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2019年11月25日 (月)

なにが上手な医療のかかり方かは、立場によっても正解が異なる

先日厚労相主体でこうした活動が始まっていると言うニュースが出ていました。

デーモン閣下「医療現場の実情、もっと知らなくては」上手な医療のかかり方大使に任命、3児の母・中村アナも(2019年11月18日医療維新)

 患者の受診行動を適正化し医師の負担軽減につなげようと、厚生労働省は11月18日、アーティストのデーモン閣下とフリーアナウンサーの中村仁美氏を「上手な医療のかかり方大使」に任命した。医療機関や自治体などの優れた取り組みを表彰する「上手な医療のかかり方アワード」を開催するほか、電話の相談窓口などをアピールして、不要不急の受診を減らすのが狙いだ。
 任命証を手渡した厚生労働大臣の加藤勝信氏は「医師は一人の人間でもある。働き方改革は現場だけで実現できるわけではなく、社会全体で考えなくてはいけない課題だ。患者は医療機関を自由に選べる仕組みにはなっている。しかし、医療のかかり方には、いろいろと改善できる余地があるのではないか。国民が正しい知識と相談できる窓口を持ち、上手なかかり方を実践することが大事だ」と述べ、2人の発信力に期待を寄せた。加藤厚労相はデーモン閣下に白衣もプレゼントし、笑顔を見せていた。

 厚労省は2018年度に開催した「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」での検討結果を踏まえ、上手な医療のかかり方アワードを創設。11月1日から12月20日まで、各団体からの応募を受け付け、2020年2~3月頃に表彰式を行う。
 11月1日に開設したサイト「上手な医療のかかり方.jp」では、休日・夜間に子どもの症状について相談できる「#8000」や、救急車を呼ぶべきか迷った際に相談できる「#7119」(一部地域)などを紹介しており、今後、内容を充実させる予定だ。
 同懇談会のメンバーでもあったデーモン閣下(『「国民全体が医療危機に取り組むべき」デーモン閣下、宣言発表』を参照)は「医師が大変だということを、国民はもっと知らなくてはいけない。知ることによって、もう少しかかり方を考えようと思うはずだ。どうやって病院に行くのか、相談してから行くのか、正しいプロセスを実践するだけで、医療現場の負担は軽減していく。多くの国民にぜひ知ってもらいたい」と意気込みを語った。
 3児の子育てをしている中村氏は「(病院に連れて行かず)子どもに何かあったときに親の責任としてつらいと思うので、夜でも病院へ行くことがある。自分のことではないので、どれくらいつらいのか分からず、余計に心配になる」と母親としての真情を吐露。子どもの症状などを相談できる電話窓口「#8000」の取り組みを紹介されると、「プロの意見を聞いて安心したいという親御さんは多い。ぜひ勧めたい」と語った。

 東京女子医科大学東医療センター救急救命センターに勤める救急医の赤星昂己氏も登壇し、「救急出動件数は10年間で100万件以上増えている。一方、医師も増えてはいるが、救急や外科は増えていないのが現状だ。ドクターなので全員を助けたいと考え、救急患者は絶対に断らないつもりでやっているし、どんな症状でも来てほしいと願っている。それでも現場はギリギリで、必死に頑張っている。緊急度の低い方がたくさん受診すると、受け入れられなくなる恐れがある」と実情を訴えた。
 株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵氏は、「本当は翌朝に通院すればいいが、勤務先のプレッシャーが強いと、夜間のうちに救急へ行き薬だけもらって、這ってでも会社へ行くということがある」と、一般企業の働き方改革も重要だと指摘した。

しかし赤星先生もお忙しい中で昨今医療現場以外でも大活躍の御様子ですが、小室氏の言うところの日中受診出来るよう一般企業の働き方改革をと言う意見も、まことにごもっともと言うしかありませんね。
公的なスタンスとしての患者の受診抑制への誘導に関しては、以前から一部医療系団体の熱烈な反対もあるようですが、受診行動の適正化と言うことに関して少なくとも表向き反対することは難しいはずです。
とは言え、経営的観点から未だにどんどん救急車を取れ、患者は断るなとスタッフに強要する病院もいないでもないようで、今後医師の働き方改革との絡みでこうした施設がどうなっていくのかも注目されますね。
そんな中でスタッフ数の制約などから物理的にこれ以上の応需は難しく、医療需要を制限せざるを得ないと言う場合も当然あるはずですが、地域にとっては必ずしも歓迎される話と言うわけでもないようです。

内科の初診外来を制限 県立八重山病院、医師が不足(2019年11月20日琉球新報)

 【八重山】県立八重山病院(篠﨑裕子院長)は医師不足のため、12月2日から内科の初診外来を原則、紹介状のある患者に制限する。期間は未定。同院は「まずは地域のかかりつけ医で受診してほしい」と呼び掛けている。

