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2017年6月 9日 (金)

常態化する労基法違反に意外なところから反撃ののろし上がる

最近では何かと独創的な発言で話題になることも多いこちらの方ですが、先日のこちらのコメントも賛否両論で話題になっているようです。

「子供がいるから夫を早く帰させて」 くわばたりえ「あさイチ」涙発言に賛否(2017年6月7日J-CASTニュース)

   お笑いコンビ「クワバタオハラ」のくわばたりえさん(41)が、NHKの情報番組「あさイチ」に出演中に突然泣き出し、ツイッター上などでその言い分が論議になっている。

   2017年6月7日に生放送されたあさイチでは、「大丈夫? あなたや夫の働き方」がテーマになった。
   ゲスト出演したくわばたさんは、家族で働き方などを話し合ったことがあるかと問われ、自らの夫のことについて口を開いた。くわばたさんは、子供ができたとき、夫には、「早く帰って来られへんの?」と懇願した。しかし、夫は、会社では、子供がいても誰も帰っておらず、上司も残っているのにそんなことは言えない、と説明したという。
   そこで、くわばたさんも 「お互い帰れるようになったら、周りも帰れるようになるんちゃう?」 と反論すると、ケンカ状態になり、くわばたさんは、 「じゃあ、もういいわ」 と、以後、早く帰ることは口にしなくなったと明かした。

   くわばたさんには、現在3人の子供がおり、番組では、
    「なんで3人増えたときに会社の人が『お前ちょっと早く帰れ』って誰か言うてくれへんねんかなって、テレビを通じて会社の人に言っています」
とカメラに向かって呼びかけた。
(略)
   さらに、「ほんで、みんなでご飯食べて...」と話したところで、突然くわばたさんの目に涙があふれてきた。
   「もう泣いちゃうけど、本当に。みんなでご飯食べて、お風呂入りたいんだもん」と言って、ハンカチを取り出して涙を拭いた。これに対し、同じゲストの石田ひかりさん(45)は、くわばたさんに「がんばってるんですよ」と声をかけた。

   くわばたさんの発言と涙が放送されると、ツイッター上などでは、「涙された気持ちがよく分かります」などとファンらから励ましの声が寄せられた一方、くわばたさんの言い分は現実離れしているとの指摘も相次いでいる。
    「職場の人だって子どもが3人いるかもしれないし、自分だけ大変みたいに思わない方がいい
    「子供がいるから、を理由にするのは何か違うのでは?単身者、子供のいない世帯ならいいのか?という話」
   自分の夫が早く帰れるよう会社に呼びかけたことについても、
    「テレビで会社の事を悪く言われて旦那が可哀想だ」
    「夫の立場悪くなると思う」
などと夫を心配する声も出ていた。

ここでは反論する声として興味深いのが、こんなことを言ってしまうと夫の職場内での立場が悪くなると言う懸念が非常に多いと言う点なのですが、この点からも未だ職場で長時間労働を強いられている人が非常に多いと言うこと、そして当の本人や家族はそれを望んでいるわけではないと言うことがうかがえるような気がします。
まあ子供がいるから早く帰してと言われると少子化も進行する今の時代、色々な方面から反発を招きかねないところではあるのでしょうが、家庭生活を犠牲にして企業戦士(と言う言葉もすでに死語ですが…)としての活動に専念すると言うライフスタイルが今の時代、どれほど広汎に受け入れられているものなのか?と言う疑問は改めて考えてみてもいいように思いますね。
医療の世界でも特にメジャー診療科の医師などは昔から家庭生活崩壊が当たり前と言う空気がありましたが、学生や若手医師のマイナー診療科志向の高まりも今さらの話題となっていて、ほとんど院内で生活しているような人生を当たり前に許容する人ばかりでもなくなってきていると言うことでしょうし、少なくとも過労死しかねないような労働環境を大好きだと言う医師はそうそうはいないでしょう。
幸いにも医師の労基法違反であっても労基署がきちんと動いてくれるようになったとは最近しばしば聞く話ですが、世間的にはすでにもう少し先のところまで事態が進んでいるのだそうで、先日はこんなケースが紹介されていました。

「夫が言えぬなら私が言う」労基署に行く妻たち 子供のサービス残業を告発する親も(2017年6月7日日経ビジネス)

 広告代理店最大手、電通の社員自殺事件を機に、国を挙げて働き方改革が加速している。それに伴い、かつてなく強化され始めたのが、過重労働を放置する企業への取り締まりだ。
 労働基準監督署は労働者からの情報提供によって、違法残業している事業場を特定していく。2015年に労働基準監督署が全国で立ち入り検査した事業場は15万5428件に達する。その約7割で違反が発覚し、1348社が総額99億9423万円の未払い残業代を支払う結果になった。
 労基署に情報提供するにはどうすれば良いのか。直接労基署を訪問したり、電話相談したりする方法がある。電話や窓口による相談は年間約120万件にもなる。このほか、労基署のウェブサイトに届く情報も大量にある。多くは社員や元社員など関係者からによるものだ。ある監督官は「会社に不満を抱えていて我々に相談しにくるケースもある。捜査対象の見極めがとても大事」と打ち明ける。同じ事業場から同様の相談がきたり、過労死の危険性が高そうな事案が優先的に立ち入り検査の対象となる。

 実は労基署への通報者は本人だけではない。最近増えているのが家族からの通報だ。本人が望まない形で労基署が立ち入り検査のきっかけとなる通報もある。
 「息子の帰りが遅くて心配です。調べて頂けませんか」。中堅広告代理店に勤める若手社員の親が、息子の帰りが遅いと心配になって通報してきたケースだ。たしかにその息子の会社は残業時間が長い職場だったが、本人はその働き方に満足していた。
 この親の通報が功を奏したのか、ある日労基署から会社の代表電話に連絡があった。社長は残業代を全て払っていたので、思い当たる節はない。特に対応する必要性を見いだせず、無視することにした。すると、また2週間後に連絡がきた。
 この時点でやっと人事担当役員が弁護士に相談した。その弁護士が「放っておくと、役員が送検される可能性がある」とアドバイスされた。自分の身に危険があると分かった役員は慌てて、社長に報告し、労基署へ連絡した。
 数日後、労基署がやってきた。出勤簿を確認すると、長時間残業がひと目で分かる。労働基準法は全ての事業所に対し、従業員の所定労働時間は「1人当たり週40時間」までとするよう定めている。もっとも、現実問題としてこれで仕事が終わる企業は少ないので、そうした事業所は「時間外・休日労働に関する協定届(通称:36協定)」を労基署へ提出することで、「1人当たり月45時間」までの残業が認められる仕組みになっている。これでも足りない企業は「36協定の特別条項」により、年に6カ月間に限り、労使間で自由に残業時間を設定することが可能だ。この会社は特別条項は結んでいなかった
 だが社長は「残業代払っているのに何が悪い」と開き直った。あっさりとクロが確定してしまったため、労働基準監督官から是正勧告書が手渡された。
 勧告署に従って、改善することになったのだが、社員にとって喜ばしいものではなかった。社長は社員に対し21時以降の残業を禁止した。そのため残業代が支払われなくなり、社員の月給が15万ほど下がった。残業代を見込んで生活設計していた人も多く、稼ぎたい人を中心に辞めてしまった。社員同士で飲みに行くことも減り、コミュニケーションも悪くなった。中堅広告代理店の社長は「社員が望んでいないし、もう少し柔軟な働き方を認めてくれたら」と愚痴をこぼす
(略)
 こうした家族からの通報が増える要因のひとつとして、過労死予防に対する世間の関心の高まりがある。インターネットで検索すると労働基準監督署への情報提供方法を指南するサイトもある。弁護士が「相談、着手金無料で残業代を取り返します」といった宣伝文句で社員や家族を煽る例もある。社員の満足度を高めるだけでは足らず、家族までもケアしなければない。企業にとっては大きな課題だ。

いやまあ、21時以降も当たり前に残業している体制を柔軟な働き方と言っていいのかどうか、むしろ仕事以外何もない日常で生活が硬直しまくっているのではないかと言う素朴な疑問もあるのですが、記事にもあるように当事者はしばしば問題意識が乏しいものであり、そうであるからこそ雇用主にとっては長時間労働の利便性が高かったとも言えるのかも知れません。
残業問題で常に話題になるのが一つには記事にもあるように残業代が減ることでむしろ嫌がる労働者もいると言う点、そしてもう一つが単に仕事が遅いだけでダラダラと居残っている人の方が多くの残業代を稼ぐのはおかしいと言う点ですが、この辺りは労働報酬体系の問題であったり、そもそも人生における家庭生活の位置づけの問題であったりだとも言える話で単純明快な答えはないものなのだろうとも思います。
ただ一方で雇用主から望まない長時間労働をを強いられ、過労死にまで追い込まれてしまう方々も現実にいらっしゃるわけで、近ごろ多いセクハラ訴訟にしばしば見られるように「嫌がっているとは思わなかった」と言う認識のズレを改めるにはどうしたらいいのか、嫌がっている人に過重な時間外労働を強いずにすむ体制になっているのかと言ったことも検証しておくべきなのでしょうね。

