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2020年2月 3日 (月)

日医は医師労働時間の厳密な管理に反対と主張

医師の働き方改革に関連して、日医がまたしても頑強な抵抗をしていると報じられていました。

過半数の病院が「労働時間の通算に反対」と回答(2020年1月31日日経メディカル)

 日本医師会は1月29日の記者会見で、2019年12月に実施した「医師の副業・兼業と地域医療に関する日本医師会緊急調査」の結果を発表した。回答した病院の過半数が、複数の医療機関に勤務する医師の労働時間を通算することに反対の姿勢を示していることが明らかになった。

 労働者全般の副業・兼業に関する労働時間の取り扱いについては厚生労働省の労働政策審議会で議論されており、複数の勤務先での労働時間を通算することなどが検討されている。これを受け、日医は医師の副業・兼業の現状を把握し、労働時間が通算された場合の地域医療と病院経営への影響を検討すべく、全国の病院と都道府県医師会を対象に調査を実施。病院8343施設のうち、3713施設が回答した(回答率44.5%)。
(略)
 調査の結果、複数医療機関に勤務する医師の労働時間を通算することに関して、B水準に相当する医療機関2132施設のうち28.0%が「反対」、23.8%が「どちらかといえば反対」と回答した(図1)。自由意見の中には、「医師の労働時間が複数の医療機関で通算されると、非常勤医師の確保が困難になり、地方の病院では経営が困難になる可能性もある。また、二次救急における輪番体制も維持できなくなるのではないか」など、地域医療が医師の副業・兼業により成り立っており、労働時間の通算により地域医療の崩壊を懸念する声が多く上がった

 同様に、C水準に相当する医育機関55施設と都道府県医師会においても「反対」「どちらかといえば反対」が過半数を占めていることが分かった。

 調査では、もし複数の医療機関に勤務する医師の労働時間が通算された場合、地域の医療体制、医療機関経営に影響を及ぼすと考えられる項目を聞いたところ、病院、都道府県医師会ともに「宿日直体制が維持困難」と「派遣医師の引き揚げ」の回答が上位を占めた。

 調査結果を公表した日医常任理事の松本吉郎氏は「医師は副業・兼業が当たり前の業種であり、一般職種での副業・兼業のあり方を医師にも適用した場合、地域医療が崩壊しかねない」とし、労働時間管理により医療機関における事務負担の増加を懸念する声も多く寄せられたことから「複数の医療機関に勤務する医師の労働時間については医療機関が厳密に管理するのではなく、自己申告制がよいのではないか」との見解を示した。

■都道府県医師会の97.9%「維持困難」、副業・兼業の通算で(2020年1月30日医療維新)

 日本医師会常任理事の松本吉郎氏は、1月29日の定例記者会見で、2019年12月に実施した「医師の副業・兼業と地域医療に関する緊急調査」について、新たに医育機関(大学病院・大学附属病院)と都道府県医師会への調査結果を加えた全容を公表した。いずれも6割以上が副業・兼業の労働時間への通算に反対、都道府県医師会の97.9%が、「宿日直体制が維持困難」との懸念を示していた。
(略)
 労働時間が通算された場合の影響について、医育機関で最も高かったのは、「派遣医師の引き揚げ」と「宿日直維持の困難」でいずれも78.2%。「病院の経営が悪化する」(63.6%)、「病院勤務医の減少につながる」(58.2%)──が続いた(複数回答)。自由意見欄では、「副業・兼業は医師確保ばかりか、大学病院などでの給与の抑制による経営にも重要なこと」、「地域医療の支援、医師の待遇確保の観点からやむを得ない」などの声があった。
 一方、都道府県医師会は、97.9%が「宿日直体制が維持困難」と回答。「派遣医師の引き揚げ」(89.4%)、「病院の経営が悪化する」(78.7%)、「救急医療からの撤退」(74.5%)──が続いた(複数回答)。
 自由意見欄では、「大学病院や基幹病院の勤務医による支援がなければ、地域医療は崩壊する」、「派遣医師を引き揚げた後、その医師の給与を大学や基幹病院で賄えるのか」、「拙速かつ厳格に法的基準を定めていくことには賛同できない」など、現状のまま通算することに懸念を示す声があがった。

 松本氏は緊急調査の結果を受け、「制度を変えた場合の影響が多岐にわたり、何が起こるか予測が困難。宿日直の兼業で現在の医療体制が成り立っていることが切々と訴えられている」とし、「医師が一般労働者と同じ扱いで良いのか、単純に当てはめることで混乱が生じる危険があり、議論が必要だ」と訴えた。
 日医は医師の働き方に関して、一般労働者と同一の働き方が当てはまるかを現行法に基づく考え方を超えて幅広く議論するため、検討会を設置。3月を目途に意見をまとめる方針。
(略)

議論の前提として医師の労働時間をまずきちんと把握しようと言う大原則を前に、こういう声が出てくること自体が理解困難ですが、調査の対象が誰なのかが問題です。
日医などは医師を働かせる側の方々を代弁する組織ですし、調査対象も病院など雇用者側ですから、、こうした声が上がってくることは想定内としか言いようがありません。
当事者である兼業医師の側にたずねてみればまた別の答えも出てくるだろうと思うのですが、しかし相変わらず日医にとって世間の常識は医師の非常識なのですね(苦笑)。

厚労省としてはかねて医療リソースの集約化を計りたい意向で、先日も統廃合を考えるべき全国数多の病院を実名で公表し話題になっていたのは記憶に新しいところです。
派遣医師が回ってこなければ宿日直体制維持が困難な病院など統廃合の対象と言いたいのが本年でしょうが、この点で法的な制約があることは留意すべきでしょう。
病院であれば当直医が必要と言う医療法のルールは、救急などとらない中小病院にも過剰なリソースの維持を求めるもので、労基法違反を誘発する大きな原因と言えます。

この点で興味深いのが平成30年に医療法が一部改正されたのですが、当直医に関しては従来よりさらに厳密な体制を求めるよう、厳しくなる方向で改められたことです。
今後地域医療計画に基づいて病院の役割分担が明確化されていけば、現実的に時間外救急をとる病院、とらない病院もはっきり区分けされていくだろうと思われます。
その時点で当直医は置かずとも待機で十分と言う施設もあるはずで、その辺りの要件を緩めて医師の拘束時間を減らさなければ労基法違反解消など出来そうもありませんね。
日医なども医師の労働時間把握など自己申告で適当に、などといい加減なことを言っている場合ではなく、どうすれば労働時間を減らせるか考えを出すべきはずですがね。

 

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コメント

労基法違反で刑事事件となる先例が一つでも出れば医療界は変わるだろうにな、という持論はなかなか広まらないです。

投稿: お弟子 | 2020年2月 5日 (水) 08時21分

労基法違反で送検される事例の中でも労働時間違反は増えているそうで、医師の労働時間が正しく把握されるようになるだけでも送検件数が急増しそうな勢いです。
無論B水準1860時間の特例はこうしたブラック病院には認められないこととなっていますので、当事者としてまずは残業時間をきちんと申告することからでしょうか。

投稿: 管理人nobu | 2020年2月 6日 (木) 08時36分

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