」です。
これについて最高裁は、「契約を申し込んだ時に契約が成立する」というNHKの中心的な主張は認めず、「NHKが裁判を起こして訴えを認めた判決が確定した時」だと判断しました。

3つ目は、「いつから支払いの義務が生じるか」です。
NHKが「受信機を設置した時」だと主張したのに対して、男性側は「契約が成立した時」だと反論していました。最高裁は、「同じ時期に受信機を設置したのにすぐに契約を結んだ人と結ばなかった人との間で支払うべき受信料に差が生まれるのは公平とはいえない。受信機を設置した時に支払い義務が生じるとした規定は、公平を図るうえで必要かつ合理的だ」としてNHKの主張を認めました。

そして4つ目は、「いつから時効によって支払い義務が消滅するか」です。
受信料の時効は5年ですが、いつから数えて5年なのかが争われていました。最高裁は、判決が確定して契約が成立した時が起点になるという判断を示しました。契約の成立から5年が経過すると、5年以上前の分の支払い義務は消滅しますが、今回のケースでは6日の判決で契約が成立したため、過去の分は時効にならず、テレビを設置した時までさかのぼって受信料の支払いが命じられました。
(略)
平成28年度末時点の有料契約件数はおよそ4030万件、平成28年度の受信料収入は6769億円で、NHKの事業収入に占める割合は96%、受信料の支払い率は79%となっています。

今回の裁判で原告側主張における最大のポイントが万人に受信料支払いを強制する契約の合憲性だったはずですが、15人中14人の見解による判断と言うのは意外と意見が割れなかったものだと言う気がします。
個人的な見解としては公共放送として法的に規定しているものであれば、徴収など無駄な労力の多い受信料契約制度などやめて別な方法をとるべきだと思うのですが、ともかくも画期的な判決ではありますよね。
ただ実際問題として個別に見ていけば他の争点の方が興味深いと感じたのですが、注目点の一つとして受信契約は今回判決で自動的に成立するわけではなく、個別に裁判を起こして判決が確定する必要があるとのことです。
ただでさえ全国的に紛争化しているこの問題に関して、NHK側にかなり面倒な義務を課すことで一定の足かせをつけたとも言えますが、今後未契約者のうちどの程度の割合が裁判になるのかが注目されますね。

もう一点として興味深いのは支払い義務が受信機設置の時点であるとされたことですが、今までは受信契約を結んだ時点からの支払いだったものが、非常に大きな変化であるようにも感じられます。
未払い分を請求するために必要な判断とも言えますが、逆に言えば未契約者に対していわば懲罰的な支払いを命じるルールであるとも受け取れ、未払い得は許さないとも受信料契約を促すとも受け取れる話です。
一般の契約視聴者は関係ないと考えるかも知れませんが、すでに報じられているようにNHKはテレビを持っていなくともネット同時配信をスマホで受信できる人々にも受信料を求めていく考えであるそうです。
これも当然NHKは見ないからと支払いを拒否するわけにはいかない道理で、将来的にある日突然過去のスマホ所有日に遡って受信料を請求されると言うことになるのかも知れませんね。


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2017年11月24日 (金)

ヌード写真を拡散させないため自らヌード写真を送信?

今日はちょっとした面白い試みと言うのでしょうか、妙に逆説的でよく判らない動きを紹介してみたいと思いますが、まずは先日出ていたこちらのびっくりニュースを取り上げてみましょう。

歌手シーア 全裸写真を公開でパパラッチに仕返し(2017年11月07日スプートニク)

豪州の歌手シーアさん(41)はプールで全裸で泳いでいる姿を隠し撮りし、高額で売りつけようとしたパパラッチに待ったをかける、いい仕返し方法を思いついた。シーアさんは逆に自分のほうからヌード写真を公開してしまったのだ。

シーアさんはツィッターのポストに「何者かが私の写真を熱狂的ファンに売りつけようとしています。そのお金、ちょっと待って。ほら無料で提供します。毎日がクリスマス!」と書き込んだ。

このポストは瞬く間にSNS上を飛び交い、何万件ものリツイート、何十万件もの「いいね!」を集めた

ちょっと何言ってるのか判らないと言う人もいるかと思いますが、要するに無断盗撮した画像でお金を稼げないように、同等品?を無料で提供すると言うもので、まあ理屈としては理解出来なくはないですよね。
そもそも自らのヌード写真を公開すると言う時点で一般人にはひどくハードルの高い行為ではないかと思うのですが、盗撮犯に仕返しをしたと多少なりとも気分が晴れると言う点で相殺出来るものなのでしょうか。
日本人ではなかなかここまで思い切れるものではないと思いますが、ただオーストラリアと言うお国柄がそうさせるのか、この種のプライベートな画像流出対策としてこんな実験も試みられているのだそうです。

FB、豪でヌード写真の送信呼び掛け 「リベンジポルノ」対策実験で(2017年11月9日AFP)

【11月9日 AFP】交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブック(Facebook)は、裸の画像や映像を本人の同意なくインターネット上に投稿する、いわゆる「リベンジポルノ」対策の一環として、オーストラリアの利用者に対し、実験的なプロジェクトに裸の写真を提出するよう呼び掛けた

 オーストラリアの成人ユーザーの中で、ヌードや性的にあからさまな写真をインターネット上で過去に他人と共有し、許可なく拡散される心配がある人は、豪政府の専門機関「eセーフティー監督官事務所(Office of the eSafety Commissioner)」に画像について報告

 そうしてユーザーはテキストメッセージアプリ「メッセンジャー(Messenger)」経由で自分自身に写真を送信する。この過程を経ることにより、フェイスブック側が写真を「ハッシュ化」し、個々の画像の識別情報を生成する。

 この情報を用いて、フェイスブックやインスタグラム(Instagram)、メッセンジャーでさらなる拡散を阻止することができ、インターネット上での虐待や搾取の手法として頻繁に用いられているリベンジポルノに対する予防策になるという。

 フェイスブックの広報担当者は、この実験には英米およびカナダも参加する見通しだとしている。

 ジュリー・インマン・グラント(Julie Inman Grant)eセーフティー監督官 は、フェイスブックで実験が奏功すれば、他のSNSにも拡大されると話している。

このリベンジポルノなる問題、本来的には勝手に画像を晒すような輩に何かしらのペナルティを科したいところなのですが、仮にそれが出来たとしても流出してしまった画像の問題は残ってしまうわけです。
サーバー会社に削除を依頼してもどこかでまた同じ画像が流出する可能性は常にあるわけで、特に削除依頼などが出たと知れれば面白がって拡散しようとする人は必ずいますから、いたちごっこが続きそうですよね。
こうした画像を自動的に削除ないし閲覧不能にすると言うことが技術的・法的に可能であるなら、画像流出問題に対してかなり強力な対抗手段になりそうだと言う気はしてきます。
今回の計画では画像流出をさせたくないと言う人は自ら宛てにヌード画像を送る過程で画像が認証されるようですが、やはりこれら作業の過程において画像が誰かに見られてしまうのではと言った、心理的なハードルがありそうには思われます。
今の時代ネット上に流れている情報はどこかで誰かに盗み見られる可能性があると考えるべきですが、冒頭の記事などを見ると豪州人的価値観では案外そうした部分は気にならないものなのでしょうか。

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