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2020年6月

2020年6月22日 (月)

深夜にラーメンを食べさせてくれる介護施設は確かにありがたいのですが

先日話題になっていたのがこちらのニュースですが、各方面から意見が提示されなかなか興味深い議論になっているのではないかと思います。

深夜に96歳の男性が「ラーメン食べたい」と言ったら、どうしますか?(2020年6月6日Buzzfeedニュース)

まずは、難しいことは考えずに、この動画を見てほしい。

ラーメンのスープをすすって一言。
「あーうめっ」
脇で、この近藤角三郎さん(96)の様子を見守っていた付き添いの金子智紀さん(25)も笑顔になる。
「ね?これでいいじゃないですか。この声さえ聞ければ、これでいいんだってわかるでしょう?」

近藤さんは1ヶ月前、半年の病院生活から退院したばかり。入院中はペースト食しか食べられなかった。
今は、神奈川県藤沢市の看護小規模多機能型居宅介護「ぐるんとびー駒寄」で一時滞在しながら、リハビリを受けている。
この近藤さんがラーメンを楽しむ姿を巡って論争が起きているのだ。

「夜中のラーメン」の動画が炎上

記者が近藤さんの取材をしてみたいと思ったのは、事業所を経営する株式会社「ぐるんとびー」の代表取締役で理学療法士の菅原健介さんがツイートした動画が炎上しているのを見たのがきっかけだ。
10日前までペースト食だった利用者の求めに応じて、深夜に、普通のラーメンを提供している。
この姿に、介護関連の専門職が批判の声をあげた。
(略)
でも、実際にラーメンを食べているこの男性の美味しそうな表情はどうだ。OKサインを指で作って喜んでいる。
自分だったら、「もう深夜ですし、ラーメンは食べることができないか今度検討してみますから、今は我慢してくださいね」と言われるのがいいか。それとも今、作ってもらって味わえるのがいいか。深夜のラーメンはうまい。
その後、Twitter上で対話が生まれ、利用者の「食べたい」に応えるための努力があったことを理解し合うところまで達したのもさすがプロだなと思った。
(略)
近藤さんがラーメンを食べるまでを知っている介護福祉士の斎藤恵さんが、5月1日の退院直前に菅原さんと病院に顔合わせに行った時のことを教えてくれた。
「病院からはペースト食の指示が出ていると聞きました。でも、近藤さんにうちのパンフレットを見せると、お弁当を食べている利用者さんの写真を指差しながら『うまそうだな』と言ったのが第一声でした。近藤さんの場合は、食が生きる意欲につながるのではないかと気づいたんです」
退院後、リハビリのために一時的に滞在することになった近藤さんの体の状態を、嚥下機能に詳しい看護師や理学療法士、介護福祉士らが評価し、「一段階ずつ食形態を上げていきましょう」という意見で一致した。
(略)
退院から1週間後、斎藤さんが近藤さんと一緒に公園に散歩に行くと、突如、近藤さんが「ラーメン」「ラーメン」と連呼する。
「何ラーメンがいいんですか?と聞くと、『味噌ラーメン』と言う。連休中ですし、お店はどこも営業自粛中でしたから、『カップラーメンでもいいですか?』と聞いて、一緒にお店に買いに行って選んでもらったのです」
疲れて一度昼寝をした後、起き出してきた近藤さんにカップラーメンを出すと、全部食べ、スープまで飲み干した。
(略)
「病院は治療するところであって、暮らしを楽しむところではありません。病院は誤嚥防止のために安全を最優先にせざるを得ないのでしょうし、訴えられるのは怖い。一方で、在宅は暮らしを楽しむところです」
「そして生きる意欲と機能は連動します。食べたい、とか何かをしたいという欲求、生きる意欲が湧くと、機能は上がる。病院は間違っていると言っているのではなく、病院と在宅は役割が違うということなんです」
近藤さんの主治医も、「ご本人が食べたいものを食べてもらっていいです。必要なら意見書を書きますよ」と、菅原さんたちの姿勢を支持してくれているのも心強い。
(略)
菅原さんは言う。
「大切なのは何を目指すかだと思っていて、僕らの目標の最上位は、『ほどほどに幸せな暮らし』です。『安全』を最上位にはしない。ほどほど幸せが実現できるなら、安全性は最低限確保しながらも多少下げてもいいと思っています」
最初の契約の時に、本人と家族に「本人主体でほどほどの幸せを目指すので、リスクをある程度引き受けていく」ということを説明し、了承してもらっている。
「拘束しても安全を優先しなければならないことはありますが、100%の安全を求められるなら引き受けるのを断ることもあります。本人の望んでいないことを続けるのは虐待です」
(略)
「リスクゼロを目指すと管理でガチガチになり、ほどほど幸せな暮らしができなくなります。ほどほどの幸せは、安心できる場所と信頼できる人がいることで成り立ちます」
「そのために、専門性を振りかざすことなく、全ての職種は対等な立場で本人のハッピーを創るために、違う意見の人と対話をしながら、余白をどう生み出すか考える。〜もあるを受け入れ、間違いをその都度、変更することも頭に入れながら、個別に『ほどほどの幸せ』をカスタマイズしていきたいと考えています」

実際には一足飛びにラーメンをすすらせたのではなく、段階を追って順次嚥下機能を確認しながらステップアップしていったそうですが、96歳の超高齢者が深夜にラーメンと言う動画は確かにインパクトがあります。
実際に各方面から寄せられたコメント多数が掲載されていて、それぞれ現場に関わる立場から納得出来る意見が多く、何が正解と言うことも間違っていると言うこともなくただ見方の違いとしか言いようがないことです。
記事の末尾で施設の責任者である菅原氏がおっしゃっていることも同様にまことにごもっともであるし、恐らく多くの一般利用者や家族の方々からはもっとも賛同を得られる考え方であろうかとは思いますね。
ただ他方で全国の介護従事者から批判の声が殺到したと言うのも理解出来る話で、求められればリスク無視で何でもやっていいのかと言った意見も、マンパワーに制約のある現場だけに無視出来ない話ですよね。

介護現場の考え方としては、こうした場合に真っ先に考えることは何かあったときに責任を取れるのか、誰が責任を取るのかと言う点でしょうが、菅原さんとしては契約時に家族の了承を得ていると言います。
ただ現実的にはそうした了承があってもトラブルにつながることは少なくないのも経験から想像出来ることですが、恐らくこの施設はかなりの人気施設であり、相対的に強い立場であると言うことなのかと思いますね。
無論いざと言う時の保険など様々な対策は講じていることでしょうが、零細な事業者であればそうしたリスクを到底負うことが出来ず、結果的に利用者や家族にとって満足感の乏しいサービス提供となりがちです。
医学的に正しいかどうかとはまた別な次元でサービス業として考えると、顧客満足度を高めることがクレームやトラブルの可能性を結果的に下げられるのであれば、サービス提供者にとっても望ましい話ではないでしょうか。

一方で別な視点で考えると異なった意見もあると感じられるのですが、医療の立場でも一見すると主治医は好きなものを食べさせていいと言っているのだから構わないじゃないかと言う意見もあるでしょう。
ただこうした施設入居の超高齢者の主治医を急性期基幹病院の勤務医がしていることは通常ないはずなので、恐らくこの主治医氏も嘱託医や近隣開業医などと言った立場である可能性が高そうです。
もしも利用者が夜中にラーメンを食べて誤嚥したとして、施設内あるいは主治医が対応すると言うのであれば良いのですが、実際には直ちに救急車を呼んで全く無関係な他施設に搬送されることが大多数でしょう。
そうした搬送先の医師にしてみれば、夜中に超高齢者にラーメンを食べさせて誤嚥したからと送りつけられてくるのは決して愉快な話ではないでしょうし、医療リソースの観点からも歓迎できない話でしょうね。

