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2018年12月 6日 (木)

焼肉を食べる会ではなく妊婦さんの集まりでもなく

このところ全国各地でセクハラ騒動が報じられる機会が増えているのですが、こちらその究極的予防手段が話題になっていました。

ハラスメントを未然に防ぐ「ハラミ会」が物議 飲み会でのセクハラ対策、正解はあるのか(2018年11月27日WEZZY)

 瀧波ユカリによる漫画作品『モトカレマニア』(講談社)に登場する「ハラミ会」をめぐってTwitter上で議論になっている。
 月刊漫画雑誌『Kiss』(講談社)で連載中、先日コミックス第2巻が発売された『モトカレマニア』は、数年前に別れた元彼の存在を引きずり、“モトカレマニア”と化した主人公・難波ユリカ/27歳のOLが、転職先で元彼と再会して……という物語だ。
 「ハラミ会」は、そんな物語の本筋ではない。ユリカの転職先で元彼も働く小規模な不動産会社の男性社員たちによる、「ハラスメントを未然(ミゼン)に防止する会」の略称だ。

 コミックス第1巻、男性社員たちは仮採用として入社したユリカに「我々は一般女性とは飲みません(ホステスなどのプロとは飲む)」「だから歓迎会はないんだ」と宣言し、「オレ達『ハラミ会』の会員だから☆」「飲みの席でうっかりセクハラする自分に嫌気がさした男たちだけで飲む会なんだ」「女性が何で傷つくかオレらにはわかんねーんだよな~」「我々のことはダメ人間だと思ってくれてかまわないんで!」という。その会社はいわゆるブラック企業ではなさそうだが、女性社員はユリカ一人だ。
(略)
 ハラミ会への賛否でいえば、Twitterでは「否」よりも「賛」が多い印象だ。「対立を煽っている」「女性を排除している」と批判的な意見もある一方で、「素晴らしい配慮」「リスク回避」「理想郷」「合理的」「お互いのため」「君子危うきに近寄らず」「女性専用車両と同じ」「男子会のようなもの」と賛同する意見が圧倒的に上回っている
 「どこまでセーフか」「どんな言動がセクハラになるか」がわからないから、男性は女性との接点を避けるしかなくなるのだ、といった声も頻出しており、多くの人がセクハラ問題に関心を持ち警戒していることの現れだと感じた。
 他方、男女間の対立構造が見えやすいTwitterの特性からか、「リベラルやフェミが頑張った結果」「フェミニストさんたちにコストを払い続けてもメリットない」「女性を恐れて逃げ出す男が現れた」など、ミソジニーを露わにするツイートも少なくない。関係性を放棄してしまう姿勢には、強い疑問を抱く。また、同性間であってもセクハラは起こり得る。
(略)
 厚生労働省は事業主に対して、職場におけるセクハラ・パワハラ対策を義務づけている。11月19日には、職場のハラスメント対策の骨子案が労働政策審議会の分科会で示された。骨子案では、企業にパワハラ防止の取り組みを義務付け、就業規則などでも対応方針を明記させるほか、セクハラ対策強化として、被害申告をした従業員に解雇など不利益に取り扱うことを禁じる規定を男女雇用機会均等法に明記する考えなどが示されている。また、取引先や顧客など社外の人間からセクハラ被害を受けた際の対応にも指針設け明確化するとのことだ。世の中は少しずつ、むしろ窮屈な枠組みから解放される方向へ前進している。

実際のところニュースになっているような事件は一般常識に照らし合わせても職場の飲み会でそれはいささかどうよ?と思われるようなものも多く、昨今処分例が増えているのもやむなきところではあると思います。
ただニュースにならないような事例もその何倍、何十倍とあるはずで、どこからがセクハラかと言われれば確かに明確な線引きは難しいのですが、これは人間関係全般に言えることでもありますよね。
いずれにせよこのハラミ会云々は半ば以上ネタとして取り上げられている話だろうと思っておりましたら、海を判ったアメリカではもっと大変な騒動になっているのだそうで、こんな記事が出ていました。

ウォール街、「#MeToo」時代の新ルール-とにかく女性を避けよ(2018年12月4日Bloomberg)

女性の同僚と夕食を共にするな。飛行機では隣り合わせで座るな。ホテルの部屋は違う階に取れ。1対1で会うな。これらが近頃のウォール街で働く男性の新ルールだ。要するに、女性の採用は「未知数のリスク」を背負い込むことなのだ。女性が自分の一言を曲解しないとは限らない。
  ウォール街全体で男性たちは今、セクハラや性的暴力を告発する「#MeToo」運動への対応として、女性の活躍をより困難にするこんな戦略を取りつつある。妻以外の女性とは2人きりで食事をしないと発言したペンス米副大統領にちなんで「ペンス効果」とでも呼ぶべきだろうか。その結果は本質的に、男女の隔離だ。

  30人余りの上級幹部とのインタビューからは、「#MeToo」を恐れる男性が対応に苦慮していることが分かった。「卵の上を歩くようなものだ」とモルガン・スタンレーの元マネジングディレクターで現在は独立系アドバイザーとして15億ドル(約1700億円)余りを扱うデ-ビッド・バーンセン氏は言う。
  女性幹部の少ないウォール街では、セクハラの訴えを法廷外で、公の目に触れさせずに解決する文化が根付いており、ハリウッドでのハーベイ・ワインスタイン元プロデューサーのようなひどいスキャンダルは回避してきた。1年余り前に「#MeToo」運動が始まってから男性は職場での行動をチェックし自己防衛に努めているが、ウォール街の男性社会ぶりは弱まるよりむしろエスカレートする恐れがある。

  ファイナンシャル・ウーマンズ・アソシエーションの代表でウェルズ・ファーゴのシニアバイスプレテント、カレン・エリンスキ氏は「女性はどう対処したらよいかと手探りしている。この状況はわれわれのキャリアにかかわるからだ」と述べた。
  ヘッジファンドや銀行、プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社などで働く男性たちは、女性と2人きりになることへの不安を抱えている。匿名でインタビューに応じたPE投資会社に勤務する40代後半の男性は、窓のない部屋で女性と一緒にいない、エレベーターでは離れて立つなどの対策について語った。しかし、仕事の後の一杯などの付き合いから女性が締め出されれば、男性同士のつながりばかりがますます強まりかねない。 

アメリカと言えば日本より女性の社会進出はずっと盛んであり、女性を尊重する意識も高いと言うのが進歩的な方々の主張だったはずが、実際はこんな状況であると言うことであれば驚くばかりです。
無論一部でこうした動きがあるにせよ、大部分ではごく当たり前に男女一緒に仕事をしているのでしょうが、何しろ懲罰的損害賠償などと言い出すお国柄である以上、日本以上にリスク管理は重要であるはずです。
平等性や公平性を担保するだけなら、同じ社内で男女を完全に隔離しても達成されるわけですから、この方向の進むところ職場内での男女分断と言うことにもなりかねませんが、その弊害はどうなのかですね。
実際問題物理的に隔離された環境であってもネットなどを介してリアルタイムで意志疎通は可能であるわけで、案外今の時代は実空間を共有する必要性もそうはないと言うことなのかも知れません。

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2018年10月24日 (水)

意外にも?違法な海賊版漫画サイトの取り締まりがうまくいいそうな気配に

以前に漫画などの著作権出版物を違法に掲載するサイトの話題を取り上げた際、根本的対策は難しいのではないかと感じていたのですが、良い意味で予想が外れたようです。

漫画村の運営者をついに特定か!?法的措置も進行中(2018年10月10日アルケム)

著作権を無視した漫画の海賊版サイト「漫画村」の運営者とみられる人物を、日本の弁護士が特定したことがわかりました。

漫画村の運営者の身元特定が困難だった理由の一つが、「防弾ホスティングサービス」。
漫画村は、米国クラウドフレア社の提供する防弾ホスティングサービス(身元を隠すのに使う)を利用していたことが、以前から知られていました。
このサービスは、顧客の匿名性を重視しており、海外から情報開示要求を行っても、相手にしてもらえず捜査がなかなか進展していませんでした。
しかし、今回、アメリカの著作権者を通じて訴訟を行うことで、情報開示要求に応じたことが、捜査進展のきっかけになったようです。

米国で起こされた民事訴訟は、漫画村に著作権を侵されていた、米国在住の漫画家が原告となりました。
これまで「知らぬ存ぜぬ」を貫いてきたクラウドフレア社であっても、米国で起こされた民事訴訟に対しては、適切な対応をしないと罰則を受けるので、しっかりと対応される結果に。
証拠開示手続き(ディスカバリー)が行われ、クラウドフレア社から漫画村に対する、課金関係の資料が取り寄せられ、その情報をもとに漫画村運営者の特定が試みられました。
(略)
開示された情報では、クラウドフレアと契約している男性の住所は東京都内のマンションになっていたとのこと。
さらに、男性の本名や住所、男性が親族の名義でこのマンションを借りていたことも判明しました。

