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2018年7月25日 (水)

独善的環境テロリストの新たな標的

先日から話題になっているこんな事件をご存知でしょうか。

仏で肉屋襲撃相次ぐ 菜食主義者犯行か、壁にメッセージ(2018年7月6日朝日新聞)

 フランスで肉屋が襲われる事件が相次ぎ、あらゆる動物性食品を避ける完全菜食主義者による犯行との疑いが出ている。業界団体によると、6月下旬までに50件ほどの被害が確認されており、肉屋の店主たちがたまらず政府に直訴。警察による保護を求めている。

 パリ郊外ジュイアンジョザスで今月2日の未明、肉屋を営むカルル・ピテルさん(48)の店舗兼住宅が襲われた。店のガラス扉が割られ、外の壁には「人間至上主義にストップを」とスプレーで描かれていた
 人間が生物の頂点に立つかのような発想を否定する、一部の完全菜食主義者がしばしば使うメッセージであることから、その関係者による犯行との疑いが出ている。
 ピテルさんは「食にも自由がある。肉食をやめろと誰が強制できるのか。肉屋を攻撃しても仕方ない」と語った。

 AFP通信などによると、仏では4月以降、北部リールなどで肉屋の店舗が血を模した液体で汚されたり、ガラスが割られたりする被害が出ている。「肉とは殺害である」などのメッセージも添えられていた。
 肉屋などの業界団体は先月、コロン内相に手紙を送り、「仏全土の1万8千人の食肉職人が事態を憂えている」として、警察による保護を訴えた。(ジュイアンジョザス=疋田多揚)

日本の調査捕鯨に対する環境テロリストの破壊的妨害活動がひと頃ずいぶんと話題になりましたが、当時逮捕された妨害活動船の船長が法廷で述べた得手勝手な論法にあきれた記憶があります。
今回の事件においても同様の自己中心的な思想に基づく行動であるとすれば今後も継続する可能性がありますが、しかし社会の末端で細々と商売をしている小売業者を攻撃するところが計算高いですよね。
日本の調査捕鯨船に対する攻撃も反撃の恐れのない日本相手だから出来ることで、気の荒い海外の漁師相手に喧嘩を売って反撃され這々の体で逃げ出したと言いますが、さて現地フランス国民がどう考えるかです。
ただ今までどちらかと言えば欧米諸国からは出撃する側であった環境テロリスト一派ですが、最近は足下のヨーロッパでの活動を強化していると言うことなのか、以前にイギリスからもこんなニュースが出ていました。

動物愛護は過激主義なのか 英で活動家と農家が対立(2018年02月1日ニュースジャパン)

英国で動物の権利保護を主張する活動家たちと、養豚場などの畜産業者たちが対立している。

動物愛護団体の活動家は自分たちの活動は非暴力的抗議だと主張し、畜産業はかつての奴隷産業と同じだと世間に認識させて世論を変えることが目的だと言う。

その一方で、農場の関係者は自分たちは育てる動物に誇りを抱いているし、「動物の安全を守ろうという人たちから、殺害脅迫状が送られてくるのは皮肉だ」と話す。

ちなみに日本においても人里にまで降りてくるクマ駆除に反対する方々がいらっしゃるようで、最近は特にクマ被害が増加し人的被害続出と報じられ対策が急がれている中でなかなか勇気ある提言だと思います。
無論彼ら保護団体にも思想信条の自由はあるわけですが、当然ながら畜産農家の方々にも思想信条の自由はあるわけで、自分だけは他人のそれを一方的に制約できると誤解しているのであれば怖い話ですね。
ただ今回注目したいのは漁師や捕鯨船ではなく、いずれも農家や食肉業者など再生産可能な産業を攻撃対象にしている点で、牛や豚は食っていいが野生動物はダメだ式の主張とは少し方向性に違いを感じます。

最近はいわゆる菜食主義の方々を中心にして、再生産可能な畜産関係への抗議活動も少なくないのだそうで、劣悪な環境にある生き物達を多数救い出したと言ったニュースもたびたび報じられているようです。
同じ他の生物を摂食するのに違いはないにも関わらず、菜食が良くて肉食がダメと言うロジックをどうにも理解出来ないと言う声も少なくありませんが、結局のところ他人に対する独善的非寛容である点が問題ですね。
ちなみに日本では例によってこの辺りを良い感じにあしらった画像が多数作られているのだそうで、かつての中国での反日騒動時の「日本鬼子」による反撃を思い出すところでしょうか。


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2018年7月11日 (水)

LGBTを巡る最近の話題

まあそうなのだろうなと感じる話でもあるのですが、少し前にこういう興味深い記事が出ていました。

LGBT問題 このままでは当事者たちの居心地は更に悪くなる(2018年4月21日NEWS ポストセブン)

 少数者(マイノリティ)への差別や偏見はよくない。現代社会なら、誰もがうなずく基本的な考え方だろう。彼らの人権を守るため、当事者やその支援者たちは様々に活動している。とくにLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の人権問題は、婚姻を法的に認める国や、パートナー制度を認める日本の自治体が増えるなか、世間の耳目を集めているテーマだ。ライターの森鷹久氏が、LGBTが注目を集めることによって起きる摩擦と、当事者の危機感について、考えた。

 東京・新宿の飲食店でユウトさん(20代)が記者と”偶然”出会ったのは、昨年の夏前頃。パートナーの男性と一緒に酒を飲んでいたところ、仲間に入れてくれ、といって間に入ってきたのは大手新聞社の記者を名乗る女性だった。
「酔った様子もなく、店に入ってきてからすぐ、僕らのところにやってきたので”アレ?”とは思いましたが……」
 そこは、ゲイの人たちが多く集うことで知られてはいるものの、異性愛者や女性も受け入れる店だったため、誰でも観光気分で楽しみにくることでも有名な場所だった。とはいえ、知人でもないゲイカップルにずかずかと近づく女性客は珍しい。ところがその女性記者は初対面にもかかわらず、どんどん酒を勧めてきて、二人に関することを根掘り葉掘り聞いてきた。互いに秘密にしていること、あえて聞かずにいたことなど、問われることで気まずい雰囲気になっていることもお構いなしに質問を浴びせつけてくる。そして最後に、こう言って笑い飛ばしたのだ。
「LGBTいいですよね、と言ったんです。レズビアンやゲイが”いい”とはどういうことなのか、僕らはポカーンとしちゃいましたが、その時は”理解者だ”と思って、彼女のことを受け入れました。しかし……」

 この女性記者の「いいですね」発言の真意は、その直後にいやでもわかることとなった。
「その後すぐ、ゲイカップルとして取材を受けてくれないかと、電話が来ました。気は乗らなかったですが、パートナーにも相談して……と返すと、二時間くらいでしょうか”あなたたちが声を上げないから国が良くならない”みたいなことを延々と説得されました。なんか、僕たちが悪者扱いされているようで不快でした……」
 結局、ユウトさんはこの女性記者からの申し出を断ったが、何度も受けた「説得」はもはや、脅迫ともいえるような高圧的なもので、とてもユウトさんたちのような性的少数者に「寄り添う」モノではなかったと回想する。
「”いいですね”というのは、取材対象として、またネタになる存在としていい、ということだったんでしょう。取材を受けない、と言った途端にパタッと連絡は止みました。しばらくしてまた連絡が入り”顔出しの取材”を受けてくれる人を紹介してくれ、としつこく言われました。最後は”顔出しでしゃべらないと意味がない”とか”(取材を受けないと)いつまでたっても社会に理解されない”とまで……」
(略)
 LGBTに限らず、最近はマイノリティの存在と権利を訴える動きが盛んだ。ユウトさんも、人権を守り、偏見や差別をなくそうという思いはもちろんある。だが、マイノリティと呼ばれる当事者には、一人ひとり異なる思いがあり、問題への取り組み方も人によって違うのに、声の大きな人が自分の運動の仕方に無理に巻き込もうとする動きが強くなっていることが、かえって世間の反感を買うのではないかと不安を抱いている。
「性的少数者だけでなく、ニューカマーの外国人問題だってそうです。多様性は重要だけど、そのことを利用して自分とどう関わりがあるのかよくわからないデモへの動員をかけたり、インタビューを受けさせられて、政治家への不満を答えさせたりするパターンが多い。そこでは、なぜか顔出しや自身のプロフィールをさらけ出せ、と半ば強いるように求められる。記者が僕たちに寄り添い、話を聞いてくれて、匿名の同性愛者の声として記事を書いてくれれば、それだけで嬉しいと思ったはずです。でもそこには必ず顔出しなどの”前提”がある。これがわからないんです。結局あなたたちは何がしたいのか? いいように使おうとしてませんか? と」
 前出の女性記者は、自分の記事を特ダネにしたいという欲望のために、マイノリティの人権のために戦うべきだという理屈を振りかざしてきたと感じたユウトさん。ユウトさんは断ることが出来たが、しつこく食い下がられて断り切れず、不本意な形で世間に向けてカミングアウトさせられた人がいる可能性もある。なかには、考えてもいなかった政権批判に結びつけられた記事に利用された人もいるかもしれない。
(略)
「とある番組に出たゲイの知人が話していたんです。”こういった人たちがいるのだ”で終われば済む話が、マスコミへの出方、報じられ方によって必要以上にセンシティブで腫物のような存在として社会に認識されてしまい、やはり打ち明けるべきではなかった、やはり社会は私たちを受け入れてくれなかったと、間もなく絶望しなければならないかもしれない、と」
 ユウトさんの知人は、某番組の出演前に、ディレクターから「オネエな感じを強調して」「白い目で見られたエピソードを多めに話して」などとアドバイスを受けていた。「私はゲイです」だけでは弱く、そこにドラマティックで、かつ虐げられているようなエッセンスを取り入れないと、番組が成り立たない、そう間接的に説明されたのだ。
「LGBTを知ろう、受け入れようという動きは、どちらかと言えば歓迎すべきこと。でも、LGBTであることを白状させようとか、政治家に文句を言うべき、国のダメさを訴えろ、と強要してくるようなことになってはいないか。それでは結局、性的少数者は以前より居心地が悪くなってしまいそうですね」

