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2019年4月15日 (月)

医療とネットに関わる最近のニュース2題

ネットなしでは生活出来ないと言う人も多い時代ですが、本日は医療とネットとの絡みで最近のニュース2題を取り上げてみましょう。

オンライン診療、保険適用後の実施過半数は自由診療「患者が希望、医師が適切と判断しても使えないケースが多い」(2019年4月11日医療維新)


 オンライン診療料新設後に、自由診療のオンライン診療が急増した――。1000軒以上の医療機関にオンライン診療サービスを提供している株式会社MICINの調査によると、2018年4月に保険適用となったオンライン診療を巡ってそんな実態が明らかになった。

 オンライン診療を巡っては、2018年度診療報酬改定において「オンライン診療料(70点)」と「オンライン医学管理料(100点)」が新設された。それ以前には保険診療としては「電話等再診料」を算定する形で実施されていた。
 同社が提供するオンライン診療サービス「curon(クロン)」を使った医療機関でのオンライン診療の実施回数を調べたところ、2017年4~6月から2018年10~12月を比較すると4.3倍に伸びていたものの、2017年4~6月では95.7%が保険診療での実施だったが、2018年10~12月では保険診療が45.3%、自由診療が54.7%だった(直近の2019年3月時点では53.9%が自由診療、46.1%が保険診療での実施)。オンライン診療全体の実施回数が増えているため、保険診療での実施件数は同期間で約2倍に増えたものの、「当初の想定以上には伸びていない」(同社)。一方で、自由診療での実施が大きく伸びている
 この理由については、「アトピー性皮膚炎やスギ花粉症などオンライン診療と親和性がある疾患が、診療報酬の算定対象から外れたことが要因ではないか」(同社代表取締役CEOで医師の原聖吾氏)としている。

 curonは佐賀県を除く46都道府県の医療機関に導入されているが、東京、神奈川、愛知、大阪の4府県が全体の6割を占め、比較的開業間もない診療所が競合と差別化のため導入するケースが多いという。オンライン診療利用患者の年齢は20~50歳代が全体の85%で、性別別では男性が全体の70.7%を占める。対象とする主な疾患は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、うつ病、強迫性障害、高血圧症、慢性胃炎、肥満症など定期的な通院が必要な慢性疾患で多岐にわたるが、多くはオンライン診療料の対象疾患から外れている
 これらの調査結果から、原氏は「オンライン診療は精神的、物理的負担を減らすことができ患者に大きなメリットがあるが、現行制度では患者が利用を希望し、医師が適切と判断しても使えないケースが多い」とした上で、2020年4月の診療報酬改定に向け、「対象疾患の縛りをなくしてもよいのではないか。オンライン医学管理料については、皮膚科、小児科、精神科に対象を拡大してほしい」などと提案した。

このオンライン診療に関しては医師・医療系諸団体の間でも未だ根強い反対意見もありますが、個人的に興味深いのが各種前提条件の担保を求めているとは言え、日医が積極的には反対していない点でしょうか。
多忙で病院にかかれない人にとってはありがたい制度ですが、現状では保険診療で認められるのはかかりつけ患者で定期的に外来受診している人が、時々はオンライン診療でもいいと言う程度の位置づけのようです。
このためやむなく自由診療として扱った場合、患者負担が増すことからドロップアウトするケースが多いようで、慢性疾患の患者の継続受診を促進すると言う当初の目的からは後退しているとも言えますね。
医療リソースの観点からすると、オンライン診療の方がコメディカルの手間は削減出来ると考えられ、患者と医療機関双方のメリットを考えると対象の拡大を順次進めていただきたいところです。
さて、こちら海外からのニュースですが、ネットなしでは生きられないと言う人が多い日本でも全く他人事ではない話題と言えそうです。

「自分自身は病気に違いない」と信じ込み解決方法をネットで検索し続ける「サイバー心気症」とは?( 2019年04月08日GigaZiNE)


自分や子どもの身体に起きた異変が「重大な病気じゃないか」と不安を覚える人は多いはず。自分の抱える不安に関するオンライン検索を強迫的に行う「サイバー心気症」を抱えている人は、検索しても自身の不安は解決せず、自分の不安をエスカレートさせてしまう傾向があるとScientific Americanが報じています。