今後は、漫画村の運営者とみられる人物に対して、刑事告訴、民事訴訟が行われていく予定です。
とはいえ、3,000億とも見積もられる被害額に対し、漫画村の運営者が所持しているとみられる資産はスズメの涙ほど。
今回クラウドフレア社が、米国からの手続きで情報開示に素直に応じたのは、マンガ業界にとっては吉報です。
直接の権利者が、適切な法律に則った手続きを行えば、違法サイトの運営者の情報もしっかりと開示されることがわかったので、今後、同様のサイトの閉鎖の足がかりになることが期待されます。

もはや裏ビジネスにはなり得ない……「漫画塔」も一瞬で消滅! 追い詰められる海賊版サイト(2018年10月16日日刊サイゾー)

 再び登場したかと思いきや、違法海賊版サイト「漫画村」の後継と目される「漫画塔(タワー)」は、話題になった途端に消滅した。もはや、海賊版サイトでアクセスを集めることをベースにした裏ビジネス自体の崩壊は近いのか。

 今年4月、今も続くブロッキング問題などを引き起こした揚げ句に消滅した「漫画村」。その後継サイトではないかと注目を集めたのが「漫画塔」である。このサイトは「漫画村」がキャラクターとして挑発的に登場させていた「らりっくま」も用いており、サイトデザインからも後継サイトである可能性が強かった。
 さらに「漫画塔」は、公式Twitterアカウントも運用。10月4日に「フリーブックスや漫画村の代わりになる漫画無料サイトを紹介!! 漫画塔!!!」、翌5日には「速報!漫画村が漫画塔としてして復活さたよ」(原文ママ)などという挑発的な言葉で、集客を図ろうとしていた

 ところが、これがニュースサイトなどに取り上げられたことで状況は一変。10月9日には、公式Twitterアカウントは「私たちは閉じられ、永遠に閉じたままです」「永久閉鎖された!!!!」とツイートし、サイトは消滅したのである。
 この背景にあるのは、まず昨今話題になっている「漫画村」運営者が特定されたという報道である。もはや、あらゆる方面から逃げ道を塞がれていることが明らかになった中で、これ以上の継続は不可能と判断したのであろう。おそらくは、再開を焦った「漫画村」運営者の判断ミスといえる。

 これまで「漫画村」をはじめとする海賊版サイトの目的は、仮想通貨をマイニング(採掘)させるスクリプトを混入させたり、個人情報の取得が目的ではないかとされていた。運営者側には「権利者には絶対に正体はバレない」という絶対的な自信があったのだろう。
 だが、運営が国家レベルの陰謀でない以上は、正体が露見することからは逃れられないことが、わかってしまった。
 もはや海賊版サイトはビジネスにはなり得ない。その段階に突入したことが次第に明らかになっている。

今回アメリカ経由で話を進めたことが事態の急展開につながったと言うことですが、逆に言えば日本の制度上の問題点が明らかになったとも言えるでしょうし、今後同種の問題に対応可能な制度整備が求められます。
とは言え正しい手順で話を進めれば案外あっけなく解決するものだなとも感じるのですが、当然ながら特定業者なり個人なりを摘発したところで同じようなサイトは幾らでも立ち上げられる可能性はあるわけです。
ただ商売として成立するためには一定程度の集客を図らなければならず、そのためにはネット上で周知されなければ仕方がありませんが、検索サイトの上位に名前が出れば取り締まる側も容易に知れる理屈です。
その都度適切な対応を迅速に行っていけば、少なくとも3000億円の損害などと言う大きな話にはならずに済む可能性があり、今後出版業界としても対策にコストをかけていくことになるのでしょうか。

この種の問題で過去に話題になってきたこととして、音楽の著作権を一元管理している団体による使用料取り立て問題がありますが、無論著作権物の利用に対して適正な支払いを行うことは利用者として当然です。
一方でその取り立て手法には数々の反発や反感があったことも事実ですし、ネット上に氾濫する違法な音源に対して放置しておいて取れるところからだけ取るのがいいのか式の批判もあったのは事実ですよね。
厳しい規制が消費者の反発を招き、かえって違法サイトの利用が進むと言うのでは本末転倒で、利用者が進んで制作者の権利を擁護する方向になれば最善ですが、そのためにはお金の流れも重要だと思います。
きちんとお金を払えばお気に入りの作家の元にきちんとそれが届き、それが次の作品の制作につながるとなれば双方メリットがありますが、今後ネットでの公開が主流になればこうしたシステムは作りやすくはなるはずです。

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2018年7月25日 (水)

独善的環境テロリストの新たな標的

先日から話題になっているこんな事件をご存知でしょうか。

仏で肉屋襲撃相次ぐ 菜食主義者犯行か、壁にメッセージ(2018年7月6日朝日新聞)

 フランスで肉屋が襲われる事件が相次ぎ、あらゆる動物性食品を避ける完全菜食主義者による犯行との疑いが出ている。業界団体によると、6月下旬までに50件ほどの被害が確認されており、肉屋の店主たちがたまらず政府に直訴。警察による保護を求めている。

 パリ郊外ジュイアンジョザスで今月2日の未明、肉屋を営むカルル・ピテルさん(48)の店舗兼住宅が襲われた。店のガラス扉が割られ、外の壁には「人間至上主義にストップを」とスプレーで描かれていた
 人間が生物の頂点に立つかのような発想を否定する、一部の完全菜食主義者がしばしば使うメッセージであることから、その関係者による犯行との疑いが出ている。
 ピテルさんは「食にも自由がある。肉食をやめろと誰が強制できるのか。肉屋を攻撃しても仕方ない」と語った。

 AFP通信などによると、仏では4月以降、北部リールなどで肉屋の店舗が血を模した液体で汚されたり、ガラスが割られたりする被害が出ている。「肉とは殺害である」などのメッセージも添えられていた。
 肉屋などの業界団体は先月、コロン内相に手紙を送り、「仏全土の1万8千人の食肉職人が事態を憂えている」として、警察による保護を訴えた。(ジュイアンジョザス=疋田多揚)

日本の調査捕鯨に対する環境テロリストの破壊的妨害活動がひと頃ずいぶんと話題になりましたが、当時逮捕された妨害活動船の船長が法廷で述べた得手勝手な論法にあきれた記憶があります。
今回の事件においても同様の自己中心的な思想に基づく行動であるとすれば今後も継続する可能性がありますが、しかし社会の末端で細々と商売をしている小売業者を攻撃するところが計算高いですよね。
日本の調査捕鯨船に対する攻撃も反撃の恐れのない日本相手だから出来ることで、気の荒い海外の漁師相手に喧嘩を売って反撃され這々の体で逃げ出したと言いますが、さて現地フランス国民がどう考えるかです。
ただ今までどちらかと言えば欧米諸国からは出撃する側であった環境テロリスト一派ですが、最近は足下のヨーロッパでの活動を強化していると言うことなのか、以前にイギリスからもこんなニュースが出ていました。

動物愛護は過激主義なのか 英で活動家と農家が対立(2018年02月1日ニュースジャパン)

英国で動物の権利保護を主張する活動家たちと、養豚場などの畜産業者たちが対立している。

動物愛護団体の活動家は自分たちの活動は非暴力的抗議だと主張し、畜産業はかつての奴隷産業と同じだと世間に認識させて世論を変えることが目的だと言う。

その一方で、農場の関係者は自分たちは育てる動物に誇りを抱いているし、「動物の安全を守ろうという人たちから、殺害脅迫状が送られてくるのは皮肉だ」と話す。

ちなみに日本においても人里にまで降りてくるクマ駆除に反対する方々がいらっしゃるようで、最近は特にクマ被害が増加し人的被害続出と報じられ対策が急がれている中でなかなか勇気ある提言だと思います。
無論彼ら保護団体にも思想信条の自由はあるわけですが、当然ながら畜産農家の方々にも思想信条の自由はあるわけで、自分だけは他人のそれを一方的に制約できると誤解しているのであれば怖い話ですね。
ただ今回注目したいのは漁師や捕鯨船ではなく、いずれも農家や食肉業者など再生産可能な産業を攻撃対象にしている点で、牛や豚は食っていいが野生動物はダメだ式の主張とは少し方向性に違いを感じます。

最近はいわゆる菜食主義の方々を中心にして、再生産可能な畜産関係への抗議活動も少なくないのだそうで、劣悪な環境にある生き物達を多数救い出したと言ったニュースもたびたび報じられているようです。
同じ他の生物を摂食するのに違いはないにも関わらず、菜食が良くて肉食がダメと言うロジックをどうにも理解出来ないと言う声も少なくありませんが、結局のところ他人に対する独善的非寛容である点が問題ですね。
ちなみに日本では例によってこの辺りを良い感じにあしらった画像が多数作られているのだそうで、かつての中国での反日騒動時の「日本鬼子」による反撃を思い出すところでしょうか。


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2018年7月11日 (水)

LGBTを巡る最近の話題

まあそうなのだろうなと感じる話でもあるのですが、少し前にこういう興味深い記事が出ていました。

LGBT問題 このままでは当事者たちの居心地は更に悪くなる(2018年4月21日NEWS ポストセブン)

 少数者(マイノリティ)への差別や偏見はよくない。現代社会なら、誰もがうなずく基本的な考え方だろう。彼らの人権を守るため、当事者やその支援者たちは様々に活動している。とくにLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の人権問題は、婚姻を法的に認める国や、パートナー制度を認める日本の自治体が増えるなか、世間の耳目を集めているテーマだ。ライターの森鷹久氏が、LGBTが注目を集めることによって起きる摩擦と、当事者の危機感について、考えた。