(略)

LGBTに限らずマスコミがよく使う手法で、時にマッチポンプなどと呼ばれるものですけれども、他方ではこうしたマスコミの取り上げ方を利用して声を大きくしてきた進歩的な方々もいらっしゃったのは事実です。
しかしそうしたお約束の流れに乗りたがらない人も増えてきていて、昨今ではマスコミではなくネットやSNS経由の方が自分の声を直接誤解無く届けられると考える人も多いようですが、マスコミとしては面白くないでしょう。
結果的によりセンセーショナルにネタとして取り上げる傾向が増強しているとも言え、社会的少数派であり、誤解を受けやすい立場の方々ほどマスコミとの付き合い方を考えるべき時期だと言えるのではないでしょうか。
さて話は変わって、こちら以前から個人的に関心を持っている問題なのですが、先日再度炎上していたと報じられていました。

「小児性愛者は認められるべき」TEDでの発言が大炎上! ペドへの社会的偏見が露呈、LGBTと同じ性的指向の1つか議論紛糾!(2018年6月27日トカナ)

 今年5月5日、ドイツ・ユリウス・マクシミリアン大学ヴュルツブルクで開催された講演会「TEDx」に登壇した医学生ミリヤム・ハイネさんが、「小児性愛者の社会的認識は変わらなければならない」と主張、大きな話題になっている。

 TEDxとは世界的講演会「TED」のフランチャイズ版講演会であり、世界各国で開催されている。ハイネさんのスピーチはTEDxの公式YouTubeアカウントで一度公開された後、削除された。そのためスピーチの全容を確認することはできないが、米超保守派オンラインメディア「Breitbart」(6月22日付)が、その概要を伝えているのでご紹介したい。
 スピーチでハイネさんは「小児性愛は自然であり、変えることのできない性的指向」であると主張、「幼児への性的虐待は間違っているが、何もしていない小児性愛者の存在は認められるべき」だと語ったようだ。さらに、これまでの科学的調査により、幼児への性的虐待を犯した小児性愛者らは強い社会的孤独感を抱えていることが判明していると指摘。小児性愛者であるとカミングアウトできない状況では、彼らを助けることができないとも。
 小児性愛者容認ともとれるハイネさんの発言に批判の声が集まり、TEDは火消しに追われた。しかし、ハイネさんの発言は本当に「Ideas worth spreading(広める価値のあるアイデア)」(TEDの標語)ではなかったのだろうか? 

 性的マイノリティを表す「LGBT」に代わり、それにペドファイル(小児性愛)・ズーフィリア(動物性愛)・ネクロフィリア(死体性愛)を加えた「LGBTPZN」という新しい概念が、2016年よりネットを中心に使用されている。これはもともと、性的指向という点においてホモセクシャルなどは小児性愛者やズーフィリアと変わらないという反LGBT的な意味でポーランドの保守的なキリスト教徒が造語したものだが、現在日本では小児性愛者を中心に肯定的な意味で使用される場合が多いようだ。ただ、反LGBT的な意味合いを持つことからも分かる通り、ハイネ氏のスピーチが猛バッシングを受けたのと同様、「LGBTPZN」に反発する人は少なくない
 しかし、歴史的に反LGBT的な意味の言葉だとしても、それとは独立に意味ある問いを提起する力がこの概念にはあるだろう。つまり、性的多様性の認知のために生まれたはずの「LGBT」というカテゴリーが、性的マイノリティである「PZN」に反対するとはどういうことか、という問いである。一つの回答は、「LGBT」がヘテロセクシャル(異性愛)の絶対性という社会的規範を打ち崩そうとするうちに、自分自身が次なる規範と化してしまったというものだろう。「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ」。ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェの警告がこのことを如実に表している。

 そして、ハイネ氏のスピーチを非難する人たちも同じように規範を持っていると考えられる。「小児性愛者の存在を認めてはいけない」という強固な規範である。だが、以前トカナでもお伝えしたロリコン紳士トッド・ニカーソン氏のように、どうしても幼い少女に対する気持ちを捨てられないものの、その欲求と格闘している極めて道徳的な人物も存在する。ハイネさんもスピーチの中で「幼児虐待は疑いなく間違っています。しかし、幼児を虐待しない小児性愛者は何も間違ったことはしていません」と語っているように、小児性愛という性的指向そのものは決して断罪されてはならないだろう。もし特殊な性的指向そのものを認めないということになれば、ヘテロセクシャルの絶対性への回帰でしかない。今後、小児性愛者の存在を巡って理性的な議論が巻き起こることに期待したい。

この問題に関しては以前から断続的に取り上げて来たところなのですが、LGBTの方々の大多数が善良で無害な存在であるのと同様、小児性愛者の大多数もまた善良で無害な存在であると言われます。
ところがLGBTの権利擁護が全世界的に広まりつつある一方で、何故か小児性愛への弾圧とも言える態度はますます増強しているようなのですが、反対派は小児性愛の正当化自体を否定する立場であるようです。
これはまさにLGBT肯定派が否定派に対してそうあってはならないと主張しているスタンスそのものだと思うのですが、どのような理屈で特定性癖に対する攻撃だけを正当化できるのかに興味がありますね。
LGBTの権利擁護を叫んできた進歩的な方々が今後小児性愛者の存在正当化にも尽力いただけるものと思いますが、個人的にはとある雑誌に掲載されていたと言うシンプルな文言が妙にしっくりきましたね。

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2018年6月 6日 (水)

ブラック企業=ただ働き強要の認識はすでに古い?!

あまりに非常識すぎると先日大きな話題になっていたのがこちらのニュースです。

「お金を払って働いて」まさかの求人に衝撃 告知の出版社「説明不足」と謝罪(2018年6月1日J-CASTニュース)

   試用期間中は「お金を払って働いていただく」――。出版社のエムエムブックス(岐阜県美濃市)が、こんな内容の求人告知を掲載したことが、インターネット上で波紋を広げている。
   ネット上で否定的な意見が相次いだことを受け、出版社側は「説明不足だった」などとして謝罪。あわせて、告知していた条件での求人は中止すると発表した。いったい、出版社側の狙いは何だったのか。

給与の支払いは「試用期間」の終了後

   エムエムブックスは2018年5月30日、「マネージャー&アシスタント募集」などとした告知を公式サイト上に掲載した。同社は、文筆家・編集者の服部みれい氏が設立した小規模な出版社で、ライフスタイル誌「マーマーマガジン」を発行している。
   今回の求人では、「『お金を払って働いていただく』という試みを行いたいと思います」と宣言。募集する人材の条件について、次のように記載していた。

    「試用期間中(1~3か月)、『ここで学んだ』ということに対して対価を払っていただける方

   スタッフが会社側へ支払う「対価」については、「みなさまが『学んだ』と思うに見合う額を自由にお支払いください」と説明。給与は、試用期間が終わった後から支払う予定としていた。
   業務内容に関しては、雑誌編集や書籍の執筆補助のほか、「畑仕事から犬の散歩まであらゆることが含まれます」。勤務時間は平日の朝9時から17時30分までだった。また、その他の募集条件として、

    (1)過去に編集経験があること
    (2)通勤時間が30分以内の場所に住んでいること

なども設けていた。

   こうした条件で人材を募集した理由について、服部氏は求人ページの中で、「仕事は、本当に『お金がもらえるから働く』がすべてでしょうか?」との持論を展開。続けて、
    「お金がほしいのではありません。お金が惜しいのでもありません。お金を払ってでもやってみたいという意欲がほしいのです。なぜなら、今後、本気で、人間がする仕事が、そういう仕事しか残っていかないとわたしも感じているからです」
などと訴えていた。

「労働基準法に思いっきり引っかかるのでは?」

   だが、労働者側が逆に会社に金銭を支払うという条件をめぐって、ツイッターやネット掲示板では批判的な意見が相次ぐことになった。「ブラックどころの騒ぎじゃない」「やりがい搾取より酷い」といった意見のほか、
    「そもそも労働基準法に思いっきり引っかかるのでは?」
と問題視するユーザーの姿も目立っていた。ただ一方で、雑誌のファンとみられるユーザーからは、「おもしろい採用方法」「すごい発想だ」との声も出ていた。
   こうしたネット上での反響を受けて、エムエムブックス側は31日朝までに、問題の告知ページを削除し、当初の条件での求人を中止すると発表。さらに服部氏の名義で、

    「不快な思いをされたかたにはたいへん説明不足だったと感じています。いずれにしても、不安感やお怒りを促してしまう結果になり、こころからお詫びをもうしあげます」

などと謝罪した。ただ、今後も求人は続けるとして、賃金や労働時間などの条件面については、
    「充分なお話し合いのなかで、適切な内容を決めさせていただけたら」
と改めて呼びかけていた。
(略)

不肖管理人は全く存じ上げなかったのですが、主力のライフスタイル誌は設立者氏のファンであれば読んでいて当然と言うものなのだそうで、意識の高い愛読者の方々からはかなり熱烈な支持を受けているようです。
同社側では社長までも含めて社内で十分に議論した上で打ち出した話だと言いますから大変なものですが、労基法上は実際に働かせた上で給料を払わなかった場合違法で、募集自体は違法ではないそうですね。
労働内容も非常にユニークで、雑誌編集部で編集経験者を求めると言えば編集業務かと思いきや、フルタイムの勤務で畑仕事から犬の散歩まであらゆることが含まれると言うのですから社畜どころの話ではありません。
現在同社では労働条件や待遇等に関しては世間には公表せず、当事者間で話し合った上で決めると言うことですが、今度は世間の目が届かない場所で何をしようとしているのかと訝しむ声もあるのは当然でしょう。
適正な労働と報酬に関して話題になることが増える中で、さすがにこうまでの話であればニュースにもなるのですが、むしろ世間的にはニュースにならないことの方が多く、先日こんないじましい記事が出ていました。

