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2019年9月

2019年9月30日 (月)

厚労省が実名を挙げて公立病院再編統合の検討を求める

先日から大きな話題になっているのがこちらのニュースですが、とりわけ実名を出された各地の病院にとっては大騒ぎとなっているようです。

厚労省が急性期の公立・公的病院の診療実績を分析 再編統合の再検証を要請する424病院を公表(2019年9月26日日経メディカル)

 厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」は9月26日、「再編統合(病床機能の分化・連携、病床数の削減などを含む)」について再検証を要請する公立・公的病院等の名前や診療実績の分析結果を公表した(資料は厚労省のウェブサイトに掲載)。再検証が必要とされたのは424病院に上り、内訳は公立病院が257、公的病院が167、民間の地域支援病院が17。厚労省は都道府県に通知を発出して、2020年9月末(再編統合を伴わない場合は2020年3月末)までに地域医療構想調整会議で再検証の結論について合意を得るよう求める

 地域医療構想ではこれまで、公立・公的病院が民間病院では担えない機能(救急、小児、周産期医療、災害医療など)に重点化されているかなどを検証してきた。だが調整会議で実のある協議がなされず、合意内容が地域医療構想の実現に沿ったものになっていないとの指摘が相次ぎ、新たな調整会議の活性化策として導入されたのが、今回の取り組みだ(「再編統合を検討すべき公立・公的病院の基準方針を提示」参照)。
 9領域(癌、心疾患、脳卒中、救急、小児、周産期、災害、へき地、研修・派遣機能)について(1)診療実績が特に少ない、6領域(癌、心疾患、脳卒中、救急、小児、周産期)について(2)類似の診療実績を有する病院が2つ以上あり、かつ互いの所在地が近接している――場合に、再編統合について再検証が必要な公立・公的病院等(再検証対象医療機関)として、調整会議での議論を要請することにした。
 分析対象は、公立・公的病院等の中でも病床機能報告で「高度急性期」「急性期」の病床を有すると報告した1455病院。そのうち再検証の対象となった医療機関は424病院だった(図1)。高度急性期・急性期機能を持つ病院のうち、診療実績が相対的に低い病院が該当し、中小規模病院が多い
(略)
 これらの分析により、全対象1455病院のうち424病院、(1)は277病院、(2)は307病院が該当した([1]にも[2]にも該当するのは160病院)。

 分析結果を受け、構成員からは今回の取り組みの意義を確認する発言が上がった。日本医師会副会長の中川俊男氏は、「あくまでも今回の発表は調整会議の活性化のためであることを繰り返し伝えるべき。また再検証の議論の結果として、現状から何も変えないという選択もあり得るのか」と質問。厚労省は、「行政として再編統合を強制するものではない」と述べた。
 全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏は、「このような方法で診療実績を判断すると、地方で小規模の公立・公的病院は全てフラグが立つ。小規模でも地域で必要な役割を果たしているケースがほとんどだろう。(地方では人口減少が進むため)将来のニーズを踏まえながら、機能や病床数を再検証するということだと思う。今回は民間病院のデータは含まれないが、できるだけ客観的なデータを出し、調整会議で真摯な態度で協議をすることが重要だ」と指摘した。これに対して厚労省は、「都道府県に分析結果を提出する際、民間病院も含めたデータを提供する」と答えた。
 日本医療法人協会会長代行の伊藤伸一氏は、今回の分析により「調整会議は、地域医療のありようを協議できる段階にようやくなる」と期待を示した。さらに分析では診療実績を比較するので大規模病院が高い評価となり、「大規模化を助長するのではないか。病床当たり、人員当たりの実績の分析も必要ではないか」と発言。厚労省は、必要に応じて病床当たりの実績も都道府県に提供するとした。
(略)

424の公立・公的病院等、再編統合も視野に「再検証」(2019年9月26日医療維新)

(略)
 公立・公的医療機関等は、2018年度末までに、2025年を見据えた具体的対応方針を決定。しかし、公立・公的医療機関等の役割が民間医療機関では担えないものに重点化されているかが疑問視され、その再検証を要請する対象が今回の発表(『公立・公的病院「再編統合」の再検証、要請方針を了承』を参照)。
 再検証を要請された病院は、(1)2025年を見据えた構想区域において担うべき医療機関としての役割、(2)2025年に持つべき医療機能別の病床数――などの検討が必要になる。2020年9月までに、再検証を行い、結論を得ることが求められる。一方で、再検証において、再編統合(ダウンサイジング、機能分化・連携・集約化、機能転換・連携等を含む)を伴わない場合には2020年3月までに結論を得る。再検証の対象外であっても、具体的対応方針が現状追認になっているような医療機関についても、同様に2020年3月までに議論をし、結論を求める。

(略)
 厚労省医政局地域医療計画課は、「議論を行った上で、現時点で変わらないということも十分にあり得る。そもそも行政として強制するものではない」と回答。その旨を都道府県等に説明していくとした。
 全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏は、「再編統合という言葉になっているが、病院の廃院などではなく、ダウンサイジングなど、地域の有り様を見直すことを進めて、必要であれば再編統合を行うという意味」と述べ、再編統合の持つ意味をしっかり考えてもらいたい」と求めた。さらに自治体病院の規模はさまざまであり、「特に地方の小規模病院にとっては、今回のような指標で判断されるとフラグが立ってしまう。地域に密着した医療を提供している場合が多数であり、今後の医療の在り方を見つめながら、機能を再検証していくことになる」と述べた。
(略)

厚労相「地域で議論を」 再編必要の病院名公表(2019年9月27日共同通信)

 加藤勝信厚生労働相は27日の記者会見で、厚労省が診療実績が乏しく再編・統合の議論が必要と判断した424の公的病院の名称を公表したことに関し「機械的にこうしろとか、ああしろとか言うつもりはありません。それぞれの地域でしっかり議論してほしい」と述べた。
 同時に「医療改革をしっかり進めていかなければ、次の時代に対応した医療はできていかない。必要なサポートをしていきたい」と語った。
(略)

焦点:公的424病院、要再編 厚労省「1年で結論を」(2019年9月27日毎日新聞)

 過剰とされる病院のベッド(病床)数を削減するため、厚生労働省は26日、再編・統合を促す予定の公立・公的424病院のリストを公表した。自治体が経営する中小病院が多く、手術などの診療実績が少ないことから「再編・統合の議論が特に必要」と判断した。今後1年以内に再編・統合の結論を出すよう要請するが、身近な病院を残したい地域住民や自治体の反発も予想される。
(略)
 人口減少が進む中、地域医療を崩壊させず、在宅ケアへの移行を進めるには、病院の再編統合は避けられないというのが厚労省の理屈だ。だが、地元事情を考慮せず、手術件数などから機械的に対象病院を決めたことには「机上の空論だ」と反発や困惑も広がる
 国立病院機構松江医療センター(松江市)は「地域の呼吸器病センター」を掲げ、肺がんや結核などの治療で実績がある。だが厚労省は今回、救急▽脳卒中▽小児――など9分野の診療データを分析し、呼吸器疾患に重点は置かなかった。その結果、同センターは9分野全てで「診療実績が特に少ない」と判定された。
 前田悟事務部長は「地元の医療体制を協議する場で、考えを伝えたい」と戸惑う。再編や統合には他病院も絡むだけに、松浦正敬市長は「市立病院の負担が増えるかもしれない」と余波を懸念する。
 大都市部でも、専門性が売りの病院がやり玉に挙がった。
 国家公務員共済組合連合会が運営する九段坂病院(東京都千代田区)は、大学病院などがひしめく中で差別化を図るため、脊椎(せきつい)や脊髄の病気を多く扱う整形外科に力を入れてきた。救急医療などの実績の乏しさを指摘され、担当者は「地域に必要な医療を提供しているのに……」と首をかしげる。
(略)
 厚労省の強気の裏には、病床再編への危機感があった。再編は地域の医療機関や自治体担当者が参加する「調整会議」での合意に委ねられてきた。率先して公立・公的病院に対応を求めたものの、出てきた計画はほぼ現状維持だ。
 政府の「経済財政諮問会議」傘下の会議で5月、民間委員が進捗(しんちょく)の遅れを問題視した。すると8日後の諮問会議で、根本匠厚労相(当時)は再検討を促す病院名の公表や重点区域設定の方針を説明した。厚労省幹部は「何もしないわけにいかない。ぎりぎりの範囲だ」と振り返る。
 日本の人口1000人あたりの病床数は13・05床で、米国の2・77床、スウェーデンの2・22床をはるかに上回る。民間病院の病床数が急増したためだ。不要な長期入院を招いている▽重篤患者を扱う「急性期」病床にリハビリが必要な高齢者が入院している――などの課題が指摘された

 政府は医療費の削減を目指し、推計した必要病床数に向けて病院の再編統合を求めた。標的は公立・公的病院。民間病院よりコントロールしやすい上、自治体病院は赤字体質で地方財政を圧迫している。ただ、民間病院の少ない地方で住民の健康を支えてきた歴史があり、首長には統廃合は重い。自治体病院幹部は「診療実績などの数字だけで結論を出さず、地域の実態を踏まえて議論して」と訴えつつ、「病床の大半を占める民間病院に手をつけないのは問題だ」と漏らす。
 厚労省が気にするのは利害関係者からの反発だ。今月20日の自民党医療委員会で出席議員から厚労省の方針に反対はなかったが、「再編すべきだと病院名をさらされたら話がこじれるだけ」(厚労族議員)と慎重な意見も少なくない。
 再編統合に消極的な首長から来年9月までに合意を得るのは容易ではない。政府は今年の「骨太の方針」に「(再編が進まなければ)20年度に都道府県知事の権限のあり方を検討して早期に措置を講ずる」と盛り込んだ。厚労省幹部は「もし進まなければ、国の関与強化も求められるかもしれない」とみている。【原田啓之】

厚労省としてはかねて医療資源の集約化を推進したい意向を持っていたことは周知の事実で、医療の効率化と言う面でも非効率な中小医療機関を統廃合し集約化した方が合理的なのは事実でしょう。
また昨今話題の医師らの働き方改革と言う側面でも、小病院で週3回の当直を強いられるよりは大病院に集約化して月1回の当直にした方が、労働時間短縮と言う点でも非常に効果的と言えますね。
ただ客観的に見ればそうなのですが、不景気や医療費削減政策の最中であっても病院の倒産が案外少ないように、地域の中小病院もそれなりに地域医療に貢献していると言う事実は無視出来ません。

医療リソースの集約化は急性期の医療に関しては確かに効率的な面も多いのですが、ごく一般的な医療を受けるに当たって何でも大病院でやるのも非効率で、地域の中小病院にも存在意義があると言えます。
判りやすい話では救急車で大病院に運ばれて来た急患が急性期の治療を受け、自宅に帰る前に地元の病院でリハビリをしてもらおうと思っても、そもそも地元の病院がなくなっていれば転院先がない理屈です。
要するに今回の調査における指標がかなり偏ったもので、急性期医療を熱心に広範囲にやっている医療機関が高評価になると言う、いわば大規模病院に有利に設定されている点が問題だと言えるでしょう。

一方で海外では日本ほど病床が多くなく、日本なら入院させるような場合でも通院で対応することも少なくないので、要するに入院すべきかどうかの基準をどこに置くかで病床数の過不足の議論は全く変わってきます。
この辺りは基本的に空床を作らずベッドを全て埋めなければ経営が成り立たないようになっている診療報酬制度の弊害とも言えますが、まずは病床稼働率の低い病院からでも着実に病床削減を進めることでしょうか。
その結果地域内での患者と病床数のバランスが変化しベッド不足が顕在化し、医師のみならず患者側も入院についての判断基準が変化してくれば、医療費も自然と抑えられていくようになるかも知れませんね。

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2019年9月28日 (土)

今日のぐり:「そば茶屋さくら」

このところ話題になっていた事件の犯人がついに逮捕されたと報じられていました。

「歩きスマホ」の女性に体当たり=傷害容疑で49歳男逮捕-警視庁(2019年9月26日時事通信)

 地下鉄の駅ホームで、歩きながらスマートフォンを操作する「歩きスマホ」の女性に体当たりし、けがをさせたとして、警視庁丸の内署は26日、傷害容疑で、神奈川県藤沢市鵠沼石上、会社員記内良之容疑者(49)を逮捕した。
 容疑を認め、「危険なので注意するつもりで体当たりした」と供述。駅で歩きスマホをしていた複数の女性が被害に遭っており、同署は関連を調べる。

 逮捕容疑は6月25日午前8時50分ごろ、東京メトロ千代田線二重橋前駅のホームで、歩きスマホの30代女性に右肘を突き出して体当たりするなどして、胸部に約3週間のけがをさせた疑い。
 同署によると、同駅では6月7日朝、別の30代女性が同様の被害に遭って骨を折る重傷を負ったほか、9月11日朝にも50代女性が体当たりされ頭部にけがをした。記内容疑者は「3日に1回はやっていた」と話しているという。 

大方の予想通り身勝手な理由からの身勝手な犯行であったと言うことですが、当然ながら今後きちんと罪を償っていただく必要がありますね。
本日は幸いにも犯人逮捕にこぎ着けた丸の内署のお手柄を讃えて、それはさすがにアウトとしか言いようのない世間を騒がせたニュースの数々を取り上げてみましょう。

37歳男が下半身を露出し歩行、現行犯逮捕 「普通に歩いていただけ」と容疑を否認し怒りの声殺到(2019年09月04日リアルライブ)

 3日、名古屋市西区の路上で下半身を露出した疑いで37歳の男が逮捕されたことが判明。その行動と言い訳に、呆れ声が上がっている。
 事件が発生したのは午前7時過ぎ。愛知県北名古屋市在住の37歳男が、下半身を露出した状態で歩行。付近を警戒に当たっていた私服女性警察官に発見され、公然わいせつで現行犯逮捕された。
 名古屋市西区の路上では、今年5月から下半身を露出して歩く男が度々目撃されており、警察はこの男の関与が強いと見て、余罪を追及する方針。当日朝早い時間に私服女性警察官がいた理由も、繰り返される犯罪抑止のためだったのだ。