 八重山病院の内科では19日に医師1人が退職するほか、12月2日以降は常勤医不在となった西表西部診療所に同院内科医を週4日常勤で配置し、週末なども別の医師を派遣する。そのため19日現在で13人いる内科医は、12月2日以降、実質11人に減少する。
 2018年10月の新病院開院以降、外来患者数も増加傾向にあるとしており、地域の一次医療と二次医療の役割分担を進める観点からも内科外来の制限を決めた。救急患者は従来通り24時間受け付ける。

 篠﨑院長は「内科医の減少で医師の負担が重くなるため、理解してほしい。従来通り地域の病院とは連携し、何かあれば紹介を受ける。責任持って二次医療を担いたい」とした。

県立八重山病院内科 来月2日から診療変更(2019年11月20日八重山毎日新聞)

 県立八重山病院(篠﨑裕子院長)は内科の医師が14人から2人減り医師が不足するため、12月2日から内科の診療取り扱いを変更することが19日、分かった。紹介患者、救急患者を優先させるため、紹介状を持たない内科初診患者は民間の医療機関を受診するよう促している。医師の過重労働軽減に対応し、1次医療や2次医療のすみ分けを行う考え。開業医等の診療所を介することで「かかりつけ医師」の定着を図る。

 中核医療を担う同院はこれまで、すべての外来患者を診察してきたが、変更により急患や紹介患者に専念できるほか、地域の病院・診療所などを後方支援することで地域医療支援病院を目指す。
 同様の体制は、県立の北部、中部、南部でも取っている。今後、宮古病院も変更を計画している。

 内科は消化器、呼吸器、腎臓、感染症など各専門に分かれ、それぞれの専門医が所属している。同院の医師は当直、急患ヘリ添乗、オンコール待機など業務負担が大きいなか、限られた人数で業務を行っているという。今回、医師の退職と西表西部診療所へ代わりの医師を派遣するため、内科医は12人に減る。
 篠﨑院長は「開始直後はトラブルも予想される。医師に負担がかかり過ぎると、今後、当院に医師が来ないかもしれない。土日や夜間の救急医療を守るためにも協力をお願いしたい」と求めた。

 2日以降、民間の医療機関に患者の集中が予想される。八重山地区医師会(会員37人)の上原秀政会長は「理事会で理事の方々に伝えた。『仕方がない』という意見や『患者さんのためにならない。八重山病院に頑張ってもらいたい』という声もあった。医師会としてどうこう言えない。あとは会員個々が判断すると思う」と話した。

ちなみにこうした場合応召義務云々はどうなるのかと思う方もいると思いますが、先日も紹介した通り緊急性のある場合を除き、昨今は通常営業時間内においても緩く解釈する方向で厚労省見解が示されています。
マンパワー等の限界から現実問題として対応困難であり、かつ他に適切な医療機関を案内出来ると言うことであればまず問題ないと思いますが、しかしHPを見ると制限とは言ってもその実効性が怪しく思えてきますね。
紹介状を持たなければ予約をして受診をと言うことですが、2200円を払って待ちさえすれば診察はしてくれると言うことですので、どの程度受診抑制に有効なのかは地域住民の意識にも関わってくることでしょう。

しかし今回の場合住民よりもむしろ地元医師会会員の反応がかなり興味深いと感じたのですが、「患者さんのためにならない。八重山病院に頑張ってもらいたい」とは率直な反応と言いますか、色々と意味を考えさせる意味深なコメントです。
一般論としてこうした場合飛び込みの患者が受診そのものを中止することは多くはなく、ほとんどの場合他の医療機関に回っていると思うのですが、当然その分周囲の医療機関には負担がかかる理屈です。
もちろん患者が増えて嬉しいと言うクリニックもあるでしょうが、今現在一杯一杯でやっている施設は他にもあるはずですから、最悪の場合各地で見られたように地域医療崩壊の連鎖現象が発生する危惧もありますね。
ただ基幹病院と開業医とどちらが地域医療に必須かと言えば当然前者だと考えると、その機能は最後まで最優先で保持されるべきと言う考えは妥当性があり、意識改革は地域医療関係者の間でも必要でしょう。

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コメント

>勤務先のプレッシャーが強いと、夜間のうちに救急へ行き薬だけもらって、這ってでも会社へ行くということがある

どんなブラック企業なんだ。
うちなんか40年も前から、「お前一人1日いなくても、現場は普段通り回る」なんて言われてたが。

投稿: | 2019年11月25日 (月) 09時12分

>勤務先のプレッシャーが強いと、夜間のうちに救急へ行き薬だけもらって、這ってでも会社へ行くということがある

どんなブラック企業なんだ。
うちなんか40年も前から、「お前一人1日いなくても、現場は普段通り回る」なんて言われてたが。

投稿: | 2019年11月25日 (月) 09時12分

ブラックでなくても勝手に自主規制しちゃうリーマンっているからねえ

投稿: | 2019年11月25日 (月) 20時45分

話は変わりますが、職場で言いたいことを我慢しすぎるのもよろしくないようですので。

https://next.rikunabi.com/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=001453

投稿: 管理人nobu | 2019年11月26日 (火) 19時52分

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