 東京・新宿の飲食店でユウトさん(20代)が記者と”偶然”出会ったのは、昨年の夏前頃。パートナーの男性と一緒に酒を飲んでいたところ、仲間に入れてくれ、といって間に入ってきたのは大手新聞社の記者を名乗る女性だった。
「酔った様子もなく、店に入ってきてからすぐ、僕らのところにやってきたので”アレ?”とは思いましたが……」
 そこは、ゲイの人たちが多く集うことで知られてはいるものの、異性愛者や女性も受け入れる店だったため、誰でも観光気分で楽しみにくることでも有名な場所だった。とはいえ、知人でもないゲイカップルにずかずかと近づく女性客は珍しい。ところがその女性記者は初対面にもかかわらず、どんどん酒を勧めてきて、二人に関することを根掘り葉掘り聞いてきた。互いに秘密にしていること、あえて聞かずにいたことなど、問われることで気まずい雰囲気になっていることもお構いなしに質問を浴びせつけてくる。そして最後に、こう言って笑い飛ばしたのだ。
「LGBTいいですよね、と言ったんです。レズビアンやゲイが”いい”とはどういうことなのか、僕らはポカーンとしちゃいましたが、その時は”理解者だ”と思って、彼女のことを受け入れました。しかし……」

 この女性記者の「いいですね」発言の真意は、その直後にいやでもわかることとなった。
「その後すぐ、ゲイカップルとして取材を受けてくれないかと、電話が来ました。気は乗らなかったですが、パートナーにも相談して……と返すと、二時間くらいでしょうか”あなたたちが声を上げないから国が良くならない”みたいなことを延々と説得されました。なんか、僕たちが悪者扱いされているようで不快でした……」
 結局、ユウトさんはこの女性記者からの申し出を断ったが、何度も受けた「説得」はもはや、脅迫ともいえるような高圧的なもので、とてもユウトさんたちのような性的少数者に「寄り添う」モノではなかったと回想する。
「”いいですね”というのは、取材対象として、またネタになる存在としていい、ということだったんでしょう。取材を受けない、と言った途端にパタッと連絡は止みました。しばらくしてまた連絡が入り”顔出しの取材”を受けてくれる人を紹介してくれ、としつこく言われました。最後は”顔出しでしゃべらないと意味がない”とか”(取材を受けないと)いつまでたっても社会に理解されない”とまで……」
(略)
 LGBTに限らず、最近はマイノリティの存在と権利を訴える動きが盛んだ。ユウトさんも、人権を守り、偏見や差別をなくそうという思いはもちろんある。だが、マイノリティと呼ばれる当事者には、一人ひとり異なる思いがあり、問題への取り組み方も人によって違うのに、声の大きな人が自分の運動の仕方に無理に巻き込もうとする動きが強くなっていることが、かえって世間の反感を買うのではないかと不安を抱いている。
「性的少数者だけでなく、ニューカマーの外国人問題だってそうです。多様性は重要だけど、そのことを利用して自分とどう関わりがあるのかよくわからないデモへの動員をかけたり、インタビューを受けさせられて、政治家への不満を答えさせたりするパターンが多い。そこでは、なぜか顔出しや自身のプロフィールをさらけ出せ、と半ば強いるように求められる。記者が僕たちに寄り添い、話を聞いてくれて、匿名の同性愛者の声として記事を書いてくれれば、それだけで嬉しいと思ったはずです。でもそこには必ず顔出しなどの”前提”がある。これがわからないんです。結局あなたたちは何がしたいのか? いいように使おうとしてませんか? と」
 前出の女性記者は、自分の記事を特ダネにしたいという欲望のために、マイノリティの人権のために戦うべきだという理屈を振りかざしてきたと感じたユウトさん。ユウトさんは断ることが出来たが、しつこく食い下がられて断り切れず、不本意な形で世間に向けてカミングアウトさせられた人がいる可能性もある。なかには、考えてもいなかった政権批判に結びつけられた記事に利用された人もいるかもしれない。
(略)
「とある番組に出たゲイの知人が話していたんです。”こういった人たちがいるのだ”で終われば済む話が、マスコミへの出方、報じられ方によって必要以上にセンシティブで腫物のような存在として社会に認識されてしまい、やはり打ち明けるべきではなかった、やはり社会は私たちを受け入れてくれなかったと、間もなく絶望しなければならないかもしれない、と」
 ユウトさんの知人は、某番組の出演前に、ディレクターから「オネエな感じを強調して」「白い目で見られたエピソードを多めに話して」などとアドバイスを受けていた。「私はゲイです」だけでは弱く、そこにドラマティックで、かつ虐げられているようなエッセンスを取り入れないと、番組が成り立たない、そう間接的に説明されたのだ。
「LGBTを知ろう、受け入れようという動きは、どちらかと言えば歓迎すべきこと。でも、LGBTであることを白状させようとか、政治家に文句を言うべき、国のダメさを訴えろ、と強要してくるようなことになってはいないか。それでは結局、性的少数者は以前より居心地が悪くなってしまいそうですね」

(略)

LGBTに限らずマスコミがよく使う手法で、時にマッチポンプなどと呼ばれるものですけれども、他方ではこうしたマスコミの取り上げ方を利用して声を大きくしてきた進歩的な方々もいらっしゃったのは事実です。
しかしそうしたお約束の流れに乗りたがらない人も増えてきていて、昨今ではマスコミではなくネットやSNS経由の方が自分の声を直接誤解無く届けられると考える人も多いようですが、マスコミとしては面白くないでしょう。
結果的によりセンセーショナルにネタとして取り上げる傾向が増強しているとも言え、社会的少数派であり、誤解を受けやすい立場の方々ほどマスコミとの付き合い方を考えるべき時期だと言えるのではないでしょうか。
さて話は変わって、こちら以前から個人的に関心を持っている問題なのですが、先日再度炎上していたと報じられていました。

「小児性愛者は認められるべき」TEDでの発言が大炎上! ペドへの社会的偏見が露呈、LGBTと同じ性的指向の1つか議論紛糾!(2018年6月27日トカナ)

 今年5月5日、ドイツ・ユリウス・マクシミリアン大学ヴュルツブルクで開催された講演会「TEDx」に登壇した医学生ミリヤム・ハイネさんが、「小児性愛者の社会的認識は変わらなければならない」と主張、大きな話題になっている。

 TEDxとは世界的講演会「TED」のフランチャイズ版講演会であり、世界各国で開催されている。ハイネさんのスピーチはTEDxの公式YouTubeアカウントで一度公開された後、削除された。そのためスピーチの全容を確認することはできないが、米超保守派オンラインメディア「Breitbart」(6月22日付)が、その概要を伝えているのでご紹介したい。
 スピーチでハイネさんは「小児性愛は自然であり、変えることのできない性的指向」であると主張、「幼児への性的虐待は間違っているが、何もしていない小児性愛者の存在は認められるべき」だと語ったようだ。さらに、これまでの科学的調査により、幼児への性的虐待を犯した小児性愛者らは強い社会的孤独感を抱えていることが判明していると指摘。小児性愛者であるとカミングアウトできない状況では、彼らを助けることができないとも。
 小児性愛者容認ともとれるハイネさんの発言に批判の声が集まり、TEDは火消しに追われた。しかし、ハイネさんの発言は本当に「Ideas worth spreading(広める価値のあるアイデア)」(TEDの標語)ではなかったのだろうか? 

 性的マイノリティを表す「LGBT」に代わり、それにペドファイル(小児性愛)・ズーフィリア(動物性愛)・ネクロフィリア(死体性愛)を加えた「LGBTPZN」という新しい概念が、2016年よりネットを中心に使用されている。これはもともと、性的指向という点においてホモセクシャルなどは小児性愛者やズーフィリアと変わらないという反LGBT的な意味でポーランドの保守的なキリスト教徒が造語したものだが、現在日本では小児性愛者を中心に肯定的な意味で使用される場合が多いようだ。ただ、反LGBT的な意味合いを持つことからも分かる通り、ハイネ氏のスピーチが猛バッシングを受けたのと同様、「LGBTPZN」に反発する人は少なくない
 しかし、歴史的に反LGBT的な意味の言葉だとしても、それとは独立に意味ある問いを提起する力がこの概念にはあるだろう。つまり、性的多様性の認知のために生まれたはずの「LGBT」というカテゴリーが、性的マイノリティである「PZN」に反対するとはどういうことか、という問いである。一つの回答は、「LGBT」がヘテロセクシャル(異性愛)の絶対性という社会的規範を打ち崩そうとするうちに、自分自身が次なる規範と化してしまったというものだろう。「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ」。ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェの警告がこのことを如実に表している。

 そして、ハイネ氏のスピーチを非難する人たちも同じように規範を持っていると考えられる。「小児性愛者の存在を認めてはいけない」という強固な規範である。だが、以前トカナでもお伝えしたロリコン紳士トッド・ニカーソン氏のように、どうしても幼い少女に対する気持ちを捨てられないものの、その欲求と格闘している極めて道徳的な人物も存在する。ハイネさんもスピーチの中で「幼児虐待は疑いなく間違っています。しかし、幼児を虐待しない小児性愛者は何も間違ったことはしていません」と語っているように、小児性愛という性的指向そのものは決して断罪されてはならないだろう。もし特殊な性的指向そのものを認めないということになれば、ヘテロセクシャルの絶対性への回帰でしかない。今後、小児性愛者の存在を巡って理性的な議論が巻き起こることに期待したい。

この問題に関しては以前から断続的に取り上げて来たところなのですが、LGBTの方々の大多数が善良で無害な存在であるのと同様、小児性愛者の大多数もまた善良で無害な存在であると言われます。
ところがLGBTの権利擁護が全世界的に広まりつつある一方で、何故か小児性愛への弾圧とも言える態度はますます増強しているようなのですが、反対派は小児性愛の正当化自体を否定する立場であるようです。
これはまさにLGBT肯定派が否定派に対してそうあってはならないと主張しているスタンスそのものだと思うのですが、どのような理屈で特定性癖に対する攻撃だけを正当化できるのかに興味がありますね。
LGBTの権利擁護を叫んできた進歩的な方々が今後小児性愛者の存在正当化にも尽力いただけるものと思いますが、個人的にはとある雑誌に掲載されていたと言うシンプルな文言が妙にしっくりきましたね。

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2018年6月 6日 (水)

ブラック企業=ただ働き強要の認識はすでに古い?!