結局のところそれぞれの立場によってそれぞれ正解と思える意見があるはずですが、どの立場が最も尊重されるべきかと考えると、一義的には被介護者本人およびその家族と言うのが基本ではあると思います。
ただその意思決定においてこの場合介護側や主治医側の意見が反映される一方、いざと言う時にケツ持ちしてくれるはずの救急受け入れ施設の意見はと言えば、まさに退院時の指示がそうなのだろうと言うことですね。
このあたりのミスマッチは地域内での力関係など様々な要因も絡む話ですが、少なくとも救急搬送が逼迫している地域でこんな患者が次々と運び込まれてくれば、受け入れ側としては穏やかではいられないでしょう。
リスクを引き受けると言っても実際に何かあった時に施設側がどう引き受けられるものなのかで、願わくはいざと言う時のバックアップをしてくれる救急医療機関とも十分な意思疎通をした上での話であればとも感じました。

 

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2020年6月21日 (日)

今日のぐり:「うなりや」

犬の散歩をしていて事件に遭遇すると言うことは日本でも報じられることがありますが、こちら海外の事例です。

「名乗るほどの者では…」 イヌと散歩中の男性、容疑者逮捕に一役(2020年3月9日ロイター)

オーストラリアで、イヌを散歩させていた男性がお手柄。
盗難車を乗り捨てて逃げていた容疑者をタックルで阻止し、警官を手助けした。

警察は、名乗らないまま立ち去ったこの男性に感謝を伝えたいとして探している。

その状況の一部始終は元記事の動画で一目瞭然なのですが、なお手助けしたのはあくまで男性であって犬ではないと言うことですね…
本日は何気なく読み流しているとあれ?と二度見してしまいそうな、少しばかり引っかかりのあるニュースを紹介してみましょう。

孫いないのに“孫から”電話…その後警察官名乗る男から「振り込め詐欺の捜査に協力して」と150万円騙し取られる(2020年6月15日東海テレビ)

 孫を装った男から「コロナで仕事が減って困っている」と電話を受けた岐阜県多治見市の84歳の女性が現金150万円をだまし取られました。
女性に孫はおらず、一度は電話を切りましたが、その後、警察官を騙る男から電話があり、「振り込め詐欺の捜査に協力してほしい」と騙されたということです。

 5月中旬、多治見市に住む84歳の女性の自宅に、孫を名乗る男から「コロナのせいで仕事が減って困っている。おばあちゃんお金を貸して」と電話がありました。
 女性には孫がいなかったため電話を切りましたが、数日後、警察官を名乗る男から「それは振り込め詐欺の犯人からの電話です。騙されたふりをして捜査に協力してください」などと電話がありました。
 女性は男の指示通り、多治見市内のコンビニから神奈川県内のアパートに現金150万円を宅配便で送り、その後、連絡がないことを不審に思い、15日、警察署を訪れたことで事件が発覚しました。

 警察は悪質な特殊詐欺事件として、捜査を進めています。

この種の詐欺事件も新手が続々登場しますが、しかし前半部分だけを見ていると愚か者め、で終わっていた話なのですけれどもね。
残念ながら少年の自殺報道も今や珍しくはないご時世ですが、こちら全国的に話題になった自殺事件のニュースです。

高校生“拳銃自殺”、銃は本物と確認(2020年6月19日TBS)

 東京・八王子市の住宅で拳銃自殺したとみられる15歳の少年について、警視庁の鑑定の結果、使用したのは本物の拳銃だったことが確認されました。

 今月8日、八王子市の住宅で高校1年の15歳の少年が頭から血を流して倒れているのが見つかり、その後、死亡しました。警視庁は少年が自殺したとみていますが、近くに落ちていた回転式拳銃とみられるものを鑑定した結果、本物の拳銃だったことが新たにわかりました。

 少年の部屋からは65発の実弾が見つかったほか、自動式拳銃の弾倉や銃の手入れをするための油やブラシ、拳銃ホルダーも押収されていて、警視庁は入手経路についても調べています。

15歳の少年がどうやって拳銃を入手出来たのか今も調査中とのことですが、驚くようなニュースではありますね。
携帯電話の電磁波が有害だと主張する人は世界的にも一定数いるのですが、こちらその結果と意外なオチを伝えるニュースです。

「新型コロナは5Gのせい」 ボリビア東部で電波塔破壊相次ぐ(2020年06月17日時事ドットコム)

 【サンパウロ時事】ボリビア東部で15日、次世代通信規格「5G」が新型コロナウイルスを広めていると信じ込んだ住民が電波塔を相次いで破壊する事件があった。(略)

 事件があったのはサンタクルス県で、ヤパカニ市で3本の塔が焼かれ、同市近隣でも2本が壊された。事件前、住民らが5Gは新型コロナ感染やがん発症に関係があると主張し、市に塔の撤去を求めていたという。警察は事件に関与した女2人と男1人を逮捕した。
 先週には中部コチャバンバでも同様の事件があり、アニェス暫定大統領は「テロ行為だ」と怒り心頭。通信省は「アンテナにより新型コロナに感染することはないし、わが国に5G技術はない」との声明を出した。

 5Gの電波が新型コロナの感染を拡大しているとの偽情報をめぐっては、隣国ペルー中部の村でも、うわさを信じた住民が通信事業会社の技術者8人を一時監禁する事件があったばかり。

まあ誰がどのような噂を流しているのかは判りませんが、そもそも5Gが存在しなかったと言うのも悲しすぎますね。
最後に取り上げますのはこちらのニュースですが、それを歩いて来るか?と誰しも驚いたニュースです。

頭に包丁が刺さった男性、そのまま歩いて病院を訪れる 衝撃写真に「トラウマになりそう」の声も(2020年6月18日リアルライブ)

 思わぬ怪我で受診することはあるが、海外では、頭に包丁が刺さり、頭に包丁が刺さったまま病院を訪れた人がいる。
 中国・湖北(こほく)省で、若い男性が、頭に包丁が刺さったまま、歩いて病院を訪れたと、海外ニュースサイト『THE Sun』と『The Free Press Journal』が6月12日までに報じた。

 報道によると、男性は、とある人と口論になり、とある人が男性の頭に肉切り包丁を刺したという。男性は刺された後、頭に肉切り包丁が刺さった状態のまま、2人の友人男性に付き添われ、歩いて病院を訪れた。男性がどれほどの距離を歩いたかは明かされていない。男性は、頭から血が垂れていたものの、意識ははっきりとしていたそうだ。
 『The Free Press Journal』は、男性が病院に着いた時の写真を掲載しているが、男性の頭から額の中心部にかけ、包丁の柄に近い方の角が深く刺さっている様子が写っている。男性の額からは血が垂れていて、男性は頭を抱えている。付き添いの一人が男性の脇を抱え、男性を支えている。

 男性は病院で手術を受けた。幸いにも現在は回復に向かっており、命に別状はないという。『The Free Press Journal』によると、警察は男性が口論した相手について現在、調査中だという。
(略)

その衝撃の映像についてはこちらの元ニュースを参照頂きたいところですが、何でしょうこの違和感はと言う感じですかね。
中国では救急搬送も有料でかなり高価なそうで徒歩来院した理由の一端なのかとも思うのですが、いきなりこんな患者が来ればどこの病院もびっくりでしょう。

