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2019年1月

2019年1月23日 (水)

石巻赤十字病院トリアージ訴訟、始まる

先日から話題になっているのがこちらの訴訟です。

治療優先度誤りで死亡と日赤提訴 津波被災の90代女性遺族(2019年1月21日共同通信)

 東日本大震災の津波で被災した宮城県石巻市の90代女性が搬送先の石巻赤十字病院(同市)で死亡したのは治療の優先度の判断を誤ったためとして、遺族が病院を運営する日本赤十字社に約3220万円の損害賠償を求めて提訴し、21日、仙台地裁(小川理佳裁判長)で第1回口頭弁論が開かれた。病院側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

 訴状によると、女性は震災前、最も程度の重い「要介護5」と認定された。震災3日後の2011年3月14日、津波で水没した自宅周辺で救助、搬送された。病院は治療の優先順位を決めるトリアージで女性を軽症と判定したが、同17日に脱水症で死亡した。

<被災搬送後死亡訴訟>石巻赤十字「対応した」 請求棄却求める(2019年1月22日河北新報)

 東日本大震災で被災した石巻市の女性=当時(95)=が同市の石巻赤十字病院で必要な介助を受けられずに死亡したとして、遺族が病院に約3220万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が21日、仙台地裁であり、病院は請求棄却を求めた。
 病院は答弁書などで「震災時は傷病者や避難者、要介護の被災者が殺到し、限られた医療資源でできる限り対応した。当時の状況を踏まえれば、女性の死亡は病院の対応に原因があるとはいえない」と反論した。
 遺族は「病院の主治医は女性が自力での飲食が困難だと震災前から把握していた。病院は女性の生命維持に必要な措置を講じる義務を負っていた」と主張している。

 訴えによると、女性は2011年3月14日、自宅周辺が津波で水没し孤立していたところを救助され、病院に搬送された。震災前、日常生活に全面的な介助が必要とされる要介護5の認定を受けたが、病院は治療の優先度を決めるトリアージで、女性を軽症患者を意味する「緑」と判定。女性は搬送から3日後の同17日に脱水症で死亡した。
 閉廷後に仙台市内で記者会見した石橋悟院長は「当時は震災前のカルテを参照する余裕がなかった。トリアージに法的根拠はなく、緊急的な対応の結果で責任を負うことになれば、災害医療が萎縮しかねない。遺族と認識にずれが生じているのは残念だ」と述べた。

この件に関しては以前にも紹介したことがありますが、要介護5の認定を受けた女性が被災し病院に搬送されたところ自力で飲食可能と判断され、点滴等の処置を受けられず放置され亡くなったと言う訴えです。
もともと女性は要介護の認定を同病院の主治医意見書に基づいて受けており、病院は自力で飲食出来ないことは判っていたはずだと言う主張で、確かに通常であればそれはその通りと言うしかない話ですよね。
問題は被災者が次から次へと搬入され、病院自体も恐らく被害も受けていただろう混乱状態の中でトリアージが為されたと言う点で、恐らくかかりつけ医や顔見知りの看護師がトリアージを行ったわけではないのでしょう。
こうした場合当然ながら搬入された時点での身体的状態だけで当座の判断をせざるを得なかったのでしょうが、その後時間経過に伴い適切な見直しが行われていたかどうかと言う点が反省点になるのでしょうか。

通常の診療であればまだしもでしょうが、未曾有の災害の最中にあって当然ながらと言うべきでしょうか、世間的には必ずしも好意的ではない意見も少なからず見られるようで、これまたもっともな反応だとも言えますね。
震災時同病院は石巻医療圏で唯一稼働していた病院だったそうで、当事者の話を聞くと震災後極めて迅速にトリアージを開始していたと言い、災害拠点病院としても極めてよくトレーニングされていた印象です。
市内14台の救急車のうち11台が流され、救急搬送自体不可能な状況でよくこれだけ対応出来たものと思いますが、当然ながら全ての患者に普段通りの医療を提供することは不可能であったはずです。
この裁判で病院の責任が認められた場合、今後の災害医療の萎縮にもつながりかねず、緊急時の対応についてどこまでの責任が問われるか司法判断の行方次第で影響は大きなものになる可能性もありますね。

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2019年1月21日 (月)

ブラックな労働環境に対する技術的な打開策

なるほどこういうものがあったかと得心し感心もしたのが、先日出ていたこちらのニュースです。

付近にブラック企業があるとプッシュ通知で教えてくれるアプリが登場(2019年01月16日キャリコネ)

周囲にブラック企業があるとプッシュ通知するアプリ「ブラックアラート」が1月13日、リリースされた。同アプリは厚労省が公表した「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を元に作成されており、ブラック企業1000社以上が登録されているという。

全国のブラック企業を地図上でマッピングした「ブラック企業マップ」が昨年12月、ネット上で話題になった。このアプリは「webサイトにはできないプッシュ通知を利用して面白いアプリができるのではないか」と思い開発に至ったという。
キャリコネニュース編集部も実際にインストールをしてみた。アプリを起動させて位置情報の許可をタップすると、即座に「近くにブラック企業があります」というプッシュ通知が表示された。巨額の残業代未払いで問題になったヤマト運輸の営業所だ。
アプリ機能は至ってシンプルで、労働に関する法令違反を起こした企業がマップ上にピンで指し示されている。タップして詳細を見ると、企業名、住所、法令違反の公表日、違反法令、事案概要などが確認できる。概要は、