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2017年6月 7日 (水)

やれる状況になくやってもいないはずの犯罪行為で連行される事件が発生

このところ世間を大いに賑わせているのが、都内の電車で発生したこちらの事件です。

「何を言っても女の意見だけで痴漢が成立する」 平井駅で痴漢冤罪? Twitterで多数の無罪証言も男性は警察に連行(2017年6月5日ねとらば)

 6月3日0時10分ごろ、総武線平井駅で客同士のトラブルが発生し、最大22分の遅延が発生しました。外国人とみられる女性が痴漢被害を訴えたことが原因とされていますが、現場を見ていた人からは「痴漢冤罪だ」「男性は無実」とする多数の証言が寄せられています。
 Twitterの情報によると、乗車当時この男性は片手でスマートフォンを使用しながら、もう片方の手で吊革をつかんでおり、両手がふさがった状態でした。一方、女性は男性に痴漢されたことを主張して殴る蹴るの暴行を加え、非常停止ボタンを押し通報。周囲の乗客は男性が無実であることを主張したものの、到着した警察は男性を電車から下ろし連行したそうです。
 実際にこの男性が痴漢を行ったのか、女性の勘違い(または故意)によるぬれぎぬなのかは不明。警視庁と平井駅を管轄する小松川署にも取材しましたが、回答は得られませんでした。

 この件についてTwitterでは、一部始終を見ていたユーザーから「見てて気分が悪かった」「(証人をにらむ)警察の目が忘れられない」「警察はどんなに無罪主張が多くても、疑われた人を逮捕する」といった声が挙がるとともに、広く拡散。また、痴漢を疑われた人が線路に逃げる事件が多発していることを踏まえ「そりゃ線路にも逃げたくなる」という声も。また、“女性を罰するべき”とする意見も多数挙がっているようです。
 電車内の痴漢は、5月15日に痴漢の疑いをかけられた男性が電車にひかれて死亡し、逮捕までの流れを問題視する声が挙がるなど、社会問題になりつつあります。また、根本原因ともいえる満員電車の解消や、男性専用車両導入なども望まれ続けています。


東京・江戸川区で「痴漢騒ぎ」により電車停止、視聴者撮影(2017年6月5日TBSニュース)

 怒号が飛び交う、駅のホーム。この映像は、3日午前0時すぎ、東京・江戸川区のJR総武線・平井駅で撮影されたものです。この騒動の発端となったのは、ある「痴漢騒ぎ」でした。
 警視庁などによりますと、総武線・津田沼行きの車内で、中国籍の20代の女性が「30代の男性に触られた」と痴漢の被害を訴えました。居合わせた人が非常停止ボタンを押したため、電車はおよそ20分にわたり、平井駅で停車したのでした。

 「被害に遭われた方いらっしゃいますか?」(警察官)
 「全員被害者だよ!みんなだよ!みんな!」

 その後、警察官が男性から事情を聴くため任意同行を求めますが、男性は興奮している様子。それもそのはず、この騒動の直前、被害を訴えた女性が「自分の顔にこの男性の肘が当たった」と主張し、男性の腹部を蹴ろうするなどのトラブルがあったのです。そして突然、女性が「男性は痴漢です」と叫んだのでした。
 しかし、この一部始終は近くにいた複数の人が見ていました。
 「『この人やってないんだからいいじゃん、もう終わらせろよ』という怒号も聞こえた。証人と思われる人たちも1、2人ついていった感じです」(近くの車両に乗っていた人)
 目撃者たちが男性とともに任意同行に応じ、「男性の無実」を証言。彼らの証言が決め手となって痴漢の疑いは晴れ、男性は帰宅したということです。

混雑する電車が長時間の停車を強いられるなど多くの人に少なからぬ影響もあったこの騒動ですが、幸いにも痴漢の疑いは晴れ無事に帰宅出来たのはよかったとして、そもそも多数の目撃者も存在し物理的にも痴漢など行えそうにない状況である中で、何故こんな大騒動になったのかと誰しも疑問に感じますよね。
痴漢を巡る冤罪騒動と言えば2009年に新宿駅で発生した痴漢騒動に絡んで暴行事件があり、被疑者の自殺と言う悲劇的な結末を迎えた一件が有名ですが、今回もこうした騒動が発生したと言うことで改めて痴漢冤罪の恐さを再認識したと言う人が多いのも当然と言えば当然でしょう。
ちなみに今回の事件で大勢の人々がこれだけ長時間不本意な拘束を強いられたのですから、損害賠償請求なりをすれば総額ではそれなりの金額になるのではないかとも思うのですが、この場合誰を対象に損害賠償請求をすべきなのかで意見が分かれるかも知れませんね。

このところ痴漢騒動と言うものが妙な形で話題になることが多いと言うのも先日以来紹介している通りなのですが、警視庁や鉄道会社もとうとう痴漢対策に乗り出していると報じられているものの、では一連の痴漢騒動のどの部分に力点を置いて対策するのかと言う点が問題ですよね。
例えば痴漢防止対策として完全に車輛を男女別に分けた方がいいのではないかと言う意見が根強いのですが、ではその区分を間違って(あるいは無視して)乗り込んでいた人が痴漢だ痴漢だと大騒ぎし始めた場合にどうなるのかで、まさか車輛を間違えたから痴漢されても仕方がないとも言えず難しいところだと思います。
このところようやく電車内への防犯カメラ設置の動きが出てきていて、表向きは痴漢など迷惑行為の抑制やテロ行為の防止などを目的としているとのことですが、当然ながら痴漢冤罪と呼ばれるものへの対策にもなる可能性も高く、その利用に当たって先に挙げた新宿でのケースでは防犯カメラの映像が適切に取り扱われなかったことも大いに教訓とすべきですよね。

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2017年6月 2日 (金)

うっかりボタンを押してしまうと契約成立に

未だにこういうものに引っかかる人も少なくないのでしょう、先日こんなニュースが出ていました。

金払わぬと中国に連れて行く…青森の40代女性被害(2017年5月29日毎日新聞)

 青森県警五所川原署は29日、津軽地方の40代女性が「有料サイトの登録料を払わなければ、中国に連れて行く」などと脅され、8回にわたって計816万円をだまし取られたと発表した。女性は、中国の国営新華社通信と同じ呼称の会社に未納料金があるとも言われたといい、県警は新たな手口の詐欺事件とみて警戒を呼びかける。

 女性の携帯電話に今月、「有料サイトに登録されている」と男の声で複数回連絡があった。女性は東京都内の住所などに計506万円を送金。その後「シンカシャツウシン」に電話するよう言われ、かけると片言の日本語を話す男から「310万円を払わなければ中国に連れて行く」とだまされた。知人に相談し、被害が発覚した。【一宮俊介】

しかし今さら紳士録商法に引っかかる人もそうそういないのでしょうが、こういった有料サイト云々と言われると良く判らないまま言いなりに支払ってしまう人も多いのはやはりネットが未だ身近でないと言うことなのか、年代別でこうしたものの被害の会いやすさを調べて見ると面白いかも知れませんね。
管理人などは風の噂として伝え聞くのみですけれども、怪しげなサイトでうっかりリンクを踏んでしまったところ入会に同意したものと見なされ高額な入会金を請求されと言ったワンクリック詐欺の被害者も未だ少なくないようで、こうした一方的な契約(とも言えないものですが)はそもそも無効であり、頭から無視して構わないと言うことになっています。
ところが先日報じられた民法改正に関連して、よくよく見てみるとこんな気になる話も出ていたことを御覧になった方もいらっしゃると思いますが、まずは記事から紹介してみましょう。

「同意ボタン」で契約成立、敷金は原則返還……120年ぶり民法改正で変わる“ルール”(2017年5月29日産経新聞)

 契約のルールを明確化する改正民法が26日、参院本会議で可決、成立した。取引条件を示した「約款(やっかん)」に関する規定の新設などが柱。契約に関する規定の大半は明治29(1896)年の民法制定から変わっておらず、約120年ぶりの抜本改正となる。
 周知のため施行は約3年後となる見通し。改正法では、約款が消費者が一方的に不利になる内容であれば無効となる。また、第三者の個人が企業向け融資の保証人になる際、公証人による意思確認を義務付けた。
 未払い金の消滅時効を原則「請求できると知ったときから5年」に統一することや、認知症の高齢者など判断能力がない人が結んだ契約は無効と明記することなども盛り込まれている。

 契約のルールが大きく変わることになった。今回の改正は、インターネット取引の普及といった社会の変化に対応しつつ、判例などで定着したルールを条文に明記し、国民に分かりやすい法律にするのが狙いだ。(滝口亜希)
 改正の柱の一つが、約款に関するルールの新設だ。
 「お試し価格500円の健康食品を注文したら定期購入になっていた」。国民生活センターにはネット取引をめぐる相談が多数寄せられている。商品を購入する際などに表示される取引条件が約款だが、小さな文字で書かれていて「注文時に気付かなかった」という声も少なくない

 これまでの民法には約款に関する規定がなかった。改正法では、ネット取引の「同意する」ボタンを押すなどして消費者が合意した場合や、契約内容として事前に約款が示されていた場合には、消費者が内容を理解していなくても約款が有効であると明確化する。
 ただし、消費者に一方的に不利な契約内容は無効となることも明記し、消費者保護にも配慮した形だ。
(略)

