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2020年7月

2020年7月26日 (日)

今日のぐり:「にぼし家」

先日報じられていたのがこちらのニュースです。

炎が迫るバルコニーで放り投げられた3歳児、元フットボール選手が見事キャッチ(2020年7月11日テックインサイト)

アメリカのアパートで火災が発生し、バルコニーに追い詰められた母親が3歳の息子を地上にいる男性めがけて放り投げた。その瞬間、元フットボール選手だった別の男性が現れて無事に男の子をキャッチした。しかしその後、母親は部屋に残された娘を救出するために戻り、娘は助かったものの母親は亡くなってしまったという。『The Sun』『Mlive.com』などが伝えた。

今月3日、米アリゾナ州フェニックス市のアパートで火災が発生した。友人の部屋にいたフィリップ・ブランクスさん(Phillip Blanks、28)は「火事だ」という叫び声を聞き、裸足でアパートの外へ飛び出した。
外からアパートを見上げると、大きな炎と煙に包まれたバルコニーに親子の姿があった。のちにレイチェル・ロングさん(Rachel Long、30)と3歳の息子だったことが分かったが、目撃者によるとこの時点でレイチェルさんの身体に引火しており、緊迫した状況だったという。バルコニーの真下では男性が待機しており、子供をキャッチするのを待ち構えていた。
フィリップさんは下にいた男性が受けとめることができないかも知れないと直感で判断し、子供が落とされる瞬間に走り出して間一髪で男の子をキャッチした。

その瞬間について、フィリップさんは「一瞬の出来事だったのではっきりとは覚えていません。キャッチしようと走り出した時にはその男の子しか見えていませんでした」と明かしている。
実はフィリップさん、元アメリカ海兵隊員で現在はボディガードとして働いている。高校時代にはフットボール選手として活躍しており、日々のトレーニングやボールをキャッチする経験が功を成したようだ。「まさに私のやるべきことでしたね。キャッチの仕方も分かるし、何より人を助けることが私の仕事です」とフィリップさんは語っている。
(略)

残念ながら母親は助からなかったそうですが、何にしろ子供だけでも助かって良かったと言うべきでしょうか。
本日はフィリップ氏の活躍に敬意を表して、世界中からまさに危機一髪と言うべき危険な状態を報じるニュースを紹介してみましょう。

80代、クマに襲われ「吹っ飛ばした気が」(2020年7月17日日テレニュース)

16日夕方、広島県北広島町で、80代の女性が自宅の裏庭でクマに襲われ、けがをしました。

クマが現れたのは北広島町阿坂の民家です。16日午後5時半頃、「クマに頬を引っかかれた」と女性から消防に通報がありました。女性は80代で、自宅の裏庭で夫と草抜きをしていたところ、1頭のツキノワクマが現れ、顔を数か所、爪で引っかかれたということです。
クマに襲われた佐々木瑠美子さん(82)「立ち上がったらクマがそこにいて、こう来た。私の顔をめがけてバッと来て『キャーッ』っと言って、私が吹っ飛ばしてたたいたみたいな気がする」

広島県によると、今年6月までに県内のクマの目撃情報は252件ありましたが、人が襲われたのは今回が初めてです。

ええ、まあ、吹っ飛ばした気がするそうですが…何にしろ佐々木さんの無事を喜ぶべきでしょうね…
このところの大雨被害で水に絡んだ災害も続いていますが、こちら間一髪水難から逃れ助かったと言うニュースです。

高齢者が用水路に転落、猫が発見 救助のきっかけ、富山南署が表彰(2020年6月27日共同通信)

 富山南署は27日、富山市青柳新で用水路に転落した高齢男性を救助したとして会社員新田知子さん(45)ら近くに住む男女5人と、男性の存在を知らせて救助のきっかけをつくったとして新田さんの雌の飼い猫「ココ」の功績をたたえ、5人に感謝状を、ココにはキャットフードをそれぞれ贈呈して表彰した。

