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2020年1月 6日 (月)

高齢者の医療費負担増加はまだまだ序の口か

後期高齢者の医療費窓口負担がいよいよ2割に引き上げられそうだと言う話ですが、未だに対象者に関してきわめて限定的な条件をつけるべきだとか様々な反対意見があるようです。
個人的には単に窓口負担割合を変えるのではなく、年代に応じた医療給付の差別化こそ必要かと思っているのですが、後期高齢者に限らず医療費削減策が打ち出されることについて記事が多く出ています。

医療費改革で75歳超の薬代大幅アップ 湿布80倍、ビタミン剤76倍(2019年12月31日マネーポストWEB)

 政府は医療費を抑えるための制度改革を次々と打ち出そうとしている。その第一弾として、政府は2020年6月に自営業者や退職後の元サラリーマン(75歳未満)が加入する国民健康保険の保険料を値上げする方針だ。そして、第二弾として準備しているのが、75歳以上の窓口負担を現行の1割から2割に引き上げる案だ。
 この保険料値上げ、窓口負担増に続く医療費改革が「薬代」の大幅アップだ。これはすべての世代に影響が及ぶ。

 現行制度では、風邪を引いて病院にかかり、処方箋を書いてもらえば薬代にも保険が適用され、69歳以下は原則として薬価の3割、75歳以上は1割の負担となり、市販薬よりはるかに安く入手できる。どうしても薬の使用量が多くなる高齢者の強い味方だった。
 しかし、「全世代型社会保障検討会議」では、ドラッグストアなどで購入できる市販薬と同じような効果の「市販品類似薬」を医療保険の対象から外し、全額自己負担で買わせることを検討している。
 保険対象外となる薬の候補は、風邪薬(漢方の感冒薬)や花粉症治療薬、湿布薬、ビタミン剤、皮膚炎や乾燥肌などの痒みを取る皮膚保湿剤などが挙げられている。

 この改革による薬代の負担増は想像以上に大きい。財務省は財政制度等審議会に提出した資料で医療用医薬品(保険薬)と同じ成分・分量の市販薬(OTC医薬品)の価格を比較している。
 その資料をもとに作成した図を見ると、「全額自己負担」が現実のものとなった際に、どれだけ出費が増えるかに驚かされる。
 湿布1袋の医療保険の薬価は320円で、窓口負担1割となる75歳以上の人は「32円」で購入できる。それに対して同成分の市販薬のメーカー希望小売価格は2551円なのだ。
 腰痛や関節炎でつらい思いをして病院で医療用(保険薬)の「湿布」の処方を受けていた75歳以上の人が、湿布が保険の適用除外になって、ドラッグストアで買わなければいけなくなると、支払う薬代は一気に約80倍にハネ上がる計算である。
 同様に計算していくと「ビタミン剤」の薬代は約76倍、「漢方薬(感冒薬)」は約46倍、「皮膚保湿剤」は約22倍に負担が膨れあがることがわかる。

 年金生活の高齢者にとって風邪を引いても高くて薬が買えないという状況に直面しかねない。医師の間にも、「市販品類似薬」の保険適用を除外すれば、高齢者の薬の買い控えが起き、病状を悪化させてかえって医療費の増加を招くと懸念する声が上がっている。
 医療改革は保険料、窓口負担、薬代アップという家計へのトリプルダメージになる。

この場合医療費の公費負担削減に加えて、そもそも不要不急の受診を抑制することも狙っていることは明白ですが、確かに湿布やビタミン剤が本当に医学的に必要な人がどれほどいるのかとも思います。
世の中には自分が何か大病にでもかかっているのではないかと不安を訴え続ける患者なども一定数いて、安いビタミン剤で納得してくれるならかえって医療費が安くつくと言った意見もあるようですがどうなのでしょうね。
いずれにせよこうした改革で患者の受診行動も変化すれば、結果的に医療費がどうなるのか、国民の健康上の影響はどうなのかと言った検証も同時並行で必要となるはずで、今後の経過を見たいところです。
他方では医療費削減と言う点ではより影響が大きそうなのが高額な医療費を要する入院医療ですが、こちらも医療政策によりようやく世界水準の医療に近づきつつあるようだと報じられています。

「えっ!もう退院?」背景にある病院の綱渡り経営(2019年1月3日47ニュース)

 「家族がたった1週間で退院させられ、自宅での介護を余儀なくされた」という経験がある人もいるだろう。実際に2000年代以降、入院は大幅に短期化しているという。どういった背景があるのか。ニッセイ基礎研究所の篠原拓也氏に、公的なデータなどから読み解いてもらった。

