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2020年1月

2020年1月27日 (月)

無断キャンセル問題がますます広がっている理由

正月早々に話題になっていたのがこちらの事件ですが、記事から紹介してみましょう。

正月の宿泊無断キャンセル、業界悩ます「ノーショー」(2020年1月21日朝日新聞)

 栃木県那須塩原市や日光市などの温泉地で、正月に宿泊予約の無断キャンセルが相次いだ。少なくとも7施設で計約250万円の被害が出ていることが20日、宿泊業者への取材でわかった。県は春の観光シーズンに向けて観光関係者と防止策を協議する考えだ。
 関係者によると、いずれも同一とみられる人物から那須塩原市、日光市、那須町の宿泊施設8カ所に電話で1月2日の宿泊申し込みがあり、うち1カ所にのみ泊まったとみられるという。被害に遭った施設は県警に対応を相談し、この人物を特定して損害賠償を求めることも検討している。県観光交流課の担当者は「あってはならない行為。宿泊業者や関係団体と対策を話し合いたい」と話す。

 那須塩原市の旅館「湯守田中屋」では昨年8月末、男性の声で電話があり、男女10人で泊まるとして「露天風呂付きの最高の部屋」を指定されたという。住所、氏名、電話番号などを聞き、翌日には要望に応じてパンフレット10部も宅配便で送った。しかし、宿泊予定日の約2週間前に電話をした際は不通で、当日、客は現れなかった。連絡先とされた千葉県の住所に宿泊費約36万円の請求書を送ったところ、転居先不明で戻って来たという。
 日光市鬼怒川温泉のホテルでは、1月2日からの予約申し込みがあったものの、満室で、3日から1泊で男女計10人の予約を受け付けた。求めに応じてパンフレットも送ったが、客は来なかったという。被害額は約26万円だった。

 一般社団法人「那須塩原市観光局」の小林紀明・事業部長(51)によると、予約をした人がキャンセルの連絡もなく現れないことを業界では「ノーショー」と呼び、近年増えている。「被害が少額の場合は大半の宿泊施設が泣き寝入りしている」という。
 今回のキャンセルの理由は不明で、予約の手段も異なるが、無断キャンセルが起きる原因の一つに、インターネット予約サイトの普及があるとされる。サイトで空室確認をして複数に予約を入れた後、実際に泊まる施設を決めたにもかかわらず、ほかの施設の予約を取り消さないケースが散見されるという。
 施設側は「無断キャンセル」とみなし、予約者に代金を請求するが「キャンセル電話をしたはずだ」「何回もしつこい」と拒否する人も多いという。
 小林さんは「かたくなに拒否されたあげく、逆にネットで中傷されるのも避けたくて、請求をあきらめてしまうことが多々ある。今回の問題で、宿泊予約をすれば支払い義務が生じる場合もあることが認知されてほしい」と話した。(池田敏行、梶山天、池田拓哉)

この種の問題はすでに飲食店では久しく以前から問題視されてきたところですが、今回は繁忙期で各旅館とも最上級の部屋であったことから被害総額も大きかったそうです。
飲食店を始めこの種の問題への対応策に頭を痛めていて、例えば無断キャンセル分の料金支払いを受ける保険的制度なども登場し大変な反響があると言います。
また記事にもあるようにネット予約との関連性が高いと指摘されている点から、ネットの顧客管理システムを応用していわばブラックリストを作成する動きもあるようです。

それだけこの種の行為を繰り返す常連が存在すると言うことですが、そもそも何故彼ら一部の常連がこうした行為を繰り返すのかと言うことが論じられてきました。
例えば取引先の接待などで相手の好みが判らない場合、何店か予約を入れておき当日相手の希望で確定し、いちいちキャンセルの連絡はしないことが多いそうです。
しかし宿泊予約キャンセルに関してはもう少し別の理由もあるらしいと言うことが判明してきていて、これも今の時代らしい話だと話題になっていました。

宿泊無断キャンセルで親子逮捕(2020年1月22日NHKニュース)

ホテルの無断キャンセルを繰り返したとして、51歳の女とその息子が逮捕されました。
警察は、宿泊予約サイトで得られる特典のTポイントに目をつけて、全国のホテルなどで無断キャンセルを2200回以上行い、Tポイントを不正に得ていたとみて捜査しています。

逮捕されたのは、住所不定の自称・自営業、岸田治子容疑者(51)と息子で自称・会社員の治博容疑者(30)です。
警察によりますと、2人は去年8月、インターネットの宿泊予約サイト「一休」を通じて偽名で予約した京都市の4つのホテルを無断でキャンセルし、業務を妨害したとして、私電磁的記録不正作出・供用や偽計業務妨害の疑いが持たれています。
「一休」を通じて予約すると、特典として宿泊代金の一部がTポイントとして還元されますが、ホテル側の手続き忘れなどによって、無断キャンセルでもTポイントが付与されるケースがあるということです。
警察は岸田容疑者が特典のTポイントに目をつけて、全国のホテルや旅館の予約と無断キャンセルを2200回以上繰り返し、およそ190万円分のTポイントを不正に得ていたとみています。

調べに対して、息子の治博容疑者は「間違いありません」と容疑を認め、母親の治子容疑者は「覚えていません」と容疑を否認しているということです。
2人の所持品からは、60枚以上のTポイントカードなども押収されていて、警察は、気付かれないように、大量のカードを使いわけながら、不正にポイントを得ていたとみて、調べを進めています。
(略)
【被害にあったホテルは】
無断キャンセルの被害にあった京都市のホテルは、去年8月、宿泊当日の夜に、朝食付きツインルームの1泊の予約をインターネットの宿泊予約サイトを通じて受けました。
しかし当日、宿泊予定の2人は現れず、そのまま無断キャンセルされたということです。
このため、登録時に入力された電話番号に連絡しましたがつながらず、その後、警察から岸田容疑者が偽名で予約していたことを知らされたということです。
このホテルでは、無断キャンセルのあと宿泊予約サイトに連絡して手続きを行ったため、ホテル側が負担することになるTポイントは付与せずにすみました。
ホテルの担当者は「今回の事件は詐欺行為のようなもので、絶対に許せません。無断キャンセルは、毎月10件以上は起きており、本来宿泊できたはずの別の人が宿泊できなくなり、ホテルとしても大きな損害です。宿泊予約サイトには、入力する個人情報のチェックを厳格化するなど、対策してほしい」と話していました。

【一休コメント】
宿泊予約サイトを運営する「一休」では、「サイトが犯罪に利用されたことを真摯に受け止めています。安心して利用者や宿泊施設に使用してもらうため、システムの改善に取り組むとともに、悪質な無断キャンセルを防ぐための啓発を行なっていきたい」とコメントしています。

偽名での宿泊予約が出来てしまう点からも判るように、利用する顧客側の利便性優先で満足に個人情報確認もしていない予約システムが悪かったと言う声もあります。
逆に利用者の側からすれば宿の予約一つで根掘り葉掘り個人情報を要求され、あげくに厳重な確認を繰り返されるのではやっていられないですし、何が便利かですよね。
ただ昔ながらの電話予約であれ無断キャンセルはあり得るとは言え、今回無断キャンセル自体が利益を生む制度だったことが被害拡大の一因だったとは言えそうです。

人間誰しも自分の利益になることを行う傾向はあり、特にネット予約を活用するなど利便性を求める顧客層にはその傾向がより強いのではないかと想像されます。
便利だから、お得だから利用すると言う延長線上で、これをやれば利益につながると言う抜け道があるなら当然やる人も出てくるはずで、制度設計に問題ありと言えそうです。
施設側から予約サイトへのフィードバックも重要ですが、偽名や虚偽の連絡先を認めているようではブラックリスト化も難しく、対策には予約システムの見直しが必要そうですね。
今後施設側から予約サイト側に損害賠償請求でもあれば予約サイト側も動かざるを得ないでしょうが、最終的に皆が満足する落としどころがどの辺りになるかです。

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2020年1月25日 (土)

今日のぐり:「十割そば処 松吟庵(しょうぎんあん)」

かねがね幽霊や怪奇現象の類いに一度くらいは遭遇してみたいものだと思っているところですが、こちらリアル怪奇現象と話題になった事件の顛末です。

403万回も再生された「散らかっていた机の上が毎晩勝手に整理される怪現象」の正体を捉えたムービー(2019年12月07日GigaZiNE)

「前日には散らかっていたはずの机の上が一晩経つときれいに片付けられている」という怪現象に悩まされた元電気技師の男性が監視カメラを設置してみたところ、意外な犯人の姿が捉えられていたと話題になっています。

イギリス南西部に住む72歳のスティーブン・マッカーズ氏は、電気技師の仕事を引退してからも自宅の離れに作業机を置いて、機械いじりやDIYを日課にしていました。しかし、マッカーズ氏はある時、前の日の晩には机の上に散らかっていたはずのネジや機械の部品が、次の日には部品整理に使っていたアイスクリームの空き箱の中にしまわれていることに気がつきます。同居している子どもに聞いてみても心当たりがないといわれたため、マッカーズ氏はついに自分がもうろくして、無意識のうちに机を片付けたのかと思いました。


