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2019年10月21日 (月)

厚労省担当者、公的病院実名公表に関して改めて説明

先日広島県で開かれた医師会と病院協会の勉強会で、地域医療構想を担当する厚労相の鈴木氏がこんなコメントをしていたそうです。

「再検証」要請の424病院、「統廃合」の対象にあらず(2019年10月13日医療維新)

 広島県医師会と広島県病院協会の共催で10月12日、地域医療構想・医師偏在対策勉強会」を開催し、日本医師会副会長の中川俊男氏と厚生労働省医政局地域医療計画課長の鈴木健彦氏の2人が登壇した。中川氏は、「424の公立・公的医療機関等は、具体的対応方針の再検証の要請対象であり、再編統合の対象医療機関ではないことに留意する必要がある」と注意を促し、鈴木氏も「再編統合とは書いているが、我々の文章で、統廃合の『廃』という文字を使ったことはない」と述べ、的確な理解を求めた。

 厚労省は9月26日、地域医療構想に関する具体的対応方針の「再検証」が必要な424の公立・公的医療機関等のリストを公表、各地域でさまざまな反響を呼んでいる(『424の公立・公的病院等、再編統合も視野に「再検証」』を参照)。本件のキーパーソンである2人が登壇するとあって、2人の講演に続いた質疑応答では、参加者から数多くの質問、意見が上がり、勉強会は3時間近くに及んだ。
 鈴木氏は、公表翌日の9月27日の地方紙では「統廃合」という文字が使われて報道されていたことなどから、同日付で「地域医療構想の実現に向けて」という文書を出したことを説明(『「調整会議の議論活性化が趣旨」、3094の民間病院の実績も提示』などを参照)。「公表の仕方にも問題はあったものの、再編統合とは書いているが、我々の文章で、統廃合と書いたことはない」。その後、地方自治体の理解を求めるため、国との協議の場が10月4日に開催されたことを紹介(『424の公立・公的病院名公表、混乱の「正常化」目指す』を参照)。「今回の件を含めて、今後話し合いをしていくことで合意。また、ハレーションが起きたことを深く反省するとともに、説明の場を設けていくことを確認した」。鈴木氏はこう説明し、10月後半から、地方厚生局単位で説明会を開催するほか、都道府県等からの要請にも応じて説明会を開いていくとした。
(略)
 鈴木氏は、「具体的対応方針を既に作ってダウンサイジングや機能再編をやっているにもかかわらず、なぜ名指しされたのかという意見はもらっている」と受け止めつつ、今検討している方向性が果たして地域医療構想に沿ったものなのかといった観点からもう一度、議論してもらいたいという趣旨だと説明。さらに僻地等かどうかのメルクマールは作りにくく、「再検証」要請対象を決めたことから、まさに地域の実情を踏まえて地域医療構想の調整会議で議論し、残すべき公立・公的医療機関等は残すという判断をすべきだと説明した。
(略)
 参加者からは、公立・公的医療機関等と民間病院が競合している場合、一般会計からの繰入金や税制上の優遇がない民間病院が弱く、負けてしまうといった意見が出た。調整会議での議論等を通じて、公立・公的医療機関等にしか担えない分野にいかに重点化するか、その方法論提示の要望のほか、「再検証」の要請対象となった公立・公的医療機関等は何をすればいいのかとの問いに対して鈴木氏は次のように回答した。
 「今回の公表したデータは、高度、急性期機能について、一定の基準を設け、(具体的対応方針の再検証対象に)該当するかどうかを検討した結果だ。足元の状況を踏まえ、また2025年を見据え、今の具体的対応方針でいいのか、もう一度、自己点検をしてもらいたいということ。点検した結果、現状で問題ないという結論になった場合には、そうしたコメントを付けて出してもらいたい」。調整会議における具体的な議論の進め方など、技術的な助言について厚労省通知を発出するとともに、厚労科研の研究班で議論の進め方に関するマニュアル作成を進めており、近く完成することから併せて公表していくとした。
(略)
 医師偏在対策については、将来的な人口も影響してくることから、地域医療構想を含む医療計画と関連し、連動して考える必要性を指摘。人口10万人当たりの医師数ではなく、新たに医師偏在指標を策定し、今年3月、医師需給に関する「第4次中間とりまとめ」を行ったことを説明した(『医師需給「第4次中間とりまとめ」承認』、『2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ』を参照)。これを基に現在、都道府県で医師確保計画の策定が進み、2020年度から実施されることになる。
 外来医療機能の不足・偏在等への対応についても言及。「都市部のクリニックが多くなることによって、病院勤務医が少なくなるのではないか、という意見があった。開業規制という議論もあったが、行政官の立場としては、規制をするのは法律上無理。どの地域でクリニックが多いのかを可視化し、それを踏まえて判断するという流れを作った。外来医療機能が多い地域で開業する場合には、公衆衛生的な機能を担うことを要請してはどうか、という提案だ。将来の人口変動を考えて、病院だけでなく、外来機能、またドクターの数も含めて、計画的に整備を行ってもらいたい」。