あまりに非常識すぎると先日大きな話題になっていたのがこちらのニュースです。

「お金を払って働いて」まさかの求人に衝撃 告知の出版社「説明不足」と謝罪(2018年6月1日J-CASTニュース)

   試用期間中は「お金を払って働いていただく」――。出版社のエムエムブックス(岐阜県美濃市)が、こんな内容の求人告知を掲載したことが、インターネット上で波紋を広げている。
   ネット上で否定的な意見が相次いだことを受け、出版社側は「説明不足だった」などとして謝罪。あわせて、告知していた条件での求人は中止すると発表した。いったい、出版社側の狙いは何だったのか。

給与の支払いは「試用期間」の終了後

   エムエムブックスは2018年5月30日、「マネージャー&アシスタント募集」などとした告知を公式サイト上に掲載した。同社は、文筆家・編集者の服部みれい氏が設立した小規模な出版社で、ライフスタイル誌「マーマーマガジン」を発行している。
   今回の求人では、「『お金を払って働いていただく』という試みを行いたいと思います」と宣言。募集する人材の条件について、次のように記載していた。

    「試用期間中(1~3か月)、『ここで学んだ』ということに対して対価を払っていただける方

   スタッフが会社側へ支払う「対価」については、「みなさまが『学んだ』と思うに見合う額を自由にお支払いください」と説明。給与は、試用期間が終わった後から支払う予定としていた。
   業務内容に関しては、雑誌編集や書籍の執筆補助のほか、「畑仕事から犬の散歩まであらゆることが含まれます」。勤務時間は平日の朝9時から17時30分までだった。また、その他の募集条件として、

    (1)過去に編集経験があること
    (2)通勤時間が30分以内の場所に住んでいること

なども設けていた。

   こうした条件で人材を募集した理由について、服部氏は求人ページの中で、「仕事は、本当に『お金がもらえるから働く』がすべてでしょうか?」との持論を展開。続けて、
    「お金がほしいのではありません。お金が惜しいのでもありません。お金を払ってでもやってみたいという意欲がほしいのです。なぜなら、今後、本気で、人間がする仕事が、そういう仕事しか残っていかないとわたしも感じているからです」
などと訴えていた。

「労働基準法に思いっきり引っかかるのでは?」

   だが、労働者側が逆に会社に金銭を支払うという条件をめぐって、ツイッターやネット掲示板では批判的な意見が相次ぐことになった。「ブラックどころの騒ぎじゃない」「やりがい搾取より酷い」といった意見のほか、
    「そもそも労働基準法に思いっきり引っかかるのでは?」
と問題視するユーザーの姿も目立っていた。ただ一方で、雑誌のファンとみられるユーザーからは、「おもしろい採用方法」「すごい発想だ」との声も出ていた。
   こうしたネット上での反響を受けて、エムエムブックス側は31日朝までに、問題の告知ページを削除し、当初の条件での求人を中止すると発表。さらに服部氏の名義で、

    「不快な思いをされたかたにはたいへん説明不足だったと感じています。いずれにしても、不安感やお怒りを促してしまう結果になり、こころからお詫びをもうしあげます」

などと謝罪した。ただ、今後も求人は続けるとして、賃金や労働時間などの条件面については、
    「充分なお話し合いのなかで、適切な内容を決めさせていただけたら」
と改めて呼びかけていた。
(略)

不肖管理人は全く存じ上げなかったのですが、主力のライフスタイル誌は設立者氏のファンであれば読んでいて当然と言うものなのだそうで、意識の高い愛読者の方々からはかなり熱烈な支持を受けているようです。
同社側では社長までも含めて社内で十分に議論した上で打ち出した話だと言いますから大変なものですが、労基法上は実際に働かせた上で給料を払わなかった場合違法で、募集自体は違法ではないそうですね。
労働内容も非常にユニークで、雑誌編集部で編集経験者を求めると言えば編集業務かと思いきや、フルタイムの勤務で畑仕事から犬の散歩まであらゆることが含まれると言うのですから社畜どころの話ではありません。
現在同社では労働条件や待遇等に関しては世間には公表せず、当事者間で話し合った上で決めると言うことですが、今度は世間の目が届かない場所で何をしようとしているのかと訝しむ声もあるのは当然でしょう。
適正な労働と報酬に関して話題になることが増える中で、さすがにこうまでの話であればニュースにもなるのですが、むしろ世間的にはニュースにならないことの方が多く、先日こんないじましい記事が出ていました。

「お金の若者離れ」朝日新聞の投書が話題 「全国紙に載るようになったのは一歩前進」という声も(2018年5月7日キャリコネ)

若者の○○離れ」が聞かれて久しい。ライフスタイルや価値観の変化が影響していると見られるが、これらに加え1つの要因となっているのが「お金の若者離れ」だ。
朝日新聞に5月5日、「『お金の若者離れ』現実知って」という投書が掲載された。投稿者は20歳の大学生で、数々の「若者離れ」について「根源にあるのはお金の若者離れ」ではないかと疑問を呈している。

「高度成長期の人に『最近の若者は夢がない』と言われるのはうんざり」

国税庁の2016年の調査によると、20代前半の給与平均は258万円。投稿者はこの額を引き合いに出し、

    「月々の家賃や水道光熱費の支払いに加え、奨学金の返済がある人もいる」
    「支払われるかどうか分からない年金のことを考え、貯蓄に回す分を含めると、思うように使えるお金はほとんど手元に残らないのではないだろうか」

と、給与額の不十分さを指摘。車や旅行の需要が下がったのではなく、「若者に回るお金は少なく、車や旅行が高嶺の花」だという見方を示した。こうした状況の中で、上の世代から「若者は夢がない」と言われることについては、

    「右肩上がりに経済が成長した時代の感覚で物事を考えている人から『最近の若者は夢がない。欲がない』と言われるのはうんざりだ

と不満を爆発させている。

DeNAトラベルが10代から30代の若者を対象に実施した調査によれば、「本当はやってみたいこと」の1位は旅行だったという。自動車工業協会が若年層向けに行った調査では、「車を買いたい」「買いたくない」がほぼ半々に分かれた。買いたくない理由に、「今まで以上にお金がかかる」「貯金が少ない」など、経済的な要因を上げる人も多い
投稿者の大学生が言うように、「お金があればやりたい・買いたい」と考えている若者も相当数いることだろう。

「今は『若者』の段階を過ぎて『お金の国民離れ』に突入していると思う」

ネットでは、記事を読んだ人から様々な反応が上がっている。「10年前から言われてることじゃん」「今更感が凄い」という感想もあるが、「全国紙に載るようになったというのは一歩前進…なのかなぁ」と肯定的に受け止める声もあった。上の世代からも、
    「我々の若い頃も、お金があったわけではないけれど、親の援助が多少あったりしてもう少し余裕があったように思う。今は親子とも余裕が無く、さらに学費は高くなり、何もかも厳しい。とても若者に問題があるとは思えない」
と、共感する意見が出ていた。
(略)

雇用状況は改善傾向にあるとは言え、若い世代の節約志向は完全に定着しているようですが、ここで注目頂きたいのはマスコミがしばしば使いたがる「若者の○○離れ」式フレーズへの反発の根強さです。
大部分の○○離れに関しては、そもそも若者は離れる以前に最初から近づいてもいないと言う意見もあるそうですが、ともかくも若者自身へのアンケートでもっとも若者が離れているものに選ばれたのが車で、要するに不要不急の贅沢品扱いだと言うことですね。
これに対して車を持つことが当たり前だった年長世代からは今の若者は物欲がないとの声もあるそうですが、冗談ではない、あなた達が安月給での長時間労働を強いるから車など買えないのだと反発するのも当然です。
車の価格も年々高くなる一方ですから、安月給の中から将来のための貯蓄に回している堅実な若者ほど車離れが深刻であるとも言えるし、黙って給料を上げれば車離れなど解消すると言われればそうかとも思えますが、そもそも論として問題視すべきなのかどうかです。