 同署によると、16日午後7時半ごろ、現場近くを散歩していた山口昭美さん(77)が用水路の中をじっと見つめ、不思議な動きをしているココに気付いた。視線を追ったところ、幅60センチ、深さ40センチ、水深15センチの用水路に男性があおむけに倒れているのを発見した。

これはココが表彰されてしかるべきでしょうが、キャットフードとはなかなか気が利いていますね。
海外からのニュースですが、こちら何もわざわざ…と思ってしまう事故のニュースです。

「憧れのスパイダーマンになれる」危険な毒蜘蛛にわざと噛まれた3兄弟、恐ろしい症状に襲われる(2020年5月26日ユルクヤル)

南米ボリビアのチャヤンタ村で先日、8歳と10歳と12歳の兄弟が猛毒を持つ「クロゴケグモ」に襲われた。3兄弟は憧れのスパイダーマンになるためわざと噛まれたようだ。

この日、羊の面倒を見ていた3兄弟は「クロゴケグモ」を発見した。
映画『スパイダーマン』ではクモに噛まれた主人公が特別な力を得る描写があるため、少年らは自分も噛まれれば憧れのスパイダーマンになれると考えたようだ。棒でつつくなどして毒蜘蛛を挑発していたという。

クモに噛まれた少年らは、筋肉の激しい痛み、けいれん、発熱などの症状が襲う。近くの医療センターで薬を処方されたものの効果はなく、症状は悪くなる一方だった。
その後3兄弟は首都の小児病院に搬送され、血清投与の5日後に無事回復したようだ。

「子供にとってはすべてリアルなのです。映画も、夢も、現実になりうる。そして私たちには子供たちが希望なのです」と厚生労働省のビルヒリオ・ピエトロ所長は保護者に警告している。

子供は何をするか判らないとは言いますが、方向性は違えど似たような無茶はどこの国の子供もやっているような気もします。
最後に取り上げるのは九死に一生を得た男性のニュースですが、一体何を思ったのか記事から紹介してみましょう。

「便秘に効く」と肛門からウナギを挿入した男性 腸を突き破られ危険な状態に(2020年6月26日テックインサイト)

「ウナギが便秘に効く」と信じ、体長約40センチの生きたウナギを肛門から挿入した中国の男性が腹部の激痛を訴えて病院に搬送された。男性には緊急手術が行われたがウナギは腸を突き破っており、もう少し遅ければ命の危険もあったという。『LADbible』『Mirror』などが伝えた。

激しい腹痛を訴えて中国・広東省東莞市黄江医院に搬送されたのは50代の男性で、便秘の治療のため生きたウナギを肛門から挿入していた。男性は1週間ほど腹痛が続いていたが、搬送時にはコミュニケーションを取ることも難しい状態で、感染症による敗血症ショックを起こしていたという。
同医院のリー・ジェン外科医は「CTスキャン(コンピュータ断層撮影)の結果、腹腔に異物があるのが確認できましたが、それが何なのかは判別できませんでした。次に大腸内視鏡検査を行ったところ、男性の腸内にタウナギ(Asian swamp eel)を発見したのです。我々は直ちに手術を行い、ウナギを摘出することになりました」と語り、さらに驚くべき事実を明かした。
「開腹した患部には糞や膿が溜まり、酷い感染症を起こしていました。ウナギはすでに死んでいましたが、肛門から入ったウナギはS状結腸部分に穴を開け、そこから漏れた糞が腹腔に溜まったものと思われます。」

男性はすでに退院しているが、リー医師は「男性はあのタイミングで手術をしなければ手遅れになっていたでしょう。生きたウナギで便秘が治るというのは迷信に過ぎません」と明かし、命に関わることなので絶対に真似をしないようにと呼びかけている。
ちなみに今年1月にも「ウナギは便秘に効く」と信じた中国の男性が、2匹のウナギを生きたまま飲み込んで緊急手術を受けていた。

