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2019年11月

2019年11月30日 (土)

今日のぐり:「洋食ルセット」

先日多くの人がずっこけたと言うのがこちらのニュースです。

防弾仕様の車 窓ガラスに鉄球投げたら…割れた テスラ株価下落(2019年11月23日NHK)

アメリカの電気自動車メーカー、テスラは電動のピックアップトラックを初めて公開しましたが、その性能をアピールしようとした発表会で窓ガラスが割れてしまう一幕があり、ねらいどおりとはいきませんでした。

テスラは21日、ロサンゼルス近郊で発表会を開き、初めて開発した電動のピックアップトラックを公開しました。
「サイバートラック」と名付けられた、近未来的なデザインが特徴的なトラックは再来年から生産を始め、欧米や日本などで販売する予定で、イーロン・マスクCEOは車体が防弾仕様になっているとアピールしました。
そして、極めて頑丈だという窓ガラスの耐久性を示すため、開発担当者が鉄の球を投げつける実演を行いましたが、球が当たると運転席の窓ガラスはクモの巣状に割れてしまいました。

これを見たマスク氏は「ちょっと強く投げ過ぎたかな」と苦笑いしたあと、やり直すよう指示しましたが、続く実演でも後部座席の窓ガラスが簡単に割れてしまいました。
マスク氏は「貫通はしなかったね」と述べ、その場を乗り切りましたが、頑丈なはずのトラックの無残な姿に、会場は気まずい雰囲気となりました。

話題の電動トラックの発表会に投資家たちも早速反応し、一夜明けた22日のニューヨーク株式市場でテスラの株価は一時7%近く下落しました。

元記事の動画では防弾ガラスはひび割れはしても貫通していないからいいのだとか、そもそもトラックのデザインがいささかどうよ?だとか、様々な意見があるだろうニュースですね。
今日は先進的なテスラ社が今後プレゼンのより良い手法を習得してくれることを願って、世界中から突っ込みどころの多そうなニュースを取り上げてみましょう。

免許持たず…「車買っていたので早く乗りたかった」ネットで“偽免許証”注文し作らせる 24歳男逮捕(2019年11月21日東海テレビ)

 インターネットを通じて偽の運転免許証を注文し、作成させた有印公文書偽造の疑いで、愛知県豊田市の24歳の会社員が逮捕されました。

 逮捕されたのは豊田市の会社員・岡本遼容疑者(24)で、他の者と共謀の上、今年10月ごろインターネットを通じて偽の運転免許証を注文し、作成させた有印公文書偽造の疑いが持たれています。
 中国から中部国際空港に届いた郵便物を名古屋税関の職員が調べたところ、偽の運転免許証を見つけ、発覚しました。

 岡本容疑者は普通自動車の免許を持っていなかったということで、調べに対し容疑を認めた上で「車を買っていたので少しでも早く乗りたかった」と供述しています。
 また「スマートフォンで斡旋サイトを見つけ注文した」とも供述していて、警察は中国で運転免許証が偽造されたとみて詳しく調べています。

ええ、まあ、それは車を買ったら早く乗りたい気持ちも理解出来なくはないですけれども、ねえ…
昨今こうした話は社会問題化しているそうですが、今回その発覚経路が注目されたと言うニュースです。

高校教諭が児童ポルノ禁止法違反(2019年11月27日NHK)

県東部の県立高校に勤める男性教諭が、18歳未満の女の子の裸の画像や動画をSNSに公開したとして児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕されました。

逮捕されたのは、富士宮市に住む県東部の県立高校に勤める23歳の男性教諭です。
警察によりますと教諭は、ことし6月、県内に住む18歳未満の女の子の裸の画像や動画を何らかの方法で入手し、SNSを使って公開したとして、児童ポルノ禁止法違反の疑いが持たれています。
警察は、捜査に支障があるとして認否を明らかにしていません。

警察によりますと、公開されている画像などを見た女の子の親が警察に相談し、被害が発覚したということです。
警察は、画像などの入手にほかの人物が関わっている可能性もあるとみて、入手ルートなどを詳しく調べることにしています。
静岡県教育委員会は「現在、事実関係を確認しているところだが、詳細が判明次第、対応を検討したい」としています。

入手経路であるとか様々な憶測を呼んでいるニュースですが、それは親御さんとしてもこんなものを発見してしまっては驚いたことでしょう。
こちらは猟奇的と言うのでしょうか、ちょっと何があったのかと想像してしまうニュースです。

便器の中から発見の男性遺体、選挙絡みの深い闇が地元で噂される?(2019年11月23日リアルライブ)

 1989年2月28日、福島県田村郡都路村(現田村市)にある教員住宅で一人の成人男性の遺体が発見された。男性が見つかったのはトイレの奥底にある便槽の中。警察は覗き目的で侵入した末の事故死と発表したが、地元住人は殺人事件ではないかと疑っていたという。小さな田舎の村で一体何が起きたのか。

 遺体で見つかったのは、同村に住む当時26歳の会社員Aさん。2月24日から行方が分からなくなっており、家族から地元警察署に捜索願が出ていた最中の事件だった。
 部屋の住人は当時23歳の小学校女性教諭のBさん。2月28日、家に帰宅したBさんが汲み取り式トイレで用を足そうとしたところ、便器の中に靴のようなものを発見し事件が発覚した。汲み取り式は便器内に開いた穴に排泄物を流し、下にある便槽に溜まるという仕組み。Aさんの靴は便器に開いた穴から見えたことになる。地元警察官と村の消防団員では便器の中の人物を引っ張り出すことは出来ず、最終的に重機で周りを掘り起こすことになったという。
 便槽から取り出された時にはAさんは既に死亡しており、真冬だというのに上半身は裸の状態だったそうだ。

 すぐに医師による検案が行われ、死因は凍え兼胸部循環障害であると判明した。死亡日時は死後硬直の状況から26日頃だと推察。身体には軽い擦り傷があるだけで争った形跡も見られなかったことから、警察はAさんが覗き目的で侵入し、出られなくなって凍死したと断定した。
 こうして事件は解決を迎えることになったのだが、地元住民はこの警察の発表に猛反発。「覗きをするために便槽に入り込む男じゃない」と多くの村人はマスコミの取材で話したという。なお、Bさんの証言については確認されていない。
(略)
 事件後、Aさんが勤めていた会社では、遺体が見つかった便槽と同じものを作り現場の状況を再現したそうだ。便槽の直径は約36㎝に対し、20代後半男性の平均肩幅は約40㎝。遺体発見時のAさんの姿勢を再現することは最後まで不可能だったという。
 Aさんが勤めていた会社が原発関連だったことからも噂はさらに広がり、最終的には地元住民が4000人を超える署名を集めて警察に再捜査の依頼をした。しかし、事件性はないという警察の判断は覆らず、2019年も事故死のまま事件に動きは見られない。

一体何が起こったのか様々な憶測が乱れ飛んでいるようですが、しかし最もそうであって欲しくない死に方の一つではないでしょうか。
最後に取り上げますのはこちらですが、日本でも昨今何かと話題になっているあの方々の最新情報です。


自称”動物愛護活動家”が盲導犬連れの男性を激しく罵倒 「虐待するな!」(2019年11月26日しらべぇ)

(略)
このほど英国ポーツマスで、スコットランドのファイフからやってきたジョナサン・アテンボローさんという30歳の男性が、見ず知らずの女にホテルのバーで激しく罵倒されるという不快な経験をした。5年前に視力を失い、ラブラドール・レトリバーの盲導犬「サム」を伴って行動することを常としていたジョナサンさん。そんな彼に、女は正面から「残酷な動物虐待はやめろ」などと怒鳴りつけたという。

■人の話には聞く耳持たず
過去にはエディンバラのカフェでも盲導犬を飼うなんて動物虐待だと批判されたことがあるジョナサンさん。なんとか理解を求めようと、女に「冷静になって話をしましょう」と返した。しかし女は聞く耳を持たず彼を罵倒し続け、「ラブラドール・レトリバーは野原を伸び伸びと駆け回ってこそ幸せだ」と主張し、一歩も譲らなかったという。反論すれば暴力をふるわれそうな勢いだったため、相手の言葉が尽きるのを待つしかなかったことをジョナサンさんは英国のニュースメディア『UNILAD』に語っている。
(略)
■ヴィーガンは時に暴徒化も
市民レベルで起きている、熱心な活動家を名乗る者によるこうした突然の攻撃。特にヴィーガン(完全菜食主義者)による暴挙は世界各地で増加中だ。英国ブライトンではあるヴィーガン集団が「Touro」というステーキハウスに押し入り、客や従業員らを罵倒。カナダ・トロントのシカ肉やイノシシ肉ほか珍しい肉料理を提供する「アントラー・キッチン&バー」は、1週間も続く抗議活動に苦しめられたことがある。またオーストラリアでは、ヴィーガンの女性がバーベキューの臭いや煙が迷惑だとして隣家を訴え、話題を呼んだ。
(略)

まあこの手の方々に何を言っても…と言う話ではあるのですが、試しに検索をしてみますと彼らの盲導犬に関する興味深い主張が垣間見られます。
世の中には色々な考え方の人がいるからこそ面白いと言うのも確かなのでしょうが、彼らの暴走をどこまで社会は許容すべきなのでしょうかね。

今日のぐり:「洋食ルセット」

広島県は福山市北部、曰く言いがたい裏通りの一画に位置するのがこちらのお店ですが、知る人ぞ知るなかなかのお店だと言う噂です。
ところでお店の見た目は普通の一軒家にしか見えないのですが、しかし普通の家と考えると随分立派なおたくですよね。

この日はお任せのコースをいただいたのですが、まずは和の野菜を使ったマリネが頃合いの味加減で期待が高まります。
ケーキのようにカラフルな前菜盛り合わせは、ムール貝のあしらい方が気に入ったのですが、こちらも見慣れた日本の野菜が大活躍していますね。
冷たいポタージュは刺激が少なく丁寧な味と舌触りですし、サワラのポワレは生臭さが残らず硬くもならないと言う絶妙の焼き加減で、脂のノリもいいですね。
メインの牛ステーキは広島らしく赤身肉ですが、表面の香ばしい焼き加減も頃合いで、全体に素材の味を殺さず和のテイストを感じる仕立てが興味深いものでした。
これでこのお値段であるならずいぶんとお値打ちだと思うのですが、ただ唯一ソフトドリンクだけはいずれも妙に薄く気が抜けている味だったのは気になりましたね。

接遇面ではフロアの方はもう少し目配りが欲しいと言いますか、単なるお運びさんとしてもいささか常識的にどうよ?と思う点もないではありませんが、まあ慣れていないのですかね。
トイレなど設備面は相応に整っているのですが、あくまで作りは家庭用と言う範疇ですので、混み合う時間帯などではちょっと困ることもあるかも知れませんね。

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2019年11月26日 (火)

改革の抵抗勢力、断固たる態度で改革に反対

社会保障制度改革は喫緊の課題が山積していますが、年金や雇用に優先してまずは真っ先に医療制度改革を前倒しで推進すべきだと、国が方針を固めたと先日報じられていました。
その原動力となるのが団塊世代が後期高齢者に突入する令和4年以降の医療費膨張の予測で、とりわけ高齢者と現役世代における負担と給付の見直しがキーワードになると考えられています。
この点に関連して受益者負担の推進と言う点からも、安易な過剰受診の抑制の観点からも導入が期待されているのが受診時定額負担ですが、日医はかねてこんな主張を繰り返していることが知られています。

日医横倉会長「定額負担、容認できない」と直訴(2019年11月26日医療維新)

 政府は11月25日、第2回全世代型社会保障検討会議(11月8日に開催)の議事録を公表した。第2回会議には、日本医師会会長の横倉義武氏、日本歯科医師会会長の堀憲郎氏、日本薬剤師会会長の山本信夫氏が出席し、意見を述べた。横倉会長は安倍首相ら構成員に対して、「財政論に偏って議論を進め、結論を急ぐべきではない」と訴え、受診時定額負担の導入などに反対する姿勢を示した。一方、民間の構成員からは、「後期高齢者が大幅に増える時期が迫る今こそ、給付と負担の見直しが必要だ」などの声が上がった(資料は、首相官邸のホームページ)。

 横倉会長は、会議内で必要性が検討されている受診時定額負担を巡って「将来にわたり 患者の療養給付を最大でも3割までしか負担を求めないとしてきた、これまでの原則を破って患者に負担を求めていくものであり、容認できない。社会保障としての国民皆保険の理念に反する」と批判。予防医療に力を入れ、健康寿命を延ばせば、結果として社会保障の支え手が増えるとして「従来の医療は、診断・治療に重点を置いてきたが、病を防ぐということも医療の大きな役割で、しっかり取り組んでいきたい」と述べた。
(略)
 横倉会長らの意見に対し、構成員からは厳しい声が上がった。
 日本総合研究所理事長の翁百合氏は「多くの国民は今後も医療の恩恵を受けられることを望んでいるが、医療制度の財源面が、持続可能なのか不安を持っている」と強調。横倉会長が受診時定額負担にしか明確に触れていなかったことから、「低所得者に十分配慮すれば、後期高齢者の窓口負担引き上げはやむを得ないと考えているのか」と質問した。
 日立製作所会長の中西宏明氏は「やはり今、高齢者の方が優遇されていて、若い人に閉塞感があるという現実を踏まえて、負担能力のある高齢者に負担をお願いしていくという方向性については、はっきり今出すべき時期ではないか」と迫った。

 横倉会長は「当然現役世代に負担がかかっていることも、十分に理解し、低所得者に十分配慮しながら、国民が納得できるよう十分な議論を尽くしていくべきだろうと考えている。国民が納得するような形で、負担ができる方には負担を上げていくことには私も賛成をしている」、「負担ができる方を上げることには強い反対は申し上げていない」と応じた。