 男は一体何を考えてこのような行動に出たのか。警察の取り調べに対し、男は容疑を否認しており、下半身を露出した状態で歩いたことについて、「そのようなことをはしていません。普通に歩いていただけです」と話しているという。確かに人間としては、生まれたての姿で歩くことは「普通」なのかもしれないが、現在の法律では犯罪となる行為だ。推定無罪の原則があるものの、現行犯で逮捕されており、犯行に及んでいたことは確実であると見られている。
(略)
 暑さから服を脱ぎ捨てたいと感じる人もいるだろうが、下半身露出は犯罪。モノに関係なく、行ってはいけない行為である。

これが上半身露出となるとまた微妙な話になるのでしょうが、しかし普通と言う概念は人それぞれだと改めて実感しますね。
こちらもネタのような本当の話と言うものですが、正直実際にやる人がいるとは思わなかったと言う声も多かった事件です。

「握力を調べるからコレ握って」 理学療法士が患者に握らせたトンデモナイもの(2019年8月28日しらべぇ)

(略)
「この背中の痛み、どうにかならないかしら」という悩みを抱えていた英国で暮らす女性が、治療を受けようとクリニックを訪れた。
女性を診察すべく姿を現した30歳の男性理学療法士は、「ではそこのベッドにうつ伏せの状態で横になってください」と指示。まずは握力に悪影響が出ていないかを確認してみましょうと女性に伝えたという。
「僕の指です」「これをギュッと握ってみてくれますか」と言われた女性は、顔を伏せたままの状態で、手を差し出したとのこと。
そして指示されるがまま握った女性は、それが指ではないことにすぐに気づき愕然としたという。

女性は既婚で子供もいることから、握らされたモノが「指」ではなく男性器であることに「すぐ気付いた」とのこと。
またその日に着用していた衣類に付着物があったことからすぐに通報し調べてもらったところ、付着物のDNAが理学療法士のDNAと一致したという。
それを理由にこの男は解雇されたが、男は「違いますよ」「僕は自分の指を2本差し出して、女性に握らせただけなんです」と言い張ったとのこと。だが「なぜ女性の衣類にDNAが付着していたか」という点については、最後まで説明できないままだったという。

真相がハッキリしない不思議な「事件」であったものの、理学療法士はとりあえず職を失ったとのこと。またこの件で大ショックを受けた女性はカウンセリングを受け、「手で触った感触でアレが何だったかはすぐに分かりました」と生々しい証言をしている。
もしも女性の主張が正しいのであれば、この男は職業を悪用した変態にほかならない。女性の心の傷はひたすら大きく、このせいで医療関係者を信用できなくなってしまったというから、あまりにも気の毒な話だ。

どのような時と場所でもそのような情熱を発揮出来るのも生物としては素晴らしい才能なのかも知れませんが、さすがにこれにはびっくりです。
こちらも昨今様々なニュースですっかりイメージが定着した大手チェーンが、またしてもやらかしていたと言う話題です。

セブン本部が「おでん無断発注」オーナー、公取委に違反申告(2019年9月11日共同通信)

 セブン―イレブン・ジャパン本部の社員が、店舗に無断でおでんなどを発注したのは独禁法違反に当たるなどとして、宮城、千葉、東京、京都、大阪の5都府県のセブン店舗オーナー5人が11日、公正取引委員会に一斉に申告した。

 申告書などによると、店舗にアドバイスをする本部社員が8月、東京都内の店舗事務所の端末でおでんを無断発注し、気付いたオーナーが取り消す事案があった。京都府の店舗では2015年、本部社員に酒や栄養ドリンクなど約15万円分を勝手に発注された。
 あるオーナーは「売上目標達成のため、不在時を狙って勝手に発注される」と憤っている。

同本部を巡っては日替わりのように様々なニュースが伝えられるところですが、今後も続々とこうしたネタが発掘されそうな勢いですね。
最後に取り上げますのはアメリカから、エリート学生が犯罪者に転落する瞬間を捉えたニュースです。

米大学生、トランプ大統領の納税申告書をハッキングで得ようとして失敗、逮捕される(2019年09月12日スラド)

米ハバフォード大学の学生が、トランプ大統領の納税申告書をハッキングによって手に入れようとして逮捕されていたそうだ(The Philadelphia Inquirer、Slashdot)。

1970年代後半以降の主要政党における米国大統領候補者は、選挙日の前に納税申告書を公開してきた。しかし、トランプ大統領は、大統領選の段階でも「税務申告書から学ぶべきことはない」として、自身の納税記録の公開を拒んできた経緯がある。
逮捕された1人のAndrew Harrisは、連邦政府の学生援助の申請を提出したとき、フォーム入力時にアメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)にリダイレクトされて、自分の納税申告情報が自動的にインポートされることに気がついた。そこで、2016年11月の大統領選挙の6日前、HarrisとJustin Hiemstraは、トランプの血縁を偽装してドナルド・トランプ氏の納税申告書を入手することを企てた。
彼らは、学生支援無料アプリケーション(FAFSA)にアクセス。トランプの子供の名前で登録しようとしたところ、すでにユーザー登録されていたという。そこで、パスワードリセットに挑戦した。必要な質問項目はGoogleで検索して答えを推測した。しかし、セキュリティ関係の質問の一つは4回挑戦して失敗。結局あきらめることになった。しかし、彼らの行動は監視されており、IRSはすぐに連邦捜査官をハバフォード大学に派遣、彼らは逮捕されたという。

およそ一国の指導者ともなれば支持者にも反対勢力にも事欠かないものですから、こうした行為に走る人々は決して珍しくはないのでしょう。
しかし監視されていて即座に逮捕されたと言うのがさすがにアメリカですが、大統領に挑むならもう少しスキルを磨き慎重に行うべきだったかと思います。

今日のぐり:「そば茶屋さくら」


小諸市郊外の幹線道路から裏通りに一本入った、見た目は全く民家のような店がこちらです。
店主お手製の十割蕎麦が売りで、近隣では知る人ぞ知る名店だと言いますが、見た目も内装もあまり蕎麦屋っぽくはありませんね。

蕎麦は二種類用意されていて、荒蕎麦とさらしなを食べ比べてみたのですが、面白いのはお通し的にポテトサラダが出てきた点です。
このポテサラもさほど自己主張する味でもなくまあ蕎麦の邪魔にはならないかなと思うのですが、蕎麦屋でこういう趣向も珍しいですね。
さらしなの方はなかなかよく繋がったいい蕎麦ですが、強いて言えば水切りが少し甘いのが欠点でしょうか。
荒蕎麦は見た目は田舎蕎麦風ですがこれも本格的な蕎麦で、見た目や風味、食感の違いを食べ比べてみるのも興味深いですね。
蕎麦つゆは辛口濃いめでわりと好みの味、蕎麦湯は蕎麦粉を溶いた濃厚タイプですが、デザートまで出てくるのにも改めて驚きました。

見たところ地元のおば…もとい、お姉さん方だけでやっているようで、繁盛されているせいかちょいと混乱もあるようですが、ごく気さくなお店ですね。
トイレなども広さは個人住宅水準ながら設備は整っていますが、しかしお店の前に置かれた一連のオブジェはお手製のものなのでしょうか。

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2019年9月24日 (火)

医療崩壊を阻止しようと言う努力が医療現場を崩壊させている

自らも地域の開業医であり、研修医であった娘さんを過労死で亡くした山田明先生が先日こんな記事を出していました。

医療崩壊を盾に勤務医を犠牲にするのか 過労自死した研修医の父で開業医の山田明氏が訴えること(2019年9月13日日経メディカル)

 厚生労働省は、2024年4月からの勤務医の残業時間について、年間上限を一般勤務医960時間、技術向上のための集中的な診療が必要な若手勤務医を1860時間、地域医療確保のための勤務医(特例)を1860時間とする案を示し、実施に向けた検討を進めている(関連記事)。これに対して、埼玉県で開業する山田明氏は「医療崩壊を盾に勤務医を犠牲にしてはならない」とし、「医師にも一般労働者と同じような規制を」と訴える。山田氏は2006年に、大学病院の研修医だった娘(当時26歳)を過労自死で亡くしていた。
(略)
 娘さんに何が起こったのか明らかにしたいと思った山田氏は、四十九日の法要を終えた後、勤務先だった大学病院に対して娘さんの勤務状況を尋ねたという。
 「はじめは渋っていましたが、3週間ほど経ってようやく報告書が出てきました。しかし、大学病院の報告書には、過重労働は全くなかったかのように記載されていた」。
 折に触れて娘さんの仕事ぶりを見てきた山田氏は、過重労働に関する記載がなかったことに「吐き気を催すぐらいの憤り」を感じたという。「私は父として、娘のつらさを目の当たりにしてきた。毎日のように娘が朝早く家を出て、夜中遅くに帰ってきたことを知っていた」。
(略)
 「研修医をめちゃくちゃ働かせるのではなく、早く帰らせて、家で文献を読む時間を持たせるほうがよっぽど大事なことだ。医師を育てる側が、医師の命の尊厳を守ろうとしていないのは明らか。こんなことでは患者の命は守れない」。山田氏の声に力がこもる。
 「医師の世界には、長時間稼働して当たり前という意識がある」と指摘する山田氏。こうした業界の「悪弊」を変えるためにも、「働き方改革では、むしろ規制や罰則を強化すべき」と訴える。特に、残業時間の上限を厳しくすると「地域医療が崩壊してしまう」との主張には、真っ向から反対する。病院経営者のマネジメント力のなさを、「医療崩壊」という言葉で覆い隠しているだけと映るからだ。「勤務医の犠牲の上に成り立つ地域医療であっていいわけがない。このことを病院のリーダーはよくよく考えてみるべきだ」。
 「今のままでは、私と同じような経験をする親が必ず出てくる」。山田氏の言葉は重く受け止めたい。

いわゆる医療崩壊と言う現象に関して少なくとも研修医に責任はないはずで、そのつけが若手など立場の弱い者にのしかかっているのだとすれば由々しきことですが、現実的には少しばかり事情が違うようです。
山田氏の言葉にもあるように医療崩壊云々とは関係なく元々医療業界内に医師を酷使する悪習があり、その正当化の根拠として医療崩壊と言う言葉がいわば脅し文句のように使われているのが現状ですね。
産科医に対する調査では過労死水準の月80時間以上の時間外労働をこなしている医師が66%に達し、月160時間以上の医師も27%に上ったそうで、医師の働き方改革が急がれる所以です。
そんな中で年960時間だとか1860時間だと言った数字が注目されてきた医師の時間外労働の上限規制について、先日こんな記事が出ていたことを紹介してみましょう。

「年960時間超え」には2021年までの時短計画策定が必須に(2019年9月4日日経メディカル)

 厚生労働省は2019年9月2日、医師の働き方改革の推進に関する検討会を開催。「追加的健康確保措置」の履行の確保と「医師労働時間短縮計画(時短計画)」の策定などについて議論、概ね了承された。いずれも、勤務する医師が年間960時間を超える時間外労働を行う医療機関に義務化されることになる内容で、特に時短計画については、2021年中に策定しなければ2024年度の法改正に間に合わなくなることから、注目を集めることになりそうだ。

 追加的健康確保措置とは、一般労働者に適用される時間外労働の上限時間数を超えて医師が働かざるを得ない場合に、医師の健康、医療の質を確保するために医療機関の管理者に義務付けられるもの。検討会では、対象者として月100時間以上の時間外労働・休日労働が見込まれる医師が挙げられ、都道府県が毎年行う立ち入り検査の中で確認することが示された。
 措置が不十分だった場合には都道府県が改善命令を出し、それでも改善されない場合は医師の時間外労働の時間外勤務上限として1860時間を認める「地域医療確保暫定特例水準」(B水準)や「集中的技能向上水準」(C水準)の特例を取り消したり、罰則を適用する(図1)。
(略)
 また、時短計画は、時間外・休日労働時間が年960時間を超える医師が1人でもいる医療機関に対して毎年策定を求めるもの。2024年度以降、医師が960時間以上の時間外労働を行うためには、労働時間削減の取り組みの評価を受けた上で都道府県からの認定を受ける必要がある。そのため、2024年度に間に合わせるためには、2021年度には医師労働時間短縮計画の策定が求められることになる。同日の検討会では、計画の項目例として、労働時間削減の目標と前年度実績の他、管理者マネジメント研修やタスクシフティング、医師の業務の見直しなどが厚労省より提案された。具体例として、現在全診療科が行っている当直を、初期対応が求められる診療科のみが行うことなどが示された。

 検討会の場では追加的健康確保措置に対して、「対象となる医師数が多い中で、物理的に面接・指導は可能なのか」「大学病院の産科の医局では、半分以上が追加的健康確保措置の対象となる」「面談など形骸化しかねない」など、実効性について疑問視する意見も多く出された。ただ、厚労省は「やれないと言われてもやっていただくしかない」という姿勢を崩さない。また、医師の確保が難しい地域では、追加的健康措置が実行できずに特例が取り消されたり、時短計画を進めることで地域医療に影響が出ることも懸念される。これまで以上に都道府県の差配が重要になりそうだ。

厚労省がかなり強硬な姿勢を示しているのは厚生よりも労働の側からの見解が主であると言うことなのかも知れませんが、基本的にこの働き方改革に関しては医師の労働時間をきちんと把握することが大前提です。
その部分が適当にされているのでは何ら意味のない話で、現状で労働時間管理の手法がきちんと確立されていない医療機関が今後どう動くかですが、下手をすれば自分で自分の首を絞めることにもなりかねません。
労働時間の計算に関しては宿日直の扱いがどうなるかでも全く話が変わってきますが、先日も紹介したように宿日直業務の解釈が変更されており、新しい基準に従うと労働時間がどうなるのかを考える必要があります。
また研究をしているとか非常勤と言う名目でありながら、実質的にフルタイムで働いている大学病院のスタッフなどの扱いがどうなるかですが、今後の病院側の動き次第で労基署の対応が決まることになるのでしょうか。