怪現象は1カ月以上も続き、家族が幽霊ではないかと怖がったので、マッカーズ氏は隣人で長年の友人でもあるロドニー・ホルブルック氏に依頼して動体センサー付きのトレイルカメラを設置したとのこと。その結果、毎晩机を片付けていた犯人の正体をムービーに収めることに成功しました。


毎晩マッカーズ氏の机の上を片付けていた犯人のムービーは、以下から見ることができます。

House-proud mouse caught on camera tidying garden shed | SWNS TV - YouTube
(略)

その正体は各自動画を参照いただきたいところですが、いやはやびっくりと言うしかありませんね。
本日はマッカーズ氏のびっくり体験に敬意を表して、世界中から生き物に絡んだびっくりニュースを紹介してみましょう。


クリスマスツリーの中にフクロウ、購入時から潜伏か 米ジョージア州(2019年12月19日CNN)

アトランタ(CNN) 米ジョージア州に住む家族が先週、自宅のクリスマスツリーの中にフクロウが隠れているのを見つけた。

ケイティー・マクブライド・ニューマンさん一家がフクロウを発見したのは12日夕、夕食を終えた時のことだった。テーブルの片付けで別の部屋にいたインディアちゃん(10)が悲鳴を上げ、ダイニングに駆け込んできて、「お母さん、あの飾り怖い」と泣き出した。
ニューマンさんはフクロウが大好きで、ツリーの枝の部分には実際に十数個のフクロウの飾りが取り付けてあった。最初は飾りの一つを怖がっているだけだろうと思ったという。
そこでニューマンさんは、娘の恐怖感を和らげようと確認に向かった。だが、問題の飾りをのぞき込んだところ、本物のフクロウが頭をこちらに向け、ニューマンさんを正面から見据えてきた。

一家がツリーを購入したのは感謝祭の2日後。そのため最初は、どこかから飛んできたフクロウがツリーの中に避難したのだろうと考え、夜の間、窓と扉を開けたままにしておいた。だが、フクロウが飛び去ることはなかった。
その翌日、一家は自宅から1時間の距離にある自然センターに電話で連絡。14日朝に職員がやって来てフクロウを捕獲し、同州に生息するヒガシアメリカオオコノハズクという種であることを確認した。
フクロウは痩せこけていたことから、購入時からツリーの中にいた可能性が浮上したという。

最終的に一家は自然センターの指示に従い、フクロウを箱に入れて暗い部屋に置いておいた。14日の夕暮れ時に箱を屋外に持ち出し、ふたを開けておいたところ、夜9時半までにフクロウの姿は消えていた。

画像を見るとこれは確かに怖いでしょうが、よほど長い間紛れ込んでいたのでしょうかね。
猫という生き物はああ見えて仲間意識が強いところがあるそうですが、こちらなんとも男気があると話題になっていた猫のニュースです。

仲間を集団脱走させた保護猫、「独房」監禁処分で注目の的に(2019年11月13日CNN)

(CNN) 米テキサス州ヒューストンの保護施設で、仲間の猫たちの脱走を手助けして「独房」に入れられた1匹の保護猫が、インターネットで注目の的になっている。

6歳のオスの保護猫「キルティー」は、数カ月前からこの施設の猫部屋の住民になった。ところがそれ以降、猫部屋の扉が開いたまま放置される謎の現象が続発するようになった。
「朝出勤してきて、夜間に集団脱走した15匹の猫を全て集めなければならないこともあった」と広報担当のジェニファー・ホプキンズさんは振り返る。
防犯カメラの映像を調べた結果、犯人はキルティーだったことが判明。キルティーは飛び上がって扉のハンドルに前足をかけ、扉を開ける手口で、3回にわたって自分と仲間の十数匹の猫を、別の部屋に脱走させていた。

そこで同施設はやむなくキルティーを建物のロビーの「独房」に監禁し、扉も開けられないようにした。
だが不満げなキルティーの写真はフェイスブックで同情を集め、数千人が不当な独房監禁の扱いに抗議した。その名声にあやかって同施設は「#FreeQuilty(キルティーに自由を)」「#QuiltyNotGuilty(キルティーは無罪)」というハッシュタグを付けている。
(略)
幸いなことに、変わった猫は多くの人に愛される。キルティーを引き取りたいという希望者も多く、既に里親候補の家族とお見合いを済ませて、今は次の手続きを待っている段階だという。

扉を開けられる猫は時々聞くところですが、キルティーの第二の人生に幸い多かれですね。
こちらも本当なのかどうなのかと世界中で話題になったニュースですが、まずは記事から紹介してみましょう。

「クマが一緒にいた」森で迷子になった3歳、2日後無事に生還(2019年1月28日女性自身)

米ノースカロライナ州で奇跡が起こった。

米国時間22日、祖母の家に遊びに来ていたケイシー・リン・ハサウェイくん(3)が忽然と姿を消した。家族は45分間にわたってケイシーくんを探したが見つからなかったため911に通報。地元警察に加え、州を跨いだ誘拐の可能性もあったためFBIやNCIS、海兵隊、そして大勢のボランティアも動員され、必死の捜索が行われた。祖母の家は深い森に接しており、捜索範囲は東京ドーム約87個分にも及んだ。
FOX NEWSによると、行方不明になってから丸2日が経った24日夜、子どもの泣き声を耳にした救助隊員がケイシーくんを発見。トゲのある茂みに足を取られ、体も濡れて冷え切っていたが、幸いなことに命に別状はなかった。我が子と再会した母親は、「彼は元気です。話もできます。Netflixが見たい、とおねだりもしています」と報道陣に喜びの報告をした。

保護されたケイシーくんは、「森の中で、クマと一緒にいた」と保安官に話したという。祖母のブリアナ・ハサウェイさんもFacebookで「2日間、クマと一緒にブラブラしていた、とケイシーは言っています。神が彼を守るために友達を遣わして下さったのですね。奇跡は起こるのです」と投稿。ケイシーくんが迷い込んだ森はツキノワグマの生息地であり、獣害も心配されていた。

それは心配だったことでしょうが、ロシアであればまた別な結末であったかも知れないと思うところです。
最後に取り上げるのは、極めて珍しい光景を目撃したと言うニュースです。

タコにからみつかれ窮地のハクトウワシ、サケ養殖業者らが助太刀 カナダ(2019年12月13日CNN)

(CNN) カナダ南西部のバンクーバー島でこのほど、サケの養殖を営む人たちが、タコにからみつかれて水中へ沈みかけているハクトウワシを救出する出来事があった。

養殖業者のグループは9日、作業を一段落させて屋内へ戻ろうとしたところ、動物のものらしき甲高い鳴き声と水音を耳にした。何事かと調べてみると、大型のハクトウワシがこれまた特大のタコにからみつかれ、水中に沈みかけているのを発見した。
その様子を5分ほど眺めていたものの、ハクトウワシを助けるべきかどうかは決めかねていたという。
養殖業者の1人、ジョン・イレットさんは「介入してよいものかどうかわからなかった。適者生存が自然界の法則だから」「それでも、その光景には胸が締め付けられた。タコは我々の目の前でワシを溺れさせようとしていた」と振り返った。

結局、イレットさんたちはどうにかしてワシを助けてやることに決めた。イレットさんは小さなフックをつけたポールをワシとタコに向かって伸ばし、別の作業員がその様子を撮影し始めた。フックをタコにひっかけてワシから引き離すと、ワシはそのすきに岸へ逃れていった。
動画には後に残ったタコを作業員らが眺めて「世界最大級だ」「見てみろよ」「まったく、すごかったな」などと言葉を交わす音声が記録されている。タコの大きさは1.3メートルを超えていた。
イレットさんはワシの方に肩入れしたことを認めつつ「最終的にどちらも死なずに済んで、それぞれの営みに戻っていった。自分たちのやったことにはすこぶる満足している」と語った。
(略)

一体何があったと感じた方は記事の動画を参照いただきたいのですが、これは全く珍しい光景ですよね。
ちなみにハクトウワシは絶滅も危惧され保護の義務があるのだそうで、この場合肩入れしたことも間違いではなかったようです。

今日のぐり:「十割そば処 松吟庵(しょうぎんあん)」

岡山と倉敷の境目付近に広がるRSKバラ園は様々なイベントも開催される場所ですが、その一角に位置するのがこちらのお店です。
ともかく十割そばの看板を掲げているのが目につくのですが、メニューを見ますとちゃんと蕎麦屋っぽいのは感心ですね。

ひとまずざるを頼みましたが、こちら店内共用スペースに蕎麦湯スープをご自由にと置いてあって、寒い日にはありがたいものですね。
肝心の蕎麦は見た目はまあ水切りがやや甘いか?くらいですが、スーパーで売ってる乾麺インスパイアな味、食感でまあこんなものだろう…でしょうか。
そばつゆは魚だしの風味は一応立っているのですが、これもどこかで味わったことがある希釈つゆ系の味で一度火を入れた方がよさげな感じでした。
前述の蕎麦湯スープ以外に普通に蕎麦湯も提供されるのですが、どうせならこれもスープ同様ご自由にお取りくださいの方が気をつかわないように思いました。