コリーン・アベルさんは自分の子どもに授乳した次の日、右胸に赤い発疹ができているのを発見しました。原因に心当たりはなく、アベルさんは「子どもがつけた傷によって何らかの感染症になった」と推測したり、「南京虫のかみ傷かもしれない」と疑ったりしました。アベルさんが発疹についてGoogleで検索してみたところ、「炎症性の乳がん」という検索結果を発見し、アベルさんは衝撃を受けたそうです。乳がんよりも皮膚炎などの可能性がはるかに高いにもかかわらず、アベルさんは自分が乳がんであると思い込み、毎日3、4時間も乳がんに関する情報をインターネットで収集し続けるようになりました。
アベルさんのような事例は「サイバー心気症」の典型であるといえます。サイバー心気症はGoogleなどの検索エンジンで自分の病状などの不安を検索し、検索結果から自分の不安をさらに増大させ、まるで依存しているかのように検索をし続けてしまうというものです。サイバー心気症はアメリカ精神医学において、診断によって認定できる病気ではなく、どれだけ多くの人が実際にサイバー心気症を患っているのかは不明です。

アメリカテキサス州のベイラー大学で心理学准教授を務めるトーマス・ファーガス氏はサイバー心気症のような「安心を追い求める心理」に関する専門家です。ファーガス氏はロンドンサウスバンク大学のマルカントニオ・スパーダ教授と共同で、サイバー心気症は「強迫性障害」と強い関連があるという研究を発表しました。強迫性障害を持つ人は自分で決めた儀式的な行動をとることで不安が軽減されると考えていますが、サイバー心気症をもつ人にとっては、オンラインで自分の不安について何時間も検索することが「儀式的行動」というわけです。
オンライン上の健康に関する情報は矛盾していることが多々あり、「どの情報が正しいのか?」を判断することは不可能。そのため、「どの情報が正しいのか?」というよりも「どの情報を信じるのか?」という問題になります。胸部に発疹を見つけたアベルさんは「炎症性の乳がん」だと一度信じ込んだ後、乳がんが珍しい病気だという情報は無視するようになり、乳がんだと確信してしまう情報ばかりを集めるようになったとのこと。
アベルさんは延々と乳がんについて検索し続ける生活を2カ月過ごした後、ついに病院で診断を受けることを決心。診断結果は「カンジタ病」というカビの感染症で、治療によってすぐ治せるような良性のものでした。Google検索で自分の病気について検索していた時、カンジタ病を指し示す検索結果は一度も現れなかったとアベルさんは語っています。
(略)


自分が何か重大な病気ではないかと考える人自体は決して珍しくなく、以前からドクターショッピングと言う行為が医療リソースの浪費と医療費増大の観点から問題視されてきた経緯がありました。
基本的に似たような状況ではあるものの、こちら医療機関のリソースは使っていないならまだしもマシではないかと言う考え方もありますが、医療へのアクセスの敷居がアメリカよりもずっと低い日本ではどうなのかです。
実際に外来に受診する以前にあれだこれだと散々情報を仕入れ、医師に何彼と要求する患者は決して珍しくありませんが、当然ながらこうした患者は最初から重大疾患が隠れている前提での対応を求めてきます。
一般的に初診で軽微な症状の患者に、いきなり山盛りの検査処置を始める医師は少ないと思いますが、マイナーな疾患までも含めて厳密に鑑別診断を行おうとすれば、当然幾らでも検査は必要となりますね。

この種の事例ではかねてテレビ番組などの悪影響も指摘されているところですが、当然ながら軽い症状とみていたら実は重大な病気が隠れていたと言ったケースの方が、取り上げられる機会は多いわけです。
しばしば見られる重大疾患の初期症状と言った啓蒙的な内容のものなら有益と言えますが、他方で非常に稀な疾患や例外的なケースを取り上げる場合もあるようで、むしろ判断を誤らせることにもなりかねません。
この種の番組が放送されると、翌日の外来に患者が大勢来ると言う話も聞きますから、健康への感心はそれだけ高いのだと思いますが、結果的に正しい受診行動につながる内容であって欲しいものですね。

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コメント

現在のオンライン診療は医者が病院、患者が自宅にいることを想定していますが、
個人的には患者が病院、医者が病院以外の場所にいる状態でのオンライン診療を認めてほしいと考えています。
離島を含む僻地はその方が理にかなっています。

投稿: クマ | 2019年4月16日 (火) 08時44分

先日の上小阿仁村の一件などは状況的にまさしくそうした状態であったわけですが、看護師が対応し電話での診療は駄目でネット越しならいいのかと、なかなか考えさせられますね。

投稿: 管理人nobu | 2019年4月16日 (火) 16時34分

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