「労働者4名に、36協定の延長時間を超える違法な時間外労働を行わせたもの」
「労働者2名に、1か月間の時間外労働の割増賃金合計約15万円を支払われなかったもの」
「ウインチの回転する歯車部分に覆い、囲いなどを設けることなく労働者に作業を行わせたもの」

といった長時間労働、賃金未払い、安全面の問題や、「多量の発汗を伴う作業場に労働者に与える塩を備えていなかったもの」など多岐にわたる。ツイートボタンもあるので、気になる企業があったらツイッターに投稿することも可能だ。普段の散歩や外回りの際に使ってみると新しい発見があるかも知れない。

就職活動の実際を考えるとこれだけでは使いにくいと言う意見もあるでしょうが、しかしこうした情報が簡単にアクセス出来るだけでもありがたいもので、思いがけない発見もあるかも知れませんね。
医師の世界もこのところ働き方改革の議論が行われていますが、先日以来報じられている残業上限2000時間と言う厚労省の骨子案は医師自身よりむしろ一般社会の方でこそ大きな反響があったようです。
当然ながら批判的な意見が多数なのですが、人間誰しも2000時間の残業をこなしている医師に診療してもらいたくはないわけですから、顧客サービス向上の面からも対策は急がれるところですね。
医師の労働時間削減も規制強化だけではなく、実際の業務量を減らすための努力が欠かせないのは当然ですが、その点で先日日本同様の皆保険制度をとるイギリスからこんなニュースが出ていました。

利用者の半数が受診をやめたAIチャット・ドクターは医療費抑制の切り札になるか(2018年11月22日MITテクノロジーレビュー)

日本と同様に高齢化が進む英国では、医療費の抑制が課題だ。そこで現在、ロンドンでは約4万人が、医師に代わって患者を診断する人工知能(AI)チャットボットのアプリを利用している。AIが診断することで、自己治療で済む人々が病院に行かなくなり、医師の過重労働を軽減し、医療コストを削減できるという。

「胃が痛くて死にそうです!」
「それは大変ですね」と、女性の声が答える。「いくつか質問をしますが、答えていただけますか」。
診察の始まりだ。どこが痛むのか?どれほど痛いのか?痛くなったり和らいだりするのか? 少し間が空き、診断が下される。「消化不良のようですね。消化不良とは、胃もたれの医学用語です」。

医師がしゃべっているように聞こえるかもしれないが、話しているのは医師ではない。その女性の声は、バビロン・ヘルス(Babylon Health)が開発した新しい人工知能(AI)アプリによるものだ。医師の不必要な事務処理や外来診療の負担を軽減し、患者の待ち時間を短くするために作られたこうしたアプリが、普及し始めている。体調が良くないと感じたら、病院に行く代わりに、スマホを使ってAIとチャットすればいい
症状に関する助言をグーグル検索するのと同じくらい簡単に得られ、ずっと役に立つ。それがこのチャットボットの発想だ。ネットを検索して自己診断をするのと異なり、こういったアプリは病院で実際に使用されるレベルのトリアージ(治療の優先順位づけ)をする。緊急処置が必要な症状だと判断すれば、その旨を患者に伝える。安静にして消炎鎮痛剤の一つであるイブプロフェンを服用すればことたりるなら、そのように指導する。アプリはさまざまなAIの手法を取り入れて構築されている。ユーザーが普段の話し方で症状を説明できるようにするための自然言語処理能力、巨大な医療データベースから情報を取り出すエキスパート・システム、症状と体調を関連付ける機械学習だ。

ロンドンに拠点を置く「デジタルファースト」の保健医療サービス会社であるバビロン・ヘルス(Babylon Health)には、大切にしている社訓がある。地球上のあらゆる人が利用できる手頃な価格の医療サービスを提供することだ。バビロン・ヘルスの創業者アリ・パーサCEO(最高経営責任者)は、そのために一番良い方法は、医師に診てもらう必要性をなくすことだという。
診断に確信が持てない場合、アプリは常に、人間の医師によるセカンド・オピニオンを受けることを勧める。だが、アプリがユーザーと医療専門家の間を取り持つことで、健康管理の最前線が変わる。バビロン・ヘルスのアプリが自己治療の方法についての助言を与えるようになると、アプリを利用する患者の半数が、病院に行く必要がないことに気づき、病院の予約を取るのを止めたのだ。

こうしたアプリを提供しているのはバビロンだけではない。「エイダ(Ada)」、「ユアMD(Your.MD)」、「ドクターAI(Dr. AI)」などがある。だが、バビロンは英国国民健康サービス(NHS)と協働して、サービスの運営方法や支払い方法を変える可能性を示してきており、先陣を切っている。2017年、バビロンはロンドンの公立病院自主トラストと一緒に試験的な運営を開始した。症状が急を要さない場合、111に電話をかけるとNHSの助言を受けられるが、その一部をバビロンのAIが担当している。111に電話をかけると、人間のオペレーターが電話に出るまで待つか、バビロンの「NHSオンライン:111」のアプリをダウンロードするかを尋ねられる。
約4万人がすでにアプリのダウンロードを選択した。2017年1月下旬から10月初旬の間に、アプリを使用したユーザーの40%が、医師ではなく自己治療を選択した。この割合は、電話で人間のオペレーターと話した人の約3倍だ。だが、AIと人間のオペレーターが緊急治療を受けるように助言した人の割合は同じだった(21%)。