こうした諸点を考えると、現時点で未だに医師の労働時間をきちんと把握出来ていない、行う努力を払っていない医療機関は動きが遅すぎると言え、本当に2021年中に時短計画を打ち出せるのか疑問符がつきます。
また医療機関側に如何にルールを守らせるかも肝心であり、その強制力として記事にもあるように都道府県からの認可の取り消しや罰則があるのですが、さて問題はどの程度痛みのある罰則が用意されるのかですね。
そして対策を講じた結果当然ながら多くの医療機関で診療体制の改変や縮小が避けられないはずで、今までのような維持拡大路線ではなく、どこを切り捨てていくかと言う視点での経営マネジメントが必須となります。
その場合医療崩壊云々などと言う概念論ではなく、単純に病院の収入が減り経営が悪化すると言う直接的な影響が現場には出るはずなので、国としてはそれにどう対応するのかも注目していきたいところですね。

 

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2019年9月21日 (土)

今日のぐり:「草笛 小諸本店」

睡眠不足に悩まされている方も少なくない現代社会ですが、先日ちょっとした話題になっていたのがこちらのニュースです。

就寝中に息苦しくて? カメラ設置で「猫が原因」と判明(2019年7月25日テックインサイト)

(略)
テキサス州在住のTwitterユーザー“Greed”さんが今月22日、「就寝中に息ができないため、カメラを設置」と記して投稿した写真が、約3日間で140万件以上もの「いいね」がつくほど話題になっている。
それは眠っている男性の様子を捉えたものだが、彼はタイに住むLomphonten Lomphontanさんで、夜間にカメラを設置し就寝中の自分を動画で撮影したという。
後にその動画を確認すると、予想外のものが映っていた。Lomphonten Lomphontanさんの就寝後に愛猫のアチ(Achi)がやってきて、彼の寝顔をジッと見つめていたのである。さらに動画をチェックすると、アチがLomphonten Lomphontanさんの顔に体ごと覆いかぶさる様子があった。
Lomphonten Lomphontanさんの口と鼻はアチの体によって塞がれた状態で、呼吸ができないことが見てとれる。おそらくアチは甘えたいだけだったのかもしれないが、これが毎晩続くと息苦しくて熟睡できないことは言うまでもない。

この動画は今年の1月から3月にかけて撮影されたもののようだが、このたびGreedさんによってTwitterで再びシェアされたことにより、ユーザーから大きな反響があった。
コメントには「猫はイビキを止めようとしたのかも」という声や、「この本が必要かもね」と『猫があなたを殺そうと企んでいるかどうかわかる方法(How to tell if your cat is plotting to kill you)』と題した書籍を冗談めいて勧める人もいた。
(略)
なお『The dodo』によると、Lomphonten Lomphontanさんは「アチから謝罪の言葉はなかった」と話しているという。

その状況は元記事の画像を参照いただきたいのですが、これは息苦しいのも仕方がないと言うものですね。
本日は幸いにして不眠の原因が判明したLomphontanさんを祝福する意味で、世界中から生き物に絡んだちょっと思いがけない真実を伝えるニュースを紹介してみましょう。

セミ成虫の寿命1週間は俗説! 笠岡高植松さんが生物系三学会最優秀賞(2019年6月19日山陽新聞)

 「セミは地上に出てから1週間程度しか生きられない」というのは俗説で、実は1カ月くらい生きていることを、笠岡高サイエンス部の3年植松蒼さんが独自の野外調査で“証明”した。調査の手法と結果を、5月に広島大(東広島市)で開かれた「中四国地区生物系三学会合同大会」で報告。高校生の部(動物分野)で最優秀賞を受賞した。

 調査手法は、捕まえたセミの羽に油性ペンで番号をマーキングして放し、後日、再捕獲を試みるというもの。植松さんは2016年の7月中旬から9月中旬にかけて、笠岡市内の住宅地や雑木林など4カ所でほぼ毎日、この調査を繰り返し、アブラゼミ、ツクツクボウシ、クマゼミなど計863匹にマーキング。15匹を再捕獲し、4匹を再再捕獲した。
 植松さんは「なかなか再捕獲できず、調査の効率は非常に悪かった」と笑うが、調査の結果、アブラゼミ、ツクツクボウシ、クマゼミの3種で10日以上の生存を確認。最長生存確認記録はアブラゼミが32日間、ツクツクボウシが26日間、クマゼミが15日間だった。

 植松さんは小学1年生のころから虫に興味を持ち、セミの鳴く時間帯や、雄と雌の羽化の時期の違いなどについて調べてきたという。セミの成虫の寿命の調査は「そもそもセミの死骸を夏の間に見かけることが少ないのはなぜか」と“短命説”に疑問を持ったことがきっかけだったという。
 合同大会の報告で、日本動物学会の研究者らから高い評価を受け、植松さんは「疑問を解決するために、自ら考えて取り組んだ点が認められたのでは」と喜んでいた。現在、調査の精度を上げるため、セミの鳴き声の波形を専用ソフトで解析して、個体をそれぞれ把握する手法の確立を目指している。
 植松さんは昨年8月、クマバチに寄生する南方系の昆虫「ヒラズゲンセイ」を広島県内で初めて発見。生息域が西に拡大していることを証明している。

しかし長年の俗説に根拠がなかったと言うのも驚きですが、植松さんのガチの研究者ぶりにもびっくりですね。
文字で見るとちょっとサイズ感が判りにくいのですが、こちら驚くような生き物の存在を伝えるニュースです。

体高1メートル? 世界最大の超巨大オウム、化石発見 ニュージーランド(2019年8月7日AFP)

【8月7日 AFP】1900万年前の地球に生息していた超巨大オウムの化石が、ニュージーランドで発見されていたことが分かった。立つと人間の背丈の半分以上もあり、今まで発見されているオウムの仲間の中で最大だという。

 古生物学者の国際チームが英国王立協会(Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)最新号に発表した論文によると、見つかっている足の骨から推測されるこのオウムの大きさは、体高約1メートル、体重は最高7キロ程度。
 クライストチャーチ(Christchurch)にあるカンタベリー博物館(Canterbury Museum)のポール・スコフィールド(Paul Scofield)上級学芸員は7日、この巨鳥について「飛べたかもしれないけど、われわれは飛べなかった方にかけている」とAFPの取材に話した。

 2008年にニュージーランド南島(South Island)でこの鳥の骨が発見されたときには誰も何の骨か分からず、今年初めに研究チームが調べるまで11年も放置されていたという。
 スコフィールド氏は当初、「巨大なオウムの骨だなんて考えもしなかった」といい、「再調査するまではワシの一種かもしれないと考えていた」と話した。
 このオウムは、ギリシャ神話の英雄ヘラクレス(Heracles)のような体格と今回の発見の意外性から、「ヘラクレス・イネクスペクタトゥス(Heracles inexpectatus、予想外のヘラクレスの意)」と名付けられた。巨大なくちばしの力は非常に強くて何でも容易に砕き、通常のオウムのえさ以上のえさを食べることができ、他のオウムを食べてさえいたかもしれないという。
(略)

記事の想像図を見る限り普通のオウムとしか言い様がないのですが、これで1メートルもあるとかなり見た目にも怖い生き物だったでしょうね。
サイズの点で驚いたニュースに対して、こちらその寿命にびっくりと言うニュースです。

戦国時代生まれのサメ発見 グリーンランド(2019年08月17日スプートニク)

グリーンランドで研究者らが年齢512歳のサメを発見した。ということはこのサメは日本の戦国時代に誕生したことになる。英国のタブロイド紙The Sunが伝えた。
同紙によると、発見されたニシオンデンザメの推定誕生年は1505年。例えば英国ではヘンリー8世、ロシアではイワン雷帝の父であるワシーリィ3世、日本では足利義澄の時代だ。
研究者らは体長で年齢を断定したという。グリーンランドのサメは1年に1センチずつしか成長せず、数百年も生きる。発見されたサメの体長は5.4メートルだった。

​キム・プレベル(Kim Praebel)教授は、「これは現在地球上で生息する脊椎動物の中で最古の種で、大西洋にいくつかの集団を形成しています」と語る。研究者らは、この種の、これだけ長い寿命にどの遺伝子が関連しているのかを発見すべく、DNAを研究している。
ニシオンデンザメの主な食料は魚だ。この種の個体の胃から、鹿や馬の肉片が発見されたこともある。
ニシオンデンザメの平均寿命は272年。これはサメのうち、最も北に生息し、寒冷地を好む特徴がある。最も大きな個体は7.3メートルにもなり、体重は最大1.5トンになる。しかし平均体長は2.44から4.8メートルであり、体重も400kgを超えないのがほとんどだ。ニシオンデンザメの肉はアイスランドの国民的料理と考えられている。

このサメは脊椎動物では最も長生きなのだそうですが、しかしそれも普通に食べてしまうのですから人間も大変なものだと思います。
最後に取り上げますのはこちらのニュースですが、まずは記事から紹介してみましょう。

養蜂場を荒らしに来る巨大クマに市販のハチミツの試食をやってもらうとこうなる……という動画(2019年8月29日DNA)

ハチミツ採取を行う養蜂場にとって、クマというのは恐るべき天敵。あまりの被害に困ったとある業者さんが、半ばヤケクソ気味にハチミツ大好きなクマによるハチミツテイスティング動画を公開しました。

トルコ・トラブゾン県のとある養蜂場では、ハチミツを求めて夜な夜なクマが出没します。
困った養蜂業者のイブラヒム・セデフさんは、養蜂箱からクマの注意をそらすためエサでおびき寄せることはできないか、と考え、それではどのハチミツがベストな選択であるか試すことにしたようです。
コーンシロップから作られた普及品から最高級品まで、いろいろなハチミツでテスト。
するとクマは1kg約2万円にもなる超高級品、アンゼル蜂蜜にまっしぐら。
位置を入れ替えてもまっしぐらなので、クマにとってアンゼル蜂蜜はかなりのごちそうになるようです。

クマの好みを知ることにどれくらい意味があるのかはちょっと不明ですが……なおうっかり餌付けをしてしまうと、こういう恐ろしい生き物が人里近くまで頻繁にくることになってしまいますので注意が必要です。

ちなみにクマの嗅覚は犬の21倍と言い哺乳類で最強レベルなのだそうで、好みはともかくブランドの区別は十二分につくのだそうです。
同養蜂場では現在5頭のクマが常習的にやってくるのだそうで、うっかり夜道も出歩けないと言うところでしょうか。

今日のぐり:「草笛 小諸本店」

小諸城と言えば昨今漫画でも知られる仙石氏の居城として知られますが、その城門前に立地するのがこちらのお店です。
そば処信州でも400年も続く老舗蕎麦屋だそうで、こちらが発祥だと言うくるみそばなるメニューが名物なのだそうですね。

その名物のくるみそばですが基本的にはたらいに盛られたもりそばで、くるみペーストの入った器にそばつゆを注いでいただくようです。
この蕎麦つゆ自体はかなり甘口のものですが、くるみペーストを溶くとこってり感が増すと言う仕掛けで、素朴な田舎の味わいでしょうか。
たっぷり大盛りの蕎麦はなかなかいい蕎麦で、硬さ、舌触り、腰、喉越し、風味いずれも水準以上で普通に楽しめるものでした。
しかし食べていて同じ仙石氏につながりのある出石蕎麦も、やはりこってり感を増す工夫がしてあるのが思い出されて興味深かったですね。
ちなみに蕎麦湯は繁盛店だけに濃いめなのですが、この時ばかりはくるみの味は無くてもよかったかなと言う気がしました。

見た目は田舎の観光地の食べ物屋そのもので正直ぱっとしないのですが、蕎麦の味は侮れないものでわざわざ立ち寄る価値のあるお店ですね。
接遇面は田舎の繁盛店という感じで素朴ながら手慣れているもので、駐車場が広いだけでなく駅からも近い立地の良さも助かります。

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2019年9月19日 (木)

マッシー池田先生、司法関係者の医学教育に鋭意努力中

マッシー池田こと池田正行先生と言えば狂牛病騒動に絡んだゼロリスク症候群に警鐘を鳴らしたことで知られますが、最近はこんな仕事をされているのだなと思わせるのがこちらのニュースです。

検察官・裁判官に対する医学教育の実際(2019年9月10日日経メディカル)

 「ドクターGと仕事で御一緒できて光栄です」
 国敗訴の可能性が高いと考えられていたにも関わらず、私の意見書で形勢が逆転したある事案の最終局面、私が証言する期日(法廷での審理をこう呼ぶ。刑事裁判の公判に相当)の前日、東京法務局で行われた長時間の打ち合わせの休憩時間のことでした。飲み物を買うために寄った局内の地下売店で、担当の若手訟務検事から清々しい表情で声をかけてもらいました。
 その1年前、初めての打ち合わせの際、たまたま北陵クリニック事件に対する私の活動が担当チーム内で話題となり「あれは全部でっち上げですから」と言い放った私を見て、顔が歪んでいた彼から、そんなふうに声をかけてもらえるようになった時、教育が世の中を変える手応えを感じました。
 検察官だけはありません。裁判官も医療訴訟に関わります。にもかかわらず、裁判官にも医学教育を受ける機会が全くありません。このため、今日もどこかでトンデモ医療訴訟が行われています。私はそんな訴訟の品質向上を目指し、検察官と裁判官双方の医学教育を2015年1月から始めました。といっても新たに塾を開いたり生徒を募集したりしたわけではありません。矯正医療に対する国家賠償訴訟(国賠訴訟)という既存の行政訴訟を利用した、コストゼロのOn the Job Training(OJT:実地訓練)です。