今日のぐり:「うなりや」

倉敷市西部の玉島地区にあるこちらのお店、良寛さんもうなったと言うスープが屋号の由来と言うラーメン屋です。
静かな湖畔の雰囲気あるお店なのですが、立地が微妙すぎてか滅多に賑わう様子がないところ、今回は常連さんらしいお客でそこそこ満席でした。

ラーメンを頼んで見ましたが、魚出汁風味が強めのあっさり醤油スープは酸味はあるものの、以前のような劣化した感じではなく良い具合です。
中細麺も特徴はないのですが、茹で加減は頃合で湯切りもしっかりされており、トッピングのチャーシューやシナチクもしっかりしたものです。
やはり味は悪くないと思うと思うのですが、その割にお客の入りが今ひとつなのは近隣競合店より気持ち高めなのと、お客を選ぶ店構え故でしょうか。

勇気をふるって入って見れば雰囲気はなかなか良い感じですし、食事時でも混まないのはたまの客としては助かるのですが、経営に響くほどとなると気の毒ですよね。
なお親父さんが一人でやっていて基本セルフのようなもので、その点ではカウンター席の方が気楽に楽しめますが、外の席の眺めもなかなか捨てがたいものでした。

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2020年6月15日 (月)

コロナ大規模抗体検査の結果公表、やはり医療関係者は陽性率が高かった

ある程度バイアスのかかっているものと思われる民間企業の調査ですが、先日新型コロナ抗体検査の大規模調査結果が公表されていました。

抗体検査、陽性0・43% ソフトバンク、4万人対象 医療従事者は高い傾向(2020年6月10日共同通信)

 ソフトバンクグループ(SBG)は9日、社員や協力を得た医療機関などを通じ約4万4千人を対象にした新型コロナウイルスの抗体検査を実施した結果、0・43%の人が陽性だったと発表した。医療従事者の陽性率は1・79%で、ソフトバンク社員などの0・23%よりも高い傾向を示した。国内で最大規模の抗体検査とみられ、単純比較できないが、これまでの海外の検査例よりも陽性率が低い結果となった。
 感染の診断に使われるPCR検査では陰性だったにもかかわらず、抗体検査では陽性が出たケースが複数あった。インターネットのライブ中継で解説した国立国際医療研究センターの大曲貴夫(おおまがり・のりお)国際感染症センター長は「(それぞれの)検査を組み合わせることが必要。症状のある人が早く検査を受けられる環境づくりが最優先だ」と述べた。

 抗体検査は5月12日~6月8日に実施。SBGや取引先の社員など3万8216人に加え、医療従事者5850人を対象にした。陽性者数はそれぞれ86人と105人だった。
(略)
 爆発的な感染拡大が起きた米ニューヨーク市では、抗体陽性率が平均で約20%という報告がある。スペイン政府は6万人を対象に行った抗体検査で陽性率が約5%だったとの暫定結果を5月に発表している。
(略)

医療従事者5850人抗体検査、陽性率は1.79%(2020年6月10日医療維新)

 ソフトバンクグループは6月9日、グループ各社従業員や医療従事者ら計4万4066人を対象に実施した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗体検査結果の速報値を公表した。医療従事者5850人のうち105人が陽性となり、陽性率は1.79%だった。職種別では、受付・事務等が2.0%、医師が1.9%、看護師が1.7%などの順だった。全体では191人が陽性となり、陽性率は0.43%。医療従事者を除くと0.15%と下がる。PCR検査の結果が陰性でも、抗体検査で陽性となった例もあった。

 検査はグループ内の感染状況を把握するとともに、社会貢献などのために、医療機関や取引先を対象とし、2020年5月12日~6月8日に実施した。検査にはINNOVITA社とOrient Gene社の迅速検査キットを使った。結果は動画と資料で公表している。
 全国539施設が参加した医療従事者の陽性率を都道府県別(検査件数100件以上)に見ると、最も高いのが東京都の3.1%で、千葉県(2.8%)、広島県(2.2%)、大阪府(2.2%)、北海道(2.0%)、京都府(1.9%)、福岡県(1.9%)、兵庫県(1.7%)と続いた。検査件数が100件未満のため、数値は公表されていないが、石川県でも陽性率が3%以上に上った。今回の結果は、厚生労働省が集計しているPCR検査の結果に基づいた感染分布とおおむね一致しているという。
 医療従事者の年代別では、60歳以上の男性が3.34%、女性が3.40%で最も高かった。50歳代は男性2.62%、女性2.32%、40歳代は男性2.49%、女性2.53%、30歳代は男性2.54%、女性1.25%、29歳以下は男性0.53%、女性1.26%だった。

大曲氏、歯科医の陽性率の低さに「驚くべきデータ」

 職種別では、医師、看護師、受付・事務の陽性率が1.7%以上となる一方、歯科助手は0.9%、歯科医は0.7%と比較的低かった
 ソフトバンクグループが配信した動画に出演した、国立国際医療研究センター国際感染症センター長の大曲貴夫氏は、「驚くべきデータだと思う。歯科では口の中を処置するため、飛沫を浴びることが多く、リスクが高いと非常に心配されていた。この間に、どういう感染対策をやっていたのか、どういう患者を診ていたのか深掘りしてみたい」と感想を述べた。

陽性者の大半はPCR陰性・未検査

 ソフトバンクグループ社員らを含めた全体の陽性者191人のうち、6月8日までにPCR検査を受けているのは42人にとどまり、13人が陽性、29人が陰性だった。
 4月以降に肺炎の症状があったが、PCR検査で陰性となってCOVID-19と診断されなかった30歳代の男性が抗体検査の結果、IgG陽性と判明したケースもあった。
(略)
 PCR検査の陽性者で、抗体検査が陰性となった例はなかった
 ソフトバンクグループ会長の孫正義氏は「民間の試行錯誤なので、専門家からアドバイスいただきながら、よい対策ができるよう進めたい」と述べた。

先日厚労省が公表した1000人規模の抗体検査の結果が都内で0.6%で、昨年の検体でも0.4%の陽性が出たことから偽陽性の可能性があるとの結論でしたが、今回の全体値もおおむね同程度の値と言えます。
やはり現時点でその程度は感染していると見るべきなのでしょうが、諸外国の報告と比べると比較的低いようで、日本の感染者数が比較的低く抑えられているとの観測の傍証の一つになりそうですね。
インフルエンザなどは毎年国民の10人に1人は感染していて、おおむね200人に1人と言えば少ないようですが、通勤電車やスーパーなど人の多い場所に行けば誰かは感染している計算です。
直接的な飛沫だけではなく環境の汚染もあり得ることですので、マスクのみならず手洗いや手指消毒などもしっかり行うことが自分を守るだけでなく、周囲に感染を広げないためにも重要だと言うことですね。

今回の結果で当然ながら注目されるのが、ある意味予想通りではあったものの医療関係者の陽性率が一般の数倍に上っていると言う点ですが、年齢が上がるほど陽性率が高いように見えることは興味深いですね。
さすがに今時ベースン法で済ませている年配の先生がいるとも思えませんが、手洗い手指消毒の頻度や日常的な衛生観念の差などと相関があるものなのか、データが出せれば面白いかも知れませんね。
個人的にもう一つ注目することとして男女差があまりなさそうだと言うことなのですが、医師と看護師の差がないこととあわせて、現場ではどのような状況で感染が起こっているのか知りたいところです。
また記事にもあるようにハイリスクと思われる歯科関係者が案外低いのですが、患者層や数の違いなのか歯科領域での感染防御策に何かポイントがあるのか、こちらも理由が検証出来れば有益でしょう。