世間では簡潔に「同意ボタンを押すだけで契約成立」と報じられているこのニュース、考えてみるといわゆるワンクリック詐欺などもちょいと済みの方に約款を掲示するなどサイトの体裁を整えるだけで、形の上では契約成立の条件を整えられてしまうと言うことになってしまいそうですよね。
ここで問題になるのは「消費者に一方的に不利な契約内容」とはそもそもどのようなものなのかですが、世間一般には流通していない成人向けのケシカラヌ内容の画像や動画などを一定程度の料金で提供すると言う契約が「消費者に一方的に不利」なものと認識されるものかどうか、これはなかなか微妙なところであるような気がします。
当然ながらそうしたサイトにアクセスする時点でそうした目的を持って自ら能動的に契約締結を求めていると判断されるでしょうし、また画像の内容が料金と照らし合わせて妥当かどうかの判断も難しいところで、例えば市販されている写真集程度の健全かつ合法的な画像ばかりでも、それが何千枚とあれば市価に照らし合わせて数万、数十万程度の料金は妥当と考えられるのかも知れませんね。
実際にところは現時点でワンクリック詐欺などを展開しているサイトはこうした条件を満たしているとは到底思えませんが、詐欺と言うものの性質上法律の抜け道を突いてくるように臨機応変に変化していくはずですから、近い将来ワンクリック詐欺としても機能し、あわよくば合法的とも認定されるような体裁を整えたサイトが続々と登場してくるのかも知れませんね。

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2017年5月31日 (水)

未だ根本的解決策のないあの問題からさらにトラブルが派生中

このところ電車内で痴漢と疑われ、線路を走って逃げると言うケースが全国各地で発生していて、当然ながら極めて危険な行為であり中には死亡例まで出ているのですが、その背景には痴漢と疑われたら絶対に言いなりになってついていくな、逃げろと言う情報が広く拡散している背景があるようです。
もちろん実際に不届きな行為を行っている場合は論外ですが、先日テレビ番組が行った調査では床に置かれたカバンを持ち上げる行為を女性の実に4割が痴漢に疑われる行為と認定したと言う衝撃的結果も報じられていて、実際に捜査に当たっている警察官もこんな物騒なコメントを出しているようです。

【緊急取材】痴漢疑われた男性死亡~刑事に聞く、痴漢捜査の裏側(2017年5月16日TBSニュース)

■死者が相次ぐ

 また痴漢事件をめぐって死者が出た。15日午後8時過ぎ、帰宅ラッシュの田園都市線青葉台駅で、痴漢を疑われた男性が線路に飛び降り、電車に轢かれて死亡したのである。今月12日にもJR上野駅で痴漢を疑われた男性が逃走、近くのビルから転落して死亡している。線路を逃走するケースもあとを絶たない。彼らが本当に痴漢をしたのかどうかは分からない。だが、毎日朝晩、満員列車に揉まれるサラリーマンたちの間で、「逃走こそが冤罪防止の最善の策」という情報が広まっているのが現実だ。痴漢を疑われたら即逮捕――。これは本当なのか。現職の刑事たちに捜査の実態を聞いてみた。

■逮捕のカギを握るのは?

【竹内】痴漢容疑事案で逮捕するかどうか、どう判断するのですか?

【刑事】痴漢が発生したら、まず目撃者の有無を確認する。目撃者がいて被害者の証言と一致すれば現行犯逮捕する。いなければ被害状況の再現をして、被疑者が触れることが出来る場所に居たのか、被害者が触っている手や腕を見たのかを確認する。手を見たというのなら、腕時計とか、ワイシャツの袖の色を被害者に確認する。さらに手を辿って被疑者の顔を見たのかも確認する。
(略)
 警察が逮捕するかどうかは、「被害状況の再現」がカギを握る。このとき被害者の証言がブレたり、触った腕などを視認していなければ、微物鑑定を行うことになるようだ。微物鑑定とは、被疑者の手のひらについている繊維を鑑定して、被害者の服や下着の繊維と照合する科学捜査だ。手に被害者の体液が付着していないかも調べ、DNA鑑定を行うこともあるという。こうした鑑定を行う場合は、現行犯逮捕ではなく、いったん家に返され、鑑定結果でクロとなれば通常逮捕されるという。

■被害申告の常習者も

【刑事】女性の主張を吟味もせずに丸呑みしてしまう警察官が多いのも問題。中には示談金目当てで被害を申告する常習者もいるからね。俺が取り扱った事件でも危ないのがあった。被害者は大手企業勤務の女性だったのだけど、被害にあったのが帰宅ルートとはまったく逆の電車、しかも痴漢列車として有名な車両に乗っていた。被疑者は否認しているし、女性の説明もあやふやだったから、念のために他の署に照会したら、その女性はあちこちで痴漢被害を訴えていて、合計数百万の示談金をとっていることがわかった。一件につき、五十万から百万円とっていた。だからといって、実際に複数回被害にあう女性もいるわけだから、警察が被害申告常習者のリストを作るわけにもいかない。難しいところだ。
(略)
■どうやって冤罪を防ぐ?

【刑事】俺は満員電車には乗らない。朝は五時半くらいに家を出ているし、酒飲んで遅くなったら職場に泊る。酒を飲んでいれば、抑制が効かないと判断されて、不利になるからね。

【竹内】やっていないのに痴漢を疑われたらどうすればいい?

【刑事】俺だったら、被害者に対して「私はやっていません。一緒に警察に行きましょう。もし私がやっていないことが証明されれば、損害賠償を求めて提訴します。それでもいいのですね」という。線路に飛び降りて逃げようとすれば、痴漢の嫌疑が深まるばかりか、鉄道会社に損害賠償を求められるし、鉄道営業法にも問われる。通行人にぶつかって怪我をさせれば傷害罪に問われる。まったくいいことはないよ。

【竹内】堂々と合理的に説明して、逮捕されてしまえば裁判で争うしかないのですね。痴漢被害者を守りながら、冤罪を防ぐ根本的な解決策はないのですか?

【刑事】電車内のいたるところに防犯カメラをつけるか、電車の車両を完全に男女別に分けるしかない。痴漢被害に泣いている女性もいるわけだから、警察が捜査の手を緩めることはない。鉄道会社の努力も大事だと思う。

記事には犯罪的な意図で痴漢冤罪を産みだす女性もいると言うことが証言されていて、実際に金品目的あるいは愉快犯的にそうした行為を組織的に行う方々と言うのもいらっしゃるそうなのですが、もちろん大多数の被害女性は誰かの手によって被害にあっている不幸な犠牲者であろうと思います。
その意味で色々と言われる事も多い女性専用車両であるとか、最近話題の指定席通勤列車と言うものも意味があるのかと言うことですが、しかしさすがに満員電車には乗らない、酒を飲んだら乗らないと言うのでは世の大多数の人間にとっては根本的解決策にはなりそうにありません。
冤罪リスクを下げるため誤認の場合申告した女性にも罰則をと言う意見もあれば、いやそれでは泣き寝入りが増えるだけと言う意見もありで世間でも明確な結論は未だ出ていませんが、最近ではスマホアプリでボタンを押すだけで近くの弁護士が駆けつけてくれる痴漢冤罪保険などと言うものも登場していて、さすがに線路を走って逃げるのもどうよ?と言う方々には大いに人気なのだそうですね。
ちなみに女性の権利意識も強い海外ではこの問題はどうなのか?と言う素朴な疑問もあるのですが、そもそも日本のように日常的に満員電車に押し込まれる機会のない海外では他人に触るだけで満足感を得ると言う性癖自体が一般的ではないと言い、日本人がこれほど痴漢問題に悩まされている現状をあまり理解出来ないでいるようです。

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2017年5月26日 (金)

主義主張に忠実に生きる人々

動物愛護団体と言うとテロリスト化している一部の過激な集団のイメージが強いせいか、ついつい色眼鏡で見てしまうところもあるのですが、先日こんな動物保護団体が話題になっていました。

犬“殺処分ゼロ”を掲げるNPO、保護犬に不妊・去勢手術せず 杉本彩も「動物愛護ではない」(2017年5月25日週刊新潮)

■犬「殺処分ゼロ」でふるさと納税をかき集める「NPO」偽善の履歴書(下)

 広島県神石高原町に所在地を置くNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」が始めた「ピースワンコ・ジャパン」は、“県内の犬の殺処分ゼロ”を看板に掲げる団体である。その活動は日本テレビ系「天才!志村どうぶつ園」などメディアでも取り上げられ、人気バンドSEKAI NO OWARIは支援ソングを発表。神石高原町へのふるさと納税の形でもPWは活動資金を得ている
 ところが、今年3月に30を超える動物愛護や福祉関係の団体がピースワンコの代表者ら宛てに公開質問状を提出。その内容は、「ゼロ」と謳っていながら52頭が殺処分されている点や、保護犬に不妊去勢手術を行わずに譲渡を行っている現状について質すものである。