 国賠訴訟における私の主な役割は、被告である国の代理人(刑事訴訟における弁護人に相当し国を弁護する)を務める法務局訟務部付検事(訟務検事)の要請に応じ、刑務所や拘置所での診療の妥当性について意見書を書くことです。訟務検事は若手の検事と判事補(裁判官に任官して10年未満)が交代で務めますから、若手の検察官と裁判官の両方を教育できます。さらに、書面や証言によって、私の考えをわかりやすく裁判所に伝えることは、担当裁判官の教育にもなります。
 国賠訴訟1件につき訟務検事は1人ですからマンツーマンの教育となります。書面のやり取りだけでなく、担当チームのメンバーも交えてテレビ会議での打合せも行います。判決までの何年もの間、人事異動で交代する場合もありますが、それでも私が直接やりとりできるのはせいぜい1件につき3人までです。「中身は濃いかも知れないが、果たしてそんなスピードで医療訴訟全体の品質向上が実現できるのか?」との心配は御無用です。
 私は神経学、総合診療、臨床研究、EBM、レギュラトリー・サイエンス等、様々な分野で教育に携わっていますが、その教育対象母集団は医師だけでも30万人を超えます。一方、裁判官は3000人足らず、検察官は2000人足らずです。単純に人数だけで考えても、教育の効率は医師の場合の60倍。私としても「自分の教育がトンデモ医療訴訟の撲滅に繋がる」と思うと教育にも自然と熱が入ります。この教育活動に対して、昨年3月には法務省矯正局高松矯正管区長から表彰状も戴きました。
 さらに彼らの競争意識が学習の動機付けを強化します。裁判官、検察官それぞれの集団における出世競争は、医師同士のそれとは比べものにならないぐらい激しい上に、裁判官と検察官の間にある緊張関係も互いに切磋琢磨するための原動力になります。

 2015年1月から19年5月までの間、敗訴の可能性が否定できないとして私に意見が求められた国賠訴訟10件のうち、医療過誤が明白だった1件(無駄に争わずに裁判の早期収拾を助言)を除く9件を表に示しました。 9件全てについて意見書を作成するとともに、テレビ会議も利用し、期日前の打ち合わせにも参加しました。2件では出廷し、そのうち1件では証言も行ないました。原告側から医師の意見書が提出されたのは5件でした(別表)。
 原告主張の具体的内容は、診断および治療開始の遅れがあったとするものが7件と多数を占めています。関連診療分野は多岐にわたり、特定の診療科への偏りはありませんでした。2019年7月現在、9件のうち4件が係属(まだ裁判が続いているという意味)、3件が請求棄却、1件が勝訴的和解、1件が請求額2000万円に対し800万円の支払いを認める判決でした。
 私への依頼があった時点では、9件いずれも敗訴の可能性が否定できなかったにもかかわらず、これまで判決が出た5件では、全て敗訴を免れています。形勢逆転の原因は、第一にそれまで訟務検事が気づいていなかった原告主張の重大な事実誤認を、意見書で私が明らかにしたこと、第二に、何回もの打ち合わせに参加し、弁論や尋問の内容についても積極的に意見を述べ、証人として出廷するのも厭わず、担当裁判官の疑問に対して常に分かりやすい説明を心がけた点にあると考えています。
 もちろん、私にとっても大いに学ぶところがありました。医療訴訟の実務に、それも第三者としてではなく、被告国の当事者として関わるなんて、矯正医官にならなければ決して経験できなかったことです。「教えることは学ぶこと」を正にそのまま地で行く国賠訴訟を9例も経験し、法務省からの表彰まで戴いたおかげで、定年後のキャリアパスも見えてきました。

ちなみに池田先生はもともと神経内科医ですが、今現在の役職は高松少年鑑別所の法務技官・矯正医官なのだそうで、ご自身の解説を見ても医師としては非常にユニークなキャリアをお持ちだと言えそうですね。
当然ながら神経内科的な訴訟ばかりと言うわけではなく、まさに関連診療分野は多岐にわたり、特定の診療科への偏りはない医療訴訟について意見書を作成されたと言うことで、いきおい専門外が多かったはずです。
国賠訴訟ですから原告は市民であると思いますが、国にとっての弁護人となるのが検事であると言う点で混乱しそうですが、要するに受けて立つ被告弁護人は決して医療の専門家でも何でもないと言うことです。
実際にどのような訴訟に対しどんな意見書を出したかは記事からは不明ながら、専門外の目で見ても原告側の主張に明らかな重大な事実誤認があったと言うことで、それを見抜けない検事の力量が問題です。

池田先生の関わる国賠訴訟はいわゆる医療訴訟とはまた違った難しさもあるのでしょうが、医療訴訟と同様に実際に訴訟を担当し判断するのは医療の素人であると言う点では少なからず共通点があると言えますね。
検事に限らず弁護士にしろ裁判官にしろ、医療訴訟を担当する機会が多ければ慣れてはいるのでしょうが、それはあくまで裁判のロジックとして慣れていると言うだけで、医療知識の点で特に詳しいわけではありません。
医療側の目線で見れば明らかにおかしい、いわゆるトンデモ判決が出る素地と言えますが、基本的には素人が集まって裁判をする以上、それに専門家視点で助言する医療側の役割がきわめて重要です。
無論明らかに原告のおっしゃることはごもっとも、被告は素直に賠償に応じるべきとしか言い様がないケースも少なくなく、こうした場合も含めて正しく妥当な専門的判断に基づいた判決が出されるべきだと言うことですね。

池田先生は司法関係者の医学的教育と言う点で努力されていますが、当然ながら司法関係者が判断するにあたって医師の意見が重要視されるわけですから、裁判に関わる医師の教育も非常に重要でしょう。
昨今は医療訴訟も弁護士レベルでかなりフィルタリングされているとも聞きますが、中には功名心にはやってか奇妙な論理で原告側を支援する医療側鑑定人もいて、トンデモ判決が出る主原因とも言われます。
現状で原告側は自分の主張を肯定してくれる医師さえ見つけられれば裁判に持ち込めるとも言え、明らかに専門外の先生や一般の医学的常識に反する主張をする先生ですら、専門家として法廷に意見することが出来ます。
大野病院事件でも検察側証人と被告弁護士とのコントのようなやりとりが話題になりましたが、他人の人生も左右する訴訟に関わる以上、鑑定人など医療側専門家にも何らかの資質の担保策が求められるように思います。

 

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2019年9月17日 (火)

医師偏在時代にあっての医師強制配置への布石

千葉県北部の匝瑳(そうさ)と言う地名は5世紀から伝わる古いものなのだそうですが、その千葉県匝瑳市でこんな記事が出ていました。

医師偏在地域に悲鳴 好条件は東京に集中 匝瑳市民病院「綱渡り状態」(2019年9月4日千葉日報)

 政府が掲げる「人生100年時代」を見据え、増加する医療ニーズへの対応が課題となっている。全国どこにいても安心して医療が受けられる体制整備が不可欠だが、地方で医師が足りない偏在問題は深刻だ。首都圏に位置する本県でも看護師などを含めた医療従事者が不足している地域があり、医療現場からは「このままでは体制を維持できない」との訴えも出ている。
 厚生労働省によると、全国の医師の総数は2016年末時点で約31万9千人と、増え続けている。ただ人口や診療需要を反映させ、数値が低いほど医師が不足している状況を示す「医師偏在指標」では、最も医師が充足している東京都と、最も不足している岩手県の間に2倍近い差があり格差が浮き彫りになった。

 東京から70キロ圏の距離にある県北東部の匝瑳市。複数の市区町村をまとめた「2次医療圏」の医師偏在指標を見ると、匝瑳市を含む「香取海匝」は全国平均を大きく下回り、医師不足が顕著だ。
 「都心の方が最新の設備も使えるなど条件がいいから、医師は東京に近い場所に集まってしまう」。国保匝瑳市民病院の菊地紀夫院長が嘆く。00年に24人いた常勤医は減り続け、今年は9人に。宿直や訪問診療を含む全ての業務を常勤医だけでこなすのは難しく、大学病院から応援をもらい乗り切っている「綱渡り状態」(菊地院長)だという。医師だけでなく看護師など他の医療従事者も足りておらず、救急車の受け入れ要請があっても夜間はほとんど断っている。

 厚労省は、医師が少ない地域での勤務経験を一部病院の管理者になる際の評価項目としたり、地元勤務を義務付ける大学医学部の地域枠を増員したりするなどの対策を打ち出している。ただ菊地院長は「即効性はない。へき地医療を一定期間義務付ける制度をつくるしかない」と訴える。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、65年には65歳以上の割合が38・4%に。超高齢化社会を迎えるのは確実で、自民党は7月の参院選の公約に「人生100年時代にふさわしい社会保障制度の構築」を掲げ「医師偏在対策」を盛り込んだ。
 「公約に入ったのはよかったが、選挙戦で偏在問題はほとんど議論にならなかった」と菊地院長。「急激な高齢化が進む地方では関心の高い話。病院がないと地域社会は成り立たない。地域医療の実態を知り改善につなげてほしい」と訴えている。

全国的に人口分布が大きく昔と変わっていく中で、昭和の時代から変わらず存在する各県の医学部定員が既得権益化し、医師分布の不均衡の一因とも言われていますね。
また東京などは医大が多く医師供給源が豊富なのも事実ですが、研究職や官僚として働く名目だけの医師も多いとも言われ、額面ほど医師過剰ではないとも聞きます。
特に周辺県からの患者搬入も多く、以前にも救急搬送困難事例が多発したことでも知られますが、その一因として千葉や埼玉など近隣医師不足県の存在があげられます。
人口が多いにも関わらず医学部が少なく医師供給が歴史的に不足しがちであると言いますが、特に千葉などは県域も広く以前から救急連鎖崩壊先進地とされてきました


今後都道府県単位で地域医療計画に基づいた医療供給体制の整備が進められれば、医療環境の差異が生まれ現状より自治体間の格差がさらに拡大する可能性もありますね。
これに対して医師配置をある程度強制的に行うべきだと言う考え方もあり、例えば医学部の地域枠であるとか、新専門医制度の定員設定などはその手段となりえるものです。
ただ地域枠にしても定員が埋まらないだとか、お礼奉公を拒否する人もいるだとか実効性に疑問符があるとも言われ、今後どのように運用されるかが問われるところですね。
そんな中で先日地域枠と新専門医制度の定員との関係が厚労省から示されましたが、地域枠を利用する学生にとっては相応に厳しいとも言える話に思えます。

地域枠、自治医大卒医師、専攻医シーリング外での採用可能に(2019年9月11日医療維新)

 厚生労働省は9月11日、医道審議会医師分科会医師専門研修部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)に対し、地域枠医師や自治医科大学出身の医師は、シーリング(専攻医の募集定員の上限)の枠外での採用を可能とするなど、2020年度開始の研修プログラムに関する日本専門医機構への意見・要請案を提案、修文等は部会長一任の上、了承された(資料は、厚労省のホームページ)。

 シーリングは、内科をはじめ、13の基本領域(診療科)で都道府県別に設定するのが骨子(外科など6診療科は対象外)で、今年5月の医師専門研修部会で了承された(『 2020年度専攻医シーリング、機構案通りに厚労省医道審で了承』を参照)。今回の措置は、都道府県から「特定の都道府県での勤務が義務づけられている専攻医に対する不利益が生じないような配慮が必要」との要望が挙がっていたことへの対応。5月時点でのシーリングが多少緩和されることになる。
(略)
 11日の会議では、「医師の地域的な適正分布のためのデータベース化事業」の方針も了承。厚労省の医師・歯科医師・薬剤師調査(三師調査)で用いる「医師届出票」のデータに加えて、専門医情報(専門領域や専門研修プログラム名など)を統合し、都道府県が医師確保対策に活用できるようなデータベース構築を目指す。今年度でも既に「医師届出票」に加えて、専門医情報の一部を連携させており、9月中に都道府県に提供する予定。さらに日本専門医機構に対し、専門医情報の登録の徹底などを求める。
 さらに地域枠など、卒業後に従事要件が課されている医師については、その情報を本人同意の下で取得し、非該当の都道府県の専門研修プログラムでは採用できないようにする。2020年度開始の専攻医募集には間に合わず、以降の対応になる見通し。2019年度研修開始の約8600人の専攻医中、地域枠制度利用者は736人で、うち29人(3.9%)は、奨学金を貸与した都道府県が離脱を認めていないケースだった。地域枠医師については、臨床研修でも離脱しないよう、厳しい対応を講じている(『東京医大の地域枠3人離脱、1人は自大学病院で採用』を参照)。

 聖路加国際病院副院長の山内英子氏は、「シーリングは、地域の必要医師数に基づいて計算している。地域枠医師等を枠外にするなら、必要医師数の計算に戻って、地域枠医師等を引いた数にする必要があるのではないか」と質問。
 厚労省医政局医事課長の佐々木健氏は、「必要医師数は、(医学部の)入学枠に関係なく計算している」と山内氏の考え方を認めた上で、地域枠医師等の従事要件の変更を強いることは容易ではないことから、各都道府県の地域医療対策協議会で、個々の医師について、シーリングの枠外にするか否かを検討する仕組みを要請すると説明した。2021年度開始の研修については、地域枠医師等の扱いも含めて、シーリングのかけ方自体を検討し直すことになるという。
 日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、「(シーリングの枠外とする話は)地域枠医師等が、シーリングのためにその役割を果たせない場合があることから出てきた。地域医療対策協議会でしっかり枠外とするかどうかを峻別するということなので、それでいい」と述べた。

 全国市長会会長で、相馬市長の立谷秀清氏は、地域枠医師等は、従事要件を果たすために、医師不足地域等も含め、さまざまな地域に行くことから、「研修カリキュラム制が前提なのでは」と質した。その上で、地域枠医師等の大半が研修プログラム制を選択している現状で、地域枠医師等をシーリングから外すことに疑義を呈した。
 厚労省医政局医事課は、「研修カリキュラム制が分かりやすい制度として整備されていない現状なので、地域枠医師等がどちらに向いているかを判断することはできないと思っている」と述べ、厚労省として研修カリキュラム制の整備を日本専門医機構に求めていると説明。
 佐々木課長も、「今回、地域枠医師等について、シーリングの枠外での採用を可能とするのは、全体の提案と関連している。研修カリキュラム制をしっかり導入してもらいたいという要望は、この医師専門研修部会、全国知事会から出ている」などと述べ、制度全体をパッケージとして捉えた中で、地域枠医師等が従事要件を満たしつつ専門医取得ができよう研修カリキュラム制の整備と、シーリングの枠外とするかどうかを検討していくことが求められるとした。
(略)
 医学部入学定員に占める地域枠は年々拡大。2017年度時点では、9420人中、1674人(17.8%)
 山内氏は、「専門医制度の採用プロセスにおいて、各専攻医の特定の地域への従事要件等の有無を確認」など、厚労省の提案を支持したものの、地域枠の仕組みは都道府県によってさまざまなことから、各医師がどの地域枠か、またどんな条件が付いているのかなどの情報の提示が必要であると指摘した。「専攻医の採用において、縛りを設けることは賛成。1674人がきちんと配置されれば、地域医療の助けになる」。日医常任理事の羽鳥裕氏も、山内氏の考えを支持した。
(略)