現在バビロンは、「GPアット・ハンド(GP at Hand:身近な家庭医 )」と呼ばれる英国初のデジタル医師による診療サービスを共同で開始したところだ。ロンドン市民は、地元の医師に登録するのと同じように、同サービスに登録できる。患者は、予約を入れて仕事を休んで医師に診てもらう代わりに、アプリとチャットするか、ビデオリンクでGPアット・ハンドの医師と話せる。多くの場合、診察を受けに行く必要はない。人間の医者は、最初ではなく、最後の手段になるのだ。
GPアット・ハンドは好評だ。最初の2〜3カ月間で5万人が登録し、その中にはマット・ハンコック英国保健相もいた。現在バビロンは、英国全体にサービスを展開しようとしている。このサービスはルワンダでも利用可能だ。バビロンの創業チームの一員であるモバッシャー・バット医師によれば、ルワンダでは、成人人口の20%がすでに登録しているという。カナダでも準備中で、米国や中東、中国でも同様のサービスの提供を計画している。
(略)

イギリスでは日本と異なり、病院にかかるためにはまずかかりつけである家庭医の診察を受け、確かに病院にかかる必要があると認められる必要がありますが、お金を出せば自費での受診は可能と言うシステムです。
フリーアクセスを金科玉条とする日本の医療から見ると迂遠なやり方にも見えますし、実際手術まで数ヶ月待ちと言うことも珍しくないそうですが、平等であると言う一点で国民からの評価は極めて高いようですね。
ただその結果としてゲートキーパーとなる家庭医の役割が重要であることは明らかで、特に医療とは社会が発展するほど需要が増すと言う側面がある以上、年々多忙さは増しているのだそうです。
この辺りは勤務医と家庭医の差こそあれ、自由に受診出来る限り医療現場は年々多忙にならざるを得ないと言う日英共通の課題ですが、それに対して実質的な軽減策として機能しそうなのがAIと言うことですね。

日本でも今どきスマホを持っていない人の方が珍しいくらいですし、特に若い世代であれば何かあれば取りあえず検索してみると言う習性が身についているはずですが、その結果妙な医療情報も蔓延しつつあります。
これに対して公的な権威付けのあるサイトの必要性も言われていますが、119番などに準じた公的なサービスとしてこうしたAIによる診療サポートが受けられると言うのであれば、需要は相応にありそうに思いますね。
興味深いのはAIと人間のオペレーターが緊急受診を指示した比率に差がなかったと言う点ですが、人間とAIの判断にどれだけ差異があるのかと言うことは当然ながらもっとも気になるところです。
日本でこうしたシステムを運用するとなると、またぞろ万一にも重大疾患を見落としたら云々の批判もあるのでしょうが、万一の危惧よりも日常的な過重労働の方がよほど国民の健康に悪影響を及ぼしている現実も見るべきでしょうね。

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2019年1月20日 (日)

今日のぐり:「お食事処 さかゑや」

先日から大騒ぎになっていると言うのがこちらの事件です。

僧衣での運転に反則切符 「納得できない」支払い拒否(2019年1月10日NHK)

福井市で、仏教の衣装を着て車を運転していた僧侶が、「運転に支障がある衣服だ」として、警察に交通反則切符を切られ、この僧侶が、納得できないとして反則金の支払いを拒否していることが分かりました。男性が所属する宗派も警察の対応に反発していて、波紋が広がっています。

去年9月、福井市で、40代の男性僧侶が、法要に向かうため僧衣と呼ばれる仏教の衣装を着て軽乗用車を運転していた際、警察官に停止を求められ、県の道路交通法施行細則にある「運転に支障がある衣服だ」として交通反則切符を切られました。
警察は、僧衣が一律に違反なのではないとしていて、両袖の丈が30センチほどあり、レバーなどに引っ掛かるおそれがあったこと、僧衣の内側の着物のすそ幅も狭く、両足の太ももなどが密着してブレーキを的確に操作できない可能性があったことなど、安全運転に支障がないよう着方を変えていなかったのが問題だと判断したということです。

一方、僧侶は、納得できないとして反則金6000円の支払いを拒否し、僧侶が所属する浄土真宗本願寺派の本山、西本願寺も警察の対応に反発するなど、波紋が広がっています。
西本願寺は「法令の順守が大切なことは認識しているが、僧侶の服装を理由に反則処理をされたことは受け入れがたい。宗派全体に及ぶ大きな問題として慎重に検討したい」と話しています。
(略)

すでに各宗派を巻き込んでの大騒ぎになっているそうですが、それは確かに騒ぎにもなるでしょう。
今日は思わぬところで騒動に巻き込まれた僧侶氏を激励する意味で、世界中から納得出来ないをキーワードにニュースを紹介してみましょう。

「ヤギから同意を得ていた」獣姦容疑で逮捕された男が潔白を主張(2019年1月16日日刊サイゾー)