 質問状への回答によれば、ピースワンコの施設が収容する犬は1166頭で、不妊・去勢手術を施したのは27頭。また、施設での犬たちの暮らしぶりについて「犬の頭数に対してスタッフが少なすぎる」とピースワンコでのインターンを経験した女性は指摘する。
 調布市のつつじヶ丘動物病院の菅井龍院長は、
「一般論ですが、不妊手術をしていない1000頭以上の犬に対し、数十人で繁殖制限をするのは非常に難しいと思います」
 と、こう続ける。
「動物病院と愛護団体は一概に比較できませんが、目安にはなると思う。私たちの病院では獣医師や看護師以下、常時10〜12人で診療に当たっていますが、預かっている動物は多い時でも40匹を超えません。それでも日々の世話は大忙しです。1000頭もの施設をどんな体制で運営しているのか、興味深いですね」

 収容所の生き地獄が想像されるが、すでに別の問題も生じているそうで、横浜市のニュータウン動物愛護会の日向千絵代表が言う。
「ピースワンコには野犬だった犬が多く、すると脱走の危険があるのに、里親に譲渡するときも不妊・去勢手術をしません。ピースワンコは神奈川にも譲渡センターを設けましたが、私の耳に入っているだけでも東京と神奈川で計5匹、ピースワンコからの犬が脱走し、2匹は捜索願いが出されたまま。あそこの事業はどんどん施設を作り、広島の犬の置き場を全国に移しているだけだと思います」
 ちなみに、扱いきれない犬をピースワンコに戻すときには、15万円を添える必要があるのだそうだ。
(略)
 ピースワンコ・ジャパンの大西純子プロジェクトリーダーの話を聞こう。
「不妊・去勢手術にはメリットもあればデメリットもあって、メスは女性ホルモンの分泌が減って、筋肉や骨が弱ってしまう。オスはもともと“ビビリ”の子が多いのが、さらに臆病になってしまう。避妊は手術以外の方法でもできるし、私はそのほうが望ましいと考えています。健康な子にわざわざ手術を施す必要はないと思うんです」
(略)
「ペットショップだって不妊・去勢の判断は飼い主に委ねていますよね。ペットショップの犬だって、保護犬だって、同じ犬じゃないですか。いったいなにが違うって言うんです? だから私たちは、具体的には生理がきたメスを隔離することで、繁殖が起きないようにしているんです」
(略)
「現在、譲渡率は30%ほどで、施設がパンクしないよう、岡山県にも新しい犬舎を作っています」
 ふるさと納税を使い、収容数を際限なく増やしているだけのような。だが、話を戻し、発情期の犬が凶暴になったりしないのかと問うと、大西氏は、
「普段からメスに接する機会が多いオスは、メスに生理が来たって急に暴れたりしません。人間だって共学の男子生徒と男子校の生徒では、男子校のほうが女子に会ったときドキドキしてしまうじゃないですか。それと一緒です。うちのオスたちは、生理のメスがいるからって、ストレスを感じている様子はないし、“ふーん、生理なんだ、でも僕はお散歩のほうが好きだもん”というオスは、たくさんいるんですよ」
 野犬あがりにしては、立派な御犬さまが多いらしい。ところで大西氏、
「殺処分ゼロを継続し、いまに至るのです」
 と言うので、その定義について尋ねると、
殺処分器を使っての殺処分がゼロということ
(略)

聞くところによるとテレビなどでも取り上げられることが多いそれなりに有名な団体なのだそうで、しかし殺処分器を使わなければ殺処分ではないと言う発想はなかなか斬新に感じられるのですが、各地の動物愛護団体も殺処分ゼロを目指して動物を引き取ってはいるものの、その管理に四苦八苦していると言う現実もあるようですね。
記事を見ていてイヌの繁殖がどのようなものなのか存じ上げないので何とも言いがたいのですが、「生理がきたメスを隔離することで、繁殖が起きないように」コントロール出来るというのはどの程度確実なやり方なのか、実際のところ1000頭以上のイヌできちんと管理出来ているものなのかは知りたいですね。
ともかくも動物愛護と言うことに関しては人それぞれの考え方があって、インフルエンザシーズンなど皆さんが気軽に使用しているうがい薬や手指消毒薬などは数限りないほどの微生物に対して全く愛護的ではないと思うのですが、過激な動物愛護団体の方々が病院に押しかけて消毒薬のボトルを叩き壊して回ったなどと言う話はあまり聞いた記憶がありません。
それでも自己責任で自らの思想信条に従って生きる自由は誰しも持っているはずだと思うのですが、それが自分自身だけの問題に留まらず周囲に悪い影響を与えるとなると批判の対象になってくることもあるもので、先日報じられていたこちらのニュースなども話題になっていました。

グルテンフリー食を強いられた生後7か月男児、栄養失調で死亡(ベルギー)(2017年5月22日ブレーキングニュース)

生後7か月の我が子にグルテンフリーの食生活を強要していた両親。しかも乳児の成長過程に必要不可欠な栄養を摂取させず、2014年6月にその乳児は死亡した。このたび第1回目の公判が行われたことを英紙『Metro』や『Independent』が伝えている。

ベルギーのベーフェレンで自然食品店を経営している父ピーターと母サンドリーナの間に生まれたルーカス君は、2014年6月6日にわずか7か月の生涯を閉じた。死因は激しい脱水症状と栄養失調による餓死であった。ルーカス君が亡くなった時の体重はわずか4.3kgで、同じ月齢の子の平均体重の半分以下だったという。
5月15日に行われた公判で、検察官は「ルーカス君の胃の中は完全に空っぽで脱水症状を起こしていた」と検死解剖の結果を述べ、ルーカス君の死因は両親にあると糾弾した。
ルーカス君は死の数日前に呼吸が苦しそうな状態であったものの、両親は医師の診断を仰ぐことを怠った。また、ルーカス君をグルテン不耐症で乳糖アレルギーがあると勝手に思い込んだ両親は、自身が行っていたグルテンフリーの食生活を強要したうえで乳児にとって不適切な食事を与えていたのだ。

ルーカス君が普通の粉ミルクを飲ませた時に痙攣を起こしたことから、両親はグルテンフリーのオートミルクやライスミルク、キヌアミルク、セモリナミルクなど自分たちの店で販売している商品を飲ませていた。法廷で弁護人は「両親は、ルーカス君が何らかの摂食障害を持っていると思い込んでいた」と明かしている。
しかも両親は近くの病院へ連れて行かず、遠く離れたホメオパシー療法をする医師のところでルーカス君を診てもらっていたという。ルーカス君が死亡した時は、おむつの中に祈りのメッセージが書かれたカードが入れられていたそうだ。ルーカス君の健康状態に関しての記録はどの医師も保管しておらず、児童保護サービスもこの両親のことを知らなかったもようだ。
裁判で父親のピーターは「息子の異変に気付かなかった」と話し、母のサンドリーナは「息子の体重は増えることもあれば減ることもあった。決して息子の死を望んでいたわけではない」と涙ながらに供述した。

もはやテンプレ化しているようなキーワードが多数ちりばめられて眩いばかりの記事なのですが、さすがに自分のことならともかく罪もない子供を巻き込むなと言う批判の声は多いものの、程度の差はあれ子育てだとか子供の教育と言ったものには似たような側面があるのかも知れないとも感じさせられます。
ちなみにグルテンと言えば小麦等の穀物に含まれる蛋白質のことで、食物アレルギーの人が小麦含有食品を回避して普通に生活していることからも判る通り別に必須栄養素と言うわけでもなく、実際にはグルテンフリー食の強要が死の原因であったと言うわけではなく、全般的な食生活に重大な問題があったのだろうと思います。
しかし構図としては日本でもしばしば話題になった宗教的信条からの輸血拒否のケースと似ている部分もあると思うのですが、命に関わるような局面であっても思想信条を優先させることの是非はとかくの議論はあっても個人の思想信条の自由として保障されるべきだと思うのですが、では親の意思が子供にどれだけ反映されるべきなのかです。
親子とは言っても別人格である子供の命を親がどの程度左右して良いものなのか、輸血拒否事例については現在命に関わるような局面では親権を停止してでも子供に輸血は行うと言うことになってきていますが、普通ではないことをやっている人々に対して公権力等外部からの強制力はどのレベルから介入すべきなのか、こうした事件が起こるたびにその線引きの難しさについても考えさせられますね。

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2017年5月19日 (金)

意外と安泰だった日本の病院

先日以来OSのセキュリティホールを狙ったサイバー攻撃が世界的に大問題になっていますが、見ていますとなかなか興味深い現象も起きているようです。

英病院にサイバー攻撃 病院業務に支障(2017nenn5月13日産経新聞)

 【ロンドン=岡部伸】英BBC放送によると、ロンドンを含む英イングランド各地の国営病院で12日、国営医療制度、国民保健サービス(NHS)関連施設のITシステムに大規模なサイバー攻撃があり、多数の病院でコンピューターが使えなくなるなど障害が発生した。
 診察の予約をキャンセルしたり、手書きで事務手続きを行ったり、救急患者を別の病院に搬送したりするなど病院業務に支障が生じた。患者の情報が盗まれた形跡はなかった。

