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2019年5月 7日 (火)

確実で失敗がないと言うことは一般には良いこととされています

10連休中は大きなトラブルがなかったのか、医療関連ではさほどに目立ったニュースはなかったようですが、本日まずは先日目にしたこんな記事を紹介してみましょう。

畳めなかったエアリズム 全自動折り畳み機、事業解散へ(2019年4月25日日経ビジネス)


 世界初の全自動衣類折り畳み機「ランドロイド」の事業化を目指してきたセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(東京・港)が23日、東京地裁に自己破産を申請し、破産手続き開始決定を受けた。開発が難航し、資金繰りが行き詰まった。子会社と合わせ、負債総額は約31億8000万円に上る。同社の阪根信一社長はテック系ベンチャーの旗手と目されていただけに、衝撃が広がっている。

 ランドロイドは、AI(人工知能)や画像認識、ロボットアームの技術を駆使し、洗濯後の衣類を1枚ずつ「つかむ」「広げる」「折り畳む」「仕分ける」「収納する」といった工程を経て整理する機械だ。大型冷蔵庫ほどのサイズで、1台200万円ほどの価格を想定していた。
 以前は17年度中の発売を目指してきたが開発が難航し延期。続いて、18年度中の発売を目指してきたものの、それもかなわなかった。
 同社はこれまで、海外の投資家も含めて105億円余りの資金を調達しており、パナソニックと大和ハウス工業も出資してきた。阪根社長は両社に追加出資を要請してきたが、発売目標の期日を再三守れない状況下では追加出資を受けられず、ついに資金が底をついた。
(略)
 では、開発を難航させたものは何だったのか。
 「私はひとまず発売すればいいと思うんですが……」。1年余り前、阪根社長は日経ビジネスの取材に応じ、そう漏らした。ロボットアームの開発に苦戦しているという。アームは様々な種類の布を持ち上げられるが、どうしてもつかめない素材があるとのことだった。
 それが、カジュアル衣料品店「ユニクロ」の人気商品「AIRism(エアリズム)」だった。シルクのような肌触りが特徴だが、それだけにロボットアームが扱うのが難しかった。完全な製品を世に出したいと考えるパナソニックは、この点を重く受け止め、発売に難色を示したという。破産手続きの開始を受けて、「ランドロイドの事業は解散する」(セブン・ドリーマーズ広報)。
 新市場の創造に挑んだ著名なベンチャー起業家が倒産に追い込まれたことで、成長の可能性があるベンチャーに「リスクマネーを投じることを敬遠する投資家が増えかねない」(証券アナリスト)と、懸念の声も上がる。

以前に開発中と言うニュースを目にして、なかなか応用の利きそうな面白い機械だと言う印象を受けていたものなのですが、残念ながら開発中止に至ったのは仕方がないとして、問題はその理由です。
開発中の折りたたみ機はほぼ実用化の域に達していたように見えるのですが、唯一特定の衣料製品だけはうまくたためなかったと言うことで、スポンサーが発売に難色を示した結果事業自体が頓挫したと言うことです。
記事を見て海外なら絶対出すだろうし、国内でも作業効率次第で業務用の需要はあっただろうと思うのですが、話に聞く国内メーカーがロボット掃除機発売で出遅れた事情などとも何やら通じるものを感じます。
さて、話変わって医療の世界でも技術革新は非常に重要で、特に常に逼迫するマンパワー節約の意味でも自動化が今後の課題になりそうですが、先日こんなニュースが出ていました。

日本初、全身麻酔を自動制御 福井大学など開発、臨床試験開始(2019年4月17日福井新聞)


 福井大学などのチームは4月16日、外科手術などでの全身麻酔を自動制御する日本初の「ロボット麻酔システム」を共同開発し、臨床試験を始めたと発表した。麻酔薬の投与量を自動調節するシステムで、麻酔科医の負担軽減が期待される。同大学医学部の重見研司教授は会見で、自動車の速度を一定に保つ自動運転のように麻酔科医を支援するシステムと説明し「麻酔科医の働き方改革にもつながる」と述べた。

