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2019年6月24日 (月)

働きにくい職場の原因はやはり○○だった

医師の働き方改革を巡っては今後5年間で多くの市中病院で「月100時間未満・年960時間以下」の基準達成が求められることになり、2035年には全ての病院でこの水準が適用される予定です。
全国救急医療機関への調査では5-7割の施設が今後5年間でこの基準を達成出来る見込みと答えたものの、3割程度の施設では部分的にしか達成出来ない見込みだそうで、さて5年後にはどうなるのかです。
おそらく喫緊の課題となっているのがワークシェア、業務分担と言うことだと思うのですが、興味深いのは働き方改革達成が求められているのは医療以外の全職場での話であり、他業界でも四苦八苦している点です。

特に社畜的感覚の薄い若い世代の業務分担が問題で、下手に仕事を押しつければ辞められるだけでなく労基署に告発ともなりかねませんから、その上の中堅世代の負担が増すことが予想されているそうですね。
この辺りは新臨床研修制度開始に伴い研修医がお客サマ扱いされることが増え、結果としてその上のレジデント、平医員クラスの負担が増加した医療業界の過去の事例ともかぶっているようで興味深い話です。
逆に言えば働き方改革を巡る諸議論は医療業界内部の特殊事情と考えるべきではなく、他業界の事例も参考にすべき点が多々ありそうですが、先日産業医の立場からこんな記事が出ていました。

◆「うつ病」社員が頻発する会社の共通点は?産業医から見た実態(2019年6月6日ダイヤモンドオンライン)

(略)
 数年前の電通の若い社員の自殺事件や4月からの働き方改革で、労働(残業)時間や違法残業という言葉に、社会的な注目が集まっています。
 しかし私はそれよりも、この疲労を生み出している労働環境こそ、就職転職の際にぜひ注目していただきたい点だと思っています。
 私は、働き方とは、やりがいと裁量権(コントロール度)に左右されるものと考えます。
 この2つの要素の大きさ重さにより、具体的な労働時間や勤務方法による疲労度は個々人でだいぶ変わってきます。

 1つめの要素である「やりがい」とは、個々の社員が仕事における自己成長を感じることができているか、職場からの評価を感じているか、そして時にはどうして自分がその職場で働いているのか、その意味意義を認識しているかということです。
 私の見る限り、新人や転職して間もない人たちは、新しい仕事における自分の成長を実感できている間は、同じ時間働いても、つぶれるほど疲労がたまることはあまりありません。ベテランになって自分で成長を実感できずとも、周囲からの評価でそれを感じることができる限り大丈夫な人もそれなりにいます。
 逆説的ですが、とてもがんばったのに評価されないことで、ガクッとへこんで不調に陥るパターンは、どなたも見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
(略)
 2つめの要素である「裁量権」とは、職場において自分が持つコントロールの度合いのことです。自分で物事を決めたり、選ぶことができる範囲が大きい人ほど、疲労度は少ない傾向にあります。
 どのような優先順位で行うかだけでなく、どのような仕事は同僚や部下に任せて自分は何に集中するかを選択できる人ほど、それができない人に比べて明らかに疲労は少ないです。
 また、仕事そのものではなくても、働く時間の自己決定権が大きい人は、普段は遅くまで働いても、予定のあるときは早く帰ることができるのでストレス度は少ない傾向にあります。
 同様に職場の人間関係においても、誰と関わるか・関わらないかを自ら選べる人、フリーデスク制で苦手な人からは離れて座ることのできる人の方が、職場における心の疲労度は少ないです。

 こう考えてみると、あなたの働き方、つまりやりがいと裁量度に大きな影響があるのは、やはり職場の上司になります。
(略)
 大切なのは、上司が期待を示したとき、相手(部下)がその期待に応えたいと思ってくれるかどうかです。
 誰でも知らない人や好きでもない人から期待を示されてもわずらわしいだけですが、尊敬している上司から期待を示されたら、人は自発的に期待に応えようと思うものです。
 メンタルヘルス不調者を出さない会社の人々は、このことを知っています。なので、日頃から良好な人間関係を築いておき、そこに期待を示すだけなのです。
 すると部下は、自主的にその期待に応えようとしますので、「やらされ感」ではなく「やりがい」を持って働きます。結果、メンタルヘルス不調者が出にくいのです。
(略)
 メンタルヘルス不調者を出さない上司たちは、そのコミュニケーションの焦点は「相手」にあります。そして、相手を「承認」しています。承認した上で、怒ったり、ほめたりして、接しているのです。
 上司が部下を承認しているか否か、実は上司が部下にかける言葉、つまり、「話し言葉」に注意するとわかることもあります。
 例えば、上司が部下にかける言葉で考えると、部下を承認していない上司は、「がんばってね」と言います。部下を承認している上司は部下に「がんばっているね」と言います
(略)
 うつ社員を出さない会社において、上長たちに共通するのは、この「承認」という気持ちだと思います。
 ぜひ会話の中に「承認」があるか、意識してみてください。
 相手の会社の上長や役員たちと話すとき、彼や彼女らが部下を、あなたを承認してくれているか。その点に注意していただくと、良い判断ができるようになると思います。

職場におけるやりがいと言えば昨今「やりがい搾取」などと言う言葉もあるくらいで、あまり良いイメージを持たれていない部分もありますが、同じ労働量ならやりがいがある方が疲れにくいと言うのは理解出来る話です。
無論やりがい搾取よろしく、相手のやりがいに甘えて過剰な労働を押しつけるのは問題外ですが、医療業界のように需要と供給の裁量権が少ない業界の場合、どうしても仕事は減らせないと言う局面もあるでしょう。
その場合にどうせなら少しでもストレスを軽減出来る働き方を考えることは重要ですが、この場合大きなポイントになるのは上司であると言うのはまあ、どこの業界でも経験則として納得出来るのではないかと思います。

とある調査によれば勤務医の主たるストレスの原因として労働時間の長さや休日の少なさが4割程度と最多なのは当然ですが、上司や同僚、患者などとの人間関係を挙げた先生は3割前後にも及んでいたそうです。
患者との関係などは如何ともしがたい部分も多いでしょうが、職場内での人間関係は改善の余地があり、特に上司と部下の関係は今の時代パワハラなどとも関係して難しいところがあるだろうと思いますね。
管理職ともなれば医師が足りない、スタッフが定着しないと悩んでいる場合も多いでしょうが、こうした人間関係を改善することで働きやすい職場に出来るのであれば、コスト面でもお得な対策になると言えるでしょう。
特に診療科をまたいで逃散が多発しているような施設では病院トップの責任は重大で、自らが良い上司となっているかどうかと言う自省なくして職場環境の改善は一歩も進まないことを知るべきですね。

 

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