末尾のPCR検査と抗体検査の結果に食い違いが見られると言うのは、それぞれ陽性になりやすい時期の差もあるでしょうが、臨床現場での診断の限界として考えるとなかなか示唆的なデータだと言えます。
発表資料を見ますと今回の抗体検査では発症8-10日目以降でほぼ確実に検出出来るようですが、PCR検査に関してはすでに発症後初期の3-4日間が最も検出しやすいことが明らかになっています。
例の発症後4日間ルール(ではなかったそうですが)の意味がここでも問われるところですが、これだけ検査法による不一致があるなら今後発症後の日数に応じて検査法の使い分けを考えるべきなのかと思わされますよね。
ただ発症後10日以降ともなればコロナ感染症としてはそろそろ治癒に向かう時期ですから、隔離の解除などと関連して抗体検査陽性と言う結果をどう解釈すべきなのかは取り扱いの難しいところだと思います。

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2020年6月13日 (土)

今日のぐり:「丸源ラーメン 福山神辺店」

痴漢対策で昨年は大手メーカーの痴漢対策ハンコが話題になりましたが、今年も新たなアイデアが誕生しています。

JR東は通報アプリ実証実験 痴漢防止へ各所で広がる対策(2020年3月30日産経ビズ)

 恐怖や羞恥心で声を上げられない被害者の弱みにつけこむ卑劣な痴漢行為。その約7割は、電車内や駅構内で起きているとされる。「負担を感じずに痴漢被害を伝えられないか」。そんな発想のもと、JR東日本が2月、スマートフォンの専用アプリで被害を通報する実証実験を始めた。被害者側の視点から痴漢を防ぐアイデアや取り組みが広がりつつある。(松崎翼)

 「最初は電車の揺れに合わせるように触り、徐々にエスカレートしていく。声を上げられるのは10人に1人くらいだ」
 痴漢撲滅に取り組む一般社団法人「痴漢抑止活動センター」の松永弥生代表理事(54)は指摘する。混雑した車内では体が密着せざるを得ないなど、痴漢か否かの線引きが難しいケースもあり、被害を受けても泣き寝入りしてしまうケースは多い。

 こうした中、JR東は2月下旬から被害の多い埼京線(大宮-新宿間)で、痴漢を通報する専用アプリの実証実験を始めた。アプリで被害を報告すると車掌がタブレット端末で確認し、「○号車のお客さまより、痴漢の通報がありました」などと車内放送する。
 痴漢の発生をリアルタイムで乗客全員に知らせることにより、抑止効果が狙えるとみている。スマホの操作は目立つこともなく、被害者が躊躇(ちゅうちょ)なく通報できるというメリットもある。
 JR東は列車内などを中心に防犯カメラを拡充し、専門部署で集中監視。テロなどを含めた非常時には画像を警察に伝送するシステムを導入するなど、安全や安心の確保を急いでいる。

 警視庁によると、平成29年中には痴漢(迷惑防止条例違反)は約1750件発生。このうち午前7~9時の通勤通学時間帯に約3割が集中して起きている。警視庁生活安全特別捜査隊の斎藤ひとみ隊長も「痴漢は被害者にとって大きなストレス。鉄道事業者ともさらに連携を深め、被害を減らしたい」と力を込める。
(略)

いわゆる痴漢えん罪防止のためにも車内防犯カメラは有効だとも聞きますが、今回のコロナ騒動で混雑が緩和され多少なりとも被害が減少したことを願うところです。
今回は日常生活に潜む様々なトラブルや不便に関連して、それがあればちょっといいかも?と思わせる新たなアイデアの数々を紹介してみましょう。

「集中できる環境を作るメガネ」がZoffから発売 あえて視野を狭めて作業へ没頭促す(2020年1月17日キャリコネニュース)

眼鏡ブランドZoffを運営するインターメスティックは1月17日、「集中できる環境」をつくるメガネ「Zoff+集中」を発売した。オンラインストアのほか、原宿店や渋谷マークシティ点など国内 51店舗で購入できる。価格は7000円(税別)で、度付きレンズを入れることもできる。

フリーアドレス制のオフィスやノマドワークなどでは境界が無い分、集中できる環境を作ることが難しくなっている。「Zoff+集中」は、視野を狭めて周囲の余計な視覚情報をカットすることで、眼球の動きをコントロールする脳の部位である、「前頭眼野」の負荷を軽減できるという。
(略)
なお同社は、外出時や運転時には視界が狭くなる恐れがあるため、フードを外しての使用を勧めている。また、集中度合いには個人差があるという。

その状況は元記事の画像を参照頂ければ一目瞭然なのですが、何でしょう視野云々抜きにしても屋外で使用したくはない感じでしょうか。
こちら特に学生にとっては深刻な問題で、実用化が待たれると言う期待の新商品のニュースです。

高校生が開発した画期的な下着「オナラの音と臭いを消すパンツ」ってどんなパンツ?(2019年11月14日@DIME)

 ノーベル賞受賞者が発表され、その「研究」が注目されているが、ある高校生たちの「研究」にも注目が集まっている。その名は『オナラの音と臭いを消すパンツ』!これをはけば周囲にニオイや音が全く漏れないという。なぜそんなものを作ろうと思ったのか。

「以前、授業中におならを出すのを我慢したら、お腹を壊してしまいました。『こんな体験をしている人は多いのでは』と思い、2人の仲間に声をかけて2年生の4月から開発を始めました」(東京学芸大学附属高校3年・布施和伸くん)
 製作開始から1年半。パンツは完成したのだろうか?
「現時点ではニオイはほぼ消せましたが、音はまだ2分の1程度しか吸収できていません」(布施くん)
 実験を行なうためには、何度も〝一発〟放つ必要があるが、開発中に都合よく出るものなのか?
「私の体は、タンパク質を多くとると2〜3時間後によく出ることがわかったので、仲間と研究する時間から逆算してプロテインをとり、仲間の前でオナラをしています(笑)」(布施くん)
 自分の体質まで調べ上げた布施くん。彼のオナラを浴び続ける仲間たち。彼らの執念が実る日は、すぐそこまで来ている。

 オナラを恥ずかしがる女性が気軽にはくためには、大幅な改善点があるので商品化への道のりは遠そう。だが、研究成果を大人用紙おむつに応用するとヒットするかも。
(略)

これも元記事の画像を見る限りでは大幅な改善点もありそうなのですが、すでに各方面から期待の声が寄せられているそうです。
こちら一見すると何気ない商品なのですが、実用化すれば画期的ではないかと言う新製品の話題です。

未来の電子レンジ、製品化向け一歩前進。「幕の内弁当のご飯と揚げ物だけ温め」が可能(engadged)

上智大学の堀越研究室は、食品の狙った部分だけを温められる次世代の電子レンジの試作機をシャープ、日本ガイシ、日本ユニシスと共同で開発したと発表しました。
この電子レンジは「温める食品に応じて部分的な加熱ができる」というのが最大の特徴で、たとえばコンビニ弁当でご飯の部分だけを温めて、漬物はつめたいままといった加熱が可能です。

この技術は堀越智准教授が2012年から重ねてきたマイクロ波の研究が基になっており、一般の電子レンジで搭載されているマグネトロンの代わりに固体半導体を発振器として採用することで、温める範囲の厳密な制御を実現しています。
5世代目となる今回の試作機では、量産品に近い部品構成を採用して、コストや耐久性についても実用化が可能な水準で設計されています。さらに、お弁当などの製品ごとの加熱方法もクラウドサーバーから取得する機能が追加されており、お弁当のパッケージに貼り付けられたバーコードやQRコードを読み取って、最適な温め方を自動で設定することができるようになっています。

