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2019年12月

2019年12月27日 (金)

今日のぐり:「そばの館」

先日のクリスマスを前にして、こんな話があったようです。

「リア充爆発しろ!」クリスマス粉砕デモ、渋谷で2年ぶり実施 「今年も我々の勝利だ」と手応え感じる(2019年12月21日キャリコネニュース)

“恋愛資本主義”の打倒を掲げる団体「革命的非モテ同盟」は12月21日、渋谷駅周辺で恒例の「クリスマス粉砕デモ」を実施した。ニコニコ生放送による中継が行われる中、参加者たちは約40分間にわたり、クリスマスの機運が高まる街中を練り歩いた。

同団体の代表、秋元貴之氏(36)は出発前に
「私たちはモテない人たちの集まり。日本の商業主義的クリスマスを粉砕するため、きちんと訴えていきたい」
と改めて趣旨を説明。13年前の同盟結成時から使い続けているという黄色の旗を高らかに掲げて街に繰り出した。
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デモに毎回参加しているという30代男性は
「晴れ晴れした気持ち。とてもすっきりした」
と達成感を感じた様子。だが、「まだまだ世の中にはクリスマス至上主義が絶えない」と来年以降も引き続きデモに参加する意志をのぞかせた。

まあなんと言うべきなのでしょうか、当日にやらないあたりに微妙な節度を感じると言いますか、何にしろお疲れ様でしたとしか言いようがありませんね。
今年最後の更新として、本日はリア充も非モテも幸せになれるよう祈念して、世界中からなんとなく微妙に切なくなるようなニュースを紹介してみましょう。

実践して切なくなった節約術「水シャワー」「ティッシュを半分にして使う」「スーパーで割引シールが貼られるのを待つ」(2019年12月23日キャリコネニュース)

ライフネット生命保険は12月23日、「消費税増税による家計の見直し・節約に関する調査2019」の結果を発表した。調査は今年10月にネット上で実施し、ネットエイジアリサーチのモニター会員で20~59歳の男女1000人から回答を得た。

今年10月に消費税率引き上げが実施された。今回の増税で月々どれほど負担が増えたかを聞くと、平均5655円となった。月々に節約したいと思う額は平均6766円で、子どものいる家庭で平均8193円となる。
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実践して切なくなった節約術を聞くと、1位は「食費の見直し・削減」(106件)。具体的には「昼食を抜きにする」(30代女性)、「肉や魚のない野菜だけの食卓」(30代女性)といった声が寄せられた。
2位は「水道代を削減・節水」(32件)で、「トイレのタンクにペットボトルを入れる」(40代女性)、「家に帰る前に外出先でトイレを済ませる」(50代女性)という人も。3位は「光熱費を削減・節水」(28件)で、「水シャワー」(20代男性)や「昼はあまり電気をつけない」(30代女性)といったことを実践している人がいた。
4位は「外食費を削減する」(20件)で、「外食を減らす」(30代男性)、「安い店で外食」(30代女性)といった声があがった。5位の「セール・割引を利用する」(18件)でも、「スーパーで割引シールが貼られるのを待つ」(30代女性)、「特売セールをはしごする」(50代女性)と食品関係を安く抑えるコツが挙げられた。
6位以降、「間食を減らす」(13件)、「日用品を節約する」(12件)、「安い食材を利用する」(11件)と続き、
「デザートを買わない」(20代女性)
「ティッシュを半分にして使用する」(50代女性)
「もやし生活」(20代女性)
「カップ麺ばかり食べる」(20代男性)
といった声が寄せられた。また「ひたすら我慢する」(30代女性)という人もいた。

この時期の水シャワーは命の危険もありますから是非ご遠慮いただきたいのですが、しかし確かに見るだけでも切なくなるような話が並んでいますね。
犯罪行為はもちろん許容されるものではありませんが、こちらその発覚の有様があまりに惨めだと話題になっていたニュースです。

免許証で25歳さば読み 偽造ばれて59歳男逮捕(2019年12月25日神戸新聞)

 25歳さばを読んで発覚-。偽造した運転免許証で口座を開設しようとしたとして、兵庫県警明石署は25日までに、詐欺未遂の疑いで神戸市西区の無職の男(59)を逮捕、送検した。偽造した免許証の年齢は34歳になっており、「若すぎる」と疑った金融機関の職員が通報した。

 同署によると、男は9日正午前、同県明石市松の内2の金融機関で偽造した運転免許証を示し、口座開設を申し込んだ疑い。窓口の職員が男の容姿と、免許証に記された生年月日を比べて不審に思い明石署に通報。現場にかけつけた署員が現行犯逮捕した。
 同署によると、男はインターネットを通じて偽造免許を注文し購入。「口座は売却し、生活費などに充てるつもりだった。年齢をすぐに答えられるよう知人の生年月日にしたが、もっと年上にしておけばよかった」と容疑を認めている。

知人の生年月日を記憶しているくらいなら新たな架空の設定も記憶出来そうなものですが、何にしろ金融機関の職員はお手柄でした。
こちらも全国各地の自治体でたびたび話題になるニュースですが、元記事の画像も参照頂ければと思います。

【炎上】名古屋の学校給食が刑務所の監獄食よりも粗末だと判明 / 全国から怒りの声「子供を大切にしない町」(2019年12月24日バズプラスニュース)

名古屋市の子供たちが食べている給食が、あまりにも質素、粗末、少なすぎると大炎上している。怒りの矛先は名古屋市教育委員会などを含む自治体、そして河村たかし名古屋市長だ。

・成長に悪影響があるんじゃあないの?
炎上の原因は自治体だが、炎上として燃え上がるきっかけとなったのは、東海テレビが2019年12月5日(木曜日)に報じた、名古屋市の給食に関する情報だ。2009年と2019年の給食を比較して紹介しているのだが、2009年の給食でさえ物足りなさを感じるが、2019年の給食は「こんなに少なくて生きていけるの?」「成長に悪影響があるんじゃないの?」と心配してしまうほどの献立。
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・怒りの声が出るのも理解できる
インターネット上には複数の「粗末すぎる給食」が画像として掲載されており、拡散し、多くの人たちが子供たちを心配し、怒りの声を上げている。すくすくと成長し、学習し、未来の日本を担う子供たちが食べる食事とは思えず、怒りの声が出るのも理解できるというもの。

・子どもに給食を満足に与えない理由
何よりも驚いたのは、現在、網走刑務所で受刑者が食べている監獄食よりも、名古屋市の給食のほうが粗末という点だ。大人と子供で食べる量に違いがあるとはいえ、大きく差がありすぎる。受刑者にまともな食事を与えるのは良いが、子どもには満足に与えない理由とは何なのだろうか。

量もさることながら見た目や栄養価の面でも如何なものかですが、盛り付け等の工夫でなんとかなるものでもないようにも感じます。
最後に取り上げますのはこれもありそうな話ではあるのですが、やはりもの悲しいものも感じると言うニュースです。

ドライバーの95%は子どもよりも「フワフワのケーキ」を載せた時の方が安全運転を心がけることが判明( 2019年12月21日 GigaZiNE)

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オーストラリアの保険会社であるNRMA Insuranceは1000人以上のオーストラリア人を対象にアンケートを実施したところ、男性の77%、女性の65%が「自身の運転技術に自信を持っている」と答えたそうです。また、回答者の27%が「運転中に食事をする」、26%が「信号が青に変わった瞬間にアクセルを踏む」と答えたとのこと。また、25%が「後部座席に座る子どもの対応でよそ見運転をしてしまったことがある」と回答したそうです。
そこで、NRMA Insuranceは20人の被験者に「1人での運転」「子どもを車に乗せて運転」「パブロヴァを車に載せて運転」という3種類の運転を行わせて、その運転技術を評価する実験を8日間かけて行いました。

走行実験後のアンケートでは、半数のドライバーが「子どもを乗せた時の方が慎重に運転した」と答え、「パブロヴァを車に乗せた時に慎重な運転を心がけた」と答えたのは全体のわずか12%だったとのこと。
しかし、実際は95%のドライバーがパブロヴァを車に載せた時に最も慎重なブレーキングを行い、コーナーを曲がる精度も上がったことが判明。また、パブロヴァを車に載せた場合、携帯電話の使用が45%減少し、20%の被験者でスピード制御の向上が見られました。

心理学者のエイドリアン・カミレリ博士はNRMA Insuranceによる一連の調査結果を受けて、「人は運転を覚えてすぐの時はさまざまなことに注意を向けるものですが、運転経験を積むにつれて惰性で運転するようになってしまうため、注意力が失われていきます」とコメント。しかし、「車にフワフワのケーキを載せる」という状況は通常ではありえないため、ドライバーは注意深く運転するのだろうと、カミレリ博士は推測しています。
なお、NRMA Insuranceはこの調査結果を基に安全運転を促すムービーを公開しています。

日本でも豆腐の配達などで同様の傾向が見られたとか見られないとか言うのですが、本来なら壊れて深刻なのは子供の方であるはずですよね。
年末年始は交通状況も普段とは違ったものになりがちですが、平常心を保って安全運転を心がけて頂きたいものです。

今日のぐり:「そばの館」

岡山県北に広がる蒜山高原は避暑地として、また昨今B級グルメでも有名ですが、もともと蕎麦の栽培でも知られた土地です。
こちらインターから降りてすぐのわかりやすい立地の人気店ですが、地域で唯一蕎麦の栽培から一貫して自前でされているそうですね。

今回は新メニューだと言うきつね蕎麦(冷)を頼んで見ましたが、いわゆるぶっかけスタイルでトッピングの大きな油揚げが目立ちます。
蕎麦はやや硬めですがコシの強い、しゃっきりした細打ちの蕎麦で、相変わらずなかなかレベルが高い蕎麦だと思いますね。
少し意外だったのが以前は相対的に少し物足りなかった蕎麦つゆが改善されていて、これなら蕎麦に見合ったものになっていると思いました。
油揚げも甘すぎずちょうどいい味加減で、全体としてこれもなかなかうまいメニューでいいのではないでしょうか。
暖かいきつね蕎麦も少しつまんでみましたが、こちらは普通に油揚げの載ったかけそばで悪くないのですが、冷たい方が好みでしょうか。

繁盛店だけに以前は少し不満も感じていた接遇もかなり手馴れたものになっていて、全体に良い具合に発展されているなと感じました。
店内も広くトイレも整っていますが、ちょうどお向かいが道の駅であるだけにそちらもあわせて利用される方が多いようですね。

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2019年12月23日 (月)

立場が違えば見え方も異なるのは当然であり

医療費削減政策の一環として、さらに多くの医薬品を保険診療の対象から外そうと言う動きが報じられていますが、これに意外なところからクレームがついたようです。

生活保護の人々からなけなしの健康を奪う「医療券」のカラクリ(2019年12月13日ダイヤモンドオンライン)