元より時代とともに興味の対象が移り変わるのは当然で、若者の○○離れを嘆く年長世代もまさか自分達の若い時代に立派な太刀や豪華な鎧兜を大金を払ってでも手に入れたいとは思わなかっただろうと思います。
実際にお金があっても車など買わない、必要ないと言う人も少なくないとも言いますが、他方で若者のやりたいことのトップは旅行なのだそうで、自由になるお金や時間が乏しいのだろうなと想像させられる話ですよね。
そして若者にしろ年長者にしろ結局は時代の変化であり、無理に昔ながらの流儀を追う必要はないと言う声が少なくないのですが、その点で興味深いのは若者の○○離れと熱心に語りたがるのがほぼマスコミに限られていると言う点です。
○○離れを批判する前提として、○○に寄り添うことが正しいと言うニュアンスも感じるのですが、マスコミが本音でもっとも気にしているのが年々急速に進んでいる若者の新聞離れ、テレビ離れであるのかも知れませんね。

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2018年6月 1日 (金)

例えば1%の顧客が10%のリソースを消費し0.1%の利益にしかならない場合に

不肖管理人もネット通販はよく利用するし、今まで商品トラブルで返品と言う経験は幸いなかったのですが、世の中そうではないと言う場合も少なくないようで、先日こんな興味深いニュースが出ていました。

Amazon、返品しすぎるユーザーを追放(2018年5月23日フロントロウ)

 オンラインサービスのアマゾン(Amazon)が返品を繰り返すユーザーに対して、注文できなくする措置を取っていることに批判が殺到している。

 世界中で3億人以上が利用するアマゾン(Amazon)には、届いた商品に問題があった場合に、無料で交換や返金が出来る返品サービスがある。
 このサービスを利用しすぎると警告を受けるほか、アカウントを閉鎖される厳しい処置がとられることに対して、不満の声が上がっている。

 ある利用者は1年間に返品サービスを6回利用しただけで警告書が届き、ほかの利用者は343のアイテムを購入し、そこから37のアイテムを返品したところ、アカウントが閉鎖されたという。
 さらに、The Wall Street Journal紙によると、何の通知もなく突然アカウントを閉鎖させられたユーザーもいるといい、こうした返品に関するクレームはSNSに多く投稿されている。

 アマゾンの返品ポリシーには、返品サービスの過剰利用を禁止するようなルールは存在しない。それにもかかわらず、「返品のしすぎ」によりアマゾンから何かしらの措置を受けるユーザーの声が多く上がり、波紋が広がっている。
 そんななか、Amazonの広報担当が声明文を発表。

 「すべてのユーザーがAmazonを使えるようになってほしいと思いますが、弊社のサービスを過剰利用しているケースが稀にあります」と説明し、返品サービスを過剰利用したユーザーに対してなんらかの措置を取っていることを認めた。
 そのうえで、不公平な対応をされたユーザーについては、問い合わせをすればアカウントを見直すということも声明で発表した。

 無料で返品できるからこそ、より多くの人が気軽に利用したこのサービス。世界中に3億人以上のユーザーを抱えるAmazonにとっては、その負担は思った以上に大きかったのかもしれない。

契約関係である以上、規定に示されていない対応を取られると言うのは愉快なものではありませんが、実際にこの種の通販サービスで過剰な返品問題は以前から問題になっていたと言いますね。
もともと日本では2009年に通販商品は原則8日間返品可能となる法改正がなされましたが、世界的に見ると通販業者にとってはしばしば4割にもなる返品率の高さが大きなコスト負担になっているそうです。
実物を見ずに取引する以上店頭販売より返品率が高まるのは理解出来るし、実際詐欺紛いとは言わないまでも実物が写真と違いすぎると言った事例も未だ少なくないのですが、利用者側も全く無問題としません。
半ば試着目的で大量に注文しほとんど返品してしまうとか、人によってはいわゆるインスタ映えする写真を撮るためだけに次々と注文と返品を繰り返すと言ったケースもあるそうで、利用者モラルも問題となりそうです。

明らかに法律違反レベルのトラブルはお断りしても仕方ないと思いますが、この種の微妙な顧客の足切りラインの線引きを曖昧にしてきた日本社会においても、最近取引お断り事例が散見されるようになっています。
冒頭の記事にあるようなケースでは微妙な判断になるとも思うのですが、業者側からすれば返品を繰り返す顧客とは確かに利益率の低い顧客であり、下手すれば赤字になる以上縁を切りたいのが本音でしょう。
当然ながら取引お断りとなれば新たな顧客トラブルになりやすく、現場スタッフの個々の判断ではなく組織としての明確なルールに基づいての対応が望ましいはずですが、先日はこんなニュースが出ていました。

タクシーの「合法的に乗車拒否」広まるか 背景に乗務員へのモラハラ、セクハラ問題(2018年5月23日乗り物ニュース)

「運送約款」に具体例とその対処を明文化

 タクシー乗務員が、客からモラルハラスメント、セクシャルハラスメント行為を受ける事例があるといいます。
 東京、横浜を中心にタクシー事業を展開する国際自動車(東京都港区)によると、たとえば禁煙車内での喫煙や、無理な要求を迫りドライバーを罵倒する行為のほか、女性ドライバーがお釣りを渡す際に手を握られたり、運転中に後ろから髪を触られたりするなどの事例があったそうです。
 同社はこのような事態に対応すべく、運送行為において企業と利用者のあいだのルールを定めた「運送約款」を2016年2月に変更し、乗務員が利用者からハラスメント行為などを受けた際の乗車拒絶や慰謝料請求、喫煙された際の清掃代請求などを明文化したといいます。
(略)
――どのような経緯で運送約款を変更したのでしょうか。
 職場環境を整えていく過程で、「乗務員の声」を集めたところ、乗務員がハラスメント行為に我慢を強いられていた実態が明らかになりました。たとえばお客様からセクハラ行為を受けても、営業所から「仕事しにくくなるから我慢しろ」と言われた経験を持つ者もいます。「それはよくない」ということになり、乗車拒否などの対処が合法的に可能になるよう、約款を変更しました。

――約款変更後、乗車拒否などを実際に行ったことはあるのでしょうか?
 いえ、約款変更から現在に至るまで、実際に乗車拒否などに及んだことはなく、お客様によるハラスメント行為も顕在化していません。変更から半年間は、具体的なハラスメント行為をイラストで示したお知らせを運転席ヘッドレストの裏に掲示しました。これによりお客様の理解が深まったこともありますが、犯罪行為が抑止できている要因は約款の内容だけでなく、車内を撮影するドライブレコーダーの存在も影響しているでしょう。どちらかが欠けていては、抑止効果が薄いのではないかと考えています。

被害者は本当に多い? それでも約款変更が相次ぐワケ

 国際自動車は、約款変更の効果が最も実感されるのは、利用者への対処というよりも、「安全に働ける職場であると外部にアピールできたこと」だと話します。同社では2010(平成22)年から約款を変更した2016年までに新卒の乗務員を300人近く採用したといい、運送約款の変更は、若者を含むすべての人が安心して働ける環境を整える目的があったそうです。
 運送約款の変更には、その地域を管轄する運輸局に届け出て認可を受ける必要がありますが、国際自動車によると、同社が約款変更を発表して以後、東京都内を拠点とする事業者の6割がその届け出を行ったとのこと。大阪や広島など、他府県のタクシー協会からも問い合わせを受けたといいます。実際に同社へ詳細を問い合わせたという広島県タクシー協会の担当者は、次のように話します。
「もともと、各社の運送約款にはたいてい、『運送の引き受け及び継続の拒絶』といった項目があります。ただその内容には『公序良俗に反する行為があった場合』といったあいまいなものがあり、たとえば乗務員がお客様から暴言を受けた際、これに反しているのかどうか、その場では判断できないという声がありました。そこに、具体のハラスメント行為や、それへの対処を明記した条文を付け加える形で運送約款を変更しているのです」(広島県タクシー協会 担当者)
 担当者によると、県内のタクシー事業者から乗務員がセクハラ、モラハラ行為を受けた話は耳にするものの、実際の事例としてはそれほど多くはないとのこと。それでも、乗務員を守るために、運送約款の変更を運輸局に届け出る事業者が増えているといいます。
(略)

非常に興味深い話だと思うのですが、特にその効果として実際のトラブル減少と言うよりも、従業員採用の面での効果が大きいと期待されていると言うのは、この人手不足の時代にあって理解出来る話ですね。
特にありそうな話だと思うのが、明文化されたルールがなかった時代にはたとえ顧客から問題行為を受けても、上司から我慢しろなどと不当な対応を強いられたと言う点で、何処の組織でもあり得る話だと思います。
現場の危機感に対して鈍感な組織は当然ながら他の面でもスタッフに配慮が行き届いているはずもないので、トラブル対策のあり方も職場の働きやすさを評価するための重要な指標になり得ると言うことですね。