堀越研究室では今回の発表の反響を取り入れた次期製品も試作し、その後、量産化を検討していく段階に入っていくとしています。
(略)
現代の電子レンジは温めムラが大きく、入れてはいけない食材も多いなど便利ながらも使う上での注意点が多い家電ですが、今後、技術が発展すれば、お弁当をそのまま放り込んでボタンを押すだけで、温かいものは温かく、冷たいものは冷たいままで食べられる未来が来るかもしれません。

センサーとマイクロ波の制御技術が進歩すればこういうことも出来るのかですが、当面は業務用を目標に商品化を目指すそうです。
最後に取り上げますのはこちらのニュースですが、まさに待ち望んでいたと言う声が聞こえてくるような画期的なものとなりそうです。

忘れた記憶を復活させる薬を発見(2019年1月8日東京大学プレスリリース)

北海道大学大学院薬学研究院の野村洋講師、京都大学大学院医学研究科の高橋英彦准教授、東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授らの研究グループは、脳内のヒスタミン神経系を刺激する薬物をマウスあるいはヒトに投与すると、忘れてしまった記憶をスムーズに思い出せるようになることを発見しました。本研究成果は2019年1月8日付でBiological Psychiatry誌(オンライン版)に掲載されました。

 覚えてから長時間経過すると、記憶は思い出せなくなります。しかし、ふとした瞬間に思い出せることがあるように、一見忘れたように思える記憶であっても、その痕跡は脳内に残っていると考えられます。しかし忘れた記憶を自由に回復させる方法は存在しません。本研究グループは、脳内のヒスタミン神経系を活性化する薬が記憶に与える影響をマウスとヒトで調べました。その結果、記憶テスト前にヒスタミン神経系を活性化すると、忘れてしまった記憶でも思い出せるようになることを見出しました。この薬の働きには、嗅周皮質と呼ばれる脳領域の活動上昇が関わっていました。また、特にもともと記憶成績が悪い参加者ほど薬の効果が大きいことがわかりました。

本研究成果は、脳内ヒスタミンや記憶のメカニズムの解明に有益であると共に、アルツハイマー病などの認知機能障害の治療薬開発の一助となることが期待されます。
(略)

当然ながら現段階で勝手に薬をつかってはならないと言う注意書き付きなのですが、実用化されれば応用は無限に利きそうですね。
ただし時折国会中継などで見られるように「その件に関しましては記憶にございませんが何か?」的な事例については、この種の薬も奏効はしないのかも知れません。

今日のぐり:「丸源ラーメン 福山神辺店」

山陽道の福山インターから少し北上した、市街地郊外の幹線道路沿いに位置するのがこちらのお店です。
丸源ラーメンさんも昨今あちらこちらで見かけるのですが、時々新メニューも投入されているようで目新しさを保っているのは感心しますね。

今回は初めての試みで青菜野菜ちゃんぽんを頼んで見ましたが、一見すると良くあるチェーン店のちゃんぽんそのものでしょうか。
加水率高めのもちもち食感の太麺に胡椒風味強めのスープ、トッピング野菜の炒め加減と、いずれも特にこれと言って悪くないものでした。
しかし何でしょう、この種のラーメン屋のちゃんぽんにありがちな寂しさと言うのでしょうか、結局海鮮も練り物もないのが問題なんでしょうかね。
サイドメニューには玉子チャーハンを取ってみましたが、熱々鉄板に溶き卵を流すスタイルは熱々でうまいのですが、油断すると焦げやすいのが欠点でしょうか。

個人的にはこちらの塩ラーメンは結構気に入っているのですが、丸源ラーメンも含めてあっさり系スープのメニューの方が持ち味が出そうな気もします。
なお以前にお邪魔した際は接遇面はかなりトレーニングされていた印象でしたが、今回は割と普通のバイトっぽいマニュアル対応の範疇でした。

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2020年6月 9日 (火)

コロナ感染症においても再燃する陰性証明・治癒証明問題

コロナウイルス感染症について、先日は厚労省からようやく唾液でのPCR検査を容認するとの発表があり、今後はPCRの検体採取もずいぶんと安全かつ簡便に行えるようになるのではないかと期待されるところです。
その一方で岐阜県では県内医師の7割以上が保健所に検査を断られたことがあるとの調査結果が公表されていて、「医師が必要と思ったら全て検査をしている」との従来の県の発表と食い違いが注目されています。
ともかくも国としても検査自体は増やしていく方針と伝えられていますが、このところPCR検査の限界を思い知らされる報道も相次いでいるようです。

新型コロナ:新型コロナ 無症状でPCR「非効率」 発症前日、陽性的中33% 米チーム研究(2020年6月1日毎日新聞)

 新型コロナウイルスの感染者が、発症する前日にPCR検査(遺伝子検査)を受けても、「陽性(感染者)」と判定されたのは3人に1人にとどまるとの分析を、米ジョンズ・ホプキンズ大のチームがまとめた。発症4日前では皆無だった。新型コロナは発症前でも感染力が強く、症状のない人も広く検査すべきだとの声もあるが、PCR検査だけでは感染者の特定に非効率で、今後、慎重論も出そうだ。

 チームは、欧米や韓国などで行われた7研究(患者数計1330人分)のPCR検査データを基に、発症前後で感染者を陽性と判定できるかどうかを分析した。
 その結果、発症4日前に陽性だったのは0%で、前日でも33%にとどまることが分かった。発症日でも62%で、3人に1人は陽性と判定されなかった。的中率が最も高くなったのは発症3日目の80%で、それ以降は低くなった。
 理由について、ウイルス量の変化や検体の採取方法上の課題が考えられるという。チームは「PCR検査だけに頼らず、医師の判断や濃厚接触の有無などを総合的に検討することが重要ではないか」としている。
 成果は5月13日付の米内科学会誌(電子版)に掲載された。【渡辺諒】

 ◇検査拡大に慎重論も 専門家「高額費用無駄の恐れ」

 発症前にPCR検査を受けても感染者の特定が難しいことが明らかになった。感染対策を目的に症状がなくてもPCR検査をすべきだとの声が医療機関などから上がり、検査を広げようとする動きがある。だが、発症前に感染者が「陽性」と判定される割合は少なく、「陰性」でも感染者が紛れ込む可能性も大きく、感染していないことの証明にならない。専門家は「検査をするなら、せめて精度が高まる発症者に行うべきだ」と指摘する。
(略)
 1回当たりの検査費は1万3500~1万8000円。感染症に詳しい大阪大病院の森井大一医師は「発症前にPCR検査をしても、患者を効率よく見つけられない可能性が高い。無駄に終わるかもしれない検査が、税金や保険料で賄われることは問題だ」と指摘する。【渡辺諒、河内敏康】

PCR陰性の感染者から広がった院内感染 精度に限界(2020年6月2日朝日新聞)

 PCR検査で新型コロナウイルス感染は「陰性」と判定された入院患者が実は感染しており、相部屋に移って集団感染につながった。そんな事例が神奈川県で起きた。PCR検査は拡充が求められている一方、精度には限界がある。感染を把握する確実な手段がない中、医療機関は院内感染が起きないよう、対応を模索している。