 東京大学公共政策大学院客員教授の増田寛也氏は、日医が自己負担の増加による受診抑制が健康への悪影響を及ぼすと主張していることを挙げ、「(受診時定額負担を)仮に100円とすると、診療報酬30点強に相当する。このレベルの点数の新設、かさ上げというのは、診療報酬改定で行われており、診療報酬のプラス改定では当てはまらないけれども、受診時定額負担ではこういう悲劇が起こるというのはちょっと無理がある」と指摘した。

受診時定額負担に関してはかねて受診機会の多い高齢者をターゲットにした制度だと言う批判があり、日医もかねて後期高齢者の負担増と言う観点からこの制度導入に反対しています。
ただ今回興味深く感じたのが本音では後期高齢者の受診抑制は困ると言うことであるのに、患者自己負担は最大で医療費の3割までとの既定の原則に反していると主張している点でしょうか。
そもそも後期高齢者は自己負担率の点でも未だに1割負担が続くなど優遇されているのですから、定額負担が加わっても3割になどなるはずがないと思いますが、日医としても反論に苦労していると言うことでしょうか。

ちなみに日医自身も認めているように、自己負担増加による自主的な受診制限ではなく、自由な受診を制限し予約制にするなど医療側による受診制限によって医療費を管理する国もあります。
イギリスなどがその代表格で、日本でも昨今基幹病院などは実質的な受診制限を敷いている例がありますが、応招義務と言う法的制約に加えて、日医ら医療系団体が受診の自由を断固主張しています。
要するに患者が医療をどの程度利用するかは完全な患者側の自主的判断に委ねられているのが日本の現状であり、まずはこれを制限するべきかどうかが議論の出発点にならなければなりませんね。

今後医療の提供体制に関しては自治体が主体となる地域医療構想に従って構築されることになりますが、施設間の機能分化が推進されれば、急性期を担当する医療機関は額面上減ることになると思われます。
他方で患者側からすれば調子が悪い時には救急を扱うような急性期施設に真っ先に受診したいはずで、こうした施設は今まで以上に多忙になる恐れが強そうですから、現実的にも無制限な受診は困るでしょう。
医療のコスト、クオリティー、アクセスのうち国民が最も受け入れやすいのはアクセス制限だと思われるのですが、それに反対するなら日医はどこを制限することで医療の永続性を図ろうとしているのか知りたいですね。

 

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2019年11月25日 (月)

なにが上手な医療のかかり方かは、立場によっても正解が異なる

先日厚労相主体でこうした活動が始まっていると言うニュースが出ていました。

デーモン閣下「医療現場の実情、もっと知らなくては」上手な医療のかかり方大使に任命、3児の母・中村アナも(2019年11月18日医療維新)

 患者の受診行動を適正化し医師の負担軽減につなげようと、厚生労働省は11月18日、アーティストのデーモン閣下とフリーアナウンサーの中村仁美氏を「上手な医療のかかり方大使」に任命した。医療機関や自治体などの優れた取り組みを表彰する「上手な医療のかかり方アワード」を開催するほか、電話の相談窓口などをアピールして、不要不急の受診を減らすのが狙いだ。
 任命証を手渡した厚生労働大臣の加藤勝信氏は「医師は一人の人間でもある。働き方改革は現場だけで実現できるわけではなく、社会全体で考えなくてはいけない課題だ。患者は医療機関を自由に選べる仕組みにはなっている。しかし、医療のかかり方には、いろいろと改善できる余地があるのではないか。国民が正しい知識と相談できる窓口を持ち、上手なかかり方を実践することが大事だ」と述べ、2人の発信力に期待を寄せた。加藤厚労相はデーモン閣下に白衣もプレゼントし、笑顔を見せていた。

 厚労省は2018年度に開催した「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」での検討結果を踏まえ、上手な医療のかかり方アワードを創設。11月1日から12月20日まで、各団体からの応募を受け付け、2020年2~3月頃に表彰式を行う。
 11月1日に開設したサイト「上手な医療のかかり方.jp」では、休日・夜間に子どもの症状について相談できる「#8000」や、救急車を呼ぶべきか迷った際に相談できる「#7119」(一部地域)などを紹介しており、今後、内容を充実させる予定だ。
 同懇談会のメンバーでもあったデーモン閣下(『「国民全体が医療危機に取り組むべき」デーモン閣下、宣言発表』を参照)は「医師が大変だということを、国民はもっと知らなくてはいけない。知ることによって、もう少しかかり方を考えようと思うはずだ。どうやって病院に行くのか、相談してから行くのか、正しいプロセスを実践するだけで、医療現場の負担は軽減していく。多くの国民にぜひ知ってもらいたい」と意気込みを語った。
 3児の子育てをしている中村氏は「(病院に連れて行かず)子どもに何かあったときに親の責任としてつらいと思うので、夜でも病院へ行くことがある。自分のことではないので、どれくらいつらいのか分からず、余計に心配になる」と母親としての真情を吐露。子どもの症状などを相談できる電話窓口「#8000」の取り組みを紹介されると、「プロの意見を聞いて安心したいという親御さんは多い。ぜひ勧めたい」と語った。

 東京女子医科大学東医療センター救急救命センターに勤める救急医の赤星昂己氏も登壇し、「救急出動件数は10年間で100万件以上増えている。一方、医師も増えてはいるが、救急や外科は増えていないのが現状だ。ドクターなので全員を助けたいと考え、救急患者は絶対に断らないつもりでやっているし、どんな症状でも来てほしいと願っている。それでも現場はギリギリで、必死に頑張っている。緊急度の低い方がたくさん受診すると、受け入れられなくなる恐れがある」と実情を訴えた。
 株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵氏は、「本当は翌朝に通院すればいいが、勤務先のプレッシャーが強いと、夜間のうちに救急へ行き薬だけもらって、這ってでも会社へ行くということがある」と、一般企業の働き方改革も重要だと指摘した。

しかし赤星先生もお忙しい中で昨今医療現場以外でも大活躍の御様子ですが、小室氏の言うところの日中受診出来るよう一般企業の働き方改革をと言う意見も、まことにごもっともと言うしかありませんね。
公的なスタンスとしての患者の受診抑制への誘導に関しては、以前から一部医療系団体の熱烈な反対もあるようですが、受診行動の適正化と言うことに関して少なくとも表向き反対することは難しいはずです。
とは言え、経営的観点から未だにどんどん救急車を取れ、患者は断るなとスタッフに強要する病院もいないでもないようで、今後医師の働き方改革との絡みでこうした施設がどうなっていくのかも注目されますね。
そんな中でスタッフ数の制約などから物理的にこれ以上の応需は難しく、医療需要を制限せざるを得ないと言う場合も当然あるはずですが、地域にとっては必ずしも歓迎される話と言うわけでもないようです。

内科の初診外来を制限 県立八重山病院、医師が不足(2019年11月20日琉球新報)

 【八重山】県立八重山病院(篠﨑裕子院長)は医師不足のため、12月2日から内科の初診外来を原則、紹介状のある患者に制限する。期間は未定。同院は「まずは地域のかかりつけ医で受診してほしい」と呼び掛けている。

 八重山病院の内科では19日に医師1人が退職するほか、12月2日以降は常勤医不在となった西表西部診療所に同院内科医を週4日常勤で配置し、週末なども別の医師を派遣する。そのため19日現在で13人いる内科医は、12月2日以降、実質11人に減少する。
 2018年10月の新病院開院以降、外来患者数も増加傾向にあるとしており、地域の一次医療と二次医療の役割分担を進める観点からも内科外来の制限を決めた。救急患者は従来通り24時間受け付ける。

 篠﨑院長は「内科医の減少で医師の負担が重くなるため、理解してほしい。従来通り地域の病院とは連携し、何かあれば紹介を受ける。責任持って二次医療を担いたい」とした。

県立八重山病院内科 来月2日から診療変更(2019年11月20日八重山毎日新聞)

 県立八重山病院(篠﨑裕子院長)は内科の医師が14人から2人減り医師が不足するため、12月2日から内科の診療取り扱いを変更することが19日、分かった。紹介患者、救急患者を優先させるため、紹介状を持たない内科初診患者は民間の医療機関を受診するよう促している。医師の過重労働軽減に対応し、1次医療や2次医療のすみ分けを行う考え。開業医等の診療所を介することで「かかりつけ医師」の定着を図る。

 中核医療を担う同院はこれまで、すべての外来患者を診察してきたが、変更により急患や紹介患者に専念できるほか、地域の病院・診療所などを後方支援することで地域医療支援病院を目指す。
 同様の体制は、県立の北部、中部、南部でも取っている。今後、宮古病院も変更を計画している。

 内科は消化器、呼吸器、腎臓、感染症など各専門に分かれ、それぞれの専門医が所属している。同院の医師は当直、急患ヘリ添乗、オンコール待機など業務負担が大きいなか、限られた人数で業務を行っているという。今回、医師の退職と西表西部診療所へ代わりの医師を派遣するため、内科医は12人に減る。
 篠﨑院長は「開始直後はトラブルも予想される。医師に負担がかかり過ぎると、今後、当院に医師が来ないかもしれない。土日や夜間の救急医療を守るためにも協力をお願いしたい」と求めた。

 2日以降、民間の医療機関に患者の集中が予想される。八重山地区医師会(会員37人)の上原秀政会長は「理事会で理事の方々に伝えた。『仕方がない』という意見や『患者さんのためにならない。八重山病院に頑張ってもらいたい』という声もあった。医師会としてどうこう言えない。あとは会員個々が判断すると思う」と話した。

ちなみにこうした場合応召義務云々はどうなるのかと思う方もいると思いますが、先日も紹介した通り緊急性のある場合を除き、昨今は通常営業時間内においても緩く解釈する方向で厚労省見解が示されています。
マンパワー等の限界から現実問題として対応困難であり、かつ他に適切な医療機関を案内出来ると言うことであればまず問題ないと思いますが、しかしHPを見ると制限とは言ってもその実効性が怪しく思えてきますね。
紹介状を持たなければ予約をして受診をと言うことですが、2200円を払って待ちさえすれば診察はしてくれると言うことですので、どの程度受診抑制に有効なのかは地域住民の意識にも関わってくることでしょう。

しかし今回の場合住民よりもむしろ地元医師会会員の反応がかなり興味深いと感じたのですが、「患者さんのためにならない。八重山病院に頑張ってもらいたい」とは率直な反応と言いますか、色々と意味を考えさせる意味深なコメントです。
一般論としてこうした場合飛び込みの患者が受診そのものを中止することは多くはなく、ほとんどの場合他の医療機関に回っていると思うのですが、当然その分周囲の医療機関には負担がかかる理屈です。
もちろん患者が増えて嬉しいと言うクリニックもあるでしょうが、今現在一杯一杯でやっている施設は他にもあるはずですから、最悪の場合各地で見られたように地域医療崩壊の連鎖現象が発生する危惧もありますね。
ただ基幹病院と開業医とどちらが地域医療に必須かと言えば当然前者だと考えると、その機能は最後まで最優先で保持されるべきと言う考えは妥当性があり、意識改革は地域医療関係者の間でも必要でしょう。

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2019年11月23日 (土)

今日のぐり:「讃岐うどん むらや」

先日ちょっとした話題になっていたのがこちらの研究結果です。

ヒヒの男児はクルマの玩具で遊び、女児は人形で遊ぶと判明! ジェンダー・ニュートラルは幻想か(2019年8月4日トカナ)

 かつての昭和の時代は小学生のランドセルの色は男児が黒、女児が赤と決まっていたが、ご存じのように現在ではさまざまな色のランドセルが売られている。このように古い文化的な固定観念はその後のジェンダーバイアスに通じるものとして、今日の社会では少しずつ取り除かれていることは間違いないだろう。
(略)
 そこで、この分野に関する最新の研究で興味深い事例が報告されている。先ごろ放送されたBBCドキュメンタリー「Animals at Play」では、動物の“遊び”をテーマにして各種の動物の個体の成長にいかに“遊び”が重要な役割を果たしているのかを明らかにしている。

 実験の1つでは、ヒヒの子どもたちにさまざまな種類の玩具を与えてどのような反応を見せるのかを観察しているのだが、どうやら玩具の好みに性差があることが浮き彫りになったのである。
 男児のヒヒはクルマや飛行機といった“男児向け”の玩具を好み、女児のヒヒはぬいぐるみの人形という“女児向け”の玩具を好んでいたのだ。
(略)
 番組の中でも、ヒヒの子どもたちが見せたこの興味深い遊びの様子にフォーカスしている。
「このテストは、人間の行動を取り巻く古くからの問題に光を当てます。男性と女性は異なる方法で遊ぶように生物学的にプログラムされているのか、それとも両親や仲間からの社会的影響の結果としてみられる違いなのでしょうか」(番組より)

 番組は性差が「著しい」ものであると結論づけているようだ。つまり霊長類のレベルでも女児は人形を好み、男児はクルマで遊ぶということになる。
「遊びというのは、単なる娯楽や競争以上のものなのです」と、番組を手掛けた制作会社「Offspring Films」のディレクター、アレックス・ウィリアムソン氏は語る。
「遊びは動物の発育、そしてある場合においては生存にとって不可欠なものです」(アレックス・ウィリアムソン氏)
(略)

メスは子供に哺乳することから人形をかかえると言う本能が発揮されたのだとか、様々に解釈する余地はありそうなのですが、いずれにせよ明確な性差があるとは興味深いですね。
本日は性ということをもう一度考えてみる意味で、最近話題になっていた性にまつわるニュースの数々を取り上げてみましょう。

女性の性と生理にフォーカスした新売り場を大丸梅田店がオープン スタッフの“生理バッジ”も導入(2019年11月21日WWD)

