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2020年6月 1日 (月)

早くも語られ始めたコロナ後の医療危機

先日はコロナ診療に従事する医療関係者に感謝するためブルーインパルスが飛んだそうですが、その医療界隈では早くもコロナ後の医療のありようが危機感を持って語られています。

地域医療は「6月危機」 院内感染を警戒し外来離れ、減収続出(2020年5月29日産経新聞)

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、病院や診療所が経営悪化に直面している。患者受け入れに伴う感染防止対策の費用負担のほか、院内感染を警戒した外来患者が受診をためらう状況が続き、減収に陥るケースが各地で続出。流行の第2波、第3波が危惧される中、閉院を検討する医療機関も出てきており、地域医療は「6月危機」の試練にさらされている。

 「感染患者、疑い患者を受け入れているか否かにかかわらず、圧倒的に多くの医療機関で患者減、収入減が起きている。資金破綻するか、借金漬けになるかという重大な局面にある」
 約1770の病院や診療所などが加盟する「全日本民主医療機関連合会」の山本淑子(よしこ)事務局次長は28日、厚生労働省内で開いた会見で危機感をあらわにした。加盟事業所が所属する医科法人を対象にした3、4月の実績調査(111法人集計分)では6割強が「経営へのマイナス影響が深刻」と回答約半数は影響が長引けば「上半期のうちに資金破綻する」と答えた。
 ある病院では一般病棟の一部を感染患者らの受け入れ専用に転換。個室対応が必要でベッド数は33床減ったが、実際に入院したのは4人だった。感染防護具の費用負担や、感染防止対策で確保した職員用アパートの借り上げ代なども加味すると、合計1億円を超える減収となったという。
 感染拡大で各種健康診断がストップしたことの影響も甚大で、「健診事業が中心なため、4月収益は前年同月比で75%減。5月に至っては収益ゼロの見込み」との報告もあったという。調査では6割を超える法人が、緊急融資を実施もしくは予定していた。

 診療所にも逆風が吹く。
 「一般患者との動線を分けることはできず、感染患者を受け入れるのは困難な状況だ」。よしだ内科クリニック(東京都練馬区)の吉田章院長は新型コロナ対応の限界をこう訴える。
 都内で感染患者が増え始めた3~4月ごろから、一般の外来患者が減少。感染リスクを避ける心理が働いているとみられるが、高齢患者らの体調の変化を見逃さないかと不安が募る。
 手術などが必要な患者らを紹介してきた周辺の病院が集団感染に見舞われ、外来を休止させる事態も発生。地域医療の現場は綱渡りの日々が続いている。
 医科と歯科の開業医約6割が加入する「全国保険医団体連合会」が4~5月に行った調査(約3600件集計分)では、前年4月比で医科・歯科ともに8割超が「外来患者が減った」と回答。「保険診療収入が減った」も各8割台で、減少幅30%以上が4分の1を占めた。自由記載では「治療が必要な患者も来ない」「赤字が長期化すると人件費も重くのしかかる」などと悲痛な叫びが並んだ。

 減収が深刻だった4月分の診療報酬は6月の収入に反映されるため、目先の経営上の不安が渦巻く。
 厚労省は医療機関への当面の資金繰り対策として、6月下旬に5月分の診療報酬の一部も前払いで受け取れる特例措置を公表。だが、後から実際の額に基づき精算する必要があり、医療機関側からは「前払いはあくまで一時的な措置で7月には返済が必要。これではとても対応できない」との声が漏れる。
 全国保険医団体連合会の住江(すみえ)憲勇(けんゆう)会長は「地域医療は病院・診療所の連携、役割分担で営まれている。個別の医療機関が立ち行かなくなれば地域の医療提供体制にも影響する」と説明。「当面の減収分の公的補填など緊急の助成が必要」と訴えている。
(略)

この医療機関の減収問題、医療機関側による受診の制限や不要不急の処置の延期、キャンセルなどに加え、院内での感染リスクを懸念した患者側による自発的な受診の抑制も起こっていると言います。
医師に対する調査では過半数が患者が減っていると答えていて、特に小児科などは壊滅的と言うほど患者が減っているそうですが、当然それに応じて収入は大幅に減っているはずですよね。
これに対して支出は感染防御対策など今までよりも圧倒的にかかるのですが、この種の感染防御対策に関してはいつまで続ける必要があるのか何とも言えず、今後も止めるに止められない状況が続くと予想されます。
この結果として早くも経営体力の弱い地域の中小医療機関が早晩廃業せざるを得ないと言い始めているそうですが、その限界が早ければ6月に訪れるだろうと考えられていると言うことですね。

無論こうした結果として今後の地域医療のあり方が大きく変わり、場合によっては立ちゆかなくなる可能性もあると言うことは重大事ですが、本当のコロナ後の医療危機とはもう少し違ったものであるのかも知れません。
例えば開業医などは診療報酬体系上初診再診料で収入の多くを得ていて、多忙な勤務医が3ヶ月分も処方することがあるのに対して2週間毎の受診なども珍しくありません。
今回のコロナ騒動で開業医もやむなく長期処方するケースが増えていると思いますが、患者からすれば長期処方でも別に問題ないじゃないかと気づかされた格好ですよね。
今後コロナが落ち着いた後も前のように頻回受診をしてくれるものかどうか、場合によっては常連固定客からの収益がそれこそ何分の一に激減する可能性もありそうです。

それ以上に今回の騒動で不要不急の処置がキャンセル、延期されるケースが目立ちますが、どこの病院でも手術や検査の件数が大幅に減っているのは事実として、これが不急だっただけなのか不要だったのかです。
単に不急の検査や手術が先送りされただけであれば、コロナ騒動が落ち着いた後でたまった分を一気にこなさなければならないはずですが、案外このまま件数が減ったままで終わってしまう可能性もありそうに思います。
逆に言えばそれだけ不要の検査などが多かったと言う証明になりますが、この点に関しては出来高制の診療報酬体系に基づき、医療自体が医療需要を喚起し仕事を増やしていたと立証されてしまう形ですよね。

医療現場でも議論されている働き方改革の視点で見れば、不要な医療が激減すれば残業も減り医療関係者の心身の健康も保たれやすい理屈で、労働者としては仕事が減るのは歓迎な側面もあります。
ただ元々利益率の低い医療機関としては収入減少に対応出来ず、結果的にスタッフの大量解雇や経営破綻に至ってしまうともなれば、被雇用者の立場からは全く歓迎できる話ではないとも言えますね。
理想的にはこの機会に診療報酬体系の抜本的な見直し議論を平行して進め、従来の薄利多売を強いられる制度から脱却できればいいのでしょうが、今のところこの種の議論が成されているようではありません。
このコロナ騒動明けに医療需要がどの程度まで増えるものなのか現時点でははっきりしませんが、恒久的に従来よりも減少した状態が続くとなれば、嫌でも医療現場の有り様は変わらざるを得ないように思います。

 

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