地域枠でのお礼奉公を望んでいない学生にしてみれば、専門医の定員を理由にお礼奉公を果たせないと言う言い訳の道を、今回厚労省から塞がれた格好です。
一般論として言えば地域枠とは入学時に契約を結んでいるわけで、それに反して卒業後勝手に他地域に移動して診療を行うことは望ましいことではないと言えます。
ただ現状で地域枠が埋まらない大学も多いせいか、希望していないにも関わらず半ば強制的に地域枠を利用させられたなどと言う話もあり、単純な話でもないようですね。
もちろん医師不足の地域に求められた制度なのも事実であり、大多数の学生も理解した上で利用していると思いますが、進歩的メディアなどから批判を受ける余地がある制度ではあります。

今回地域枠のお礼奉公対象地域以外では専門医研修をそもそも出来ないようにすると言うことで、地域枠への強制力としてはかなり強力な制度になりそうに思えます。
なおごく希な疾患を学びたい場合、地域枠で縛られると学べる場所がない可能性が指摘されていますが、お礼奉公を済ませてから勉強しなさいと言うことになりそうです。
ただ今回お礼奉公のノルマに関しては本人同意の下で情報を取得すると言う、今の時代らしく個人情報保護に配慮した格好になっているのがあるいは抜け道でしょうか。
いずれにせよこれから医療を目指す若い先生方は今まで以上に統制も厳しくなるはずで、大学に入る前からある程度明確な将来のビジョンを持つべきなのかも知れませんね。

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2019年9月14日 (土)

今日のぐり:「ぶたかば焼き専門店 かばくろ 総本店」

昨今世界的に話題になることも多いあの人々に関して、先日こんなニュースが出ていました。

事実なら衝撃! ヴィーガン生活でIQ低くなる? 妊婦は特に注意!(2019年9月11日UK TODAY)

■ 肉、魚、卵、乳製品などをやめ、植物性の食材だけを食べてヘルシーな生活を送る「ヴィーガン・ダイエット」。著名なセレブリティらが挑戦し、体重も落ちやすいことから女性の間でトレンドとなっている。本紙6ページでもヴィーガン食品が急増中とお知らせしたばかりだが、ヴィーガン生活では成長期の脳の発達に必要な栄養素が足りず、IQが低くなる危険性がある、という衝撃的な発表があった。「デイリー・メール」紙(電子版)が報じている。

栄養士のエマ・ダービシャー博士によると、完全菜食主義の食生活は、脳の発達に必要不可欠な栄養素「コリン」の大量欠乏を招くという。そのため、成長期の子どもや10代の若者はもちろん、妊娠時における胎児の脳の成長に必要な栄養分が不足する結果、生まれてくる赤ちゃんのIQが低下してしまう恐れがあるとされている。 コリンは肝臓でも生産されるものの、その産出量は十分でないため、とくにヴィーガン・ダイエットに取り組んでいる妊娠中や妊活中の女性は、サプリメントなどでコリンを摂取する必要があるという。 消費者調査会社「Kantar Worldpanel」が、過去2年間における英国人の肉の摂取量を調査したところ、21%も減少していたことが判明。また英国人家庭の10%が「ときどき」ベジタリアン、5%がベジタリアン、1%がヴィーガンであることも分かった。

ちなみに卵や乳製品も食べず絶対菜食主義者とも言われるヴィーガニズムなる思想ですが、もともとは20世紀半ばにブリで生まれたものなのだそうで、歴史と伝統がありますよね。
本日は全世界で多くの方々が思わず「知ってた」とつぶやいたとも言う衝撃の発表に哀悼の意を表して、世界中から昨今のヴィーガン事情を伝えるニュースを紹介してみましょう。

ロッテリアでヴィーガンが「動物の死体を食べるな!」と大暴れ(2019年9月7日ゴゴ通信)

動物愛好家やヴィーガン、活動家が韓国のロッテリアで抗議活動を行った。

8月31日、活動家やヴィーガンらは肉をロッテリアの店内に入り、ハンバーガーを食べている客に向かって「動物の死体を食べてはいけない」と抗議活動を行った。
活動家は「生きたかったが、殺されて、強姦され、暴力にさらされた動物の死体だ」と食事中の客の前で叫んだ。ロッテリアの従業員は「なんでこんなことをするんだ」と戸惑ったという。
しばらくすると活動家らは店から出て行き外で抗議活動を引き続き行ったという。

ロッテリア店内に入り抗議活動を行ったのは「DxE Seoul」という団体で、そのときの様子をYouTubeに「ファーストフード店の妨害デモ」という名前で動画を投稿している。

最近世界的にこの種の話題が絶えることがありませんが、ちなみにヴィーガン的にはミドリムシなどは食べてもいい扱いなのだそうで、なかなか奥が深いですね。
親がこのような思想に染まっていた場合しばしば子供は心身の危険にさらされるのだそうで、先日もこんなニュースが出ていました。

赤ちゃんに「ヴィーガン食」強いた夫婦に社会奉仕命令( 2019年08月22日BBC)

赤ちゃんに十分な食事を与えず、重度の栄養失調に陥らせたとして、豪裁判所は22日、30代のオーストラリア人夫婦に300時間の社会奉仕命令などを言い渡した。夫婦は、動物性食品を一切口にしない「ヴィーガン」で、赤ちゃんに同様の食生活を強いていた。
(略)
現在3歳の女児は、1歳7カ月当時、深刻な栄養失調の影響で生後3カ月のような見た目だった。
オーツ麦やじゃがいも、トースト、米が与えられていた女児は、昨年3月に保護された際、歯が生えていなかった。

昨年3月、女児が発作を起こし、母親が救急サービスに電話したことで事態が発覚した。
豪AP通信によると、発見当時、女児の唇は青く、手足は冷たかった。また、低血糖と筋緊張低下の症状が見られたという。

親から引き離された女児を迎え入れた里親は、女児は発達が「他の子供たちより遅れて」いたと述べた。
里親は、今年5月の被害者影響報告書の中で、「起き上がることも、言葉を話すことも、自分で食事を取ることも、おもちゃで遊ぶこともできなかった。(中略)寝返りすら打てなかった」と証言した。

ハジェット裁判官によると、夫婦は極端に若いわけでもなく、教養がないわけでもないのに、「当初、自分たちの娘の体調が悪いのは、栄養失調によるものということを受け入れられずにいた」。うつ病を患っていた母親は、ヴィーガン生活など自分の信念に「ますます固執」していったという。
夫婦は昨年5月に初出廷した際、十分な食事を与えず、女児に重傷を負わせたと、起訴事実を認めていた。

日本でも親の思想信条による子供の輸血拒否事例などが問題になってきた歴史がありますが、今後はこうしたトラブルも続々起こってくるものなのでしょうか。
前述のようにヴィーガンは乳製品も卵も拒否するそうですが、その卵に関連してこんなニュースが出ていました。

「卵を食べることは喫煙より健康に悪い」ビーガンの衝撃主張で波紋! “卵は健康に悪い、良い問題”沸騰で導き出された結論は!?(2019年8月17日トカナ)

 喫煙が、健康にとって最もリスクとなる行為の一つであることは間違いない。英国政府は、2030年までに英国での喫煙を根絶するという野心的な目標を設定している。
 しかし、あるビーガン(純粋な菜食主義者で卵や牛乳も食べない)ブロガーによると、喫煙よりも健康に有害なものがある。そしてそれは、私たちの大多数が口にしているものだ。ブロガー女性によると「卵を食べることは喫煙より健康に悪い」という。

 そのブロガーは最近、こうつぶやいた。
「卵1個=5本のタバコに相当。卵黄には、コレステロールがいっぱい! 中型の卵には推奨摂取量の62%である186mgのコレステロールが含まれている。卵を食べることは、喫煙よりも健康に悪い!」
 この主張に対して、多くの人から疑いの声と質問が返ってきた。

 そこで、卵に関する真実について、専門家の意見を聞こう。ブリティッシュハート財団の上級栄養士であるビクトリア・テイラー氏は、ウェブサイト「LadBIBLE」に次のように語った。
「過去には、卵の黄身には、コレステロールが含まれているため、食べる卵の数を週に3~4個に制限すべきだと考えられていました。しかし、卵とコレステロールに関する知識には、初期の研究によって導き出された誤った結論があります。それは、食事として摂られたコレステロールによって、血中コレステロール値が上昇するという単なる推論に過ぎないのです」
 実際、1日5~10個の卵を5日間連続で食べた人の血液中のコレステロールを食べる前と比べると、ほぼ変わらなかったという実験結果もあるという。
 そして現在の研究では、卵由来のコレステロールは、バターや脂肪の多い肉に含まれている有害な飽和脂肪酸と比較して、総コレステロールと有害なLDLコレステロールの血中レベルに及ぼす影響は、はるかに小さいことがわかっているという。

 そして実際のところ、卵には有害な飽和脂肪が少ない。
 最近の研究では、1日1個までの適度な卵の消費は、健康な人の心臓病のリスクを増加させるどころか、健康的な食事の一部になり得ることが示されている。
(略)

思わず胸をなで下ろした人も多かろうと言うニュースですが、過度の菜食主義と同様過度の卵摂取も決して褒められたものではないのでしょうね。
最後に取り上げますのはこちら、優柔不断な人間は誓いを立てても容易に誘惑に屈してしまうものですが、こちらのヴィーガン氏は単に挫折するだけでは終わらなかったそうです。

ヴィーガン女性 バーベキューする隣人を訴える(2019年9月6日テックインサイト)

ヴィーガンやベジタリアンの中には、肉や魚を調理するニオイにも耐えられないという人がいるようだ。このほどオーストラリアで、ヴィーガンの女性が隣家の裏庭から漂うバーベキューのニオイに耐えられず、裁判所に訴えた。『New York Post』『9NEWS.com』『The Irish Post』などが伝えている。

西オーストラリア州ギラウィーンに住むマッサージ療法師として働くシラ・カーデンさん(Cilla Carden)は、ヴィーガニズム(完全菜食主義)である。肉や魚を口にしない彼女にとって、隣家が時々裏庭で行うバーベキューのニオイが頭痛の種だったようだ。
(略)
その他にもシラさんは、子供がバスケットボールをしている時の騒々しい音やタバコ臭、夜間にパティオの明かりが煌々とついたままになっていることにも我慢がならなかったようだ。シラさんは隣人が故意に嫌がらせをしていると主張し、「本当に気が滅入るし心穏やかでいることができず、夜も眠ることができません」と話している。
耐えきれなくなったシラさんは今年1月に隣人を州行政審判所へ訴えたが、証拠不十分だとして却下されたため州の最高裁判所へ上訴、しかし7月に却下されている。理由は次の通りだった。
「隣家に対して、彼らの裏庭やパティオで子供達をオモチャなどで遊ばせないようにしてほしいという訴えは、道理的に考えても迷惑でしかないでしょう。彼らはそこで生活しているのです。家族で生活するうえで当たり前の行為だと言えます。」
一方の隣家では、シラさんの訴えの後にバーベキューセットを片付け、子供達には裏庭でバスケットボールをさせないようにしたとのことだ。またシラさんの報復を恐れて、パティオの明かりも数か月間はつけないようにしているという。

そしてここ数日、シラさんと隣家のトラブルをメディアが大きく報じたことで、Facebookにて「Community BBQ for Cilla Carden」というイベントへの参加が呼びかけられ、現在3000人以上が参加を表明する現象が起きている。このイベントは来月19日にシラさんの隣家の前庭で、みんなでバーベキューを行うというものだ。
これに対しシラさんの弁護人は、場合によってこのイベント参加者全員が刑事責任を問われる可能性があると示唆している。なお弁護人によるとシラさんは肉を食べる人に対して異論はなく、バーベキューをすること自体は尊重しているそうだ。
しかしシラさんは、隣人が自分に対して故意に迷惑行為を行っていると信じ切っているようで、現在は更なる証拠書類などをそろえて再び訴訟手続きを行う予定とのことだ。

何にしろお隣さんとは仲良く出来ればそれに越したことはありませんが、菜食主義云々抜きにしてもありがちな隣人トラブルではありますね。
記事にもあるように昨今ヴィーガン騒動のカウンターとも言うべきイベントも多いようですが、世間に迷惑をかけずにすむようほどほどでやっていただきたいものです。

今日のぐり:「ぶたかば焼き専門店 かばくろ 総本店」

一頃岡山県下で話題になっていたB級グルメとして知られるのが「ぶたかば」ですが、豚肉を使って見た目もうなぎの蒲焼きっぽく仕立てたものです。
元は和食店のまかない料理から出来たそうで、以前は別の場所で営業されていたものが、今はこちら古民家風のなかなか風情あるお店に移転されているようですね。

ベーシックなひつまぶた(ひつまぶしに相当)のぶたかば2枚のせを頼んで見ましたが、ここは並とか上とかにしておいた方が気分が乗りますかね。
食べ方がひつまぶし同様ですが、このタレの味が濃すぎず頃合いでなかなかうまいもので、いろいろそろえてある薬味はネギが好みでしょうか。
以前食べた時と比べて肉が柔らかくなった印象があって、その分シメの出汁茶漬けにはマッチングがいいかなと感じました。
ちなみに付け合わせの味噌汁は以前は肝吸い風のすまし汁だった気がするのですが、味噌汁の方が味的には豚肉に合うのも確かですね。

繁盛店で回転が遅いのは仕方ないにせよ、待合スペースが暑いのには閉口で、店内も全体に冷房は弱めなのは雰囲気重視の府の側面でしょうか。
トイレなども設備は一通りあるもののキャパ不足かつ暑いのは困ったものですが、店構えにこだわるなら制服も一工夫してもいいかも知れませんね。

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2019年9月11日 (水)