 大丸梅田店は22日、“女性のリズムに寄り添う”新ゾーン「ミチカケ(MICHIKAKE)」を5階に開く。生理日予測アプリの「ルナルナ」と協業し、同アプリが分析する女性のリズムである「ブルー期(生理中)」「キラキラ期(生理後)」「ゆらゆら期(不安定な時期)」「どんより期(生理前)」の4つの周期に合わせた商品を提案する。体調や生理など女性特有の深層的な悩みに寄り添う従来の百貨店の提案になかった斬新なアイデアを取り入れている。
 もともと婦人服のヤングゾーン「うふふガールズ」が入っていた約893平方メートルのスペースに、下着や生理用品、漢方、ハーブティー、サプリ、セルフプレジャーアイテム(女性向けのアダルトグッズ)、寝具、コスメなどの日本初出店7ブランド、関西初の4ブランドを含む18ブランドの17店舗が出店。イベントスペースも設け、随時ポップアップショップやトークショーなどを仕掛けていく。
(略)
 大丸梅田店の今津貴博店長は同売り場について「百貨店はオワコンと言われて久しい。今大きなトレンドや流行がなくなってきている中、価値観が定まったマーケットでの競争を繰り返している。それが今百貨店が面白くなくなってしまった原因だ。日本では女性の性と生理は”触れてはいけないこと”という風潮があり、全てのお客さまが肯定的に受け入れられるものではないが、昨今のフェムテックブームの広がりもあり、その価値観は若い人を中心に変わりつつある。大げさなことを言うが、女性のデリケートな悩みのソリューションとなる売り場となり、市場に寄与できるのではないかとワクワクしている」と説明した。
(略)
 同売り場は10月15日からは売り場のコンセプトに合わせて、同店のスタッフへ本人の希望に合わせて、生理中であることを示す“生理バッジ”を試験的に導入している。社内や来店客とのコミュニケーションツールを目的にしている。
 オープン前から生理を擬人化した人気漫画「生理ちゃん」とコラボレーション企画を行い、オリジナル漫画の配信や、オリジナルグッズを販売するポップアップショップを出店してきた。23日には作者の小山健のサイン会を行う。

ちなみに同企画は現在ネット上で特に生理バッジが絶讚炎上中だそうですが、何でしょうね…ワクワクが良くなかったのでしょうか。
同じくジェンダー絡みのニュースですが、大変な手間なのだろうなと言う気はするニュースです。

「マンホール」とはもう言いません、ジェンダー配慮で用語変更 米バークレー市(2019年7月19日AFP)

【7月19日 AFP】「マンホール」は性別を含む単語なので、もう使いません──米カリフォルニア州バークレー(Berkeley)の市議会は今週、これまで公的文書や口頭で広く使われてきたさまざまな単語について、性差による区別のない表現に置き換える条例を可決した。

 条例案の起草に当たり中心的な役割を果たしたライジェル・ロビンソン(Rigel Robinson)市議会議員は、「トランスジェンダー(性別越境者)や従来の性別の概念に当てはまらない人々に関する社会的な認識が広がってきて、男女どちらにも分類されないジェンダー(社会的性別)の人々を包摂する重要性が浮き彫りになった」と説明した。
「そのため、市役所の環境や市の法令上の言葉遣いを包摂の原則に一致させるのはタイムリーであり、また必要なことだ」(ロビンソン議員)

 この条例に従い、「マンホール(manhole)」は「メンテナンスホール(maintenance hole)」に、「マンパワー(manpower、労働力)」は「ヒューマンエフォート(human effort、人力)」に、保証人を意味する「ボンズマン(bondsman)」は「ボンズパーソン(bonds-person)」に変更される。
「妊婦(pregnant woman)」も「妊娠中の従業員(pregnant employee)」に置き換えられ、女子学生の社交クラブ「ソロリティー(sorority)」と男子学生の社交クラブ「フラタニティー(fraternity)」は共に「ギリシャ式学生会館(collegiate Greek system residence)」となる。
 また、「彼」「彼女」などの代名詞の使用も避けることが求められる。

「言葉には力が宿る」とロビンソン氏はツイッター(Twitter)に投稿し、「これは小さな動きだが、大きな意味を持つ」と新条例の可決を高く評価した。

言葉には力が宿るかも知れませんが、もしかすると市民の多くは脱力感に襲われているかも知れないニュースでもありますね。
こちら一転して何ともほのぼのと平和的なニュースですが、まずは記事から紹介してみましょう。

オス同士のペンギン夫婦、いまも円満 豪水族館で2個目の卵からひな(2019年11月8日ロイター)

[7日 ロイター] - オーストラリアのシドニー水族館で、オスのジェンツーペンギンのカップルが「里親」として温めていた2個目の卵から、ひなが誕生した。

「マジック」と「スフェーン」のカップルが温めた卵がかえったのは昨年以来で、これで2回目。

2018年の繁殖期前につがい状態となり、巣作りに使うための小石を集め始めた。飼育員がダミーの卵を与えたところ、2羽が高い養育能力を示したため、昨年に初めて本物の卵を与えていた。

ペンギンの中でも人懐っこく温順な性格だそうですが、通常はオスメス交代で卵を温めるそうで、もともとイクメンの素養はあったのでしょうね。
最後に取り上げるのはこちら、日本ではあまり利用されることのなさそうな絵文字のニュースです。

「性的な意味でナスと桃の絵文字を使用すること」をFacebookとInstagramが禁止へ(2019年11月1日GIGAZINE)

ナスの絵文字と桃の絵文字は性的な意味で使われる場合があるとして、FacebookとInstagramが検閲を開始したと報じられました。

ナスの絵文字と桃の絵文字が検閲の対象になりうる特定のケースとは、「性的なコンテンツといっしょに当該絵文字を投稿する」という場合です。ここでいう「性的なコンテンツ」には、女性のセクシーな画像や、アダルトコンテンツに対するリンクや言及などが含まれます。こういった内容とナスの絵文字と桃の絵文字が組み合わされて投稿された場合、ナスの絵文字は男性器を指し、桃の絵文字は臀部(でんぶ)を指すとして解釈されるとのこと。
絵文字に対する規制はFacebookの規約上にも明記されています。
(略)
今回の規制は、プラットフォームの健全化のために、FacebookとInstagramから営利、非営利を問わず性行為目的の出会いを排除するためだと考えられています。

何のことやらと感じた方は元記事の画像を参照いただければと思いますが、なるほどと納得してしまった不肖管理人は心が汚れているのでしょうかね。
アスキーアートの文化が発達した日本では規制逃れも出来そうですが、しかし人間の考えることはどこの世界でも大差はないと言うことでしょうか。

今日のぐり:「讃岐うどん むらや」

倉敷市の中心部近くにオープンしたこちらのお店、店名は違いますが何でも岡山県内にチェーン展開されている讃岐うどん「むらさき」さんの系列店なのだそうです。
カウンター席中心の一般店スタイルのお店ながら、メニューを見てみますとお値段はこのスタイルとしてはかなり割安で、セルフに近い価格帯と言えそうですね。

今回はおすすめのとり天ぶっかけ(冷)を頼んでみましたが、一見して倉敷風のぶっかけうどんと思わせるスタイルです。
汁はさほどに濃さはないものの甘辛い倉敷風に近いアレンジで、これも同様に薬味としてワサビがつくのもいかにもそれらしいものですね。
平打ちのうどんは色艶も良く舌触りも良好で、気持ち柔らかめですがコシがしっかりとしたなかなかいいうどんで、強いて言えば少し締めが甘く生暖かいのがマイナスでしょうか。
トッピングは大振りなとり天が二つ載っていてなかなかボリュームもあり、クリスピーで下味も頃合いの加減でおいしくいただけました。

こちらのお店では温と冷でうどんの形を違えているようで、これは妥当な考え方だと思いますし、メニューを見ていると他にも幾つか工夫しておられる様子で感心しました。
接遇は最近の店舗として標準的なもので、店内も明るく広々感もありますが、しかしこの界隈は「永楽」さんや「たかと」さんなどうどん屋の競争は激しそうですね。

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2019年11月20日 (水)

医師不足が叫ばれる中で医学部定員が削減に転じた理由

先日取り上げました来年度の診療報酬改定の話題に関して、今回も薬価に関して厳しい改定が予想されそうだと紹介しましたが、厚労省の調査では薬局は未だ黒字であることが報じられています。
薬価改定で経営的にどのような影響があるかは単純には言えない話ですが、今後薬局に関しても厳しい目線が注がれる可能性が高く、場合によっては新規解説規制などもないとは言えない状況だと言いますね。
以前から日本医師会などは薬局が儲けすぎだと目の敵にしていて、医薬分業自体の意義を問い直す声も根強くありますが、薬局の場合保険外の商品取り扱いで儲けは出しやすく、経営上有利とは言えるでしょう。

ところで薬剤師の供給元となっている薬学部の定員は年々増加を続けていますが、長期的に見ればいずれ減少に転じるはずだと言う予測があります。
薬学部6年制への変更やドラッグストアへの薬剤師配置などで当面売り手市場となっていたとは言え、今後法科大学院や歯学部と同様に過剰となるだろうと言うことですね。
現時点ではもっとも不足感が強い医療職は医師と看護師だと思いますが、その医師にしてもそろそろ過剰の懸念がささやかれる中、先日はこんな記事が出ていました。


2020年度の医学部地域枠、12大学で計77人減(2019年11月18日医療維新)

 文部科学省は11月13日、2020年度医学部入学定員を大学設置・学校法人審議会に諮問、臨時増員計画による地域枠の定員が2019年度と比べて12大学で計77人減少することが明らかになった。過去の充足率が低い大学で定員削減が目立ち、旭川医科大学と山形大学は、同計画による地域枠を廃止。一般やAO入試によって地元に定着する卒業生の確保を目指す。一方で、3大学で計13人増加し、臨時増員による地域枠は計65大学で計863人(2019年度比64人減)だった。

 医学部の定員は臨時増員計画が始まった2008年度以降、増加傾向が続き、直近3年間は2017年度が9420人、2018年度9419人、2019年度9420人とほぼ横ばいだった。地域枠の減少もあり、2020年度は90人という大幅減の9330人となった。今月内にも答申を受けて、正式に認可される見通しだ(資料は、文科省のホームページ)。
(略)
 勤務地が制限されることもあり、地域枠で入学しても、奨学金を返却するなどして義務年限を果たさない学生が少なからずいる。厚生労働省の調べでは、2018年の地域枠の定員充足率が81.6%にとどまっていた(『2018年度の地域枠充足率81.6%、24府県が「8割未満」』を参照)。
 厚労省は、地域枠だけの試験を実施する「別枠方式」と比べて、一般と同じ枠で試験を行ってから入学前後に希望者を募る「手挙げ方式」では、卒業後に指定された地域や診療科で勤務しない割合が高いために問題視。「別枠方式」に統一するよう改善を求めていた。
(略)
 医学部の定員は2008年度以降、地域枠や研究医枠の創設、歯学部からの振り替え、東北医科薬科大学医学部(定員100人)と国際医療福祉大学医学部(定員140人)の開設によって、大幅に増加。2017年度から2018年度に1人減ったのを除いて、毎年増え続けていたが、2020年度は大幅に減少に転じた
 医学部入学定員は、2020 年度と2021 年度については、厚労省の医師需給分科会の2018年5月の第3次中間取りまとめで、「2019 年度の医学部定員を超えない範囲で、その必要性を慎重に精査していくこととする」となっていた(『医師需給の「第3次中間取りまとめ」、了承』を参照)。

この地域枠問題、本来的には基本的人権を無視した御礼奉公を強要されるからこそ不人気であると捉えるべきと言え、一般枠が高倍率であるにも関わらず地域枠は定員が埋まらない大学も多いそうです。
その意味では医師過剰とは本来別の問題であるはずなのですが、注目すべきは地域枠定員を削った分をまるまる医学部定員削減としていることで、結果的に医学部定員の大幅減となっている点ですね。
医師不足が今後も長く続くと言うことであれば、一般枠に振り分けるなどしてでも定員総枠を維持すべきところでしょうが、文科省としては現時点で医学部の定員削減にゴーサインを出したと言う形です。
医療行政は基本的には厚労省の管轄であり、医師の需給予測に関して厚労省と文科省でとらえ方が違うと言う可能性もありますが、この種の問題では両者がある程度協議した上で決めていると思われます。

要は厚労省としても少なくとも定員削減に反対ではないと思われるのですが、地域枠の減少は医師の勤務地について強制力を発揮出来る手駒の減少に直結する問題で、本来あまり歓迎できないはずです。
他方で2018年より新専門医制度がようやく実施の運びとなりましたが、実質的な勤務先の制限など医師配置についてより強力な規制手段としても活用出来るものであり、地域枠よりよほど有用とも言えますね。
必要な場所に適切に配置されるなら同じ医師総数であっても効率的な医師の活用が可能になるはずで、仮に全医師が最善の効率で活用されるなら医師数をこれ以上増やさずともすむ可能性もあります。
不人気の地域枠を強いて維持する必要性に乏しい体制が整った以上、奨学金など余計なコストもかかり不確実な地域枠が次第に減少、廃止されていくことは既定の路線なのかも知れないですね。

 

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2019年11月18日 (月)

診療報酬改定作業、甘い話にはなりそうにないと言う予測根強く

来年度の診療報酬改定に向けた議論が始まっていますが、例によって財務省筋からはマイナス改定への強い圧力があるようです。

診療報酬マイナス改定へ 医師の人件費焦点 年末予算編成向け調整(2019年11月14日共同通信)

 政府は13日、医療機関にサービスの対価として支払う診療報酬に関し、医療費抑制のため2020年度の見直しで全体の改定率をマイナスにする方向で検討に入った。薬代などの「薬価部分」を引き下げる。今後は医師らの技術料や人件費に当たる「本体部分」への対応や具体的な数値が焦点。本体部分はプラスを維持するとの見方が強く、年末の政府予算編成での最終決定に向け、関係団体や政府、与党内の調整が本格化する。

