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2019年7月 3日 (水)

彼らは給与を辞退しているのだと思っていたそうです

今さらながら話題に上ることが増えている無給医問題について、各地でその実態が明らかになりつつありますが、先日もこんな記事が出ていました。

休み月3日うつ状態に 道内「無給医」実態証言 「文句言えばつぶされる」(2019年7月1日北海道新聞)

 労働実態がありながら適正な給与が払われない「無給医」が、道内にも多くいることが文部科学省の調査で初めて明らかになった。道内大学病院の現場では、若手医師の医療行為を「自己研さん」などと扱い、労働とみなさない過酷な環境や慣習があり、無給や安い給与でアルバイトに追われる医師も多い。疲弊する医師からは「やっと問題が取り上げられた」との声も聞こえる。専門家は「(無給医は)長年の慣習の結果だが、今回の調査を機に改善するべきだ」と指摘している。

 「『無給医』は医療界の常識で、誰も声も上げてこなかった」。道北の公立病院で勤務する50代の男性医師は漏らした。「今回判明したのも、氷山の一角だ」
 医師免許取得後、旭川医大大学院に進学。同大病院で1年ほど無給で働いた。研究医の肩書だが、他の医師と同様に午前8時から午後8時ごろまで診察し、当直もこなした。だが「ただ働き」。生活のため、休日にほかの病院で時間外診療のアルバイトをして稼いだ。休みは月3日ほど。激務の末、うつ状態になった。
 今回の調査結果を受け、国は適切な労務管理をするよう大学病院に通知した。だが、男性医師は「バイトせざるを得ない無給医が地方の病院に出張することで、地域の医療体制を支えている面もある」と打ち明ける。

今さら北海道でも大勢いたも何もないもので、むしろ無給医が存在しない施設の方が報道価値があると思いますが、専門資格を持つプロフェッショナルがタダで働いてくれるのですから雇う側の旨味は多いですよね。
しかし田舎病院を支えるために無給医が必要とはさすがに飛躍した論理だと思いますが、人間精神的に追い詰められるとこういう考え方で自分自身の中での合理化を図ろうとしてしまうものなのでしょう。
いずれにしても自ら進んで無給で働かせてくれと言う人間は限りなく例外的だろうし、特に若手の立場の弱い先生方に有形無形の圧力をかけて無給の立場に追い込んでいるだろうとは容易に想像出来るところです。
厚労相も無給医は労働法違反であると断言し雇用者側の責任を問うていますが、そんな中で今さらそれはどうよ?と思わされる弁解をしている施設があると話題になっていました。

医師25人 診療無給で 「受け取り辞退と認識」 群大病院(2019年7月1日上毛新聞)

 労働として診療を行っているのに給与が支払われない「無給医」が、群馬大医学部附属病院(前橋市)に25人いたことが、文部科学省が28日に発表した調査で明らかになった。同病院は取材に対し、「給与の受け取りを辞退しているものと認識していた」と説明。今後は適切に支払う方針という。

 同病院によると、不支給だった25人は非常勤講師で、自己研さんや自己研究を目的に診療に当たっていた。多い人で週1回程度、外来診療を担当していた。同病院は「調査結果を踏まえ医師の適切な雇用や労務管理などに取り組みたい」としている。

しかし国立大学なら給料支払い一つとっても書類などきちんとしなければならないでしょうに、こんな思い込みで運営していていいのかと他人事ながら心配になりますが、他にも勘違いしている事例は多いのでしょうね。
大学で非常勤講師と言うくらいですから市中病院に出れば相応に稼げる身分なのでしょうし、中には実際給料不要と申し出た人もいるのかもですが、それも完全な自由意志で選択した結果であるのかです。
何らかの圧力や慣習などによって辞退を余儀なくされているのであれば問題ですし、そもそも今後の分だけではなく過去に遡って給与を支払うべきだと思いますが、さてこの場合誰が支払うのかですね。

公的施設などは予算に従って運営されているはずで、講座毎に決められた予算でやりくりするとなれば本来勝手に人材を増やせないはずですが、そうは言っても人手が必要な局面は少なくないでしょう。
その場合応援のスタッフには給与はいらないからと言う名目が立てば組織としては助かるだろうとは思いますが、少なくとも若い先生方の場合は半ば強制的に動員されたり、断りたくても断れない場合もあるでしょう。
今後専門医制度が変わって特定の中核的医療機関でしか専門医が取得出来ないとなれば、こうした事例がますます増える可能性もあるだけに、今のうちにそれを許さない制度や運用を調える必要があります。
しかし昨今どこの業界でも炎上騒動には事欠きませんが、医療と言えば患者への説明など言葉の使い方にも慎重であるできでしょうに、わざわざ燃料を投下するようなことを言わずとも…とも思うのですがね。

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コメント

「給与の受け取りを辞退しているものと認識していた」

是非マスコミの方には、このように認識していたのが大学の誰なのかを取材していただきたいですねえ。

投稿: クマ | 2019年7月 3日 (水) 13時46分

事務長あたりが言っていたとすれば院内で大騒ぎになっていてもよさそうには思う台詞です。

投稿: 管理人nobu | 2019年7月 4日 (木) 19時42分

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