こうしたルールを決めると顧客差別とはケシカラン式のことを言い出す人もいらっしゃるようですが、利用マナーレベルならまだしも明らかに問題ある行為は許容されざることは当然で、むしろ今までが甘すぎたと言えます。
こうして明文化しなければ現場も対処に困ると言うことであればルールを決め、それに同意いただいた顧客にご利用いただくと言うことで良いのでしょうし、拒否されるなら他にもタクシー会社の選択肢は多いわけです。
うるさいことを言い出した結果売り上げが減って会社の経営が傾くのか、意識の高い会社であると利用者にかえって好評とともに迎えられるのか、今の時代むしろ後者の可能性もありそうに思いますけれどもね。

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2018年5月 1日 (火)

何をブロックしていいのかは誰がどうやって決めるべきなのか

このところ話題になる機会の多い海賊サイト問題について、先日こんな興味深い主張をする方々がいたと話題になっていました。

「日本の法体系ではあり得ない」 海賊版サイトブロッキング問題、弁護士がNTTコムを提訴(2018年04月27日ITmedia)

 弁護士の中澤祐一さんが4月26日、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)が予告している海賊版サイトのブロッキングの実施について「通信を妨害してはならない」として、同社を東京地方裁判所に提訴した。
 中澤弁護士はインターネットや著作権に詳しく、普段は発信者の情報開示請求や権利侵害コンテンツの削除要請などを行うなど、海賊版サイト対策には前向きな姿勢だ。しかし、サイトブロッキングという手段を取るNTTコムに対しては「日本の法体系ではあり得ない」と切り捨てる。中澤弁護士がNTTコムを提訴した理由とは。

 海賊版サイトを巡っては、政府がISPにサイトブロッキングを要請したという報道を受け、議論が過熱。日本国憲法第21条で定める「通信の秘密」や「表現の自由」を侵害する恐れがあるとして、複数の業界団体や法律関係者から反対の声が上がっていた。
 そんな中、NTTコムを含むNTTグループ4社は4月23日、政府が指定した漫画海賊版サイト「漫画村」と、アニメ海賊版サイト「Anitube」「Miomio」に対し「短期的な緊急措置として」ブロッキングを行うと発表。これを受け、全国地域婦人団体連絡協議会と主婦連合会が4月25日、NTTらに対し「刑事告発も辞さない」と意見書を発表するなど、一部の団体からは大きな反発があった。
(略)
 法改正なしのブロッキングは憲法第21条に規定される「通信の秘密」を侵害し、例外的に違法性を否定できる「違法性阻却事由」(いほうせいそきゃくじゆう)にも該当しないとする考え方が、これまで複数の弁護士や法学者から表明されてきた。
 「恣意的な判断で通信を遮断するのは、日本の法体系ではありえない。なしくずしにブロッキングが始まる前に、ここで何かしておこう」――中澤弁護士はそう考え、NTTコムの提訴に踏み切ったという。
(略)
 一方で、現在も児童ポルノサイトのDNSブロッキングは行われているという現状がある。回線契約者が接続しようとするドメインやURLはISPに見られていることから、「単に著作権侵害サイトのURLがブロックリストに加わるだけではないか」という指摘もある。
 これについて中澤弁護士は、「確かに、ISPに通信内容を見られることに関して拡大する損害はない。しかし、『著作権侵害のサイトをブロックするために私の通信を見てもいい』とは同意していない。そのために見られたとなれば、慰謝料は請求できる」と主張する。
(略)
 「現行法が実情に追い付いておらず、海外事業者への情報開示請求がやりにくいというのはある。直接的に著作権侵害をしないリーチサイトの問題もあるため、著作権の間接侵害についても法律を改正していくのが本筋だろう」(中澤弁護士)
 漫画村などの海賊版サイトは、コンテンツの削除要求を無視する海外の配信サーバと、配信を中継するCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)サービスの米Cloudflareを組み合わせることで運営管理者の身元を分かりにくくしている。運営者の割り出しが困難で、権利侵害コンテンツを削除できないからブロッキングをする他ないというのが今回の政府側の見解だ。しかし中澤弁護士は「やるべきことを尽くしていないのでは」と疑問を呈する。
 「被害届を出していないのではないか。国際捜査協力で現地の警察を動かすのが先だろう。Cloudflareに発信者情報の開示要求を出せば配信元サーバの情報を教えてくれるので、サーバ会社相手に現地で弁護士を立てて裁判することもできる。1件当たり1000万~1億円程度でできるだろう。被害額が数千億円ということであれば、現地での裁判などできることはたくさんあるはず」(中澤弁護士)
 中澤弁護士は「権利侵害コンテンツ削除を行っている知り合いの弁護士も、ラトビアのサーバ会社相手に裁判している。確かに海外での裁判が難しいという面はあるが、できないことはない。こういうことを1つ1つ積み重ねて国際的な枠組みを作るというのが望ましい形」とし、「海賊版サイトの問題は国内だけでは解決しない」と続ける。
 「国内については、裁判をへたものであれば、プロバイダーがブロックしても責任を問わないという規定をプロバイダ責任制限法に入れていくことが大事。運営者が分からず訴えられないなら、対象さえ分かれば訴えられるよう民事訴訟法を改正できれば。国際捜査協力ができるまでに、これらが国内での被害をとどめる措置になるだろう」(同)
 「結論としてブロッキングを解決手段として取るのは私はいいと思う。しかし、ブロックして良い悪いを誰が決めるのか。これは裁判所が決めるしかない」(同)

この中澤何某なる弁護士氏、ネットで検索しただけでも何かとIT関係での逸話の多い方であるようなのですが、その主張は要するに「著作権侵害は許せないが、アクセス遮断はするべきではない」のひと言だと言えます。
言われるまでも無く政府としても法的裏付けのないサイトブロッキングが違法性を問われかねない点については気がついているようで、各ISPに要請するのではなくあくまで自主的ブロッキングと言う形にしたい意向だと言います。
さすがにそれはせこいと言うしかありませんが、法的規定なり裏付けが必要であると言う論旨には一理あるものの、だから訴えると言う発想は少し一般人にはないものがあるようにも思えますがどうでしょうね。
また記事にもあるように児童ポルノのブロックはよくて違法漫画は駄目だと言う専門家の線引きもよく理解しかねるのですが、どこまでが正当なブロックかは主観的な判断の余地が極めて大きい問題であるようにも感じられます。

ちなみにこの問題について弁護士らによって公開の場で討論されたそうですが、実際に海外のサーバ会社と交渉を行ってきた当事者からは、弁護士らの主張する可能な対策なるものは実際に行っても無意味だったと言います。
この点ではコンテンツ削除をしない方針のサーバーを利用する業者に有利と言えますが、興味深いのは映画や音楽は違法コンテンツのダウンロードも違法になっているのに対して、漫画など静止画にはそうした法がないそうです。
先日は経済的損失を被る側の出版社側から政府方針を支持する見解が出て話題になっていましたが、こちらも法律を作っての規制が正道である点は同意していて、その上での緊急避難的な対策を求める立場です。
結局一番著作権を侵害しているのは正規ルートで購入しない利用者であるとも言える以上、こうした出口対策の不備も含めて早急に国会なりでも議論し立法なりを行っていく必要があるように思いますけれどもね。

ところでその利用者の立場ですが、大多数の利用者は少なくとも表向きは違法サイトの規制には賛成の立場で、反対意見としては法的な不備など主にその方法論と言う点でも専門家らと大きな差はありません。
ただ当然ながら無料で漫画が読めることを歓迎する向きは水面下では相当数あるものと予想され、またIT事業者にしても過去にアクセス数の多い違法サイトに広告を出して来たと言う共存関係も指摘されています。
こうしてみると誰が悪いのかと言う点で判断が難しいですが、少なくとも確実な被害者と言える漫画作家の立場からすれば、違法サイトにアクセスを許容している各ISPに対して良い感情はないのではとも思えます。
ISPが違法行為を幇助しているとも言えることに対して、例えば民事で損害賠償なりが成立する余地があるのかですが、しかし一番ブロックして欲しいのは迷惑メールだと言う声があることにも首肯するものがありますね。

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2018年4月20日 (金)

最近目に付いたニュース三題

今日はこのところ目にした興味深いニュースを紹介してみようと思うのですが、まずはこちらから御覧いただきましょう。

300円が0円に…遠足の「おやつ禁止」に波紋 マツコ「だったら遠足やめれば?」(2018年4月17日しらべぇ)

「おやつは300円まで」、ワクワクしながら何を買うかで頭を悩ませた遠足に、大きな変化が起きている。
16日放送『5時に夢中!』(TOKYO MX)で「遠足のおやつ持参禁止」に触れ、マツコ・デラックス(45)、株式トレーダー・若林史江氏(40)が持論を展開した。

■若林「禁止はやりすぎ」

アレルギー体質の児童に考慮し、遠足でのおやつ持参・交換を禁止する学校が増えている。保護者の中には「学校が対策してくれるのは嬉しい」と歓迎する意見があると報じられた。
これに対し、若林氏は姪が重度のアレルギーで「自身で判断できる」と前置きした上で、「命に関わることなので全面解禁すればいいとは言えないが、おやつ禁止はやりすぎ。禁止する前にアレルギーの教育をすべき」と熱弁。
「差別がなくなる教えになる。危ないものを取り上げるだけでは解決しない」と断じた。