これで蕎麦専門に商いをするとなるとちょっときついかなと正直思うのですが、まあ場所柄とりあえず飲食スペースがあればよしとすべきなのでしょうか。
なお少し判りにくい裏手になりますが、トイレスペースは妙に広々として綺麗に整えられていたのは好印象でした。

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2020年1月20日 (月)

病院もキャッシュレス化のすすめ

今年はオリンピック開催もあって海外からの訪日客増加が見込まれていますが、それに伴いいくつか不具合もありそうだと懸念されているようです。

訪日客トラブルに保険続々 病院不払いやSNS炎上(2020年1月14日共同通信)

 訪日観光客の急増を受け、受け入れに関わる国内事業者と旅行者のトラブルに備えた保険商品が多様になっている。外国人の医療費不払いに見舞われる病院や、会員制交流サイト(SNS)が悪評で染まる「炎上」に悩む飲食業などの需要が拡大しているためだ。東京五輪・パラリンピックで訪日客がさらに伸びると騒動も増えかねず、損害保険大手による商品開発競争は加速しそうだ。

 観光庁の2018年度の調査では、滞在中のけがなどに備える海外旅行保険に加入済みの訪日客は7割程度。日本でのトラブル防止へ官民で加入を呼び掛けた結果、損害保険ジャパン日本興亜がインターネットで扱う旅行保険は18年度の加入者数が前年度の1・8倍に伸びたものの、客の急増に追い付いていない。

 「ノーマネー」。厚生労働省によると、急病で診療を受けても支払いを拒んで帰国する客が後を絶たない。そこで、あいおいニッセイ同和損害保険は外国人患者に特化した「医業未収金補償保険」を昨年、医療機関向けに発売した。一定額まで不払いを補い、治療費回収は同社が代行する。東南アジアからの訪日客の入院治療費が1千万円を超えた例もあり、反響は大きいという。

 三井住友海上火災保険は中国の保険会社と提携し、日本での医療費をキャッシュレスでカバーする保険を中国で発売。取り扱いを伸ばしている。
(略)

この医療機関での未収金問題、以前から当「ぐり研」でも何度か取り上げてきたところですが、特に無保険者が多い外国人の未払いを2割の病院が経験していると言います。
日本の医療機関はある時払いの性善説に立つ施設が多く、未収金に対しても強く支払いを迫ってこなかった経緯もありますが、そうであるなら対策を講じるべきでしょう。
この点でかねてクレジットカードをもっとうまく活用できないかと思っているのですが、特に無保険外国人の場合原則カード提示を求めるようにすべきではないでしょうか。

海外ではクレジットカードによるデポジットが広く活用されていて、あらかじめ提示しておいたカードによる支払いでも現金払いでも精算時に選べるようになっています。
現金払い文化が広く蔓延している日本では従来カードの活用があまりされていませんでしたが、消費税増税を機にキャッシュレス決済導入も進められているご時世ですよね。
残念ながら医療業界は特にキャッシュレス化の遅れた業界の一つとされていて、国民からも現金払いしか出来ない不便さを最も痛感する場所だと認識されているそうです。
キャッシュレスの便利さはすでに認知されつつありますが、病院などはむやみに長くなりがちな会計の待ち時間対策と言う点でもかなり強力な売りになりそうですけどね。

病院待ち時間なくすクレカ ライフカードと京大病院(2019年8月8日京都新聞)

 アイフル子会社のライフカードと京都大医学部付属病院(京都市左京区)は、病院会計の待ち時間を省く「エクスプレス会計」機能を付けた提携クレジットカードを発行した。診察後に専用窓口へカードを提示すれば、その場での会計が必要ない

 東京の7病院で導入しており、西日本では京大病院が初めて。診察券とひも付いた提携クレジットカードを、診察後に専用窓口へ提示するだけで帰宅できる。支払いは後日、登録した口座から引き落とされる。

こちらのシステムの場合患者にとっても会計の待ち時間が減らせると言うメリットがありますが、運用の仕方によって実質的なデポジットとしても活用出来そうです。
別に専用のシステムでなくとも同様のやり方はどこででも出来そうなものなのですし、医療機関にとってもマンパワーの点からのメリットもありそうに思いますね。
ただ現状では手数料負担が課題で、零細事業者や利益率の低い業界でカード手数料負担は厳しいものですが、実は多くの医療機関はまさにこれに該当すると思われます。
その点であまり利用されすぎても困るのも本音かも知れませんが、未収金対策だけではなく患者にとってもメリットのあることなら誰はばかることなく導入しやすいですね。

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2020年1月18日 (土)

今日のぐり:「中華そば 一誠」

少し前に話題になっていたのがこちらのニュースです。

「どうせ将来はパソコンで書くから字は下手でいい?」小学生の質問にマツコが回答(2019年7月24日キャリコネニュース)

マツコ・デラックスさんが7月22日放送の『5時に夢中!』(TOKYOMX)で、小学5年生の男の子の疑問に答えました。「先生には字をきれいに書きなさいと言われますが、お兄ちゃんには『どうせ将来はパソコンで書くから下手でいい』と言われます。どっちが正しいですか?」という問いかけです。
これに株式トレーダーの若林史江さんは「(字を練習する意味は)あります」と断言。大人になって大事な場面でサインするとき「字が汚いと自分が落ち込む」などと説きましたが、マツコさんは、「自分が若林さんのようなタイプだと思うなら練習しておいたほうがいいと思う」として、
「ただ、別に人から字が汚いと思われても屁でもないわと思うなら、正しいか正しくないかではなく、やる必要ないです」
ときっぱり。自分自身がどうなりたいか選ぶことの大切さを強調しました。(文:篠原みつき)

マツコさんは、本当に子どもからの相談なのかと冗談めかした後、「もし本当にお子さんからのメールなら、私は子どもだからといって子ども扱いはしません。ちゃんと大人として対応しますけど、それはもうあなたがどうなりたいかです」と語りかけ、
「字も綺麗だねって言われる人間になりたいのか、別にいいわよ字なんか汚くたって、見てわかりゃいいじゃないの、って割り切れる人なのか。今から、子どもとはいえ自分で判断して生きていこう」
と真剣にアドバイスしました。
(略)
2020年からの教育改革ではプログラミング教育が開始されますし、今でも地域によってはパソコンやタブレット学習が進んでおり、お兄さんの考えも完全に的外れとは言えないでしょう。もともとの得意・不得意はあり、そこからどう巻き返すか、あるいは別のことにエネルギーを注ぐかは、マツコさんの言うように本人の気持ち次第です。
一方、この話題にネット上では、「キレイに書けるに越したことはない」をはじめ、履歴書や慶弔で自分の字の汚さに情けない思いをしている大人のつぶやきが散見されました。やはり、どちらが正しいなどと断言できない問題です。マツコさんが「自分で選びなさい」と答えたことは、とても誠実な態度に見えました。

字が綺麗で得をすることはあっても損をすることはないとの意見が多数派のようですが、少なくとも判読に難渋するレベルでは社会に出ても困るでしょうね。
今日はお兄ちゃんの夢を壊すようで恐縮ですが、世界中から確かに言われればその通りと言うしかない世間の現実を伝えるニュースを紹介してみましょう。

ふなっしーの“中の人”が本音吐露「常にサウナ状態。もう嫌」(2020年1月9日サンスポ)

 千葉・船橋市の非公認ゆるキャラ、ふなっしーが8日放送の日本テレビ系「今夜くらべてみました3時間SP」(水曜後7・0)に出演。思わず“中の人”が本音をこぼす一幕があった。

 「実は不動産マニア」というふなっしーは番組の企画でユーチューバー、フワちゃん(27)に千葉県のオススメ物件を紹介することに。2人は大網白里市にある築10年692平米の5LDKで、庭にはプールも付いた豪邸を内見した。

 この物件には本格サウナが備えられており、ふなっしーはスタッフから「ふなっしーさんサウナとか入るんですか?」と問われると「常にサウナ状態」とポツリ。「仕事を思い出すのでサウナには入らない。もう嫌なんだよ。湿っぽくて暑いところ嫌いなんだよ」と“中の人”の悩みを吐露。フワちゃんは隣で「かわいそう」と言いながら、ゲラゲラ笑っていた。

言われてみるとその通りとしか言いようが無いのですが、中の人も大変でしょうね。
こちら先日来各方面で波紋を広げている例の件について、良い子は絶対真似するなと言う話です。

なぜ人は楽器ケースの中に入ってはいけないのか?(2020年1月15日JBpress)

 カルロス・ゴーン氏の国外脱出劇で「楽器ケース」の中に潜んでの大脱走が話題となりました。それを真似して楽器のケースに入ってみるという遊びがあちこちで発生しているようです。
 これに対して、楽器メーカーのヤマハ関係者が、「あえて理由は記さないけれど悲劇が起きてからでは遅いので」として牽制するSNSを発信し、大きな反響が出ているようです。
(略)
 早い時期のゴーン報道で、すでに楽器ケースには空気穴が準備されており、それがなければ窒息、といったことが記されていました。
(略)
 どういうことか。まず、一度中に入ると、身動きが取れなくなる可能性があります。
 次に、外から閉められると、まずもって中からは開けることができません。
 さらに、中で暴れたり外に助けをもとめようとしても、それが極力伝わらないように作られている。
 そして、極めつけとして、気密で脱酸素剤などが入っている場合すら少なくない。人が入れば普通に死にます。

