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2020年5月21日 (木)

コロナPCR検査の精度が低いのは下手だから?

テレビ朝日の玉川徹氏と言えば昨今ではすっかり炎上系電波芸人として名の知られた存在ですが、先日の「土日は行政機関の検査は休み」発言に続いてまたぞろこんな発言で話題になっているようです。

玉川氏「PCR検査の感度は100%」「精度が落ちているのは手技の問題」発言に批判 「技師のせいにするな」の声(2020年5月19日リアルライブ)

 19日放送の『羽鳥慎一のモーニングショー』(テレビ朝日系)で、同局局員でコメンテーターの玉川徹氏の発言が物議を醸している。
 「番組では改めてPCR検査について着目。現在主流となっているのは鼻の奥の粘液を綿棒で取る方法ですが、唾液を検体に使う体制も始まることが明かされました。すると、玉川氏が『PCRの精度があまりよくないというか、7割ぐらいという話がよく喧伝されてる』としながら、『本当にその中にウイルスがあったらほぼ100%近く感度はあるはず』と、100%判定できると断言したのです」(芸能ライター)

 続けて、同氏はPCR検査の詳細について、「どんどんウイルスの遺伝子を増幅させることで検出している」と説明した上で、「7割ぐらいの精度に落ちているということは、多分に採った場所にいないとか、それから採り方がいま一つうまくなかったとか、そういう手技の部分とか、採る場所に依存している部分が大きいのでは」と推測。つまり、検査技師の技術不足が、PCR検査の失敗をたびたび引き起こしていると主張したのだ。

 例えば、PCR検査を繰り返したところ、最初はPCR陰性だったものの、陽性に変わってしまったり、逆に陽性と判断されたものの、検査で陰性だったというニュースも多く見聞きしている。
(略) 
 だが、検査で陰性と陽性のぎりぎりのところにいる人は、そのぎりぎりのところを無理に読めば、ないものを「ある」と伝えてしまう危険性もはらんでいる。果たして、このPCR論争はいつまで続くのであろうか……?

テレ朝・玉川徹氏、またまた炎上「PCRの精度、手技や取る場所に依存」と発言 元環境相・細野氏「彼の無責任な発言で苦労した」(2020年5月20日夕刊フジ)

 テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」の社員コメンテーター、玉川徹氏の発言が、また炎上している。19日の番組内で、PCR検査の精度について発言したところ、ネット上で「医療従事者への侮辱・冒涜(ぼうとく)だ」などと批判が噴出しているのだ。国会議員からも苦言が呈され、番組スポンサーの商品の不買運動を求める投稿も見られた。
(略)
 京都大学大学院医学研究科非常勤講師で医師の村中璃子氏もツイッターで、《もう見ちゃダメです》と一刀両断した。
 元環境相である細野豪志衆院議員も《玉川徹氏は常にテレビでコメントできる特権的な立場にある。平時は色んな意見があっていいと思うが、有事に専門外の人間が付け焼刃の発言をして現場を混乱させるのは本当に困る。考えてもらった方が良いと思う。東日本大震災後の彼の無責任な発言には本当に苦労した》とツイートした。
(略)
 玉川氏は先月も、東京都のPCR検査をめぐって、「土日の行政検査を休んでいる」という趣旨の発言をして、謝罪している。

 今回の発言をどう見るか。
 医療リスクマネジメントに詳しい内科専門医で中央大大学院教授の真野俊樹氏は「PCR検査は研究現場で使われていたものを臨床に利用した。1~2月ごろは技術面の問題も生じたと考えられるが、現段階では研修を重ねて実施していると考えられる。日本では全自動の機器導入が遅く、感染を起こす可能性は変わらず、慎重にする必要があるので時間がかかっている。個人の腕の差という理由ではないだろう」と指摘した。

玉川氏について聞くところでは大学では農業土木を専攻したものの、元々はバイオテクノロジーに興味があったのだそうですが、臨床検体のPCRについて真っ当な知識はお持ちではないようです。
同氏に関してはすでに同じマスコミ業界人からも「論理の一貫性が欠如している」等の批判が噴出していますが、同番組に限らず他番組でもコロナ関連のねつ造報道が繰り返されている状況は気になりますね。
その背後にあるのが何らかの主義主張であることは容易に想像出来るところですが、こうした事実よりも自らの主張を優先しねつ造も厭わない報道姿勢とは当然批判されてしかるべきものです。
この点では報道の倫理面を担保すべきBPOが機能していないとはかねて指摘されるところですが、あくまで業界団体であり身内に甘く、世間並みの常識が全く通用していないとの批判も根強くあります。

モーニングショーと言う番組は日本のワイドショーの草分けだそうですが、ワイドショーと言うもの自体も事実関係よりも視聴者向けを狙った脚色やねつ造まがいの過度の編集が横行するなどの弊害が指摘されています。
また極めて幅広いテーマを扱うにも関わらず、それぞれのジャンルの専門家ではなく門外漢や素人にばかりコメントさせると言うスタイルから、ともすれば無知に基づく間違った言論が横行しやすいとも言えますね。
この点について製作者側としてはあくまで視聴者と同じ素人目線を優先すると言うロジックのようですが、明らかに事実に反する論調を間違っていると誰も指摘しないまま番組が進行していく状況は異様なものです。
元々特定の主義主張を押し通すために敢えてそうした人選をしているのでは?と思われる事例も少なくないようですが、未だにテレビの言っていることを無批判に信じ込んでしまう視聴者側の姿勢も問われるでしょう。

 

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2020年3月19日 (木)

グルメサイト、公取委からイエローカード

以前から問題視されていた問題で、先日公取委がこんな報告書を公表したと報じられていました。

公取委、グルメサイトの実態調査報告書 11%が一方的な契約変更を経験(2020年3月18日産経新聞)

 公正取引委員会は18日、消費者がインターネット上で飲食店の情報を検索したり、感想や口コミを投稿できる「グルメサイト」の実態調査報告書を公表した。加盟する11・4%の飲食店が、グルメサイトから一方的な契約内容の変更を受けた経験があると回答。このうち68・8%が変更で不利益益を被ったとした。公取委は「独占禁止法に違反する行為には、厳正・的確に対処する」としている。
 変更の中身次第では、飲食店の収益に打撃を与えかねない。公取委は、グルメサイトが飲食店との協議を重ねずに一方的に契約内容を変更し飲食店に不当に不利益を与えれば、独禁法上の「優越的地位の乱用」にあたる恐れがあると指摘。変更の根拠を示しつつ、期間を十分にとるなどの対応が望ましいと提言した。
 また、検索時の表示順位をめぐっては、自店の情報が消費者の目につきやすくなるとして、92%の飲食店が表示順位を上げたいと回答。だが、31・5%の飲食店は表示順位などに不満や疑問を感じたとした。公取委は、グルメサイトは表示順位に関する重要な要素を可能な限り明らかにするとともに、飲食店間で公平に扱うなどの対応も必要とした。点数や星の数など飲食店の評点も同様とした。

 グルメサイトに書き込まれる飲食店の情報や口コミは、90・1%の消費者が店を選ぶ上で参考になっているとしたが、29・2%の飲食店が不利益を被ったことがあると回答。このうち53・6%がグルメサイトに削除や修正を求めたとした。
 公取委は、グルメサイトは客観的に情報が不正確と判断できる場合は削除や修正に応じるなど、掲載情報の正確性を高めていくことが望ましいとした。
 実態調査は昨年4月から今年3月にかけてアンケートと聞き取りで実施し、グルメサイトや飲食店、消費者などが任意で応じた。
 公取委の担当者は「独禁法違反の未然防止を目的としており、競争政策上の望ましい対応を示すことで事業者の自主的な改善を促していきたい」と話した。

グルメサイト、点数操作は独禁法違反 公取委が調査(2020年3月18日日本経済新聞)

公正取引委員会は18日、17社の飲食店予約サイトの実態を調査した結果を発表した。飲食店などがグルメサイトの評価点数や掲載順が不透明と訴えており、運営会社側が恣意的に操作すれば独占禁止法違反にあたる恐れがあるとした。公取委は違反事例をまとめ、自主的な改善を求める。便利さの裏側で、飲食店や消費者が知らぬ間に不都合を押しつけられている状況が浮かび上がった。