厚労省が公的病院の再編統合へ発破

医師の働き方改革とも大いに関連する話題として医師の業務自体を減らす必要性が言われていますが、そのための手段の一つとして兼ねて言われてきたのが医師の集約化、医療リソースの再編です。
広く浅く医師を分散配置するよりも集中した方が効率的であり、多人数による交代制やチーム医療により休養もとりやすいのは当然の理屈ですが、先日から厚労省がこんなことを言い出したそうです。

再編促す病院名公表へ 厚労省、9月末にも(2019年9月9日共同通信)

 厚生労働省は6日、全国の公立病院や日赤など公的病院のうち、診療実績などから再編・統合を促す必要があると判断した病院を公表することを決めた。早ければ9月末に具体名を示す。同日開かれた同省の検討会で了承された。不要な病床削減に向けた議論を加速させ、将来の医療費を抑制するのが狙いだが、病院が少ない地域などで住民の反発も予想される。

 厚労省が病院ごとの手術や放射線治療の実績、救急車の受け入れ件数などを分析。他の病院との距離も考慮した上で公表する。一方、この日の検討会で「地域の病院がなくなる」といった誤ったメッセージを住民に送りかねないとして、厚労省は「再編・統合」には病院の縮小や病床機能の転換、集約も含まれると説明した。

 政府は、団塊の世代が全員75歳以上となり医療や介護のニーズが大幅に増える2025年を見据え、効率的な医療提供体制を定めた「地域医療構想」の実現を目指す。構想では、複数の自治体単位の「構想区域」(全国339カ所)ごとに関係者が集まって病床数の削減などの議論しているが、地域住民や首長の反対もあり進んでいない

公立・公的病院「再編統合」の再検証、要請方針を了承(2019年9月6日医療維新)

 厚生労働省は9月6日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・九州大学名誉教授)の第23回会議で、地域医療構想の実現に向け、(A)がんをはじめ、9領域の全てで「診療実績が特に少ない」、(B)がんなど6領域で、診療実績が「類似かつ近接」――という2類型に該当する公立・公的医療機関等に対して、具体的対応方針の再検証を要請する方針を説明、了承を得た。該当する医療機関は、「再編統合」の必要性を検討することが求められる。ただし、全国で25ある人口100万人以上の構想区域については、類似の状況にある医療機関が多数に及ぶことから、(B)については今回は再検証を要請しない(資料は、厚労省のホームページ)。
 前回までの議論では、「役割の代替可能性がある」、「再編統合の必要性について特に議論する必要がある」――という2類型で検討されていた(『公立・公的病院の「代替可能性」「再編統合」、検証手順おおむね了承』を参照)。(A)と(B)は後者に該当する。前者、つまり、9領域の一部について「診療実績が特に少ない」もしくは「類似かつ近接」に該当する公立・公的医療機関等に対しては、具体的対応方針の「再検証の要請」ではなく、「自主的な見直し」を求める。

 厚労省は今後、構想区域別に、2類型に該当する公立・公的医療機関等の名称入りのデータを公表する予定。このデータは、当初は2019年央にも公表する予定だった。日本医師会副会長の中川俊男氏は、「公表の時期はいつ頃か」と会議の最後に質問。厚労省医政局地域医療計画課長の鈴木健彦氏は、今日の議論を基に医療機関ごとにデータの分析を行うとし、「しかるべき時期を見て公表させていただきたい。いつかは今の段階ではお答えすることは難しい」と述べるにとどまった。
(略)

 公立・公的医療機関等は、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定、2025年の地域医療構想の実現に向けた具体的対応方針について、2018年度末までに各調整会議で合意を得ることになっていた。ただし、現状と2025年の比較でトータルの病床数が横ばいであるなど、「現状維持」のケースが少なくないなど、地域医療構想の実現に沿ったものであるかが疑問視されている。
 そこで浮上したのが、具体的対応方針の再検証だ。9領域(計17の分析項目)の診療実績を基に、(A)診療実績が特に少ない、(B)他に類似した実績を持つ医療機関が近くにある――場合に、「再編統合」の必要性について検討を求める。ここで言う「再編統合」は、病院を統合するという意味に限らない。ダウンサイジング、機能の分化・連携、集約化、機能転換・連携なども含まれる。
(略)
 厚労省の方針に対して、構成員は基本的に了承したが、幾つか細かい指摘が出た。
(略)

 前述のように具体的対応方針の再検証で検討する「再編統合」は、ダウンサイジング、機能の分化・連携などを含む幅広い意味。中川氏は、「患者が少なく、そろそろ撤退すべきと思われているにもかかわらず、首長が『病院が古いためであり、医師も集まれば、患者が増えるだろう』などと考え、(再編して)大病院を新築するケースが少なからずある。こうした事態にいい手立てはないか」と質問。
 厚労省医政局地域医療計画課は、「一部の公立・公的医療機関等が、地域のその他の医療機関との連携のあり方を考慮することなく医療機関同士を統合することにより、その他の医療機関の医療提供のあり方に不適切な影響を与えることがないよう、将来の医療提供体制について、関係者を含めた十分な協議を行うことが重要である」と資料に記載していることを説明。
 総務省自治財政局準公営企業室室長の大塚大輔氏は、各自治体の首長は選挙で選ばれ、議会で意思決定をすることから、「民主的なプロセスで政策決定がなされているので、それは尊重しなければいけない」と述べる一方、調整会議も法律に基づく仕組みであり、「新公立病院改革ガイドライン」でも、調整会議の議論は踏まえると記載していると説明。「どちらを優先するかは難しいところだが、データが示されれば、調整会議の議論は活性化するだろう。いろいろな地域の事情、住民ニーズを踏まえながら、調整会議で将来像を描いてもらいたいと考えている」。
(略)

この医療リソース集約化に関してはいわば厚労省の積年の宿願とも言えるものですが、注目すべきなのは今回の議論で挙げられているのはかねて抵抗の根強い医師の再編ではなく病院の再編であると言う点です。
すでに10年前の時点で厚労省担当者から 「建て替えにたくさんのお金を使うのは好ましくない」とのコメントが出ており、まさに自治体首長が大病院を新築することに釘を刺す考えを持っていたことが判ります。
そもそも近い将来地域医療構想に基づいて病院の再編、統合を推進する予定である以上、縮小、統合される側となる可能性が高い中小公的病院を勝手に新築されても無駄にしかならないと言うことでしょう。
この点で日医からも首長トップダウンによる自治体病院の新築は問題視されていると言うのも興味深い話ですが、今回の話を見ていて判るのが病院再編が既定の路線であることには表だった反対はなかったことですね。

いずれにせよ医療の存続を規定するのは他ならぬマンパワーであることに理解が広がってきた現状で、ハコモノだけを整えて中身が伴わないのでは意味がなく、税金や公的資金の無駄遣いとして批判されるべきでしょう。
今後厚労省により統廃合すべき病院が公表された場合地元政治家や住民がどう受け止めるのかですが、普段行政の無駄を批判するスタンスが目立つマスコミなどもこうした無駄にどこまで突っ込むのかも注目です。
他方で再編統合を進めるに当たっては住民の利便性はスルーされているのも注目ですが、自動車での移動時間を元に地域性を加味するとは言うものの、いわゆる田舎にとって不利な話だとは予想出来ます。
全国統一の公定価格で医療提供を行う以上給付水準に差をつけるべきではなく、病院の再編統合で地域医療格差があまりにも大きくなるのは如何なものかと言う声も根強く、田舎にどうメリットを与えられるかです。

この点では大きな病院ほど都市部に位置することが多く、診療実績からも田舎の小病院を都会の大病院に統合することが合理的とも言えますが、逆に都会の大病院を田舎に移転するやり方も考えられると思います。
人口集中地域から一見遠くなったとしても、渋滞などがない分都市住民にとっても利便性はさほど低下しない上に、土地代などは安上がりにすむ分初期投資も少ないなど病院経営上もメリットがあるでしょう。
都会では近隣住民のコンビニ受診や夜間時間外の救急受け入れで疲弊する可能性も高く、飛び込み患者の少ない田舎で専門的診療に専念出来るのであれば、医師の勤務環境も良くなるかもしれませんね。
実際に厚労省のリストが公表されれば改めて議論になるでしょうが、すでに病院があると言うことは地域の既得権益化している以上、再編の主体となる自治体には地域医療の明確な将来像提示が求めらるでしょう。

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2019年9月 9日 (月)

医師と検診、受ける側の立場と行う側の立場

先日週刊誌でこういう記事が掲載されていたそうです。

医師200人が回答、受けたくない検査は一体何なのか?(2019年9月3日週間ポスト)

 人間ドックなどで、さまざまな検査を受けている人が増えている。上皇后美智子さまが「定期検診」で胸に腫瘍が見つかったことからも明らかな通り、現代人が健康を維持するのに検査は欠かせないものとなっている。
 その一方で、専門家すら受けることに首をかしげる検査もある
 本紙・女性セブンは、医師200人を対象に、医師自身が「受けたい」「受けたくない」検診・検査は何なのかを徹底取材した。幅広い診療科の医師が匿名を条件に答えたアンケートを読み解くと、検診・検査における私たちがとるべき“最適解”が見えてくる──。

 調査の結果、「受けたい」検査1位は血液検査となった。2位以下のラインアップを見ると、「受けたい」「受けたくない」の両方にランクインしているものがいくつか存在する。特に「大腸内視鏡」をはじめとした内視鏡検査の名前が目に入ってくる。
 医療に詳しいジャーナリストの村上和巳さんは、こんな推察をする。
「内視鏡検査は、熟練の専門医が行えば短時間のうちにスムーズに終わり、苦痛もほとんどありません。しかし、医師の腕によっては苦しんだり、時間がかかってしまったりすることもある。“ピンキリ”だということを医師たちが知っているからこその結果だと思います」
 とはいえ内視鏡検査は、がんなどの病変があれば医師が直接見て発見できるうえ、小さいものならばその場で切除することもできる。毎年でなくとも受けておくべきだ。
「大腸内視鏡は40代後半になったら一度は受けてほしい。専門医が腸内を見ると、ポリープができやすいかどうかなど、その人の腸がどんな傾向を持っているか、ある程度わかります。ポリープができにくい人であれば、検査は2~3年に1度でいいといわれる場合もある。大腸がんは日本人の死亡原因の上位でもあるから、積極的に受けてほしい」(村上さん)

 一方で、「受けたくない」部門の1位にその名が挙がった腫瘍マーカーと胃バリウム検査には「あてにならない」「大変なわりに効果がない」といった辛辣な意見が多く見受けられた。
 村上さんも「バリウム検査は受けたくない」と声をそろえる。
「バリウムをのんだり、検査後に下剤で出すのは時間もかかるし、大変です。さらに、撮影した画像から病変がないかチェックする『読影』という作業は医師の腕に左右され、見落としの可能性があります。内視鏡も現在は医師の目による確認ですが、人工知能(AI)で解析する試みが行われており、近い将来に実用化される見込みです」
 つまり、今後さらにバリウムと胃内視鏡の精度の差は開いていくことが予想される。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんは被ばくリスクの有害性を指摘する。
「比較的被ばく量が少ない検査である胸部レントゲン検査すら、欧米の研究によれば『肺がん患者を減らすどころか1割増やしている』との報告があります。バリウム検査の被ばく量はなんとその100倍以上ともいわれており、メリットより害の方が大きくなると考えられます」
 胃がん検診を受ける際は、バリウムより胃内視鏡検査を選択した方がよさそうだ。
(略)

ちなみに検診と健診と言う言葉はやや違いが分かりにくいですが、検診は癌検診など特定の病気を見つけるのが目的であり、後者は健康診断の略で生活習慣病など全般的な健康状態の把握が目的です。
ただ設問を見て思うのですが受けたい、受けたくないと言う言葉の解釈が曖昧で、しんどいから受けたくないのと意味がないから受けたくないのでは全く意味が違ってくるはずですが、実際の文言はどうだったのかです。
コメントで見れば受けるべきか、受けるべきではない(受けても仕方がない)で回答をされているように思いますが、やはり患者の身としてはしんどい検査はたとえ有益であっても受けたくないのも本音でしょうからね。
また乳癌検診のマンモグラフィなども有益性からは受けるべき検査の部類だと思いますが、見ず知らずの男性に撮影されるのは嫌だと言う女性心理も当然あって、女性の検査技師が歓迎される所以です。

記事を見ていますと消化管検診の話題が大きく扱われていますが、内視鏡など有益であっても大変だとかしんどいと言った事情がある場合、医師の方がより積極的に検査を受けるものかも知れません。
一度内視鏡で見てみればある程度癌のなりやすさ、リスクが判ってきますから、癌年齢になれば一度は受けて損はない検査だと思いますが、ただ記事にあるようにバリウムを廃して内視鏡に切り替えるべきかどうかです。
検査技師が短時間に大量にこなせ、場合によっては検診車でも行えるバリウム検査と、医師が一人一人行う内視鏡検査では、行う医療機関の側からすると手間や大変さなどの負担感にずいぶんと差があります。
現時点では胃癌のリスクが高い人に内視鏡を行うABC検診などが行われていますが、将来的にはカプセル内視鏡とAIの組み合わせなどで、より簡単で高精度な消化管検診が可能になるかも知れませんね。


以前には胸部レントゲン検診は有害無益だと言う主張がありましたが、肺癌検診としてはさほど有用では無いとしても、結核や慢性呼吸器疾患などに対する健診の意味ではそれなりに有益ではないかと思います。
要は何を目的にするかで全く価値が変わってくるのが検査と言うもので、その意味では医師の判断の元で適切な検査を受けるのが最善であり、素人判断であれやこれやと受けても有害無益になりかねません。
この点で特に最近問題視されているのが人間ドック等で有料オプション扱いされている腫瘍マーカーなるもので、多くの医師から低評価だったのは当然ですが、ドック等では未だに一定の人気があるようですね。
将来的に少量の検体で早期の癌を発見出来る時代が来ればともかくですが、現時点ではいたずらに患者の不安を煽ったり、無駄な精密検査で医療機関のリソースや医療費を浪費する嫌われ者と言えそうです。

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2019年9月 7日 (土)