 楽器は「生きている」といいますが、それはインストゥルメントとして生きているのであって、木材の呼吸は生命体の代謝ではなく、かつて生物であったものの物性にほかなりません。
 楽器ケースの中に人間を入れると、比較的容易に「かつて生物であったもの」になるように、入念に設計されている。実は精密機器であるということが分かると思います。
 大型の楽器ケースの中には、間違っても入らないようにしましょう。でないと、死にます。
(略)
 ゴーン氏の会見でも、そのことには触れられていました。命を他人に預けたわけで、彼の脱出を非難するのは簡単ですが、65歳の男性があのような冒険に身を投じたことそのものは、大した胆力と言うべきことかとも個人的には思っています。
 しかし、それはグリーンベレーが準備した「専用の手品の箱」だったからできたわけで、普通の人が不用意に入れば楽器ケースはそのまま棺桶にしかなりません。

繰り返しますが良い子は絶対真似するなと言うことで、くれぐれも間違いのないようご注意下さい。
日本初のkawaiiなる言葉はすでに一部方面では世界共通語だとも聞くのですが、微妙に勘違いされ理解されているかも知れないと感じられるニュースがこちらです。

「二次元美少女キャラと会話できるデバイス」がアメリカ進出(2020年01月12日ユルクヤル)

”俺の嫁“と一緒に暮らせる、キャラクター召喚装置「Gatebox」。
日本では二次元美少女キャラとの生活を楽しめるデバイスとして大きな注目を集めていましたが、海外版はどうやら”日本らしさ“が完全に抹消されているようです。

<海外の反応>
どんな判断だwwww
爆死確定
こんな余計なローカライズする資金と暇を与えやがって・・何してんだ・・・
西洋開発者はアホなのか?笑
(略)

その改悪?の様子は元記事の画像を参照いただきたいのですが、何でしょう日本アニメ等のハリウッド版リメイクが必ず爆死すると言われる理由がわかる気がします。
最後に取り上げますのはお隣中国からのニュースですが、まずは記事から紹介してみましょう。

「独裁に反対」習近平国家主席の『顔』に墨汁をかけた女性、精神病院から戻るとまるで別人に(2020年01月04日ハフポスト)

中国・上海で習近平国家主席の「独裁に反対する」などとして2018年7月、習主席の顔が描かれたポスターに墨汁をぶちまけるパフォーマンスをした女性が、入院させられていた精神病院から戻った。
父親によると、女性はほとんど言葉を発さない状態で「入院前とはまるで別人」と話しているという。アメリカの政府系メディア「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

パフォーマンスを行った女性は、湖南省出身の董瑶チョン(ドン・ヤオチョン)さん(チョンは王へんに京)。2018年7月4日朝、上海で「習主席と中国共産党の独裁、暴政に反対する」などと叫びながら、3度に渡って習主席が描かれたポスターの顔の部分に用意していた墨汁をかけた。
董さんはこの様子を自ら動画に収め、ネットで配信していた。
董さんはこのあと、中国当局により精神病院に入院する手続きを取らされ、父親も軟禁されるなどの処分に遭っていた。

ラジオ・フリー・アジアが董さんの消息をおよそ一年半ぶりに報じたのは2020年1月2日。退院し、父親の元に戻ったと伝えた。
しかし、それは必ずしも董さんの無事を知らせるニュースではなかったようだ。記事によると、董さんは「お父さん」の一言を除き一切言葉を発さず、父親は「まるで別人だ。病院で何かしらの薬を盛られたのではないか」と話しているという。
(略)
父親とのチャット画面も同じく載せられ、この中で父親は「彼女は今こんな感じなんだ」「以前とは違う、まるで痴呆のようだ」「私の国よ、人をこんな風に変えてしまうなんて」と欧さんに訴えている。
ラジオ・フリー・アジアによると、董さんは中国を離れたいとの意向を示しており、海外移住を手伝ってくれる人を探しているという。

場所が場所だけに空気を読んだ振る舞いをすべきだったと言う声も少なくないようですが、いずれにせよ怖い話ではありますね。
日本でも一部進歩的な方々の間では盛んに独裁がーと叫ぶのがお好きのようですが、さすが共産主義は常に資本主義の一歩先を行っていると言うことでしょうか。

今日のぐり:「中華そば 一誠」

国道から見えるため以前から気になっていたこちらのお店、岡山県南部金光町の町外れと言うやや判りにくい場所にあります。
しかし強いて言えば看板はまあ綺麗なのですが、店内は素晴らしい歴史感ありありと言いますか、ちょっと一人で入るのに躊躇する雰囲気ですね。

メニューを見る限りラーメンに焼き飯、おでんに酒などありがちなもので、中華そばを頼むと盛りは?と問われるところを見ると大盛りがデフォなのでしょうか。
豚骨も使っているのでしょう、わずかに濁りがある鶏ガラ系主体の醤油スープはスープと醤油だれのバランスもまずまずで、昔ながらのと言う言葉が似合いそうですね。
一見なんでもない中細麺も老舗に良くある柔らか過ぎでも硬すぎるわけでもない頃合いの茹で加減で、面のほぐし具合もいい具合ですから食べやすいですね。
トッピングはシンプルに小口のネギにチャーシューと、これに煮鶏一切れが加わっているのが近隣の笠岡ラーメンに通じるものを感じます。

全体に昔風の中華そばとしてはきちんとしたもので、お値段も手頃ですから悪くはないと思うのですが、やはりお店自体のインパクトの方が印象的ですね。
ちなみにお店の前の立て看板には頑固親父云々とちょっと怖い文言もありますが、強面ではあるものの頑固親父は案外良い人だったなと言う印象でした。

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2020年1月14日 (火)

応招義務があるからどんな患者も受け入れなければ、と言う間違った呪縛

上司としての在り方が職場の士気に大いに影響することは言うまでもないことですが、こちら職場のみならず全国的に称讚を集めた事例です。

店長になったのでクレーマーを全員出禁にしたら…(2019年12月17日ライブドアニュース)

飲食店やコンビニなどで声を荒げるお客と、平謝りの店員……。最近よく見かける光景ですよね。
店員さんも困るし、他のお客さんも気分が悪い。それでも悪質なクレーマーが減らないのは、店の責任者が「お金を払ってくれるから」と黙認してしまうからでしょう。
しかし、バイトから店長になったネヴァダ(@nevadan2)さんは、バイト時代から来店していたクレーマーを全員出入り禁止にしたそうです。
その結果どうなったかというと……。

バイト時代に幅利かせてた頭おかしい客を店長になってから1人残らず出入り禁止にしたら、まともな客が三倍以上入ってきたのでクレーマーなんか追い出すに限るのだ。クソ客は他の客を遠ざけている。
-ネヴァダ (@nevadan2) July 12, 2019

なんと、クレーマーを追い出したら、集客が3倍以上にもなったそうです! やっぱり悪影響だったのか…。
この結果に称賛コメントが多く寄せられました。

出入り禁止のお客様は貧乏神だったんですね。
- JADTI (@JADTI76) July 11, 2018

素晴らしい!正しいことして利益も増える理想のカタチだと思います。クレーマーを大事にするアホな企業も見習って欲しい
- Yuichi (@yuichi_support) July 12, 2018

勇気ありますね。素晴らしい接客だと思います。酷いお客様に時間を割くより、良いお客様に時間を割いた方がお店の雰囲気も良くなります
- こけ (@kokekeoukoku) July 12, 2018

店員さんも、他のお客さんも、そして経営者も。度を越したクレーマーには毅然とした態度で接すると、みんなが幸せになれるかもしれません。

医療施設でも同じような立地、施設であっても問題患者ばかりが集まる施設や、見るからに客層の良い施設と様々ですが、少なくとも客層の悪い施設にまともな顧客が集まってくる可能性は低いでしょう。
特にクリニックなどでは長期的な経営安定のためにも客層のコントロールとは非常に重要な課題ですが、しばしば応招義務と言うものを勘違いした医師ほど問題患者に誤った初期対応をしてしまいがちです。
昨年夏に厚労省内での議論で応招義務の在り方が整理された結果、営業時間外であり緊急性もあると言う場合を除いて望まない診療を強いられずとも良いことなどがこのたび正式の通知として提示されました。


◆応招義務「患者を診察しないことが正当化される事例」整理 厚労省が通知、「公法上の義務であり、私法上の義務にあらず」(2019年12月27日医療維新)

 厚生労働省は12月25日、「応招義務をはじめとした診療治療の求めに対する適切な対応の在り方等について」と題する医政局長通知を都道府県に発出した。医師法第19条第1項と歯科医師法第19条第1項に規定する応招義務は、医師や歯科医師が国に対して負う義務であり、患者に対する私法上の義務でないとしている。厚労省医政局医事課によると、国は診療に従事する医師の基本姿勢として応招義務を求めるものの、例えば、診療契約を結んだ患者について、医師が正当な理由なく診療を拒んだ場合に、それは応招義務ではなく、診療契約上の問題になるという(資料は、厚労省のホームページ)。
 他方、1949年(昭和24年)の旧厚生省通知を根拠に、医療機関が組織として、患者からの診療の求めに応じて必要十分な治療を行うことが求められ、正当な理由なく診療を拒んではいけないとも明記している。