何とも不可思議なCT画像も添付されているのですが、果たして実際に便秘に効果があるのでしょうかね。
しかし記事にもある経口摂取の事例などウナギはまだ生きていたのだそうで、その生命力には驚くばかりですね。

今日のぐり:「にぼし家」

倉敷市西部の新倉敷駅前に位置するこちらのお店、近隣に名の知れた人気のラーメン店ですが、相変わらず繁盛していらっしゃるようです。
これだけ人が狭い店内に押しかけると三密どころではない状況ですが、中小の飲食店はコロナ対策にも苦労されていることでしょう。

今回はベーシックなラーメンにネギをトッピングで追加してみましたが、追加分の刻みネギは別に小鉢で提供されます。
こちらのネギはなかなか好みの刻み加減なんですが、軽くスープに浸して一緒にレンゲで口にすると良い具合に感じます。
ただ魚出汁の効いたスープはいいのですが以前からやや醤油ダレが強めに感じていて、今回もやはりスープに対して少し過剰でバランスが悪い印象を受けますね。
以前にこちらでいただいた味噌ラーメンもやはり塩分強めな印象でしたが、こういう味のバランスが好まれる地域性なのかも知れません。
中細麺も味はいいのですが、デフォで少し硬すぎるほどの硬めの茹で加減はやり過ぎな気もするのですが、まあこれは好みの範疇でしょうか。
全体としては何でしょう、うまいまずいで言えば普通にうまいラーメンだとは思うのですが、昔初めてこちらで食べた時ほどの満足感は感じられなかったでしょうか。

接遇面では繁盛店だけに手際の良さが最優先と言う感じですが、忙しい中にも破綻させず要領よく回されているのはさすがに手慣れたものですね。
しかしこちらで久しぶりに食べて見るとお客の入りは全く比較にならないのですが、近隣の「うなりや」さんはもっと評価されてもいいとも感じました。

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2020年7月22日 (水)

「地域枠離脱者は専門医認定せず」は初めの一歩になるか

以前から義務年限を途中離脱するなどその存在意義が危ぶまれるところも多かった医学部の地域枠に関して、先日厚労省からこんな注目すべき対策が打ち出されてきたと報じられています。

「専門医認定せず」、都道府県の同意なき地域枠離脱防止策(2020年7月17日医療維新)

 厚生労働省は7月17日、医道審議会医師分科会医師専門研修部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)に対し、従事要件が課されている地域枠医師等について、離脱防止のため、都道府県の同意を得ずに専門研修を開始した者については、日本専門医機構の専門医認定を行わない方針を提案、了承を得た。認定する場合も、都道府県の了承を得ることを必須にする。7月中にも都道府県の地域医療対策協議会に諮り、意見を聞いた上で国として同機構に正式に要請、2021年度専門研修開始分から適用される見通し(資料は、厚労省のホームページ)。

 医師不足対策として、2008年度以降、医学部の地域枠は増加。2020年度研修開始の専攻医の場合、地域枠制度利用者は973人で、地域枠離脱者は15人(1.5%)。日本専門医機構の専門研修システムでは、「地域枠」であるかどうかを自己申告する欄があるが、「いいえ」と回答したのは11人、「未登録」4人。15人のうち、都道府県の同意を得た離脱者は9人だが、同意を得ない離脱者も6人いた。2019年度の736人中、29人(3.9%)からは減少したものの、離脱防止は完全ではない。

 具体的には、▽専門研修システム登録時に本人の同意を取得した上で、地域枠離脱に関する都道府県の同意の有無について、専攻医募集時および研修開始後に日本専門医機構が都道府県に対して確認、▽研修開始後に都道府県の同意を得ていないことが判明した場合は、専門研修中に従事要件を満たした研修を行うよう、プログラム統括責任者が指導し、ローテーションにおいても変更することを含め配慮するよう努める――という対応を行う。それでもなお、「都道府県の同意なき地域枠離脱」に該当する場合には、専門医として認定しない