(略)
 草原で放牧されていたヤギの群れの中に一人の男が紛れ込んでいるのを、ヤギの持ち主が発見した。ヤギが盗まれそうになっていると思った持ち主は、仲間を引き連れて男の元へ駆けつけた。

 すると、彼らが目にしたのは、一匹のヤギを後ろから犯している男の姿だった。

 男はすぐさま警察に突き出され、獣姦の容疑で逮捕された。ちなみに日本では獣姦は違法ではないが、世界各国には動物愛護の観点や宗教的な理由から、獣姦罪が定められている国が少なくない。

 警察の取り調べに対し、男は「セックスする前にヤギの許可を得た」と主張しているという。ちなみに、犯されたヤギがメスだったかオスだったかは公表されていない。
(略)

古来ヤギとはこうした目的にも供されていたとも言うのですが、しかし事前許可を得ていたと言う主張だけは納得し難いものがあります。
お隣韓国でも昨今は伝統のイヌ食を巡って議論もあるそうですが、そんな中これはさすがにいささかどうよと言うニュースが話題になっていました。

犬食禁止を訴える韓国の動物愛護団体、保護した捨てイヌ数百匹を安楽死(2019年1月12日朝鮮日報)

 犬食に反対する運動を繰り広げてきた韓国の動物愛護団体が、およそ4年にわたり保護したイヌ数百頭を安楽死させたという主張が11日に提起された。当該団体の代表は「具合が悪かったり攻撃性がひどかったりする場合にのみ安楽死させた」と語った。

 論争になっている団体は「ケア(care)」。2002年に発足し、イヌの屠畜反対運動、捨てられた動物の救助活動を繰り広げてきた。17年5月に、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に捨てイヌの「トリ」を贈ったのもこの団体だ。17年だけでもおよそ19億ウォン(現在のレートで約1億8400万円)の後援を受けている。
 「ケア」のある幹部職員は、メディアの取材に対し「保護所のスペースが足りないという理由で動物を安楽死させている」と語った。15年から昨年まで、イヌやネコなどおよそ200匹を動物病院へ送り、注射剤で殺した後、廃棄処理したという。パク・ソヨン代表が安楽死を指示する内容が記されたカカオトークのメッセージも公開した。外部には「養子に送った」と伝えていたという。

 「ケア」は11日、「団体が有名になったことで救助要請が押し寄せ、一部の動物たちはさまざまな理由であきらめざるを得なかった。2015年から昨年まで、やむを得ず安楽死を行ってきた」という公式見解を発表した。ただしこの日も、何匹の動物をどのような理由で安楽死させたのかは、具体的に明らかにはしなかった。
 「ケア」のパク・ソヨン代表は、本紙の電話取材に対し「体が不自由だったり攻撃性がひどい動物を中心に、内部基準を作って安楽死させた。私が安らかに送ってあげられるので連れてこられた動物もいて、できるだけ生かそうとした」と語った。パク代表はこれまで、安楽死疑惑が浮上するたび、数回にわたって否定していた。パク代表は「(安楽死はしていないと言ったのは)健康な動物についての話だった」と釈明した。

動物愛護団体とは得てしてこうしたものだと言う声もあるのですが、さすがに国内外から非難する声が絶えないそうです。
昨今では無人機の高性能化が進んでいますが、形は性能を表すとは必ずしも言えないようです。

既視感がスゴいエアバス最新無人機、こんな見た目で数十日間、高度2万mを飛ぶ!(2018年12月16日乗り物ニュース)

(略)
 エアバスは、東京ビッグサイトにて2018年11月29日より3日間の日程で開催された「国際航空宇宙展2018東京」へ、ブースを出展しました。そのなかに、どう見ても琵琶湖の湖上を飛ぶ人力飛行機のような姿かたちをした模型が展示されていました。最新の航空宇宙技術が集結する会場のなかで、なんだか場違いな空気を漂わせていると思いきや、実はこれこそがエアバスの開発する、従来とは発想がひと味違う最新鋭無人機「ゼファー」でした。

 たとえば国際線旅客機の飛行(巡航)高度はおよそ1万mですが、この「ゼファー」は、旅客機よりもはるかに小さく、見た目は骨組みと翼だけで、機体重量も75kgという華奢な構造ながらも、約2万mという超高高度まで自力で飛翔、飛行することができます。
 さらに、翼の上面に備えられたソーラーパネルでバッテリーを充電することにより、数十日間、一度も地上に降り立つことなく連続して飛行することが可能です。現在「ゼファー」は、途中で一度も地上に降りず、また燃料補給も受けずに飛行する「連続飛行時間」の世界記録を保持しています。最新の記録は2018年8月に達成された25日と23時間57分とのことで、つまり1か月近く大空を舞っていたことになります。

 しかし、「ゼファー」が目指す飛行時間はこの程度ではありません。エアバスの担当者は、目標飛行時間は100日間、3か月以上の連続飛行が目標といいます。
 また、当然ですが「ゼファー」は、単に超高高度を長期間飛行することだけを目的に開発された無人機ではありません。機体先端部には高解像度の可視光カメラと赤外線カメラを搭載でき、つまり超高高度から地上の様子を昼夜問わず監視できることから、平時から有事にかけての他国の動向監視や、災害時における被災地の情報収集など、非常に幅広い活躍が期待されています。
(略)