 医療機関や医師個人が、診療の求めを拒むことが正当化される理由として、緊急対応の必要性が最も重要な考慮要素だが、それに加えて診療時間・勤務時間内であるか否か、患者との信頼関係があるか否かも重要な考慮要素であるとした。緊急対応が必要な場合かつ時間内の場合には、「事実上診療が不可能と言える場合」にのみ正当化されるとした一方、緊急対応が不要で時間外の場合、かつ患者の迷惑行為がある場合などは新たな診療を行わないことが正当化される。
(略)
 通知では、医療機関の勤務医が労使協定・労働契約を超えた診療指示等の解釈についても記載。勤務医が協定・契約を超えた診療指示等を受けた場合に、結果として労働基準法等違反になることを理由に診療を拒否したとしても、それは応招義務違反ではなく、労務関係法令上の問題になるとの整理だ。

 「患者を診察しないことが正当化される事例」は、緊急対応が必要な場合か否か、診療時間・勤務時間内か否かの4パターンに分けて整理している。
 緊急対応が必要で時間内であれば、医療機関・医師の専門性・診察能力等を総合的に判断して、「事実上診療が不可能と言える場合」にのみ正当化される。一方、時間外であれば、応急的に必要な処置を取ることは望ましいが、原則、公法上・私法上の責任に問われることはない
 緊急対応が不要な場合も、時間内であれば患者の求めに応じて必要な医療を提供する必要はあるものの、緊急対応が必要な場合と比べて、正当化される理由は緩やかに解釈される。時間外については、時間内の受診依頼等を行うことが望ましいとしたものの、「即座に対応する必要はない」とした。

厚労省HPで公開された今回の通知では幾つか興味深い点がありますが、最も注目されているのが応招義務とは国に対して負う義務であって、患者に対する義務ではないことが明示された点でしょうか。
未だに時折「応招義務違反だ!訴えてやる!」と窓口で騒いでいる患者もいるやに聞きますが、この点については全く誤解であって患者に対して医師は何ら診療の義務は負わないと言うことですね。
法的には医師に応招義務があっても患者に診療を受ける権利がない以上権利侵害自体も発生しないので、応招義務違反を根拠に民事的に損害賠償請求をすることも出来ないと言うことになります。
無論診療時間内に緊急性の高い患者を、診療可能であるにも関わらず拒絶した場合、国に対して行政処分を求めることは可能ですが、その際にはどうして診療不能であったかを訴えることになるのでしょうか。

ちなみに過去にはいくつか民事訴訟上の損害賠償請求を認められた事例がありますが、今回の通知と照らし合わせてみると責任を認めるのもどうなのか?と思われるものもないではないようです。
今後はこの基準に基づいた判例の蓄積が求められますが、特に患者との信頼関係がないことも重要な考慮要素であるとされている点は、クレーマー対策として非常に心強い根拠となるでしょうね。
他方で不要不急であるにも関わらずやたらと医療機関受診を繰り返すタイプの問題患者に関しては、それが緊急性のある状態でないことを証明しない限り営業時間内の対応が求められることになりそうです。
ただこのタイプの多くは夜間時間外に何度も押しかけることが問題なので、日中の外来診療に限定して対応の義務を求められると言うことであれば多少扱いやすくはなりそうに思われますね。

ところで昨今の働き方改革を巡る議論も反映してか、今回の通知では労使協定や労基法等の範囲を超えた診療を勤務医は拒否出来るし、それは診療拒否には当たらないと言う重要な文言が示されています。
この場合は医師と患者の問題ではなく、医師と雇用者との間の問題であると言う理由からですが、限度を超えた長時間労働を理由として勤務医が救急受診の求めを拒否出来る場合もあると言うことですね。
この点で労使協定でどこまでの義務を課せられているかと言うことが非常に問題で、勤務医は今後ますます労使協定の詳細について知っていなければならないし、不当な契約は避けなければならないでしょう。
逆に労使間の問題であると言うことで、実際に診療を拒否した場合病院当局との争いになることも考えられるはずですから、いざと言う時に備える意味でも労働時間の把握と管理が必要であると言えますね。

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2020年1月 9日 (木)

今日のぐり:「ラーメン みさと」

携帯電話等で活用されている絵文字は日本発祥なのだそうですが、先日世界のアップルが絵文字を活用したサービスを開始したことが報じられていました。

Apple、AirPodsで絵文字刻印を提供開始(2020年01月04日ITmedia)

 Appleが、AirPodsシリーズのオンライン購入限定サービスとして、絵文字の刻印サービスを提供開始している。

 AirPods Pro、AirPods with Wireless Charging Case、AirPods with Charging Caseを購入する場合のみ、十二支を含む31種類の絵文字の中から1つ選択可能だ。
 テキストメッセージとの併用はできない。

 なお、充電ケース「Wireless Charging Case for AirPods」単体購入時は刻印サービスを利用できない。

日本文化に敬意を表して干支はよろしいのですが、何故か31文字の中に妙なものが混じっていると話題になっています。
本日はアップルの勇気ある選択に敬意を表して、世界中から思わずなんでやねん!と突っ込みたくなるニュースの数々を紹介してみましょう。

「牧場しぼり」はしぼっているからカロリーゼロ あらゆる食べ物をゼロカロリーと判断してくれる技術が誕生(2019年1月1日ねとらば)

 テーブルに置いた食べ物が、なぜゼロカロリーであるかを説明してくれる技術が、ついに開発されました。「実質ゼロカロリー」の言い訳がしやすくなるやつ。

 12月に開催された、24時間で作った作品をプレゼンするイベント「Yahoo! JAPAN Hack Day 2019」に登場した作品で、その名も「絶対ゼロカロリー領域」。データを活用して最も新しい体験を生み出した作品に贈られる「Data賞」を受賞しました。チーム「はなまるチャレンジャーズ」が制作したこの技術は、あらゆる食べ物がゼロカロリーであるという免罪符を与えてくれます。まあ、強引な理論なんですけどね。

 この技術は、テーブルに置かれた食べ物を画像認識して料理の種類を判定した上で、ゼロカロリー理論をテーブルに表示してくれます。揚げ物を検出した場合は「カロリーは熱に弱いから」と表示され、カツカレーというハイカロリー同士を組み合わせた食事は「カロリーが喧嘩する」という理由からカロリーゼロであると表示されます。やったね、罪悪感もゼロ!

 “食べないなら食べない。食べると決めたら、潔く気持ちよく食べたい!!”という思いから制作された作品。これでスタバの甘いフラペチーノも、チーズたっぷりのピザも、後ろめたい気持ちなく食べられそうです。

まあご本人がそれでよろしいのであればと言うことなんですが、しかし正月明けの体重計が怖いと言うものですね。
こちらも正月恒例のあれに関する話題ですが、誰しも突っ込まずにはいられなかったと言うニュースです。

「無理……」 福袋に入っていたパンツに、購入者も涙目(2020年1月2日グレープ)

新年の始まりに売り出される『福袋』は、もはや日本のお正月の風物詩。
お得なのはもちろん、何が入っているか分からないというドキドキ感も福袋の魅力ですよね。
しかし、時にドキドキやワクワクを通り越した衝撃のアイテムが入っていることも…。

そんな衝撃のアイテムを引いてしまったのは、れーほ(@WG_XXXG_00W0)さん。安さにつられ、下着の福袋を購入したといいます。
「はければいい」という気楽な思いで購入したものの、福袋に入っていた下着に、れーほさんは言葉を失ってしまったのでした。なぜなら…。

パンツの福袋安いやつあってまぁはければいいのでは感覚で買ったけどあまりにも「「「強い」」」やつが混ざってたことを報告します(やばい)(なにこれ) pic.twitter.com/xkVkOtZ8Xb
— 🍃れーほ🍃 (@WG_XXXG_00W0) December 31, 2019

購入したのはパンツを詰め合わせた福袋でしたが、これは…パンツなのでしょうか。
(略)
せっかく買ったにも関わらず使用しないのはもったいないとも思えてしまいますが、笑える話のネタを買ったと思えば、惜しくはない…かもしれませんね!