 最後に医師の働き方について説明。地域医療構想、医師偏在対策とも関連し、「非常に複雑な連立方程式を解くことになる」。鈴木氏はこう述べ、講演を結んだ。「地域医療構想は2025年の計画。医師の働き方の時間外労働の上限規制は2024年から始まる。医師需給のマクロのバランスが取れるのは2028年だが、地域偏在を考え、2036年の偏在解消を設定している。医師の働き方改革を進めつつ、医師確保・偏在対策を進めなければいけない。国としてもこれら3つの施策をうまく連携しつつ、個別にも対応していかなければいけない。地域医療介護総合確保基金を今後、増やしていきたいと考えており、きちんと手当てをし、どうにか乗り切っていきたい」。

基本的には全国ほとんどの地域で今後人口減少が進んでいく中で、現在がとは言わずとも将来的にはいずれ必ず病床数過剰となる時期が到来すると言うのが厚労省の基本的認識であるようです。
ではその過剰な病床をどうやって適正に調整するかと言えば、地域医療構想に基づいて地域医療構想調整会議が中心となれとのことで、要するに地域の実情等々を考慮した上で自治体が決めろと言うことです。
先日公表された公立病院のリストに関しても、あくまでもそれを下敷きに議論するのは自治体であり、調整会議であると言うことで、国としてリストを元に何かを強制することはしないと言うのが公式のスタンスでしょうか。

自治体からすれば国から地域の医療供給体制について責任を丸投げされた形で、その能力がない自治体にとっては頭が痛いと思いますが、逆に地域の実情に応じて今までにない斬新な構想も実現可能となります。
昨年は奈良県が県内の診療報酬を一律カットしようと国に提案したと話題になりましたが、当時厚労省としては否定的な立場であったものの、皆保険制度の大原則に抵触するからと言う理由であったそうです。
全国一律の公定価格で同水準の医療を提供すると言う建前はすでに現実と乖離しているとも言えますが、今後地域医療構想の下で都道府県単位で医療提供体制に差が出ることを、国が認めているとも言えます。
特に財政力や医療機関の充実した大都市圏の自治体にとっては大きなチャンスであるとも言えますが、あまりに医療供給体制に地域差があれば今後越境医療受診と言うことも問題化してくるかも知れませんね。

医師偏在や医師の労働環境に関しても言及がありますが、現時点では開業規制に関しては否定的と言いながら、要請という形で何らかの義務的役割を開業医に求めていくと言うスタンスを明らかにしています。
公衆衛生的な機能と言う文言が何を意味するのかはっきりしませんが、例えば手間がかかる等の理由で不人気な学校検診などの業務に関しては、地域医師会から半ばノルマ的に割り当てられるとも聞きます。
それを嫌って(あるいは、他にも様々な理由もあって)医師会に加入しないと言う新規開業の先生も増えているとも聞きますが、こうした業務を今後国として義務づけていくと言う可能性も出てくるのでしょうか。
当然そこには医療側の代表として国の医療政策に関与している医師会の働きかけも強いはずですので、新たに開業される先生方にとってはこれから何かと余計な仕事が増えてくるのかも知れませんね。

 

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