それは額面通りのスペックなら大変なことだと理解はできるのですが、どう見ても琵琶湖横断が精一杯くらいにしか見えないのも事実ですね。
最後に取り上げますのはご存知ブリの誇るスコットランドヤードから、とんもない画期的技術が実用化間近だと言うニュースです。

イギリス警察、AIを使って犯罪を犯す可能性のある人に「危険スコア」を付けるシステムをテスト運用(2018年12月06日スラド)

あるAnonymous Coward曰く、

    イギリス警察が、犯罪を予測するAIをテスト運用しているという(ギズモード、Sputnik)。

    コンピュータによる犯罪予測については以前から研究が進められており、2010年には『米フロリダ州、「犯罪予測システム」導入へ』という話題もあった。日本でも京都府警や神奈川県警が興味を示している。
    今回イギリス警察が導入するシステムは、犯罪データベースや個人情報データベースから情報を収集し、「1400種の指標」から犯罪を犯す可能性がある人に対し「将来的に犯罪を犯す可能性」(危険スコア)を付けるという。

当然ながらディストピア到来かと大騒ぎなのですが、実際のところ予測システムの精度がどの程度信用出来るのかが問題です。
特にブリ発祥と言うだけで大いに疑問符の付く余地無しとしませんが、彼の地では犯罪者認定の閾値をどの辺りに設定するかが難しそうに想います。

今日のぐり:「お食事処 さかゑや」

寒い時期となるとカニのシーズンですが、全国指折りの漁港である境港となるとカニ以外にも幾らでも良い海産物がありますね。
こちら境港の街中に位置するお店ですが、リーズナブルな値段で地元の魚介を頂けると言うお店です。

まずは季節のカニですが、こちらではズワイガニとベニズワイを選べるシステムですが、ここはズワイガニを焼きでいただくことにしました。
出てきたのは脚の欠けたいわゆる訳あり品ですが、ボリューム感は十分ですが少し焼きすぎなのかジューシーさはないのが気になるでしょうか。
むしろその他海鮮メニューの方が人気のようですが、一番押しの海鮮丼はこの価格でこれだけ盛りだくさんなのは一番人気なのも納得する内容です。
海老フライやアジ唐揚げ、牡蠣フライなど定番メニューも悪くないですし、お造り盛り合わせも絶品と言うほどのものはないものの普通に美味しく頂けました。
白バイ貝は刺身でいただきましたがコリコリ癖のある食感に味は濃いめ、白イカげその天ぷらは気持ち衣の粉っぽさが気になりました。
モサ海老は北陸で言うガスエビと同じもので、塩焼きにしてなかなかうまい海老ですが、トゲトゲしいだけにきちんとヒゲや脚は切ってあるのは助かりますね。

大変な名店と言うわけではないしろ、地元独特の食材から定番の海鮮料理まで、一通りのものが割合お安く頂ける店と言う印象でしょうか。
素材価格と料理としてのお値段を比べるとかなりお勉強していただいている印象があって、都市部のお客からするとかなりびっくりでしょうね。

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2019年1月17日 (木)

勤務医の働き方改革の行き着くところ、開業医のあり方も問われることに

このところのいわゆる医師の働き方改革を巡る議論について、各方面から様々かつ主に批判的な意見もあるようですが、厚労省における当の議論の場でこうした声が取り上げられる機会は乏しそうです。
その理由の一つに議論に参加しているのが医師会や病院会など、働かせる側の意見に偏りすぎている点が挙げられますが、これに対して医師の労組を自称する全医連が先日こんなコメントを出していました。

病院勤務医の一般外来診療をやめるべし 全医連、「医師の働き方改革」への提言(2019年1月6日医療維新)