購入者自身が無理と断言したその正体は元記事の画像を参照頂ければと思いますが、これはクレーム案件と言われても仕方がない気もします。
インドと言えば近年では婦女暴行絡みの凄惨な事件が多数報じられていますが、こちら全世界からツッコミが入ったと言うニュースです。

「暴力を伴わない強姦は合法にしよう。女性が性犯罪者の要求を叶えてやれば痛い目にはあわない」 インド人映画製作者の発言が物議(2019年12月8日ユルクヤル)

インドではこのほど、女医のプリヤンカ・レッディさん(27)が男に性的暴行を受け殺害される痛ましい事件が起きたばかりでした。ダニエル氏はこれについて「レイプは深刻な問題ではないが、殺人は許しがたい」とコメント。
「政府は女性の身の安全のために、暴力を伴わないレイプを合法化すべきだ」と付け加えていました。

ダニエル氏によれば、そうすることで殺人事件を防ぐことが出来るようです。
「女性は避妊具を携帯すべき。襲われそうになったら犯人にそれを手渡し、男性の性的欲求を満たすために手伝うといい。そうすれば、傷付けられるようなことはない」と過激な主張は続きます。

一連の投稿は現在は削除されているものの、ネットを中心に大炎上。
Twitterでは「#MeTooIndia」の公式アカウントがこの発言に言及。「それがどのようにして女性を安心させるんですか?どれほどの男性が罪を裁かれずに放免されるんですか?」と批判しています。

なるほどこの方式で行くと世の中の各種犯罪もうまくこなせるように…なるとはちょっと思えませんね。
最後に取り上げますのはお隣中国から、もはやいつものアレかと言うニュースです。

道路陥没で3人落下 セメント注入で家族抗議、その後監禁(2019年12月29日ニュースポストセブン)

 中国広東省広州市の道路で12月1日午前、原因不明の陥没事故が発生して、偶然通りかかった清掃車両とスクーターの各1台が陥没個所に落下。連絡を受けた市当局は落ちた3人を救助せずに、直ちに陥没個所にセメントを注入していたことが明らかになった。
 そのことを知った3人の家族らは広州市政府庁舎前で抗議をしたが、相手にされずに、逆に警察によって監禁され、消息不明になっている。ネット上では「当局による殺人だ」「中国人の人命はあまりにも軽い。アリ並みだ」などとの市当局を批判する声が上がっている。広州市の地元メディアが報じた。

 事故現場は市内中心部の広州大通りの交差点で、陥没は幅数メートル、深さ約40メートルにも及んでいた。落下した清掃車両には50代と20代の男性親子が乗っていたのに加え、スクーターに乗っていた30代の男性も落ちたという。
 中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」では「拡散希望。落下した清掃車には祖父と父が乗っていた。いま、私は友人や家屋と一緒に現場に来ているが、警察が現場を封鎖して近づけない。まず、祖父と父を救助するように警察官に訴えているが、すでにセメントを流している」と、親族によって現場の状況が伝えられていた。
 スクーターの男性の妻もウェイボに投稿。「私の夫を助けて。いま私は1歳の娘を抱いている。生まれたばかりの赤ちゃんのためにも助けてほしい」との内容だ。

 しかし、市当局は被害者を助けようとせず、事故発生から3時間後の同日正午、陥没個所へのセメントの注入を開始。広州市の地下鉄会社は午後3時半ごろ、「陥没のさらなる拡大を止めるために、部分的な穴埋め作業を行っている」と発表しており、地上から被害者の救出活動は行われなかった。
 これに対して、3人の家族らは4日、市政府庁舎前で、「人命を軽視するな」などと書かれた横断幕を掲げて抗議行動を起こしたが、警官隊によって身柄を拘束され、消息不明になっている。

 これを知った市民の1人はウェイボ上で「中国では至る所で、道路が陥没するなどのずさんな工事が行われており、今回も地下鉄工事によって、大きな穴が開き、人命が失われた。政府のずさんな建設工事の犠牲になるのはいつも庶民ばかりだ」などの書き込みがみられる。

中国と言えばかつて大事故では決まって死者数35人説なるものが流布されていましたが、今や3人から証拠隠滅を図るまでに進歩したということですかね。
亡くなられた方々のご冥福を祈るばかりですが、どこの国であれ事故には巻き込まれないよう注意をいただきたいものです。

今日のぐり:「ラーメン みさと」

徳島線の学駅と言えばこの時期人気なのだそうですが、その学駅に近い田園地帯の一角に位置するのがこちらのお店です。
店舗の内外装はいずれも二昔ほど前の田舎のラーメン屋そのものですが、こういうお店もなかなか味があっていいものです。

メニューはラーメンに焼き飯、餃子に鶏唐と言った一般的なもので、ここは無難に徳島ラーメンの肉玉でオーダーしてみました。
徳島ラーメンとはすき焼きの載ったラーメンだと言う人がいるそうですが、確かに甘辛い豚バラ薄切りに生卵と来ればすき焼き風ですね。
他にトッピングではシナチクならぬ竹の子と言うのも珍しいのですが、醤油風味の立った甘辛スープは脂も多くなかなかコクがあります。
見た目特にこれと言う特徴がなさそうな中細麺は柔らかめの茹で加減ですが、このスープは好きな人にはちょっとクセになるのかも知れませんね。

徳島ラーメン自体は全国どこでも食べられるようになってきていますが、地元で食べられているのはこういうものなのかと改めて感じ入るものでした。
見た目通りトイレなども昭和っぽさ満点で、ラーメンの器一つにもなかなか味があり、田舎の店らしいゆるい接遇も懐かしいものだと言えるでしょうか。

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2020年1月 6日 (月)

高齢者の医療費負担増加はまだまだ序の口か

後期高齢者の医療費窓口負担がいよいよ2割に引き上げられそうだと言う話ですが、未だに対象者に関してきわめて限定的な条件をつけるべきだとか様々な反対意見があるようです。
個人的には単に窓口負担割合を変えるのではなく、年代に応じた医療給付の差別化こそ必要かと思っているのですが、後期高齢者に限らず医療費削減策が打ち出されることについて記事が多く出ています。

医療費改革で75歳超の薬代大幅アップ 湿布80倍、ビタミン剤76倍(2019年12月31日マネーポストWEB)

 政府は医療費を抑えるための制度改革を次々と打ち出そうとしている。その第一弾として、政府は2020年6月に自営業者や退職後の元サラリーマン(75歳未満)が加入する国民健康保険の保険料を値上げする方針だ。そして、第二弾として準備しているのが、75歳以上の窓口負担を現行の1割から2割に引き上げる案だ。
 この保険料値上げ、窓口負担増に続く医療費改革が「薬代」の大幅アップだ。これはすべての世代に影響が及ぶ。

 現行制度では、風邪を引いて病院にかかり、処方箋を書いてもらえば薬代にも保険が適用され、69歳以下は原則として薬価の3割、75歳以上は1割の負担となり、市販薬よりはるかに安く入手できる。どうしても薬の使用量が多くなる高齢者の強い味方だった。
 しかし、「全世代型社会保障検討会議」では、ドラッグストアなどで購入できる市販薬と同じような効果の「市販品類似薬」を医療保険の対象から外し、全額自己負担で買わせることを検討している。
 保険対象外となる薬の候補は、風邪薬(漢方の感冒薬)や花粉症治療薬、湿布薬、ビタミン剤、皮膚炎や乾燥肌などの痒みを取る皮膚保湿剤などが挙げられている。

 この改革による薬代の負担増は想像以上に大きい。財務省は財政制度等審議会に提出した資料で医療用医薬品(保険薬)と同じ成分・分量の市販薬(OTC医薬品)の価格を比較している。
 その資料をもとに作成した図を見ると、「全額自己負担」が現実のものとなった際に、どれだけ出費が増えるかに驚かされる。
 湿布1袋の医療保険の薬価は320円で、窓口負担1割となる75歳以上の人は「32円」で購入できる。それに対して同成分の市販薬のメーカー希望小売価格は2551円なのだ。
 腰痛や関節炎でつらい思いをして病院で医療用(保険薬)の「湿布」の処方を受けていた75歳以上の人が、湿布が保険の適用除外になって、ドラッグストアで買わなければいけなくなると、支払う薬代は一気に約80倍にハネ上がる計算である。
 同様に計算していくと「ビタミン剤」の薬代は約76倍、「漢方薬(感冒薬)」は約46倍、「皮膚保湿剤」は約22倍に負担が膨れあがることがわかる。

 年金生活の高齢者にとって風邪を引いても高くて薬が買えないという状況に直面しかねない。医師の間にも、「市販品類似薬」の保険適用を除外すれば、高齢者の薬の買い控えが起き、病状を悪化させてかえって医療費の増加を招くと懸念する声が上がっている。
 医療改革は保険料、窓口負担、薬代アップという家計へのトリプルダメージになる。

この場合医療費の公費負担削減に加えて、そもそも不要不急の受診を抑制することも狙っていることは明白ですが、確かに湿布やビタミン剤が本当に医学的に必要な人がどれほどいるのかとも思います。
世の中には自分が何か大病にでもかかっているのではないかと不安を訴え続ける患者なども一定数いて、安いビタミン剤で納得してくれるならかえって医療費が安くつくと言った意見もあるようですがどうなのでしょうね。
いずれにせよこうした改革で患者の受診行動も変化すれば、結果的に医療費がどうなるのか、国民の健康上の影響はどうなのかと言った検証も同時並行で必要となるはずで、今後の経過を見たいところです。
他方では医療費削減と言う点ではより影響が大きそうなのが高額な医療費を要する入院医療ですが、こちらも医療政策によりようやく世界水準の医療に近づきつつあるようだと報じられています。

「えっ!もう退院?」背景にある病院の綱渡り経営(2019年1月3日47ニュース)

 「家族がたった1週間で退院させられ、自宅での介護を余儀なくされた」という経験がある人もいるだろう。実際に2000年代以降、入院は大幅に短期化しているという。どういった背景があるのか。ニッセイ基礎研究所の篠原拓也氏に、公的なデータなどから読み解いてもらった。