 救命救急センターを構え、地域医療の中核を担う小田原市立病院(神奈川県)。4月12日、発熱があった患者に医師の判断でPCR検査をした。新型コロナとは違う病気で入院予定だった。結果は陰性。念のために個室に入り、CT検査もしたが肺炎の疑いはみられなかった
 検査から1週間後、患者は他の患者もいる大部屋に移り、数日過ごして退院した。しかし、発熱が続いて再入院すると、PCR検査で陽性と出た。病院は翌日、前回の入院で患者が過ごした大部屋にいた患者や担当の職員を検査。計7人の感染が判明した。

 同様のことは後日、別の大部屋でも起きた。5月2日に新型コロナの感染疑いで入院した患者は、PCR検査で陰性。CT検査も異常はみられなかった。2日後に大部屋に移り、その後、この部屋の患者で発熱が相次いだ。大部屋に移った患者を含め、患者計7人の感染が確認された。
 感染拡大の詳しい経緯はわかっていない。ただ、病院側は、感染しているのに検査で「陰性」と出た偽陰性の患者が、個室から大部屋に移って感染を広げたとみている。
(略)

今も一部メディアなどではとにかくPCRをと言う主張を繰り返しているようですが、PCRに限らず何の検査であれ限界と言うものはあり、それを超えた部分では検査をすることの弊害も出てくるものです。
特にインフルエンザなどにおいても見られることですが、コロナウイルスに関しても感染していないことを証明するために検査をしてくれと言う受容は一定数あり、それを請け負っている医療機関もあるのだそうです。
そもそも論としては非科学的な陰性証明を求める職場などが非常識と言うことなのですが、流行前にたまたま国外に出ていた方々が陰性証明がないと再入国出来ないと言った事例もあると言いますね。
検査の限界を知っていれば陰性証明など無意味だと理解できる話ですし、むしろ危険な免罪符を与えかねないリスクすらある話で、せめて国内においては公的に禁止していただきたいものです。

この点でコロナウイルスの場合、流行の初期段階で感染者の隔離の様子が全国的に日々報じられ、最終的にPCRで陰性を確認すれば隔離解除と言う流れが知れ渡っていることが混乱の原因でもあります。
この場合はあくまでも感染者を対象とした話であり、なおかつ現在では隔離解除に当たっても必ずしもPCRでの確認を行わない場合もあると言うことで、いずれにせよ専門家による判断に基づくものですよね。
なお厚労省としては感染者の場合も治癒証明の類いは出さないし、請求させないと言う通達を出していますが、興味深いのは大学など公式サイトで堂々と治癒証明書を出せと言っている事例も多いことです。
医療現場としては証明書は出さない、職場等から求められた場合は保健所等に相談をと言う病院が増えているようですが、場合によっては出すと言う施設もありで、対応にも迷いがあるようですね。

インフルエンザの場合ですが厚労省の通達もあり、各地の自治体で公立学校での登校再開にあたって治癒証明の要求は止めにしようではないかと言う話は、すでに以前からあったと言います。
興味深いのはこれに反対したのが地域の医師会であったと言う説があることですが、地域の開業医にとっては流行期の証明書発行も立派な手間賃であり、一定の収入源であったと言う側面もあるでしょう。
これに対してコロナの場合はそもそも地域の開業医が扱う状況にはなく、大規模基幹病院に患者が集まっている関係上、いわば医療機関側が強い立場で主張出来るとも言えます。
ただでさえコロナ対応で忙しいのに、厚労省がいらないと言っている治癒証明まで書けるかと言えばそれが通る状況ではあるでしょうが、板挟みになった学生さんなどは困る状況でもありますね。

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2020年6月 7日 (日)

今日のぐり:「牛角 岡山津島店」

先日話題になっていたのがこちらの奇怪な事件です。

「一体なぜ?」走行車のフロントガラスに飛んできた亀が突き刺さる(2020年5月28日テックインサイト)

(略)
米ジョージア州サバンナ在住のラトーニャ・ラークさん(Latonya Lark)が、Facebookに事故の写真を投稿して人々を驚かせた。車のフロントガラスに突き刺さったままの亀が捉えられており、体長約30センチ近くあるその亀は、車めがけて飛んで来たそうだ。

事故が起きたのは今月12日正午過ぎのことで、ラトーニャさんと兄弟のケヴィン・グラントさん(Kevin Grant)は地元付近のハリー・S・トルーマン・パークウェイを車で走行中だった。運転していたラトーニャさんの目に塊のようなものが飛んで来るのが見えたためすぐに減速し、ケヴィンさんに「レンガが飛んで来る!」と叫んだという。
その叫びとほぼ同時に、フロントガラスに大きな衝撃があった。ラトーニャさんは車を安全な場所へと停車させてフロントガラスを確認したところ、激突したのはレンガではなく亀だったことが判明した。この亀はケヴィンさんが座っていた助手席前のフロントガラスに身体半分が突き刺さった状態だった。
(略)
2人はその後、警察に通報してチャタム郡警察が対応することとなった。警察官は「フロントガラスがもう少し薄くて、亀が飛んでくる瞬間に減速していなかったら、悲惨な状態になっていた」と非常に危険な状態にあったことを伝えたそうだ。車はフロントガラスの破損がひどかったこともあり、牽引して移動しなければならなかったという。
飛んできた亀はまだ息があったため警察官に毛布で包まれて、怪我の治療のため地元の救急動物医療センター「サバンナ・アニマル・ケア」へと連れて行かれた。

ラトーニャさんは今回、車を破損させた亀について次のように語っている。
「亀を訴えることはできないし、弁護士だって頼めないわけだから結局、車の修理代は自腹ってことになってしまったの。もう身震いしちゃうわ。」
そして車の修理を済ませたラトーニャさんは今月21日、Facebookに今回の事故のことを綴った。しかし多くの人が亀がどこから来たのか頭を悩ませたようで、「一体どうして?」「なんてクレイジーな」といった声が見受けられた。ラトーニャさん自身は今回の出来事について、前方を走行していた車が路上にいた亀をはね飛ばし、それがフロントガラスに飛んで来たのではないかと憶測している。

フロントガラスに様々なものが当たることは珍しいことではありませんが、カメが突き刺さると言うのは前代未聞ですよね。
今回はカメの身に大事なかったことを願って、世界中からいったい何故?と思わず感じてしまう奇妙なニュースを紹介してみましょう。

個室与え、不動産の勉強させる 女子中学生誘拐で容疑者(2019年11月27日朝日新聞)

 ツイッターで知り合った兵庫県の中学生の少女を誘拐したとして、埼玉県警は27日、不動産業の阪上裕明容疑者(37)=埼玉県本庄市=を未成年者誘拐の疑いで逮捕し、発表した。少女は別の中学生の少女とともに阪上容疑者が管理する借家で過ごし、個室や勉強机を用意されて不動産などの勉強をしていたという。阪上容疑者は「自分の会社の従業員にしたかった」と話しているという。

 浦和署によると、行方不明のさいたま市の少女を捜す中、本庄市の借家を先月29日に捜索して2人を発見。翌日、さいたま市の少女を9月17日から1カ月余り誘拐した容疑で阪上容疑者を逮捕した。今回の容疑は8月28日~10月29日に兵庫県の少女を誘拐したというもの。阪上容疑者は家出を望む少女にツイッターで「埼玉においで。勉強するなら養ってあげる」などと書いて誘っていた。少女2人には「私は大丈夫」という趣旨の親宛ての手紙も書かせていたという。

世間的にも話題になった事件ですが、報道によれば坂上容疑者は手広く従業員を募集していたそうです。
不幸にして夫婦関係がこじれることはままあることですが、こちら独創的な解決方法を提示した夫のニュースです。