 来年度から「市販薬類似薬」を公的健康保険の対象外とする検討が、政府で行われている。同様の検討は、過去数回行われては立ち消えとなっている。今回も立ち消えになるかもしれないが、現実化する可能性もある。
 もしも現実になると、生活保護で暮らす人々にとっては、特に大きな打撃だ。公的健康保険でカバーされなくなると、生活保護でもカバーされなくなる。街の薬局で医薬品を購入する費用は、健康で文化的な「最低限度」の生活費から捻出され、生活は「最低限度」以下になる
 費用が捻出できず購入できないと、病気の症状を放置することになる。いずれにしても、「最低限度」のはずの生活から何かが削られる。とはいえ、「医療が無料だから、不要な診察や検査や医薬品を欲しがる生活保護の人々」という俗説は根強い。一部に実在しているのも確かだ。

 実際は、どうなのだろうか。生活保護のもとで暮らす2人のシングルマザーと、生活保護で暮らす人々の医療にあたる1人の開業医に尋ねてみた。
 大都市に住むシングルマザーのリンコさん(50代)は、次のように語る。
「そうなったら……ウチでは医薬品を買えなくなるでしょうね。病気を悪化させて、『どうしても、病院に行かなくては』というところまでガマンして、結果として医療費を増やすことになるだろうと思います」
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 病気を悪化させず、医療コストを抑制するために有効な「早期発見早期治療」からリンコさんを遠ざけているものの1つは、様々な「生活保護差別」だ。

 しかし、リンコさんとマミさんは今シーズン、すでにインフルエンザの予防接種を自費で終えている。生活保護の暮らしから、合計8000円以上の予防接種費用を負担する理由は何だろうか。
「罹ってしまったら、医療を受けるための時間や手間や体力や気力が必要です。交通費が必要かもしれません。脱水を予防する必要もありますし、栄養のあるものを食べる必要もあります。そう考えれば、まだ予防接種の方が安くつくんです」(リンコさん)
 極めて合理的な、素晴らしい危機管理だ。言い換えれば、リンコさん母娘の日常はそれほどの危機なのだ。私は言葉が出なくなった。
 なお、通院に必要な交通費は「通院移送費」として生活保護に含まれており、申請すれば後払いで精算される。しかし病気で心身が弱っているとき、「またケースワーカーに嫌味を言われるのか」と考えたら、申請できなくなるのが自然ではないだろうか。
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 生活保護制度が発足した1950年、まだ国民皆保険制度は成立していなかった。医療を給付するために考案されたのが、「医療券」だった。
 生活保護制度が発足してから11年後の1961年、国民皆保険制度が施行された。このとき、生活保護の医療を国民健康保険に統合し、低所得による保険料や自費負担の減免の延長に、保険料と自費負担の「0割負担」を設定するという選択肢もあった。
 しかし実現させると、「もともと医療ニーズが高い」という生活保護の事情が、国民健康保険に持ち込まれる。保険料も自費負担も、軽減しにくくなるだろう。統合の検討は実際に繰り返されてきたが、健康保険側の抵抗によって実現しなかった。統合は無理でも、医療機関に「生活保護」という情報を与えない方法を考案することは可能だろう。とはいえ、もしも実現すると、ごく一部の「無料だから不要な医療を求める」という傾向が促進されるかもしれない。

 この危惧に対して、開業医として「貧」や「困」を抱えた多くの患者に接してきた医師の松尾徳大氏は、次のように語る。
「医療の原則の1つに、『オーバートリアージ(過度の救済)は許容されるべき』というものがあります。ですから、制限は設けない方が良いと思います」(松尾さん)
 生活保護の「医療券」制度による受診控えや治療の遅れは、医療の利用抑制につながっているかもしれない。でも結果として、健康に大きなダメージを与えがちだ。松尾さんが医師として問題視するのは、患者の健康と生活と幸福が損なわれていることだ。もちろん結果として、より多額の医療費も必要になる。
「いわゆる“不公平感”を抱く方々も多いことは承知していますが、普遍的な社会保障の1つであるということを、皆さんにご理解いただくしかないかなあ、と思っています。誰もが、当事者になり得るのですから」(松尾さん)
 今、健康保険料を支払うことができているのなら、市販薬類似薬の健康保険からの除外は「仕方ない」と受け止めることが可能かもしれない。でも生活保護の当事者が、薬を買えなくなると何が起こるのか。少しだけ、そういう毎日を想像してみよう。

医療現場の方々の実感とはかなり異なる部分もあるのではないかと思うのですが、もちろん世の中広いですからこうしたことで実際に困っていると言う方々もいらっしゃるかと思います。
ただ一般論にどんな制度であれ国民全てに久しく完璧で素晴らしいものにはならないのは仕方のないことで、そうであるからこそなるべく多くの方々に許容出来る妥協点を探すと言うのが政治の仕事でしょう。
その意味ではどこまでを保険薬の対象から外すべきかと言う議論は引き続き必要ですが、一定程度市販薬へ移行していくことについては国民負担との兼ね合いで許容される妥協点ではないかと思いますね。

この種の多くの人々は許容しているが特定の立場から見れば大問題と言うことは幾らでもあって、例えば死刑制度などは昔から繰り返し議論になっているものの、未だ廃止しようと言う具体的動きは見られません。
ある程度広く国民に受け入れられているものであれば最後は多数派の主張が通りやすいのは当然なのですが、他方では議論そのものが別れている問題も少なくなく、命に関わる問題などはその好例でしょう。
https://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/20150401_6.html
ただ議論そのものを進めなければ認識も深まらないのは当然なのですが、先日NHKが放送した番組を巡ってこんなクレームがついていると報じられていました。

NHK「安楽死」番組に波紋…障害者支援団体が問題視する点とは?(2019年12月20日AERA)

 医師の幇助による自殺が認められているスイスに渡った難病患者を取材したNHKのドキュメンタリー番組が波紋を呼んでいる。障害者・難病患者の支援団体が放送倫理上問題があるなどとして声明を出した。医療ジャーナリスト・福原麻希氏が問題点とその背景を取材した。

 番組は今年6月放送のNHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」(詳細は後述)。放送後に障害者や難病患者の自立生活を推進する団体「日本自立生活センター(JCIL)」(京都市)が「障害者・難病患者の尊厳や生命を脅かす」として声明を出した。NHKに質問状を送り、回答を得た上で、さらに放送倫理・番組向上機構(BPO)に放送倫理上の問題の有無の調査・審議を依頼した。障害者や難病患者に、番組はどのように映ったのか。

 まずはこの番組を見た人を取材した中で聞いた、ある重度障害者の女性の声を紹介する。
 京都市在住の岡山祐美さん(39)は頭や首を支えるヘッドレストと背もたれがなければ、上半身が崩れ落ちてしまい座ることもできない。食事・寝返り・トイレなど、生活のすべてで介助が必要なため、24時間連続の重度訪問介護を利用しながら、家族と離れて一人で暮らす。
(略)
 NHKの番組では、安楽死した女性と同じ病気に罹患しているが、人工呼吸器を装着して家族と共に生きることを選んだ女性のことも紹介した。岡山さんはこう感想を漏らす。
「2人の事例が出てきたものの『重度障害者になったら死んだほうがいい』というメッセージのほうがより強く印象に残りました。私と同じような境遇の人に安楽死を誘発しないといいですが……」

 JCILが6月に公表した声明には、こんな文章が並ぶ(声明から抜粋)。
 ──私たちの中には、障害や難病による不自由な日常生活や様々に受ける差別の中で、毎日がこんなに苦しいのだったら、こんなにみじめな思いをするのだったら、死んでしまいたい、家族に迷惑をかけて生き延びたくない、などと思っている者、思ってきた者が少なからずいます。
 ──今回の報道は障害や難病を抱えて生きる人たちの生の尊厳を否定し、また、今実際に「死にたい」と「生きたい」という気持ちの間で悩んでいる当事者や家族に対して、生きる方向ではなく死ぬ方向へと背中を押してしまうという強烈なメッセージ性をもっています。

 声明を起案したメンバーで、JCILの介助コーディネーター(支援者)の渡邉琢さんはこう話す。
「日頃から障害者や難病患者は『ベッドで寝たきりのまま生きていて、どうするの』と社会から生に対する否定的なメッセージを浴び続けています。番組の影響を考えると、社会がさらにその方向へ動くのではないかという怖さや強い危機感を持ちました」


 さらに、JCILが問題視したのは、番組で放送した安楽死に至る瞬間の映像だった。医師が致死薬の点滴を処方し、女性が手首のストッパーを外すと眠るように亡くなった。それは視聴者にとって、まるでドラマのようにも見えた。
 実際のできごとをそのまま映したそのシーンは重度障害者や支援者に衝撃をもたらしただけでなく、「放送番組の倫理基準から逸脱しているのではないか」とJCILは指摘する。
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 だが、NHK報道局はJCILへの回答書でスイスの自殺幇助団体の「自殺とは単純に言えない」の見解を引用してこう説明する。
 ──安楽死は実現に厳格な要件(筆者注:1.耐えられない痛みがある2.回復の見込みがない3.明確な意思表示ができる4.治療の代替手段がない)があることや医師が介在すること等、世間一般に言う「自殺」とは大きく異なる部分があるため、自殺に関する放送基準が必ずしもそのまま妥当するとは考えていません(回答書の抜粋)。
 この点について、JCILの声明公表時にコメントを書いた鳥取大学医学部の安藤泰至(やすのり)准教授(生命倫理・死生学)はこう指摘する。
番組のようなケースを『自殺ではない』とするのは合法化していくための政治的な戦略です。自殺という言葉のイメージが悪いから、言い換えをしなければならないわけです」

 安楽死合法化について、海外では1970年代からオランダや米国で議論されてきた。国内でも海外で安楽死のニュースが流れたり、医療における裁判の解説などで議論されたりしたこともあったが、全体的に安楽死の議論は端緒についたばかりとも言える。
 NHKのこの番組に取材協力をした横浜市立大学国際教養学部の有馬斉(ひとし)准教授(倫理学・生命倫理)は、合法化の問題点について、こう指摘する。
安楽死合法化賛成派の意見は『自分で死を選べるようにするべきだ(自己決定の尊重)』『痛みや苦しみから解放してあげるべきだ』などとわかりやすい。一方、反対派の障害者・難病患者が置かれている状況や合法化によるリスクは社会から見えにくい。理解されにくいから問題になるわけです」
(略)
 さらに、この番組では「患者と社会とのつながり」が出てこなかった。特に、がんや神経難病の患者には医療者による「緩和ケア」が生きる支えになる。
「NHKの番組で取りあげられた女性のような神経難病に対する緩和ケアはまだ普及していません。そのようなときに、安楽死を合法化する流れができることは危ないです」と川崎市立井田病院緩和ケア内科医長の西智弘医師は指摘する。
(略)