公取委は2019年4月から20年3月にかけて予約サイトや飲食店、消費者を対象にアンケートや聞き取りなどで調査した。社名は明らかにしていないが、カカクコムの「食べログ」や「ぐるなび」など主要社は含まれるとみられる。
公取委が目をつけたのは、グルメサイトで表示する点数や掲載順の決め方だ。例えば、あるエリアで飲食店を検索した場合、多くのサイトでは高額の手数料を支払うプランで契約している飲食店ほどサイトの上の方に表示されることが判明した。無料や低額のプランで契約している飲食店は、掲載順位が低いので検索しても消費者の目にとまりにくい。
公取委によると、運営会社側は飲食店が支払う手数料に加え、残席数や予約実績の多さなどの要素を加えて掲載順位を決めていると主張した。消費者の9割がこうした評価のしくみを知らずに使っており、公取委はサイト側に透明性の向上を求めた。ある特定の店の点数や表示順位を落とすことで高額プランに変更させるなどの行為があれば独禁法上の「優越的地位の乱用」にあたる恐れがあるとした。
この他にも競合他社のサイトで500円引きのクーポンを配信している飲食店に対して、それ以上の割引率のクーポン掲載を強制した疑いも見つかった。競合サイトに予約席の在庫を渡さないよう制限するケースもあり、いずれも独禁法に違反する恐れがあるとした。

飲食店の情報を掲載するサイトは、効率的に全国さまざまな店を探せる便利さから消費者に欠かせない存在になっている。調査では消費者の54%が飲食店を探す際に飲食店サイトを「必ず」または「大体」利用すると回答した。「ある程度」利用するとの回答を含めると9割を超えた。
飲食店にとってサイトからの予約は売り上げの大半を占めるため、不都合があってもサイトへの掲載をやめたり、対等に契約条件の交渉をしたりしにくい。公取委は違反例を具体的に示すことでまず業界の自主改善を促す。改善しない場合は、法執行も視野に入れる。

このグルメサイト問題、グルメサイトが一般化した頃から久しく話題になっていましたが、一つには一般利用者にとってその情報の信頼性がどうなのかと言う疑問が常に挙げられていました。
いわゆるネガキャンと言った意図的低評価やサクラによる不当な高評価などの問題もあり、昨今ではコメント掲載に様々なルールもあるようですが、ルールに沿って書かれたコメントなら信頼出来るのかどうかです。
またよく言われることとしてお金を沢山支払った飲食店ほど掲載順位が高くなるだとか、都合の悪いコメントは削除されると言った話があるそうで、高評価を求めて「上納金」を差し出さざるを得ないと言う声もあります。
店舗側としても例えば常連相手の商売で新規顧客を広く求める必要がない場合でも勝手に掲載されるなどトラブルが相次ぎ、グルメサイト側と紛争にまで発展した事例もたびたび報じられるところですね。

グルメサイトが一般化した頃はネットで検索すると言う行為が広く世間に普及していた時期で、まずは何でも検索してみると言うことが当たり前になったからこそ利用者が爆発的に増加したと言えます。
ただ昨今では別にグルメサイトに頼る必要はなくなっているのではないかと言う店舗側の意見も増えてきていて、実際に有料プラン解約など脱グルメサイトの動きがかなり広がってきているとも報じられています。
お金を出して掲載してもらうなら広告料であり、出費に見合う利益が上がらなければ掲載を打ち切ると言うのはグルメ情報誌など従来メディアでも全く同様の話で、ネット媒体だけ特殊と言うことではないと思います。

利用者側にしてもグルメ雑誌などで良いことばかり書かれていても額面通り受け取ることはないのに、グルメサイトは口コミだから本音が書かれているはずだと信じ込んでしまうきらいがあったようには感じます。
初期の頃には確かにそうした目的をうたっていたサイトもあるにせよ、現在はいずれも商売として運営されているものであり、グルメサイトの意向に沿ったコメントしか掲載されず、点数も恣意的に集計されているわけです。
実際の利用にあたってはコメント内容からどれだけ的確な評価がされているのか見抜く力も必要になりますが、それもあくまでも参考にしか過ぎず、実際に自分で食べて見ないことには判らないものですよね。
グルメサイトはせいぜい店の雰囲気を知るだとか、営業時間や平均単価などの情報しか利用していないと言う人も増えているそうですが、利用法として他媒体と同様に成熟してきているのではないかと感じます。

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2020年1月27日 (月)

無断キャンセル問題がますます広がっている理由

正月早々に話題になっていたのがこちらの事件ですが、記事から紹介してみましょう。

正月の宿泊無断キャンセル、業界悩ます「ノーショー」(2020年1月21日朝日新聞)

 栃木県那須塩原市や日光市などの温泉地で、正月に宿泊予約の無断キャンセルが相次いだ。少なくとも7施設で計約250万円の被害が出ていることが20日、宿泊業者への取材でわかった。県は春の観光シーズンに向けて観光関係者と防止策を協議する考えだ。
 関係者によると、いずれも同一とみられる人物から那須塩原市、日光市、那須町の宿泊施設8カ所に電話で1月2日の宿泊申し込みがあり、うち1カ所にのみ泊まったとみられるという。被害に遭った施設は県警に対応を相談し、この人物を特定して損害賠償を求めることも検討している。県観光交流課の担当者は「あってはならない行為。宿泊業者や関係団体と対策を話し合いたい」と話す。

 那須塩原市の旅館「湯守田中屋」では昨年8月末、男性の声で電話があり、男女10人で泊まるとして「露天風呂付きの最高の部屋」を指定されたという。住所、氏名、電話番号などを聞き、翌日には要望に応じてパンフレット10部も宅配便で送った。しかし、宿泊予定日の約2週間前に電話をした際は不通で、当日、客は現れなかった。連絡先とされた千葉県の住所に宿泊費約36万円の請求書を送ったところ、転居先不明で戻って来たという。
 日光市鬼怒川温泉のホテルでは、1月2日からの予約申し込みがあったものの、満室で、3日から1泊で男女計10人の予約を受け付けた。求めに応じてパンフレットも送ったが、客は来なかったという。被害額は約26万円だった。

 一般社団法人「那須塩原市観光局」の小林紀明・事業部長(51)によると、予約をした人がキャンセルの連絡もなく現れないことを業界では「ノーショー」と呼び、近年増えている。「被害が少額の場合は大半の宿泊施設が泣き寝入りしている」という。
 今回のキャンセルの理由は不明で、予約の手段も異なるが、無断キャンセルが起きる原因の一つに、インターネット予約サイトの普及があるとされる。サイトで空室確認をして複数に予約を入れた後、実際に泊まる施設を決めたにもかかわらず、ほかの施設の予約を取り消さないケースが散見されるという。
 施設側は「無断キャンセル」とみなし、予約者に代金を請求するが「キャンセル電話をしたはずだ」「何回もしつこい」と拒否する人も多いという。
 小林さんは「かたくなに拒否されたあげく、逆にネットで中傷されるのも避けたくて、請求をあきらめてしまうことが多々ある。今回の問題で、宿泊予約をすれば支払い義務が生じる場合もあることが認知されてほしい」と話した。(池田敏行、梶山天、池田拓哉)

この種の問題はすでに飲食店では久しく以前から問題視されてきたところですが、今回は繁忙期で各旅館とも最上級の部屋であったことから被害総額も大きかったそうです。
飲食店を始めこの種の問題への対応策に頭を痛めていて、例えば無断キャンセル分の料金支払いを受ける保険的制度なども登場し大変な反響があると言います。
また記事にもあるようにネット予約との関連性が高いと指摘されている点から、ネットの顧客管理システムを応用していわばブラックリストを作成する動きもあるようです。

それだけこの種の行為を繰り返す常連が存在すると言うことですが、そもそも何故彼ら一部の常連がこうした行為を繰り返すのかと言うことが論じられてきました。
例えば取引先の接待などで相手の好みが判らない場合、何店か予約を入れておき当日相手の希望で確定し、いちいちキャンセルの連絡はしないことが多いそうです。
しかし宿泊予約キャンセルに関してはもう少し別の理由もあるらしいと言うことが判明してきていて、これも今の時代らしい話だと話題になっていました。

宿泊無断キャンセルで親子逮捕(2020年1月22日NHKニュース)

ホテルの無断キャンセルを繰り返したとして、51歳の女とその息子が逮捕されました。
警察は、宿泊予約サイトで得られる特典のTポイントに目をつけて、全国のホテルなどで無断キャンセルを2200回以上行い、Tポイントを不正に得ていたとみて捜査しています。