 医療費は増加傾向にあり、四十数兆円規模が続く。診療報酬は税金と保険料、患者の窓口負担(原則1~3割)が財源となっている。改定率がマイナスの場合は医療機関などの収入が減り、プラスになれば医療費が膨張し、国民の負担増にもつながる。
 診療報酬は本体部分と薬価部分で構成され、原則2年に1度改定される。全体では過去2回、マイナス改定が続いており、前回の18年度は0・9%引き下げた。内訳を見ると、人件費など医療機関の収入に直結する本体部分は、自民党の有力支持団体である日本医師会(日医)の強い要望を受け0・55%引き上げたが、薬価は市場価格に合わせる形で引き下げ、マイナス1・45%とした。

 厚労省はこの日、医療機関の経営状況を調べた2018年度の「医療経済実態調査」を公表。一般病院全体では、1施設当たりの利益率はマイナス2・7%で、17年度に比べ0・3ポイント改善したものの赤字が続いた。病院以外では、一般診療所が12・9%、歯科診療所20・5%、薬局5・5%と黒字を維持した
 病院の赤字の一因は人件費の増加とみられ、日医などは本体部分の引き上げ圧力を強めそうだ。複数の自民党閣僚経験者は「プラス改定にする」と語った。
 一方、財務省は薬価だけでなく本体も引き下げ、全体で2%台半ば以上のマイナス改定を目指している

政治巻き込み駆け引き激化 医療費抑制か赤字改善か 2020年度診療報酬改定(2019年11月14日共同通信)

 医療サービスの公定価格を決める来年4月の診療報酬改定を巡り、関係者の攻防が始まった。財務省は医療費抑制の観点から引き下げを求めるが、医療機関が全体で赤字経営に陥っているとして、医療団体や自民党の厚生労働族議員は引き上げを主張する。年末の予算編成に向け、政治も巻き込んだ駆け引きが激化する。
(略)
 「国民医療費の抑制を図るためには、診療報酬のマイナス改定は不可欠だ」。財務省は1日、財政制度等審議会の分科会で、医療費膨張の実情をグラフで示して訴えた。2年に1度の改定は、財務省にとって医療費削減の貴重な機会となる。
 本体部分は2008年から18年まで、6回連続のプラス改定。財務省は「デフレ期にも上昇を続けた結果、医療機関の人件費や物件費を賄う本体部分の水準は、一般的な賃金や物価の水準と比べて高くなっている」と指摘。引き下げを強く主張する。

 これに医療団体は猛反発した。政治的影響力の大きい日医の横倉義武(よこくら・よしたけ)会長は1日の分科会直後、緊急記者会見を開催。政府の要請を受けて他産業が賃上げを行う中で「医療だけが取り残されることがないようにしなければならない」と反撃した。
 そうした中、病院は赤字との調査結果が出た。医師の働き方改革も課題となる中、さらなる人件費増や設備投資が避けられず、本体プラスへの流れが強まるのは必至だ。与党の厚労族議員からは「今回はプラスだろう」と楽観視する声も漏れる。

 財務省は、医療費削減に向けた医療制度改革と合わせて水面下の交渉を進めたい考えだ。日医は改革案のうち、外来受診時に一定額を上乗せする「受診時定額負担」に強硬に反対する。定額負担は医療費削減効果がより大きい。ある財務官僚は「日医が定額負担実現を受け入れなければ、プラス改定にはできない」と話す。

記事にもあるように先日厚労省から診療所は黒字、病院は赤字と言う調査結果が出たと報じられていて、普通に考えれば診療所には厳しく、病院にはやや緩めの改定が落としどころなのかとも感じられます。
ただ個人経営の診療所の場合赤字となれば即廃業ですから、基本的に黒字の施設でなければ存続出来ないはずなので、単純に平均して黒字だから診療所は儲かっているとも言い切れない話ではありますね。
医療費総額を抑制したい財務省の思惑からすると、より巨額の医療費を使っている病院の方が抑制の旨味は多いとも言え、赤字なのだから病院には報酬を手厚くと言うことにもならないはずです。

他方で厚労省としては医師の働き方改革とも関連して、非効率な中小医療機関を統廃合したいと言う以前からの野望もあるのですから、経営的な側面から締め付けを強くすることは必ずしも悪い話ではありません。
要は財務省、厚労省とも一致して、赤字経営の病院を積極的に救済することに利点を感じていない可能性が高く、医療系諸団体や族議員は新たな理論武装に基づいた主張が求められそうですね。
ところで医師の働き方改革と言えば病院経営に極めて大きな影響を与えると医療系諸団体の抵抗も強い昨今の課題ですが、それに関連して先日興味深い調査結果が報じられていました。

常勤医の平均勤務時間が月6.6時間減少 診療報酬改定結果検証、2017年と2019年6月を比較(2019年11月15日医療維新)

 厚生労働省は11月15日の中医協の診療報酬改定結果検証部会と総会で、2018年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の結果を報告した。「医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進に係る評価等に関する実施状況調査」で、施設調査では常勤医師の1カ月間の平均勤務時間が2017年6月の182.8時間から2019年6月には176.2時間に減少したことなどが明らかになった。一方、医師調査では1年前と勤務時間が「変わらない」との回答が73.4%に上った(資料は厚労省のホームページ)。
(略)
 施設調査によると、常勤医の1カ月間の平均勤務時間は2017年6月の182.8時間から2019年6月には176.2時間に減少。病床数別に見ると減少幅が大きかったのは100~199床で178.2時間から169.8時間、次いで400床以上が190.2時間から182.0時間だった。非常勤医も全体で47.2時間から46.0時間に減少した。
 1カ月間の平均当直回数は常勤医が2.6回から2.5回に減少する一方で、非常勤医が1.4時間から1.5時間に増加。病床数別に常勤医を見ると、99床以下では4.0回から3.7回に減少し、それ以上ではほぼ横ばいだった。1カ月に連続当直を行った医師数(行った医師がいない施設は0人として含む)では、常勤医が1.2人で横ばいだったが、非常勤医が0.8人から1.0人に増加した。
(略)
 実施している医師の負担軽減策(複数回答)では、「医師事務作業補助者の外来への配置」が51.0%で最も多く、次いで「医師の増員」が50.3%、「院内保育所の設置」が46.9%。上位には当直翌日の業務内容の軽減(当直翌日の休日を含む)、医師が出席する会議の所定就業時間内での開催(開始時刻の前倒し等)などもあった。全ての項目で、医師事務作業補助体制加算を届け出ている病院の方が、実施率が高かった。
 実施したもののうち「特に負担軽減の効果がある取り組み」を最大3つまで尋ねた項目では、「医師の増員」が35.2%、「医師事務作業補助者の外来への配置」が31.7%でこれら2つが突出。「医師事務作業補助者の病棟への配置」が15.0%、当直翌日の業務内容の軽減(当直翌日の休日を含む)が14.6%だった。

 医師調査には1300人が回答した。2019年7月1日から7日の1週間の勤務時間では、医師事務作業補助体制加算の届出がある施設では50.9時間で、うち診療時間が39.2時間、そのうち事務処理に係る時間が8.2時間。診療時間に占める割合は20.9%だった。届出がない施設では42.5時間で、うち診療時間が32.7時間、そのうち事務処理に係る時間が7.5時間で、割合は22.9%だった。
 今回の調査対象施設以外の病院でも勤務している医師は33.4%で、特定機能病院に限れば80.3%が他の病院で勤務していた。2018年9月の時点で対象施設以外に勤務している医療機関数(回答者418人)は平均1.5施設。そこでの1カ月間の勤務時間は平均23.7時間で、当直回数は0.6回、そのうち連続当直回数は0.1回だった。
 1年前と比べての勤務時間は、全体では「短くなった」が11.7%、「変わらない」が73.4%。ただし、「短くなった」が医師事務作業補助体制加算の届出ありの施設では12.4%、なしの施設では8.9%で、加算を取っている施設の方が少しだけ勤務時間短縮を実現できていることがうかがえる。勤務状況の変化も同様の傾向で、届出ありの施設で「改善した」が11.0%、なしの施設で9.4%だった。

施設に対する調査と医師に対する調査で労働時間に関する結果が異なっているのが興味深いのですが、恐らく実感を反映しているだろう医師調査を重視すれば、2年程度で大きな変化はないと言うことでしょうか。
診療報酬の仕組みを考えれば、徐々にではあれ医師の労働量が減少傾向にあるとすれば、当然それに伴って発生する診療報酬も次第に減少すると推測されますが、他方で医師数自体の増加もあるはずです。
現時点では医師の年収は未だ減少傾向とも言えませんが、医師数が増える一方労働量が減れば1人当たりの稼ぎは減っていくのが当然で、近い将来勤務医も収入減少局面を迎えるだろうと予想出来ます。
多くの勤務医が未だ昔ながらの年功序列の報酬体系で働いていると思いますが、今後は労働量に応じた収入体系の設定などに改めていかなければ、現場で様々な不満が蓄積していきそうには感じますね。

他方で雇用者の立場から見ればこの状況、ただでさえ人手不足の上に今までのように医師をこき使うことも出来なくなってくるとなれば、病院経営上はまさに危機的状況が目前に迫っていると言えます。
経営者目線で医療を語る日医などがこぞって働き方改革に抵抗するのも理解出来る話ですが、落としどころとして厚労省が進めようとしているタスクシフトの大々的推進も一つの対策としてあげられそうです。
医師としては仕事量が減り、施設トータルでの人件費も抑えられるとなれば悪い話ではないはずですが、そもそもコメディカルスタッフも人手不足だと言う面もあり、現実的には難しいと言う意見もあります。
医療は底堅い需要が今後も見込まれる安定的産業ですが、結局は社会全体の中で医療にどの程度マンパワーを投入すべきかから考えないと、医療に投じるべきコストの総額も見えてこないのだろうとは思いますね。

 

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2019年11月17日 (日)

今日のぐり:「福龍」

先日ちょっとした騒ぎになっていたのがこちらのびっくりニュースです。

会ったこともない億万長者の子どもを産んだ女性が養育費2億円をゲット、その驚きの方法とは?(2019年11月11日GigaZiNE)

アメリカの裁判所が28歳の億万長者の男性に対し、40歳の元ホテル勤務の清掃員である女性に「子どもの養育費」として200万ドル(約2億1810万円)の支払いを命じました。男性との間にもうけた子どもの母親として裁判の公聴会に出席した女性は、男性とセックスしことがないと公言すると共に、男性の子どもを出産した経緯を赤裸々に語ったとのことです。

4歳の男の子の母親であるジェーンさんは、子どもが生まれる前はラスベガスのホテルで清掃員として働いていました。ジェーンさんはホテルの一室で当時24歳の男性が残した銀行取引の明細書を発見し、宿泊客の男性が億万長者だということに気づきました。そして、明細書と一緒にごみ箱から発見されたのが、精液が詰まった使用済みコンドームです。
公聴会に出席したジェーンさんは、「明細書とコンドームを目にした時、大金持ちとの間に優秀な子どもができればどんなにいいかと思いました」と語ると共に、清掃作業中に使用済みコンドームに入った精液を自分の膣に流し込んだことを明らかにしました。
その後男の子を出産したジェーンさんは、子どもに宿泊客の男性にちなんだ名前を付けたとのこと。そして子どもを産んでから3年後に、男性を相手に父親としての責任を追及する裁判を起こしました。裁判では男の子の父子鑑定が行われましたが、その結果は「男の子の生物学的な父親は、確かに宿泊客の男性である」というもの。

父子鑑定の結果を受けて、裁判所は男性に対し「子どもを養育しなかった期間の養育費として、子どもの母親に200万ドルを支払うように」と命じました。ここで命じられた養育費はあくまで「子どもが生まれてからの3年間分」であるため、今後男性は子どもが成人を迎えるまでのさらなる養育費の支払いを命じられる可能性もあります。
こうして首尾良く「億万長者との間に生まれた子どもの保護者」としての地位をゲットしたジェーンさんは、ホテルの清掃員の仕事を辞めて複数のベンチャービジネスを立ち上げたとのこと。一方、男性の弁護士は「子どもの母親がクライアントの体液と個人情報を不正に入手したことに対して、法的措置を講じる予定です」と話し、対抗する姿勢を見せています。

誰もが驚いたこちらのニュース、種明かしをすればフェイクニュースだったと言うことなのですが、しかし訴訟大国アメリカなら…と誰もが一瞬考え込んだことでしょうね。
今日はびっくりなフェイクニュースにちなんで、世界中からそれは本当に?と思わずにはいられないニュースを紹介してみましょう。

蘇生した受刑者、「一度死んだ」として終身刑満了訴えるも棄却 米(2003年10月19日AFP)

【11月9日 AFP】4年前に一度「死んだ」ので釈放されるべき──終身刑により服役中に蘇生措置を受けた男が、米アイオワ州で目新しい裁判を起こしたものの、上訴裁判所が今月6日、「死者による訴訟は意味をなさない」として訴えを退ける判断を下した。

 ベンジャミン・シュライバー(Benjamin Schreiber)受刑者(66)は1990年代、当時39歳の男性を、そのガールフレンドと共謀して撲殺した罪で仮釈放なしの終身刑を言い渡され、1996年以降は同州内の刑務所に収監されていた。
 シュライバー受刑者は2015年3月、大きな腎臓結石が敗血症を引き起こして危篤状態に陥った。意識を失って救急搬送された後、医師たちから5度にわたり蘇生処置を受けたという。
 手術を受けて回復し、刑務所に戻ったシュライバー受刑者は、2018年4月に釈放を求めて訴えを起こした。理由として、自分は一時的に死んだため、規定の上では終身刑の刑期を満了したと主張した。

 地方裁判所は独創性あふれる主張に降参することなく、「説得力に欠ける」として訴えを棄却。裁判は上級審に持ち込まれたが、上訴裁判所は今月6日、終身刑判決が両義性を持つことはあり得ないとの判断を下した。
 上訴裁判所は6ページにわたる判決文で、「生きているなら刑務所に収監され続けなければならないし、死んでいるならこの訴えは意味をなさない」と説明。さらに、上訴人自身が今回の件で法的文書に署名していることを考えれば、シュライバー受刑者が「死んでいる」可能性は「あり得そうにない」と思われると補足し、監察医が死亡宣告するまで刑期満了にはならないと駄目を押している。