(略)
 厚生労働省内で医師の働き方改革が検討されていますが、大前提として「勤務医の長時間労働は仕方がない」という風潮を感じます。しかし、看過できないほどの過重労働による弊害(医療事故や過労死など)が後を絶たずに発生し続けています。
(略)
 開業医は約10万人、勤務医は約20万人います。しかし、それでも勤務医は足りません。これには、診療科の細分化や都市部への偏在などのさまざまな理由もありますが、医師の約25%が65歳以上で占められている「高齢化」という理由もあります。そして、日本の病院独特の風習ですが、外来診療があります。
 欧米では、開業医が外来診療を担い、病院勤務医は手術・検査と入院対応を主に担っています。救急医療の現場においても、欧米の場合は専任者がいますが、日本は救命センターでもない限り、一般の勤務医が対応をしています。日本の勤務医は、外来診療や病棟業務の最中に搬送された救急患者を診療し、それが終わったら、外来診療や病棟業務を続け、必要であれば、検査の指示を出し、外科医ならば手術もこなします。
 欧米と日本では医療制度そのものが異なりますが、昨今の診療報酬では、一定規模以上の病院での外来診療をやめ、病院は入院診療を、開業医が外来診療を、とすみ分けを促す診療報酬体系になっています。欧米と同様に、一般外来診療を禁止にすることで、勤務医の労働環境は良くなると考えます。
(略)
 勤務医にとってどうしても外せない業務とは、外科医にとっては手術であり、内科医であれば検査やカテーテル治療、内視鏡治療などです。入院患者の診療はもちろん外せません。二次三次救急医療も病院でなければ難しいでしょう。手術時間が延長することもあります。私たち全国医師連盟も、また全国の勤務医の皆さんも、医師として患者さんに必要な医療を提供する時間を削減してほしいわけではありません。医療者としてのプライドと使命感をもって、医療に取り組みたいと考えています。ただ、あまりにも多岐にわたる膨大な業務に追い立てられている現状であり、その効率化にも限度があり、そのために医師の仕事の役割分担をしてほしいと考えているにすぎません。
(略)
 今回の提言である「病院勤務医の外来診療を完全に廃止すること」を、「単純計算である」と議論の檀上に上げることはどうかと疑問視される方もいるかと思います。しかし、大多数の病院勤務医は専門医です。開業医と比べて総合診療は得手とは言い難いのではないでしょうか。いわゆる一般的な外来診療を各専門医が診療することも、医療資源の無駄とも言えるのではないでしょうか。専門家が専門家としての実力をいかんなく発揮できる環境を作ることは、医師だけでなく、国民全体に対して非常に有益なことです。
 自分の専門外の愁訴を訴えられることに対して、苦手意識を有している病院勤務医は私一人だけでないはずです。『ガイドライン』をはじめとした診療マニュアルを、各専門学会がいくつも発行しています。医療安全を考えれば、病院勤務医は、外来診療を自分よりも長けている開業医に託すべきではないかと、考える次第です。

開業医が勤務医よりも外来診療に長けているかどうかは異論もあるところだろうと思うのですが、不定愁訴等も含めたいわゆる一般外来診療についてまずは開業医にと言うのは国策とも合致する話ですね。
ただ逆に何故勤務医が外来まで手がけているのかと言う点について、来た患者は拒めないと言う応召義務もありますが、勝手にどんどん紹介されてくる患者は診なければならないと言う現実もあります。
また他方ではいったん受けた患者を逆紹介したがらない勤務医がいるのも現実ですが、外来枠を空ければ余計に患者が増えると言う点で、入院ベッドをどうでもいい患者で埋める心理と同じようなものかも知れません。
他方ではそもそも開業医が多すぎるのではないかと言う声も根強くあり、実際昨今では開業医自身が開業医余りを感じつつあるようですが、この点に関して先日こんなニュースが出ていました。

「外来医師多数区域」での新規開業、2020年度以降厳しく(2018年12月26日医療維新)

 厚生労働省は12月26日の「医療従事者の需給に関する検討会」の第25回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)で、外来医療(診療所医師)の偏在対策として、「外来医師多数区域」(二次医療圏単位)を設定、同区域で開業する場合には、届け出を行う際に、在宅医療、初期救急医療、公衆衛生など「地域で不足する医療機能」を担うことを合意する旨の記載欄を設ける方針を提示した。合意欄への記載がないなどの場合、行政が開催する協議の場への出席を求め、協議結果を公表する(資料は、厚労省のホームページ)。
 「外来医師多数区域」として「可視化」することで、競合が激しい地域であることが分かる。その上、在宅医療等を担うことが開業のハードルになる。厚労省は、これらを通じて「外来医師多数区域」での開業を減らし、外来医療の偏在解消を狙う。厚労省医政局地域医療計画課は、「一種の駆け込み開業は、危惧している」と述べつつ、「外来医師多数区域ではなく、それ以外での区域での開業を促す。多数区域で開業するのであれば、在宅医療などをやってもらいたいということ。開業制限ではない、という点に気を付けて議論してもらいたい」と求めた。
(略)
 診療所の新規開設は増加傾向にある。人口10万人当たりの無床診療所数には都道府県格差があるほか、同じ都道府県内でも、特別区、政令指定都市など、都市部に多い。外来医療の約7割は診療所、約3割を病院が担う。厚労省はこれらの現状を踏まえ、二次医療圏単位で設定する「外来医師偏在指標」は、診療所医師数、性・年齢階級別の外来受療率、昼間人口などを調整して計算する方法を提案。
 その結果、上位「○%」(2019年3月末までに決定)を「外来医師多数区域」に設定。都道府県がホームページなどを通じて、新規開業希望者等に情報提供する。
 「外来医師多数区域」で、新規開業する医師に対しては、冒頭に紹介したように、届け出を行う際に、地域で不足する医療機能を担うことに合意する旨の記載を求める。行政の「協議の場」は、二次医療圏単位が原則だが、市町村単位も可能で、入院医療と同様、地域医療構想調整会議を想定。作業部会(ワーキンググループ)を設けるなどして、柔軟に対応できるようにする。
(略)
 これに対し、日本医師会副会長の今村聡氏は、「病院と診療所の外来はかなり違う。多様な診療科の診療所が、多様な疾病を診ている。診療科別に細かく分析するのは難しいのではないか」と指摘。ただ、二次医療圏でも、地域によって人口規模が違う上、診療科によっても診療圏が違うことから、「外来医師多数区域」を二次医療圏として一律に考えることには疑問も残るとした。
 慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、「外来医療が5、10年後にどんな方向に行くのか。病院と診療所の関係をどのようにしていくのか、また診療所には、かかりつけ医機能を担ってもらいたいといったビジョンを明確にしておいて、指標を作ることが必要」と、将来を見通した対応の必要性を指摘。
 その他、全日本病院協会副会長の神野正博氏からは、「開業する際には、単に医師数だけでなく、何歳のドクターがいるのか、後継者がいるか、経済的な理由で廃業した数など、いろいろなデータをマーケティングする。単純に数だけを提示しても、非現実的ではないか」など、より開業判断に資するデータの必要性を指定する意見も挙がった。
(略)