いつの時代の話? 前妻と日本刀で決闘裁判すると裁判所に申請(2020年01月16日スプートニク)

米カンザス州のデイビット・オストロム氏は、日本刀で決闘裁判を行いたいとアイオワ州裁判所に申請した。同氏は前妻とその弁護士ハドソン氏の間で法的紛争を繰り広げているが、日本刀で決着をつけた方が早いとの結論を出したようだ。英ガーディアン紙が報じた。
デイビット氏によると、米国で決闘裁判は「法的に禁止、制限はされていない」と述べている。

アイオワ州の地元紙「デモイン・レジスター」によると、同氏はニューヨーク最高裁判所のミナルド判事が決闘は廃止されていないと認めた2016年の裁判を思い出し、今回のアイデアが浮かんだという。デイビット氏は、裁判所に日本刀を入手するためとして3か月の調達期間を求めている。
これに対しハドソン弁護士は、もし決闘を行えば、一方、あるいは双方が死に至る可能性が大きいことから決闘裁判の実施を止めるように求めている。

デイビット氏は親権、財産税を巡る法的紛争に巻き込まれている。同氏はデモイン・レジスター紙に対し、決闘を申し立てたのはハドソン弁護士に対するフラストレーションによるものと説明した。
アイオワ州裁判所はこの件に対し、この申請に異常性があることと適切な裁判所手続きがなされていないことから、決闘の申請を受理しないと発表した。

拳銃であればどうだったのか等々興味は尽きませんが、それにしても何故日本刀でと言う疑問は残りますね。
飲酒歴を隠そうとする人は一定数いるようですが、こちらアメリカで奇妙な事例が報じられています。

一切飲酒しない女性の尿からアルコールが検出「尿自動醸造症候群」と判明(2020年2月27日テックインサイト)

肝臓移植手術を希望しつつも、検査のたびに尿からアルコールが検出されるため、移植者リストに載ることができずにいた女性。女性本人は飲酒は一切していないと主張しており、病院で詳しい検査を行ったところ、女性の膀胱内でアルコールが生成されていたことが判明した。『Metro』『NorthJersey.com』『USA Today』などが伝えている。

米ペンシルベニア州にあるピッツバーグ大学医療センターで61歳の女性を診断したところ、「自動醸造症候群(Auto-Brewery Syndrome)」の症状があることが分かった。飲酒をしていないにもかかわらず、体内の消化器系、器官内などでアルコールが生成され、血中のアルコール濃度が高くなり、場合によっては酩酊のような症状が見られ意識障害をきたすこともあるという。
この女性の場合は、膀胱内でアルコールが生成されていることが判明した初の症例だという。『Metro』によると、この女性は糖尿病を患っているものの適切な治療を受けていないため、尿にはたくさんの糖が含まれていたそうだ。そして膀胱内で自然に生成される酵母(常在真菌の一種であるカンジダ・グラブラータと特定)が尿に含まれる糖を発酵させ、アルコール成分を作り出してしまうのだ。
ビールメーカーがビールを作る過程とほぼ同じことが女性の体内で起こっており、彼女の場合は膀胱内のアルコールが血液に流れることがないため、血中からアルコールが検出されることはなかった。

ピッツバーグ大学医学部病理学の准教授、玉真健一氏(Kenichi Tamama)によると、女性は肝硬変を患っていたため肝臓移植を要望していたそうだ。しかし一滴足りとも飲酒していないにもかかわらず、検査のたびに尿からアルコールが検出されるため、移植リストに名前を載せてもらうことができずにいた。さらに女性はアルコール依存症の治療を勧められたこともあったという。
今回、発見された症例はまだ正式な病名がないため、玉真氏と医療チームによって「尿自動醸造症候群(urinary auto-brewery syndrome)」または「膀胱発酵症候群(bladder fermentation syndrome)」と呼ばれている。
(略)

いずれにせよ重度糖尿病があるなら先にそちらの治療が必要かと思うのですが、何とも不可思議な現象ですね。
最後に取り上げるのはこちらのニュースですが、日本でも起こる可能性がある事件と言えるでしょうか。

郵便局で「マスクは義務」と言われた女性、下着を脱いで頭に被る(2020年5月29日テックインサイト)

公共の場での着用が義務化されたのに、出先でマスクを忘れてしまったらいったいどうするだろうか。ウクライナに住むある女性が、郵便局でとった大胆すぎる行動が物議を醸している。『Metro』『LADbible』などが伝えた。

ウクライナの首都キエフにある「ノヴァ・ポシャ(Nova Posha)郵便局」で今月24日、マスクをしていなかったことからカウンターでのサービスを断られた女性がとんでもない行動に出た。4月からロックダウンが始まったウクライナでは、公共の場でのマスクの着用と身分証明書の携帯が義務付けられていたが、女性はマスクなしで入店していた。
この時の女性の様子は郵便局の防犯カメラが捉えており、局員の1人がSNSに投稿したことで拡散した。

動画では、問題の女性の両側にマスクをした別の客が立っているのが見て取れる。女性はカウンターにいる局員にサービスを断られたようで、後ろを振り向くと店外で社会的距離を保って待っている他の客に手を振っている。
そして再びカウンターに目をやった女性は突然、その場でレギンスを脱ぎ始めたのだった。隣に立っていた男性はその様子を横目でチラチラと見ているが、女性は全く気にする様子もなくついには下着まで脱いでしまった。
その後、白い下着を頭にすっぽりと被せた女性は口元が隠れるようにその位置を調整すると、脱ぎ捨てたレギンスの裏表をひっくり返して身に着けた。
女性は長めのコートを着ていたため臀部が露わになることはなかったが、目の前に立っていた局員は女性を直視することを止めて一旦席を外している。

地元メディアによるとこの女性は2児の母だそうで、同郵便局は「局員の1人がこの映像をSNSに投稿したことで、動画が拡散してしまった。この局員には何らかの処分を検討中である」と明かしている。
ちなみにこのニュースには「下着をマスクの代わりすることは禁止されてはいないよね?」「こんな勇気はないね」「出直せばいいことなのに」「みんな見て見ぬふりをしているところが面白い」「こんな女性を母親に持つ子供がかわいそう」「ショッキングすぎる」「あり得ない」「大胆過ぎる」といったコメントがあがっている。
なお米フロリダ州でも今月、マスクの代わりに下着を被りショッピングに出かけた女性が物議を醸していた。

日本でも様々な素材がマスクに転用されているそうですが、さすがに使用中のものからの転用はないかと思われます。
助成がこの処置で無事サービスを受けられたのかどうかは不明ですが、何にしろ感染防御対策には引き続きご用心いただきたいものです。

今日のぐり:「牛角 岡山津島店」

岡山市街地の郊外幹線道路沿いにあって、こちら食べ物屋などが集まるなかなか賑やかな一角にある焼き肉のチェーン店ですね。
お隣の鍋料理屋と同じ建物に同居している格好ですが、運営している会社が同じなのだそうで、お好きな方へと言うことでしょうか。

今回は食べ放題コースで適当に頼んでみたのですが、肉自体は値段相応と言うのでしょうか、特に感銘を受けるようなものではありません。
さすがに一昔前の安い食べ放題焼き肉のように、何の肉かわからないような奇妙な味と言うほどではなく、まあこんなものかですよね。
強いて言えば盛り付けは小綺麗でいいのですが、食べ放題に求められるサービスのポイントとのはそこではないとも感じるでしょうか。
なお食べ放題以外のメニューを見ていますと、牛角カルビ専用ご飯専用カルビと言う何それ系メニューが目についたのですが、気になった人は多いようです。