逮捕されたのは、住所不定の自称・自営業、岸田治子容疑者(51)と息子で自称・会社員の治博容疑者(30)です。
警察によりますと、2人は去年8月、インターネットの宿泊予約サイト「一休」を通じて偽名で予約した京都市の4つのホテルを無断でキャンセルし、業務を妨害したとして、私電磁的記録不正作出・供用や偽計業務妨害の疑いが持たれています。
「一休」を通じて予約すると、特典として宿泊代金の一部がTポイントとして還元されますが、ホテル側の手続き忘れなどによって、無断キャンセルでもTポイントが付与されるケースがあるということです。
警察は岸田容疑者が特典のTポイントに目をつけて、全国のホテルや旅館の予約と無断キャンセルを2200回以上繰り返し、およそ190万円分のTポイントを不正に得ていたとみています。

調べに対して、息子の治博容疑者は「間違いありません」と容疑を認め、母親の治子容疑者は「覚えていません」と容疑を否認しているということです。
2人の所持品からは、60枚以上のTポイントカードなども押収されていて、警察は、気付かれないように、大量のカードを使いわけながら、不正にポイントを得ていたとみて、調べを進めています。
(略)
【被害にあったホテルは】
無断キャンセルの被害にあった京都市のホテルは、去年8月、宿泊当日の夜に、朝食付きツインルームの1泊の予約をインターネットの宿泊予約サイトを通じて受けました。
しかし当日、宿泊予定の2人は現れず、そのまま無断キャンセルされたということです。
このため、登録時に入力された電話番号に連絡しましたがつながらず、その後、警察から岸田容疑者が偽名で予約していたことを知らされたということです。
このホテルでは、無断キャンセルのあと宿泊予約サイトに連絡して手続きを行ったため、ホテル側が負担することになるTポイントは付与せずにすみました。
ホテルの担当者は「今回の事件は詐欺行為のようなもので、絶対に許せません。無断キャンセルは、毎月10件以上は起きており、本来宿泊できたはずの別の人が宿泊できなくなり、ホテルとしても大きな損害です。宿泊予約サイトには、入力する個人情報のチェックを厳格化するなど、対策してほしい」と話していました。

【一休コメント】
宿泊予約サイトを運営する「一休」では、「サイトが犯罪に利用されたことを真摯に受け止めています。安心して利用者や宿泊施設に使用してもらうため、システムの改善に取り組むとともに、悪質な無断キャンセルを防ぐための啓発を行なっていきたい」とコメントしています。

偽名での宿泊予約が出来てしまう点からも判るように、利用する顧客側の利便性優先で満足に個人情報確認もしていない予約システムが悪かったと言う声もあります。
逆に利用者の側からすれば宿の予約一つで根掘り葉掘り個人情報を要求され、あげくに厳重な確認を繰り返されるのではやっていられないですし、何が便利かですよね。
ただ昔ながらの電話予約であれ無断キャンセルはあり得るとは言え、今回無断キャンセル自体が利益を生む制度だったことが被害拡大の一因だったとは言えそうです。

人間誰しも自分の利益になることを行う傾向はあり、特にネット予約を活用するなど利便性を求める顧客層にはその傾向がより強いのではないかと想像されます。
便利だから、お得だから利用すると言う延長線上で、これをやれば利益につながると言う抜け道があるなら当然やる人も出てくるはずで、制度設計に問題ありと言えそうです。
施設側から予約サイトへのフィードバックも重要ですが、偽名や虚偽の連絡先を認めているようではブラックリスト化も難しく、対策には予約システムの見直しが必要そうですね。
今後施設側から予約サイト側に損害賠償請求でもあれば予約サイト側も動かざるを得ないでしょうが、最終的に皆が満足する落としどころがどの辺りになるかです。

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2019年12月18日 (水)

職場での忘年会は今や歓迎されざるものに

そろそろ忘年会シーズンも真っ盛りですが、このところ話題になっているのが忘年会スルーなる言葉です。

若手社員に広がる#忘年会スルー「お金払ってまで上司の武勇伝聞きたくない」「時間のムダ」と厳しいホンネ(2019年12月16日J-CASTニュース)

今、職場の忘年会に行かない若い人が増えている。いわゆる「#忘年会スルー」だ。「残業代も出ないのに、忘年会にお金出すのはマジ意味わからん」「参加費無料でも割に合わない。会費とか論外」と、SNSでは忘年会反対の声が広がっている。
Jタウンネットが2019年12月11日に発表した調査では、1035人のうち83・3%が「忘年会に行きたくない」と回答。「行きたい」と答えたのはわずか16・7%だった。
街の若手会社員の声を聞くと、「自分のお金まで出して...。時間がもったいない」(20代男性)、「年の差がありすぎて会話が成立しない」(20代男性)、「鍋を取り分けるのがハードというか...」(20代男性)、「4000~5000円出して上司の自慢話を聞くより、そのお金でスーパーでおいしいお肉やお酒を買って一人で動画とか見て過ごした方が何万倍も有意義」(20代女性)など。

先輩社員は「忘年会は強制」「勉強会と思ってくれ

一方、スルーを嘆く声も。50代男性会社員は「忘年会は職場のコミュニケーションを図るツールの一つ。色々な話を聞けるので、勉強させてもらえると考えればいい」と話す。
(略)

とある調査によれば実に7割近くの社員が忘年会スルー希望なのだそうですが、興味深いのは絶対参加したくないと言う断固拒否派の割合が、年代が上になるほど上がっていると言う点です。
若手はまだそこまで嫌な思いをしていないだとか、歳をとるほど忘年会などこんなものかと見えてくるだとか様々な解釈がありますが、世間で言う若者の忘年会離れ的な側面だけではないと言うことですね。
事実ある程度職場で地位を固めてきた人などは堂々とスルーするようになる印象もあり、そもそも忘年会など不要と言う意見も少なからずある一方、管理職など上司側を中心に必要だと言う声も根強いようです。
単純に彼らがそうした文化で育ってきたからだとか、酒の席で言いたいことが多々あると言うことなのかも知れませんが、いずれにせよ職場の多数派からは歓迎されていない行事であることは事実と言えます。

ちなみに不肖管理人は久しく職場忘年会には参加していないのですが、別に忘年会と言う行事を否定するものではなく、そうしたイベントが好きな人が多いなら自由参加でやればいいと言う立場ではあります。
ただ職場の人間関係が全て円満なものばかりではないことは当然で、普段から相性の悪い人と一緒に飲み食いしても楽しくはないでしょうから、職場忘年会と言う行事には人気がない方がむしろ自然ですよね。
習慣的飲酒者自体が年々減ってきているそうですが、酒さえ飲めれば喜ぶと言う人は実感としても多くはなくなってきていると感じますから、もはや忘年会=飲み会と言う認識自体改めるべきなのでしょうね。
この時期気のあった仲間同士で忘年会やホームパーティーを開くと言うことは珍しくないわけで、飲み会ではなく昼食会なら参加すると言う声もあり、拘束時間が長いと言うこと自体嫌われやすい要因かも知れません。

いずれにせよ古典的な忘年会を今後もやりたいと言う経営者や上司にとって、こうした世間の風潮は好ましからざるものと言えますが、やるのであればどうすれば最低限部下からも許容される行事になるのかです。
酒の場でのパワハラ、セクハラ、延々と続く愚痴や小言などは論外として、まず最低限参加を無理強いをしないと言うのは当然のことだと思いますが、案外ここが出来ていないからこそトラブルが多いとも言えます。
他方では会社の行事なのだから参加して当然と言う主張もありますが、酒の席で業務上重要な話をすると言うのであれば、それは業務の一環として残業手当なりを出した上で行われる必要があるでしょう。
実際に業務として出勤扱いにしたところ参加率がずいぶん高まったと言う話もあるそうですが、業務でもない行事に部下がつきあってくれるほど自分に求心力があるのかと、上司も一度自らを省みて見るべきでしょうね。

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2019年12月 5日 (木)

岡山県警の全国初の試み、はじめての成果を上げる

このところ危険運転、あおり運転が全国的に注目される機会が増え、危険運転につながるスマホのながら運転が厳罰化されるなど対策も進んでいます。
個人レベルでの対策としてドライブレコーダーが大人気だそうですが、そのドラレコに関連した岡山県警の全国初と言う取り組みが注目されています。

あおり運転の動画提供求む 岡山県警が専用ページを開設(2019年11月17日朝日新聞)

 あおり運転が社会的な問題となる中、岡山県警は危険な運転の写真や動画提供を受ける専用ページを県警のホームページ内に開設し、21日から運用を始める。県警によると、ネットで動画提供を求める取り組みは全国で初めてだという。