 攻撃は、コンピューターをロックし、解除する代わりに金を要求する「ランサムウエア」(身代金要求型ウイルス)とみられる。何者による犯行かは明らかではない。ビットコイン(仮想通貨)で金銭を要求するメッセージも出ていた。
 BBC放送によると、NHSネットワークとつながる中部ヨーク、ブラックプールなどの16病院が被害を受けたが、ウェールズやスコットランドなどの病院に影響は出ていない。


「PC全滅、何もできない」英医療機関が大混乱(2017年05月13日読売新聞)

 【ロンドン=角谷志保美、ベルリン=井口馨】12日に起きた「ランサム(身代金)ウェア」によるサイバー攻撃で、被害は全世界に拡大した。

 最も深刻な被害を受けた英国の医療機関は大混乱。病院などのコンピューターが次々と使えなくなった。医療現場の様子はツイッターなどで生々しく伝えられた。専門家は「過去最大規模のサイバー攻撃だ」と警戒を呼びかけている。

 「事務室のパソコンが、一台また一台と全てダウンした」「パソコンが全く応答せず、何もできない。患者が気の毒だ」「処方箋が出せない!」。12日午後1時半(日本時間同日午後9時半)ごろから、英国の病院や診療所、医療関係事務所などで、パソコンが次々とウイルスに感染。現場の医師や医療スタッフがツイッターで現場の混乱を発信した。

茨城・日立の日立総合病院でメール不具合(2017nenn5月15日産経新聞)

 世界各地で大規模なサイバー攻撃の被害が報告される中、社内システムが攻撃を受けた大手電機メーカーの日立製作所が運営する「日立総合病院」(日立市城南町)でも、メールの送受信などに障害が生じていたことが15日、病院への取材で分かった。

 病院によると、13日から職員のメールが送受信できなくなったり、添付ファイルの閲覧ができなくなったりするなどのトラブルが続いている。ただ、診察業務に支障は生じていないという。15日も障害は続いており、病院は復旧作業を急いでいる。

 データを暗号化して読めなくし、復旧に必要として金銭を要求する「ランサムウエア」(身代金要求型ウイルス)による被害が世界各地で起きており、同病院総務グループの三浦正浩主任は「本社(日立製作所)の技術者などが確認している」と話した。

イギリスではNHSのシステム自体に攻撃が加えられていたようで、多数の病院において診療に支障が出たと言うことなのですが、幸いにも日本では今のところ医療業務自体に目立ったトラブルは発生していないようです。
もちろん病院レベルでいくら対策を講じてもネットワークシステム本体がやられたのでは意味がないとも言えるのですが、日本の一般的な病院では電子カルテに連結した院内医療業務と、外部に接続されたネットワークは完全に分断されているのが通常で、データなどの中から外への持ち出しに関しても非常に面倒な手続きや制限がありますよね。
時折患者情報を含んだUSBメディア等を紛失したと言ったニュースが流れ、医療関係者の情報管理体制の甘さを批判する記事も見かけますけれども、個人情報の持ち出しにより将来発生するかも知れない被害を批判するなら、外部からのウイルス等の持ち込みによる現在進行形の被害はもっと叩かれてしかるべきで、今回被害を出した企業や団体は同情よりもまずは大いに批判されるべきだとも言えるかも知れません。

以前にネットワークセキュリティ対策として何が重要かと問われて素人の多くがウイルス対策ソフト等の使用と答えたのに対して、プロフェッショナルの多くは最新版へのアップデートだと答えた、と言う話を見たことがありますが、事実多くのサイバー攻撃がシステムをきちんと最新版にアップデートしておけば防げると言う声もあるようです。
ただ多くの企業では当然ながら業務内容に応じて独自に構築されたシステムを使用していて、アップデートしようにもまずは業務に支障が出ないかどうか確認してからでなければならず、そのためにかかる時間がタイムラグとなって攻撃を受けてしまうそうですから困ったものですよね。
日本の医療機関のように物理的に外部と遮断する方法などは原始的で余計な手間暇がかかるようにも見えるのですが、こうした攻撃に対してはそれなりに強固な防御力を発揮することを実証した形とも言え、各業界においても今回の騒動を検証した上でより強力な防御態勢を構築していただきたいものです。

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2017年5月 1日 (月)

日々信頼を失い続けていると言う自覚はあるらしい人々の弁

昨今テレビなどで活動されていると言う池上彰氏が先日、インタビューに答えてこんなことを言っています。

信頼失う新聞・テレビは滅ぶのか 池上彰さんが「楽観できない」と語る理由(2017年4月15日BuzzFeed Japan)

メディアの信頼性が下がり続けている。フェイクニュース(偽ニュース)や不正確な情報が、インターネットで急拡散する時代。私たちは何を信じ、どう対応すべきか。池上彰さんに聞いた。【BuzzFeed Japan / 古田大輔】
(略)
従来のメディアが信頼を失っているからこそ、フェイクが本当のニュースよりも広がる。池上さんは「アメリカで起こっていることは、日本でも起こる」と警鐘を鳴らす。
(略)
そもそもなぜ、メディアは信頼性を失っているのか。池上さんは、報道は本質的に危うさを抱えているものだという点から、話を始めた。
(略)
視聴者が見たいものを報じることが、業績を伸ばす近道。歴史的に見たメディアの現実であり、危うさだ。「ただし」と池上さんは付け加える。
ニュースに関しては、知りたくないことでも、伝えなければいけないことは伝えるという風にやってきた。そこが信用された」
その信頼性が、ネットの登場によって崩れたと見る。
ネットには新聞やテレビで報じられていないことが出る。『大新聞やテレビ局が報じない真実』という、昔の週刊誌のような見出しで。『ネットにしか出ていない。本当はこうだったんだ。新聞やテレビは隠している』という誤解が広がり、ネットの方が信頼できると感じる人が増える
週刊誌の影響力はそれを読んだ人に止まる。しかし、ネットでは「新聞やテレビは隠している」という記事に共感した人が、その思いをネット上に書き込み、不信感がシェアされる。他にも同じような不信感を抱いている人がいる、と可視化され、不信感は増幅していく
(略)
輪転機や販売店、電波などの情報の流通手段をメディアが独占し、何の情報を流すかを選別する「ゲートキーパー」の役割を果たすことは難しくなった
「まさに私も悩んでいます。自分で確認していないのに、ネットに情報を流す人がいる。それを見て『新聞やテレビが伝えないことをネットがいち早く伝えている』と捉える人がいる
ネットでスピードを競う。しかも、競争相手はかつてのようにメディア業界内だけではなく、ネットで発信するあらゆる組織や個人にまで広がった。
裏を取らずに書いてしまう危うさ。ウェブファースト、とにかくウェブを第一に急いで出せというのが背景にあるのではないかと思います」

もちろん、ネットは報道やメディアにとってマイナス作用しか持たない訳ではない。ごく限られたマスメディアだけではなく、あらゆる個人が情報発信できるようになったことで、マスメディアの情報を相対化し、検証もできる。「情報の民主化」とも言える。
問題は、それらの情報の中に不正確なものや嘘が大量に混じっていることだ。
(略)
「私たちのように常にニュースに接している人間であれば、これはおかしいとわかる。でも、みんながメディアリテラシーを持っている訳ではないところに恐ろしさがある。では、誰が対策を取るべきか。政府や公的機関が『これはフェイクニュースです』と言い出したら、これほど恐ろしいことはない」
そう、それは検閲の始まりを意味する。
(略)
報道の課題はファクト(事実)のチェックだけではない。論調にもあるという。元外交官で作家の佐藤優さんとの共著「僕らが毎日やっている最強の読み方」の中で、二人は新聞=客観報道の前提が崩れている、と指摘する。

“佐藤 顕著な例ではここ2~3年、慰安婦問題、歴史認識問題、集団的自衛権や安保法制の問題、憲法改正問題、原発問題、沖縄の問題などは、新聞ごとに報道のスタンスが大きく異なります。取り上げるニュースの切り口や論評が異なるだけでなく、「A新聞では大きく扱っている出来事を、B新聞は掲載すらしていない」というケースも珍しくありません。“

ネットはこの傾向に拍車をかけるのではないか、と池上さんは懸念する。ネットでは検索やリンクなどから、自分が見たい記事ばかりを見てしまうからだ。
(略)
「リベラルかコンサバティブか。自分の考えに近い論調の方を読んでいると快適です。それがずっと続くと、どんどんそっちに行ってしまう」
近年、注目を集めている現象だが、実は、新聞にも似たような作用があるのではないか。
「新聞は民間企業が自由に出せるから、いろんな新聞があっても悪いことではない。でも、一紙だけど読むと、結果的に、その考え方にどんどん進んでしまうという党派性がでますね」
「集団的自衛権を認めるかどうかというときに、読売だけ読んでいると反対運動があることがわからない。昔は、いろんな新聞がいろんな主張をすることは良いと思っていたけれど、結果的に世論が分断され、中身のある議論を交わすことが難しくなった。悲しい現実になっています」
(略)
分断された人々に対話をもたらし、社会課題の解決方法を共に考える。それが池上さんの考えるメディア、報道機関のあり方だという。
「アメリカのローカル紙の廃刊が続いています。なくなって初めて、読者は民主主義のインフラだったと気づく。そういうメディアがあるから、選挙報道があり、投票に行く。なくなってからでは遅い。民主主義を支えるインフラとわかってもらうだけの仕事をしないといけない」
(略)