 委員からは、地域枠の離脱医師に対し、「地域枠として入学するときに、相当の説明を受けているはず。嘘をついて、専門研修を受けるのはとんでもない。約束違反に対しては、厳しく取り締まった方がいい」(全国市長会会長、相馬市長の立谷秀清氏)など、厳しい対応をすべきとの意見が相次いだ。ただし、聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長の山内英子氏からは、より良い指導医の下での研鑽を求めて離脱する医師もいると想定されることから、都道府県が離脱を不同意とする場合、その理由を明らかにするなど、慎重な対応を求める声も上がった。
(略)
 日本医師会副会長の今村聡氏は、まずは大学入学時点で、地域枠の従事要件を認識してもらうため、「大学と本人の口約束ではなく、説明の仕方をある程度統一し、第三者が入った中で署名」といった方法を提案。日医常任理事の釜萢敏氏は、地域枠医師か否かの確認で、日本専門医機構の事務負担が増えることから、関係機関が連携して取り組む必要性を指摘した。

 日本病院会常任理事の牧野憲一氏は、臨床研修でも地域枠離脱防止に取り組んでいることから、その情報を専門研修に引き継ぐ可否について質問。加藤室長は、「(臨床研修から)そのまま個人情報として継続するのはハードルが高い」と答えた。

 日医常任理事の羽鳥裕氏は、臨床研修の場合、都道府県の同意なき地域枠離脱者を採用した病院を、厚労省の審議会という公開の場でヒアリングを行うことから、同様な仕組みを専門研修でも採用することを提案した。この点については、厚労省医政局医事課長の佐々木健氏が、次のように回答した。「臨床研修は法律に基づく制度であり、国の補助金も出している。国の制度として適切な運用しているかどうかを確認するために、ヒアリングを行っている。一方、専門研修は、地域医療の確保という観点から、国が日本専門医機構に意見を言う仕組みはあるが、機構で運営している制度。今の話は機構の中でどうすべきかについて議論すべき問題」。

二つの側面がある話だと思いますが、まずは厚労省としては地域枠は重要であり維持されるべきものであると言う認識で、今後も一定の強制力を持って継続する方針であると言うことがうかがえると思います。
地域枠に関しては黙っていても一定数の医師を安定的に確保出来ると言う点で、特にいわゆる医師不足の地域では非常に重宝する制度ですが、かねて志願者割れや途中離脱が問題になっていた経緯があります。
制度そのものも往年の看護師の御礼奉公などと同様、法的に突っ込まれれば問題必ずしもなしとしない危ういシステムですが、厚労省は地域枠学生が枠外地域に就職しないよう通達を出して来た経緯があります。
学生から初期研修にかけて及ぼしてきた影響力を、今回その後の専門研修にまで広げてきたという形ですが、いわゆる医師強制配置論の視点から今後その対象がどこまで広がっていくのかです。

もう一つの側面として、新専門医制度がこうした医師への強制力の担保として実際に活用されるのはこれが初めてのケースではないかとも思うのですが、これもかねて予期されていたことではあります。
各学会が独自に認定していた従来の制度であれば、医師が主体的に組織する学会が定めた内部ルールだけで専門医になれると言う点で、外部から見ればなかなか介入しがたい制度であったと言えます。
これに対して専門医機構はほとんどの医師が加入する巨大な組織であり、厚労省の検討会に基づいて組織された経緯や幹部に医師以外が含まれている点など、公的性格が強められたシステムになっています。
公的組織であれば公的な規制や介入も行いやすいだろうし、今後も専門医制度を利用して医師に対する各種の強制力を発揮していくのだろうとは容易に想像出来るところですね。