 専用ページの名称は「岡山県 あおり110番 鬼退治ボックス」。情報提供者は専用の入力フォームに危険運転の内容や写真・動画の有無などを記入して送信する。県警は情報の内容を調べて、悪質な場合は捜査し、指導警告も行う

 交通指導課の担当者は「高速道路などで危険運転の被害にあった県外の方からも、より簡単に情報提供を受けられるようになる。あおり運転を現在受けているなど緊急性の高い場合は、110番通報をしてほしい」と話している。

 県警によると、あおり運転の通報は昨年は約1500件で、うち139件が摘発につながった。今年は10月末までで約1500件の通報があったという。(榧場勇太)

危険運転の通報動画で初検挙 専用サイト開設の岡山県警(2019年12月5日朝日新聞)

 岡山県警は5日、大型ダンプカーで危険な割り込み運転をしたとして、同県倉敷市の40代の運転手に交通反則切符(青切符)を切ったと発表した。県警はあおり運転など危険な運転への対策として、11月から専用サイトで動画提供を求める全国初の取り組みを始めており、動画を端緒とした初めての検挙という。

 県警によると、動画は11月16日午後4時ごろ、倉敷市内の国道2号で、軽乗用車を運転していた男性がドライブレコーダーで撮影したもの。男性の車を追い抜いた大型ダンプが右折車線からウィンカーをつけず、十分な車間距離をとらないまま幅寄せして割り込む様子が記録されている。

 県警は動画をもとに捜査を進め、12月2日、道路交通法違反(進路変更の禁止)容疑で運転手に青切符を切った。県警は「あおり運転に類する危険な運転」と判断したという。

 運転手は県警に対し、周囲へのあおりの意図はなかったとし「後続車両を確認していないまま車線変更した」と話しているという。

 県警によると、専用サイト「あおり110番 鬼退治ボックス」は被害者らが通報しやすくする狙いで11月21日に開設。12月3日までに31件の情報提供があったという。(榧場勇太)

日本を代表する進歩的メディアとして知られる朝日新聞だけに、こうした県警の活動にどんな批判的目線で応じるのかと思えば、案外冷静な記事で拍子抜けするでしょうか。
元記事の動画を参照いただいても判る通り、決して珍しい行為ではないだけに、こうした情報提供が素早い検挙につながったのは制度の実効性に期待を抱かせます。
とは言えむしろ世間的注目を集めているのが、これだけ有効そうな方法が今回全国でも初めて始まったばかりであると言う点ではないでしょうか。

世間的にこれだけドラレコが普及しており、ネット上でも危険運転動画は日々公開されているのですから、警察がその気になればいくらでも検挙出来そうな気はしますね。
ところが実際は動画を根拠に通報しても警察が動かないことも多い、と言うよりも各地から上がる声を聞くとほとんど動画通報は無意味かと感じられる状況でした。
いつもお世話になっている「弁護士ドットコム」でも、ドラレコ動画による危険運転の通報は「現行犯以外で取り締まりをすることはかなり稀」と回答されているほどです。


世間的に危険運転がこれだけ問題視される中で、さすがにこうした警察の対応はどうよと思われますが、そこに警視庁からあおり運転への新たな対処が指示されました。
道路交通法の記載を元に「事故にまで至らずとも、免許停止など適切な処分を行うように」と全国の警察に指示したため、今後は警察の対応も変わっていくと思われます。
今回の岡山県警の方法論が効果的で効率がよければ、今後全国の警察組織に広まっていく可能性もありますし、その結果危険運転が減ることを期待したいですね。

 

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2019年12月 2日 (月)

似非医学情報に対するネット規制、強化される動き

定期的に話題になるような話なのですが、このところまたぞろ問題化してきていると言うことなのか、先日もこんな記事が出ていました。

「ニセ医療」情報の拡散防止、プラットフォーマー各社の対策進む(2019年11月24日J-CASTニュース)

 科学的根拠が不十分だとして批判を集めた「血液クレンジング療法」(オゾン療法)。インターネット上では、こうした真偽不明の健康・医療情報が、たびたび物議をかもしながらも蔓延している。
 情報発信の基盤となるデジタルプラットフォーマーも危機感を覚えており、各社は信頼性向上に向けた取り組みを進めている。

■反ワクチン情報拡散へ対策

 ツイッターは2019年5月から、「ワクチン」に関する単語を調べると、検索結果に厚生労働省の予防接種情報ページが案内される施策を始めた。また、ワクチンについて誤った情報へ誘導する可能性が高いキーワードは、検索候補から非表示にする取り組みも同時に始めた。
 ツイッタージャパン広報は導入当時、J-CASTニュースの取材に、「ツイッターは、利用者にとって高品質で関連性の高いコンテンツを重要視しています」と経緯を話す。
 発表文では「ワクチンも含めそのほかの疾病や症状に対する治癒、治療、診断、予防について、誤解を招くような内容を含まない広告コンテンツのみを選んで表示するようにしています」とも報告している。

 ワクチン接種をめぐっては、「自閉症を引き起こすリスクがある」など科学的根拠に乏しい「反ワクチン」情報の温床になっているとして、プラットフォーマーは批判を集めてきた。世界保健機関(WHO)が発表した「2019年の世界的な健康への脅威」では、インフルエンザやエイズウイルス(HIV)などとともに「ワクチン忌避」がトップ10に選ばれている
 デジタルコンテンツの投稿・購入サイト「note(ノート)」でも19年5月から、「ワクチン」「予防接種」と検索すると、サイト上部に「医療や健康情報はネットだけでなく、かかりつけの医師や政府機関の情報もチェックしましょう」との文言が並ぶようになった。厚生労働省の予防接種情報ページも案内する。
 その後、「ホメオパシー」「血液クレンジング」「EM菌」などの用語にも、同様の対応がされた。
 noteを運営する「ピースオブケイク」(東京都港区)の坂本洋史・メディア事業部長は、「プラットフォーム運営社として、反ワクチンやフェイクニュースには社会的な責任を果たしていくとの明確なスタンスを示そうというのが導入の背景にあります」と話す。
 また、英「ネイチャー」などが主催するジョン・マドックス賞を受賞した村中璃子医師や、がん研究者の大須賀覚医師といった、信頼できる医療情報を発信している専門家の投稿は、積極的に拡散を支援しているという。
 坂本さんは「noteは表現や言論の場なので、できるだけ表現の自由を担保したいと思っています。一方で、誤った情報の拡散は防いでいきたいと思っています。このバランスを重視しながら対応を進めていきたい」といい、今後はネット上で医療情報を発信する方法をまとめた教材の作成や、健康・医療関連の啓発イベントの実施を検討しているとした。

はてなブログではガイドライン改定

 はてな(本社:京都市)が運営する「はてなブログ」では10月8日、ガイドラインを改訂し、次の項目を加えた。

  「危険性のある情報発信への対応 特に、健康、医療、食の安全や公衆衛生などの領域で、標準的な医療情報を否定するような見解や独自の見解が掲載されており、人身に危険が及ぶ可能性がある場合、読者に対する注意喚起と中立的な情報源や適切な相談窓口の案内をはてなにより挿入することがあります。挿入された情報をCSS(編注:ウェブページの見た目などを指定する言語)などで非表示にすることは禁止します」

 はてな広報は、ガイドライン改定の理由を「すでに数年前から社会的にインターネット上の健康・医療情報に関して信憑性が問題視されている状況があり、今後、多様なユーザー様が安全にサービスをご利用いただくために対策が必要であるとの判断になりました。また、運営企業の社会的責任を果たすという意味において、ユーザー様にも受け入れられるであろうとも考えました」と明かす。
 実際の注意喚起では「本ブログには医療や健康、食の安全などについて、現在の標準的な医療情報とは異なる可能性の高い見解が記載されています。健康や人命に重篤な影響が出る恐れもありますので、十分に注意をして情報をご利用ください」と明記しており、NPO法人「日本インターネット医療協議会(JIMA)」が作成した「インターネット上の医療情報の利用の手引き」のリンクも併記されている。
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ちょうど先日も取り上げましたようにネットメディアも昨今この種の問題を熱心に取り上げていらっしゃいますが、その理由としてこの種の非標準的医療あるいは似非医療がネットと極めて親和性が高いことがあげられます。
似非医療に限らず以前から検索をかけると上位に何が表示されるかと言う問題がたびたび話題に上っていて、スポンサーサイトなどが上位に来るならまだかわいい方で、怪しげなものが上位に並ぶことも少なくありません。
サイトの作り方により検索エンジンで優先表示させるテクニックなどもあるようですが、真面目な医療情報を検索しようとして悪質な似非医療に誘導されるようでは、被害者が相次ぐと問題視されるのも当然ですよね。