裁判所のロジック自体はきわめて明確なのですが、しかし死とは何かと言うことを改めて考えさせるニュースでもありますね。
信じがたい不死身伝説とは世界各国に存在するようですが、こちら現代社会に新たな不死身伝説が爆誕したと報じられています。

銃で16発撃たれた男性、自力で3キロ余歩き病院へ 米(2019年10月26日CNN)

(CNN) 米フィラデルフィア市警は26日までに、計16発の銃弾を浴びた27歳男性がその後、2マイル(約3.2キロ)の距離を自力で歩き、テンプル大学病院へたどり着く出来事があったと報告した。
「大きな奇跡」と驚いている。重傷だが、容体は安定しており、命に別状はない見通しだという。手術を受けたとも述べた。25日時点で男性から事情を聴けないでいる。

市警の報道担当者はCNNの取材に、男性は体の右側を5回、臀部(でんぶ)左側を2回、胸部上部を3回、左の前腕を3回、右肩、首の右側と右の前腕をそれぞれ1回撃たれてたと明かした。
事件は市内のケンジントン地区で25日早朝に起きたが、これほど撃たれた理由は不明。現場には大口径の銃の薬莢(やっきょう)が残されていたという。

当たり所が良かったと言うべきか悪かったと言うべきか、何にせよ命が助かってよかったですね。
こちら多くの男性諸氏が思わず股間を押さえたとか押さえないとか、ともかくも衝撃的なニュースです。

強姦魔に女性が反撃 男性器を噛みちぎり脱走に成功(2019年11月2日調べ-)

今年の8月、米サウスカロライナ州で暮らす男(61)がガソリンスタンドである女性を見かけた。「インターネットで知り合った人物に会う予定でした」という女性はそのまま男の車に乗せてもらったというが、「降ろして」とお願いした場所でも車を停めてもらえなかったとのこと。
それどころか男は突然ナイフを取り出し女性の首に押し当て、そのまま自宅に連れ込み暴行。「終わったら殺す」と脅し、女性を震え上がらせた。

暴行被害を受けつつも、女性は逃げだすべく激しく抵抗。ついには男性器を噛みちぎり、男が所持していたナイフで尻を刺すなり素っ裸で家を飛び出したという。
(略)
男はそのころ家で苦しんでいたといい、駆けつけた警官隊が大量に出血している男を発見。男はすぐに病院に搬送され手術を受け、その後に逮捕されるも保釈金を支払い署を後にした。
また男は性的暴行を否定した上で、地元メディアに「性器を噛みちぎられちまった」「これは悲劇だ」などと語り世間を騒がせている。ちなみにこの男はのぞきや強姦未遂など、いくつもの性犯罪で有罪判決を受け、1989年から性犯罪者として名前を登録されている身だという。
男性器の縫合手術が行われたのかなど詳細は伏せられているが、甚大なダメージを受けただけに、同様の犯罪に走る可能性は著しく低くなったに違いない。この強姦事件については、今も捜査が続いている。

世界でもっとも同情に値したい負傷者の一人とはこの人物かと思いますが、今後のためにも手術が適切に行われたことを期待したいですね。
個人の性的嗜好はまさに千差万別ですが、こちら相当にマニアックだと話題になっていたニュースです。

女性に利尿薬飲ませ排尿させた文化省元職員を訴追、被害者は200人超 仏(2019年11月9日AFP)

【11月9日 AFP】フランス文化省の元職員が、200人以上の女性に利尿薬を飲ませ、目の前で排尿させていたとして、性的暴行と薬物法違反の罪で訴追されていることが分かった。司法筋が8日に明らかにした。
 左派系日刊紙リベラシオン(Liberation)によると、文化省の人事部長だったクリスチャン・N(Christian N.)容疑者は、2009~2018年に就職希望者を中心に200人を超える女性たちを標的にしてきたとされる。

 リベラシオンが報じた被害女性5人の証言によると、同容疑者は就職面接中に紅茶やコーヒーを1杯出し、パリ市内にある文化省付近を歩きながら話そうと誘った後、歩き回っている途中で女性たちが急に尿意を催すと、セーヌ川(River Seine)の岸に連れて行き、周囲から見えないように自分が上着で隠しているからと、橋の下で用を足すよう促していた。
 警察の捜査の結果、同容疑者は女性たちに差し出していた飲み物の中に強力な利尿薬を混入していたことが明らかになった。さらに同容疑者は、机の下で女性の脚を携帯電話で盗撮していた罪でも訴追されている。

 文化省は、同容疑者がそうした行為に及んでいる現場を見つけて警察に通報。警察は、同容疑者のコンピューターから、200人以上の被害女性のリストと、女性たちの排尿の様子を描写したどぎつい記述と写真を発見した。
 同容疑者は2018年10月に停職処分を受け、その3か月後に解雇されている。

この種のマニアもいらっしゃるとは聞き及んでいますが、何にせよ同意も得ずにコトに及ぶのは論外ですね。
最後に取り上げますのも同じくフランスからなのですが、人々を困惑させもしたと言う犯罪行為のニュースです。

公園のヌーディスト区画でのぞき見、女性ら被害訴え パリ(2019年7月25日CNN)

(CNN) フランスの首都パリにある公園「バンセンヌの森」。2017年以来、全裸で日光浴できる区画を8~10月に設けてきたが、一部のナチュリスト(裸体主義者)からのぞき被害を訴える声が出ている。

公園内のヌーディスト区画に入ると、のぞき見は許容しないと警告する看板に出会う。
しかし、一部の裸体主義者は仏紙ルモンドの取材に、女性をのぞく「変態」がいてリラックスできないと吐露。警察に対してもパトロールを増やすよう要請があった。
裸体主義者のベルナールさんによると、女性は緑の草地を楽しもうとしているだけなのに、男性に悩まされている。当局者が見回りを行っているものの、不適切行為の現場を抑えない限り、摘発は難しいという。
バンセンヌの森があるパリ12区の首長は、事態を把握していると確認。パトロールを強化する計画だと明らかにした。

一方で、パリのこの地域は長年にわたり性労働とつながりがあるとされる。CNNは昨年10月、バンセンヌの森で人身売買が行われている事実を詳しく報じていた。
パリでは、ナチュリスト協会が市民のために全裸の催しを企画しており、同公園のヌーディスト区画では全裸ピクニックを開催した。裸の水泳やヌードヨガ、全裸カクテルパーティーも行っているほか、服を脱いで美術館や劇場を訪れることもある。
ただ、今年はフランスのヌーディストにとって受難の年ともなっている。パリ初のヌーディストレストランは客足が伸びず2月に閉店した。

まあそれは確かに望まざる行為でしょうから、厳しく取り締まるべきなのでしょうね…
しかしさすがフランスだけにこうした区画があると言うのも驚きですが、市中であるだけに周囲から視覚的にも隔絶しておくべきかなと言う気もします。

今日のぐり:「福龍」

福山市街地の一画にあるこちらのお店、見た目はいわゆる町の中華料理屋そのものなのですが、昔から唐揚げが人気のお店だそうです。
ずいぶんと以前にもお邪魔したことがありますが、久しぶりに来てもやはり繁盛していらっしゃるようで、狭い店内は満席の状態でした。

半ちゃんラーメンBセットを頼んで見ましたが、小盛りながらラーメン、チャーハンに唐揚げとフルセットで揃っている、なかなか最強の組み合わせです。
ラーメンは見た目は背脂の浮いた福山界隈で良くあるスタイルですが、スープのカツオ風味の強さがいいアクセントでなかなかうまいです。
中華料理屋のラーメンはこれで十分じゃないかと思わせるものですが、地味ながらラーメンとチャーハンそれぞれ別にレンゲがつくのもいいですね。
チャーハンもハムと卵だけのごくシンプルなものですが、好みの加減にじっくり飯が深煎りされたもので、これも悪くないじゃないかと言う仕上がりです。
人気の唐揚げについては以前にお邪魔した際には正直評判ほどには特には…だった印象があったのですが、今回ずいぶんと記憶の修正を強いられました。
クリスピーでありながら肉のジューシーさを残した揚げ上がりもいいし、下味の加減も程よく普通にうまい唐揚げでおいしくいただきました。

しかし見た目はさほど冴えない(失礼)お店ですが、いずれもきちんとした仕事ぶりで、長年繁盛されているのも判りますね。
接遇面はまあ今どきのお店に比べると愛想はないかなとは感じる部分もありますが、忙しくともさりげない気遣いもあったりで悪い印象はないですね。
ところで昔は完全なオープンキッチンだった気がしたのですが、仕切り状の壁があるのはカウンター席では少し圧迫感もなくはないですかね。

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2019年11月14日 (木)

疑似医療行為の宣伝戦略に突っ込み、荷担した方々も炎上騒動に

医学的根拠の怪しい疑似医療行為の類いには周期的流行があるように思いますが、最近話題だと言う血液クレンジングなる行為に関して、少し目新しい観点からの肥胖があると報じられています。

著名人の来院写真、個人の体験談、誇大広告...... 血液クレンジング 医療広告ガイドライン違反のおそれも(2019年10月25日Buzzfeed)

科学的根拠に乏しいのに、アンチエイジングや疲労回復のみならず、がんや心筋梗塞、HIV除去など適切な治療を受けなければ命にも関わる病気に効果があると宣伝し、批判を浴びている「血液クレンジング」。
この療法を提供しているクリニックのウェブサイトやSNS投稿、体験談を掲載している著名人の発信を見てみると、著名人が来院していることを写真入りでアピールしたり、個人の体験談を掲載したりなどしている。
これは医療法に基づく「医療広告ガイドライン」に違反しているおそれがあることがBuzzFeed Japan Medicalの調べでわかった。

不当な広告によって、一般の人の健康や命に害が及ばないように医療機関の広告は厳しく制限されている。
(略)
ガイドラインでは、(1)患者の受診などを誘引する意図があること(誘引性) 、(2)医業や歯科医業を提供する人の名前や医療機関名が特定可能であること(特定性)がいずれも満たされれば医療広告とみなされ、規制の対象となる。
例えば、来院した著名人の写真などを、クリニックがホームページやInstagramに載せていることなども医療広告のガイドラインに違反する可能性がある。
(略)
”著名人との関連性を強調するなど、患者等に対して他の医療機関より著しく優れているとの誤認を与えるおそれがある表現は、患者等を不当に誘引するおそれがあることから、比較優良広告として取り扱うこと。(「医療広告ガイドライン」より)”

医療広告ガイドラインを管轄する厚生労働省医政局総務課の課長補佐、山内由紀枝氏も「お話を聞く限り、比較優良広告に当たりそうですね」と話す。
(略)
医療広告ガイドラインでは、国内未承認の治療や適応外で医薬品を使う自費診療の内容を広告することは原則禁じている。
ただし、医師の診療上の裁量権に配慮して、自由診療であることや、治療内容、標準的な費用、治療期間や回数などを明示していれば掲載できるとする「限定解除」という要件がある。
この点をチェックすると、副作用やリスクについてはあまり書いていないクリニックが目立つが、概ねクリアしている施設が多い。
だが、以下のような形で科学的な根拠が乏しいにも関わらず、病気への効果や効能を過大ともとれる表現でウェブサイトに書いているクリニックが目立つ

「基本的には万病に効くと言われます」
「身体中をめぐる血液の浄化改善は、どんな不調にも良い効果を与えるのです」
「オゾンにより活性化された血液を体内に戻しいれることで、体全体の活性化を実現する若返り治療です」
(略)
これについても厚労省の山内課長補佐はこう答える。
「虚偽広告とまで言えるかどうかわからないですし、個別の事案については見ていないのでなんとも言えませんが、一般論で言うと、お話を聞く限り、一般の人が広告された内容から受ける印象や期待感と、実際に提供される医療行為に相違がある場合、誤認を与える可能性があるならば誇大広告であると考えられます」
「これは患者が明らかに誤認したという結果がないとしても、常識的な判断として誤認させ得る内容だと判断されれば、広告ガイドライン違反と認定されます。実際にどのように書かれているのか、ウェブサイトなどに表示されているもの全てを見て、総合的に判断することになります」
(略)

最近Buzzfeedさんではこの問題を積極的に取り上げていて、サブタイトルで広報活動に協力していると思われる芸能人名を片っ端から列挙するなど、宣伝協力者を厳しく追及する姿勢が話題になっていました。
問題の血液クレンジングなる行為の医学的な意味合いについてはここで取り上げるものではありませんが、一般にこの種の行為について取り上げる場合、効果が期待出来ないことを批判するのが一般的でした。
ただその場合は気は心と言う言葉もあるくらいでプラセボ効果と言うものは否定出来ず、当事者がこれが効くと信じ込んで用いるだけなら赤の他人が口を出すことではないだろうと言う反論もあったわけです。
今回は治療効果が期待出来ないと言う点への批判もさることながら、こうした行為の宣伝に力を貸していると思われる芸能人達や、彼ら彼女らを活用する宣伝活動そのものを批判している点が新しいと言えますね。

今の時代うっかりしたことを口にすればすぐにネット経由で拡散し、盛大な炎上騒動に直結するケースが珍しくありませんが、実際にブログやSNS等で積極的に情報発信していた芸能人も批判を受けているようです。
芸能人の側からも謝罪コメントや投稿の削除、あるいは反論など様々なレスポンスがあるようですが、SNS等での言及や情報発信に対して彼らが某かの報酬を得ていたとまでは断定できないようです。
他方でこうした著名人の発信を利用して医療機関側が広告宣伝活動を行うことは明らかに問題で、今回こうした行為が医療広告ガイドライン違反であると指摘されたことは意味があると思いますね。
とは言え、まっとうな医療機関であってもネット上を検索すればいくらでも口コミがあふれているので、そのうちのどれほどがサクラなのかと言われると判断が難しく、当の本人ですら意識していないのかも知れませんね。

 

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2019年11月11日 (月)

医師に過酷な労働を強いる病院と知られると患者が敬遠してしまう…だから?