 津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏は、「サービスを調整する方法は3つある。規制、情報提供、経済的なインセンティブ」とコメント。「日本は需給調整については、経済的なインセンティブを使ってやってきた。このツールなしに議論しても、いい解決策がでないのではないか」と診療報酬等を絡めた議論が必要との意見だ。さらに「外来医師多数区域」での開業に当たって、「協議の場」の結果を公表することは、「社会的な抑制効果、強力な制裁手段であり、一種の規制になりかねない」と指摘しつつも、「新規開業医師への情報提供だけではちょっと難しく、次の一手の布石を打っておかなければいけないのではないか」と提起。
 神野氏も「外来医師多数区域」で新規開業しても経営が成り立つ場合、医療需要が多い、あるいは診療報酬に問題があるのかのいずれかであるとし、診療報酬の観点からの検討が必要だとした。

単純な医師数比較だけではなく診療報酬の多寡など、需給バランスの観点も入れるべきだと言うのはごもっともなのですが、いずれにせよ従来のような自由な開業はいずれ規制されそうであると言うことですね。
開業医に逆紹介する勤務医の観点からすると様々な疾患を幅広く診てくれるだとか、日常診療に加え多少のトラブルには対応してくれる開業医がありがたいでしょうし、そうした開業医が増えて欲しいところです。
この点で単に定期的な投薬だけの医師よりも、各種検査や処置を行う医師の方が顧客単価は高いはずで、診療報酬の分析によって医師の診療行動を評価出来る可能性があります。

ただ従来は特に開業医の場合、顧客単価が高ければ高いほどレセプトの査定で目を付けられやすいと言う面もあって、出来ることでも敢えて診療を手控えしている先生もいただろうと考えるともったいない話です。
この辺りは審査をする保険者の側にも意識改革が求められるところですし、扱った症例数などを競い合ってきた勤務医とはまた違った開業医なりの評価のあり方についても考えておく必要があるでしょうね。
いずれにせよ今後タスクシフティングの一環としても逆紹介増加は必須であり、多忙な勤務医ほどいかに開業医や他医療機関など、地域の医療リソースをうまく使いこなすスキルが求められるようになりそうです。

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2019年1月15日 (火)

誤ったメッセージが伝わってしまったのか、真意が伝わりすぎてしまったのか

先日以来出ている医師の残業時間を年間2000時間まで認めると言った話に関して、世間的にはさすがにいささかそれはどうよ?と言う当然の反応が出ているようです。
しかし議論をしている側のエライ先生方にはまた別な考え方もあるようで、問題視する方が問題だと逆ギレする向きもあるようですから面白いものですね。

医師の残業、年2千時間 上限規制で厚労省が制度案(2019年1月10日共同通信)

 医師の働き方改革を巡り、2024年4月から勤務医に適用される時間外労働(残業)の上限を規制する厚生労働省の制度案が9日、関係者への取材で判明した。地域医療を担う特定の医療機関は、特例として勤務医一般の上限の約2倍となる「年1900~2千時間」を35年度末まで認める
 特例の上限は休日労働を含む。1カ月に換算すると約160時間で、過労死ラインとされる「平均80時間」の2倍。労働者側から強い反発が出そうだ。医師の負担軽減を議論する11日の検討会で示される見通し。

 制度案によると、勤務医一般の上限は「年960時間」。ただ、急激な労働時間の削減となり、地域医療の体制が崩壊する恐れもあるとして特定の医療機関に特例を認めた。対象は、地域ごとに必要な医療に対応できるかを基準に検討。救急や周産期を担ったり、高度のがん治療など専門技術を提供したりする医療機関を想定している。
 また、若手医師などが技能向上を図るため、別の年間上限も特例として設ける
 いずれの場合も月の上限は100時間未満とする一方、医師の面談を受けることで上限超えを可能とする。特例措置を受ける場合も、勤務と勤務の間に9時間の休息の確保や、連続勤務を28時間までとすることが義務

 厚労省の調査によると、年間の残業が1920時間を超える勤務医は約1割。


時間外上限「地域医療確保暫定特例水準」1900~2000時間(2019年1月12日医療維新)

