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2020年3月16日 (月)

疲れていればミスも増える、何の不思議もない話です

極めて当たり前と言えば当たり前の話なのですが、先日こんなレポートが出ていたことを紹介してみましょう。

研修1年目の勤務時間制限で医師の安全性を改善(2020年3月13日専門誌ピックアップ)

 米国で2002-07年または2014-17年の1年目研修医1万5276人を対象に、研修1年目の連続勤務時間を16時間に制限する2011年米国卒後医学教育認定評議会(ACGME)勤務時間規定による医師の安全性向上効果を前向きコホート研究で検討した。

 その結果、規定施行後に1カ月当たり24時間以上のシフト勤務の平均回数は施行前の3.9回から0.2回に低下した。自動車事故リスクは24%(相対リスク0.76)、経皮的損傷リスクは40%(同0.54)、注意力散漫の発生率は18%(発生率比 0.82)低下した。シフト勤務時間延長および週当たりの勤務時間延長は、2002-07年群と2014-17年群ともに有害安全性リスクと関連を示した。

どのような職業であれ16時間以上の連続勤務を強いられれば集中力も落ち、ミスも頻発するだろうとは容易に想像出来ますが、医師の場合その結果が問題です。
患者とすれば疲れ果ててふらふらの医師に自分の命を預けたくないだろうし、ましてミスが増えると判っていればなおさらで、頼むからしっかり休んでくれでしょう。
無論ごく一部のモンスターと言われる患者や家族のように、24時間365日いつでも医師は働いていて当たり前と言う心得違いをしている方々もいないではありません。
ただ特に日本の場合、ともすれば同業の先輩であるベテラン医師を中心に、若いうちは疲れ果てるほど働いて当然と言う考えが未だに蔓延して見えるのが問題です。

例えばスポーツの世界では、かつてはスポ根と言う言葉もあったように、ひたすら厳しいトレーニングを精神力でこなすことが良い成績をあげる道だと信じられていました。
無論スポーツも科学的に解析された結果、間違った方法や過度に過酷なトレーニングは成績を引き上げるどころか成長を阻害し、故障のリスクを高めるだけと判っています。
今時試合に負けたらウサギ跳びでグラウンド10周などと言うコーチもいないでしょうし、仮にいたとしても誰の支持も得らず指導者を続けられないだろうと思います。
ところが医療業界ではそれに類することを、未だに医療は特殊だから、自分たちがそうだったからと、後進に強いようとする先達が生き残っていると言うことですね。

医療の世界も久しく以前からエビデンスを重視する科学として発展している以上、若いうちの激務を推奨する人々はそれが何故優れているか根拠を示す必要があります。
現実的にはその真逆のエヴィデンスが数多いと言えますが、必死に新しいことを覚えようと頭が混乱しているのに、体まで疲弊していて学習効率が高まるはずがありません。
そんな当たり前のことが当たり前に通用しないのは、医療の場合若い先生方を研修の名の下にただ同然でこき使うことで成立している部分が少なからずあるからでしょう。
今後医療の世界も働き方改革を進めていかなければならないところですが、一部の人々の犠牲を前提にしなければ成り立たない医療はそろそろ終わらせるべきでしょう。

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