これまた何が正解と言うことは恐らくはなく、今後も引き続き議論が続けられていくだろう問題ですが、世界的に見ればこの種の安楽死への需要は決して少ないものではなく、合法化されている国も出てきています。
難病であれその他の事情であれ自分から死にたいと思う人は多数派ではないのだろうし、多数派であるべきでもないでしょうから、きちんとした社会的サポートが用意され生きていけるような環境が望ましいのは当然です。
ただその上でもやはり考え方の個人差はあるので、こうした番組こそ待ち望んでいたと言う人も一定数はいるはずなのですが、そうした考え方自体をあるべきものではないと否定するのも少し偏っているように思いますね。

冒頭の記事なども生活保護受給者の一面を丹念に取材し記事にしているのでしょうし、その意味で現場の実情の少なくとも一側面を切り出したものと言えますが、また別の実情も少なからずあるとも言えます。
NHKの当該の番組は残念ながら拝見していないので内容については何とも言えませんが、安楽死を望んだ側だけを取り上げたとすればこうした批判を受ける余地はあり、少し脇が甘かったと言うべきですね。
その点ではシリーズとして逆の立場からの番組もセットで放送していればと思うのですが、放送されたこと自体は安楽死を巡る議論を一段と深めた点で有意義であったとも言え、放送の意味はあったように思います。

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2019年12月22日 (日)

今日のぐり:「いわ屋」

世間はちょうどクリスマス目前ですが、その時期にこんなニュースが悲報だと話題になっていました。

男性は容姿が悪いとどれだけ性格が良くても女性やその父親から評価されないという研究結果(2019年12月19日GigaZiNE)

1000万件を超える科学文献をまとめたオンラインプラットフォーム・SpringerLinkにて発表された最新の進化心理学関連の論文によると、身体的(容姿)な魅力はパートナーよりもその父親に対してより有効に働く可能性があるとのことです。また、女性やその父親は、自身の交際相手が最低限度の身体的魅力を有していることを期待していることも明らかになっています。

容姿と性格がパートナーやパートナーの親に対してどのような評価を与えるのかについて調査したのは、イースタンコネチカット州立大学で社会心理学の教授を務めるマドリン・A・フジェール氏。同氏は大学で新入生とその両親に同時に話しかけた際に、「容姿と性格が与える影響」に興味を持ったそうです。
(略)
そこで、フジェール氏は女性とその父親が「男性にとって重要なポイント」としてどのような点を重視しているのかを、身体的な魅力と性格特性の両方を合わせて測定するという調査を実施。調査では86組の女性とその父親に対して、男性の写真を提示して、「非常に魅力的な男性」「やや魅力的な男性」「魅力のない男性」のいずれかで評価してもらいました。調査では写真と一緒に男性の性格特性がわかるプロフィールもチェックしてもらったそうです。
調査の結果、女性とその父親の両方が「最も望ましい性格特性」を持つ男性を好む傾向が明らかになっていますが、それは男性自身が「非常に魅力的である場合のみ」だそうです。それに対して身体的に魅力のない男性、つまりは容姿が魅力的でない男性の場合、最も魅力的な性格特性を持っている男性であっても、「容姿が中程度で性格特性は望ましくない男性」よりも低く評価されてしまうことが明らかになりました。

この結果について、フジェール氏は「パートナーの身体的な魅力は、女性とその両親が自覚しているよりも重要なものかもしれません」と、心理学および神経科学に関するニュースを報じるPsyPostに語っています。
さらに、フジェール氏は「自己申告の場合、常に自分の好みを正確に報告するとは限りません。我々の実験は、娘とその父親の両方が、性格特性が身体的魅力よりも重要であると考えていることを示しています。しかし、父親が娘の潜在的なパートナーとして男性を選ぶ場合、身体的魅力が性格特性よりも大きな役割を果たすことが示唆されています」とコメント。
加えて、女性とその父親は約48%の割合で「最高の男性」として同じ男性を挙げたそうです。なお、娘と父親の挙げた男性が一致しない場合、娘の方は「より身体的な魅力」を男性に求め、父親の方は性格特性を優先することが明らかになっています。
なお、フジェール氏は「母親が娘の潜在的なパートナーを検討する際に、男性の身体的な魅力を重要視する」という過去の研究をベースに、今後はより進んだ研究を行うとしています。

何とももの悲しい結論ではありますが、写真ベースの調査ですから容姿でしか評価し難いのは仕方がないのかなと言う気がします。
今日はクリスマスを楽しく凄そうと検討中の全国男性諸氏を激励する意味で、世界中からちょっと残念と言うしかないニュースを紹介してみましょう。

くせ毛の天龍源一郎さんが「くせ毛用ヘアケア」のCMに大抜擢 自慢の滑舌を披露し内容が1ミリも伝わらない結果に(2019年12月16日ねとらば)

 髪のくせやうねりに悩む人に向けて花王が10月に新発売した「エッセンシャル flat」シリーズ。この新シリーズのCMナレーションに「くせ毛でおなじみ」という理由で天龍源一郎さんが大抜擢されてしまいました。その方にナレーションを頼んで大丈夫ですか……?

 「こんにちは、天龍源一郎です!」と元気よく笑顔でナレーション原稿を読み上げる天龍さん。開始早々「エッセンシャ……エッセン……なんだこれ」と商品名の読み上げにつまずいてしまいます。花王さんの攻めの人選が早速功を奏してますね(?)。
 その後も「ばさん(パーセント)」「インステラドゥルルるるるるど(イソステアリルグリセリル)」「メッセ……メッセ……メッ……ド(メソッド)」など、くせ毛以上にくせの強いナレーションをさく裂させていく天龍さん。カタカナ語の苦手さを強引に押し通していくストロングスタイルなナレーションスタイルが光ります。
 最後まで噛んだり咳き込んだりしながらナレーションをやりきり、「上手くいきましたよ」と自信満々で言い切った天龍さん。自己採点は「200点」だそうです。確かにかなり早口で滑舌に自信がある人でも難しそうなナレーションではあるんですが……見習いたい、この強さ……!
(略)

これは黙って元記事の動画を参照いただきたいのですが、しかしどこの世界の言葉でしゃべっていらっしゃるのでしょうかね…
今の時代さすがにこれはいささかどうよ?と大きな話題になっていたのがこちらのニュースです。

いじめを訴える文章、そのまま教室に掲示 栃木の小学校(2019年12月15日朝日新聞)

 栃木県内の市立小学校で昨年7月、6年生の男子児童がいじめの被害を文章で訴えたのに、担任の男性教諭(42)が対策をとらず、名前入りの文章をそのまま教室に張り出していたことが分かった。市教委は今年3月、対応が不適切だったと認め、教諭と当時の校長に口頭で厳重注意とした。

 児童の家族や学校によると、担任の教諭はクラス全員にいじめに関する新聞記事を読ませ、感想を書かせた。上級生や同級生から日常的にいじめを受けていた児童は家族と相談の上、「3年からいじめが続きました」「全身にどろをかけられ、プロレスといってぼうこうもされました」「今も続いているため対応してほしい」などと書いて提出した。
 しかし、担任は相談に乗ることなく、赤ペンで「その痛み、つらさを知っているからこそ、人に優しくなれる」「負の連鎖をどこかで断ちきろう」などと感想を書き込み、他の児童の文章と一緒に教室に張り出した。1週間ほど張り出され、ショックを受けた児童は家族にもすぐには打ち明けられなかったという。
 いじめはその後も続き、3学期に入って児童が休みがちになったため、家族は今年2月、学校を訪問。校長はこの時、初めていじめ被害や文章が張り出されていたことを知った。担任は市教委に対し「(児童の気持ちに)思いが至らなかった」と話したという。市教委は教諭を今年度、クラス担任から外した。

 両親は「相談しても、まともに応じてくれなかった。助けを求める文章を張り出すなんて、人としてどうなのか」と語った。
 市教委側は「教員として絶対してはいけないことで弁解の余地はない。すべての学校でいじめに対して真摯(しんし)に対応するよう指導していく」と話している。

別記事によればさらに大変な状況が明らかになっているようですが、この教諭氏の現在と今後について多くの方々が強い関心を寄せているようですね。
シェパード犬と言えば使役犬の代名詞的な存在ですが、そのシェパードをしてこういうことがあると言うニュースがこちらです。

シェパード犬、ネコ追って木に登るも下りられず救助(2019年12月21日CNN)

(CNN)米カリフォルニア州トレーシーでネコを追って木に登ったジャーマンシェパードが下りることが出来なくなり、消防士が出動して助け出す騒ぎがこのほどあった。
2歳になる犬の名前は「ベビー」。飼い主によると、ネコに強い関心を示す性癖があるという。

映像には木のてっぺんにある枝の端部分にネコがうずくまり、幹の上にベビーがいて向き合っているような様子が収められている。
出動した消防士は今回のような救助は初めてと説明。最初は冗談かと思ったと振り返った。

ネコはその後、無事に木から下りていた。

そのちょっと珍しい状況は是非元記事の画像を参照いただきたいところですが、ここまでであれば見事な仕事ぶりだったのですけれどもね。
最後に取り上げますのはロシアからですが、記事のタイトルから大勢の方々に注目されたと言うニュースです。

ビキニを着てきたらガソリン無料と聞いて..(2019年12月6日カラパイア)

 国土の広さに比例しているのかどうかは分からないままに、予想以上のビッグスケールでさまざまなことが起こりがちなロシア。その恐ろしさから「おそロシア」と呼ばれることもあるほどだが、またアッと驚くハプニングが発生してしまったらしい。

 ロシア・サマーラにあるオルヴィ・ガソリンスタンドでは、もっとお客を呼び込もうとユニークなキャンペーンを実施した。
 しかしこれが思わぬ結果となり、さすがロシアだな!と世界中のネット民を感心させたり爆笑させたりしているようなんだ。

 オルヴィ・ガソリンスタンドが実施したキャンペーン、それはビキニを着て来店した人には無料でガソリンを提供するというものだった。
 おそらくビキニ姿の美女がわんさか来店するだろう、ガソリンスタンド側はそう期待していたに違いないが・・・。
(略)
 この日、大勢が列を成し、ガソリンスタンドは大賑わいだったというが、ガソリンスタンド側の思惑どおりだったのかどうかは不明である。
 ガソリンが無料となればビキニぐらい着たるわい!と考える人が多いのかもしれず、でも日本で同じことをやったら同じようなことになるのだろうか・・・?