「お金の若者離れ」朝日新聞の投書が話題 「全国紙に載るようになったのは一歩前進」という声も(2018年5月7日キャリコネ)

若者の○○離れ」が聞かれて久しい。ライフスタイルや価値観の変化が影響していると見られるが、これらに加え1つの要因となっているのが「お金の若者離れ」だ。
朝日新聞に5月5日、「『お金の若者離れ』現実知って」という投書が掲載された。投稿者は20歳の大学生で、数々の「若者離れ」について「根源にあるのはお金の若者離れ」ではないかと疑問を呈している。

「高度成長期の人に『最近の若者は夢がない』と言われるのはうんざり」

国税庁の2016年の調査によると、20代前半の給与平均は258万円。投稿者はこの額を引き合いに出し、

    「月々の家賃や水道光熱費の支払いに加え、奨学金の返済がある人もいる」
    「支払われるかどうか分からない年金のことを考え、貯蓄に回す分を含めると、思うように使えるお金はほとんど手元に残らないのではないだろうか」

と、給与額の不十分さを指摘。車や旅行の需要が下がったのではなく、「若者に回るお金は少なく、車や旅行が高嶺の花」だという見方を示した。こうした状況の中で、上の世代から「若者は夢がない」と言われることについては、

    「右肩上がりに経済が成長した時代の感覚で物事を考えている人から『最近の若者は夢がない。欲がない』と言われるのはうんざりだ

と不満を爆発させている。

DeNAトラベルが10代から30代の若者を対象に実施した調査によれば、「本当はやってみたいこと」の1位は旅行だったという。自動車工業協会が若年層向けに行った調査では、「車を買いたい」「買いたくない」がほぼ半々に分かれた。買いたくない理由に、「今まで以上にお金がかかる」「貯金が少ない」など、経済的な要因を上げる人も多い
投稿者の大学生が言うように、「お金があればやりたい・買いたい」と考えている若者も相当数いることだろう。

「今は『若者』の段階を過ぎて『お金の国民離れ』に突入していると思う」

ネットでは、記事を読んだ人から様々な反応が上がっている。「10年前から言われてることじゃん」「今更感が凄い」という感想もあるが、「全国紙に載るようになったというのは一歩前進…なのかなぁ」と肯定的に受け止める声もあった。上の世代からも、
    「我々の若い頃も、お金があったわけではないけれど、親の援助が多少あったりしてもう少し余裕があったように思う。今は親子とも余裕が無く、さらに学費は高くなり、何もかも厳しい。とても若者に問題があるとは思えない」
と、共感する意見が出ていた。
(略)

雇用状況は改善傾向にあるとは言え、若い世代の節約志向は完全に定着しているようですが、ここで注目頂きたいのはマスコミがしばしば使いたがる「若者の○○離れ」式フレーズへの反発の根強さです。
大部分の○○離れに関しては、そもそも若者は離れる以前に最初から近づいてもいないと言う意見もあるそうですが、ともかくも若者自身へのアンケートでもっとも若者が離れているものに選ばれたのが車で、要するに不要不急の贅沢品扱いだと言うことですね。
これに対して車を持つことが当たり前だった年長世代からは今の若者は物欲がないとの声もあるそうですが、冗談ではない、あなた達が安月給での長時間労働を強いるから車など買えないのだと反発するのも当然です。
車の価格も年々高くなる一方ですから、安月給の中から将来のための貯蓄に回している堅実な若者ほど車離れが深刻であるとも言えるし、黙って給料を上げれば車離れなど解消すると言われればそうかとも思えますが、そもそも論として問題視すべきなのかどうかです。

元より時代とともに興味の対象が移り変わるのは当然で、若者の○○離れを嘆く年長世代もまさか自分達の若い時代に立派な太刀や豪華な鎧兜を大金を払ってでも手に入れたいとは思わなかっただろうと思います。
実際にお金があっても車など買わない、必要ないと言う人も少なくないとも言いますが、他方で若者のやりたいことのトップは旅行なのだそうで、自由になるお金や時間が乏しいのだろうなと想像させられる話ですよね。
そして若者にしろ年長者にしろ結局は時代の変化であり、無理に昔ながらの流儀を追う必要はないと言う声が少なくないのですが、その点で興味深いのは若者の○○離れと熱心に語りたがるのがほぼマスコミに限られていると言う点です。
○○離れを批判する前提として、○○に寄り添うことが正しいと言うニュアンスも感じるのですが、マスコミが本音でもっとも気にしているのが年々急速に進んでいる若者の新聞離れ、テレビ離れであるのかも知れませんね。

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2018年6月 1日 (金)

例えば1%の顧客が10%のリソースを消費し0.1%の利益にしかならない場合に

不肖管理人もネット通販はよく利用するし、今まで商品トラブルで返品と言う経験は幸いなかったのですが、世の中そうではないと言う場合も少なくないようで、先日こんな興味深いニュースが出ていました。

Amazon、返品しすぎるユーザーを追放(2018年5月23日フロントロウ)

 オンラインサービスのアマゾン(Amazon)が返品を繰り返すユーザーに対して、注文できなくする措置を取っていることに批判が殺到している。

 世界中で3億人以上が利用するアマゾン(Amazon)には、届いた商品に問題があった場合に、無料で交換や返金が出来る返品サービスがある。
 このサービスを利用しすぎると警告を受けるほか、アカウントを閉鎖される厳しい処置がとられることに対して、不満の声が上がっている。

 ある利用者は1年間に返品サービスを6回利用しただけで警告書が届き、ほかの利用者は343のアイテムを購入し、そこから37のアイテムを返品したところ、アカウントが閉鎖されたという。
 さらに、The Wall Street Journal紙によると、何の通知もなく突然アカウントを閉鎖させられたユーザーもいるといい、こうした返品に関するクレームはSNSに多く投稿されている。

 アマゾンの返品ポリシーには、返品サービスの過剰利用を禁止するようなルールは存在しない。それにもかかわらず、「返品のしすぎ」によりアマゾンから何かしらの措置を受けるユーザーの声が多く上がり、波紋が広がっている。
 そんななか、Amazonの広報担当が声明文を発表。

 「すべてのユーザーがAmazonを使えるようになってほしいと思いますが、弊社のサービスを過剰利用しているケースが稀にあります」と説明し、返品サービスを過剰利用したユーザーに対してなんらかの措置を取っていることを認めた。
 そのうえで、不公平な対応をされたユーザーについては、問い合わせをすればアカウントを見直すということも声明で発表した。

 無料で返品できるからこそ、より多くの人が気軽に利用したこのサービス。世界中に3億人以上のユーザーを抱えるAmazonにとっては、その負担は思った以上に大きかったのかもしれない。

契約関係である以上、規定に示されていない対応を取られると言うのは愉快なものではありませんが、実際にこの種の通販サービスで過剰な返品問題は以前から問題になっていたと言いますね。
もともと日本では2009年に通販商品は原則8日間返品可能となる法改正がなされましたが、世界的に見ると通販業者にとってはしばしば4割にもなる返品率の高さが大きなコスト負担になっているそうです。
実物を見ずに取引する以上店頭販売より返品率が高まるのは理解出来るし、実際詐欺紛いとは言わないまでも実物が写真と違いすぎると言った事例も未だ少なくないのですが、利用者側も全く無問題としません。
半ば試着目的で大量に注文しほとんど返品してしまうとか、人によってはいわゆるインスタ映えする写真を撮るためだけに次々と注文と返品を繰り返すと言ったケースもあるそうで、利用者モラルも問題となりそうです。

明らかに法律違反レベルのトラブルはお断りしても仕方ないと思いますが、この種の微妙な顧客の足切りラインの線引きを曖昧にしてきた日本社会においても、最近取引お断り事例が散見されるようになっています。
冒頭の記事にあるようなケースでは微妙な判断になるとも思うのですが、業者側からすれば返品を繰り返す顧客とは確かに利益率の低い顧客であり、下手すれば赤字になる以上縁を切りたいのが本音でしょう。
当然ながら取引お断りとなれば新たな顧客トラブルになりやすく、現場スタッフの個々の判断ではなく組織としての明確なルールに基づいての対応が望ましいはずですが、先日はこんなニュースが出ていました。

タクシーの「合法的に乗車拒否」広まるか 背景に乗務員へのモラハラ、セクハラ問題(2018年5月23日乗り物ニュース)

「運送約款」に具体例とその対処を明文化

 タクシー乗務員が、客からモラルハラスメント、セクシャルハラスメント行為を受ける事例があるといいます。
 東京、横浜を中心にタクシー事業を展開する国際自動車(東京都港区)によると、たとえば禁煙車内での喫煙や、無理な要求を迫りドライバーを罵倒する行為のほか、女性ドライバーがお釣りを渡す際に手を握られたり、運転中に後ろから髪を触られたりするなどの事例があったそうです。
 同社はこのような事態に対応すべく、運送行為において企業と利用者のあいだのルールを定めた「運送約款」を2016年2月に変更し、乗務員が利用者からハラスメント行為などを受けた際の乗車拒絶や慰謝料請求、喫煙された際の清掃代請求などを明文化したといいます。
(略)
――どのような経緯で運送約款を変更したのでしょうか。
 職場環境を整えていく過程で、「乗務員の声」を集めたところ、乗務員がハラスメント行為に我慢を強いられていた実態が明らかになりました。たとえばお客様からセクハラ行為を受けても、営業所から「仕事しにくくなるから我慢しろ」と言われた経験を持つ者もいます。「それはよくない」ということになり、乗車拒否などの対処が合法的に可能になるよう、約款を変更しました。