以前は似非医療を提供する個人や団体に抗議することが一般的でしたが、この種の行為を根絶することは難しく、また悪質な方々ほど手を換え品を変え名を変えて新たな犠牲者を誘引するものです。
そのためこうした問題サイトを上位に表示する検索エンジンの仕組みが問題視されつつあるのが近年の傾向ですが、検索サイトに限らずSNSやブログなど各種情報を取り扱う場では同様の危険性があると言えます。
利用規約を改定し一定の質的コントロールを試みると言うのは、情報を扱う企業としてのモラルであり社会的責務であると言う意見も少なくないので、今後こうした動きはさらに拡がっていく可能性は高そうですね。

当然ながらネットとは自由であるべきで、勝手に規制を強化されるのは困ると言う反論もあり、言論の自由云々に言及するまでもなく、子供とプールに行った写真を児童ポルノだと勝手に削除されたなどと言う話もあります。
昨今世界のあちこちで発生している民主化運動なども、当局の規制をかいくぐって市民がネット経由で連帯する動きがたびたび報じられるくらいで、規制強化に対する反発、反対が根強いのも当然と言えば当然ですね。
そもそも情報の価値を誰がどう決めるのかと言う疑問もあり、根本的にはやはり利用者個々の判断力を高める必要がありますが、受け取り側のリテラシーが試されるとは一昔前から在来メディアに対しても言われた話です。
新聞やテレビが言うことを鵜呑みにせず、各種の情報を幅広く収集して自分で判断しましょうと言う基本はネットに対しても共通のもので、こうした方法論自体はすでに慣れている人も多いのではないかと思いますね。

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2019年10月 9日 (水)

近所の公園がずいぶんと殺風景になってきた理由

先日もたまたま散歩していて気になっていたのですが、最近こんなニュースが報じられることが増えてきているようです。

公園の遊具で遊べない なぜなの?(2019年10月4日NHK)

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子どものころ、公園のジャングルジムや滑り台などの遊具で遊んだという人も多いと思います。実はその遊具が使用禁止になるケースが各地で出ています。なぜなのか。遊具の安全性ってどうなっているのか。取材を始めました。

ことし3月から5月にかけて岡山市は市が管理する465か所の都市公園でおよそ700の遊具を一斉に使用禁止にしました。都市公園にある遊具全体のおよそ40%にあたります。
ジャングルジムや滑り台、ブランコ、シーソーなどの遊具には立ち入り禁止の黄色いテープが巻かれ子どもたちが遊ぶことができなくなりました。公園にあるすべての遊具が使用禁止になった公園も20か所ほどあったといいます。
使用禁止となった遊具は、定期点検の際に業界団体が定めた基準で子どもの頭や体が挟まるなど命に関わったり、重い障害が残ったりする事故が起きるおそれがあり「使用不可」と判定されたものでした。
たとえば滑り台では階段の段の隙間が12.7センチから23センチまでの場合は子どもにとっては危険があり、体が隙間に入ると首が絞められてしまうおそれがあるとされました。

岡山市は遊具の使用禁止について公園の利用者の安全を最優先に考えたとしていて「このまま使い続ければ重大な事故が起きてしまう可能性もある」としています。
その一方で岡山市では市民への使用禁止について周知が遅れたことから戸惑いが広がりました。
(略)
岡山市によると使用禁止にしたあと、ことし5月ごろまでは利用者からの問い合わせが相次いだということです。中には「立ち入り禁止の黄色いテープが遊具に巻かれているがいたずらではないのか」などといった声もあったそうです。
このため岡山市ではホームページで使用禁止にした遊具とその修繕状況などを公開することにしたほか、市内の1500ほどの町内会に周知が遅れたことについて謝罪の文書を送りました。
岡山市ではおよそ2億円から3億円かけて今年度中に使用禁止にした遊具の撤去や修繕を終えるそうで、さらに今後、小学校や幼稚園に遊具の適切な使い方を呼びかけるチラシも配布することにしているということです。
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公園の遊具は危険なのか、安全なのか。取材を進めると以前は明確な国の基準というものがなかったことがわかりました。
基準ができたのは平成14年。国土交通省が子どもが大きなケガをする事故が相次いだことを受けて、都市公園の遊具の安全確保に関する指針を示しました。
さらに近年、高度成長時代に作られた橋や道路などのインフラの老朽化や安全性の問題がクローズアップされ、去年から公園を管理する自治体などに年1回程度の遊具の点検が義務づけられました
この定期点検の際に使われる基準の参考とされているのが遊具メーカーなどで作る「日本公園施設業協会」(JPFA)がまとめた「公園施設の定期点検に関する規準」です。
(略)
ただ定期点検後の遊具の使用に関しては公園の管理者に任せられることになっています。このため自治体によっては定期点検で危険があると診断されてもそのまま遊具が利用できるケースもあります。
「日本公園施設業協会」の角南勇二専務理事は「点検で使用不可となった場合も改修費用などが課題となり、すぐに改修ができない場合もある。だからといってすぐに使えなくするべきかというと、公園によっては他に遊具がない場合もあり、判断が難しいことも少なくない」と話します。
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岡山市のみならず全国的にほぼ同様の動きが拡がっているのですが、確かに言われてみれば身の回りの公園からいつの間にか遊具が消えていたと言うことを、実際に見聞される機会も増えているのではないでしょうか。
無論故障や不具合があるなら撤去ではなく安全基準に適合するよう改修や修繕をすべきでしょうが、子供人口が減少を続ける中で予算も限りがある以上、こうした方面に大きなお金を使うことも難しいのでしょう。
ただ単純に古くなって危ないから撤去すると言うのではなく、背景には事故を巡って訴訟沙汰になるケースも少なくないなど、遊具の管理者への責任追及の動きがあると言うことでもあるようです。

特に市中の公園に置かれた遊具の場合見ている大人はいないので、教師の管理責任などを問える可能性のある学校と異なり、何か事故があればその責任は遊具を管理する自治体などに向く事になります。
実際に過去の裁判事例を見ると、適切に遊具を使用した上で事故が起こった場合には公園管理者が責任を問われてきたそうで、重大事故であれば民事ばかりでなく刑事責任も問われる事例もあるそうです。
遊具管理の指針を国(国交省)が公表しており、これに従って管理しなさいと言うことなのですが、現行版では80ページ以上の分厚いものとなっており、各地の管理者に周知徹底されているとは到底言えません
過去にも重大事故が起こるたびに進歩的メディアなどが厳しく責任を追及してきた結果と言うことでしょうか、自治体としても少しでも安全性に疑問があれば撤去や使用禁止に踏み切らざるを得ないのでしょう。

ただ特に危険性が高いと認定された回転式遊具や箱形ブランコなどはすでに全国各地から消えて久しいですが、実は滑り台なども相当に事故件数が多いにも関わらず、現在もさほど撤去は進んでいません。
構造的に単純で故障劣化が少ないと言うことに加え、滑り台事故に関してはほとんどの場合に不適切な使用方法が原因であることが理由と思われますが、要は責任問題にならないなら…と言うことでしょうか。
遊具の場合事故の有無に関わらず子供には多かれ少なかれ使用法の問題があるだろうし、使用前に目視だけでもチェックすれば判る不具合も多いので、保護者にも出来る事故防止策は少なくなさそうですね。

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2019年8月 3日 (土)

今日のぐり「イタリアン ガーヴィ」

今年も猛暑の日が続いていますが、この時期多いあの病気になってしまったのがこちらの方です。

羽越本線の運転士、熱中症に 県内計19人が救急搬送(2019年07月28日山形新聞)

 27日午後0時45分ごろ、JR羽越本線の遊佐駅で、下り普通列車の男性運転士(37)が体の震えや手足のしびれなど、体調不良を訴え、列車の運転を一時見合わせた。運転士は軽度の熱中症とみられ、救急搬送された。県内は厳しい暑さとなり、各消防本部によると同日午後6時までに、この運転士を含め19人が運ばれた。

 JR東日本秋田支社や酒田地区広域行政組合消防本部によると、列車は午後0時半ごろ、酒田駅を出発した秋田駅行きで、運転士は遊佐駅に到着した際、車掌に体調不良を伝えたという。代わりの運転士が到着するまで、列車は同駅で運転を見合わせ、50分後に再開した。乗客約30人に影響が出た。
(略)