その状況は元記事の画像を参照いただければですが、予想された結末だったのかどうかですね。
しかしロシアとしては温かい日だったのでしょうが、ガソリンのためにここまで努力すると言うのも大変なものだと思います。

今日のぐり:「いわ屋」

倉敷市南部の水島地区の一角に位置するこちらのお店、比較的最近の開店ですがすっかり大繁盛店となっているようです。
何しろ今現在岡山県南界隈で注目すべきうどん屋の筆頭だと思うのですが、昼食時には車も停めにくいのが難点ですね。

温かいうどんをと考えシンプルなかき揚げうどんを食べて見ましたが、単にかき揚げの乗ったかけうどんなのですが、このうどんが大変なものです。
見た目の色艶もさることながら、基本柔らかめのうどんであるのに極めて腰が強く、何より驚くのが温かいうどんでもその印象が全く変わらないことです。
うどんのコシを語りたいならここに来て一度食べて見るべきと言うものですが、特にどうと言うこともないシンプルな味ながら出汁もうまいですね。
かけうどんには珍しく別添えの生姜卸がついてくるのですが、これも好みの問題ですが使ってみると確かにいいアクセントになります。
この種の店に珍しく天ぷらはその都度揚げるようで、オーソドックスなかき揚げですがクリスピーで食感も十分に楽しめるもので及第でしょう。
なお後日スペシャルと言ういわゆる全部乗せのうどんも食べて見ましたが、全般にうどんの量が多いお店だけに並盛りでも大変なボリュームでした。

しかし倉敷市内には他にも人気の行列うどん店が少なくありませんが、これはまた大変な店が出来たものだと感心しますね。
接遇面も繁盛店に良くある何となく急かされるような圧迫感を感じさせないのは感心させられますが、それだけスタッフの数も多いと言うことですかね。
強いて欠点をあげれば居抜きで開店されたせいかトイレなど設備面はやや古風かつ最低限で、エアコンの効きが今ひとつかつむらがありそうなことでしょうか。

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2019年12月18日 (水)

職場での忘年会は今や歓迎されざるものに

そろそろ忘年会シーズンも真っ盛りですが、このところ話題になっているのが忘年会スルーなる言葉です。

若手社員に広がる#忘年会スルー「お金払ってまで上司の武勇伝聞きたくない」「時間のムダ」と厳しいホンネ(2019年12月16日J-CASTニュース)

今、職場の忘年会に行かない若い人が増えている。いわゆる「#忘年会スルー」だ。「残業代も出ないのに、忘年会にお金出すのはマジ意味わからん」「参加費無料でも割に合わない。会費とか論外」と、SNSでは忘年会反対の声が広がっている。
Jタウンネットが2019年12月11日に発表した調査では、1035人のうち83・3%が「忘年会に行きたくない」と回答。「行きたい」と答えたのはわずか16・7%だった。
街の若手会社員の声を聞くと、「自分のお金まで出して...。時間がもったいない」(20代男性)、「年の差がありすぎて会話が成立しない」(20代男性)、「鍋を取り分けるのがハードというか...」(20代男性)、「4000~5000円出して上司の自慢話を聞くより、そのお金でスーパーでおいしいお肉やお酒を買って一人で動画とか見て過ごした方が何万倍も有意義」(20代女性)など。

先輩社員は「忘年会は強制」「勉強会と思ってくれ

一方、スルーを嘆く声も。50代男性会社員は「忘年会は職場のコミュニケーションを図るツールの一つ。色々な話を聞けるので、勉強させてもらえると考えればいい」と話す。
(略)

とある調査によれば実に7割近くの社員が忘年会スルー希望なのだそうですが、興味深いのは絶対参加したくないと言う断固拒否派の割合が、年代が上になるほど上がっていると言う点です。
若手はまだそこまで嫌な思いをしていないだとか、歳をとるほど忘年会などこんなものかと見えてくるだとか様々な解釈がありますが、世間で言う若者の忘年会離れ的な側面だけではないと言うことですね。
事実ある程度職場で地位を固めてきた人などは堂々とスルーするようになる印象もあり、そもそも忘年会など不要と言う意見も少なからずある一方、管理職など上司側を中心に必要だと言う声も根強いようです。
単純に彼らがそうした文化で育ってきたからだとか、酒の席で言いたいことが多々あると言うことなのかも知れませんが、いずれにせよ職場の多数派からは歓迎されていない行事であることは事実と言えます。

ちなみに不肖管理人は久しく職場忘年会には参加していないのですが、別に忘年会と言う行事を否定するものではなく、そうしたイベントが好きな人が多いなら自由参加でやればいいと言う立場ではあります。
ただ職場の人間関係が全て円満なものばかりではないことは当然で、普段から相性の悪い人と一緒に飲み食いしても楽しくはないでしょうから、職場忘年会と言う行事には人気がない方がむしろ自然ですよね。
習慣的飲酒者自体が年々減ってきているそうですが、酒さえ飲めれば喜ぶと言う人は実感としても多くはなくなってきていると感じますから、もはや忘年会=飲み会と言う認識自体改めるべきなのでしょうね。
この時期気のあった仲間同士で忘年会やホームパーティーを開くと言うことは珍しくないわけで、飲み会ではなく昼食会なら参加すると言う声もあり、拘束時間が長いと言うこと自体嫌われやすい要因かも知れません。

いずれにせよ古典的な忘年会を今後もやりたいと言う経営者や上司にとって、こうした世間の風潮は好ましからざるものと言えますが、やるのであればどうすれば最低限部下からも許容される行事になるのかです。
酒の場でのパワハラ、セクハラ、延々と続く愚痴や小言などは論外として、まず最低限参加を無理強いをしないと言うのは当然のことだと思いますが、案外ここが出来ていないからこそトラブルが多いとも言えます。
他方では会社の行事なのだから参加して当然と言う主張もありますが、酒の席で業務上重要な話をすると言うのであれば、それは業務の一環として残業手当なりを出した上で行われる必要があるでしょう。
実際に業務として出勤扱いにしたところ参加率がずいぶん高まったと言う話もあるそうですが、業務でもない行事に部下がつきあってくれるほど自分に求心力があるのかと、上司も一度自らを省みて見るべきでしょうね。

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2019年12月16日 (月)

長年やるやると言われている話が未だぐずぐずと引きずられている陰で

本日まずはこちらの記事から紹介してみますが、ありとあらゆるメディアを通じて大々的に取り上げられた話題でもあります。

病院窓口負担 2割に引き上げへ 75歳以上の高齢者(2019年12月3日FNN)

政府は、2022年に、75歳以上の病院での窓口負担を原則1割から2割に引き上げる方向。

政府の全世代型社会保障検討会議では、75歳以上の後期高齢者医療制度で、原則1割となっている医療機関での窓口負担について、原則2割への引き上げを検討している。
関係者によると、政府は、団塊の世代が75歳になり始める2022年に引き上げる方向で調整している。
75歳以上の全員を一斉に2割にする案と、導入後、75歳になった人から順に2割にする案の2つがあり、順に2割にする案が有力

また、低所得者に配慮する軽減措置も検討し、12月中旬の中間取りまとめへの明記を目指している。

後期高齢者の自己負担率引き上げははるか以前から決まっていた話で、一体いつまで引っ張るのかと思うような話なのですが、とうとう今度こそは実際に2割負担にまで引き上げられる可能性が高そうです。
そのことの是非はこの場で取り上げることではありませんが、注目いただきたいのは負担の引き上げについて非常に慎重な態度で考えられていると言うことで、特に現在すでに後期高齢者となっている方々の扱いです。
現時点の1割負担をいわば既得権益として維持し、今後後期高齢者になってくる人々だけを引き上げの対象にすると言うことですが、それだけ関係各方面の抵抗が根強くあると言うことなのでしょうね。
さて、ひるがえってそうした各方面への配慮が全くないまま決まっていたこちらの制度に関して、当事者が悲鳴混じりの抗議の声を上げていると言う記事が地方紙に小さく出ていました。

「あまりに不条理」制度変更で授業料免除の対象外 医大生、支援継続訴え(2019年12月13日京都新聞)

 低所得世帯を対象に来年4月から導入される高等教育の修学支援制度により、現行の国立大の授業料減免制度の対象外となる滋賀医科大の学生5人が12日、大津市の県庁で会見し、現行制度の存続や救済支援を訴えた。

 新制度は、住民税非課税世帯とそれに準じる世帯を対象に、国や自治体が学生の年間授業料を私立大は最大約70万円、入学金は国公立大が最大約28万円を減免するほか、年間約91万円(私大など)を上限に返済不要の給付型奨学金を支給する。
 私大生の対象者が大きく増えると見込まれる一方、世帯収入や年齢などの条件が加わることによって、国立大生の場合、現行の減免制度より負担が増える場合がある。高校卒業後3年以降に入学した学生や学士編入生らは対象外となる。

 5人の説明によると、滋賀医大では、現行の減免制度で、全額または半額を免除されている学生は本年度前期で約70人いるが、新制度導入で約50人が対象から外れたり、減免額が削減されたりする。多年浪人した学生や学士編入者らが多いためという。
 代表の男子学生(26)は「政権が高等教育無償化を打ち出している陰で、現在在学している国立大生が犠牲になり、あまりに不条理だ」と話す。学生らは大学側に独自の支援金制度の設置などの救済策を要請している。さらに、現行制度の存続を求めて学生や教職員らから署名を集め、全日本医学生自治会連合(東京都)を通して文部科学省に提出する予定。
 滋賀県内では、滋賀県立大(彦根市)は昨年度後期に授業料減免を受けた学生のうち、5人が新制度の対象外になり、6人の学生が給付型奨学金も含めて支援額が減少する試算という。県立大は「予算内でどこまで支援できるのか考えていく」とする。滋賀大(同市)は「対象外になったり、負担が増えたりする在学生には支援策を検討したい」としている。

これまた制度の是非はこの場では敢えて議論するところではありませんが、医療現場では未だ医師不足感が根強くあり、医学部定員の拡充が継続されている中でこうした制度変更がなされたと言う点です。
特に制度設計上、国公立大医学部学生と言ういわば理系トップエリートに不利なものであるようで、医療現場としては喉から手が出るほど欲しがりそうな優秀な人材が冷遇されると言うのは如何なものかです。
興味深いのは後期高齢者の自己負担率引き上げにあれだけ長年反対してきた某医療系団体などが、この制度変更に関しては全く目立った反論も反対もせず、易々と実施されているように見える点ですね。
彼らにとって優秀な学生と後期高齢者と、どちらがより重要で尊重すべき存在であるのかが明確に理解出来る話だと思いますが、当の医療現場においてはまた違った意見があるのかも知れませんね。

 

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2019年12月14日 (土)

今日のぐり:「天乃うどん店」

日本と言えば世界にも稀なハンコ社会とは言われてきたところですが、先日登場したこんな新兵器が物議を醸しています。

ロボットが契約書をめくって自動で押印 手作業の負担を軽減 デンソーと日立が開発(2019年12月11日ITmedia)