 麻酔科医は、呼吸や血圧など患者の全身状態を管理しながら麻酔薬の量を調整し、異常が見られれば適切な処置を行う。全身麻酔の手術件数が年々増加傾向にあり全国的に不足しているという。
 福井大学、国立国際医療研究センター、医用電子機器開発の日本光電工業の共同研究チームは2017年に開発に着手。18年度に日本医療研究開発機構の事業に採択された。
 同システムは手術中の患者血圧や脈拍などをモニターして、「意識レベルを下げる鎮静薬」「痛みを抑える鎮痛薬」「筋肉の収縮を止める筋弛緩薬」の3種類を状態に合わせて適切に投与する。麻酔科医の負担が軽減され患者の状態管理に集中でき、ヒューマンエラーの防止にも役立つ。麻酔薬の過剰、過小な投与を防ぎ、患者のリスク軽減にもつながるという。

 4月16日に厚生労働省で開かれた会見には、福井大学からは重見教授、松木悠佳助教が出席。松木助教がシステムの概要を説明。重見教授は「システムの最大の特徴は、患者の状態を監視して、状況に応じて調節する機能を持っていることだ」と強調した。
 3月に臨床試験に着手した。患者約60人を対象に行い、有効性と安全性を検証する。22年度の製品化を目指している。

一昔前なら外科医が自分で麻酔をかけていた施設も少なくなかったと思いますが、現在では真っ当な病院であれば麻酔の専門医が麻酔をかけるのが当然であり、手術件数も麻酔科医の数次第とも言えます。
それだけにこうした麻酔管理の自動化は大変にありがたい技術だと思うのですが、問題となりそうなのは麻酔科学会の「安全な麻酔のためのモニター指針」にこんな記載があると言う点です。

[麻酔中のモニター指針]
①現場に麻酔を担当する医師が居て、絶え間なく看視すること。

これ自体はまあ確かに御説ごもっともと言う話なのですが、文字通りに解釈すると手術室一つ一つに常時一人の麻酔科医が張り付いている必要があると言う話で、実際そうした対応を行っている施設が多いようです。
ただ大学病院など常勤麻酔科医が大勢いる施設ならともかく、市中の中小施設では選任の麻酔担当者を常時用意することは難しく、外科医の数は揃っていても手術が出来ない場合も少なくないと聞きます。
新しい児童麻酔制御のシステムが開発されても、指針がこのままであれば相変わらず麻酔科医が常時張り付いていなければならない理屈で、正直さほどに有り難みがなさそうには感じますね。

別に麻酔科に限らずこうした話は各診療科で幾らでもあるのでしょうが、学会のガイドラインなどは医療安全を第一に考えたものであっても、現場のリソースに関してはさほど配慮していない場合も少なくないようです。
かつて帝王切開のいわゆる30分ルールが医療訴訟とも絡んで大変問題視されたことがありますが、現実的にほぼ達成が不可能な目標だけが掲げられると、現場が大変な苦労をする羽目になるのは当然です。
無論学会なども個別の問題に関してはデータを元にルールを決めていることなのでしょうが、限られた医療リソースをどこにどう使えば国民の健康を最大限守れるのかは、かなり複雑で簡単には判断し難い課題なのだろうと思いますね。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

湯沸かしポットがT-falにやられてしまったのをすでに忘れてしまってますね。
日本企業が低迷しているのを、大手が打破できない理由そのもの。

投稿: | 2019年5月 7日 (火) 09時31分

日本の消費者は世界一厳しいと言う意見もありますが、むしろ個人責任追及の風潮こそが問題で、全産業に渡って無過失補償的な制度の整備を進めた方が社会全体の利益につながるのではないかと言う気がします。

投稿: 管理人nobu | 2019年5月 8日 (水) 19時40分

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