今回厚労省佐々木医事課長のコメントとしては、この介入は厚労省の意向ではなく専門医機構の内部での議論であるとのことですが、今後厚労省が何かしら意見を出してくれば機構側も無視は出来ないでしょう。
地域枠を絡めて初期研修医に対しては強制力を発揮してきた厚労省が、今後専門研修に対しても同様に影響力を発揮していく第一歩と言えますが、専門研修だけが専門医機構の管轄ではありません。
今後新専門医制度のもとで多くの医師が何かしらの形で専門医機構の統制下に置かれるとなれば、弁護士に対する弁護士会とまでは行かずとも、医師会などよりはるかに強力な権威を持つ組織と言えますね。
厚労省に限らず誰がその強力な権威を活用し医師に影響力を及ぼしてくるのかですが、医師の世界ではこうした権威は今まで存在しなかっただけに、支配下に置かれる側もなかなか実感は持ちにくいかも知れません。

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2020年7月 8日 (水)

大学病院が医局員の給与カットを要請

このところのコロナ騒動で開業医、勤務医ともに大きく収入減少を来していると言いますが、特に売り上げ減少が収入源に直結する開業医では深刻で、クリニック閉鎖に追い込まれるケースも発生しているようです。
他方勤務医にとってもボーナス削減を迫られたなど悲しい話もありますが、特に非常勤医や期間契約の場合解雇や契約打ち切りと言った深刻な事態に至りがちで、生活設計が狂ったと言う先生もいらっしゃるようです。
一部にはこの際にと問題ある医師の首を切っているだけだとの声もあるようですが、それだけではすまない話なのではないかと思わされるのが、先日出ていたこちらのニュースです。

医局が関連病院に申し入れた「給与3割カット」(2020年7月6日日経メディカル)
 首都圏の大学病院で外科系の医局に所属するC氏は現在、大学病院に籍を置きつつ、基本的には少し離れた地方にある大学の関連病院で診療を行っている。
 コロナ禍でこの関連病院の患者数は減った。特に、軽症の救急受診が激減し、C氏は平時の忙しさからやや解放されていた。そんな中、C氏が所属する医局からこの関連病院に提示されたのが、医局から派遣された医師の30%の給与減だ。
 「この話は『給与を減らしてもいいから医局員の雇い止めだけはしないでくれ』という名目で、医局から申し出があったもの。患者が減って関連病院の経営も苦しいはずなので、医局の意図はよく分かる。ただ、私達としては単純に収入が減ってしまった」とC氏。結果的に月25万円ほどの収入減になったという。当時は、スポットで入れるアルバイトもほとんどなく、減収を埋め合わせることはできなかった──。

 日経メディカル Onlineでは医師会員を対象に2020年6月3日~6日に「コロナ禍での収入変化に関するアンケート」を行い、3992人から回答を得た。そのうち大学病院を主な所属先としている医師475人に対して、COVID-19によって医師としての収入が月額ベースでどう変化したか聞いたところ、半数超の51.6%が収入減少に見舞われていた(図1)。中には、上記のように医局の意向で「給与減」が決まった医師もいる
 アンケートに回答のあった医師全体で、収入が減少していたのは39.8%、民間病院の勤務医では30.4%だったことを踏まえると、大学病院の勤務医は他の職場と比べてコロナ禍で給与を減らした割合が大きいといえる(参考:「待機手術ゼロ」で成果給100万円を失う)。