 デンソーウェーブ、日立キャピタル、日立システムズは12月11日、ロボットとRPAを活用して契約書などの押印を自動化するサービスを発表した。金融機関や自治体など、契約書・請求書の電子化が進んでいない業界の押印作業を効率化する狙い。2020年3月から月額制で提供する予定。

 デンソーウェーブのロボットアーム「COBOTTA」2台とカメラで構成された専用のマシンを、PCに接続して使用する。COBOTTAは、アームの先端に装着した社印を押す作業と、書類のページをめくる作業を担う。ページをめくるたびに、カメラで書類を撮影し、押印欄を識別する仕組み。
(略)
 3社は12月18日~21日に都内で開かれる展示会「2019国際ロボット展」に同サービスを出展し、COBOTTAが自動で押印する様子を一般公開する予定。
 日立キャピタルの広報担当者は「顧客からヒアリングを重ねる中で、金融機関や自治体では、契約時に膨大な書類に角印を押す必要があり、作業が夜中までかかることもあると聞いている。今回のサービスによって負担を軽減したい」と話している。

ええ、まあ何であれ一々ハンコを押すのは大変だろうとは思いますが、ねえ…
本日はCOBOTTAが広く日本人の労力を削減することを願って、それはいささかどうよ?と思わず突っ込みたくなる数々のアイデアを紹介してみましょう。

無印良品 コオロギせんべい 開発のお知らせ(2019年11月21日良品計画ニュースリリース)

無印良品を企画、開発する株式会社良品計画(東京都豊島区/代表取締役社長 松﨑 曉)は、2020年春に、「コオロギせんべい」を無印良品の一部店舗とネットストアで発売します。

世界中の様々な国・地域において「感じ良いくらし」を提案する無印良品は、生活に必要な商品の販売のみならず、社会でいま起きている様々な課題に目を向けています。中でも世界の急激な人口増による、今後の食糧確保と環境問題は避けてはとおれない課題と考えています。
良品計画は、それらの課題を考えるきっかけになればという思いから、昆虫食の研究の第一人者の徳島大学と協業し、コオロギを食材とするための取り組みを始めました。徳島大学からは、食用コオロギの実用化に向けた研究成果を、当社からは商品開発プロセスを共有し、おいしく食べていただける昆虫食の開発を進めています。

国連食糧農業機関 (FAO) も、栄養価が高く環境への負荷も少ないという理由で、家畜の代替として昆虫食を推奨しており、中でもコオロギは食用に適しているとして国内外で注目されています。
(略)
飼育しやすく安定して生産でき、他の昆虫よりも成長が早く約35日で収穫できるという点で高く評価されています。また、エサは主に穀物類ですが、雑食なのでエサの選択肢が広く、未利用のまま廃棄される食糧の問題にも貢献する可能性があると言われています。

それは確かに地球環境に大いに貢献するのだろうと思いますが、たくさん売れると良いのでしょうね…
大阪梅田地下街と言えば日本有数のダンジョンとして知られていますが、ますます人を迷わせてしまいそうなトラップが登場したようです。

人をダメにしちゃうやつ!梅田地下街に「日本酒が出る蛇口」が登場(2019年12月6日BLOGOS)

大阪・梅田の地下街「ホワイティうめだ」にオープンしたショップ「新潟をこめ」にて、ひねると日本酒が出る蛇口が登場したことがネットで話題になっています。
「蛇口から日本酒」が登場したのは、12月5日にリニューアルオープンした、新潟県の情報発信拠点「新潟をこめ。以前は「じょんのび新潟」の名前で県のアンテナショップとして営業していた店ですが、ホワイティうめだのリニューアル工事に合わせて、店の装いを新たにし営業をスタートしました。
(略)
オレンジジュースや焼酎が出る蛇口は聞いたことがありますが、日本酒というのはとても珍しいのでは。ドラえもんのひみつ道具「どこでも蛇口」という通好みのアイテムがありますが、まさに酒好きなら誰もが一度は夢に見る発想。もし家に設置されていたら、人をダメにしてしまうこと間違いなしの危険な蛇口です。
この蛇口を利用していたお客さんに話を聞くと「蛇口から日本酒が出るなんて面白い」「すごい人だったので試してみようと思いました。楽しい」などと歓迎の声が続々。「もっと一杯入れな!表面張力を利用せなあかん!」と新しく来店したお客さんにアドバイスする人も見られるなど、楽しんでいる人が多い印象を受けました。
(略)

きっと多くの人々を駄目に…もとい、楽しませることになるのではないかと期待されているそうです。
こちらも日本発の世界的大ヒット商品ですが、その方向に逝くか…と話題になっていました。

カップ麺セットで湯沸かし、お湯入れ、通知が全自動の「カップ麺メーカー」発売(2019年11月26日ライブドアニュース)

サンコー株式会社は、同社が運営する直営サイト「サンコーレアモノショップ」において、自動カップ麺メーカー「まかせ亭」を発売開始した。価格は5,980円(税込)。

本製品は、カップラーメンを作る際の、お湯の沸騰、お湯をカップラーメンに注ぐ、完成時間になったら通知する、という一連の流れを全自動にしたカップ麺メーカー。
円筒状のデバイスには予め水を入れておく必要があるが、それ以外は全自動。カップ麺を置き、60~130mmの高さのカップ麺に対応するデバイスを上下させてカップ麺の上にセットする。
後はお湯が沸いたら自動でお湯が注がれ、30秒から9分まで調節できるタイマーの時間がきたら通知で知らせてくれる。

カップ麺を作る作業を任せられるので、その間、ゲームや作業をすすめることができる。
サイズは全高260~330mm、本体は幅130×高さ180×奥行き160mm。重量は約1600g。タンク容量0.6L。
なお、発売を記念した「カップ麺1か月分と自動カップ麺メーカーを35名様にあげちゃうキャンペーン」も開催されている。

この自動化作業でどの程度の労力が削減出来るのか微妙なところですが、何より気になるのはタンク容量でしょうかね。
最後に取り上げるのはインドからのニュースですが、日本でもたびたび問題になる野生動物被害に対して画期的対策が産みだされたそうです。

イヌをトラに見せかける!?インドで衝撃のサル撃退法(2019年12月5日ATLAS)

サルやイノシシなど、農作物を荒らす害獣対策は日本でも様々な方法が検討されているが、インドで衝撃的な方法が考え出されて注目を集めている。
なんと、中型から大型の飼い犬の全身に『虎ソックリの縞模様』を書き込み、小さな虎に見立てて農場に放すというものだった。

この対策法はインドのウッタラカンナダ地区バトカル近郊の農家が試みた「虎型のカカシ」を設置する方法にアイデアを得たものだという。
一見カカシで十分効果的に思えるが、カカシは動かないため、サルは虎が作り物であり動かないことを学習してしまう。そこで、カルナータカ州シバモッガの農家は犬に虎の縞模様を書き込む事を考えたというのだ。

ちなみに、この「虎柄になった犬」はネットで検索すると何匹か出てくる。虎のような体色のため、虎に見えなくもない犬もあるが、中にはレトリバーに黒い縞模様を適当に描いたと思われるものもあるため、どこまで効果的なのか首を傾げてしまうものもある。
一見冗談のような対処法かもしれないが、実際に野生の虎が生息しているインドだけに、もしかすると一定の効果を上げているのかもしれない?

どれほど虎なのかは元記事の画像を参照に、各自ご判断いただきたいところだと思います。
この種のニュースと言えばおよそ中国発と相場が決まっていたものですが、昨今インドも飛ばしていると言う事でしょうかね。

今日のぐり:「天乃うどん店」

倉敷市南部のいわく何とも言いがたい場所にあるこちらのお店、ナビでもなければまずたどり着けない立地ですが行列待ちの人気うどん店ですね。
昨今倉敷市内では「いわ屋」さんの評価が個人的に高いのですが、こちらも近隣に名を轟かせる名店として知られています。

券売機システムの製麺所スタイルですが、まずは冷たいぶっかけの食券をカウンターに出しますと一瞬で提供されるのは相変わらずの手際ですね。
当然茹で置きなのですが、まず見た目からしてその色艶がすばらしいどんぶりのうどんに、トッピングはネギに天かす、鰹節と言ったところです。
見た目は倉敷ぶっかけ風なのですが、甘辛のうどん出汁ではなく卓上の醤油をかけ回して食べると言うのは香川のしょうゆうどん同様ですね。
柔らかめのうどんはプルプルもちもちでありながら噛めばコシもしっかりあり、色艶、喉越しも良好でやはりうまいなと思います。
続いて熱いうどんでかけを頼んでみましたが、こちらもネギに天かす、かまぼこと添えられたごくシンプルなかけうどんです。
このうどんは暖かくすると柔らかいだけでなく、しっかりしたコシがよく判りますが、わずかに塩気が強めの汁も良い出汁の香りが楽しめます。
ちなみにこちらのうどんも相変わらずかなり長めのものですが、倉敷市内では何店かがこうしたうどんを出しているようですね。

うどんの出来は大繁盛も当然と言うもので、しかも香川同様に極めて安価に手軽にいただけると言うのはありがたいものです。
忙しい中でもおばちゃ…もとい、お姉さんたちの対応ぶりもフレンドリーなもので、短い滞在でもうどんの味共々楽しめるものでした。

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2019年12月11日 (水)

記者氏の言うところの『「大学勤務医は低賃金」を所与とした議論続く』状況はおかしいと思うのですが

来年度の診療報酬改定の議論が進んでいて、本体部分は横ばいか微増、薬価も含めて全体としては減額と言うありがちな結論になりそうだと報じられています。
今後団塊世代の高齢化が進み医療費など社会保障全般の財政的、人材的な逼迫が懸念される中で、永続的な医療供給体制をどう構築していくべきなのかと言う問題はきわめて重要かつ難しい課題ですね。
ちょうどそのタイミングで医師ら医療専門職の働き方改革の議論も進んでおり、特に医師を雇用し働かせる側である医療系諸団体にとっては、稼ぎ手である医師が働いてくれなくなることを懸念しているようです。
単純に医師が働かなければ病院の収入が減って困るだとか言う理屈では説得力がないとは自覚しているのでしょうが、見ていますとどうも少し奇妙な論理で医師を働かせ続けることを求めているようです。

医師の働き方改革「健康は確保、収入は確保できず」、地域医療への影響も(2019年12月9日医療維新)

 社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)は12月9日、「医師の働き方改革の推進に関する検討会」と「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」の議論の報告を受けたが、時間外労働の上限規制が厳しくなると、大学等からの医師派遣が少なくなり地域医療に支障が生じたり、医師個人の収入が減少するなど、副業・兼業をめぐる懸念が相次いだ