運転士はもう運転できないと訴えたそうで、乗客の目が気になって水分を十分にとっていなかった可能性があるそうです。
本日は最後まで職務を遂行しようと努力した運転士の早期回復を願って、世界中から一生懸命頑張ったのに微妙に報われていない気がするニュースの数々を紹介してみましょう。

母刺殺の男に猶予判決 正当防衛主張も過剰と認定、青森地裁(2019年7月22日産経新聞)

 青森市で昨年1月、襲い掛かってきた母親=当時(45)=の牛刀を奪い刺殺したとして、殺人罪に問われた同市の無職、佐々木圭被告(23)の裁判員裁判判決で青森地裁は22日、「過剰防衛だ」として懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)を言い渡した。弁護側は正当防衛と無罪を主張していた。

 判決理由で古玉正紀裁判長は、母の恵さんを刺したことについて「素手などで制圧できた。防衛行為として許される限度を超えている」と指摘。一方で牛刀を向けられたことや、以前から酒に酔った恵さんに暴力を振るわれていたとして、執行猶予とした。
 古玉裁判長は「(残された)家族のことをよく考えて」と説諭した。

 判決によると、佐々木被告は昨年1月、青森市の自宅で恵さんの右胸を突き刺して殺害した。

牛刀を振り回して襲いかかってくる相手を素手で制圧できると裁判官が何故自信満々なのか判りませんが、何にしろ酒は過ごしすぎないようにしたいものです。
昨今何処の業界も人手不足で人材集めが大変だと聞きますが、こちらせっかく努力したのに…と言うニュースです。

平成の時代に「自衛隊はオタク化が進んだ」・・・「悪ふざけ」にしか思えないほど=中国メディア(2019年5月19日サーチナ)

 代表的な文化の1つがアニメである日本では、これまで「お堅い」イメージの強かった企業や機関がそのギャップを狙って二次元を宣伝に利用するようになっており、自衛隊もその1つだ。中国メディアの今日頭条は16日、「平成の自衛隊はどれほどオタク化が進んだのか」と題する記事を掲載した。日本人の二次元愛を半ば呆れ気味に伝えている。

 記事は、平成の時代に自衛隊がどのように「オタク化」してきたかを紹介。最近、中国の軍事愛好家に強く印象付けたのは、「自衛艦これ」だという。これは、海上自衛隊所属の自衛艦をアニメ「艦隊これくしょん」に出てくるキャラクターとして擬人化したものだ。筆者は自衛隊に「オタクが深く染みついている」ことに驚き、「悪ふざけ」が目に余ると苦言を呈している。
 中国人にとって軍関係者とは、国民の命を守り威厳を保ち、国民に敬われるべき存在であるべき、というイメージがあるようだ。それを考えれば、ポスターに美少女を多用し、自衛艦まで美少女に見立ててキャラクター化するというのは「悪ふざけ」に思えるとしても不思議ではないだろう。二次元に対する日本人との感覚の違いは大きいようだ。

 しかし、記事の中国人筆者も、「けしからん」と言いつつ、一部のアニメとのコラボレーションに関してはレベルの高さに舌を巻いている。例えば、海上自衛隊の艦艇に装備しているファランクスをアニメキャラ化したことがあるが、これはアニメ「銀魂」に出てくるキャラクター「エリザベス」を模したもので、色といい形といいキャラクターをうまく利用し「とても良くできている」と称賛した。
 しかし近年では、女性隊員にコスプレさせたり、声優に一日艦長を依頼したり、陸空海が「オタクの本気度」を競うかのようにますますヒートアップしていることに疑問を呈し、「これでは自衛隊は戦えるのかと疑問視されても仕方ない」と主張した。自衛隊は、他国では考えられないほど二次元に寛容なのは間違いないようだが、いざという時に「戦えるのか」に関しては、いざという時がないことを祈りたいところだ。

米軍なども伝統的に映画撮影に協力してきた経緯もあり、自衛隊が必ずしも特殊であると言うより中国が硬すぎると言う気もしますがどうでしょうね。
警察犬と言えば警官にとって頼りになる相棒と言えますが、その悲しい顛末を伝えるのがこちらのニュースです。

犯人と間違えて保安官に飛び掛かった警察犬、その場で射殺(2019年7月29日テックインサイト)

(略)

米ジョージア州のポールディング郡保安官事務所で、K9(警察犬)ヴェッロ(Verro)の殉職に皆が悲しみに暮れていた。ヴェッロは8歳のベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアで、ハンドラーであるブランドン・キルゴア巡査長(Brandon Kilgore)と7年以上もパートナーとして活躍してきた。
今月19日正午頃のこと、同州ダラスで男が暴力を振るっていると通報を受けて保安官らが駆けつけた。しかし男は現場を離れようとしており、保安官代理が付近でシルバーの車に乗った男を発見し、車を停車させた。
ところが男は車から降り、そのまま逃走してしまった。その後、ヴェッロを伴って現場に到着したキルゴア巡査長が逃げる男を目撃、ヴェッロを警察車両にのせたまま男の行方を追った。この時キルゴア巡査長は、K9を使用するには適さないと判断しヴェッロを車両に待機させたようだ。

しかしヴェッロはキルゴア巡査長を支える意欲に溢れた警察犬だったため、車両後部のケージから抜け出して少し空いている窓から外へ出て、キルゴア巡査長のサポートにあたろうとした。
だが目の前に現れた保安官代理を容疑者と間違えたヴェッロは、飛び掛かり脚に噛みついてしまったのだ。K9はハンドラーの指示にしか従わないため保安官代理の制止もきかず、さらに保安官代理はヴェッロがK9だということに気付いていなかった。
一方でキルゴア巡査長はヴェッロが警察車両から抜け出したことに気付いておらず、その場所から離れたところにいたという。
激しく脚に噛みつくヴェッロに為す術がなかった保安官代理は、日頃の訓練に従って銃を抜きヴェッロに向けて発砲、その場で射殺した。撃った犬がK9であることに気づいたのは、ヴェッロが息を引き取った後のことだった。
(略)
グレッジ保安官は同保安官事務所でK9とパートナーを組んだハンドラーとしては初めての人物だった。それだけに今回の不慮の事故には大きな悲しみを抱いたことだろう。

見ず知らずの相手なら仕方がないとも言えますが、しかしお互いに何とも残念な結果としか言いようがありませんね。
最後に取り上げますのは昨今珍しくない国際的密輸事件について、さすがにそれはどうよと言う犯人逮捕のニュースです。

「あのカツラ、怪しすぎる!」麻薬密輸で逮捕されたコロンビア人の衝撃的なヘアスタイル(2019年07月23日らばQ)

スペインのバルセロナ・エル・プラット空港で、コカインを密輸しようとしたコロンビア人の男が逮捕されました。
発覚した理由は、誰が見ても男の頭髪が「不自然」だったため。
衝撃的なヘアスタイルをご覧ください。

こ、これは!?
隠す気あるの? と聞きたくなりますが、保安検査場を通過する際に男はかなり緊張した面持ちだったことから、あやしさに拍車が掛かっていたのだとか。
(略)
コカインは約500g、3万ユーロ(約360万円)相当だとのことです。

元記事の画像を参照頂ければ一目瞭然ですが、確かにこれは隠す気があったのかと思うレベルですね。
恐らく当初はもっと控えめだったものが次第にエスカレートしてこうなったのでしょうが、何事も限度の見極めは肝心と言うのが教訓でしょうか。

今日のぐり「イタリアン ガーヴィ」


福山インターから北上した同市郊外に位置するのがこちらのお店ですが、失礼ながら見た目は全く目立つようなものではありませんよね。
ランチがお得だとなかなかの人気店だそうですが、夜の時間帯はそうでもなく静かに楽しめる程度のゆとりがあるようです。

この日は日替わりのコースを頼んで見ましたが、まずは前菜は盛り付けもなかなか小綺麗に出来ていて味も無難なものでした。
チーズを使ったニョッキ(クワットロフォルマッジ)はチーズの味が強烈なこってりしたソースが特徴ですが、ニョッキの程よい食感も楽しめます。
ちなみに普段のレギュラーメニューではこのソースをペンネで使ってるようですが、ソースの味が同じならニョッキの方が合いそうな気がしました。
真鯛のポワレは皮の焼き具合がいい感じで、付け合わせのレンコンやタケノコなど和野菜がいいアクセントですが、あっさりしたソースはわずかに塩気が強いでしょうか。
牛タンシチューはトロトロではなく肉の食感が残る仕上がりで味もいいのですが、これもやはりわずかに塩気の強さを感じるのは店の味と言うことでしょうかね。