――約款変更後、乗車拒否などを実際に行ったことはあるのでしょうか?
 いえ、約款変更から現在に至るまで、実際に乗車拒否などに及んだことはなく、お客様によるハラスメント行為も顕在化していません。変更から半年間は、具体的なハラスメント行為をイラストで示したお知らせを運転席ヘッドレストの裏に掲示しました。これによりお客様の理解が深まったこともありますが、犯罪行為が抑止できている要因は約款の内容だけでなく、車内を撮影するドライブレコーダーの存在も影響しているでしょう。どちらかが欠けていては、抑止効果が薄いのではないかと考えています。

被害者は本当に多い? それでも約款変更が相次ぐワケ

 国際自動車は、約款変更の効果が最も実感されるのは、利用者への対処というよりも、「安全に働ける職場であると外部にアピールできたこと」だと話します。同社では2010(平成22)年から約款を変更した2016年までに新卒の乗務員を300人近く採用したといい、運送約款の変更は、若者を含むすべての人が安心して働ける環境を整える目的があったそうです。
 運送約款の変更には、その地域を管轄する運輸局に届け出て認可を受ける必要がありますが、国際自動車によると、同社が約款変更を発表して以後、東京都内を拠点とする事業者の6割がその届け出を行ったとのこと。大阪や広島など、他府県のタクシー協会からも問い合わせを受けたといいます。実際に同社へ詳細を問い合わせたという広島県タクシー協会の担当者は、次のように話します。
「もともと、各社の運送約款にはたいてい、『運送の引き受け及び継続の拒絶』といった項目があります。ただその内容には『公序良俗に反する行為があった場合』といったあいまいなものがあり、たとえば乗務員がお客様から暴言を受けた際、これに反しているのかどうか、その場では判断できないという声がありました。そこに、具体のハラスメント行為や、それへの対処を明記した条文を付け加える形で運送約款を変更しているのです」(広島県タクシー協会 担当者)
 担当者によると、県内のタクシー事業者から乗務員がセクハラ、モラハラ行為を受けた話は耳にするものの、実際の事例としてはそれほど多くはないとのこと。それでも、乗務員を守るために、運送約款の変更を運輸局に届け出る事業者が増えているといいます。
(略)

非常に興味深い話だと思うのですが、特にその効果として実際のトラブル減少と言うよりも、従業員採用の面での効果が大きいと期待されていると言うのは、この人手不足の時代にあって理解出来る話ですね。
特にありそうな話だと思うのが、明文化されたルールがなかった時代にはたとえ顧客から問題行為を受けても、上司から我慢しろなどと不当な対応を強いられたと言う点で、何処の組織でもあり得る話だと思います。
現場の危機感に対して鈍感な組織は当然ながら他の面でもスタッフに配慮が行き届いているはずもないので、トラブル対策のあり方も職場の働きやすさを評価するための重要な指標になり得ると言うことですね。

こうしたルールを決めると顧客差別とはケシカラン式のことを言い出す人もいらっしゃるようですが、利用マナーレベルならまだしも明らかに問題ある行為は許容されざることは当然で、むしろ今までが甘すぎたと言えます。
こうして明文化しなければ現場も対処に困ると言うことであればルールを決め、それに同意いただいた顧客にご利用いただくと言うことで良いのでしょうし、拒否されるなら他にもタクシー会社の選択肢は多いわけです。
うるさいことを言い出した結果売り上げが減って会社の経営が傾くのか、意識の高い会社であると利用者にかえって好評とともに迎えられるのか、今の時代むしろ後者の可能性もありそうに思いますけれどもね。

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2018年5月 1日 (火)

何をブロックしていいのかは誰がどうやって決めるべきなのか

このところ話題になる機会の多い海賊サイト問題について、先日こんな興味深い主張をする方々がいたと話題になっていました。

「日本の法体系ではあり得ない」 海賊版サイトブロッキング問題、弁護士がNTTコムを提訴(2018年04月27日ITmedia)

 弁護士の中澤祐一さんが4月26日、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)が予告している海賊版サイトのブロッキングの実施について「通信を妨害してはならない」として、同社を東京地方裁判所に提訴した。
 中澤弁護士はインターネットや著作権に詳しく、普段は発信者の情報開示請求や権利侵害コンテンツの削除要請などを行うなど、海賊版サイト対策には前向きな姿勢だ。しかし、サイトブロッキングという手段を取るNTTコムに対しては「日本の法体系ではあり得ない」と切り捨てる。中澤弁護士がNTTコムを提訴した理由とは。

 海賊版サイトを巡っては、政府がISPにサイトブロッキングを要請したという報道を受け、議論が過熱。日本国憲法第21条で定める「通信の秘密」や「表現の自由」を侵害する恐れがあるとして、複数の業界団体や法律関係者から反対の声が上がっていた。
 そんな中、NTTコムを含むNTTグループ4社は4月23日、政府が指定した漫画海賊版サイト「漫画村」と、アニメ海賊版サイト「Anitube」「Miomio」に対し「短期的な緊急措置として」ブロッキングを行うと発表。これを受け、全国地域婦人団体連絡協議会と主婦連合会が4月25日、NTTらに対し「刑事告発も辞さない」と意見書を発表するなど、一部の団体からは大きな反発があった。
(略)
 法改正なしのブロッキングは憲法第21条に規定される「通信の秘密」を侵害し、例外的に違法性を否定できる「違法性阻却事由」(いほうせいそきゃくじゆう)にも該当しないとする考え方が、これまで複数の弁護士や法学者から表明されてきた。
 「恣意的な判断で通信を遮断するのは、日本の法体系ではありえない。なしくずしにブロッキングが始まる前に、ここで何かしておこう」――中澤弁護士はそう考え、NTTコムの提訴に踏み切ったという。
(略)
 一方で、現在も児童ポルノサイトのDNSブロッキングは行われているという現状がある。回線契約者が接続しようとするドメインやURLはISPに見られていることから、「単に著作権侵害サイトのURLがブロックリストに加わるだけではないか」という指摘もある。
 これについて中澤弁護士は、「確かに、ISPに通信内容を見られることに関して拡大する損害はない。しかし、『著作権侵害のサイトをブロックするために私の通信を見てもいい』とは同意していない。そのために見られたとなれば、慰謝料は請求できる」と主張する。
(略)
 「現行法が実情に追い付いておらず、海外事業者への情報開示請求がやりにくいというのはある。直接的に著作権侵害をしないリーチサイトの問題もあるため、著作権の間接侵害についても法律を改正していくのが本筋だろう」(中澤弁護士)
 漫画村などの海賊版サイトは、コンテンツの削除要求を無視する海外の配信サーバと、配信を中継するCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)サービスの米Cloudflareを組み合わせることで運営管理者の身元を分かりにくくしている。運営者の割り出しが困難で、権利侵害コンテンツを削除できないからブロッキングをする他ないというのが今回の政府側の見解だ。しかし中澤弁護士は「やるべきことを尽くしていないのでは」と疑問を呈する。
 「被害届を出していないのではないか。国際捜査協力で現地の警察を動かすのが先だろう。Cloudflareに発信者情報の開示要求を出せば配信元サーバの情報を教えてくれるので、サーバ会社相手に現地で弁護士を立てて裁判することもできる。1件当たり1000万~1億円程度でできるだろう。被害額が数千億円ということであれば、現地での裁判などできることはたくさんあるはず」(中澤弁護士)
 中澤弁護士は「権利侵害コンテンツ削除を行っている知り合いの弁護士も、ラトビアのサーバ会社相手に裁判している。確かに海外での裁判が難しいという面はあるが、できないことはない。こういうことを1つ1つ積み重ねて国際的な枠組みを作るというのが望ましい形」とし、「海賊版サイトの問題は国内だけでは解決しない」と続ける。
 「国内については、裁判をへたものであれば、プロバイダーがブロックしても責任を問わないという規定をプロバイダ責任制限法に入れていくことが大事。運営者が分からず訴えられないなら、対象さえ分かれば訴えられるよう民事訴訟法を改正できれば。国際捜査協力ができるまでに、これらが国内での被害をとどめる措置になるだろう」(同)
 「結論としてブロッキングを解決手段として取るのは私はいいと思う。しかし、ブロックして良い悪いを誰が決めるのか。これは裁判所が決めるしかない」(同)

この中澤何某なる弁護士氏、ネットで検索しただけでも何かとIT関係での逸話の多い方であるようなのですが、その主張は要するに「著作権侵害は許せないが、アクセス遮断はするべきではない」のひと言だと言えます。
言われるまでも無く政府としても法的裏付けのないサイトブロッキングが違法性を問われかねない点については気がついているようで、各ISPに要請するのではなくあくまで自主的ブロッキングと言う形にしたい意向だと言います。
さすがにそれはせこいと言うしかありませんが、法的規定なり裏付けが必要であると言う論旨には一理あるものの、だから訴えると言う発想は少し一般人にはないものがあるようにも思えますがどうでしょうね。
また記事にもあるように児童ポルノのブロックはよくて違法漫画は駄目だと言う専門家の線引きもよく理解しかねるのですが、どこまでが正当なブロックかは主観的な判断の余地が極めて大きい問題であるようにも感じられます。