 「副業・兼業によって収入を得て生活をしていた医師が、上限規制で兼業に影響が出ると生活ができなくなる。健康が確保できても、収入を確保できなければ問題であり、その辺りのバランスをどう取るかも考えていかなければいけない」(国立病院機構理事長の楠岡英雄氏)、「大阪では、2次救急医療機関の当直の4割は、大学からの医師に頼っている。こうした状況が急に破壊されることがないように、副業・兼業のことをしっかりと考えてもらいたい」(日本医療法人協会会長の加納繁照氏)といった意見だ。
 副業・兼業の在り方は、厚生労働省内でも労働基準局の検討事項であるため、「医師の副業・兼業を一般労働者と同じように扱うのか。医師がいない中で、物事が決まることに危機感を覚える。医師の働き方について、何らかの形で意見を言う立場、機会を設けるべき」(日本医師会副会長の今村聡氏)といった要望も挙がった。
(略)
 9日の医療部会で議論の口火を切ったのは、楠岡氏。医師の時間外労働の上限規制の根拠となった調査は、副業・兼業を含めたものかどうかを確認。厚労省医政局医事課長の佐々木健氏が副業・兼業を含んだものであると答えると、「それでは副業・兼業先に医師が行かなくなるケースは少ないと考えていいのか」と尋ねた。
 佐々木課長は、「現時点でも約2万人の時間外労働は、年1860時間を超えている。まず年1860時間未満にしなければならないことを考えると、さまざまな取り組みをしていかなければいけない。単純に今の役割分担、業務をそのままにし、何もしなければ影響が出てしまう。各医療機関および地域での取り組みが必要」と回答した。それを受けて、楠岡氏は「(時間外労働時間が減って)健康が確保できても、収入が確保できないと問題であり、その辺りのバランスをどう取るかも考えていかなければいけない」などと述べたのだった。
 加納氏は、「大阪府では、2次救急医療の8割は民間病院が担っている。その当直の4割は大学からの医師に頼っている。こうした状況が急に破壊されることがないように、副業・兼業のことをしっかりと考えてもらいたい」と求めた。
 早稲田大学人間科学学術院准教授の松原由美氏も、「大学病院の勤務医が、時間外労働の上限を課せられ、生活ができるのか。家族を持っている医師など、大学病院を辞めざるを得ない医師が出てくるのではないか。大学病院が最後の砦になっている地域では、地域医療が崩壊しかねない」と述べ、医師の働き方改革により、医師の収入や病院経営がどう影響するのかについてのシミュレーションを要望。
(略)
 政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は、「医師の働き方改革の影響は甚大で、相当丁寧に議論していくことが必要。“巨大なスポンジ”、言ってみれば無尽蔵の働き方で医療ニーズを吸収してきたが、それが吸収できなくなれば、ニーズがこぼれる」と、たとえを交えながらコメントした。日本の約1.2倍の面積のスウェーデンでは、病院数も外来受診回数も日本よりも格段に少ないというデータを紹介しながら、「国民もある程度、我慢しなければいけない」「医療資源を再編するしかない」などと述べ、地域医療構想も念頭に地域ごとに丁寧に進めて行くことが必要だとした。
(略)

もちろん地域医療への影響など様々な議論が必要であることは言を待ちませんが、大前提として医師の大きな供給源となっているのが大学病院であると言う現実があります。
その大学病院の医師がアルバイトを制限されると困るだろう、だから働き方改革を厳しく進めすぎると大変だと言うのもごもっともなのですが、何か違うと言う気もします。
本来的に問題なのは大学病院の給与が生活も出来ないほど低すぎることであり、それ故に多忙であるにも関わらず夜間休日のアルバイトを強いられてきたことでしょう。

未だに大学病院勤務医の低待遇があったからこそアルバイトの需要があり、地域への医師派遣機能が働いていたのだと、妙に前向きに評価する声も根強く残っています。
他の業界で企業経営者らがそんなことを口にすれば、たちまち国民と進歩的マスコミ諸社の集中砲火を浴びて当然ですが、未だに医師の常識は世間の非常識なのでしょうか。
今回の記事を見ても、社保審の場では大学病院の低待遇を問題視する声すらないようですが、こうした方々によって医療のあり方を巡る議論が進んでいると言うことです。

これを「そうは言っても現実問題としてそうなっているのだから仕方ないじゃないか」と言うなら、何故大学病院医師の低待遇だけ聖域視するのかと反論されるでしょう。
診療報酬や働き方改革、あるいは医療のあり方など様々な難問は単独で解決出来るものではなく、相互に関連づけて一体的に改革を進めなければならないでしょう。
場合によっては現状を破壊する勢いで抜本的に改革しなければならない困難な状況で、特定の問題だけは現状がこうだから仕方がないと言うのはおかしな話ですよね。
それをあえて許容しているとすれば、議論している方々にとってはその現状こそが都合が良いと言うことですが、現場の医師達の声は届いているのかと不安になります。

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2019年12月 9日 (月)

今の時代危ないことは一定確率で起こると言う前提での対策が必須

身につまされる人も多いのではないかと思うのですが、先日こんな記事が話題になっていました。

ダイアモンド ユカイが母親の免許返納体験を語り称賛の声が続々(2019年12月6日アサゲイビズ)

 ダイアモンド ユカイが実力行使で85歳だった母親に運転免許を返納させたことが反響を呼んでいる。
「婦人公論.jp」によると、ユカイの母は2年前に90歳で亡くなったそうだが、免許返納は説得を始めてからおよそ5年もかかったという。それを踏まえて、「親が自分の衰えを自覚し自ら返納してくれる」と夢を見てはいけないと警鐘を鳴らしている。

 ユカイは免許返納を納得してくれない母親の車が、何度か損傷していることを見ていたため、数回目のキズを発見した時に「目立つから修理に出す」と言って車を持ち出して処分。母が新車を買うために連絡しそうな近所のディーラーに事情を話し、車を売らないよう頼み込んだという。さらに親戚や友人など、母親の手助けをしてくれそうな人に手を回して協力を仰いだそうだ。
「ネット上では『この人の発信力って地味にすごい。高齢者に免許返納させるための具体的なアドバイスは絶対に役に立つ』『何年か前に男性不妊治療の体験談もすごいためになったし、今回の高齢ドライバーに免許返納させる方法もすごく参考になる』『この人の勇気は本当に愉快』など、称賛の声が相次いでいます」(女性誌記者)

 高齢ドライバーの自主的な免許返納が難しいことを教えてくれたユカイ。彼の体験を知り、自身の親と向き合う決意をした人も多いのではないだろうか。

近年危険運転行為に対する社会的対応の重要性が話題になることが多く、先日も危険運転動画の通報を開始し初の検挙につなげた岡山県警の取り組みを紹介したところです。
また認知症や身体能力の低下などによる高齢ドライバーの危険運転に関しては、特に逆走や暴走など危険性の高い事故がたびたび報じられたこともあって注目されているところですね。
他方で以前から持病を持っている方々による事故のリスクも注目されていて、特にてんかんなど意識消失を来す可能性のある疾患に関しては、社会的にも厳しい目線が向けられるようになってきています。
ただ意識消失を来す疾患とは別にてんかんに限らず、糖尿病や高血圧などでも意識朦朧とする可能性があるのですが、先日こうした誰にでも起こり得る事故の恐さを知らしめるニュースがありました。

死亡事故起こした「はとバス」運転手はインフルエンザで高熱(2019年12月5日NHK)

東京 新宿区で4日夜、観光バスの「はとバス」が停車していたハイヤーに追突し、ハイヤーの運転手が死亡しました。バスのドライバーはインフルエンザにかかっていて、事故当時、高熱があったということで、警視庁は詳しい状況を調べています。
(略)
バスを運転していた37歳のドライバーはその場で逮捕されましたが、いったん釈放され、病院に入院して検査を受けました。
警視庁によりますと、検査の結果、ドライバーはインフルエンザにかかっていて事故当時は38度を超える高熱があったとみられることがわかりました。
バスのドライブレコーダーには、事故が起きる数秒前からドライバーの頭が前後にゆっくりと揺れている様子が写っていたということです。
(略)
「はとバス」によりますと、事故を起こした37歳のドライバーは、4日午前6時半すぎに出勤し、同7時前に出庫前の点呼を受けたということです。
この点呼では、アルコールの呼気の検査や、本人からの健康状態の申告のほか、チェック役の担当者が対面でドライバーの様子を確認することになっていますが、本人から体調不良に関する申告はなく、対面の確認でも異常は見られませんでした
(略)
はとバスによると、事故を起こした運転手は会社の聞き取り調査の中で、自身の体調について「事故の前日、少しかぜ気味だったため、漢方のかぜ薬を服用して午後8時に寝た。事故の当日は午前5時に起床し念のため再度、漢方のかぜ薬を服用して出勤した。その後も若干、かぜ気味だと感じていたが、それ以上の症状だとは思わず、警察病院での検査で初めてインフルエンザに感染している事が分かった」と話しているということです。
そして、事故については、「事故を起こす前後の記憶がなく、気が付いた時には街路灯に激突していた」と話しているということです。
(略)

事故により亡くなられたドライバーのご冥福をお祈りしますが、インフルエンザの場合この時期誰にでも発症し得るもので、また今回のように短時間に急速に悪化することも全く珍しくはないものです。
もちろん早期から軽い症状が出ている場合もあるでしょうが、どこの業界でも人手不足と言われ代替人員の確保もままならぬ中で、軽い風邪かな?程度でインフルエンザを疑って休養と言うのも難しいでしょう。
その意味では今回の事件、どこの業界でも一定の確率で起こり得る事故が起こるべくして起こってしまったと言うべきものですが、ではこうした事故をどうしたら防ぐことが出来たのかと言うことですね。

誰しも思いつくのは自動ブレーキ装置などの装着で、特に大型車両や業務用車輛には早急に強制化すべきだと言う意見もあり、また高齢者など運転スキルに問題のある人々にも装着させろと言う声もあります。
ただ工事現場で活躍する特殊車両や列車、航空機なども同様のリスクはあり、また特殊な業界であるほど代替要員の確保にも困難があるはずで、ついつい無理をしてしまいがちなものですよね。
医療現場の場合ちょっとしたミスが文字通り命取りになる場合もあり、またインフルエンザなどは職場に広げてしまう方がよほど痛手になるものですので、体調不良を推しての出勤など本来あってはならないはずです。
職場の状況から1人欠けても回らないと言うのであれば、それは突発事態に対応出来ない危険な職場環境であると言うしかなく、働き方改革が推進される中でこうした面も併せて見直したいものですね。

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2019年12月 8日 (日)

今日のぐり:「石泉(せきせん)」

このところ神奈川県の行政文書大量流出事件が大騒ぎになっていますが、その事件に関わったとされるデータ消去会社社長の過去発言が話題になっています。

株式会社ブロードリンク/使命は人と社会と地球を豊かにすること 「活業」で世界ナンバーワン企業を目指す(2017年08月04日ビッグライフ21)