当事者の誰もが思っていたことなのだとは思うのですが、医師の労組と言うべき全国医師ユニオンの研究会でこんな疑問が呈されたと報じられています。

研修医に「年1860時間」時間外特例認める根拠は何か?(2019年11月4日医療維新)

 全国医師ユニオンは11月3日、第9回医療労働研究会を「医師の働き方は変えられるのか?~医師の過労死裁判報告より~」をテーマに都内で開催した。医師の働き方改革の動向に注目が集まる中、研修医に時間外労働の上限規制の特例として「年1860時間以内」まで認めることを問題視する声が相次ぎ、「長時間労働がより良い研修につながるエビデンスがあるのか」と、根拠なき決定への懸念が呈せられた
(略)
 その一人として登壇したのが、医療法人寛明会山田内科クリニック(埼玉県三芳町)理事長の山田明氏。山田氏の娘である研修医(当時26歳)は、2年目に入ったばかりの2006年4月に過労自殺した。同年7月に労災申請し、2007年2月に労災認定された。「当直は年間77回、1カ月の時間外労働は150~200時間に上っていた」。勤務先の大学病院の就業規則では、平日の勤務時間は午前9時から午後5時で、当直は月4回、日直が月1回だった。
 山田氏は、「職業別に見て、医師だけが特別の体質を持っているというのか」と問いかけ、「年1860時間以内」という特例について、医師だけに認める医学的根拠のほか、長時間研修が良いという根拠もないと問題視した。山田氏が声を上げるようになったのは今年に入ってからのことで、「異常な数値が独り歩きする状況を何とか改善してもらいたい」という思いからだったという。「医師の命を守らずして、医療は守れない。“ドクターファースト”が当たり前だろう」(山田氏)。
 フロアからも、「臨床研修制度では、研修医は早く返さなければいけないはず。研修医はミスをしがち。だから労働時間を短縮し、守られているはずではなかったのか。にもかかわらず、C-1の基準があるのは違和感を覚える」、「他の業界では、新入社員は3カ月、6カ月などの期間、研修するが、研修医については、ほぼいきなり現場に出るのは乱暴すぎるのではないか」、「自分の心身にある程度、余裕がある状態でないと、学ぶことができない。新人ほど余裕が欲しいはず。どんな環境で研修すれば、最も効率がいいのかについてのエビデンスを出すべき」といった意見が上がった。
(略)
 ディスカッションでは、司会を務めた全国医師ユニオン事務局長の土谷良樹氏が、「なぜ医師だけが長時間労働をすることがよしとされているのか」と問いかけた。
(略)
 山田氏は、「最終的には研修医が全てをやって当たり前という、封建的な物の考え方がいまだに残っている」と述べ、スポーツ選手では練習量と成績が比例するとは限らず、医師も同様だとした。医師増員、医師の偏在解消、患者教育など問題解決にはさまざまな取り組みが必要だと指摘した。
 中原氏も、「国民の理解が得られていないのが、一番大きな問題ではないか」と述べたほか、「医師の敵は、医師」とも提起。2007年の東京地裁判決で利郎氏の死が労災認定された際、ある高名な小児科医がそれを問題視したことが耳に入ってきたという。「裁判の過程でも、中原(利郎氏)の勤務は過剰だったとは言えないと言った人がいる」。

研修医は勉強が必要だから長時間労働をして当たり前だと言うのであれば、長時間労働をすることで研修の効率が高まると言うエビデンスを示せとは、過労時にどれだけまともに頭が働くものかと考えると理解しやすいですね。
先日は厚労省から過労死基準の見直しについて来年検討会を開くことが発表されましたが、現在の残業月100時間と言う基準をより厳しい水準に改める方向で見直すことになるのではと予想されています。
そんな中で医師だけ年1860時間の時間外労働を許容すると言う報道に疑問を感じる医師も多かったと思いますが、一応は期間限定での暫定的措置であり、かつ医師の労働時間管理の厳格化が前提と言いますね。

要するに現状ではそれ以上に働かされている医師も多いのだから、現時点ではまずは最低限ここまでが上限と言う数字を示したと言うことですが、気になるのは自ら労働管理を行えない研修医の扱いです。
仕事中毒の偉い先生方が好きで過労死水準の労働をしていると言うならともかく、上から命じられた労働を拒否できないヒエラルキー最下層の研修医に、強制的に過剰労働を押しつけると言うのは如何なものかです。
過労死裁判のたびに「俺たちの若い頃は」式の意見が出ることを見ても、働かされる側視点では「医師の敵は、医師」とはその通りだと思うのですが、働かせる側にはまた別な論理があるようです。

働き方改革の評価、構成員が病院名公表に難色「ブラックと言われ大学病院離れ」「患者が敬遠」(2019年11月7日医療維新)

 厚生労働省は11月6日、「医師の働き方改革の推進に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)に、医師の時間外労働上限の特例医療機関を指定する際に前提となる「医師の働き方改革」を評価する機能についての案を提示した。労務管理体制や医師の労働の実態などを書面、訪問により調査するものだが、その評価結果を公表することについて、構成員から「ブラックと言われ大学病院離れ」「患者が敬遠」などと難色を示し、慎重な対応を求める声が相次いだ。この日の案は評価体制や指定の枠組みについて大まかなイメージにとどまっており、厚労省は今後詳細を示す(資料は、厚労省のホームページ)。
(略)
 北里大学医学部教授の堤明純氏は、厚労省案の評価結果を公表することにより「医療のかかり方を見直すきっかけとなることが期待される」との記述について、具体的にどのようなことを想定しているかを質問し、厚労省医政局医事課は「年960時間以上(時間外に)働いている医師がここにはどれくらいいるということが地域の患者に分かり、受診の仕方などの啓発にも寄与するのではないかと考えている」と回答。堤氏は「ポジティブに伝えられて学んでもらえるのはいいが、患者が病院を敬遠してしまう情報に取られると、医療機関には困る。出し方、うまい評価のされ方が大切だ」と述べた。

 日本医師会常任理事の城守国斗氏も、「公表によって医師が『あそこは長時間労働させられる』となって(敬遠し)、時短ができにくくなる」と同調。日本医学会副会長で九州大学大学院消化器・総合外科教授の森正樹氏は、「(地域医療構想の)424病院のリストでも、地域の人たちも背景が分からずに見ることになって『病院がなくなってしまうのではないか』などとなった。長時間になっているところには行きたくないという患者の心理で、病院格差を助長する可能性もある」と続き、日医副会長の今村聡氏も「公表の仕方など、全てこれからの日本の医療提供体制に大きく影響する。慎重の上にも慎重を」と注文を付けた。

 国立大学附属病院長会議常置委員長で千葉大学医学部附属病院病院長の山本修一氏は、「大学病院は軒並み『あの病院はブラックだ』と名前を挙げられて、大学病院離れを助長する。もちろん努力はするが、公表の時期の問題もある」と指摘。最初に評価結果が出た時点では医療機関と都道府県にのみ通知し、改善後に公表することを提案した。

各施設の労働の実態はよく判らないのですが、基本的に仕事が多すぎるから長時間労働を強いられていると考えるのが自然で、現場の医師からすれば公表で患者に敬遠されて仕事が減るのであれば歓迎でしょう。
しかしそれでは病院側としては困る、もっと医師には馬車馬のように働いてもらわなければ儲けにならないと言うのであれば、これはまさにブラック企業と同様の論理であって、患者にも医師にも敬遠されて当然です。
このあたりは働き方改革の議論でありながら、大病院の幹部ばかりが医師代表のような顔で参加している点にも問題がありますが、まさに患者はそんな病院にかかりたがらないと当事者も認識しているわけです。
過労が仕事の質を低下させ最悪事故を誘発することにはすでにエビデンスがあるのですから、それでも過酷な労働を課してまで患者を集めたいと言うのであれば、患者や医師が納得出来る理屈づけが必要でしょう。

 

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2019年11月 9日 (土)

今日のぐり:「はやたろう 倉敷店」

日本は良くも悪くもポルノに対して甘い国だと認識されているそうですが、先日海外でこんなニュースが話題になっていたそうです。

「日本に失望した」 今週の『週刊少年ジャンプ』に露骨なポルノ表現が見つかり海外で大問題に!(2019年10月30日ユルクヤル)

今週の週刊少年ジャンプに掲載された『ゆらぎ荘の幽奈さん』に露骨なポルノ描写があるとして海外で問題視されている。

『ゆらぎ荘の幽奈さん』センターカラー表紙で全裸女性キャラが描かれている。
そのページの真裏に“ピンク色のタピオカ”が描かれており、それを光で透かせてみると、隠れていた○首が描写される仕掛けになっていた。
ドイツ人と日本人のハーフで翻訳者のサチコ・イシカワさんは「いつもこの国には失望させられる」と英語ツイートで批判を展開。彼女の投稿はリツイート1万件に迫っており、海外で大きな注目を集めている。
(略)

日本国内ではこれはよく考えたと感嘆する声が圧倒的なようですが、この種の問題は国により時代により常にコードが変化するものではありますね。
本日はピンクタピオカ問題を記憶に留めるためにも、世界中からなるほどこれは…と思わずニヤリとしてしまうニュースを紹介してみましょう。

全米爆笑!バスに乗り遅れ学校サボった男の子の“弁明書”(2019年6月11日日刊ゲンダイ)

 スクールバスに乗り遅れ、学校をサボった男の子が母親に宛てた言い訳の手紙(写真)に、全米が大爆笑している。

 米FOXニュース(6月7日付電子版)などによると、手紙を書いたのはミズーリ州に住むアダム・ホリデー君。
 恐らくアダム君の個室のドアか何かに張られていたと思われる手紙は、「バスに乗り遅れました」と題され、大人ぶった調子でこんなことが記されていた。
「あなたの息子として、残念ながら次のことをお伝えしなければなりません。僕は公共交通手段に乗り遅れました」
「お母さんは今、心が激しく揺れ動いていると思いますが、ご安心ください。僕は家にいることにしました。お母さんが20分外出していたため、これは非常に困難な決断でした」
「僕はベッドで学校に行けなかった事実と向き合い、落ち込んでいると思います。だから僕のことはそっとしておいて下さい」
 そして今回の行動をどう考えるかは、裏に書いた「良い点と悪い点の対照表」を参照して欲しいとしている。
(略)
 この手紙がいつ書かれたかは不明だが、アダム君の姉のサラさんが6月5日(日本時間)に「弟がスクールバスに乗り遅れて、母にこの手紙を書いた時のことを一生忘れない」というツイートと共に写真をツイッターに投稿した。
 ツイートはバカ受けして、急拡散。6月10日現在、100万人近くが「いいね!」を押し、20万人以上がリツイートしている。
(略)

一回学校に行かなかったくらいで何がどうなるものでもないでしょうが、ここまで弁明出来るとは将来大物になるかも知れませんね。
こちらもアメリカからのニュースですが、実用性とユーモアに富んだ解決策が話題となっていました。

「出欠の返事ない人は椅子と食事持参で」の招待状が大ウケ(2019年9月19日日刊ゲンダイ)

 結婚式直前になって「出席することにしたよ」と連絡してくる――米国では、こういう無精な親族や友人に悩まされている人が多いようで、あるカップルが出した招待状が話題になっている。

 米FOXニュース(9月16日付電子版)によると、話題になっているのは、米ネット掲示板レディットに9月4日に投稿された結婚式の招待状の写真。
 カップルの身元は明らかにされていない。
 招待状には、「2019年9月10日までにご返事ください」というメッセージに、「残念ながら出席できません」「喜んで出席します」の2つの選択肢。ここまではフツーの招待状だが、ケッサクな条件が付け加えられていた。

「9月10日までにRSVPされない場合は、椅子とサンドイッチをご持参ください」

「RSVP」は出欠などの返事を求める際に、招待状などの末尾に記される略語で、フランス語で「ご返事願います」の意味。「招待状に返事をする」という意味でも使う。
 返事をしないで直前になって連絡してくるのを防止する作戦だが、これが大ウケして、1000人以上ものコメントが寄せられた。
(略)

まあよく考えたものだと思いますが、アメリカではこの種のトラブルが良くあるのかと考えさせられますね。
こちら日本でもありそうな状況なだけに、身につまされたと言う声も多かったニュースです。

「あのおじさんみたいになっちゃうよ!」 フライドチキンを買おうと並んでいたら親子連れにディスられ…(2019年6月12日TABLO)

たまたま居合わせた見ず知らずの人同士。そこから思わぬストーリーへと発展するのはドラマか映画の中だけではありませんでした。しかも意表を突いた展開はある意味でフィクション以上かもしれません。

インドネシアのファストフード店で地元の男性フレデリック・ヒルさんがフライドチキンを買おうとカウンター前で注文客の列にいたところ、真後ろから母親がグズる幼い子にささやく声が聞こえてきました。
「いい子だからフライドチキンは1個だけ買いましょうね。それ以上食べたら前のおじさんみたいになっちゃうよ」
お、おじさんって俺のこと!? 俺みたいになっちゃうって…と思わぬ奇襲攻撃にとまどいつつ自分のお腹を見下ろすヒルさんは、確かめるまでもなくポッチャリ体型なのです。

いくら熊みたいな風貌でも赤の他人にいきなり悪口を言われる筋合いはないぞ。この時、ヒルさんには勧善懲悪のヒーローに変身するスイッチが入ったのでした。
自分に注文の順番が回ってきたところでカウンターの店員にこう尋ねたのです。
「そこに並んでいるフライドチキンが今ある全部ですか?」
「そうです。あと今作っている最中のロットもあります」と店員。
ヒルさんはそれら全部を買い占めることを即決したのでした。金額にして240,000ルピア(約1,850円)。