今日のぐり:「軽井沢 川上庵」

先日大きな同情を集めていたのがこちらのニュースです。

待ちわびた修学旅行、バスは来ず 旅行会社ミスで延期 苫小牧(2019年8月30日北海道新聞)

 【苫小牧】苫小牧市立若草小6年生の修学旅行が29日、発注先の旅行会社、名鉄観光サービス(名古屋)苫小牧支店のバスの手配ミスで出発できず、中止となった。同支店は同校に謝罪した。同校は9月に修学旅行を延期し、再び同支店を通じて手配する。

 修学旅行は児童55人がバス2台に分乗して29日から1泊2日で函館に向かう旅程だった。29日朝の出発時間になってもバスが来ないため、同校が同支店に連絡して手配漏れが発覚した。同支店がバスの再手配を試みたが、早い時間帯に確保できなかった。児童は学校で約1時間半待たされた上に中止を告げられ、「ショックを受けた様子だった」(市教委)という。

 同社北海道営業本部(札幌)によると、本来はバス会社から見積書を受け取った後に正式な契約手続きが必要となるが、担当者が見積書の受け取りで申し込みが完了したと勘違いし、手配漏れになった。
 同本部は「子供たちが楽しみにしていた修学旅行を台無しにしてしまい、大変申し訳ない」と話した。(工藤雄高)

それはせっかくの修学旅行も台無しですが、次回こそはきちんとバスの手配が行われることを願うしかありません。
本日は若草小の児童達を励ます意味で、世界中からああ無情…と思わず嘆息したくなるような残念なニュースの数々を紹介してみましょう。

悲報...「努力は才能に勝る」は嘘だった(2019年8月28日ニューズウィーク日本版)

「努力は才能に勝る」という言い習わしがある。これを信じて毎日、懸命に努力している人には悲しいお知らせだ。米オハイオ州にあるケース・ウェスタン・リザーブ大学の心理学者がこのほど行った調査で、「一流になるにはただ長時間練習すればいいわけではない」との結論が導き出された。結果は、英国王立協会のオンライン科学誌ロイヤル・ソサエティ・オープン・サイエンスに掲載されている。

この調査を行ったのは、ケース・ウェスタン・リザーブ大学のブルック・マクナマラ准教授とメガ・マイトラ氏だ。1993年に米フロリダ州立大学の心理学者エリクソン氏らが発表した、バイオリニストの実力と練習時間の長さの関係を紐解いた研究を元にした。
1993年のエリクソン氏らの調査では、一流のバイオリニストは20歳までに平均で1万時間の練習を積み重ねていたことが分かった。エリクソン氏らはここから、何かに秀でるのに必要なのは、生まれ持った才能ではなく「1万時間の意図的な練習」だと結論付けた。
(略)
そこでマクナマラ准教授らは、意図的な練習を1万時間行えば本当に一流になれるのか?を検証するべく、1993年の調査を再現することにした。同准教授らは、バイオリン奏者を集めて実力別に「非常に良い」「良い」「まあまあ」の3グループにそれぞれ13人ずつ分けた。その後、各奏者に対し、これまでの音楽歴や実績、練習時間について聞き取り調査をした。さらに、1週間の練習日記を付けてもらった。
「まあまあ」のバイオリン奏者は20歳までに平均6000時間の練習を積み重ねていたが、「非常に良い」と「良い」のグループは共に、平均で1万1000時間の練習を重ねていたことが分かった。練習に費やした時間が実力の違いに占めた割合は、4分の1程度だったという。

マクナマラ准教授は英ガーディアン紙に対し、一流のレベルにまで達してしまえば、みんなかなりの練習を積み重ねて来ているため、実力の違いに練習が占める割合はそこまで大きくはならないと説明する。そのため、そこから抜きん出てスーパーエリートになるには、練習以外の要因がポイントになるとしている。何がその要因になるかは、例えばチェスなら知能やワーキングメモリ、スポーツならいかに効率よく酸素を使えるか、などと分野によって異なるという。
(略)
なおガーディアンによると、1993年当時の調査を行ったエリクソン氏と、同論文の共著者だったベルギーにあるルーベン・カトリック大学の心理学者、ラルフ・クランぺ氏は共に、マクナマラ准教授らの調査で導き出されたものは、自分たちのものとほぼ変わらないと反発している。クランペ氏はガーディアンに対し、練習がすべてだとか、長時間の練習だけでうまくなれるなどとは自分も考えていないと話し、練習の質、教師と親のサポート、すべてが大切だと説明。「それでも、意図的な練習が最も重要な要素だと私は考えている」と加えた。

誰しも幼小児からバッティングセンターに通えばイチローになれるとは思っていないでしょうが、単に長時間努力をすることが目的化してはいけないのだと教訓的に捉えるべき結果でしょうか。
日本でもいじめの問題は極めて深刻ですが、こちらも大変に悲しむべきニュースと言えそうです。

53年前のいじめ加害者を同窓会で殺害した69歳の男「気持ちはわかる」「誰も救われない」の声(2019年08月30日リアルライブ)

(略)
 8月24日、タイ・アントン県で53年前に同じ高校に通っていた男女が飲食店に集まり同窓会が開催されていた。元クラスメート達は、食事をしながら会話を楽しんでいたが、突然、一人の男が激怒して声を荒げたという。16歳の頃に自分をいじめていた、同じく69歳の男性に謝罪を求めたそうだ。しかし、男性は「(いじめた)記憶はない」と謝罪を拒否。この対応に激高した加害者の男は、所持していた拳銃で被害者の男性を撃ち、そのまま逃走したとのことだ。被害者の男性は病院に搬送されたが死亡が確認されたという。
 なお、タイ在住の日本人ジャーナリストによると、タイでは合法的に拳銃を購入できるそうだ。ただし購入するにはさまざまな書類提出や審査があり、全てのタイ人が購入できるわけではないとのことだ。

 同記事によると、同窓会の幹事を務めていた別の男性は「過去にも加害者は被害者からいじめられていたことに対して愚痴を漏らしていました。彼はいじめを決して忘れていませんでした。しかし、まさか殺害するとは思っていませんでした」と警察に証言したそうだ。
 タイ警察は、復讐を果たした加害者の男は現在も逃走中だと発表した。

 このニュースが世界に広がると、ネット上では「いじめっ子を殺害したことをかばうつもりはないが、正直いじめられっ子だった自分は加害者の気持ちがわかる」「誰も救われない悲しいニュース」「いじめたほうはふざけてるつもりで忘れていても、いじめられたほうは一生忘れないものだ」「加害者の男を責められない、いじめは自尊心や人生を台無しにすることを彼は証明した」「被害者が謝罪していたら、こんな結果にはならなかったかも」「被害者のご冥福をお祈りします」などの声が寄せられていた。
(略)

元いじめっ子に全く同情する気持ちは湧かないのですが、それでもいじめられた上に人殺しにならざるを得なかった心情いかばかりかですね。
同じくタイからこちらも近年流行しているものですが、こんなリスクがあるとは誰も考えていなかっただろうと言うニュースです。

足裏マッサージで妊婦が意識不明に 流産し半年後に死亡(2019年7月27日テックインサイト)

妊娠中の治療や薬の服用などはできるだけ避けたほうが良いと言われているが、タイでは妊娠中の女性が足裏マッサージを受けている最中に意識不明に陥り、流産する出来事があった。しかも半年後にこの女性は息を引き取ってしまい、妊婦がマッサージを受けることの危険性が浮き彫りになった。『The Sun』『Mirror』などが伝えている。

ダンサーでモデルのアルバイトをしていたウィラワン・ケドケスリさん(Wirawan Kedkesri、25)は今年の1月11日、タイのチェンマイにある足裏マッサージ店を訪れた。ウィラワンさんは妊娠中だったが、特にマッサージ師から注意を促されることもなく、そのまま足裏マッサージを受けたようだ。
ところがマッサージが始まって間もなくウィラワンさんは突然、意識不明に陥ってしまった。スタッフはすぐに救急車を呼び、心肺蘇生を施したという。しかしウィラワンさんは病院へ搬送されるなかで脳卒中と心停止を起こし、お腹の子を流産した。
ウィラワンさんは肺の血管が突然詰まる肺塞栓症、および脳の血管が狭窄したり閉塞し脳細胞に血液が充分に行き渡らなくなる虚血性脳卒中を起こしており、後に脳死と診断されたが人工的に昏睡状態に置かれ、生命維持装置をつけて命を長らえている状態になってしまった。

彼女には5歳の息子がいるが、病院のベッドに横たわるウィラワンさんを心配そうに覗き込む息子の姿が切ない。それから家族は6か月間ウィラワンさんの回復を信じてきたが、彼女の叔父であるチャイワット・カームヤさん(Chaiwat Khamya)は「ウィラワンは回復の兆しが見られないため、このまま目覚めることはないだろう」と話していた。
そして今月19日、家族や親戚の判断で生命維持装置が外されることとなり、ウィラワンさんは静かに息を引き取った。
チャイワットさんは、記者団に対して「生命維持装置を外すことは非常に難しい決断でした。しかしウィラワンは今、平和を感じていることでしょう」と語っている。
(略)

まさかこんなことになるとは誰も思わなかったでしょうが、ご家族の心情を思うとやりきれないニュースですね。
最後に取り上げるのはご存知ブリからの話題ですが、まずは何とも…と言うニュースを紹介してみましょう。

ロンドンの下水にスタジアム長の巨大コンクリ塊。どっかのアホが流して固まる(2019年4月24日ギズモード)

よい子:トイレには水に溶けるものだけ流す
悪い子:トイレにコンクリート1トン分を流して、19世紀ヴィクトリア朝時代の下水道を固める

そんな冗談のように悪い子がロンドン市イズリントン地区にいたようです。市水道管理会社「Thames Water(テムズ・ウォーター)」が、下水道にカチンコチンに固まった全長275m、重量シロナガスクジラ級(105トン)のコンクリート塊の除去に追われています。
ロンドンの下水は日本の大政奉還よりまだ古く、世界最古レベル。「ファットバーグ(氷山の廃油版)」でしょっちゅう詰まって地獄な日々なことは世界的に有名ですが、ありとあらゆる塊を見てきた同社もこれだけ巨大なコンクリート塊は見たことがないと声明で言っていますよ。
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コンクリートで固まった下水は3カ所あり、除去にかかる費用はざっと見積もって数十万ポンド(約3000万円以上)。道路は最大2カ月通行止めとなり、その間ずっと削岩機と高圧ホースの騒音が続くことになります。個人でこれだけのコンクリートを混ぜたとは考えにくいため、おそらくは建設会社が「産業用レベルの大量コンクリ」を流したものと当局は見ています。いやぁ…。
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その何とも言いがたい状況は元記事の画像を参照いただきたいのですが、しかし一日二日でこんな状況にはならないでしょうね。
下水管理の人々もまさかこんなことが起こるとは想像もしていなかったでしょうが、地域の住民は嘆息するしかなかったことでしょう。

 今日のぐり:「軽井沢 川上庵」

軽井沢と言えばおしゃれなお店も多いことで知られていますが、こちら都内に本店を持つ蕎麦屋の支店だそうで、内外装ともに蕎麦屋とも思えないほど垢抜けています。
蕎麦だけではなく一品料理やアルコール類も豊富で夜にでも楽しめそうなお店ですが、さすがに昼食時は蕎麦をたぐる人が多いようです。

まずはベーシックなせいろを試して見ましたが、中細のなかなかしっかりした見た目の蕎麦はしゃっきりと言うよりどっしりでしょうか、やや硬めですがなかなかの出来です。
新蕎麦の季節でもないのにこの蕎麦の香りがいいのもありがたいものですが、蕎麦つゆも辛口濃いめで相性もよく、蕎麦湯で希釈するとしっかりした出汁の味がよく分かります。
それ以上にこれはなかなかと感じたのがおろしそばですが、おろし蕎麦と言えば大根の辛味が売りになることが多いですが、こちら辛口の汁にやや甘さを感じるおろしが何ともいい具合です。
失礼ながら観光地に良くあるようなお店ではないかと勝手に思い込んでいたのですが、蕎麦もちゃんとしたもので感心させられました。

場所柄接遇面は全く手慣れたものですし、設備なども整っていて座席のスペースもゆとりがあるのはありがたいですが、席数に比べますとトイレは少しキャパ不足を感じるでしょうか。
またこれはお店の問題と言うより地域性の問題ですが、駐車場が近隣に少ないので車で来た場合には少し大変そうですが、徒歩で近隣をのんびり散策するのが正しいのでしょうね。

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2019年9月 5日 (木)

医師の働き方改革、働かせる側に求められるものは

このところ医師の働き方改革に関する議論もずいぶんと進んできていますが、その中でも多くの医師に関係しそうなのが宿日直の基準が変更された点ではないでしょうか。

宿日直許可基準が変更! 業務はどこまで可能?(2019年8月13日日経メディカル)

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 3月末に厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」は、2024年度から導入する医師の時間外労働規制の枠組みを決定した。それから約4カ月の間、厚労省はスムーズな制度導入のため、具体的な仕組みの詰めなどを進めてきた(図1)。
 以下では、病院経営に影響を及ぼす(1)新しい宿日直許可基準、(2)医師の研さんの扱い、(3)応召義務の解釈、(4)「医師の働き方」後継検討会の発足、(5)大学病院医師の副業・兼業――の五つのトピックスのうち、70年ぶりに変更された(1)宿日直許可基準の最新動向を紹介しよう。

従来より緩和、診療科別などでも「許可が可能」と明示

 病院経営に最も大きな影響があるトピックは、70年ぶりに改められた宿日直許可基準だろう。7月1日に基発0701第8号「医師、看護師等の宿日直許可基準について」の通知(表1)が発出され、従来の基準(1949年に通知発出)よりも大幅に緩和された。
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 従来の基準では、宿日直中に行ってもよい「特殊の措置を必要としない軽度、短時間の業務」は、「病室の定時巡回、少数の要注意患者の定時検脈、検温」などとされていた。それが新しい基準では、「少数の要注意患者の状態変動に対応するための問診による診察等(軽度の処置を含む)」などとされ、少々の診療なら認められるようになった(表1)。全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、「以前は少しでも業務があれば宿日直許可が下りなかったが、新しい基準はかなり緩和された」と評価する。