中古パソコンの買取・販売事業から始まった株式会社ブロードリンクは、今や世界市場を目指すリユース業界のリーディングカンパニーだ。代表取締役社長・榊彰一氏は、大手生命保険会社での営業経験を経て同社を起業。
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しかし、時代は容赦なく変化する。リーマンショックがあり、さらに新品パソコンの価格が下がり、中古パソコンの販売価格は5分の1となってしまった。中古のパソコンを大量に安定して安く仕入れられるところはどこかと考えた榊氏は、リース会社をリストアップした。
「パソコンを企業にリースしているのであれば、リユースできる商品パソコンはたくさんあるはず」と、ただそれだけの目論見で大手リース会社へ直談判しに行った。すると対応した社員は「リースから戻ってきたパソコンのデータを消去しなくてはならない。おたくのセキュリティが万全じゃなければ渡せないよ。大丈夫なの?」と聞いてきた。
「でもね、これも今となっては笑い話なんですが、私はセキュリティのことは何もわかっていなかったんですよ。それで『大丈夫です。データを画面にある〝ゴミ箱〟に入れて削除すればよいんでしょう?』なんて答えてしまったものだから大変で」

普通ならどうぞお引き取りくださいと怒られそうなものだが、そこは同氏の親しみやすいキャラクターで逆に相手先から教えを乞い、必要な知識と設備を全て整えていったという。それで、「全部できましたって言いに行くと、教えてくれた人が、本当に作ったのかと驚いて、回収の契約を取り付けることができました」。大手リース会社との取引が始まった途端、他の企業や業者からもどんどん回収できるようになった。
当初はリース会社と契約するために用意したデータ消去サービスであったが、これが結果的に他者との差別化となった。同社はさらに大波に乗り、業務拡大へと舵を切ったのだった。
(略)
「ブロードリンクを未来永続企業にして、静脈産業のAmazonを目指します。数字目標は、せめて1000億。そのくらいの規模じゃないと、地球環境を変えるなんてできませんからね」と、榊氏は笑った。

まあ…事件そのものは特定社員の横流しに端を発した個人的犯罪行為だった気配が濃厚だそうですが、トップの意識がこんな調子ではと言う声が出るのもやむなしですかね…
本日は今回の大規模流出事件が大過なく収束することを祈念して、世界中からそれはもう少し空気を読むべきでは…と考えさせられる残念なニュースの数々を紹介してみましょう。

線路で撮影?列車遅らす 警笛にも立ち去らず 札沼線・豊ケ岡駅(2019年12月1日北海道新聞)

 【月形】30日午後6時25分ごろ、空知管内月形町のJR札沼線豊ケ岡駅構内で、線路上に男性が侵入しているのを石狩当別発浦臼行き普通列車(1両)の運転士が発見した。警笛を鳴らしても立ち退かず、この列車の出発が98分遅れた。同駅から乗った1人を含む乗客約10人に影響が出た。

 JR北海道によると、男性は写真撮影のために線路に入っていたとみられる。岩見沢署に通報し、警察官が駆けつけた後、立ち退いたという。

実に98分にもわたって粘りきったその根性を讃えるべきか微妙なところですが、下手をすると巨額の損害賠償を請求されかねない事案ですね。
飛行機という乗り物もその性質上運行上のトラブルが絶えませんが、こちらちょっとびっくりするような経緯を辿ったニュースです。

乗客の“急病“で飛行機が引き返す⇒座席のアップグレード目的の「仮病」だった(2019年12月3日ハフポスト)

アメリカン航空系列の国内線で、乗客の女性の「仮病」のせいで離陸直後に飛行機が引き返すという騒動があった。仮病を使った理由は、より広い席に“アップグレード”してもらうためだったと、CNNなどが報じている。

引き返す羽目になったのは、アメリカン・イーグル航空が運航するフロリダ州ペンサコラ発マイアミ行きのフライト。
Newsweekによると、フライトは11月29日午前5時40分すぎに離陸。まもなくして、乗客の女性が苦情を告げ、広い席へのアップグレードを求めた。
客室乗務員から席を提供できないと伝えられると、女性が急病を訴え出したとCNNが報じている。

女性が呼吸困難を訴えたため、機長が機内アナウンスで緊急事態を告げ、離陸から約45分後に出発先の空港に戻った。
その後、女性がより広い席欲しさに「仮病」を使っていたことが発覚。飛行機を降りるよう言われたが拒んだため、身柄を保護されたという。

それは身柄も確保されようと言うものですが、この手口を見ると過去にも常習歴があるのではないかとも思われます。
海外では一般に宅配便の配達が乱暴だとは聞くのですが、幾ら何でもそれはどうよ?と非難囂々だったのがこちらのニュースです。

庭で昼寝中の犬、配達員が放り投げた荷物で致命傷となり安楽死へ(2019年11月22日テックインサイト)

日本では考えられないことだが、欧米では配達された荷物がそのまま玄関前に置かれたりすることが一般的だ。たちの悪い配達員ともなると荷物を放り投げる者もいるが、このほどアメリカで配達員が住居の裏庭の塀から荷物を投げ入れたことで、昼寝中のヨークシャー・テリアが下敷きになってしまった。『The Sun』『NBC26』『Metro』などが伝えた。

今月16日、米カリフォルニア州ベニス在住のミッチェル・ガーリンさん(Mitchell Galin)とケイコ・ネイピアさん(Keiko Napier)の自宅にFedExの配達員が訪れた。少し大きめの箱を持った配達員はどういうわけか門から入らず、裏庭の塀から箱を投げ入れたのだ。
ところがその箱は庭で昼寝をしていたヨークシャー・テリアの“クーパー”の上に落ち、体重4ポンド(約1.8キロ)しかないクーパーにとって致命的な重さだった。飼い主であるケイコさんが異変に気付き庭に出てみると、クーパーが血まみれで倒れていた。
ミッチェルさんはのちに、その時の状況を「荷物は届いただろうが、そのせいでクーパーは血溜まりの上に倒れていたんです」と明かしている。

2人はすぐにクーパーを獣医のもとへ連れて行ったが、X線検査で肺と肝臓に致命傷を負っていることが判明した。クーパーにこれ以上苦しい思いをして欲しくないと思った2人は、安楽死させることを決断した。ミッチェルさんによると「痛い思いをしているクーパーを見るのはとても辛かった」とのことだ。
今回のことを受けて、FedEx側は次のような声明を出している。
「ペットのご家族には深くお悔やみ申し上げます。今回の件を真摯に受け止めて、関係者と状況を把握していく所存です。調査の結果に基づいて適切な措置を講じるつもりでいます。」
(略)
ケイコさんら家族は大きな事故につながる可能性があるような荷物を放り投げるなどの行為を、FedEx配達員に断固やめるように訴えている。

元記事の写真を見ると小さな犬でこれは押しつぶされても仕方ないと思えるものですが、何にしろご冥福を祈りたいところです。
最後に取り上げるのはご存知ブリからですが、まずは記事から紹介してみましょう。

黙とうの最中、参加者の頭上にロケット花火を放った男を逮捕 「愚か者」とネットで非難の嵐(2019年11月26日リアルライブ)

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 記事によると、イギリス・マンチェスターに近いサルフォードで11月10日、戦没者追悼記念式典が開催された。退役軍人を含む数百人が参加していたという。式典の終盤、黙とうの呼びかけとともに、参加者らは起立し、神妙な面持ちで黙とうをささげていた。そのとき、突然、ロケット花火の爆発音が鳴り響いたという。
 ロケット花火は、参加者の頭上15フィート(約4.7メートル)付近で爆発。明らかに、道路を挟んだ向かいのパブから飛んできたものであったという。パブの2階には男が座っていたそうだ。

 怒った参加者たちは、男をパブから引きずり出そうとして、現場は一時騒然。パブ内に強硬突入しようとしたが、現場にいた警察官に制止されたという。
 パブの男はすぐさま逮捕され、公共施設で花火を発射させ、公序良俗に違反した罪で起訴されたという。翌日行われた裁判で、男は、ロケット花火を発射したことを認めつつ、「花火の発射は、人から頼まれてやったもの。敬意の印でもある。ロケット花火は、空砲を空に向かって撃つ弔砲と同じようなものだから」と釈明したという。

 しかし、裁判官は、この男に有罪判決を言い渡し、16週間の禁固刑を命じた。
 裁判官は、「正常な感覚を持つ人であれば、花火の発射を、敬意の印と考えたりはしない。式典に参加した人や、戦没者に対する敬意を著しく欠いている」と話し、男を非難した。
(略)

この場合ブリ的な意味で正常な感覚とはどのあたりにあるのかも問われそうですが、何にしろさすがにこれは参列者も怒るでしょうね。
日本でも同様の行為をして大騒ぎしている方々が少なからずいらっしゃるようにも側聞しますが、くれぐれも人間として最低限の空気を読んでいただきたいものです。

今日のぐり:「石泉(せきせん)」

岡山県南部では一般に蕎麦よりもうどんやラーメンが好まれる気配ですが、美観地区にほど近いこちらは知る限りで倉敷市内でも一番の蕎麦屋ではないかと思います。
江戸切り蕎麦を名乗る細打ちのしゃっきりした蕎麦が特徴ですが、酒のつまみになりそうなサイドメニューも豊富なのが好きな人にはありがたいところでしょうね。

この日はおすすめと大書された天ざるを頼んで見ましたが、この天ぷらは天然ものの秋のきのこが売りなのだそうです。
ホンシメジやムラサキシメジは塩で提供されますが揚げ加減も上々、確かにうまいのですが、しかし普通天ぷらを食べたければ蕎麦屋には来ないかなとも思ってしまいます。
肝心の蕎麦は相変わらずしゃっきり腰も強くいい加減で、以前お邪魔した際には少し硬すぎかと感じたのですが、この日はちょうどいいぐらいでしたね。
水切りもちょうど良い程度であることに自信があることは、ザルの下に受け皿も何もなく提供されるところからも伺えるのですが、まあやはりいい蕎麦です。
同じく冷たい蕎麦で辛おろしそばもつまんでみましたが、辛味大根など薬味を載せたぶっかけスタイルの蕎麦で、さすがに辛さの際立つ大根がいいアクセントでした。

蕎麦つゆとのバランスもよく、蕎麦の味の方は外れのない確かなものですが、知っていなければやや見つかりにくい場所にあるのが難点でしょうかね。
接遇面はよく言えば手際が良いのですが、時々マニュアル棒読み感が目立つようなところもあって、こういう小さなお店での客あしらいも難しいものだなと感じます。

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2019年12月 5日 (木)