ほどなくして店に今あるフライドチキン全部を受け取ったヒルさん。ゆっくりと歩きながら次に注文の順番が来たあの母親と子供の様子を窺います。注文しようとする母親に対して店員が「フライドチキンは売り切れで新たに揚がるまで30分かかる」と説明しているのが聞こえました。
子供は泣きわめいて手が付けられないほどにダダをこねているのがはっきりと見てとれました。母親はヒルさんを振り向いてブスっとした顔をしています。
ヒルさんは何を言うわけでもなく満足げにその光景を眺めていました。そして母親に対して華麗に中指を突き立て、正義のヒーローのごとく颯爽と店から立ち去ったのでした。
(略)

正義かどうかはさておきこのささやかな報復劇、多くの方々の共感を得られたようではありますね。
最後に取り上げますのはこちらのニュースですが、昨今何かと話題のあの人物に関わる話です。

甲虫の新種、名前は「グレタ」 英博物館が込めた思いは(2019年10月26日朝日新聞)

 新種の甲虫が、スウェーデンの環境活動家グレタ(Greta)・トゥンベリさん(16)にちなんで、「Nelloptodes gretae」(読み方=ネロプトゥディス・グリータイ)と名付けられた。「gretae」の部分がグレタさんの名前のラテン語表記だ。25日発売の英昆虫学誌「エントモロジスツ・マンスリー・マガジン」に掲載された。

 この甲虫はムクゲキノコムシ科に属し、体長は約1ミリで、2本の長い触角があるが、羽や目はない。1960年代、ケニアのナイロビで土や落ち葉とともに採取され、78年にロンドンの自然史博物館に寄贈されていた。
 名付け親となった同館のマイケル・ダービー博士は「若き環境活動家としてのグレタさんの活躍に大いに感銘を受けており、環境問題の啓発について彼女の傑出した貢献を認めたかった」と命名理由を語った。
 また、同館のマックス・バークレイ学芸員は「生物の多様性が失われ、発見されず、名付けられる前に絶滅する種がある。だからこそ、自然を保護し、絶滅の危機に瀕(ひん)する種を守ろうと一生懸命取り組む人にちなんで新種を命名するのは、妥当だ」と話した。(ロンドン=下司佳代子)

件のグレタさんは先日も地球環境に対する貢献が報じられていたばかりと言う渦中の人物で、進歩的な朝日新聞が大きく取り上げるのも当然ですよね。
ネット上でもさすがブリだけに気が利いていると大絶賛だったようですが、若く先の長い人生だけに今後も実り多く末永い活躍を祈りたいと思います。

今日のぐり:「はやたろう 倉敷店」

倉敷市街地の一画に位置するこちらのお店、浜松餃子云々とあったので静岡のお店かと思っていましたが、もともとは長野で生まれたお店なのだそうですね。
店名は長野と静岡を結ぶ早太郎伝説にちなんだもののようですが、基本的にはとんこつラーメンと浜松餃子がメインのお店であるようです。

一番ベーシックそうな白旨ラーメンをネギ盛りで頼んで見ましたが、かなり脂ぎった…と言うほど分厚く脂の浮いたスープなのですが、味は決して悪いものではありませんでした。
麺は博多とんこつラーメンより太めの中細麺ですが、味、食感、茹で加減とも良好でこちらもなかなかうまいですし、トッピングもしっかりしていて、全体にちゃんとしたラーメンですね。
浜松餃子はさすがに一人前だけいただきましたが、あんのジューシーさが目立つのですが、そのぶん薄皮はふやけている感じで、まあこの辺りは好みの問題でしょうかね。
テーブルに常備されたルイボスティーも風味のクセは少し強いのですが、慣れてみるとラーメンや餃子の油の強さに妙に合っている気がしますが、この百均っぽいピッチャーだけは使いにくかったです。

全体的には今どきのラーメン屋として遜色ない水準の味ですが、こちらの店舗は以前から何度か入れ替わっていて、正直立地としてあまり良くないのでは?とも疑ってしまいます。
接遇面はちょっと何を言っているのかわかりにくい部分もあるのですがまずまず及第で、今後お店が繁盛して混雑してきた時にどうなっているのかですね。

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2019年11月 8日 (金)

「お客さまは神様です」なる言葉はひどく誤用されていると聞きますが

クレーマーだとかモンスターだとか言われる方々の話題も昨今ではむしろ当たり前のものになりすぎて鎮静化してきた印象もありますが、最近話題になりがちなのはこの種の話であるようです。

理不尽なクレームに毅然と対応した病院 命を守る仕事をする人にも必要なのは健康!(2019年11月6日おたくま経済新聞)

 突然の病気やケガで救急に駆け込んだ時、患者と付き添いの人は不安を抱え、待ち時間が長いとイライラも募ります。だからと言って理不尽なクレームは問題外。そんなクレームに毅然とした態度を示した病院の態度が人々を考えさせています。

■ 理不尽なクレーム

“病院の投書で
救急受診で待たされている間に医師がコンビニで買い物をしていた
という苦情があって
それに対する病院の答えが
医師も看護師も人間ですので休まないと仕事はできません。よりよい医療を提供するためにも当然許されることと思います」
と毅然と対応してて、少し嬉しくなった。”

 と、総合病院に置いてある投書箱からの意見に対し、病院管理者側が毅然とした態度を示して医療者を守る発言で返しているの見てツイッターに投稿したのは、肝胆膵と内科救急を得意とする消化器内科医の、ふろ仙人さん。
 こういった投書箱に入ってくるクレームは、大概が「医療者の態度が悪い、設備に不満がある」といった内容で、回答する側は「申し訳ございません、善処します」という内容が多いものです。
 しかし、ツイートの内容のように、救急担当以外の医師なのか、担当医なのかも分からないだろう投稿者からの「告げ口」ともいえるような内容は、病院で健康と命を預かる仕事をしている側からしたら、こんなことでなぜ苦情を言われなければならないのか、と理不尽を覚えます。
 それだけに、病院の管理者側としての回答が医療者をきちんと守るという態度を示してるのは、そこで働いている人たちにとって大きな安心感となります。

 病院で救急外来をやっていると、時には当直の間、一晩中患者さんが途切れないこともあります。そうした現状を知っている人や、心ある人たちからは、「医者が顔色悪くて体調悪そうなら逆に大丈夫なのかなと思います」「むしろ、コンビニで済まされているのが気の毒なくらい」「人として尊重し合えないんですかねー?安全な医療のためにも休憩が必須ですよ」と、当直医を気遣う声が多くリプライに集まっています。
 そして、「医師も看護師も消防士も救急救命士も警察官もみんな人間ですからね!」「警察も、自衛隊、鉄道やバスの運転手なども同じクレームを受けていますよね」などなど、人の命を預かり助ける職業に対する理解を示す人からのリプライも。不特定多数の安全や健康、命を守る仕事をするには気力も体力も精神力も必要です。
(略)
 どこの総合病院でも普通にありがちな医師の超長時間労働。担当医である自分の代わりがいない上に、勤務医の待遇の悪さや経営陣側が働く側を守ろうとしない姿勢など、様々な問題を抱えているのが実情。病院の運営が良くないと医師は自分の身を守るために離職し続け、結局残った人たちで命を守ることになってしまいます。病棟の一部閉鎖や病院自体を閉鎖する、あるいは統合してしまう、ということもあちこちで起こっています。
 これで結局、一番にツケが回っていくのは患者側となるでしょう。突然病院を退職し、前触れもなく開業したという医師も実際にいました。その医師は敢えて病棟での受け持ちを作らず、外来のみ担当という姿勢を崩さなかったツワモノでしたが、外来でその医師に定期的にかかっていた患者さんにとっては大きなショックとなってしまいました。
 結局、理不尽なクレームを入れて医療者側に無理をさせることは、患者として診察を受ける側全員の首を絞めることにつながりかねないのです。だから、病院の管理者は「患者さんのために」医師を守るべき行動を取る必要があります。
(略)

医療に限らず警察や消防救急、自衛隊など、このところ休みもなく働いている多忙な方々に対してこの種のクレームが多いとたびたび報じられているとのことです。
業務の合間に食事や水分摂取をすることの何が悪いのかちょっと理解できませんが、コンビニのトイレに立ち寄るのもケシカランだとかのクレームがあるようですね。
消防救急や自衛隊などはすでに組織として問題ない行為だと表明していますが、記事にもあるように医療現場では今までクレームに反論することは珍しかったようです。

雇用者側には労働者の食事や休憩の時間を確保する義務があり、本来病院側の責任が問われる問題ですが、下手をすると現場に泥をかぶせようと言う病院もあるようですね。
アメリカの調査では医師の職場への満足度には周囲との人間関係の影響が大きかったそうですが、同僚や部下と同等以上に上司、あるいは職場組織そのものとの関係性も影響は大きいのではないかと思います。
理不尽なクレームへの組織としての対応次第で職場の働きやすさも大きく変わるはずで、上司や職場組織が自分を大切にしていると感じられなければ職場への忠誠心が高まるはずもないのは当然です。
今の時代どこの病院もスタッフ不足で大変だと聞きますが、守るべきは正当とは言いがたいクレームを入れてくる一部顧客なのかスタッフなのか、正しく判断しなければ経営も立ちゆかないはずですね。

 

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2019年11月 5日 (火)

80~240円払えば専門家がやってくれる仕事とは

本日まずはこちらのニュースを紹介してみましょう。

紹介状なし負担「200床以上」に…厚労省検討、来年度から 初診5000円以上 義務化拡大(2019年10月29日読売新聞)

 厚生労働省は来年度、紹介状なしで大きな病院を受診した患者に定額負担を義務化する制度について、現在の「400床以上」から「200床以上」を軸に対象を拡大する方向で検討に入った。軽症者には身近な「かかりつけ医」への受診を促し、大病院や中核病院が専門性を生かした治療に集中できるよう、役割分担を進める。
 厚労相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)で今後、検討し、2年に1度の診療報酬改定の具体的な内容に盛り込む。

 定額負担の義務化は、原則1~3割の窓口負担とは別に、初診で5000円以上、再診で2500円以上を徴収する仕組み。軽症でも大病院や中核病院を受診する人が少なくないため、定額負担を求めることで自宅近くの診療所などで受診する患者を増やし、大病院などへの患者の集中を緩和する狙いから導入された。
 救急患者ら一定の条件に当てはまる患者は対象外で、定額負担を求められない
 2016年度に「500床以上」で始まり、18年度に400床以上に拡大された。現在は420病院が対象になっている。200床以上にすれば、対象病院が250程度増える
 200床以上の病院は現在でも、初診の追加料金を徴収することができ、厚労省によると、200~399床の病院では平均2500円程度を徴収している。これを5000円以上に義務化する方針だ。
 厚労省は、症状が軽い場合は、地域の診療所を受診してもらうように理解を求める。

 厚労省の調査によると、18年度から定額負担が義務化された病院では、同年10月時点で、1年前と比べて紹介状なしの患者が4・4ポイント減少した。大病院や中核病院は患者数の減少により、専門的な技術を生かした治療に専念しやすくなる利点があるとされている。

現時点では徴収可能と言う扱いの200床以上の中規模病院においても、一定金額以上の窓口負担徴収を義務づける内容で、地方の地域基幹病院も大規模病院並みの受診抑制を図ると言うことでしょう。
この定額負担制度の効果については、地域医療機関で紹介状を書いてもらうのが二度手間だとか、実際には大して患者は減らないと言った不満の声もありますが、一定の効果はあったと言う意見が多いようです。
窓口に直接来る飛び込みの初診患者を抑制し紹介・予約と言うワンクッションを挟むことで、外来診療をある程度計画的に回せると言う効果もあり、過度の患者集中を防ぐことにある程度有効と言えそうです。

この件に関しては厚労省から出た話ですが、このところ財務省主体で患者負担引き上げを求める意見が強く、以前からの懸案となっている後期高齢者の窓口2割負担への引き上げなどが議論されているところです。
経営者の権益を代弁する日医などは例によって反対姿勢ですが、現役世帯の医療費負担が今後も一向に減る見込みがない以上、少なくとも負担能力のある高齢者にも応分の負担をいただくのが筋でしょう。
他方では厚労省の主張する診療報酬本体マイナス改定などは現場の医療従事者にとっても看過できない話ですが、産業全体で給与引き上げが議論される中で医療業界だけ例外はおかしいと言う意見もごもっともと言えます。
現実的には政策誘導的に何らかの加算なりで色をつけることで限りなくプラマイゼロの改定くらいになりそうですが、この種の新設された加算の算定に関連して先日興味深いやり取りがあったと報じられていました。

診療側と支払側、機能強化加算の患者説明を押し付け合い「保険者の仕事」「診療前の説明要件化を」、中医協(2019年10月31日医療維新)

 中医協総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で10月30日、診療側と支払側が2018年度診療報酬改定で導入された、かかりつけ医機能を評価する点数である機能強化加算について患者への説明を押しつけ合う場面が見られた。診療側は「医療費を意識した受診行動、かかり方について説明するのは、基本は保険者の仕事だ」と主張し、もともと機能強化加算に批判的な支払側は「診療前の説明の要件化」を提案した(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 機能強化加算(80点)は「かかりつけ医機能に係る診療報酬を届け出ている医療機関において、専門医療機関への受診の要否の判断等を含めた、初診時における診療機能を評価する」として、2018年度改定で新設された。厚労省保険局医療課の調査では2018年6月審査分で 1048の病院、1万1793の診療所が届け出て、178万3064回算定された。
 健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、支払側の意見をまとめたとして代表して発言。診療報酬は患者が受けた医療行為に対する対価ということが基本的な考え方であるとした上で、「機能強化加算はかかりつけ医を推進するために必要であることは百歩譲って理解する」と、基本的には懐疑的な見方であることを強調。医療課調査で機能強化加算を届け出ているにもかかわらず、他の医療機関の受診状況やお薬手帳を見せていない、薬の服用状況を説明していない患者が一定程度いるとの結果から、これらを「見ていない、確認していない医療機関が一定ある。また、かかりつけ医の役割さえ説明していない医療機関が過半数存在している。体制は有しているが、機能を果たしているとは言いがたい」として批判した。こうした理由から、かかりつけ医機能を有していることを院内掲示した上で、診療前に文書を用いて患者に説明することの要件化を求めた