ちなみにこの問題について弁護士らによって公開の場で討論されたそうですが、実際に海外のサーバ会社と交渉を行ってきた当事者からは、弁護士らの主張する可能な対策なるものは実際に行っても無意味だったと言います。
この点ではコンテンツ削除をしない方針のサーバーを利用する業者に有利と言えますが、興味深いのは映画や音楽は違法コンテンツのダウンロードも違法になっているのに対して、漫画など静止画にはそうした法がないそうです。
先日は経済的損失を被る側の出版社側から政府方針を支持する見解が出て話題になっていましたが、こちらも法律を作っての規制が正道である点は同意していて、その上での緊急避難的な対策を求める立場です。
結局一番著作権を侵害しているのは正規ルートで購入しない利用者であるとも言える以上、こうした出口対策の不備も含めて早急に国会なりでも議論し立法なりを行っていく必要があるように思いますけれどもね。

ところでその利用者の立場ですが、大多数の利用者は少なくとも表向きは違法サイトの規制には賛成の立場で、反対意見としては法的な不備など主にその方法論と言う点でも専門家らと大きな差はありません。
ただ当然ながら無料で漫画が読めることを歓迎する向きは水面下では相当数あるものと予想され、またIT事業者にしても過去にアクセス数の多い違法サイトに広告を出して来たと言う共存関係も指摘されています。
こうしてみると誰が悪いのかと言う点で判断が難しいですが、少なくとも確実な被害者と言える漫画作家の立場からすれば、違法サイトにアクセスを許容している各ISPに対して良い感情はないのではとも思えます。
ISPが違法行為を幇助しているとも言えることに対して、例えば民事で損害賠償なりが成立する余地があるのかですが、しかし一番ブロックして欲しいのは迷惑メールだと言う声があることにも首肯するものがありますね。

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2018年4月20日 (金)

最近目に付いたニュース三題

今日はこのところ目にした興味深いニュースを紹介してみようと思うのですが、まずはこちらから御覧いただきましょう。

300円が0円に…遠足の「おやつ禁止」に波紋 マツコ「だったら遠足やめれば?」(2018年4月17日しらべぇ)

「おやつは300円まで」、ワクワクしながら何を買うかで頭を悩ませた遠足に、大きな変化が起きている。
16日放送『5時に夢中!』(TOKYO MX)で「遠足のおやつ持参禁止」に触れ、マツコ・デラックス(45)、株式トレーダー・若林史江氏(40)が持論を展開した。

■若林「禁止はやりすぎ」

アレルギー体質の児童に考慮し、遠足でのおやつ持参・交換を禁止する学校が増えている。保護者の中には「学校が対策してくれるのは嬉しい」と歓迎する意見があると報じられた。
これに対し、若林氏は姪が重度のアレルギーで「自身で判断できる」と前置きした上で、「命に関わることなので全面解禁すればいいとは言えないが、おやつ禁止はやりすぎ。禁止する前にアレルギーの教育をすべき」と熱弁。
「差別がなくなる教えになる。危ないものを取り上げるだけでは解決しない」と断じた。

■マツコ「家でケーキ食べたほうがいい」

マツコは教師側の負担を考慮しながらも、「防御線を張る気持ちはわかるが、これはちょっと違う。禁止すればいいってもんじゃない、その時々に応じて対応するしかない。だったら遠足やめればいい」と語った。
「遠足なんのためにするの?」と疑問を口にするマツコにおやつの思い出を尋ねると、「(300円ルール)守ったことない。家にあったお菓子を適当に持っていっていた」と当時を振り返る。
遠足を楽しいと思ったことがない。野原で駄菓子食うくらいなら家でケーキ食べたほうがいい」と本音を吐露した。
(略)
しらべぇ編集部で全国20〜60代の男女1,348人を対象に調査したところ、約1割が「自分や家族に食物アレルギーはある」と回答している。
あらゆる食物にあるのではないかと思われるアレルギー。当人や周囲が細心の注意を払っていても、小学校低学年では思わぬ認識漏れから口にしてしまう事例もあるだろう。
児童の安全確保、学校側の負担を減らすという意味でも「おやつ持参禁止」は仕方ないのだろうが、「アレルギーやお金のやりくり」への教育のチャンスも失ったかもしれない。

すでに10年ほど前からこうした対応が全国で見られていたそうですが、しかし交換禁止ならまだしもおやつ禁止と言うのでは筋が通らない気がするのですが、保護者的にはむしろ歓迎なのでしょうか。
医学的あるいは社会的なリスクを最小化しようと思えば当然ながらそうなるだろうと言う話なのですが、300円で何を選ぶかと言うのもなかなかに知恵を使う話で、あれはあれでなかなか得がたい教育機会だったとも思うのです。
今の子供には「バナナはおやつに入るんですか?」と言う定番ネタも通用しなくなったと考えると寂しいものですが、しかしおやつもない遠足など単なる苦行にしか過ぎないと言う意見にも一理ある気はします。
教育と言うことに関してはやはり年々規制は強化されるものだと感じるのですが、こちら先日からそれはさすがにいささかどうよ?と一部の方々から声が上がったニュースがこちらです。

タイトルに「エロ」の書籍、相次ぎ有害指定 研究書も(2018年4月17日朝日新聞)

 性的表現の歴史などを考察した書籍が、相次いで自治体の有害図書指定を受けた。研究書まで指定するのはやり過ぎだとの声も上がっている。

 3月30日に北海道が有害指定したのは「エロマンガ表現史」(太田出版)。同月23日には滋賀県が「全国版あの日のエロ本自販機探訪記」(双葉社)を有害指定した。いずれも青少年健全育成条例に基づき有識者による審議を経て「青少年の健全な育成を阻害するおそれがある」と判断した。18歳未満への販売が禁止され、書店などでの陳列も一般書籍と区別される。

 二つの書籍は、タイトルで「エロ」とうたい、女性の裸体や性的行為が描かれた本の表紙やマンガのコマを引用している。だが「表現史」の主題はマンガにおける乳房や性器の描き方の変遷の研究。「探訪記」はネットの普及により消えゆくエロ本自販機の現在を探るルポルタージュだ。日本雑誌協会は「新たな分野の研究書であり、フィールドワークの労作だ」と、有害指定に疑問符をつける。

以前から一部自治体でこの種の動きは報じられていたのですが、基本的に有害図書指定されるのは程度の差はあれいわゆる性的表現を目的とした趣味本の類で、「エロ」であること自体に異論は少なかったと言えます。
ところが今回話題になったのは記事にもある「エロマンガ表現史」のように、学術的観点からも非常に興味深い真面目な書籍が有害指定されたと言う点で、そもそも青少年が手に取って読む類のものか?と言う声もあります。
この調子ではいずれ美術書の類も有害指定されかねないと言う懸念の声が出るのももっともなのですが、しかし「貧しい漫画が多すぎる」とまで言い切った他ならぬ朝日がこうした記事を出すことに感じる向きも多いようですね。
最後に取り上げるのは同じく人間の性に関わる問題ですが、このところ進歩的な方々を中心に急速に支持が広まっているあの動きに対して、改めてこんな問題提起がされていました。

LGBTにペドフィリア、ズーフィリア、ネクロフィリアも加えるべき? (2018年4月14日WEZZY)

 今月14日からスタートした特集「性を語ること」。本稿では、タレント・文筆家の牧村朝子さんに「LGBTPZN」をテーマにご執筆いただきました。
 本記事で牧村さんは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとった、性的マイノリティを総称する言葉「LGBT」に、ペドフィリア・ズーフィリア・ネクロフィリアの頭文字をとった「PZN」を加えようという主張がネット上で見られます。「LGBTPZN」が生まれた経緯と主張の背景にある問題を丁寧に追いながら、性を語る際に必要な姿勢を提示しています。

LGBTばかり権利を主張するのはおかしい。P(ペドフィリア/小児性愛)、Z(ズーフィリア/動物性愛)、N(ネクロフィリア/死体性愛)も加えて“LGBTPZN”とすべきだ」
 このような主張が、2018年4月2日現在、日本のインターネット上で見られます。そう聞いてあなたは、どう思われたでしょうか。それぞれのご意見があるかと思いますが、この記事でお伝えしたいのは次の2点です。

全ての人には、性のあり方にかかわらず、
1.好きなものを好きでいる自由がある。ただし、性暴力は他者の自由の侵害である。
2.嫌いなものを嫌いでいる自由がある。ただし、侮辱・蔑視・攻撃は他者の自由の侵害である。

 本人の性のあり方にかかわらず、何を思っても自由。ただし、合意なく他者を巻き込むことはその人の自由の侵害である……LGBTがどうの、PZNがどうのではなく、実はそんなシンプルな話なのではないでしょうか。
(略)
「やらせろという連帯」から「やってしまわないための連帯」へ

 日本含む各国では、小児性愛・動物性愛・死体性愛・加虐性愛・日本語で痴漢と呼ばれるものを含む性暴力加害その他、実行に移せば他者の権利の侵害となる欲望を持つ人が、その行為に合意を示せない小児・動物・死体や、その行為に合意を示していない対象に手を出してしまうことのないよう、似たような欲望を持つ人同士で話し合う自助団体が存在します。つまり、「やってしまわないための連帯」があるのです。
 しかしながら、LGBTにPZNを加えようという人の一部は、LGBT社会運動を「大っぴらな変態性欲」「やらせろという運動」などと矮小化し、「LGBTだけじゃなく自分たちにもやらせろという連帯」を求めているように思えます。

 本人がどんな人であろうが……異性愛者であろうが、同性愛者であろうが、シスジェンダーであろうが、トランスジェンダーであろうが、男性であろうが、女性であろうが、こうした二元論におさまらない人であろうが、オムツフェチであろうが、ロリコンであろうがとにかく、性別・性自認・性表現・性的指向・性的嗜好その他一切関係なく、同意していない相手を性的な行為に巻き込むことは性暴力です。そして小児・動物・死体は、行為時点での同意を、客観的に確認可能な形では示すことができません
(略)