岡山県警の全国初の試み、はじめての成果を上げる

このところ危険運転、あおり運転が全国的に注目される機会が増え、危険運転につながるスマホのながら運転が厳罰化されるなど対策も進んでいます。
個人レベルでの対策としてドライブレコーダーが大人気だそうですが、そのドラレコに関連した岡山県警の全国初と言う取り組みが注目されています。

あおり運転の動画提供求む 岡山県警が専用ページを開設(2019年11月17日朝日新聞)

 あおり運転が社会的な問題となる中、岡山県警は危険な運転の写真や動画提供を受ける専用ページを県警のホームページ内に開設し、21日から運用を始める。県警によると、ネットで動画提供を求める取り組みは全国で初めてだという。

 専用ページの名称は「岡山県 あおり110番 鬼退治ボックス」。情報提供者は専用の入力フォームに危険運転の内容や写真・動画の有無などを記入して送信する。県警は情報の内容を調べて、悪質な場合は捜査し、指導警告も行う

 交通指導課の担当者は「高速道路などで危険運転の被害にあった県外の方からも、より簡単に情報提供を受けられるようになる。あおり運転を現在受けているなど緊急性の高い場合は、110番通報をしてほしい」と話している。

 県警によると、あおり運転の通報は昨年は約1500件で、うち139件が摘発につながった。今年は10月末までで約1500件の通報があったという。(榧場勇太)

危険運転の通報動画で初検挙 専用サイト開設の岡山県警(2019年12月5日朝日新聞)

 岡山県警は5日、大型ダンプカーで危険な割り込み運転をしたとして、同県倉敷市の40代の運転手に交通反則切符(青切符)を切ったと発表した。県警はあおり運転など危険な運転への対策として、11月から専用サイトで動画提供を求める全国初の取り組みを始めており、動画を端緒とした初めての検挙という。

 県警によると、動画は11月16日午後4時ごろ、倉敷市内の国道2号で、軽乗用車を運転していた男性がドライブレコーダーで撮影したもの。男性の車を追い抜いた大型ダンプが右折車線からウィンカーをつけず、十分な車間距離をとらないまま幅寄せして割り込む様子が記録されている。

 県警は動画をもとに捜査を進め、12月2日、道路交通法違反(進路変更の禁止)容疑で運転手に青切符を切った。県警は「あおり運転に類する危険な運転」と判断したという。

 運転手は県警に対し、周囲へのあおりの意図はなかったとし「後続車両を確認していないまま車線変更した」と話しているという。

 県警によると、専用サイト「あおり110番 鬼退治ボックス」は被害者らが通報しやすくする狙いで11月21日に開設。12月3日までに31件の情報提供があったという。(榧場勇太)

日本を代表する進歩的メディアとして知られる朝日新聞だけに、こうした県警の活動にどんな批判的目線で応じるのかと思えば、案外冷静な記事で拍子抜けするでしょうか。
元記事の動画を参照いただいても判る通り、決して珍しい行為ではないだけに、こうした情報提供が素早い検挙につながったのは制度の実効性に期待を抱かせます。
とは言えむしろ世間的注目を集めているのが、これだけ有効そうな方法が今回全国でも初めて始まったばかりであると言う点ではないでしょうか。

世間的にこれだけドラレコが普及しており、ネット上でも危険運転動画は日々公開されているのですから、警察がその気になればいくらでも検挙出来そうな気はしますね。
ところが実際は動画を根拠に通報しても警察が動かないことも多い、と言うよりも各地から上がる声を聞くとほとんど動画通報は無意味かと感じられる状況でした。
いつもお世話になっている「弁護士ドットコム」でも、ドラレコ動画による危険運転の通報は「現行犯以外で取り締まりをすることはかなり稀」と回答されているほどです。


世間的に危険運転がこれだけ問題視される中で、さすがにこうした警察の対応はどうよと思われますが、そこに警視庁からあおり運転への新たな対処が指示されました。
道路交通法の記載を元に「事故にまで至らずとも、免許停止など適切な処分を行うように」と全国の警察に指示したため、今後は警察の対応も変わっていくと思われます。
今回の岡山県警の方法論が効果的で効率がよければ、今後全国の警察組織に広まっていく可能性もありますし、その結果危険運転が減ることを期待したいですね。

 

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2019年12月 2日 (月)

似非医学情報に対するネット規制、強化される動き

定期的に話題になるような話なのですが、このところまたぞろ問題化してきていると言うことなのか、先日もこんな記事が出ていました。

「ニセ医療」情報の拡散防止、プラットフォーマー各社の対策進む(2019年11月24日J-CASTニュース)

 科学的根拠が不十分だとして批判を集めた「血液クレンジング療法」(オゾン療法)。インターネット上では、こうした真偽不明の健康・医療情報が、たびたび物議をかもしながらも蔓延している。
 情報発信の基盤となるデジタルプラットフォーマーも危機感を覚えており、各社は信頼性向上に向けた取り組みを進めている。

■反ワクチン情報拡散へ対策

 ツイッターは2019年5月から、「ワクチン」に関する単語を調べると、検索結果に厚生労働省の予防接種情報ページが案内される施策を始めた。また、ワクチンについて誤った情報へ誘導する可能性が高いキーワードは、検索候補から非表示にする取り組みも同時に始めた。
 ツイッタージャパン広報は導入当時、J-CASTニュースの取材に、「ツイッターは、利用者にとって高品質で関連性の高いコンテンツを重要視しています」と経緯を話す。
 発表文では「ワクチンも含めそのほかの疾病や症状に対する治癒、治療、診断、予防について、誤解を招くような内容を含まない広告コンテンツのみを選んで表示するようにしています」とも報告している。

 ワクチン接種をめぐっては、「自閉症を引き起こすリスクがある」など科学的根拠に乏しい「反ワクチン」情報の温床になっているとして、プラットフォーマーは批判を集めてきた。世界保健機関(WHO)が発表した「2019年の世界的な健康への脅威」では、インフルエンザやエイズウイルス(HIV)などとともに「ワクチン忌避」がトップ10に選ばれている
 デジタルコンテンツの投稿・購入サイト「note(ノート)」でも19年5月から、「ワクチン」「予防接種」と検索すると、サイト上部に「医療や健康情報はネットだけでなく、かかりつけの医師や政府機関の情報もチェックしましょう」との文言が並ぶようになった。厚生労働省の予防接種情報ページも案内する。
 その後、「ホメオパシー」「血液クレンジング」「EM菌」などの用語にも、同様の対応がされた。
 noteを運営する「ピースオブケイク」(東京都港区)の坂本洋史・メディア事業部長は、「プラットフォーム運営社として、反ワクチンやフェイクニュースには社会的な責任を果たしていくとの明確なスタンスを示そうというのが導入の背景にあります」と話す。
 また、英「ネイチャー」などが主催するジョン・マドックス賞を受賞した村中璃子医師や、がん研究者の大須賀覚医師といった、信頼できる医療情報を発信している専門家の投稿は、積極的に拡散を支援しているという。
 坂本さんは「noteは表現や言論の場なので、できるだけ表現の自由を担保したいと思っています。一方で、誤った情報の拡散は防いでいきたいと思っています。このバランスを重視しながら対応を進めていきたい」といい、今後はネット上で医療情報を発信する方法をまとめた教材の作成や、健康・医療関連の啓発イベントの実施を検討しているとした。

はてなブログではガイドライン改定

 はてな(本社:京都市)が運営する「はてなブログ」では10月8日、ガイドラインを改訂し、次の項目を加えた。

  「危険性のある情報発信への対応 特に、健康、医療、食の安全や公衆衛生などの領域で、標準的な医療情報を否定するような見解や独自の見解が掲載されており、人身に危険が及ぶ可能性がある場合、読者に対する注意喚起と中立的な情報源や適切な相談窓口の案内をはてなにより挿入することがあります。挿入された情報をCSS(編注:ウェブページの見た目などを指定する言語)などで非表示にすることは禁止します」

 はてな広報は、ガイドライン改定の理由を「すでに数年前から社会的にインターネット上の健康・医療情報に関して信憑性が問題視されている状況があり、今後、多様なユーザー様が安全にサービスをご利用いただくために対策が必要であるとの判断になりました。また、運営企業の社会的責任を果たすという意味において、ユーザー様にも受け入れられるであろうとも考えました」と明かす。
 実際の注意喚起では「本ブログには医療や健康、食の安全などについて、現在の標準的な医療情報とは異なる可能性の高い見解が記載されています。健康や人命に重篤な影響が出る恐れもありますので、十分に注意をして情報をご利用ください」と明記しており、NPO法人「日本インターネット医療協議会(JIMA)」が作成した「インターネット上の医療情報の利用の手引き」のリンクも併記されている。
(略)

ちょうど先日も取り上げましたようにネットメディアも昨今この種の問題を熱心に取り上げていらっしゃいますが、その理由としてこの種の非標準的医療あるいは似非医療がネットと極めて親和性が高いことがあげられます。
似非医療に限らず以前から検索をかけると上位に何が表示されるかと言う問題がたびたび話題に上っていて、スポンサーサイトなどが上位に来るならまだかわいい方で、怪しげなものが上位に並ぶことも少なくありません。
サイトの作り方により検索エンジンで優先表示させるテクニックなどもあるようですが、真面目な医療情報を検索しようとして悪質な似非医療に誘導されるようでは、被害者が相次ぐと問題視されるのも当然ですよね。

以前は似非医療を提供する個人や団体に抗議することが一般的でしたが、この種の行為を根絶することは難しく、また悪質な方々ほど手を換え品を変え名を変えて新たな犠牲者を誘引するものです。
そのためこうした問題サイトを上位に表示する検索エンジンの仕組みが問題視されつつあるのが近年の傾向ですが、検索サイトに限らずSNSやブログなど各種情報を取り扱う場では同様の危険性があると言えます。
利用規約を改定し一定の質的コントロールを試みると言うのは、情報を扱う企業としてのモラルであり社会的責務であると言う意見も少なくないので、今後こうした動きはさらに拡がっていく可能性は高そうですね。

当然ながらネットとは自由であるべきで、勝手に規制を強化されるのは困ると言う反論もあり、言論の自由云々に言及するまでもなく、子供とプールに行った写真を児童ポルノだと勝手に削除されたなどと言う話もあります。
昨今世界のあちこちで発生している民主化運動なども、当局の規制をかいくぐって市民がネット経由で連帯する動きがたびたび報じられるくらいで、規制強化に対する反発、反対が根強いのも当然と言えば当然ですね。
そもそも情報の価値を誰がどう決めるのかと言う疑問もあり、根本的にはやはり利用者個々の判断力を高める必要がありますが、受け取り側のリテラシーが試されるとは一昔前から在来メディアに対しても言われた話です。
新聞やテレビが言うことを鵜呑みにせず、各種の情報を幅広く収集して自分で判断しましょうと言う基本はネットに対しても共通のもので、こうした方法論自体はすでに慣れている人も多いのではないかと思いますね。

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