▽入院医療費は16兆円

 医療の主要な部分を占める「入院」。病気になったばかりの「急性期」の患者や、重篤な症状の患者の医療を行う場合、さまざまな診療を効率的に行うため入院が前提となる。入院医療の質が、退院後の患者の回復や社会復帰を左右するといっても過言ではない。
 入院医療が国民の医療費に占める比重は大きい。厚生労働省のまとめでは、2017年度の医療費43.1兆円のうち、入院医療費は16.2兆円と、4割近くを占める。
 そうはいっても、「最近長く入院させてもらえなくなった」と感じる人もいるのではないだろうか。各種のデータから、その実態と理由を検証してみたい。
(略)
 (1)の新入院(患者調査を実施した日に新たに入院した患者の数)は、今も徐々に増加している。17年の新入院は人口10万人当たり44人。02年の36人から大きく増加した。高齢化が要因ではないかと筆者はみている。
 一方、(2)の入院から退院までの平均在院期間は短期化している。退院した患者の平均在院日数は、02年の37.9日から、17年には29.3日まで減った
(略)
 それでも、日本の平均在院期間は世界の国々の中でも突出している。これはOECDの入院患者の平均入院日数に関する統計をみると歴然だ。厚労省の患者調査とは算定方法がやや異なるものの、日本は2位以下の国を大きく引き離している。高齢化が進む中「なかなか退院できない」患者が未だ多いのも事実だろう。
(略)
 短期化の背景には何があるのだろうか。
 厚生労働省の第22回医療経済実態調査(19年11月発表)によると、民間の医療法人が運営する病院の18年度の利益率(損益の差額)は2.8%。前年度より0.2ポイント改善したものの、近年は1~2%台という「ギリギリ」の経営が続く。
 一方、入院診療収益のない医療法人の診療所の利益率は6.3%、個人経営の診療所にいたっては30.4%という高水準だ。つまり、入院医療は他の医療に比べて、収益性が低いのだ。病院にとって入院医療の収益性向上が長年の課題となっている。
(略)
 現在、病院の一般病棟のケースでは、入院1日当たりの基本料は、7人の患者に対して1人の看護職員が配置されている場合は1万5910円。患者が10人になると1万3320円、13人だと1万1210円だ。15人では9600円となる(公的医療保険が適用される場合、患者の自己負担額はこの金額より少なくなる)。
 ただし、この基本料の設定には、その病棟に入院する患者の平均在院日数に要件が設けられている。患者7人に1人の看護職員がいる場合、患者を平均18日以内に退院させなければ基本料は減額される。
 患者が10人になると21日以内、13人では24日以内、15人で60日以内。病院側は前述の基本料を確保するために、この要件を強く意識するようだ。
 病院の一般病棟などでは、入院から間もない患者については、基本料などに「初期加算」が上乗せされる。一般病棟の場合、加算額は、1~14日は1日当たり4500円。15~30日は1920円。31日以降は加算されなくなる仕組みだ。病院側は、加算額を得るため、日数を意識せざるを得ないようだ。2017年の患者調査では、退院した患者の7割は14日以内に退院していた。
(略)
 現在、進められている国や自治体の地域医療構想では、介護施設を充実させて入所を促す「医療から介護へ」の流れが目指すべき方向性の一つとされていることも背景にある。
 しかし、介護施設の充実のためには、用地の選定・建物の建設だけでなく、介護職員体制の整備、補助金を含む財源確保など、課題が山積している。地域ごとに事情が異なるため、それぞれの自治体で検討を進めていかなければならないものの、進み具合はまちまちなのが実情だ。
 入院を短期化できるかどうかは、地域医療構想の実現にも密接にかかわっているといえる。

ひところ話題になった救急崩壊などに代表されるように、医療と言えば真っ先に注目されやすいのが何かあったときに救急の受け入れ先はあるか、すぐ入院出来るかと言う急性期医療のキャパシティの問題です。
ただ急性期の医療を担当する基幹病院に負担が集中しスタッフが疲弊する、あるいは常時満床で物理的に受け入れられないと言った諸問題を考えれば、急性期からどう患者を送り出すかが重要な課題ですね。
地域医療構想に基づいて一部の受け入れ実績の乏しい急性期病床は、こうした急性期からの受け皿としての役割を担っていくことが求められると思いますが、この場合診療報酬が安くなると言う問題もあります。
安定し手間がかからなくなった患者であれば多大なリソースや高いコストはかけなくていいはずだと言うのもごもっともですが、受け皿として病院経営が成り立たないのであれば誰も引き受けたくないのは当然ですね。

長期入院患者の問題はリハビリに長い期間を要するなど高齢者になるほど発生しやすくなるのは記事の分析にもある通りですが、長期入院となれば患者の支払いは自己負担上限に達している場合が多いでしょう。
逆に言えば患者側にとっては病院を出て介護施設なりに移るメリットが乏しいことも、皆保険制度下の日本でこれだけ長期入院が蔓延してきた理由でもありますが、その結果として医療費も増える道理です。
こうした点を比較した場合、外来で湿布薬を保険外にすることで節約出来る程度の金額よりも、入院医療の在り方をどうにかした方がよほど医療費を削減出来そうだとは誰にでも判る話だろうとも思います。
湿布薬は薬屋で買ってねと言う話と同様、もう救急病院にいる必要はないから他所に行ってねと言う話ですが、さて患者に対してどう説明したものか工夫がいりそうですよね。

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コメント

個人的には総合感冒薬を保険から外すのはすぐにでもやってもらいたいです。
いざという時のためにため込んでいる患者さんが少なくないのですが、あれ絶対インフルエンザの時にも飲んでますから・・・

投稿: クマ | 2020年1月 9日 (木) 07時49分

インフルエンザに関しては施設によっては来院いただきたくないと言う場合もあるので、市販薬でも飲んで寝ておけと言う先生もいらっしゃるようですね。

投稿: 管理人nobu | 2020年1月 9日 (木) 20時43分

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