引用部分には色々とキーワードがちりばめられていますが、結局のところ既存メディアが市民の支持を得られなくなったのはやはりその提供する情報の選別や記事の内容があまりに恣意的になっていること、より厳密に言えば元々極めて恣意的であったことは昔から変わらないのですが、それが恣意的であると言うことに多くの一般人が気付き始めたことが大きな理由であると感じています。
ただこの点に関しては池上氏らメディアリテラシーを持っている方々に限らず、普段から図書館などで複数紙に目を通す習慣を持っている人であれば誰でも知っていたことであり、むしろここ最近になってそんな当たり前の「偏向」がどうこうと大騒ぎし始めている人が増えたと言うことには何を今さらと言った感じではないでしょうか。
池上氏はネットニュースについては独自ソースを流すものを中心に考えているようですが、氏が考えているようなメディアリテラシーの欠けているライトユーザーこそ大手ニュースサイトで既存各メディアの報じるニュースを流し読みすると言う旧来の方法論に近いやり方をしているとも言え、この点ではむしろ既存メディアの発信するニュースが低レベル化しハッタリや騙しが効かなくなっていることを業界人は懸念すべきでしょうかね。
この点で既存メディアの中の人を見ていて感じるのが、どうも彼らは自分達は正しい報道を行っているのに世間から誤解されているのだと信じているのではないか?と言うことなのですが、この辺り池上氏のコメントを見てもどうも問題点の所在について認識がずれているのではないかと言う気がします。

そもそも池上氏にもその傾向があるようですが、既存メディアの中の人がしばしば口にするネット情報は検証が甘くいい加減であると言うのも典型的な誤解あるいは偏見で、もともとは専門知識もない既存メディアの記者が誤解と偏見に基づいていい加減な報道を繰り返している、その現実に憤りを感じた各界の専門家達がネットと言う手段を得て市民に直接事実を語りかけるようになったと言う側面も根強いわけです。
20世紀末頃から21世紀初め頃には特にその傾向が顕著となり、各種メディアから一斉にバッシングを受けた某業界なども自己防衛のために立ち上がった結果、既存メディアの報道が如何に現場の現実からかけ離れたフィクションそのものであるかと言うことを多くの市民に知らせる結果になったのは記憶に新しいところですよね(無論、ネットソースだから全て正しい、などと言う話ではありませんが)。
最近沖縄で唯一の保守系ローカル紙が本島に進出したことが報じられていて、それに対して二大地元紙と言われるリベラル系メディアが販売店に配達禁止を迫る通達を出していた、などと言うびっくりするようなニュースが出ていましたけれども、本質的なポイントとはそれが事実かフェイクかではなく、そんなことがあっても全くおかしくないとメディアリテラリーのある人々皆からも認識されてしまう状況の方ではないでしょうか?
そう考えると既存メディアが自主的に報道内容を検証するべきだと言う池上氏の考えも理念としてはいいのでしょうが、現状を考えると世間からは町の反社会的勢力に警察の役目をさせようとでも言うような斜め上のアイデアにしか見えていないのではないか、と言う気もするところでしょうかね。

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2017年3月31日 (金)

思いがけず炎上が続く油絡みのあの問題

先日何気なく紹介したよくある類の話題なのですけれども、何故か妙な具合に延焼が続いているようです。

速水もこみちオリーブ油騒動、マジメな人が笑いの対象に(20178年3月24日NEWSポストセブン)

 ネットの言論には、独特の論調がある。思いもよらないことが笑いの種となり、盛り上がることも。たとえば、BPO(放送倫理・番組向上機構)のHPで紹介される事例集は、ネット民にとってネタの宝庫となっている。人権侵害などの深刻な問題を論じる機構が公表する情報が、なぜネタ扱いされるのか。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が解説する。

 俳優・速水もこみちといえば、朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)内のコーナー「MOCO’Sキッチン」でオリーブ油を使いすぎることで知られている。ネットではこれはネタと理解されており、速水の半身がオリーブ油の中に沈んでいるコラージュ写真まで存在する。
 しかし、この伝統芸に対しBPO(放送倫理・番組向上機構)には「使い過ぎ」「家計に配慮すべき」といった意見が寄せられ、これをBPOは「視聴者のご意見」としてHPで紹介した。これが数々のメディアで報じられたが、ネット雑談界の歴史を踏まえると、2000年代後半以降、BPOのこの「視聴者のご意見」は重要な“ソース”となっていた。
 なにせ、あまりにも生真面目な人々が静かな怒りをもって正義の組織・BPOに訴えかけている様が喜劇に感じられ、2ちゃんねる等で笑いの対象となってしまう。
「高齢の父が『プロ野球中継が少ない』と嘆いている」や「地震の現場の報道で、住民はヘルメットをかぶっていないのに、報道陣はかぶっているのはおかしい」などの投稿が厳選され、紹介されているのである。これに対しては、「そこ問題視するところかよwww」などと笑いの対象になる。

 BPOでは「※無断転載はお断りします。公表している視聴者の意見について、転載を希望する場合には、事前にBPOにご連絡ください。」と、安易に使わぬよう釘を刺しているが、実際問題としてBPOの「視聴者のご意見」はネット民にとって娯楽を提供するサイトになっている。
 また、同様にネット民の重要なソースとなっているのが各地の警察署が発表する「声かけ事案」である。これは警察が怪しい人間の情報を発し、住民へ注意を呼び掛けるものだが、これも状況が分からず文字面だけ見ると、BPOと同様に笑い、ないしは「ここまで不自由な社会になったのか……」と皆で呆れるトピック化している。
(略)
 ネットには「マジメな人を嘲笑」の文化が根付いているため、今後SNSデビューをする諸兄が「通学時の声かけで不審者から子供たちを守らなくてはいけない」などと道徳的なことを書くと「女児にハゲ頭を見せつける事案が発生w」と煽られるかもしれないが、そこでキレてはならない。

速水もこみち、大量オリーブオイル使用は人体に極めて危険…間違った食の知識、スーパーに偽物蔓延(2017年3月28日ビジネスジャーナル)

 今月、テレビ番組『ZIP!』(日本テレビ系)内の料理コーナー『MOCO’Sキッチン』における速水もこみちの“オリーブオイル大量使用”に対し、視聴者より放送倫理・番組向上機構(BPO)に苦情が寄せられていたことが明らかとなった。
 同コーナーはオリーブオイルが多用されることで知られており、過去には1品の料理に1瓶丸々使用することもあった。また、速水は自身でオリーブオイルのプロデュースも手がけており、「コーナーで毎回のように大量のオリーブオイルを使用することで、自身のビジネスにつなげており、出演番組を金儲けに利用している」(テレビ局関係者)との批判の声も聞こえてくる。
 気になるのは、健康というイメージも広まっているオリーブオイルだが、速水のように大量に使用することは健康を害さないのかという点である。そこで今回は、『「隠れ油」という大問題』(三五館)の著者で植物油研究家の林裕之氏に解説してもらった。
(略)
 オリーブオイルの主成分はオレイン酸(オメガ9脂肪酸)で、50~80%の高率で含まれています。このオレイン酸は、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減らし、脂質異常症や動脈硬化を防ぐ効果があるといわれています。これが心筋梗塞や狭心症、脳卒中などの心血管疾患の予防に役立つといわれる根拠となっています。
 しかし詳しく分析した結果、魚介類を中心に野菜やナッツ類、フルーツをたっぷりと摂る伝統的な地中海食が良いのであって、オリーブオイルだけに健康効果があるわけではないとわかってきました。
(略)
 次に問題なのは品質偽装です。
 エクストラヴァージンオリーブオイル(EXVオリーブオイル)は、オリーブの実を絞った汁から不純物を取り除いた、いわばオリーブ100%ジュースで、オレイン酸のほかビタミンEやポリフェノールなどの抗酸化物質を含んでいます。ところが、世界中でEXVオリーブオイルの偽物が蔓延しています。
 化学的に精製されたオリーブオイルをブレンドしたものはまだ良いほうで、なかには大豆油や菜種油、ひまわり油にEXVオリーブオイルを少しだけ混ぜて、クロロフィル(葉緑素)で着色しただけの粗悪品もEXVオリーブオイルとして流通し、イタリアンマフィアの資金源になるなど問題となっています。
(略)
 健康に良いと思いながら使っているオリーブオイルは、かえって体に害をもたらす可能性すらあるのです。
 速水さんは、オリーブオイルのみならず、サラダ油を大量に使うことも問題視されています(註1)。サラダ油はオリーブオイル以上に危険性が指摘されています(註2)。速水さんは、油についての正しい知識は持っていないのでしょう。
 タレントとはいえ、食品を扱う以上品質や安全性に対する最新の正しい情報を把握していることが必須で、優れた健康効果もなく、油から摂る必要のないオレイン酸が主成分で高カロリーなだけのオリーブオイルを大量に料理にふりかけるのはやめるべきです。