このLGBT問題に関しては以前から主に二つの観点からの異論が出ているように感じますが、一つには筆者氏も言及するように特定の性的嗜好だけを尊重するのは如何なものかと言う反論です。
大多数の善良な小児性愛者はまさに「実行に移せば他者の権利の侵害となる欲望を持つ人が、その行為に合意を示せない小児に手を出してしまう」のではないかと苦悩し、何とかその対策を講じようとしています。
代表的な例が実在の他者に何ら害を与えない人形や創作物などによって欲望を充足させる方法ですが、何故かLGBTの権利などに理解を示しそうな進歩的な方々にこうした誰の害にもならないための努力を全否定する向きが多いようです。
LGBTは擁護されるべきだがペドフィリアは虐待排除されて当然だと、一体どのように理屈づけが出来るものかは興味深いテーマだと思っているのですが、未だにこれで決定的だと言えるほどの論説を拝見したことがありません。

またもう一つの異論としては「合意なく他者を巻き込むことはその人の自由の侵害」と言う点ですが、いわゆるカミングアウトなども同意を得ずに立場を異にする相手を強制的に巻き込むと言う点で批判される面があります。
先日は朝日の記者が書いた「LGBTが気持ち悪い人の本音」なる記事に対して、アンケートに本音を書いてしまった結果差別主義者呼ばわりされる羽目になったと言う指摘があり、なるほどと思わされました。
筆者氏の言う「侮辱・蔑視・攻撃は他者の自由の侵害」だと言うのは一面の真理なのですが、ただそれは一方が他方にだけ求めるものではなく、常に双方向のテーマであるようにも思いますね。
同じマイノリティの中でも自分は他に比べて少しばかり上等だとか、だから劣等な連中は蔑視し攻撃していいのだとか、当のマイノリティの方々自身はあまり思っていないのだろうと思うのですが。

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2018年4月13日 (金)

憲法違反だから規制は反対され、憲法も制限があるから規制は強化される

東京新聞と言えば今や朝日も越えたと言われるほどの進歩的なメディアで、かねて憲法解釈に介しても独自の見解をお持ちだと言われますが、その東京新聞がこんな記事を載せていました。

漫画海賊版サイト遮断 政府検討 「憲法違反」法学者ら声明(2018年4月12日東京新聞)

 政府が、漫画などの海賊版サイトへの接続を遮断するようインターネット接続事業者(プロバイダー)に要請する方向で検討に入ったことを受け、法学者の団体などは十一日、「検閲の禁止」や「通信の秘密」を定めた憲法に反するとして、一斉に反対の声明を発表した。

 「サイトブロッキング」と呼ばれる接続遮断は二〇一一年から、児童ポルノのサイトに限って政府の要請で実施されている。プロバイダーらによる団体が政府情報を基に対象サイトを決め、「自主規制」の形で利用者のアクセスを遮断している。

 この遮断対象について、菅義偉(すがよしひで)官房長官は三月、著作権侵害による被害を防ぐため海賊版サイトにも拡大する考えを表明。内閣府の知的財産戦略本部が、有識者会合で検討している。

 これに対し、法学者らでつくる情報法制研究所は十一日、立法措置や国会での審議もなく政府の裁量で遮断対象を広げることに、「通信の秘密、検閲からの自由、法治国家の原理が危機にさらされる」と反対声明を発表。ブロバイダーらでつくるインターネットコンテンツセーフティ協会や、主婦連合会など四つの団体も同日、同様の声明を発表。「海賊版サイトへの責任追及などに力を入れるべきだ」などと指摘した。 (吉田通夫)

この海賊版サイト問題に関しては先日も取り上げたところですが、漫画家の皆さんにすれば生活の糧が直接奪われている状況であり、言ってみれば人生を否定されているような悲惨な状況であると言えます。
幸いにもと言うべきか、このところ最大手の海賊版サイトは閉鎖されたとも噂されているのですが、この種のものの性質として消えてはまた現れることの繰り返しで、根本的な解決はなかなか難しいでしょうね。
当然ながらこうした国民の自由な言論を否定する憲法違反の政府案に対しては各方面から反対意見が続出していると言いますが、一方でひっそりとこんな言論統制が公然と行われようとしているとも報じられています。

京都府がヘイトスピーチを“事前規制”へ 「ネット上の発信内容もチェック」(2018年3月22日毎日放送)

特定の民族や国籍の人に対し差別的な言動を行うヘイトスピーチ。全国各地で問題となり国が対策法をつくるなど規制の動きも進んでいますが、京都府は公共の施設でヘイトスピーチが行われる恐れがある場合、つまりヘイトスピーチをしそうな人が施設を使いたいと申請してきた場合に、「使用を認めない」「許可を出さない」という方針を固めました。これは全国でも珍しい試みです。というのも、ヘイトスピーチは確かに許されませんが、この人が何を言うかがわからない段階で行政が規制をかけることはできるのか、という問題があるからです。

京都では、2009年に「在日特権を許さない市民の会」いわゆる在特会が朝鮮学校前で憎悪に満ちた言葉で罵倒を繰り返すなどのヘイトスピーチが行われました。
こうした中、国はおととし「ヘイトスピーチ対策法」を制定し、各自治体にヘイトスピーチ解消に向け取り組むよう求めてきたのですが、それを受け京都府が打ち出したのが「公共の施設でヘイトスピーチが行われると予想される場合、施設の利用を許可しない」という方針。まだ行われていないヘイトスピーチに対して事前に規制をかけるのは神奈川県川崎市に次いで全国2例目です。
「街頭宣伝活動が行われるのは公園であったり、不特定多数の方が集会を行うことが可能な施設。事前にヘイトスピーチが行われることを防止していく」(京都府人権啓発推進室 浅野浩司参事)

一方、大阪市は全国に先駆けてヘイトスピーチ対策の条例をつくり、ヘイトスピーチを行った団体や個人の氏名を公表するとしていますが、公共施設の使用については制限していません。「事前にヘイトスピーチをするかどうかは判断できない」として見送られたのです。
さまざまな市民の活動を公権力である役所があらかじめ抑制するというのは、本来の姿ではない」(吉村洋文大阪市長・2016年)

では、京都府はヘイトスピーチが行われると事前にどう判断するのでしょうか。
「申請書や申請者の説明などから、事前に判明している集会のテーマや言論の内容を判断材料にする。もうひとつは、申請者の方々が過去に行った集会の内容やそこで行われた言動についても判断材料としたい」(京都府人権啓発推進室 浅野浩司参事)
ネット上での発信内容などもチェックし、ヘイトスピーチが確実に行われると客観的に予測できるか調査。弁護士などからなる第三者機関の意見も聴いた上で、総合的に判断するとしています。
「憲法で保障された表現の自由、集会の自由を不当に侵害することだけは絶対にあってはならないので、一つ一つ丁寧に判断していくことが求められる」(京都府人権啓発推進室 浅野浩司参事)
京都府は「この取り組みをきっかけに、ヘイトスピーチ解消に向けた府民の理解が深まることを期待したい」としていて、新しい方針について今月中にも運用を始める予定です。

しかし京都市がヘイトスピーチをするかも知れないと認定すれば、反論の機会もなく発言機会が一方的に奪われると言うことなのですから、実質的に京都での言論の自由は大きく制約されたと見るべきなのでしょうかね。
先年成立したヘイトスピーチ規制法もずいぶんと議論を呼んだものですが、そもそも何をもってヘイトスピーチとするかと言う定義も難しい上に、当然ながらヘイトであるかないかを巡って異論反論も数多あることでしょう。
そうしたものを一方の視点から公的規制することがいいのかどうかも見解の相違があるところですが、興味深いのは冒頭の海賊版サイト規制に憲法違反と叫ぶ方々が、こうしたヘイトスピーチ規制には何故か反対されない点です。
ヘイトスピーチ規制派の方々は憲法で保障される表現の自由にも一定の制限があり、人権を侵害する表現は許されないと言う立場だそうですが、そうなると漫画家の皆さんの人権は認めていないと言うことでよいのでしょうか。

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2018年3月29日 (木)

誰もが頭を悩ませているあの問題で国が方針転換

以前から多くの人々を悩ませ続け、このところ情報アップデートの必要性が言われていた問題について、とうとう国がこんなコメントを出したと報じられていました。

「パスワードの定期変更は不要」総務省が呼びかけ改める(2018年3月28日NHK)

インターネットのパスワードを定期的に変更するよう呼びかけてきた総務省は、変更のしかたによってはかえって不正アクセスを受けやすくなるとして、安全なパスワードの場合は定期的に変更する必要はないと呼びかけの内容を改めています。

総務省はインターネットの安全な利用法に関するサイトの中で、パスワードの定期的な変更を呼びかけてきました。
しかし去年11月、この呼びかけの内容を、「定期的に変更する必要はない」に改めました。
その理由について総務省は、パスワードを定期的に変更すると、かえってパスワードの作り方がパターン化したり、複数のサイトで同じパスワードが使い回されるおそれが高まったりして、不正アクセスを受けやすくなるためとしています。

これは「内閣サイバーセキュリティセンター」などが示した考え方に基づいた対応で、パスワードが十分な長さになっていることなどを前提に、定期的な変更は必要ないとしています。
一方で、情報の流出が疑われる場合はパスワードをすぐ変更するよう呼びかけているほか、複数のサイトで同じパスワードを使い回さないよう促しています。
総務省サイバーセキュリティ課の豊重巨之課長補佐は「引き続きインターネットの適切な利用方法を周知していきたい」と話しています。