全体に洗練はされてないが悪くない味で、混み合う昼時は大変でしょうが空いた時間帯なら接遇もまったりと居心地が良いものです。
内装や設備はさすがにやや古めかしさは感じるもののトイレなども設備面は一通り揃っていて、少人数で集まるにも良さそうなお店ですね。

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2019年6月 5日 (水)

昨今何かとテレビCMが不評なのだそうで

テレビで見ていた多くの人々が心の中で「なんでやねん!?」と突っ込んだとも噂されているのが、先日発生したこちらの放送事故です。

天心ダウン場面がCM突入で映らず非難、苦情殺到のフジRIZIN生放送不手際はなぜ起きたのか?(2019年6月3日ザ・ページ)

 総合格闘技イベントの「RIZIN.16」が2日、神戸ワールド記念ホールで行われ、メインのISKA世界フェザー級タイトルマッチでは、那須川天心(20、TARGET/Cygames)が、同フリースタイル世界バンタム級王者、マーティン・ブランコ(30、アルゼンチン)に2回2分19秒にKO勝利したが、生中継したフジテレビの放送中にCMが入り最初のダウンシーンや試合のハイライトシーンが視聴者に届かないという前代未聞の不手際があった。
 ネット上では肝心の場面を見れなかった視聴者からの非難と苦情が殺到した。「ライブの意味が全くない放送内容だった」「一番のハイライトでCM入れるとは前代未聞です」「本当に最低としか言いようがない」「CMが終わったと思ったら勝負も終わっていた。楽しみもそこで終わり」と、直接的な不満、怒りをぶつけるものから、「フジは何をやっても3流バラエティに持って行こうとするから、スポーツやニュースなどの専門番組が育たない」「こういう視聴者無視の手法がますますテレビ離れの原因になる」というフジテレビの局の体質に関する批判の声まであった。

 なぜファンが“放送事故”とまで評した不手際は起きたのか。
 試合後の大会総括会見で榊原信行実行委員長は、自らこの問題に触れて謝罪すると同時に不手際が起きた背景を説明した。
「今回、初の3試合生中継というチャレンジをしたが、(ネット上で)大炎上になっていると聞いている。CMが入って最初のダウンシーンが入っていないことが大問題になっている。地上波の環境の中で(3試合生中継の)経験がなく、前向きなチャレンジをして起きた残念な事象。(目付近の)カットやアクシデントがあれば必ずCMに行く決め事を作っていた。その1分間の尺でドラマチックなことが起きた。本当に申し訳ない。生で流したことに意味はあるが、今後、こういうことがないように整えていきたい」

 午後7時から9時まで2時間の枠で放映された「RIZIN.16」では、浅倉カンナ対山本美憂、浜崎朱加対ジン・ユ・フレイ、そして、メインの天心戦の3試合が生中継され、問題の“CMぶっこみ事故”は、午後8時20分過ぎから始まった、その天心の世界戦の2ラウンドに起きた。天心のパンチによりブランコが右目の上をカット。流血が激しかったため、残り1分50秒でレフェリーが傷の様子をドクターにチェックさせるため試合をストップした。
 ここで榊原実行委員長が明らかにした「カットやアクシデントがあればCMに行く」という事前の約束事が断行されてCMに突入した。だが、CMが明ける前に、試合が再開し、生中継が再開した画面には、いきなりブランコがダウンしている様子が映し出されたのである。しかも、それは2度目のダウンシーン。天心は、この試合で3度ダウンを奪ったが、「終わったかな」と確信したほどの会心の左のミドルキックが炸裂した最初のダウンシーンも、その直後に見せた、この試合のハイライトとも言える“ドロップキック”も、そして2度目のダウンを奪った膝蹴りも割愛されていたのだ。緊迫感を味わえる格闘技の生放送の最重要場面を見れなかったファンの声でネット炎上するのも当然である。
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 そもそも3分×5ラウンドルールの天心の試合で、いくらアクシデントがあったとは言えラウンド間のインターバル以外にCMを入れるという約束事があったこと事態が間違っていたのだろう。
 榊原実行委員長は「まだオンエアを見ていないので、これから確認をしてフジテレビと話をしていきたい。このことは地上波のスポーツ中継での命題だが、誰が(CMを入れるタイミングの)判断をするのかなどの問題はある。例えば、放送の前半にCMを集中させて試合中はなるべく流さない(ノーカット放映)などのよりよい対策をしていく」と主催者の代表としてフジテレビ側との連携を深め、放送不手際を繰り返さないことを約束した。

テレビ放送を見ていた人にとっては何が何だかと言うシーンだったと思いますが、幾らドクターチェックが入っているとは言えラウンドの最中にCMを挟むと言う事前約束があったこと自体どうなのかと言う声が多いようです。
民放各局が放送が出来るのもCMを入れるスポンサーがあってのことで、何よりもCMを流すことを優先するのは仕方ないとも言えますが、この種の強引なCMを挟むことでむしろスポンサーに批判が向きかねません。
昨今ではネット動画などいつでも好きな時に好きなものを視聴できることの反映でしょうか、見たいときに見られないと言うストレスを感じる人が増えているようで、このところ話題になっているのがCMのありかたです。

不愉快な「CMまたぎ」が今も流行 それでも止めない民放テレビ局の見識(2019年5月28日デイリー新潮)

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 新聞や雑誌の記事データベース「G-Search」に「CMまたぎ」を入力してみると、1998年5月23日に産経新聞の朝刊に掲載されたコラム「【CMルックLOOK】『第一生命』気になる凸形の箱の中身」が初出としてヒットした。署名原稿で、「フリーライター前田浩子」と記されている。
《“CMまたぎ”って業界用語があるんですって。例えばクイズ番組だとすれば「答えはCMのあとで…」と振っといて、正解をCMタイムが終わってから見る、という手法なのね》
 この「CMまたぎ」を“開発”したと言われているのが、日本テレビで“視聴率男”の名をほしいままにした五味一男氏(62)だ。
(略)
 だが最近、元祖・本家の日テレでさえも「あまりにあざとい『CMまたぎ』はよくない」と、封印の傾向が出ているという。
「原因はもちろん、視聴者の反感です。例えば4月6日、テレビ朝日はプライムタイムにあたる20時から『10万円でできるかな』を放送しました。スクラッチクジを10万円分購入するという回で、内容は面白かった。ところが、当選か否かを見せる際、相当に露骨な『CMまたぎ』を行い、不満の声が上がりました。日刊ゲンダイも批判記事を5月12日に電子版でアップしたほどです」(同・関係者)

 榊博文・慶応義塾大教授(社会心理学)は、こうした演出を「山場CM」とネーミング。テレビ局側が「CMを見てもらい、視聴率も落ちない一石二鳥」と喜ぶ中、視聴者は「CMまたぎ」に怒りを覚え、紹介される商品にも嫌悪感を抱くと分析した。
 朝日新聞が2007年11月6日に掲載した「山場でCM、逆効果 TV視聴者86%『不愉快』慶大研究室調査」のポイントを引用させていただく。
《榊研究室は、慶大通信教育部、文学部の727人を対象にアンケートを02年に実施。調査対象の半数近くが20代で、次いで30代が多かった。
 調査では、視聴者をCM明けまで引っ張ろうとする山場CMに対する印象として、強い肯定から強い否定まで9つの尺度で聞いた。「不愉快」について86%が肯定。CM明けのシーンの繰り返しには、74%が「イライラする」と回答した。
 山場CMを含む番組については、84%が「好感が持てない」。山場CMの商品について42%が「好感が持てない」、34%が「買いたくない」と回答。それぞれ60%前後あった「どちらともいえない」を除けば大半がマイナスの評価だった。
 話の流れが落ち着いたところで出る「一段落CM」と比較すると、山場CMが「商品を買いたくない」で3・8倍、「商品を覚えていない」も2倍と本来の効果をうち消していた
 また、日本と欧米のテレビ番組の山場CMを02~03年に比較した。ニュース、ドキュメンタリー、ドラマなど7分野で各国の代表的な3番組ずつを録画して比率を調べた。その結果は、日本の40%に対し米国は14%で、CMのタイミングが法律で規定されている英国は6%、フランスにいたってはゼロだった》
(略)
 民放キー局の関係者(前出)も、「CMまたぎ」、「山場CM」には批判的だ。
「結局、視聴者の皆さんが“見たい!”と思ってくださる気持ちに、私たちがわざわざケンカを売っているのが『CMまたぎ』でしょう。私だって『衝撃映像』の引っ張りや、顔に『マル秘』のモザイクをかけてCMに入るのを見ると、反射的にイラッとします。ところが、民放全体で見ると、『CMまたぎ』は封印の傾向どころか、むしろ増えている気がしますね」
 ひどい例になると、CM前にネタを振り、CMが終わったにもかかわらず、そのネタに触れない番組すらある。そのネタは次のCM明けだったり、最悪のケースでは番組の最後だったりする。関係者は「私も『CMまたぎ』がテレビの視聴者離れの原因になっていると思います」と頷く。
(略)