 この背景には、大学病院勤務医の給与が一般的に低いことが挙げられる。国立大学病院長会議が開催した2019年10月のプレスセミナーでは、当時会長の山本修一氏が「国立大学病院の役職なしの医師の平均給与は560万円で、国立病院機構の1520万円に比べて960万円もの差がある」との試算を公表(参考記事:国立大学病院長会議「研究は残業規制の枠外に」)。大学病院勤務医の多くは、大学の関連病院で働いたりアルバイトに行ったりすることで、この給与格差を埋める構図になっている。
 しかしCOVID-19の影響で、この「外勤」が制限される事態が起きた。理由は、感染リスクを下げるために医局からアルバイト禁止を通達されたり、外勤先の患者数が減った結果、出勤を求められる日数が減ったりなど様々なようだ。今回行ったアンケートで、収入変動の理由について聞いたところ、最も多かったのが「他院でのアルバイトの禁止・制限」で25.7%、次いで「雇い止め・出勤日数減」(15.6%)、「残業時間の減少」(9.9%)だった(図2)。
(略)
 アンケートでは大学院生からの悲痛な声も寄せられた。
 30歳代のある腎臓内科医D氏は、国立医学部の大学院生。大学院に通う傍ら、他県の病院に通勤して月50万円以上の収入を得ていた。しかし4月に緊急事態宣言が発令され、他県への移動を自粛するよう国から要請があったことで、D氏は出勤が一切、できなくなってしまった。「医学部の大学院生はフリーランスではないし、家族を養いながら通う人も多いことから、アルバイトだとしても収入規模が他学部の学生と違う。こうした立場の人たちにも保証が必要ではないか」。こうD氏は訴える──。

 経済産業省は、COVID-19で事業収入が下がった中小企業や個人事業主向けに持続化給付金を用意している(個人事業主の場合、最大100万円)。6月29日からは「主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者」と「2020年に新たに創業した者」も対象に含まれるようになったが、アルバイトや非常勤など、病院と雇用契約を結んで給与が支払われる場合は対象外だ。
 一方、文部科学省はアルバイト収入が減少して修学が困難になった学生のために、「学生支援緊急給付金」(10~20万円)を用意している。ただ、これは経済的に困窮している学生が対象で、既存の奨学金制度を活用しているなどの要件がある。大学院に通いながら被雇用者としてアルバイトをこなす医師は、どちらも対象にならない可能性が高い。加えて、大学院を修了するまでは基本的に環境を変えにくく、収入を埋め合わせるための打ち手が限られるのも大学院生の難しいところだ。

医局と言えば所属する医師の権利を守る立場であるべきではないかと考えれば、医局が自ら所属する医局員の給料カットを申し出るなどとんでもない話にしか聞こえませんが、無論事情はあると言うことです。
解雇よりは給料を減らしても良いから雇用は維持してくれと言う要請だと言うことですが、とは言え当事者である医局員に十分な説明と同意を得た上での話であるのかどうか、記事からは読み取れませんね。
医局側が医局員よりも関連病院の利益を優先して減給のお墨付きを与えたとすれば無論医局員としては面白くないはずですが、とは言え大学院生など弱い立場の医局員も多いのが実情です。

この種の一方的な取り決めに限らず、今回のコロナ騒動で特に大学院生は極めて深刻な経済的困難に見舞われていると言い、県境を越えてのアルバイトは軒並み出来なくなったと言います。
また否応なく大学でのコロナ対応に動員され、満足出来る手当はもちろん、いざ罹患してしまった場合の保証すらないそうですが、当然ながらこうした行為を強要するならパワハラ、アカハラと言われるべき問題です。
制度的な救済措置も記事にあるように大学院医師にはほとんど対象にならないようで、学業を中断し常勤医としての雇用を目指すにしても、需要の少ない今の時期は職探しに良いタイミングではないですよね。
ただ医師不足の施設にとっては貴重な即戦力や若手有望株を割安で雇用できる好機とも言え、コロナ騒動を契機に各施設での医師の移動が加速、流動化していく可能性がありそうに思えます。

他方ではコロナ騒動によって最低限の医療需要に限れば案外多くはなく、既存の医療リソースは全体的には最低欠くべからざる医療に対してはむしろ過剰とも言える状況であったことも明らかになってきています。
当然ながら全ての診療科で均等にと言うわけではなく、相変わらずリソースの逼迫している領域もあれば、患者が減って閑古鳥が鳴いている領域もあり、施設内でのワークシェアリングを促す一因ともなっていますね。
こうした需給状況の変化がコロナ騒動が落ち着いた後でどう解消されていくのかは注目したいところですが、特に若い先生にとっては将来の進路選択に関しても再考していく必要があるのかも知れません。

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