■マツコ「家でケーキ食べたほうがいい」

マツコは教師側の負担を考慮しながらも、「防御線を張る気持ちはわかるが、これはちょっと違う。禁止すればいいってもんじゃない、その時々に応じて対応するしかない。だったら遠足やめればいい」と語った。
「遠足なんのためにするの?」と疑問を口にするマツコにおやつの思い出を尋ねると、「(300円ルール)守ったことない。家にあったお菓子を適当に持っていっていた」と当時を振り返る。
遠足を楽しいと思ったことがない。野原で駄菓子食うくらいなら家でケーキ食べたほうがいい」と本音を吐露した。
(略)
しらべぇ編集部で全国20〜60代の男女1,348人を対象に調査したところ、約1割が「自分や家族に食物アレルギーはある」と回答している。
あらゆる食物にあるのではないかと思われるアレルギー。当人や周囲が細心の注意を払っていても、小学校低学年では思わぬ認識漏れから口にしてしまう事例もあるだろう。
児童の安全確保、学校側の負担を減らすという意味でも「おやつ持参禁止」は仕方ないのだろうが、「アレルギーやお金のやりくり」への教育のチャンスも失ったかもしれない。

すでに10年ほど前からこうした対応が全国で見られていたそうですが、しかし交換禁止ならまだしもおやつ禁止と言うのでは筋が通らない気がするのですが、保護者的にはむしろ歓迎なのでしょうか。
医学的あるいは社会的なリスクを最小化しようと思えば当然ながらそうなるだろうと言う話なのですが、300円で何を選ぶかと言うのもなかなかに知恵を使う話で、あれはあれでなかなか得がたい教育機会だったとも思うのです。
今の子供には「バナナはおやつに入るんですか?」と言う定番ネタも通用しなくなったと考えると寂しいものですが、しかしおやつもない遠足など単なる苦行にしか過ぎないと言う意見にも一理ある気はします。
教育と言うことに関してはやはり年々規制は強化されるものだと感じるのですが、こちら先日からそれはさすがにいささかどうよ?と一部の方々から声が上がったニュースがこちらです。

タイトルに「エロ」の書籍、相次ぎ有害指定 研究書も(2018年4月17日朝日新聞)

 性的表現の歴史などを考察した書籍が、相次いで自治体の有害図書指定を受けた。研究書まで指定するのはやり過ぎだとの声も上がっている。

 3月30日に北海道が有害指定したのは「エロマンガ表現史」(太田出版)。同月23日には滋賀県が「全国版あの日のエロ本自販機探訪記」(双葉社)を有害指定した。いずれも青少年健全育成条例に基づき有識者による審議を経て「青少年の健全な育成を阻害するおそれがある」と判断した。18歳未満への販売が禁止され、書店などでの陳列も一般書籍と区別される。

 二つの書籍は、タイトルで「エロ」とうたい、女性の裸体や性的行為が描かれた本の表紙やマンガのコマを引用している。だが「表現史」の主題はマンガにおける乳房や性器の描き方の変遷の研究。「探訪記」はネットの普及により消えゆくエロ本自販機の現在を探るルポルタージュだ。日本雑誌協会は「新たな分野の研究書であり、フィールドワークの労作だ」と、有害指定に疑問符をつける。

以前から一部自治体でこの種の動きは報じられていたのですが、基本的に有害図書指定されるのは程度の差はあれいわゆる性的表現を目的とした趣味本の類で、「エロ」であること自体に異論は少なかったと言えます。
ところが今回話題になったのは記事にもある「エロマンガ表現史」のように、学術的観点からも非常に興味深い真面目な書籍が有害指定されたと言う点で、そもそも青少年が手に取って読む類のものか?と言う声もあります。
この調子ではいずれ美術書の類も有害指定されかねないと言う懸念の声が出るのももっともなのですが、しかし「貧しい漫画が多すぎる」とまで言い切った他ならぬ朝日がこうした記事を出すことに感じる向きも多いようですね。
最後に取り上げるのは同じく人間の性に関わる問題ですが、このところ進歩的な方々を中心に急速に支持が広まっているあの動きに対して、改めてこんな問題提起がされていました。

LGBTにペドフィリア、ズーフィリア、ネクロフィリアも加えるべき? (2018年4月14日WEZZY)

 今月14日からスタートした特集「性を語ること」。本稿では、タレント・文筆家の牧村朝子さんに「LGBTPZN」をテーマにご執筆いただきました。
 本記事で牧村さんは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとった、性的マイノリティを総称する言葉「LGBT」に、ペドフィリア・ズーフィリア・ネクロフィリアの頭文字をとった「PZN」を加えようという主張がネット上で見られます。「LGBTPZN」が生まれた経緯と主張の背景にある問題を丁寧に追いながら、性を語る際に必要な姿勢を提示しています。

LGBTばかり権利を主張するのはおかしい。P(ペドフィリア/小児性愛)、Z(ズーフィリア/動物性愛)、N(ネクロフィリア/死体性愛)も加えて“LGBTPZN”とすべきだ」
 このような主張が、2018年4月2日現在、日本のインターネット上で見られます。そう聞いてあなたは、どう思われたでしょうか。それぞれのご意見があるかと思いますが、この記事でお伝えしたいのは次の2点です。

全ての人には、性のあり方にかかわらず、
1.好きなものを好きでいる自由がある。ただし、性暴力は他者の自由の侵害である。
2.嫌いなものを嫌いでいる自由がある。ただし、侮辱・蔑視・攻撃は他者の自由の侵害である。

 本人の性のあり方にかかわらず、何を思っても自由。ただし、合意なく他者を巻き込むことはその人の自由の侵害である……LGBTがどうの、PZNがどうのではなく、実はそんなシンプルな話なのではないでしょうか。
(略)
「やらせろという連帯」から「やってしまわないための連帯」へ

 日本含む各国では、小児性愛・動物性愛・死体性愛・加虐性愛・日本語で痴漢と呼ばれるものを含む性暴力加害その他、実行に移せば他者の権利の侵害となる欲望を持つ人が、その行為に合意を示せない小児・動物・死体や、その行為に合意を示していない対象に手を出してしまうことのないよう、似たような欲望を持つ人同士で話し合う自助団体が存在します。つまり、「やってしまわないための連帯」があるのです。
 しかしながら、LGBTにPZNを加えようという人の一部は、LGBT社会運動を「大っぴらな変態性欲」「やらせろという運動」などと矮小化し、「LGBTだけじゃなく自分たちにもやらせろという連帯」を求めているように思えます。

 本人がどんな人であろうが……異性愛者であろうが、同性愛者であろうが、シスジェンダーであろうが、トランスジェンダーであろうが、男性であろうが、女性であろうが、こうした二元論におさまらない人であろうが、オムツフェチであろうが、ロリコンであろうがとにかく、性別・性自認・性表現・性的指向・性的嗜好その他一切関係なく、同意していない相手を性的な行為に巻き込むことは性暴力です。そして小児・動物・死体は、行為時点での同意を、客観的に確認可能な形では示すことができません
(略)

このLGBT問題に関しては以前から主に二つの観点からの異論が出ているように感じますが、一つには筆者氏も言及するように特定の性的嗜好だけを尊重するのは如何なものかと言う反論です。
大多数の善良な小児性愛者はまさに「実行に移せば他者の権利の侵害となる欲望を持つ人が、その行為に合意を示せない小児に手を出してしまう」のではないかと苦悩し、何とかその対策を講じようとしています。
代表的な例が実在の他者に何ら害を与えない人形や創作物などによって欲望を充足させる方法ですが、何故かLGBTの権利などに理解を示しそうな進歩的な方々にこうした誰の害にもならないための努力を全否定する向きが多いようです。
LGBTは擁護されるべきだがペドフィリアは虐待排除されて当然だと、一体どのように理屈づけが出来るものかは興味深いテーマだと思っているのですが、未だにこれで決定的だと言えるほどの論説を拝見したことがありません。

またもう一つの異論としては「合意なく他者を巻き込むことはその人の自由の侵害」と言う点ですが、いわゆるカミングアウトなども同意を得ずに立場を異にする相手を強制的に巻き込むと言う点で批判される面があります。
先日は朝日の記者が書いた「LGBTが気持ち悪い人の本音」なる記事に対して、アンケートに本音を書いてしまった結果差別主義者呼ばわりされる羽目になったと言う指摘があり、なるほどと思わされました。
筆者氏の言う「侮辱・蔑視・攻撃は他者の自由の侵害」だと言うのは一面の真理なのですが、ただそれは一方が他方にだけ求めるものではなく、常に双方向のテーマであるようにも思いますね。
同じマイノリティの中でも自分は他に比べて少しばかり上等だとか、だから劣等な連中は蔑視し攻撃していいのだとか、当のマイノリティの方々自身はあまり思っていないのだろうと思うのですが。

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2018年4月13日 (金)

憲法違反だから規制は反対され、憲法も制限があるから規制は強化される

東京新聞と言えば今や朝日も越えたと言われるほどの進歩的なメディアで、かねて憲法解釈に介しても独自の見解をお持ちだと言われますが、その東京新聞がこんな記事を載せていました。

漫画海賊版サイト遮断 政府検討 「憲法違反」法学者ら声明(2018年4月12日東京新聞)

