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2019年8月 5日 (月)

医師自身はやはり延命的治療は希望せず

以前から時々見かける類のアンケートですが、やはり今回もそうなったかと思わせる結果が出ていました。

内科医の8割、延命治療望まず 日本臨床内科医会アンケート(2019年8月1日時事メディカル)

 先の参院選では、安楽死制度を認めようと訴える政党が初めて候補者を立てた。議席は得られなかったが、人生の最後をどう迎えるかについて関心が高まっていることの表れの一つだろう。医師自身はどうなのか。日本臨床内科医会が所属会員を対象に行ったアンケート調査によると、約8割が延命治療を望んでいないことが分かった。

 ◇9割近くが「最後」考える

 医師は自身の最後の医療についてどう考えるのか。
 その回答は興味深い。「考えている」40%、「少し考えている」46%、「考えていない」14%―。程度の差はあっても、「考えている」が9割近くに達した。日々、患者と向き合い、切実な状況も経験しているだけに、自らの最後の医療に関しても意識が高いとみられる。
 では、最後の医療をどのようにするかを家族に話しているのだろうか。
 「よく話している」が15%、「少しは話している」は46%で、「話している」医師は約6割となっている。これに対し、「話していない」は39%だった。 

 ◇緩和医療や点滴治療望む

 内科医は自身の最後の医療をどのようにしたいのか。
 最も多かったのは「何も治療を受けない、緩和医療を受けたい」で、59%を占めた。次いで「延命治療は希望しないが、点滴治療を受けたい」22%となっている。約8割が延命治療を望んでいなかった
 一方、「人工呼吸器はつけないが、高カロリー輸液や胃瘻(いろう)などの延命治療を受けたい」は3%で、「人工呼吸器や胃瘻など最大限の延命治療を受けたい」は1%にすぎなかった。
 最後の医療について患者と話し合うことはあるのか。
 「よくある」15%と「ある」45%を合わせて60%に上った。60%という数字は高いと言える。
 ただ、「あまりない」36%、「ない」4%で合計40%を占めている。今後、この割合がどう変わっていくかが注目される点だ。

 ◇ACPに賛否両論

 日本臨床内科医会では、終末期医療における患者本人の自己決定を支援する「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」を進めている。ポイントは患者が延命治療を望まない場合は、それを医師が支援することだ。意志決定の主体はあくまでも患者自身であり、結果として本人が望まない延命治療が少なくなることで医療費の削減につながるといわれている。
 自由回答でACPについて聞いたところ、賛否両論が並んだ。賛成派では次のような意見が目立った。
 「人生の最後に慌てないために、有用かつ重要だ」
 「とても重要で、大事なことだと考えている。さらに一般の人々への周知が必要だ」
 「プロセスが大切で、何度も確認し、話題にすることを心掛けている
 「普及した方がよい」
 ACPの重要性を認めた上で、「本人と同時に家族の意志も確認する必要がある」とする意見や、「幾つかの選択肢を提示した上で、自分で方向性を決定するのが大事だ」「本人の希望と家族の思いがマッチしていないと空回りする」とする声もあった。

 ◇大きいかかりつけ医の負担

 否定的な意見や慎重論も紹介しよう。
 「患者の考えがころころ変わるので、非常に難しい」
 「病院勤務医とかかりつけ医との考えの違いが生じやすく、連携をどうするかが難しい課題だ」
 「現状の病状と予後について十分に説明した上での自己決定だ。支援する側のかかりつけ医としての負担も大きい」
 「ケアマネージャーの役割になるのではないかと考えられるが、ケアマネージャーの仕事そのものがハードで、そこまでの役割を果たすことが可能か悩ましい」
 「必要ではあるが、実際には難しい」
 日本臨床内科医会としては、今後、こうした声にどう応えていくかが課題だろう。(鈴木豊)

思い起こせば20世紀の終わり頃にはスパゲッティシンドロームなどと言う言葉もあったほどで、誰しもそれはさすがにやり過ぎではないかと思いながらも終末期の延命的対応を止めるに止められなかった時代もありました。
それが2011年末に厚労省が終末期高齢者に対しては経管栄養を導入しないこともあっていいと言い出した頃から、あっと言う間に関連学会から相次いで終末期医療のガイドラインが公表されるに至ったものです。
つい先日も老衰で亡くなる方の数が脳血管疾患を越え、がん、心疾患に次ぐ死因の第3位となったことが報じられていましたが、老衰死を認めるにあたっては家族や医師の意識変化も大きな影響を与えているのでしょう。
終末期医療には金がかかるとはかねて言われているところで、医療費切迫の折にそれを削減すると言う目的も国としてあったことは否めませんが、現実的に現場においても歓迎されるべき変化だとは言えるでしょうね。

なお医療費の大きな部分を占める高齢者の医療費削減に関しては、先日ちょうど厚労省から「高齢者の医薬品適正使用の指針・各論編」なる通知も出たところで、過剰な投薬の抑制を求めています。
すでに先年出された「同・総論編」も含めて過剰投薬の見直しを重ねて訴える内容ですが、以前から続けられてきた治療が現在の年齢や状態にあって継続が妥当なのかどうかの見直しが必要と言うことでしょう。
この点で高齢者に予防的投薬がどの程度まで必要なのか以前から議論があるところですが、各種ガイドラインでは予想される余命や患者のADLまで考慮した内容となっておらず、判断に迷うところです。
寝たきり高齢者に今さら脳梗塞予防薬もなかろうと思っても、仮に脳梗塞が再発した場合ガイドライン通りの予防措置を講じていなければトラブルを招きかねずで、担当医としても簡単には休薬しにくいでしょうね。

いずれにせよ全ての終末期患者に同じ対応をするべきではないのは当然で、終末期における延命治療の実態を知っている医師でなくとも、一般の患者家族にも無意味な延命は望まない人は少なくないでしょう。
逆に本人や家族の総意としてとにかく一日でも長生きしたいと言った希望があるのであれば、それに応えるのも医療の役目であり、少なくとも現時点での保険診療ではそうした希望を許容していると言えます。
その点で終末期の患者を看取ることの多い内科医ですら、家族や患者と終末期をどうするかを話していない場合が多いことは問題で、当事者の意志を共有しないまま無駄な医療費を投じている可能性もありますね。
将来的に本当に医療財政が逼迫した場合、終末期医療のコストをどこまで保険がカバーしてくれるかと言う疑問もありますが、その頃までには国民の感覚も今とはずいぶんと違ってきているのかも知れませんね。

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