速水もこみちへのオリーブオイル使いすぎ苦情にイタリアンシェフ「本場では普通」(2017年3月25日週間女性)

 『ZIP!』(日本テレビ系)ではおなじみの、速水もこみちの人気料理コーナー『MOCO'Sキッチン』。毎回オリーブオイルを大量に使う“もこみち流”の斬新な料理が大人気。そんな彼に思わぬクレームが届いたことがネットで話題になったという。

《朝の情報番組に、人気俳優の出ている料理コーナーがある。そこで使われているオリーブオイルの量は、料理一品に対して多すぎるのではないか。オリーブオイルは体に良いものであっても、使い過ぎるとどうなのか。そもそも、安価で簡単に手に入るものなのか疑問だ。視聴者の健康や家計などに配慮するべきではないか》

(略)
 都内にあるイタリア料理店のシェフは、
「本場のイタリアンでは、あれくらいのオリーブオイルを使うことは全然普通ですよ。むしろ作るものによっては、足りないくらいです」
 と速水の肩を持つが、ニュースはひとり歩きし広まった。クレームを送りつける視聴者心理はどんなものなのか。家族問題評論家の池内ひろ美氏に読み解いてもらった。

「相手にミスがあると感じ、自分が正しいと持論が展開できれば、何でもいいのだと思います。速水さんの場合も、健康を盾に取って揚げ足取りをしているだけなんです。現実に自分がオリーブオイルを1本使うことはないとわかっていても、クレームを言えるチャンスを逃さないんです」
 今後については「メディアがいきすぎたクレームに屈して“誤った表現がありました”と謝罪すると、クレーマーにとって成功体験になります。逆に、正当なクレーム以外が放置されるとわかると、つまらないクレームは減っていくと思いますね」と見通す。

とにかくもオリーブ油の豪快な使い方で有名と言ってもいいこの番組、過去にもこの種のクレームはついていると言う話も聞く一方で、最近では以前ほどオリーブ油を使っていないと言う話もあるそうで、それはそれで残念な気もするでしょうかね。
いくつか見た限りでは読者層を反映しているのか、男性向けメディアでは厳しい論調が多く、逆に女性向けメディアではやや抑制的なのかと言う印象も受けたのですが、いずれにせよ基本的に好意的な立場を取る側の人々にとっても別にオリーブ油が好きだとか体に良いだとか言う理由で言っているのではなく、あれはそういうものなのだと言う認識があると言うことですよね。
ただ今回はそうした番組そのものの是非よりもクレームの是非の方に話題が進んでいるようにも見えるところがあって、特に昨今この種のクレームについては何かと話題になりがちですから、そもそも真面目なクレームを笑いものにする風潮は如何なものか言う論調もあれば、あれはああいうものだと判っているのだから突っ込むのは野暮だと言う意見もあるようです。

番組自体は本格的な料理番組と言うよりも、俳優が演じることによりエンターテインメントとして成立させている側面が強い類のもので、その意味ではネタにマジレスと言う言葉がふさわしいのではないかと思うのですが、しかしクレームが付くから中止する、内容を改めると言うことは今の時代ありがちではあり、それがいいのか悪いのかは判断が分かれそうだと言うことです。
有名なところでは某国民的ネコ型ロボット漫画における女の子の入浴シーンが水着姿にされただとか、国民的家庭アニメで若夫婦の寝室に置かれていたティッシュ箱が消えただとか言う話があって、世の中何にでもクレームを付ける人はいるものだと思うのですが、逆にどれだけ批判が殺到しても我が道を逝くメディアもあるわけです。
どちらが正しいのかと言われるとどちらもそれぞれの判断で行われていることなのだとしか言いようが無いと思うのですが、当然ながら世間がそれを見てどう考えどう判断するかと言うこともあるわけで、今回の思わぬ騒動を世間ではどう考えているのかと言うことですよね。

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2017年1月 7日 (土)

既存メディアとネットニュース、どちらも本当であり嘘でもある

日本でもありそうな話ですけれども、先日アメリカでこんな事件が報じられていました。

偽ニュース、ネットで拡散=ピザ店に脅迫や銃撃-大統領選にも影響か・米(2016年12月24日AFP)

【12月24日 時事通信社】米大統領選では、虚偽の情報を記事のように仕立てた「フェイク(偽)ニュース」がインターネット上に広がった。事実と異なる内容を平然と語るトランプ次期米大統領に、そうした偽ニュースが追い風を送ったとの見方もある。今月初めには、デマに基づく銃撃事件が起き、米社会に衝撃が広がった。

 ◇デマ信じ「捜査」

 事件が起きたのは首都ワシントン郊外のピザ店「コメット・ピンポン」。4日午後、半自動小銃と拳銃で武装した男が押し入って発砲した。死傷者は出ず、男はすぐに逮捕された。首都警察によると、男はネット上のデマ「ピザゲート疑惑」を信じ、「私的捜査のために来た」と供述した。
 ピザゲートは、11月8日の大統領選直前から広がったデマだ。「コメットは児童売春組織の拠点であり、民主党候補ヒラリー・クリントン氏が関わっている」という妄想に基づく投稿が、ツイッターや匿名掲示板に拡散した。
 もともとコメットは、クリントン陣営のポデスタ選対本部長らのなじみの店。選挙前に告発サイト「ウィキリークス」が続々と暴露したポデスタ氏のメールに、店名が記されていた。
 10月28日、連邦捜査局(FBI)がクリントン氏のメール問題の再捜査を発表すると、ツイッターには「クリントン陣営が関わるコメットの児童売春が捜査される」とのデマが拡散した。「小児性愛の証拠」と称した画像や資料も次々に投稿され、極右サイト「インフォウォーズ」などがクリントン氏の「犯罪」を糾弾。コメットは脅迫にさらされた。

 ◇トランプ氏側近も

 この問題では、トランプ氏の側近らが偽ニュースをあおったことも表面化している。次期政権の大統領補佐官(国家安全保障担当)に就くフリン元国防情報局長官は11月2日、ツイッターに「警察が新たなヒラリーのメールを告発した。資金洗浄、小児性愛など。読むべきだ」と投稿。フリン氏の息子は銃撃事件後、「ピザゲートは、うそと証明されるまで存在し続ける」と書き込み、批判を浴びて政権移行チームを事実上解任された。フリン氏の投稿は既に削除されている。
 米報道機関や警察はピザゲートをデマと認定したが、コメットの店員は、事件から3週間近くたっても「電話やメールでの嫌がらせが絶えない」と語る。
 ネットでは「オバマ政権が疑惑を隠すため、俳優を雇って偽の銃撃事件を起こし、世間の関心をそらした」といった新たなデマが広がり始めた。ツイッターで「ピザゲート」と日本語で検索すると、陰謀論を肯定する多数のアカウントが、新聞やテレビによる「情報操作」を批判している。

デマの類というのは古今東西人の世の中から消えた試しがありませんが、こうしたネット経由で広く情報が拡散し共有されると言うのが今日的なデマのあり方であり、またその過程でいわゆるソースロンダリング的な行為が行われた結果真偽が判りにくくなっていくと言う効果もあるようで、未だに拡散を続けているデマの類も少なくありません。
興味深いのは記事の末尾にある「陰謀論を肯定する多数のアカウントが、新聞やテレビによる「情報操作」を批判している」なる一文ですが、ネット経由で拡散したデマである以上ネット利用者がその関与の主体であることは明らかだろうし、一般論としてもネット利用率の高い人ほど既存メディアに対する信頼感も薄い傾向はあるでしょうね。
この辺りは既存メディアの方では逆にこうしたネット批判的な記事を展開するケースが多くお互い様とも言えますが、先日は朝日新聞社会部が「相手に十分取材をして、記事を書く。そんな当たり前のプロセスが存在しない」とネットメディア批判と受け取られるつぶやきを発したところ「お前が言うな」の大合唱が起きたように、既存メディアとネットとはしばしば対立的な関係にあるように見えます。

今やニュースはネット経由でと言う人が新聞と肩を並べるほどだと言い、興味深いのは若年世代のみならずいわゆる情弱とも言われてきた60代ですらネットニュース利用率が過半数に達したと言う点、そして新聞を読まない人ほどネットニュース利用率が高いと言う点が指摘されています。
他方で若い人ほど既存メディアの代表格である新聞への信頼度は低く、50代以上ではおおむね4割であるのに対して若年層ではわずか2割ほどだと言うことですが、この辺りは調査方法や対象者選定によるバイアスが非常に大きいようで、既存メディアでしばしば取り上げられるのは新聞など既存メディアは高い信頼を維持していると言う調査結果に偏っているようです。
先日はローマ法王が誤った情報を拡散することは「メディアができうる最大の加害行為」と語ったと報じられ、特に冒頭の記事のような行為は罪であると批判したとも言いますが、媒体の種類を問わず誤報や捏造は常に発生し得るものである以上、その後にどのような対処を取るのかと言う点も信頼度の判断における一つの目安になるのでしょうか。

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2016年12月31日 (土)