 日本医師会常任理事の松本吉郎氏は、機能強化加算の届出がある医療機関の患者では74.4%、届出のない医療機関の患者では66.9%が「かかりつけ医を決めている」と回答したなどの調査結果から、「かかりつけ医を持つ意義が国民に浸透してきたのではないかと感じるとともに、現場でかかりつけ医が頑張っていることが垣間見られることは喜ばしい。さらに努力をすべきだとは思うが、改定でもかかりつけ医の一層の充実が図れるような対応をすべきと考えている」として全く逆の見解を表明。体制への加算は他にも多くあるとして、「たくさんの体制加算について全て説明すれば、患者1人1人に30分、40分かかることを理解していただきたい。かかりつけ医に関する説明を実施し、同意を得た旨を診療録や文書に記載することは働き方改革という流れにも矛盾している」と指摘し、事前の周知で十分との考え方を示した。

 これに対し、幸野氏は「この機能強化加算は(他の加算と)意味が違うと思う。かかりつけ医機能を持っていて、この病院でかかりつけ医として決めるとこんなにいいことがありますよ、こんなこともしてもらえますよと説明するわけだ」と述べると、日医常任理事の城守国斗氏は「機能強化加算だけは他と異なると言うが、個別の診療報酬とは別にそれぞれの体制を整えていることにコストがかかっているので評価する体制加算がある。他の体制加算と何も変わるところはない」と反論。医療費を意識した受診行動、かかり方について保険者が周知して、それに基づきかかりつけ医機能を持つ医療機関であることを示すのが良いとして、「それ以上、医療機関に求められるというのは筋が違う」と述べた。

 このやりとりに対し、経団連社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理の宮近清文氏は、「複雑なことをたくさん並べるのではなく掲示の仕方を工夫して、普及のことも考えながら診療所がかかりつけ医機能をもっていることを示してもらえればいい」と助け船を出した。松本氏は「宮近委員の発言には、医療機関としてはほっとした」と謝意を示し、今後さらに工夫が必要とした。

こうした政策誘導的な各種加算の算定については年々ややこしい制度が新設され、特に小さな開業の先生などにおいては大変な労力になるだろうと思うのですが、経営上も加算は適宜とらないわけにはいきません。
そもそも論としては過去にも政策的誘導の失敗は数多く見られたことで、より効果的かつ簡潔な制度を目指して適宜効果の検証と制度の改定が必要ですが、まずはどこを目指すのかを明確にする必要があります。
かかりつけ医の役割にしても病院勤務医と開業医の立場の差から求める機能も違う場合もありますが、正直厚労省の描くかかりつけ医機能を十分果たしているとは言えない施設も少なくないように思えますよね。
実際に理想通りのかかりつけ医機能を満足しようとすれば大変な労力で、とても初診時80点程度の報酬では割に合わないと思うのですが、逆に言えばその程度の仕事で十分と言うことなのかも知れませんね。

ともあれ真面目にかかりつけ医機能を果たそうと頑張っている地域の開業医にとって、たった80点でどこまで仕事を押しつける気かと不満が募るのは当然で、制度の説明くらい保険者がやれとは納得出来る話です。
昨今のご時世なら胃カメラ(1140点)をやります、CTをとります(1470点)と言ったことなら相応の説明もするでしょうが、採血よりも安い点数でどれだけ丁寧な説明を期待出来るかは推して知るべしですよね。
この辺りの労働量と報酬との乖離は日本社会全般の課題としても指摘される問題ですが、つまり国としてもかかりつけ医制度の存在意義などその程度だと考えているのだと言うメッセージでもあると言えます。
支払い側は制度自体に反対していると言う点も示唆的ですが、では地域医療体制の在り方をどのように考えているのか、政策的誘導をするならするで目指す方向性くらいは明確にしていただきたいものです。

 

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2019年11月 3日 (日)

今日のぐり:「大隈」

あまりにシンプル過ぎて逆に疑われなかったと言うことなのでしょうか、先日こんなニュースに驚いた人も少なくなかったようです。

旅行予約サイトの「今あなた以外に○○人が見ています」はウソだったことが判明(2019年10月21日GIGAZINE)

宿泊予約サイトやフライト予約サイトなどで宿泊先や飛行機の搭乗券を検索している時、検索候補の横に小さく「今あなた以外の○○人が同じページを見ています」といったメッセージが表示されることがあります。海外の旅行予約サイトであるOneTravelでは、表示されているこの人数がページへのリアルタイムな同時接続数ではなく、実は単なるランダムの数字だったことをセキュリティ研究者のOphir Harpaz氏が発見しました。

Harpaz氏がOneTravelで飛行機の搭乗券を予約しようとした時、予約購入を急がせるためか、「38人がこの搭乗券をチェックしています」と表示されたとのこと。「38人もチェックしているの?!」とHarpaz氏は焦ってしまったものの、38人もの人がこの搭乗券をチェックしていることに逆に疑問を抱いたそうです。
そこで、この人数はどうやって取得されているのかをHarpaz氏が確認したところ、「38」に当たる要素のクラス名が「view_notification_random」になっていることが判明。
さらにHarpaz氏がChromeのデベロッパーツールを使ってソースコードをチェックすると、JavaScriptで以下のような部分を発見。完全に28から44までの数字がランダムに生成され、それが表示されているだけだったことが判明しました。つまり、One Travelの「○○人がこの搭乗券をチェックしています」という部分は全くのウソであり、ユーザーにフライトの予約を急がせるためのものだったというわけです。

Harpaz氏のツイートに対して、やはりこのやり方は違法なのではないか?という声が多く挙がっています。
「アメリカではどうなるのか分かりませんが、EUではOneTravelは消費者へ詐欺を働いたとして罰則を科せられます」
「おそらく開発者もこのやり方に同意しかねているから、わざとソースコードを隠していないのだろう」と、サイト開発者に同情する声もありました。
一方で、「Math.random()は暗号に使用可能な安全性がありません。私ならCrypto.getRandomValues()を使います」と、乱数生成のコードにダメ出しをする人もいました。

明確に法律違反には問われなくても好ましい行為には思えませんが、人数くらい簡単に調べられそうなだけによほどアクセスが少なかったのでしょうか。。
今日は同様の表示に焦らずにすむよう警鐘を鳴らす意味で、思わず突っ込みを入れずにはいられないような犯罪行為の数々を紹介してみましょう。

自転車で救急車を通せんぼ 公務執行妨害容疑で書類送検(2019年10月21日朝日新聞)

 119番通報を受けて緊急走行していた救急車の前に2度立ちはだかり、救急活動を妨げたとして、愛知県警が、名古屋市天白区に住む翻訳業の男(48)を公務執行妨害の疑いで書類送検したことがわかった。男は容疑を認め、「(救急車に対して)積もり積もったものが噴出した」と話しているという。

 天白署によると、送検は今月4日付。容疑は7月23日午前10時45分ごろ、同区焼山2丁目の交差点付近を緊急走行していた救急車の前に自転車で2度立ちはだかり、走行を妨げたというもの。

 現場は天白消防署植田出張所のすぐ近くで、救急車は「女性が意識を失っている」との通報を受けて出発した直後だった。ほかの車が道を譲るなか、男は車道に出て救急車を一時停止させた。さらに救急車を追いかけ、数十メートル先の横断歩道でも再び妨害したという。消防から相談を受けて天白署が捜査を開始。救急車のドライブレコーダーをもとに男を見つけ出した。

元記事には妨害行為の概念図が載っているのですが、ここまでするくらいですから何がどう積もり積もっていたのかについて取り調べで熱く語ったことでしょうね。
ひところ深夜のワンオペ牛丼店を狙った強盗が繰り返された時期がありますが、こちらもせっかく人目は少なかっただろうに…と言うニュースです。

「このくらいの金では…」コンビニ強盗 居座り逮捕(2019年11月2日テレビ朝日)

 東京・町田市で、コンビニエンスストアに男が押し入って現金を奪いました。男はそのまま店にとどまり、駆け付けた警察官に逮捕されました。

 武田従道容疑者(42)は1日午前5時すぎ、町田市大蔵町のコンビニエンスストアでレジにいた男性店員(38)にカッターナイフを突き付け、現金3万7000円を奪った疑いが持たれています。警視庁によりますと、武田容疑者は現金を奪った後も店内にとどまっていて、通報で駆け付けた警察官に現行犯逮捕されたということです。取り調べに対し、「金がなくて口座が差し押さえられた」と容疑を認めています。逃走しなかった理由については、「このくらいの金では生活の足しにならないと思った」と供述しています。

よほど食うに困って臭い飯でも腹の足しにしたかったと言うことなのでしょうか、空腹のあまり逃走も出来なかったのではちょっともの悲しい事件です。
こちらも未だに根強く残る詐欺事件ですが、しかしこの発想はなかったと言う新展開が話題になっていました。

神奈川県警交通機動隊巡査 特殊詐欺「受け子」役 窃盗疑いで逮捕(2019年10月31日毎日新聞)

 キャッシュカードの保全措置をすると偽って高齢者からカード2枚を盗んだとして、神奈川県警は31日、県警第1交通機動隊巡査、蕪木(かぶらき)紀哉容疑者(24)=横浜市南区=を窃盗の疑いで逮捕した。特殊詐欺事件の「受け子」の役割を果たしていたとみられ、背後関係を調べる。容疑を認めているという。

 逮捕容疑は10月7日午後、同県横須賀市の80代男性の家を訪れ、男性からキャッシュカード2枚を盗んだとしている。
 男性の家には警察官を名乗る男の声で「振り込め詐欺の犯人を捕まえた。あなたの口座から金を引き出したと言っている。カードの保全措置を行うので、これから警察官を行かせる」とうその電話があったという。電話の最中に蕪木容疑者が来て、男性に封筒へカードを入れるよう指示。男性が目を離したすきに、あらかじめ用意していたプラスチックカード入りの封筒とすり替えたとみられる。

 県警監察官室によると、男性のカードを使って少なくとも50万円を引き出していた疑いもある。蕪木容疑者は2013年から県警で勤務。事件当日は休みだった。監察官室は「警察官として言語道断で誠に遺憾。深くおわびする」としている。【洪玟香】

警察官の犯罪行為も残念ながらないことではないとは言え、本人役での出演とはなかなか珍しいのではないかと言う気がします。
最後に取り上げるのはお隣中国からですが、人気にあやかった商売が思わぬ反発を招いてしまったという事件です。

チャウチャウちゃう? 中国の「パンダ」カフェ(2019年10月23日BBC)

​動物好きの人がふわふわの動物たちと一緒に食事を楽しめるアニマルカフェは、過去20年の間に世界中で登場した。そうした中、ジャイアントパンダの生息地として知られる中国南西部の四川省成都市に登場した「パンダ」カフェに、驚きや懸念の声が上がっている。

地元紙「成都商報」によると、物議を醸しているのは成都市内にこのほどオープンしたカフェ。一見すると、6頭の赤ちゃんパンダが飼育されているように見える。
ところが、パンダに見えるのは実は、パンダに似せるために毛を染められたチャウチャウ犬だったことが判明した。

カフェのオーナーのファン氏は、食事や飲み物と同様に、毛染めも行っていると主張。四川の「紅星新聞」対し、日本から染料を輸入し、チャウチャウの毛染め担当の専門スタッフを雇っていると説明している。
毛染めの質を保つために「1回あたり1500元(約2万3000円)かかる」、「すごく高い上質な染料を使っている」とした上で、動物への影響は決してないと述べた。

紅星新聞によると、店内を撮影した短い動画を機に話題になり、客足が伸びたと同時に、心配する声も増えた。獣医のリ・ダイビン氏は「体毛や皮膚を傷つける可能性がある」として、ペットの毛を染めるべきではないと呼びかけている。
(略)
多くの人が動物の毛を染めるのは「正気ではない」と主張。毛染めで「人間の髪や頭皮がダメージを受ける」可能性があるのと同じように、犬にも影響があるかもしれないと訴えている。
(略)

この種の行為ではどれほど似せているかが話題になりますが、元記事の画像を見る限り案外と通用しそうな…と言う気がします。
なおこのニュース、日本国内で報じられると特定地方の方言と関連付けて拡散されているようなのですが、商売とは言え大切に扱ってやってほしいですね。

今日のぐり:「大隈」

福山市街地から北に外れた曰く言いがたい立地のこのお店、知らないと来られない場所に加えて一見とても蕎麦屋に見えない外観が特徴です。
それでも食事時には広い店内が一杯になるのですから人気ぶりも推して知るべしですが、しかし昨今誰も知らない穴場などはなかなかないものですね。

ざるそばを食べてみましたが、よく繋がりシャキシャキと歯切れの良い蕎麦で香りも味も及第、町の蕎麦屋らしく盛りもたっぷりしたもので満足感が高いです。
魚出汁の風味が立った蕎麦つゆもよい味ですが、強いて言えばこちらの蕎麦は水キレだけはもう一歩なのですが、まあこれもご愛敬でしょうか。
付け合わせに頼んだとり塩天はクリスピーながらジューシーな肉汁があふれる絶好の揚げ具合で、柚子胡椒を勧められましたが好みでしょうか。
ごぼう天は薄くスライスしたごぼうをそのまま天ぷらにしただけですが、チップス風に塩で食べてもちょいと蕎麦つゆをつけてもいい味ですね。

今の時代まっとうな蕎麦屋はそこそこのお値段をつけていることも多いだけに、このお値段でこの水準の蕎麦はなかなか食べられませんね。
フロアのおねえさんも仕事も手早くなかなか気も効いて総じていい店なのですが、繁盛店だけに駐車場の出入りで苦労しがちな点が注意点でしょうか。

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