▽入院医療費は16兆円

 医療の主要な部分を占める「入院」。病気になったばかりの「急性期」の患者や、重篤な症状の患者の医療を行う場合、さまざまな診療を効率的に行うため入院が前提となる。入院医療の質が、退院後の患者の回復や社会復帰を左右するといっても過言ではない。
 入院医療が国民の医療費に占める比重は大きい。厚生労働省のまとめでは、2017年度の医療費43.1兆円のうち、入院医療費は16.2兆円と、4割近くを占める。
 そうはいっても、「最近長く入院させてもらえなくなった」と感じる人もいるのではないだろうか。各種のデータから、その実態と理由を検証してみたい。
(略)
 (1)の新入院(患者調査を実施した日に新たに入院した患者の数)は、今も徐々に増加している。17年の新入院は人口10万人当たり44人。02年の36人から大きく増加した。高齢化が要因ではないかと筆者はみている。
 一方、(2)の入院から退院までの平均在院期間は短期化している。退院した患者の平均在院日数は、02年の37.9日から、17年には29.3日まで減った
(略)
 それでも、日本の平均在院期間は世界の国々の中でも突出している。これはOECDの入院患者の平均入院日数に関する統計をみると歴然だ。厚労省の患者調査とは算定方法がやや異なるものの、日本は2位以下の国を大きく引き離している。高齢化が進む中「なかなか退院できない」患者が未だ多いのも事実だろう。
(略)
 短期化の背景には何があるのだろうか。
 厚生労働省の第22回医療経済実態調査(19年11月発表)によると、民間の医療法人が運営する病院の18年度の利益率(損益の差額)は2.8%。前年度より0.2ポイント改善したものの、近年は1~2%台という「ギリギリ」の経営が続く。
 一方、入院診療収益のない医療法人の診療所の利益率は6.3%、個人経営の診療所にいたっては30.4%という高水準だ。つまり、入院医療は他の医療に比べて、収益性が低いのだ。病院にとって入院医療の収益性向上が長年の課題となっている。
(略)
 現在、病院の一般病棟のケースでは、入院1日当たりの基本料は、7人の患者に対して1人の看護職員が配置されている場合は1万5910円。患者が10人になると1万3320円、13人だと1万1210円だ。15人では9600円となる(公的医療保険が適用される場合、患者の自己負担額はこの金額より少なくなる)。
 ただし、この基本料の設定には、その病棟に入院する患者の平均在院日数に要件が設けられている。患者7人に1人の看護職員がいる場合、患者を平均18日以内に退院させなければ基本料は減額される。
 患者が10人になると21日以内、13人では24日以内、15人で60日以内。病院側は前述の基本料を確保するために、この要件を強く意識するようだ。
 病院の一般病棟などでは、入院から間もない患者については、基本料などに「初期加算」が上乗せされる。一般病棟の場合、加算額は、1~14日は1日当たり4500円。15~30日は1920円。31日以降は加算されなくなる仕組みだ。病院側は、加算額を得るため、日数を意識せざるを得ないようだ。2017年の患者調査では、退院した患者の7割は14日以内に退院していた。
(略)
 現在、進められている国や自治体の地域医療構想では、介護施設を充実させて入所を促す「医療から介護へ」の流れが目指すべき方向性の一つとされていることも背景にある。
 しかし、介護施設の充実のためには、用地の選定・建物の建設だけでなく、介護職員体制の整備、補助金を含む財源確保など、課題が山積している。地域ごとに事情が異なるため、それぞれの自治体で検討を進めていかなければならないものの、進み具合はまちまちなのが実情だ。
 入院を短期化できるかどうかは、地域医療構想の実現にも密接にかかわっているといえる。

ひところ話題になった救急崩壊などに代表されるように、医療と言えば真っ先に注目されやすいのが何かあったときに救急の受け入れ先はあるか、すぐ入院出来るかと言う急性期医療のキャパシティの問題です。
ただ急性期の医療を担当する基幹病院に負担が集中しスタッフが疲弊する、あるいは常時満床で物理的に受け入れられないと言った諸問題を考えれば、急性期からどう患者を送り出すかが重要な課題ですね。
地域医療構想に基づいて一部の受け入れ実績の乏しい急性期病床は、こうした急性期からの受け皿としての役割を担っていくことが求められると思いますが、この場合診療報酬が安くなると言う問題もあります。
安定し手間がかからなくなった患者であれば多大なリソースや高いコストはかけなくていいはずだと言うのもごもっともですが、受け皿として病院経営が成り立たないのであれば誰も引き受けたくないのは当然ですね。

長期入院患者の問題はリハビリに長い期間を要するなど高齢者になるほど発生しやすくなるのは記事の分析にもある通りですが、長期入院となれば患者の支払いは自己負担上限に達している場合が多いでしょう。
逆に言えば患者側にとっては病院を出て介護施設なりに移るメリットが乏しいことも、皆保険制度下の日本でこれだけ長期入院が蔓延してきた理由でもありますが、その結果として医療費も増える道理です。
こうした点を比較した場合、外来で湿布薬を保険外にすることで節約出来る程度の金額よりも、入院医療の在り方をどうにかした方がよほど医療費を削減出来そうだとは誰にでも判る話だろうとも思います。
湿布薬は薬屋で買ってねと言う話と同様、もう救急病院にいる必要はないから他所に行ってねと言う話ですが、さて患者に対してどう説明したものか工夫がいりそうですよね。

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2020年1月 1日 (水)

あけましておめでとうございます&今日のぐり:「うどん坊」

あけましておめでとうございます。本年も当「ぐり研」はのんびり継続中です。
さて、日本では鼠小僧の伝説がありますが、先日アメリカでもこんな事件があったそうです。

「メリーXマス!」と現金まく 白ひげの銀行強盗逮捕―米(2019年12月25日時事ドットコム)

 【ロサンゼルス時事】米西部コロラド州で23日、白いひげを生やした男(65)が銀行に押し入り、警察に逮捕された。地元テレビ局KKTVは目撃者の話として、男が奪った現金を路上でばらまき、「メリークリスマス!」と叫んでいたと報じた。

 事件は23日昼ごろ、同州コロラドスプリングズの中心街で発生。男が武器を持っていると主張して窓口係を脅し、銀行から現金を奪った。しかし、店舗の外に出ると、かばんから現金を取り出して投げ散らかした。現金の一部は通りかかった人々によって回収されたという。

写真を見ますと確かにあのお方っぽいところもあるでしょうか、何にしろ銀行強盗はよろしくありませんでした。
本日は白髭の男の更生を願って、世界中からなんとなくそこはかとないありがたみを感じるニュースの数々を取り上げてみましょう。

偶然を超えた奇跡のレベル 阪急電車大阪梅田駅のワンシーン(2019年11月13日神戸新聞)

 <令和1年11月11日 大阪梅田駅11時11分発 ちょっとした偶然が>阪急電鉄公式アカウント(@hankyu_ex)の11月11日のツイートが話題です。
(略)
 いつか起こるかもしれない次の奇跡。皆さん、信じて待ちましょう。(ネクスト編集部 金井かおる)

何がどう奇跡なのかは元記事の写真をじっくり拝見いただきたいのですが、これが完全な偶然だと言うのも大変なものですね。
子供の頃から科学に対する教育が重要であるとは知られているところですが、こちら身を挺して学童教育を続けてきた熱血女教師が話題です。

奇抜なボディスーツで「人体の構造」を教えた小学校教師のアイデアに称賛の声(2019年12月25日テックインサイト)

このほどスペインで、斬新なアイデアで児童に「人体の構造」の授業を行った女性教師が話題になっている。通常は人体模型などを使って教えるところだが、彼女は奇抜なボディスーツを着用し自ら人体模型となった。『Mirror』『New York Post』などが伝えている。

スペインのカスティーリャ・イ・レオン州バリャドリッドに住むヴェロニカ・デュケさん(Verónica Duque、43)は、化学、社会、芸術、英語、スペイン語と様々な科目を受け持つ教師として15年のキャリアを持つベテランである。
そのヴェロニカさんは現在、小学校3年生の児童を担当しているが、今月16日に彼女の夫マイケルさん(Michel)がその授業風景をTwitterに投稿したところ、大きな話題を呼んだ。
(略)
マイケルさんは「僕はこのアイデアいっぱいの女性を誇りに思う! 彼女が妻なんて僕は本当にラッキーな男だよ。彼女はとても独創的な方法で人体の構造を教えていて、児童達は夢中になっていました。やったね! ヴェロニカ!」と記している。
(略)
このマイケルさんの投稿には6万7千件以上もの「いいね」がつき、ヴェロニカさんに対して多くの称賛の声が集まった。
「彼女のように教えることに意欲を持った先生が世の中もっと必要だと思います。」
「イノベーションと創造性に優れた事例といえるね。学習するうえで興味を持たせる彼女のやり方は必要なことだと思う。」
「彼女は私が小学5~6年生の頃に家庭教師をしてくれました。私が会った中で最高の教師です。大学の授業よりも彼女の授業はハッキリと覚えています。」
なかには現役の教師と思われる人から「世間から教師は怠慢な公務員という印象を取り払って欲しいと願っています。私達はそんなに怠慢ではありません」というコメントも見受けられた。

