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2019年3月 4日 (月)

厚労省の医師偏在是正の叩き台、特に反対もなく了承される

医師の働き方改革とも関連して是正が急がれる医師偏在対策ですが、先日厚労省よりその議論の叩き台が提示されたと報じられています。

47都道府県別の「診療科別、2036年の必要医師数」暫定版公表(2019年2月25日医療維新)

 厚生労働省は2月22日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)で、47都道府県別の「診療科ごとの将来必要な医師数の見通し(たたき台)」を公表した。18の基本領域別の医師数の2036年までの将来推計で、全国推計は2月18日の医師需給分科会で公表されていた(『内科、外科など10科は必要数増、精神科など8科は減』を参照)。
 厚労省は「今後、専門医制度を通じて専攻医の診療科偏在や地域偏在を是正するために、都道府県別診療科別の必要医師数の活用を具体的に検討してはどうか」と提案、委員からは異論は出なかった(資料は、厚労省のホームページ)。

 日本病院会常任理事の牧野憲一氏は、専攻医の募集人数(定員数)は、研修を希望する医師数の約2倍になることから、「好きな領域に行けるので、不足する領域の医師はいつまで経っても不足する。不足する領域で医師を確保できる募集の仕方を今後、考えるべきではないか」と提案した。
(略)

2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ(2019年2月27日医療維新)

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の第29回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)が2月27日に開催され、二次、三次医療圏の医師偏在指標や医師確保計画の方針などを盛り込んだ「第4次中間取りまとめ(案)」を、修文を座長一任の上、了承した(資料は、厚労省のホームページ)。
(略)
 「第4次中間取りまとめ(案)」はおおむね了承、幾つか修正、追加意見などが出た。
 医師確保対策の一つとして新設されるのが、医師少数区域等における勤務経験を厚生労働大臣が認定する仕組み。地域医療支援病院のうち医師派遣・環境整備機能を有する病院の管理者要件とすることが、認定のインセンティブの一つ。慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、「対象病院の範囲を拡大していくことが重要」と述べ、地域医療支援病院等以外でも、病院側が自発的に認定医師を管理者要件にできるような表現にするよう求めた。
 過去の議論で、大学関係者の要件にも加えるべきだとの意見が出ており、この日の会議でも同様の議論があった。全国医学部長病院長会議の前会長の新井一氏は、「将来的な方向性として、大学に残る医師であっても、地域医療にエクスポージャーすることは必要だろう。そうした方向で検討してはどうか」と提案。
 文科省高等教育局医学教育課長の西田憲史氏は、「認定医師を大学病院の病院長の要件とすることは、将来の検討対象となり得るだろうが、医学部教授全体について、となると、大学の人事そのものの話になるので、難しいのではないかと考えている」と回答した。

 医学部地域枠の卒業生をいかに地元に定着させるかも、重要になる。2020年度以降は、臨時定員における地域枠は、一般枠とは別枠の募集定員を設ける「別枠方式」しか認められなくなる。別枠方式の方が地元定着率が高いためだ(『2018年度の地域枠充足率81.6%、24府県が「8割未満」』を参照)。
 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「手挙げ式はやめて、別枠方式とすることにより、どれだけ地域枠が埋まるかを確認する必要がある」と述べ、実態を継続的に把握するだけでなく、その公表を求めた。
 医師確保計画においては、都道府県知事が大学に対し、地域枠の創設または増員を要請できる。恒久定員枠、あるいは臨時定員枠に設けることになるが、新井氏は、恒久定員に占める地域枠の割合については「5割という数字が独り歩きしないよう、慎重になってもらいたい」と要望した。過去の議論で、「5割程度までは可能ではないか」といった意見があったからだ。
(略)
 岩手医科大学理事長の小川彰氏は、地域医療対策協議会の役割が重要になるものの、現状では温度差があるとし、「同じスタンダードで、できるのか。厚労省が介入しないとやっていけないのではないか」と指摘。厚労省医政局地域医療計画課は、丸投げではなく、都道府県の医師確保計画を把握するほか、具体的な助言、好事例を共有、担当者レベルの人材育成支援などに取り組んでいくと回答。
 小川氏は会議の最後に、次のように発言した。「過去の医師需給推計では、(医師不足対策等の)方法は打ち出されなかったが、今回はかなり突っ込んだ議論をし、第4次中間取りまとめになった。多少不満は残るが、今回の医師需給分科会の議論ほど着実に進んだものはなく、その意味では画期的な取りまとめになった」。

医師偏在対策に関しては様々なものが検討されていますが、おおむね現在活躍中の先生方よりも今後卒業してくる若い先生方に大きな影響を及ぼしそうな内容となっていると言えます。
地域枠の在り方については2020年度以降大きく変わることになりますが、現状で様々な義務に縛られる地域枠では学生が集まらないと言う現実もあり、果たして目論見通り地元に定着する医師が増えるのかです。
地元出身の学生はなるべく地域枠に誘導している大学もあるそうですが、一般枠で合格出来る学生にとってはさほどメリットがないとなれば、今後地域枠に義務だけでなくインセンティブを付与出来るかどうかです。
地域枠学生は当然医師少数区域の勤務経験豊富になるケースが多いはずで、例えば将来的な大学・基幹病院での出世において優遇されるとなれば田舎巡りをするデメリットも相殺されることになりますね。

今回注目されるのは医道審の場で厚労省から、新専門医制度を医師偏在対策に積極活用してはどうかとの提案がなされ、特に大きな反対もなく了承されたと報じられている点です。
かねて新専門医制度がいわゆる医師強制配置の強制力として活用出来る制度であるとは指摘されていましたが、現状では専攻医の定員が多すぎて強制力を発揮出来るようや状況にはありません。
今後この定員を次第に絞りながら、医師過剰地域から不足地域への医師の移動を促すことになろうと思うのですが、当然ながら一気に定員を削減すれば反発も大きく、じわじわと絞っていくことになりそうです。
ただマイナーな専門領域であれば特定の地域でしか学べないと言うケースも想定されるので、募集する側としては今後いかにして他地域とは研修内容の差別化が出来るかが課題になってきそうですね。

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