 さらに新しい通知では、診療科や職種、時間帯などを分けて宿日直の許可を受けることが可能だと明記された。日本病院会副会長の岡留健一郎氏も新しい通知を評価し、「今後は、どの診療科が何曜日に忙しいか、深夜に業務がどのくらい発生しているかなど、医師それぞれの労働実態を細かく把握した上で、自院に適した体制を構築することが大切だ」と指摘する。
 例えば、病院内でも救急外来担当医と病棟当直医に分けて、夜間・休日の業務量が多い救急外来担当医は通常の勤務とし、病棟当直医の夜間・休日の当直については宿日直の許可を受けるといった方法がある(図2)。
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一見すると働き方改革に逆行して医師により多くの当直労働を押しつけるかのようにも見える話なのですが、そもそも宿日直とはほとんど実際の労働を要さず、電話番程度で終わるような業務のみ認められていました。
もちろんよほどの寝当直ででもなければこうしたことはあり得ないのですが、実質的には夜間時間外診療をしているにも関わらず表向きそうではないと強弁し、宿日直として許可を得ていた歴史的経緯があります。
今回の働き方改革ではこうした医師の実労働を正しく把握した上で、当直と称しても実態として夜勤状態なのであれば夜勤として扱えと言うことで、当然ながらその分は労働時間としてカウントされることになります。
医師個人の総労働時間規制との関連もさることながら、医師を働かせている側への影響も非常に大きそうな変更点ではあるのですが、このところの議論の中でもこうした働かせる側への影響が懸念されています。

「無理に改善すれば診療体制縮小」医師の働き方改革(2019年9月3日医療維新)

 厚生労働省は9月2日、「医師の働き方改革の推進に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所長)の第2回会議で連続勤務時間制限や勤務間インターバル、面接指導などの「追加的健康確保措置の枠組み」と、「医師労働時間短縮計画および評価機能について」の案を提示した。医療従事者側の構成員からは「無理に改善させることは可能だが、診療体制が小さくなることは確実だ」などと難色を示す意見が相次いだ
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 日本医師会常任理事の城守国斗氏は「管理者も一生懸命されると思うが、地域の医療需要に対応するために頑張らざるを得ない状況が続けば、未実施が続いて改善命令ということになろうかと思う。そうなると、管理者としては診療体制を縮小する流れが想定される」と指摘。千葉大学医学部附属病院病院長の山本修一氏も「内部のマネジメントを必死に真面目にやってもだめならば、それは地域の医療提供体制上やむを得ない部分がある」と述べた。
 これに対し、日本労働組合総連合会総合労働局長の村上陽子氏は「医療機関側の構成員から懸念が出ているが、なぜ医師の働き方改革が必要かと言えば、働き過ぎで倒れてしまう医師をなくしていこうということで、それが医療の安全につながる。その観点は大事にしていくべきだ」と釘を刺した。
 厚労省医政局総務課保健医療技術調整官の堀岡伸彦氏は「院内のマネジメントが全くいい加減ということであれば罰則もあるかもしれないが、罰則で特例取消となって結局困るのは住民なので、基本的にはないと思っている。都道府県の支援と改善命令で、地域医療を守りながら支えていくことを考えていくしかない」と述べた。城守氏はさらに、公的病院については「母体となる全国組織があるところも多い。全国的な会議で検討すればいいのではないか」と提案した。
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いやまあ、医師が多忙過ぎると言うのですから医師の担当する業務の範囲が劇的に減らせるとか、医師数が近い将来激増すると言ったことでもない限り、まさに診療体制を縮小するしかないとは当然の結論だと思っていたのですが。
むろん世の中にはもっと働きたい、もっと沢山の業務をこなしたいと考えている医師もいないではないのでしょうが、ここで出ている診療体制の縮小云々の話、言ってみれば困るのはほぼ経営者側の話ではありますね。
現在の診療報酬体系にあっては現場スタッフに過剰労働をさせなければ黒字にならず、経営が成り立たないと言う側面ももちろんあるのでしょうが、一連の議論とは経営者ではなく労働者のためのものであるはずです。
その議論の主体となる医療側参加者の論点が経営者目線のみに偏っているのであれば、働き方改革が正しい道筋に進むとも思えませんが、この辺りは現場医師の代弁者が不在と言う医療業界長年の課題とも言えますね。

現場医師に及ぶ悪影響を考えると、今まで夜間休日でも院内で誰かが居残っていて他科コンサルトが出来ていたものが、労働時間短縮の結果コンサルトする相手がいなくなると言った影響は考えられるかも知れません。
また現実的に労働時間の上限を超えた医師はどうなるのかですが、例えば外科で緊急手術をしたいが麻酔科が労働時間オーバーで働けないと言った事態があるのかどうかですが、施設毎の判断が別れそうです。
ただそうした時間外や緊急の事態が必要なのであれば、その分を見越して普段の勤務時間の短縮を図っておくべきことであって、こうした点にこそ経営者としての決断と実行力が問われることになるかと思いますね。

 

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2019年9月 2日 (月)

医療業界は未だに「安全第一」ではなかった?

開業医の立場で診療を行っている谷口恭先生が、先日こんな記事を掲載していました。

「患者のため」をやめようではないか(2019年8月30日日経メディカル)

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 前回、過重労働から自らの命を絶った産婦人科医の部長について取り上げた。医師不足は明らかなのに医師増員に反対する医師が多い。これは医師が収入減を恐れているからなのではないか、さらに既得権にしがみつこうとしていないか、ということを指摘し、我々の収入を減らしてでも勤務時間を少なくし仲間の過労を防ぐべきだという私見を述べた。そして今回言いたいのが、「患者のため」という考え方を見直すことで過重労働を改善できないかということだ。
(略)
 他の業界もみてみよう。谷口医院には研究職に従事している患者も多数いるが、数年前から彼(女)らは残業や休日出勤が禁止されているのはもちろん、忘れ物をして会社に取りに帰ってもビルに入れてもらえないという。
 産業医学の観点からみると、平成の時代によく取り上げられたのが「過重労働」「パワハラ」「新型うつ」などだが、産業医学全般でみると被害者が多いのは歴史的には建設業や運送業、工場などである。そして、こういった業界では昭和の時代から「安全第一」が謳われている。重要なので繰り返そう。そういった業界では顧客ではなく(従業員の)安全が第一なのである。そうなるまでに多くの命が失われているのは事実だが、こういった不幸な事故を教訓に「安全第一」が生まれたのである。
 翻って我々医療業界をみてみよう。「患者第一」という言葉が入っている病院や診療所の「理念」を見かけることがあるが、この言葉を水戸黄門の印籠のように無言で従業員に強いていないだろうか。我々は「患者のため」「患者第一」という言葉がはらむ危険性を認識すべきだと思う。
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 ところで、現在検討されている「医師の労働」について、2019年3月、厚労省は見解を発表した。それによれば、「診療ガイドラインや新しい治療法等の勉強」「学会・院内勉強会等への参加や準備、専門医の取得・更新等」「当直シフト外で時間外に待機し、診療や見学を行うこと」を上司の指示なく行えば、業務上必須でない行為とみなされ、労働時間に該当しないそうである。話題になる「1860時間」という数字は、こういった“勉強”になる時間も入れれば仕方がないか、という声もあったが、厚労省の見解はこういった時間を抜いての1860時間と言っているのである……。
 「患者のために残る気はないのか」「患者のためにもっと勉強しろ」「患者のために外来や手術にもっと入れ」などと言われて「帰ります」と言える若い医師はそういないだろう。ならば組織としては、思い切って「患者のため」という言葉自体を禁句(NGワード)にするのはどうだろう。
 我々一人ひとりは、まずは自分のパートナーや家族に「患者のため」と言わないように努めようではないか。

もう二昔も前の2000年前後の頃、急増する医療訴訟が医療を崩壊させると騒がれた時代があって、根拠に基づく医療(EBM)をもじって司法判断に基づく医療(JBM)などと言う言葉が使われた時代がありました。
その後あまりにも目に余るひどい労働環境を黙って受け入れるべきではなく、むしろ医療安全のためにも休養の重要性が再認識され、医療スタッフの生活の質(QOML)が改めて問い直されたりもしたものです。
新臨床研修制度の下で育った若手医師は自分で労働環境も含め職場を選択することを当然と考える時代で、今現在奴隷的労働環境に甘んじているのはその上の中堅と呼ばれる世代が中心ではないでしょうか。
谷口先生も言うように医療も何より安全が第一だとするなら、労働環境改善は何を置いても最優先のテーマと言えますが、そのための方法論を考えるとどうしても避けて通れない議論があるようです。

改革には「医療縮小」か「勤務医増」しかない(2019年8月6日日経メディカル)

 日本の病院の32%が、厚生労働省が進める「医師の働き方改革」では医師の労働環境は改善しないと回答。その理由で最も多かったのは「勤務医不足が解消されないから」だった。日本病院会の調査で明らかになったもので、千里リハビリテーション病院(大阪府)院長の塩谷泰一氏が日本病院学会(8月1~2日、札幌市)で報告した。塩谷氏は、働き方改革を実現するためには「医療の縮小(量の縮減)」か「勤務医の増員」しかなく、これが実行できない病院には「再編・統廃合の道しか残されていない」との見方を示した。
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 労働時間・労働賃金に関する質問では、以下の点が明らかになった。宿日直については、「宿直は週1回、日直は月1回を限度」とする労働基準局長通達を遵守できている病院は63%だった。しかし、遵守できていない病院も38%と多かった(回答392病院)。また、労働基準監督署から宿日直許可を受けている病院は49%と半数に達せず、受けていない病院が26%も存在した(回答405病院)。「不明」も21%だった。
 宿日直の業務内容については、32%の病院が「勤務中に救急医療などの通常労働が頻繁に行われている」と回答(回答398病院)。「行われていない」は32%に過ぎなかった。「行われている」と回答した病院の88%は、この状態を「不適切と認識」しており、80%は許可の取り消しになることも認識していた。
 また、宿日直業務に対する賃金の支払いは、13%が「宿日直手当のみ」、62%が「宿日直手当+実労働時間賃金あるいは定額の割増賃金」であり、「全て時間外勤務として割増賃金」は12%に過ぎなかった(回答304病院)。
 時間外勤務が月80時間、年960時間を超える医師については、45%が「いる」と回答(回答377病院)。その内訳をみると、500床以上の病院が76病院と大病院ほど多かった。なお、こうした長時間労働の医師に対しては、院長あるいは所属長による面談を「行っている」は58%で、「行っていない」の42%と拮抗していた。

 労働基準法遵守の項目では、労働基準局から是正勧告を受けたことがある病院は、調査対象の50%と急増した(回答399病院)。前回調査(2015年)では25%、前々回調査(2013年)でも32%だった。
 是正勧告の対象となった労働基準法違反は、労働時間(32条)違反が47%、割増賃金(37条)違反が40%、時間外労働(36条)違反が25%などだった(回答200病院)。
 調査では、45%の病院が「日本の医療は労働基準法違反を前提として成り立っていると思う」と回答した(回答392病院)。「思わない」が21%、「分からない」が34%だった。

 医師の働き方改革に関連した質問では、63%が医師の時間外勤務削減に向け、医師の働き方を見直していた(回答395病院)。その内容は、「医師事務作業補助員の増員」(65.2%)、「チーム医療の推進」(44.0%)、「宿直明け勤務の制限」(38.0%)などが上位だった(回答250病院、複数回答)。一方で、「連続勤務時間の上限設定」(5.2%)、「勤務時間インターバルの導入」」(3.6%)、「宿直回数の上限設定」(2.8%)、「救急受け入れの制限」(1.6%)などは、少数だった。
 厚労省が緊急的に取り組むべきとした「医師の労働時間短縮に向けた取り組み」について、実施できた項目も尋ねている。その結果は、「タスク・シフティング」が53%と半数を超えていたが、それ以外は「36協定の自己点検」(46%)、「女性医師等に対する支援」(41%)、「医師の労働時間管理の適正化に向けた取り組み」(36%)、「医師の労働時間短縮に向けた取り組み」(24%)、「既存の産業保健の仕組みの活用」(13%)と低率だった。
 また、厚労省が検討している医師の働き方改革の進展で、「労働環境が改善する」と考えている病院は50%にとどまり、「改善しない」が32%だった(回答395病院)。「改善しない」の理由には、「勤務医不足が解消されないから」が81%に上り、「労働基準法を遵守すれば必要な診療体制を維持できない」(66%)、「医療の特殊性が存在するから」(61%)などと続いた(回答128病院)。
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ちなみに労基署からの是正勧告が急増していると言う点に関しては、労働環境が悪化していると言うよりも労基署が医療現場への介入を躊躇しなくなった影響が大きいかと思いますが、いずれにせよ厳しい現状です。
このうち大規模な基幹病院ほど多忙であることは現場の実感とも合致する話で、当然ながらそうした職場に医療リソースを統合、集約することで業務負担を軽減することが対策として考えられるかと思います。
しかし現実には医師不足地域へ基幹病院から医師を派遣させようなどと言う話もあるくらいで、さてこの場合医師不足とは何を指して言うことなのか、言葉の定義も考え直す必要があるのではないかと言う気がします。

今回こうした労働環境是正の方法論として最も多かったのが事務作業補助員の増員であったことも興味深いのですが、医師が医師でなくとも出来る業務に忙殺されないよう、サポートを手厚くすることは重要ですね。
経営的に見ても最も労働単価の高い医師よりも他職種にタスクシフティングを増やすことで、結果的に経営の改善が図られる可能性もありますが、短期的には導入コストや人材不足などが課題になりそうです。
こうした諸点からやはり供給側の改善だけでは無理があり、最終的には医療需要の削減が必要になるのではないかと言う考え方も根強くありますが、さてその方法論をどうするかと言う点で意見が分かれるところでしょう。
診療報酬の設定上多くの患者を診ることで収入が増え、多数の患者を診療しなければ赤字になってしまうことが諸悪の根源とも言えますが、この点に関しては診療報酬体系の抜本的改革が不可欠になりますね。

 

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