パスワードの一つや二つなら凝ったものを考えられても、全てのサイトで定期的に強度の高いものばかりを更新し続けるのは無理と言うもので、次第に簡単なものばかりになるだろうことは素人でも判りますよね。
昨年夏のことですが、広く用いられている米国立標準技術研究所(NIST)のルールを策定したBill Burr氏が、自らまとめた90日毎のパスワード変更などを求める手順書が間違っていたと告白し話題になっていました。
古いルールに基づいたNISTの手順書はすでに書き改められており、なるべく長いパスワードを利用すること、変更するのは90日ごとではなくパスワードが流出した場合のみと言った新たなルールが公開されています。
とは言えBurr氏自身が語っているように、一度間違った対策が世界的に広まってしまっている以上、新たな対策が世界中で標準的なものとなるのにどれだけの年月が必要なのか、見当も付かないところでしょう。

当面は相変わらず定期的なパスワード変更を要求する管理者との地道な戦いが続くのだろうし、システム上の変更なども必要なのでしょうが、実際のところ安全なネットセキュリティーとはどのようなものなのかです。
複数のサービスで同じパスワードを使い回さないとはよく聞く対策ですが、実際にあるサービスから入手したセキュリティ情報を他のサービスで使ってみると言うことは、ハッキングの常套手段として使われているそうです。
また世の中には何億件もの流出パスワードリストと言うものがあり、これを片っ端から試して見ると言ったやり方もあるようですが、流出回数が多いとは誰でも思いつく安易なパスワードであるとも言えます。
最近は複数の方法を組み合わせた多段階認証だとか、USBメモリを差すだけでパスワードが自動入力されると言った方法もあるようですが、利便性もさることながらシステム側での対応が必要なものは汎用性に問題がありますね。
いずれにせよセキュリティの基本はハード・ソフト面での対策よりもスタッフ教育であることは変わりないので、パスワードをメモ書きして張っておく等々の残念な振る舞いにはくれぐれも注意いただきたいところです。


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2018年3月22日 (木)

国がとうとうクレーマー対策に乗り出す

本日まずは先日話題になっていたこちらのニュースから紹介してみましょう。

「工事の騒音で園児がおびえる」 マンション建設差し止め求め、幼稚園が申し立て(2018年3月13日産経新聞)

 名古屋市中区にある幼稚園の南隣で建設が進む15階建てマンションを巡り、工事の騒音で園児がおびえているほか、完成後は日差しが遮られてしまうとして、「名古屋教会幼稚園」の職員や運営する宗教法人が13日、工事差し止めを求める仮処分を名古屋地裁に申し立てた。

 申立書によると、建設地は商業地域で、建築基準法による日影規制の対象ではないものの、実態は対象となる住居地域に当たると主張。園児が工事の騒音や振動におびえ、粉じんにせき込んだりしているほか、完成後の園庭は一日中、日光が差し込まず、園児らが被る不利益は限度を超えるとしている。

 幼稚園には3~6歳の園児約40人がおり、午後は小学生の学童保育も行う。石原ゆかり園長(57)は「足場を組んでいる隣で子どもたちは遊んでいる。なぜ子どもたちが危険にさらされなければならないのか」と訴えている。

 建設を計画した不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の名古屋支店は「申し立ての内容を把握しておらず、コメントは差し控えたい」としている。

このところ全国各地で地域の住民が中心となって、保育園の騒音がうるさいと建設取りやめを訴える動きが拡がっているのは周知の通りですが、今回のケースは言ってみればその逆バージョンのような話でしょうか。
訴訟の理由として挙げられている様々な被害に関して、どこまで本気で心配しているのかは何とも言えないのですが、想像するに最も大きな理由としては完成後にも永続する日照問題なのではないかと言う気がします。
とは言え保育園建設差し止め問題と同様、これまた世間からはそれを言い出したら何も出来なくなるのではと言う声も挙がっているのも事実ですが、さてこの種の訴えがどこまでありなのかは判断の難しいところですね。
以前から高校野球の応援がうるさいと球場に怒鳴り込む住民の存在は報じられていましたし、先日は救急隊員が水分補給で飲み物を買っていたところ市民からクレームが入ったと言う、よく判らないニュースもありました。
こうした風潮の延長線上にあると言うことでしょうか、どこの業界でもクレーマー、モンスターと呼ばれる悪質顧客対策にも頭を悩ませていると思いますが、先日とうとう国がクレーマー対策に乗り出したと報じられていました。

悪質クレームに国が対策へ 顧客暴言などパワハラ報告書明記(2018年3月15日産経新聞)

 顧客からの暴言や脅迫など「悪質クレーム」に店の従業員らが悩んでいる問題について、厚生労働省が対策の検討に着手したことが14日、分かった。月内にもまとめる職場のパワーハラスメント防止に関する報告書案の中に、同じ職場の悩みとして「カスタマー(顧客)ハラスメント」を明記する。ただ刑法などに抵触しない限り、悪質性を判断するのは難しく、規制に踏み込めるかは不透明だ。

 厚労省は昨年5月、上司や同僚らによるパワハラ防止のための有識者検討会を設置。政府の「働き方改革」の一環として、予防や解決に向けた報告書の作成を目指している。
 一方で、同省には悪質クレームに対する被害の声が多く届くようになり、労働者の安全への配慮が求められる点で、「客からの迷惑行為は職場のパワハラと類似性がある」とし、職場環境の改善に必要との認識を持ったという。

 パワハラの報告書にカスタマーハラスメントの項目を盛り込むのも、有識者から「客だから何をしてもいいと思うようなところがある。広くそれらがハラスメントの問題であることを周知する意義がある」という意見があるためだ。
 しかし、悪質クレームはパワハラと比べて実効性のある予防策を講じることは難しい。客の要望に応じないことや、客に何か対応を要求することは事業の妨げになる場合があるという。

 厚労省が今年1月までに4社を対象に聞き取り調査したところ、「何が顧客からのハラスメントに該当するか判断基準を設けることは困難」「企業と消費者のクレームに関する紛争を仲裁する第三者機関があれば企業として対応しやすい」などの声が聞かれた。その上で、職場に悪質クレームの悩みを相談する窓口を設置するなど、客からの迷惑行為にどのような取り組みが必要かを検討していくという。

 労働組合UAゼンセンが昨年11月に公表した調査によると、スーパーマーケットやコンビニなどの従業員の約7割が悪質クレームを受けていることが判明。具体的な被害として、「バカ」「死ね」などと暴言を受けたり、買い物かごや小銭を投げられたりした事例もあった。
 ゼンセンは悪質クレームが「働く魅力を阻害し働き手不足をもたらす」として、法規制の導入など対策強化を厚労省に要請していた。

しかし穿った見方をすれば、昨今国や各省庁でもさぞやクレーマーに悩まされているに違いないなどと言う声もあるやなしやですが、いずれにせよこの種のクレーマー問題が今や社会的に無視出来ない大きなものだと言えますね。
どの業界でもクレーム顧客対応に頭を悩ませた経験のあるスタッフは少なくないと思いますが、特に専門の苦情受け付け窓口のスタッフなどは心折れる仕事なのだそうで、それがために離職を余儀なくされるケースもあるようです。
もちろん企業全体として見ればそのために浪費されたマンパワーが大いに生産性を低下させているわけで、ただでさえ人材不足と厳しい価格競争で四苦八苦している企業にとってはダブルパンチの大損害でしょう。

ただ何をクレーマーと認定するのか、どうやって対策をするのかと言う問題はあるかと思うのですが、前者に関しては一定程度以上のクレームが続いた場合これ以上はクレーマー認定すると警告を与えると言うことになるでしょうか。
そうした警告自体が相手を激高させる副作用も確かにあるでしょうが、どこかで基準を設けてそれを越えた場合には通常顧客対応からクレーマー対応に切り替えると言うのは、組織防衛上仕方のないところだと思います。
国が具体的な行為などを列挙した認定のガイドラインなりを用意できればいいのでしょうが、本当のクレーマーの場合こうしたガイドラインの内容を知った上で、敢えて引っかからないように動いてくる可能性もありますね。
この辺りは反社会的団体対策で各種法律が整備されても、団体側でもそれに対応して活動の在り方を変化させてきた歴史と全く同様ですが、少なくとも一線を越えた場合厳正に対処するルールは徹底すべきでしょう。

本物のクレーマーの場合、当然ながら特定企業・団体だけでなくあちらこちらに絡んでいるもので、中にはそれによって生活の糧を得ているプロクレーマーとでも言うべき方々もいらっしゃるとも側聞します。
金融関係などのいわゆるブラックリストなどと同様、この方面でも全国的に情報を共有出来れば対策も講じやすいかと思うのですが、クレームはどこにでもつくだけに情報をどこまでの範囲に開示すべきかは難しい問題です。
例えば強要罪、脅迫罪の疑いありのケースで警察に相談があった場合など、警察の側で常習クレーマーかを検索し常習者には早期に対応すると言った使い方もありそうですが、当然世間からの反発もあるでしょう。
誰でも一歩間違えばクレーマー認定される恐さを重視するか、一人のクレーマーがいれば周囲の多くの顧客が迷惑することを重視するかですが、日常的な実例などが多く報じられるようになれば流れも変わるかも知れませんね。


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2018年3月 9日 (金)

盗っ人猛々しいを地で行ったサイトが話題に

昨今ネット上での炎上騒動は珍しいものではありませんが、先日盛大に炎上したこちらの一件をご存知でしょうか。

「当然の対価」求める漫画家に注文 「無料で見せられる努力を」ツイートが炎上(2018年2月16日J-CASTニュース)

   日本漫画家協会が公式サイトで発表した「海賊版サイトについての見解」とする声明が、漫画読者の界隈で議論を広げている。
   海賊版サイトを読むことは「泥棒にもっと盗んでこいと応援してる」ようなもの――。漫画家の宮尾岳さんがツイッターでそう発信したところ、一般のあるユーザーが「そういうこと言うなら無料で見せられるよう努力してください」とリプライ。ネットでは、このツイートが物議を醸すこととなった。