ネット通販が業務拡大し宅配便サービスが破綻する日

年の瀬で忙しい最中、このところ労基署が仕事をしていると世間で報じられ注目されているのは周知の通りですが、一方で大変な過重労働にあると言われるのがこちらの業界で、その背景には特定顧客関連の業務の激増が大きな理由となっているようです。

「アマゾン多過ぎ」ヤマトドライバーから悲鳴続出、「利便性」が生んだ過酷な実態(2016年12月28日弁護士ドットコム)

あるセンターの前に出されたカゴ台車。Amazonの箱が複数目に入る
「12月に入って、3キロも痩せました」。首都圏のヤマト運輸に勤めるAさんは、入社10年以上のベテランセールスドライバー。体重が減るのは、長時間の肉体労働に加え、昼食の時間が取れないためだ。
「荷物が多くて、まとまった休憩が取れません。12月は、お歳暮、クリスマス、おせちと1年で一番忙しい。朝7時半から夜11時くらいまで働いています
実質的な時間外労働は「過労死ライン」と呼ばれる月80時間前後。「僕だけでなく、大半がそんな感じで働いているんです」
(略)
Amazonの配送はもともと佐川急便が受け持っていた。ところが、運賃の値上げ交渉が決裂し撤退。入れ替わりで、ヤマトが2013年から参入した。現在、Amazonの配送はヤマトを中心に、日本郵便や「デリバリープロバイダ」と呼ばれる中小企業などが受け持っている。
佐川が撤退するような運賃でもヤマトが手を挙げたのは、佐川とのビジネスモデルの違いが大きい。佐川の宅配便の多くは、下請け業者に代金を払って届けてもらっている。これに対し、ヤマトはほぼ自社ドライバーで届けることができる。配達効率を上げれば、利益が出る
しかし、目論見に反して、現場はパンク寸前だという。前述のAさんは次のように証言する。「この1年で周りのドライバーが10人ぐらいやめました。下請けの人にお願いして凌いでいるけど、社員自体はなかなか増えない。この間も、体験入社の子を1日、トラックの助手席に乗せたところ、『仕事が慌ただしすぎる』と言ってやめてしまいました」

●「送料無料」を求める消費者

Aさんはこうも述べる。「Amazonについて言えば、会社(ヤマト)が安く仕事を取って来て、現場に押し付けているという感覚です。そもそも『送料無料』は厳しいと思います。最近は、米や水など重いものもネット通販。消費者の方も『送料=手間賃』だと思ってもらえないでしょうか…」
送料が無料なのはAmazonだけではない。急速にシェアを伸ばしているヨドバシカメラなどもそうだ。野村総研が2016年に発表した「買い物に関するアンケート調査」によると、「ネットショップを選ぶ際の必須条件」は、「送料が安いこと」が約70%で、「価格の安さ」を上回る1位だった。送料無料の背景には、消費者の強い要望がある。
適正な送料をいただければ、給料も上がるし、人も増えると思うのですが…。ダッシュボタンも出て、これからAmazonやネット通販の利用はもっと増えますよね。肉体労働ですから、今のままでは、あと何年体がもつか、まったく先が見えません」

●「労働時間の削減」がかえってサービス残業を生む

ヤマトは今年8月、横浜市にある支店が労働基準監督署からの是正勧告を受けた。問題視されたのは、(1)休憩時間が法定通り取得できていないこと、(2)時間外労働に対する賃金が支払われていないこと。
労基署に窮状を訴えた元ドライバーによると、労働時間を短縮するための取り組みが、かえってサービス残業を生み出していたそうだ。
ヤマトの労働組合は、会社との協定で労働時間の上限を決めており、上限は年々短縮されている。しかし、業務量は増える一方。サービス残業しないと、仕事が回らない状態だったという。
ヤマトの社員ドライバーは5年前から約4000人増えて、およそ6万人。しかし、荷物の増加に追いついているとは言いがたい。単純計算だが、この間、社員ドライバー1人当たりの宅急便の件数が年3000件以上増えているからだ。
(略)
今年はクリスマス期間中に、佐川急便に大規模な遅配が発生し、大きな話題になった。ネット通販で生活は飛躍的に便利になったが、運ぶのは「人」だ。宅配便の増加に、業界が耐えられなくなって来ている
とはいえ、Amazonをはじめ、ネット通販の便利さを手離すことは難しい。Aさんに尋ねてみた。「利用者として最低限できることはなんでしょうか」。返って来た答えは、次のようなものだった。
「僕も『利用者』なんで、あんまり偉そうなことは言えません…。時間指定して、その時間必ず家にいてくれる、それだけでもだいぶ違います

不肖管理人も熱帯雨林を始めとするネット通販のユーザーですが、確かにあまりに小分けで送ってきてもう少しまとめてくれればいいのに…と感じたりだとか、小さな荷物が巨大な箱に入れられていて無駄が多く面倒だと感じることもあるのですが、ああしたものも配送が遅いだとか封筒では中身が破損する等々、それぞれユーザーからのクレームに対して順次対処していった結果なのでしょうね。
記事中にもある佐川撤退の顛末は以前にも紹介したことがありますが、基本的には送料無料だとか即日配送だとか利便性を求めるユーザーの声が運送業界の現場負担になっていると言え、下請けにツケを回さずにどこかの誰かがきちんと業務やコストを負担すればと言えば言えるのですが、では誰が負担すべきかと言えばそれは結局ユーザー自身であるとしか言えません。
近年運送業界の人手不足と高齢化が問題になっていて、いずれ運賃体系なども大幅な見直しを強いられることになると思いますし、そうなれば利用車側としても送料無料が当たり前と言う感覚を改める必要が出てくると思うのですが、一方で当事者である通販大手の方では最近こんなことを言い出しているそうです。

Amazonは空飛ぶ倉庫とドローンの編隊でフルフィルメントと配達の一式を空挺化へ(2016年12月29日テッククランチ)

Amazonは2013年から、ドローンによる配達に挑戦している。でもAmazonの最近の特許申請文書をよく見ると、Amazonが考えているのは単純に品物をドローンで運ぶだけでなく、フルフィルメントセンター全体を“空飛ぶフルフィルメントセンター”にしてしまう、という大規模な構想であることが分かる。つまりそれは、倉庫のツェッペリンだ(上図)。

この空挺型フルフィルメントセンター(airborne fulfillment centers, AFC)は、特定の品目の需要が近く急増する、と予想される地区の上空に、一定量の在庫を積んで停泊する。
このAFCには、食品の配達に適した冷蔵冷凍タイプも含め、各種のドローンが付随し、客が指定した日にち時間のスケジュールに基づいてAFCから送り出される
特許文書には、実際の例としてスポーツのイベントが挙げられている。今、下の方では、何かの種目の全国大会の決勝戦が行われているとき、上空のAFCにはスナック類や、スポーツファンが殺到する記念品が山のように積まれている。
さらにその文書は、AFCは音声や垂れ幕などによる広告媒体にもなりうる、と示唆している。

また、空輸配送を可能にするための複雑なネットワークシステムにも、言及されている。
空飛ぶフルフィルメントセンターや、それが装備するドローン船隊に加え、Amazonはさらに、人間や各種サプライやドローンたちをAFCの近くまたは地上に運ぶ、大型シャトルも構想している。
大型シャトルがドローンをAFCへ運ぶ、という形では、ドローンのエネルギー(電池)が現場での配達だけに使われる。
もちろん、この空挺型システムの全体が、Amazon全体としての在庫管理システムのサブシステムになる。そしてこのサブシステムを、空中や地上から適切なソフトウェアとリモートコンピューティングリソースが制御し管理する。
そしてシャトルや飛行船やドローンは、配達のために空を飛ぶだけでなく、全体がメッシュネットワークを構成して各種の情報を連絡しあう。たとえば天候や風の予報から、互いに、その日その時間帯の最適ルートを教え合うだろう。また地上でeブックを読んでいる人のためにコンテンツを送信することもできる。

文書に記されているこれら大小さまざまな構想がそれぞれ、今どれぐらいの開発段階にあるのか、テスト、あるいはローンチの予定はいつごろか、などについてAmazonに問い合わせている。AFCの巨大飛行船は、いつどこで、初お目見えするのだろう?
Amazonはまだ、何も答をくれない。

何とも空想的と言うことも出来そうな壮大すぎる計画に思えるのですが、実際にドローンによる配送はすでに行われ1時間どころか30分以内の配送も試みられているのだそうで、法律の整備が追いつかないほど急速に発達しつつあるそうですが、今回の件もいずれ本気で実用化しようと考えていると言うことなのでしょう。
実際にこうした配送が行われるようになればもちろん配送のための人員や手間が減るのはもちろんですが、ドローン配送の性質上その場にいて受けとらなければならないでしょうから再配達のリスクも大きく減少すると思われますし、当然配送のためのコストや機材は顧客とアマゾンが負担することになり多少なりとも料金負担の公平化が図られそうですね。
問題は世界的に見てももっとも宅配便サービスが発達した日本に関して言えば、これだけの人口密集とドローン離着陸に適した空き地の少なさ、街中での電線の多さなど様々な障害も予想されると言うことなのですが、近所のコンビニで受け取る代わりに近所の空き地で配送を待つと言うスタイルがいずれ日本でも定着するのでしょうか。

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