ずいぶんと以前に同じ系列で他の店舗にお邪魔したことがあって、その時は食べ放題ではなく比較的普通の焼き肉だった印象があります。
今回も食べ放題でなければもう少し味の印象も違っていた可能性はありますが、最後にもれなくつくシューアイスが意外ときついのが一番印象的でした。
広い店内だけにトイレへの道のりが細く長くわかりにくいのと、通路がやたらと狭いのが印象的でしたが、接遇面は標準的でしょうか。

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2020年6月 1日 (月)

早くも語られ始めたコロナ後の医療危機

先日はコロナ診療に従事する医療関係者に感謝するためブルーインパルスが飛んだそうですが、その医療界隈では早くもコロナ後の医療のありようが危機感を持って語られています。

地域医療は「6月危機」 院内感染を警戒し外来離れ、減収続出(2020年5月29日産経新聞)

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、病院や診療所が経営悪化に直面している。患者受け入れに伴う感染防止対策の費用負担のほか、院内感染を警戒した外来患者が受診をためらう状況が続き、減収に陥るケースが各地で続出。流行の第2波、第3波が危惧される中、閉院を検討する医療機関も出てきており、地域医療は「6月危機」の試練にさらされている。

 「感染患者、疑い患者を受け入れているか否かにかかわらず、圧倒的に多くの医療機関で患者減、収入減が起きている。資金破綻するか、借金漬けになるかという重大な局面にある」
 約1770の病院や診療所などが加盟する「全日本民主医療機関連合会」の山本淑子(よしこ)事務局次長は28日、厚生労働省内で開いた会見で危機感をあらわにした。加盟事業所が所属する医科法人を対象にした3、4月の実績調査(111法人集計分)では6割強が「経営へのマイナス影響が深刻」と回答約半数は影響が長引けば「上半期のうちに資金破綻する」と答えた。
 ある病院では一般病棟の一部を感染患者らの受け入れ専用に転換。個室対応が必要でベッド数は33床減ったが、実際に入院したのは4人だった。感染防護具の費用負担や、感染防止対策で確保した職員用アパートの借り上げ代なども加味すると、合計1億円を超える減収となったという。
 感染拡大で各種健康診断がストップしたことの影響も甚大で、「健診事業が中心なため、4月収益は前年同月比で75%減。5月に至っては収益ゼロの見込み」との報告もあったという。調査では6割を超える法人が、緊急融資を実施もしくは予定していた。

 診療所にも逆風が吹く。
 「一般患者との動線を分けることはできず、感染患者を受け入れるのは困難な状況だ」。よしだ内科クリニック(東京都練馬区)の吉田章院長は新型コロナ対応の限界をこう訴える。
 都内で感染患者が増え始めた3~4月ごろから、一般の外来患者が減少。感染リスクを避ける心理が働いているとみられるが、高齢患者らの体調の変化を見逃さないかと不安が募る。
 手術などが必要な患者らを紹介してきた周辺の病院が集団感染に見舞われ、外来を休止させる事態も発生。地域医療の現場は綱渡りの日々が続いている。
 医科と歯科の開業医約6割が加入する「全国保険医団体連合会」が4~5月に行った調査(約3600件集計分)では、前年4月比で医科・歯科ともに8割超が「外来患者が減った」と回答。「保険診療収入が減った」も各8割台で、減少幅30%以上が4分の1を占めた。自由記載では「治療が必要な患者も来ない」「赤字が長期化すると人件費も重くのしかかる」などと悲痛な叫びが並んだ。

 減収が深刻だった4月分の診療報酬は6月の収入に反映されるため、目先の経営上の不安が渦巻く。
 厚労省は医療機関への当面の資金繰り対策として、6月下旬に5月分の診療報酬の一部も前払いで受け取れる特例措置を公表。だが、後から実際の額に基づき精算する必要があり、医療機関側からは「前払いはあくまで一時的な措置で7月には返済が必要。これではとても対応できない」との声が漏れる。
 全国保険医団体連合会の住江(すみえ)憲勇(けんゆう)会長は「地域医療は病院・診療所の連携、役割分担で営まれている。個別の医療機関が立ち行かなくなれば地域の医療提供体制にも影響する」と説明。「当面の減収分の公的補填など緊急の助成が必要」と訴えている。
(略)

この医療機関の減収問題、医療機関側による受診の制限や不要不急の処置の延期、キャンセルなどに加え、院内での感染リスクを懸念した患者側による自発的な受診の抑制も起こっていると言います。
医師に対する調査では過半数が患者が減っていると答えていて、特に小児科などは壊滅的と言うほど患者が減っているそうですが、当然それに応じて収入は大幅に減っているはずですよね。
これに対して支出は感染防御対策など今までよりも圧倒的にかかるのですが、この種の感染防御対策に関してはいつまで続ける必要があるのか何とも言えず、今後も止めるに止められない状況が続くと予想されます。
この結果として早くも経営体力の弱い地域の中小医療機関が早晩廃業せざるを得ないと言い始めているそうですが、その限界が早ければ6月に訪れるだろうと考えられていると言うことですね。

無論こうした結果として今後の地域医療のあり方が大きく変わり、場合によっては立ちゆかなくなる可能性もあると言うことは重大事ですが、本当のコロナ後の医療危機とはもう少し違ったものであるのかも知れません。
例えば開業医などは診療報酬体系上初診再診料で収入の多くを得ていて、多忙な勤務医が3ヶ月分も処方することがあるのに対して2週間毎の受診なども珍しくありません。
今回のコロナ騒動で開業医もやむなく長期処方するケースが増えていると思いますが、患者からすれば長期処方でも別に問題ないじゃないかと気づかされた格好ですよね。
今後コロナが落ち着いた後も前のように頻回受診をしてくれるものかどうか、場合によっては常連固定客からの収益がそれこそ何分の一に激減する可能性もありそうです。

それ以上に今回の騒動で不要不急の処置がキャンセル、延期されるケースが目立ちますが、どこの病院でも手術や検査の件数が大幅に減っているのは事実として、これが不急だっただけなのか不要だったのかです。
単に不急の検査や手術が先送りされただけであれば、コロナ騒動が落ち着いた後でたまった分を一気にこなさなければならないはずですが、案外このまま件数が減ったままで終わってしまう可能性もありそうに思います。
逆に言えばそれだけ不要の検査などが多かったと言う証明になりますが、この点に関しては出来高制の診療報酬体系に基づき、医療自体が医療需要を喚起し仕事を増やしていたと立証されてしまう形ですよね。

医療現場でも議論されている働き方改革の視点で見れば、不要な医療が激減すれば残業も減り医療関係者の心身の健康も保たれやすい理屈で、労働者としては仕事が減るのは歓迎な側面もあります。
ただ元々利益率の低い医療機関としては収入減少に対応出来ず、結果的にスタッフの大量解雇や経営破綻に至ってしまうともなれば、被雇用者の立場からは全く歓迎できる話ではないとも言えますね。
理想的にはこの機会に診療報酬体系の抜本的な見直し議論を平行して進め、従来の薄利多売を強いられる制度から脱却できればいいのでしょうが、今のところこの種の議論が成されているようではありません。
このコロナ騒動明けに医療需要がどの程度まで増えるものなのか現時点でははっきりしませんが、恒久的に従来よりも減少した状態が続くとなれば、嫌でも医療現場の有り様は変わらざるを得ないように思います。

 

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