   海賊版サイトは、人気の漫画や雑誌の最新号を著作者の許可なくアップロードしている。無料で読めるため2017年ごろからじわじわと注目を集めているが、漫画家からは懸念の声が続出していた。
   「こんな海賊版サイトがはびこると、いくら努力して面白い作品を描いても漫画家は仕事になりません」。『あしたのジョー』作者のちばてつやさんは、ブログでそう訴えた。「海賊版に対する反発(憎悪)を持つ作家や読者は非常に多く、その方向性は率直にアピールしていくべき」と、『魔法先生ネギま!』作者の赤松健さんもツイッターに投稿した。
   そんな中、日本漫画家協会は18年2月13日に公式サイトで「このままの状態が続けば、日本のいろいろな文化が体力を削られてしまい、ついには滅びてしまう」と声明を発表。海賊版サイトの利用に警鐘を鳴らした。

   ただ、漫画家たちのこうした切実な声には、納得できないという反応を示す声も一部から寄せられた。
   『アオバ自転車店といこうよ!』作者の宮尾岳さんが2月15日、「僕ら商業誌の漫画家は『漫画を描いて生きて行く』と決めた人間だ。(略)働いたことに対価を求めるのは全ての職業の常識だ」とツイッターに投稿し、
    「漫画の海賊版とは『創作することに何の努力も行動もしなかった奴が、無断でタダでばら撒き、作家を殺していく』という悪業だ。それを喜んで読むと言う事は『悪業の後押し』だよ。泥棒にもっと盗んでこいと応援してるんだ」
と持論を展開したところ、ある一般のユーザーが
    「そういうこと言うなら無料で見せられるよう努力してください。企業努力や作家の努力が足りません
とのリプライを飛ばしたのだ。

   このリプライをめぐっては、ツイッター上で
    「何処を読んだらそういう返答をするのか理解に苦しみますが、この世にコストの掛からないものはありません
    「失礼とかいう域を超えてるわ」
    「企業努力で無料はできても作家の努力で無料はできんでしょ」
    「読む人間の『努力=金を払うこと』が足りませんね」
批判の声が噴出。投稿者は2月16日朝までにツイッターアカウントを削除した。
   この投稿者に言及したのか定かではないものの、『最終教師』作者の漫画家・山本貴嗣さんはツイッターで「『企業努力』という単語があるけど『消費者努力』ってのもあるんですよね、言われないだけでw(たぶん)」と投稿した。

   ただ一般のネットユーザーには、削除ツイートの内容に危機感を覚えた人も少なくないようだ。ツイッターには、
    「これは本物だと頭を抱えたのでまぁいろいろ根が深いものを感じましたね」
    「本当にクールジャパンの為にはキチンとコンテンツに課金させるところから子供の教育を始めないといけないと思う」
    「知り合いも漫画はただで読むものだと思ってるので、状態はかなり深刻だと思います」
との声も巻き起こっている。

この種の海賊版に関しては昔から幾らでもある話で、ひと頃某国で買い物をすると無断コピーの偽ブランド品ばかりなどと言われていたそうですが、この場合知的生産活動に対する対価の意識が薄いと言うことでしょうか。
特に日本の場合モノに対する対価は支払っても、他人の労働行為そのものへの対価は支払いたがらない人が多いとも言い、その理由の一つにチップなどサービス料を直接支払う制度がないことを挙げる人もいるようです。
その説の真偽はともかく、漫画などはよほど売れっ子にならなければ儲からないそうで、わずかばかりの収入を海賊版でさらに目減りされたのでは、それを生活の糧としていこうと言う人が増えるはずもないのは当然ですね。

事が漫画など必ずしも生活必需品ではないものであれば、別になくなってもいいのではないかと言う意見もあるかも知れませんが、他人の労働に正当な対価を支払うと言う当たり前の行動原理が破綻した場合、世の中がどうなるのかです。
医療の世界もその大部分は知識や技能と言った目に見えないものを売り物にしていると言えますが、「今日は薬が出なかったから支払わない」と言う人も実際にいますし、そもそも医療行為そのものに対する診療報酬は極めて低く抑えられていると言う点で、全く他人事ではありません。
ただこの場合馬鹿げた考えを生産者に押しつけようとした一消費者が批判されたと言うだけに過ぎないとも言えば言えるのですが、その余波が収まることもない間に火に油を注ぐようなニュースが出てきました。

漫画村、有料版「漫画村プロ」開始へ 早くも批判の声「盗人猛々しい」「超えてはいけない領域」(2018年3月5日BIGLOBEニュース)

無料で漫画などを閲覧できるサイト「漫画村」が、有料版「漫画村プロ」を開始することがわかった。
漫画村は、漫画雑誌やコミックス、写真集などが無料で閲覧できるサイト。その多くは出版社の許可を得ていないため、海賊版サイトの1つと呼ばれているが、漫画村は自らのサーバーに画像を保管していないため違法ではないなどと主張している。
漫画村には漫画家をはじめとして多くの批判が集まっているが、そのことを逆に「漫画家さんが無料で広告してくれた」と皮肉。利用者は2ヵ月で1.8倍にも増加し、向上した維持費を賄うために無料版に加え、有料版を提供するという。「漫画村プロ」では、全ての広告を除去し、アダルト作品の非表示選択、ZIP形式での画像ダウンロードなどの機能を提供。また、3人まで同時に使用ができ、無料版と分離した安定したサーバーで閲覧することができるという。「漫画村プロ」の提供は4月から5月を予定している。

これまでも問題が指摘されてきた漫画村が有料版まで開始することに、ネットでは早くも批判の声が多数寄せられている。「盗人猛々しい」「今まででもアウトなのに人の漫画で課金とな」「隣の畑から野菜取ってきたから売るぜ!生産者のことは知らないけどな!みたいなことか」「作者になんのメリットもないじゃん」「そこまでするならWEB漫画でちゃんと契約しちまえよ」「超えてはいけない領域に達した」「稼げる間に稼いで逃げきるもりかな」「利用者側も取り締まらないとだめだろ」
海賊版サイトをめぐっては、日本漫画家協会が2月に利用しないよう呼びかける声明を発表。「全く創作の努力に加わっていない海賊版サイトなどが、利益をむさぼっている」と指摘し、「このままの状態が続けば、日本のいろいろな文化が体力を削られてしまい、ついには滅びてしまうことでしょう」との懸念を示している。

相次ぐ批判が「無料の広告」に? 海賊版漫画サイト問題(2018年3月5日ITmedia)

 漫画などの違法海賊版サイト「漫画村」の運営者が3月5日、「2カ月でユーザー数が1.8倍になり、Twitterの利用者数(月間4500万人)を超えた」などとWebサイトに掲載し、“有料版”サービスの計画を発表した。ネット上では「盗っ人猛々しい」などと非難する声が上がっている。

 漫画村は漫画の単行本や雑誌を“無料”で公開しているWebサイト。こうしたサイトに掲載されている作品の多くが著作権者に許可を得ていない無断アップロードであり、著作権者や出版社の影響は甚大だ。今年に入り、日本漫画家協会が「全く創作の努力に加わっていない海賊版サイトなどが、利益をむさぼっている」と批判する声明を発表したほか、漫画家個人がTwitterなどで相次いで批判している。
 だが漫画村の運営者は「漫画家さんが無料で広告してくれたおかげで漫画村のユーザーが増えた」とうそぶく。公表したユーザー数が事実かどうかは判断できないが、著作権者や出版社の必死の訴えは、むしろ海賊版サイトの知名度を上げる結果になってしまった側面もあるようだ。

 なぜ批判がユーザー数増につながるのか。社会心理学の見地から「影響力」について説明する「影響力の武器 実践編」(誠信書房)に、示唆に富む例が挙げられている。
(略)
 漫画村に対する批判も似たような側面がある。「多くの人が漫画村を利用していて、出版社や著作権者に影響を与えている」という訴えは、むしろ「多くの人が漫画村を利用している=自分も利用してよい」と受け取られかねない。今回運営者がサービス利用者数を「Twitterを超えた」と発表したのも、「多くの人が使っている」というメッセージを発信することが狙いだろう。
 では、どのような訴えなら、このようなネガティブな影響を及ぼしにくいのか。「影響力の武器 実践編」では、「月例会議の欠席者が多いことに頭を悩ませている管理職」というケースが紹介されている。「実際には大多数の人が出席していることを指摘して、欠席者は少数派だという事実を強調する」のがポイントだという。

しかしよく堂々とやるものだと感心するのですが、ネット上ではこれだけ利用者が増えているにも関わらず、海賊版サイトの行為を擁護する声はほとんど見られないと言う興味深い現象も指摘されています。
当然ながら著作権違反の違法行為であるだけに、近く摘発の手が入りそうだという噂も出ているのですが、しかし今回たまたま特定サイトが話題になっただけで、国内外にこの種のサイトなど無数にあるわけです。
しかもネット検索をすればどんな零細サイトに収録された作品でも自由に検索して読めるだけに、特定サイトを閉鎖に追い込んだとしてもあまり意味がないと言う予想も出来ますね。

本質的な解決策について何か方法論があるのかですが、例えば児童ポルノなどと同様利用車側に対する規制の強化と言う道もありますが、当然ながらこれには反対意見も半端ないでしょう。
著作権違反があった場合、検索サイトに申告して当該サイトの削除を依頼することも出来るのですが、名前や依頼内容が公表されることに加え、そもそも大手検索サイト自身が以前から著作権違反ではないかと問題視されてきた経緯もあります。
また海賊版サイトを閲覧することで好ましからざるお土産を仕込まれてしまうと言うリスクもありますが、そもそも違法サイトを利用しているのですからこの種のリスクはあって当然で、利用する側も相応の覚悟がいると言うことでしょう。


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