 政府が、漫画などの海賊版サイトへの接続を遮断するようインターネット接続事業者(プロバイダー)に要請する方向で検討に入ったことを受け、法学者の団体などは十一日、「検閲の禁止」や「通信の秘密」を定めた憲法に反するとして、一斉に反対の声明を発表した。

 「サイトブロッキング」と呼ばれる接続遮断は二〇一一年から、児童ポルノのサイトに限って政府の要請で実施されている。プロバイダーらによる団体が政府情報を基に対象サイトを決め、「自主規制」の形で利用者のアクセスを遮断している。

 この遮断対象について、菅義偉(すがよしひで)官房長官は三月、著作権侵害による被害を防ぐため海賊版サイトにも拡大する考えを表明。内閣府の知的財産戦略本部が、有識者会合で検討している。

 これに対し、法学者らでつくる情報法制研究所は十一日、立法措置や国会での審議もなく政府の裁量で遮断対象を広げることに、「通信の秘密、検閲からの自由、法治国家の原理が危機にさらされる」と反対声明を発表。ブロバイダーらでつくるインターネットコンテンツセーフティ協会や、主婦連合会など四つの団体も同日、同様の声明を発表。「海賊版サイトへの責任追及などに力を入れるべきだ」などと指摘した。 (吉田通夫)

この海賊版サイト問題に関しては先日も取り上げたところですが、漫画家の皆さんにすれば生活の糧が直接奪われている状況であり、言ってみれば人生を否定されているような悲惨な状況であると言えます。
幸いにもと言うべきか、このところ最大手の海賊版サイトは閉鎖されたとも噂されているのですが、この種のものの性質として消えてはまた現れることの繰り返しで、根本的な解決はなかなか難しいでしょうね。
当然ながらこうした国民の自由な言論を否定する憲法違反の政府案に対しては各方面から反対意見が続出していると言いますが、一方でひっそりとこんな言論統制が公然と行われようとしているとも報じられています。

京都府がヘイトスピーチを“事前規制”へ 「ネット上の発信内容もチェック」(2018年3月22日毎日放送)

特定の民族や国籍の人に対し差別的な言動を行うヘイトスピーチ。全国各地で問題となり国が対策法をつくるなど規制の動きも進んでいますが、京都府は公共の施設でヘイトスピーチが行われる恐れがある場合、つまりヘイトスピーチをしそうな人が施設を使いたいと申請してきた場合に、「使用を認めない」「許可を出さない」という方針を固めました。これは全国でも珍しい試みです。というのも、ヘイトスピーチは確かに許されませんが、この人が何を言うかがわからない段階で行政が規制をかけることはできるのか、という問題があるからです。

京都では、2009年に「在日特権を許さない市民の会」いわゆる在特会が朝鮮学校前で憎悪に満ちた言葉で罵倒を繰り返すなどのヘイトスピーチが行われました。
こうした中、国はおととし「ヘイトスピーチ対策法」を制定し、各自治体にヘイトスピーチ解消に向け取り組むよう求めてきたのですが、それを受け京都府が打ち出したのが「公共の施設でヘイトスピーチが行われると予想される場合、施設の利用を許可しない」という方針。まだ行われていないヘイトスピーチに対して事前に規制をかけるのは神奈川県川崎市に次いで全国2例目です。
「街頭宣伝活動が行われるのは公園であったり、不特定多数の方が集会を行うことが可能な施設。事前にヘイトスピーチが行われることを防止していく」(京都府人権啓発推進室 浅野浩司参事)

一方、大阪市は全国に先駆けてヘイトスピーチ対策の条例をつくり、ヘイトスピーチを行った団体や個人の氏名を公表するとしていますが、公共施設の使用については制限していません。「事前にヘイトスピーチをするかどうかは判断できない」として見送られたのです。
さまざまな市民の活動を公権力である役所があらかじめ抑制するというのは、本来の姿ではない」(吉村洋文大阪市長・2016年)

では、京都府はヘイトスピーチが行われると事前にどう判断するのでしょうか。
「申請書や申請者の説明などから、事前に判明している集会のテーマや言論の内容を判断材料にする。もうひとつは、申請者の方々が過去に行った集会の内容やそこで行われた言動についても判断材料としたい」(京都府人権啓発推進室 浅野浩司参事)
ネット上での発信内容などもチェックし、ヘイトスピーチが確実に行われると客観的に予測できるか調査。弁護士などからなる第三者機関の意見も聴いた上で、総合的に判断するとしています。
「憲法で保障された表現の自由、集会の自由を不当に侵害することだけは絶対にあってはならないので、一つ一つ丁寧に判断していくことが求められる」(京都府人権啓発推進室 浅野浩司参事)
京都府は「この取り組みをきっかけに、ヘイトスピーチ解消に向けた府民の理解が深まることを期待したい」としていて、新しい方針について今月中にも運用を始める予定です。

しかし京都市がヘイトスピーチをするかも知れないと認定すれば、反論の機会もなく発言機会が一方的に奪われると言うことなのですから、実質的に京都での言論の自由は大きく制約されたと見るべきなのでしょうかね。
先年成立したヘイトスピーチ規制法もずいぶんと議論を呼んだものですが、そもそも何をもってヘイトスピーチとするかと言う定義も難しい上に、当然ながらヘイトであるかないかを巡って異論反論も数多あることでしょう。
そうしたものを一方の視点から公的規制することがいいのかどうかも見解の相違があるところですが、興味深いのは冒頭の海賊版サイト規制に憲法違反と叫ぶ方々が、こうしたヘイトスピーチ規制には何故か反対されない点です。
ヘイトスピーチ規制派の方々は憲法で保障される表現の自由にも一定の制限があり、人権を侵害する表現は許されないと言う立場だそうですが、そうなると漫画家の皆さんの人権は認めていないと言うことでよいのでしょうか。

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2018年3月29日 (木)

誰もが頭を悩ませているあの問題で国が方針転換

以前から多くの人々を悩ませ続け、このところ情報アップデートの必要性が言われていた問題について、とうとう国がこんなコメントを出したと報じられていました。

「パスワードの定期変更は不要」総務省が呼びかけ改める(2018年3月28日NHK)

インターネットのパスワードを定期的に変更するよう呼びかけてきた総務省は、変更のしかたによってはかえって不正アクセスを受けやすくなるとして、安全なパスワードの場合は定期的に変更する必要はないと呼びかけの内容を改めています。

総務省はインターネットの安全な利用法に関するサイトの中で、パスワードの定期的な変更を呼びかけてきました。
しかし去年11月、この呼びかけの内容を、「定期的に変更する必要はない」に改めました。
その理由について総務省は、パスワードを定期的に変更すると、かえってパスワードの作り方がパターン化したり、複数のサイトで同じパスワードが使い回されるおそれが高まったりして、不正アクセスを受けやすくなるためとしています。

これは「内閣サイバーセキュリティセンター」などが示した考え方に基づいた対応で、パスワードが十分な長さになっていることなどを前提に、定期的な変更は必要ないとしています。
一方で、情報の流出が疑われる場合はパスワードをすぐ変更するよう呼びかけているほか、複数のサイトで同じパスワードを使い回さないよう促しています。
総務省サイバーセキュリティ課の豊重巨之課長補佐は「引き続きインターネットの適切な利用方法を周知していきたい」と話しています。

パスワードの一つや二つなら凝ったものを考えられても、全てのサイトで定期的に強度の高いものばかりを更新し続けるのは無理と言うもので、次第に簡単なものばかりになるだろうことは素人でも判りますよね。
昨年夏のことですが、広く用いられている米国立標準技術研究所(NIST)のルールを策定したBill Burr氏が、自らまとめた90日毎のパスワード変更などを求める手順書が間違っていたと告白し話題になっていました。
古いルールに基づいたNISTの手順書はすでに書き改められており、なるべく長いパスワードを利用すること、変更するのは90日ごとではなくパスワードが流出した場合のみと言った新たなルールが公開されています。
とは言えBurr氏自身が語っているように、一度間違った対策が世界的に広まってしまっている以上、新たな対策が世界中で標準的なものとなるのにどれだけの年月が必要なのか、見当も付かないところでしょう。

当面は相変わらず定期的なパスワード変更を要求する管理者との地道な戦いが続くのだろうし、システム上の変更なども必要なのでしょうが、実際のところ安全なネットセキュリティーとはどのようなものなのかです。
複数のサービスで同じパスワードを使い回さないとはよく聞く対策ですが、実際にあるサービスから入手したセキュリティ情報を他のサービスで使ってみると言うことは、ハッキングの常套手段として使われているそうです。
また世の中には何億件もの流出パスワードリストと言うものがあり、これを片っ端から試して見ると言ったやり方もあるようですが、流出回数が多いとは誰でも思いつく安易なパスワードであるとも言えます。
最近は複数の方法を組み合わせた多段階認証だとか、USBメモリを差すだけでパスワードが自動入力されると言った方法もあるようですが、利便性もさることながらシステム側での対応が必要なものは汎用性に問題がありますね。
いずれにせよセキュリティの基本はハード・ソフト面での対策よりもスタッフ教育であることは変わりないので、パスワードをメモ書きして張っておく等々の残念な振る舞いにはくれぐれも注意いただきたいところです。


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