ちなみにヴェロニカさんは今回の授業以外でも、度々生徒を驚かせることがあるという。たとえば歴史の授業で歴史上の人物の格好をして授業を行うこともあるそうだ。

その独創的な様子は元記事の画像を見れば一目瞭然ですが、ヴェロニカさんはさして大柄でもないにも関わらず何故か世間では「巨人…」と言うつぶやきが多かったそうです。
登山中の遭難事故は大変に恐ろしいものですが、こちらある意味でそれ以上に怖いとも言える経験をしたと言う遭難者のニュースです。


幽霊が遭難者を救ったと話題「映画化して」「キャスパー?」(2019年11月28日女性自身)

台湾で遭難していたハイカーが10日ぶりに発見されたが、「幽霊のカップルにガイドしてもらった」と告白。ASIA TIMESが11月22日に報じたところ、ネットで話題を呼んでいる。

ASIA TIMESによると、60歳の宋瑞雄さんは屏東県にある山々をハイキングしていたが遭難。栄養源は川の水や天然の砂糖。しかし岩壁を登っていたときに、メガネを紛失。一度は洞窟に避難したものの、やがて「このままではいけない」と決意。そこを後にしたところ、あるカップルに出会ったという。
宋さんは彼らと並んで2時間歩き、その間は日々の生活について話していたという。ところが突然、彼らはいなくなった。振り返っても姿が見当たらず、彼らを見つけることができない。その代わりに、宋さんは山の麓へと続く道を発見したというのだ。
やがて地元の村人たちに発見され、すぐに警察署で保護された宋さん。出会った幽霊のことを台湾土着の祖先の霊だと信じているという。

ネットでは《是非とも映画化してほしい》《メタフィジックなものが歩いていたと……》《キャスパーかな? 彼はとても優しいからね》といった声が上がっている。
日本でも10年7月、三重県・鎌が岳で遭難した男性が不思議な2人組みに助けてもらったというニュースがあった。
asahi.comによると、山中で男性が遠くにヘッドランプの灯りを発見。大声で助けを求めたところ、40代くらいの男性2人組がやってきて道案内をしてくれたという。そして下山。しかし、その直後に2人の姿が見えなくなったのだ。警察は「御在所岳で夜の登山客は通常考えにくいが、無事下山できて何より」とコメントしたという。

何にしろ助かって良かったと言う話ですが、こういうものは何らかの幻覚なり潜在意識的な何かの発露なのでしょうか。
こちら中国から先日のサッカー国際大会に関連して、炎上騒動が一転して…と言う珍しいニュースです。

中国ボディコン記者がサッカー記事で大ミス連発も画像流出で状況一変(2019年12月19日東スポ)

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】サッカーの東アジアE-1選手権(韓国・釜山)で、中国人男女が“ラフプレー”を連発。女性の方はサッカー選手でもないのにアジア中で脚光を浴びるハメになった。

 サッカー森保ジャパンが2―1で下した10日の日中戦では、ロングボールを空中で奪い合う際、DF姜至鵬がMF橋岡大樹の頭部を蹴りつけた。これは「カンフーキック」と批判され、中国メディアも「恥ずべきプレー」と厳しい論調だった。
 追い打ちをかけるように、山東省の半島都市報(バンダオニュース)が中国代表選手23人のうち、なんと15人もの選手名を間違えた記事をネットにアップ。敗戦ストレスもあってか、中国ネット民は「国の代表に対する侮辱」「編集者は何しているのか」「校正しないまま記事をアップするのか」と同紙を批判した。
 記事を書いた女性記者・ケイ成博さんのSNSも炎上。「お前はサッカー見たことあるのか?」「プロフィルには海大(中国海洋大学=青島の一流大)卒業とあるが、疑わしい」「代表選手の名前も知らない記者がいるとは驚き」など書き込みが相次いだ。
 さらにケイさんの経歴が掘り返され、2014年のアジア大会、昨年のW杯でも取材経験アリとわかると「選手に興味もないのに、何年もサッカー記者をやっているのか」とサッカーファンは激怒。ところが、ケイさんの写真が発掘されるや、ネット世論は一転する。大きな瞳に小さな鼻、ぽってり唇が印象的な色白美人だったからだ。

中国IT大手テンセント系列のネットメディア・騰訊網は、プレスパスをぶら下げ、ピンクのボディコン姿で闊歩するケイさんのセクシーショットを公開。どう見ても同業者の隠し撮りっぽい写真は中国のみならずアジア各地のメディアが転載し、拡散しまくっている。
 美乳でヒップラインもエロく、ネット民はクギ付け。ミスなどそっちのけで「恋に落ちた」「誰にだって誤りはある。私たちは彼女を許さなくてはならない」「間違えられた選手たちも、きっと名誉に思っている」などと寛大な声が広がった。一方で「この体を駆使したコネ採用なのか」「外見で世論が左右されるのはフェアじゃない」といった意見も多い。
 あまりの反響で半島都市報サイドは、ケイさんを研修記者に降格させ、教育をやり直すと発表。記事のミスも訂正、謝罪した。ただ、ケイさんの美貌とナイスバディーが広く知られることになったベトナム、インドネシア、シンガポールなどでは「彼女が国際大会の取材に来る日を待ち望んでいる」と気の早い声も。来年の東京五輪では拝めるか。(室橋裕和)

まあこれも人間の本能に基づいた行動とでも言うのでしょうか、何にしろこれを教訓に良いサッカー記者になれればいいですね。
最後に取り上げますのも中国からの話題ですが、内外の多くの方々に衝撃を与えた献身的な美談と言うことです。


機内で乗客が膀胱破裂の危機 自らの口で尿を吸い取り救った医師(2019年11月23日テックインサイト)

中国広東省広州から米ニューヨークまでの約15時間40分のフライト中に、70代の男性が突然苦しみ出した。男性は膀胱にたまった尿が排泄されなくなる尿閉を起こしていたが、ある医師の機転により危機を脱することができたという。『Metro』などが伝えている。

広州白雲国際空港を発ちニューヨーク・ジョン・F・ケネディ国際空港へ向かう中国南方航空(CZ399便)の機内で今月19日、ある男性が冷や汗をかいて苦しんでいることに客室乗務員が気付いた。『Express.co.uk』によると時刻は午前1時55分で、客室乗務員はアナウンスにより医師の助けを求めた。
これに応えたのが、同機に搭乗していた広州市曁南大学附属第一医院に勤める血管外科専門医のチャン・ホン氏(Zhang Hong)と海南省人民医院のショウ・ジャンシャン医師(Xiao Zhanxiang)だった。
男性は70代で、過去に前立腺が肥大して排尿障害を引き起こす前立腺肥大症を患っており、膀胱にたまった尿が排泄されなくなる尿閉を起こしていた。

腹部が膨張してショック状態に陥っている男性を診察したホン医師は、尿を排出しないと膀胱が破裂し危険な状態にあると判断。応急処置として携帯用酸素ボンベについていたプラスチックの管、機内の緊急応急セットのシリンジ、牛乳パックのストロー、テープなどを利用して簡易カテーテルキットを作った。しかし上手く排尿ができない。
そこでホン医師は、プラスチックの管を使って尿を自分で吸い取り、口に溜まった尿をカップに吐き出す手法に切り替え、膀胱から約800ミリリットルの尿を取り出すことに成功した。これだけの尿を吸引するのに37分を要したが、男性の容態は安定した。

ホン医師はその後、中国メディアのインタビューで「人を救うことが医師の務め。その時は男性を助けることしか頭になかった」と語っており、このニュースには「医師の鑑」「なかなかできることではない」「男性はこんな医師が乗り合わせていて運が良かったんだろうね」など、ホン医師を“ヒーロー”と呼んで称えるコメントが多数あがっている。

誰しも自らが同じ立場に置かれた際に同じことが出来るかと考えてしまうニュースで、多くの人間に深い感銘と衝撃を与えたようです。
何にせよ男性が助かって良かったと言うものですが、長期の旅行をされる際にはくれぐれも体調管理には気をつけたいものですね。

今日のぐり:「うどん坊」

倉敷市街地の一角にあるこちらのお店、以前にもお邪魔した際に親子丼がうまかった記憶があります。
近隣に競合の飲食店も多い中で長年安定的な営業をされているようで、現在は2代目のご主人なのだそうですね。

今回は親子丼をセットで頼んで見ましたが、いくつかから選べるうどんはざるうどんを選択しました。
問題の親子丼は出汁でホロホロになるまで煮込んだ鶏肉に、とろり頃合いの卵とじも決まってなかなか美味いですよね。
うどんはこの地域では比較的珍しい硬めのうどんですが、硬いだけでなくコシもしっかりあり、舌触り喉越しも良好でした。
付け合わせの自家製の漬物もなかなかしっかりしたものですが、この界隈では珍しく醤油が付いてくるのが面白いですね。

全体に以前お邪魔した数年前よりも良くなっている印象ですが、代替わりしてから手技的にも安定してきたと言うことでしょうか。
接遇面も伝統のある老舗だけに手慣れたものですが、やはりどちらかと言うとうどんよりも親子丼の方が気になるお店と言う印象がありますかね。

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