アメリカでの調査ではCMが全くなくても視聴者は不快感が増すのだそうで、ある程度節度を保ったCMはあってもいいのだろうし、海外から帰国した人などもしばしば番組よりCMを見たがる傾向があるようにも感じます。
ただこれだけどこの局でも似たようなCMを同じようなやり方で挟んでくれば工夫がないと言われるのは当然で、登場した当初は斬新だった手法ももはや完全に賞味期限切れであるとは言えるのでしょう。
CM自体も決まり切った内容のものが多く退屈との声もありますが、アメリカにおけるスバルのCMなどは定評があり、日本国内でもたびたび評判になる傑作CMもありと、見られる努力を講じる余地はありそうにも思います。

他方ではそもそも今どきの若い世代はテレビなど観ないと言う話もあり、前述の記事の調査でも学生を中心とした若い世代が対象ですが、普段テレビを見ない人を対象にテレビの調査をする意味はないとも言えます。
またドラマなど定期的にテレビを見る人であっても録画視聴が中心になり、この場合当然ながらCMなどは片っ端らからスキップされているわけですから、どれほどの宣伝効果があるのかと言う疑問もあるでしょう。
ただし現在の主たるテレビ視聴者、特にリアルタイムで視聴をしているのはほぼ高齢者だけだとも言われますから、こうした方々をターゲットに考えるのであればまた違った評価も出てくる可能性はあるのかも知れません。
そう考えるとCM内容も有名人の出演するおしゃれなものばかりでなく、もう少し高齢者を意識したベタなものに振ってみても良さそうにも思いますが、その場合一番のキーワードは健康と言うことになるのでしょうか。

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2018年12月28日 (金)

日本、IWC脱退を公式発表

すでに各方面で大きく報じられている通り、日本がIWC脱退を公式表明したことについて各方面から多大な反響があるようです。

水産庁VS外務省、捕鯨めぐり攻防 最後は政治決着(2018年12月26日産経新聞)

 国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退決定をめぐり、日本は反捕鯨国との根深い対立に加え、政府内では捕鯨政策をつかさどる水産庁と、国際協調を重んじる外務省との間で激しい駆け引きがあった。「IWCは機能不全」と主張する水産庁に対し、「国際的信頼を失う恐れ」と抵抗する外務省。「IWC脱退を決め、捕鯨もやめるのはどうか」との外務省側の意見も飛び出したが、最後は政治決断での決着となった。

 IWC脱退への流れに大きな影響を与えたのは、2014年に南極海での調査捕鯨中止を命じた国際司法裁判所(ICJ)の判決だった。裁判で原告国のオーストラリアはIWCの目的が「捕鯨産業の秩序ある発展」ではなく、鯨類の保存に「進化した」と主張。日本が敗訴したことで、持続可能な捕鯨を求める針路に黄色信号がともった。
(略)
 商業捕鯨モラトリアム(一時停止)の解除は「ほぼ不可能」と判断した水産庁は今春ごろから、脱退を視野に入れた本格的な折衝を始める。(1)反捕鯨国は政治的立場からいかなる捕鯨にも反対(2)クジラを諦めればマグロなどの水産資源も同様の危機(3)調査捕鯨の継続は困難-などの理由を掲げ、脱退して、捕鯨推進国を中心に新たに「第2IWC」を作るべきと訴えた。
 外交交渉で矢面に立つ外務省はこの動きに抵抗し、官邸や与党議員への説得工作を本格化させた。真っ向から反対姿勢はとらないものの、(1)国際機関から脱退することは国際社会に背を向ける(2)東京五輪や即位の礼、(大阪開催の)20カ国・地域(G20)首脳会議へ影響をもたらす(3)国連海洋法条約違反で提訴されるリスクがある-などと訴え、IWC脱退後の否定的側面を強調した。
(略)
 今年9月、反捕鯨国と物別れに終わったIWC総会後、脱退方針は決定的になる。関係他省庁に対しても「箝口(かんこう)令」が敷かれたが、これは環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や日欧の経済連携協定(EPA)の発効を控え、反捕鯨国を刺激しないためだった。
 12月に入っても、「脱退の猶予期間をおくべき」などの意見も出た。しかし、最終的には、ほぼ水産庁側の主張通りに押し切られた。長らくIWC総会や政府内協議で交渉に携わってきた関係者は、「自民党の捕鯨推進派が決定打を与えた」と評した。(佐々木正明)


日本の「IWC脱退に失望」=反捕鯨の豪州とNZ(2018年12月26日時事通信)

 【シドニー時事】反捕鯨国のオーストラリアとニュージーランド(NZ)は26日、日本が商業捕鯨の再開に向けて国際捕鯨委員会(IWC)を脱退すると発表したことを受けて「失望した」と批判した。

 豪州のペイン外相とプライス環境相は連名で声明を発表し、「豪州はあらゆる形態の商業捕鯨やいわゆる『調査』捕鯨に断固として反対だ」と指摘し、IWC復帰を求めた。

 NZのピーターズ副首相兼外相も声明で、IWCでの日本の立場を河野太郎外相と協議したと説明。その上で「捕鯨は時代遅れで不必要な行為だ。日本が自身の立場を考え直して、海洋生態系保護の前進に向けて全ての捕鯨をやめると引き続き期待している」と述べた。 

この問題に関してはいくつかの視点があると思いますが、まず永続的な鯨資源の保護と言う点に関しては日本を始め捕鯨推進派の諸国も何ら異存がなく、むしろ捕鯨国にとってこそ資源保護は重要と言えます。
この点で長年捕鯨問題を追ってきた産経の佐々木記者の記事にもあるように、鯨資源の活用と保護を両立することを追及する新たな組織を結成し、国際協調の元に捕鯨継続を図るべきだと思いますね。
一般的には反捕鯨派に挙げられるアメリカなども原住民による沿岸捕鯨は継続していて、こうした観点からは共に議論する余地はあるかとも思うのですが、まずは初期メンバーは厳選するのが妥当でしょう。

他方でこうした立場と対立するのが資源保護の状況如何に関わらず、一切の捕鯨はまかりならんと主張するオーストラリアなど反捕鯨急進派諸国で、IWCが機能不全に陥っている主因であるとも言えます。
今後はノルウェーやアイスランドなど商業捕鯨を継続している国家との連携はもちろん重要ですが、捕鯨推進派諸国が脱退した後のIWCの行方も興味深く、そもそも存在意義があるのかとも感じますね。
また今回の脱退により反捕鯨活動を続ける環境テロリスト団体はさぞや頭にきているのではないかと思っていたのですが、正直その発想はなかったと言うしかないコメントを出しているようです。

反捕鯨団体「勝利」宣言(2018年12月27日共同通信)

 【ロサンゼルス共同】反捕鯨団体「シー・シェパード」は26日、日本政府が国際捕鯨委員会(IWC)側に脱退通告したことについて、日本は脱退に伴い加盟が条件となっている南極海での調査捕鯨ができなくなるため、歓迎する声明を出した。抗議活動の目的が実現したとして「勝利」を宣言した。

 シー・シェパードは南極海での捕鯨に反対し、2005年からこの海域で日本の調査捕鯨船への妨害活動を行った。声明では「南極海におけるクジラを巡る戦いが終わろうとしている」とし、今後は北極海で監視を強める必要性を強調した。

ええまあ…当事者がそれで納得出来るのであれば構わないとも言えますが、このコメントから見るとこのところ日本が展開していた封じ込め活動が奏功していると言う印象も受けるところです。
現実的な側面から考えれば、オーストラリアと言う主要なバックアップ先との連携も見込めず、いわば完全アウェーである日本近海で反対活動をすることはかなり困難であろうとは思いますね。
今後北極海での活動に軸足を移すと言うことで、北欧捕鯨諸国との対立が先鋭化するだろうと思いますが、彼ら北の漁師は日本人ほど優しくはないでしょうから、今後の展開が楽しみでもありますね。

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