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2019年10月30日 (水)

医療者を目指す医学生の対話力、ようやく磨かれ始める

医療の進歩は日進月歩ですが、それに対する医学教育もより複雑高度化していく中で、相対的に遅れてきた分野にもようやく光が当たりつつあると報じられていました。

医療者の対話力磨く「哲学カフェ」 岡山大院、患者との信頼関係構築へ(2019年10月28日山陽新聞)

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科総合内科学教室(岡山市北区鹿田町)は、医療者の対話力を磨くユニークな自主講座「哲学カフェ」を開き、成果を上げている。来年度にも、正式なカリキュラムとして臨床実習への組み入れを目指している。

 複雑な治療法や予後の説明など、患者との対話が重要な場面は多いが、これまでの医学教育は診察時の態度や質問すべき項目の習得など技術面が中心だった。同教室はきちんと患者の話を聞いて信頼関係を築く対話の実践をより重視し、そのトレーニングとして哲学カフェを導入した。各地で哲学カフェを開いている団体「カフェフィロ」副代表の松川絵里さん=岡山市北区=に進行役を依頼し、昨年11月からこれまでに4回開催した。
 十数人の参加者は岡山大の若手医師や看護師、学生だけでなく、岡山県内の薬局で働く薬剤師らも加わり、地域医療のレベルアップも狙いの一つだ。
 対話のテーマは毎回一つだけで、「理想の死ってある?」「信じるってどういうこと?」といった正解のない抽象的な問いを投げかける。発言は自由で、聞いているだけでもかまわない。

 9月の第4回に参加した医学部4年生延永裕太さん(28)は「考えが違う人に対しても否定的にならず、自分の経験と照らし合わせて共感できた」と話し、医師になったら、自分から患者に話しかけるべきだと思ったという。
 来年度以降、まず総合内科学の臨床実習で、哲学カフェに基づく対話プログラムを実施する計画。実習を担当する同教室の小比賀美香子講師は「医療者は原因が分からない症状や難治性の病気を持つ患者さんとも向き合い、語りを受け止めることが求められる。患者さんと共に考え続ける力を養いたい」と話している。

■哲学カフェ 飲み物を手にした参加者が、進行役が示すテーマについて対等な立場で話し合う集い。哲学の専門知識は必要とせず、問題の解決や合意形成ではなく、対話そのものを目的とする。1992年にパリのカフェで始まり、日本でも99年頃から各地のカフェや公民館、教育機関などを会場に、さまざまな形で開かれている。

対話力と言うのでしょうか、日常的な日本語能力も怪しいのではないかと思われるような先生方も未だにいらっしゃるようですが、さすがに最近の若い先生方は最低限の対話のスキルは身につけてきているようです。
ただその多くがより正確な問診の仕方であるとか、誤解されない正確な情報の伝え方と言った、ともすると技術論的な側面に偏よりがちにも見えるのは、そうした方面でしか教育がなされていなかったせいなのでしょう。
医学的に正確な説明が患者に正確な理解をもたらすかと言えば必ずしもそうではなく、しばしば医療従事者の思惑と異なった理解を患者側がしてしまう原因の一つに、医療者のスキルの影響が大きいと感じます。
特に訴訟対策などもあって合併症などあれもこれもと網羅的に並べてしまうと、何がポイントであるか理解出来ない患者側としては結局何も頭に残らず、話の流れを全く理解出来ないと言うのはありがちですね。

医師の説明が判りにくい理由は各方面で論じられていて、素人相手に専門用語を羅列するなどと言うのは論外ですが、義務教育レベルの知識があれば理解出来る言葉で語る医師もほとんどいないのが現実です。
他方では単純に3時間待ちの3分診療と呼ばれる忙しさの中で、十分な説明をするだけの時間が取れないと言う現実もありますが、今の時代どんな素晴らしい医療でも患者が納得しないなら意味がないとも言えます。
その点で説明と言う行為は治療行為以上に重要視されるべきものだとも言えますが、単に必要事項を羅列するのではなく、簡潔に要領よく要点を正しく理解させる説明には、それなりのスキルが必要なのは確かです。
特に医療現場においては医師は相応に強力な権威を持っていて、言葉に過不足があっても一々突っ込まれることが少ないだけに、相手の理解を得やすい話術を磨く機会が限定されているとは言えるかも知れません。

医療重視者の側のもう一つの本音として、あまりに理解が悪かったり本題と外れた無駄話ばかり延々と続ける患者、全く訴えの内容が支離滅裂で要領を得ない患者の相手は、かなり神経をすり減らされるものです。
この点に関しては医療をよりよく利用するための患者啓発本などにも取り上げられる問題ですが、よほど病院慣れしていながら対話力の低すぎる患者さんはともかく、病院経験値の低い人々なら仕方ないとも言えます。
最近は問診をコンピューターを用いて行う施設も出てきていて、この方がより詳細な問診が出来ると言う話もあるようですが、機械の方がイライラもせず冷静的確に対話が出来て良いと言う局面もあるのかも知れません。
説明なども決まり切った医療行為に関しては文書に基づいてコメディカルが行う場合も増えていますが、こうした文書なども素人目線で理解しやすく、かつ説明に使いやすいものになっているかの検証も必要でしょう。


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