 厚生労働省は1月11日の第16回「医師の働き方改革に関する検討会」(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に、診療に従事する勤務医の時間外労働時間の具体的な数字として「年間960時間、月100時間(例外あり)」と、地域医療を適切に確保するための「地域医療確保暫定特例水準」として「年間1900~2000時間、月100時間(例外あり)」を提案した。いずれも休日労働を含む数字で2024年度から適用し、「地域医療確保暫定特例水準」は2035年度末までに解消することを目指すもので、次回以降も引き続き議論する(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省はこの日の議題として、ここまでの議論に関する「とりまとめ骨子(案)」と時間外労働時間の上限を提示し、この順番に議論した。前回(2018年12月19日)の会議で骨子案のたたき台を議論し、岩村座長がそれを基に骨子案と数字の案をそれぞれ用意するよう事務方に指示(『働き方骨子案たたき台「現場の医師の声盛り込むべき」副座長が苦言』を参照)。
 骨子案には勤務医に適用する上限水準(A)、地域医療を適切に確保するための水準(B)、一定の期間集中的に技能の向上のための診療を必要とする医師を対象とする水準(C)を設けて、BとCはAよりも高い水準とする枠組みが記載された。Bが「年間1900~2000時間、月100時間(例外あり)」で、Cについては、今回は具体的な時間数は示さなかった。
(略)
 1900~2000時間の根拠は、病院の常勤勤務医の時間外勤務時間が、1920時間を超える医師が約1割いて、それが1人でもいる病院が全体の約3割、大学病院の約9割、救急機能を有する病院の約3割、救命救急センター機能を有する病院の約8割と、必ずしも一部に偏ってはいないこと、2024年度以降の上限が罰則付きで「絶対に超えてはいけない」基準となることなどを挙げた。BとCは、Aの健康確保に関する努力義務を「義務」と強くすることで、健康確保を図る。

 上限時間の議論の冒頭、岩村座長は「労働時間を減らすことだけではなく、日本の医療提供体制をどうするかと合わせて考えないと実現できない」と指摘。日本医師会副会長の今村聡氏と日本病院会副会長の岡留健一郎氏からは、「2000時間」の数字が9日に報道されたことを受けて「数字だけが出ると、『そこまで働かせるのか』という誤ったメッセージになる」(今村氏)などと、報道が先行したことへの苦言が呈された
(略)
 千葉大学医学部附属病院院長の山本修一氏は「一時的であれ、医療の質が低下することが許容されるのか。(1920時間超の)1割は医療の高度化によって生じている部分がある。この人達がいることで救える命があることも直視しないといけない」と述べた。一方、自治労総合労働局長の森本正宏氏は「2000時間は(960時間の)2人分働いていると認識する必要がある。長すぎる。短くする検討を」と事務局案に反対を表明した。
 東京女子医科大学東医療センター救急医の赤星昂己氏は、救命救急センターが数人の医師で回っているという自身の経験に照らし、「現場では勤務間インターバルは不可能だ。そうすると、集約化となる」と指摘。また、BやCの医療機関が指定されて公表された場合に、上限時間が長いことから医師に避けられてしまうのではないかという懸念も示した。

(略)


残業規制、厚労省案 医師の「献身」に依存 上限2000時間、一般労働者の2倍 (2019年1月13日毎日新聞)

 ◇「地域」盾に日医主張

 昨年6月に成立した働き方改革関連法で適用除外になっていた医師の残業規制について、厚生労働省は11日に地域医療を支える勤務医は年1900~2000時間を上限とする案を示した。一般労働者の約2倍に当たり、過労死した人の遺族や労働団体などの反発は避けられない。一方、医師不足地域では、医師の「献身」で救急など過酷な現場を支えている実態があり、規制を不安視する声も上がる。医師の働き方改革には、負担の軽減や偏在の是正が不可欠だ。

 「医師は人の命を扱うため、精神的な負荷は高い。一般労働者より残業規制は厳しくてもいいぐらいだ」。2016年に過労自殺した新潟市民病院の後期研修医の女性(当時37歳)の遺族側代理人を務める斎藤裕弁護士は、厚労省の規制方針に憤る。
(略)
 今回の厚労省案は「働き方改革」どころか、過重労働を容認しているように読める。一般勤務医の上限は他の労働者と同様に年960時間(月平均80時間)だが、地域医療の核となる医療機関に従事する医師はその約2倍。そのレールを敷いたのは、日本医師会(日医)と、日医の支援を受ける自民党だ。
 日医には勤務医も加入しているが、活動の中心は病院経営者や開業医で、使用者団体の側面が強い。勤務医の労働時間が縛られると人員確保や人件費の負担が膨らむことを意味する。
 厚労省関係者によると、自民党の厚労族議員の間では、高収入の専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」の医師版導入を求める声もあったという。法改正が必要で国会対応が難しいとして見送られたが、日医は水面下で残業の上限を年2000時間と訴え続けてきた
 厚労省内でも、地域医療への影響を避けたい医療部門は日医の意向をくんで調整に動く一方、労働部門は規制の例外を作るのに難色を示した。綱引きは緊迫化し、予定していた昨年末の提案は見送られたが、最終的に「病院を閉じろというのか」と詰め寄る族議員に押し切られた形だ。
(略)
 実際、既に一部医療機関では、働き方改革に合わせた「自衛策」も広がりつつある。毎日新聞が昨年6月、大学病院など全国85の特定機能病院を調査したところ、少なくとも21病院が診療体制や患者サービスを縮小するか、縮小を検討していた。深夜帯の軽症患者の受け入れをやめたり、患者や家族への説明を平日の勤務時間帯に限定したりと、比較的影響の小さい対策にとどまるものの、ある病院幹部は「上限に達したからといって代わりの医師がいるわけではなく、病院を閉じない限りは(規制を)守れない」と強調する。
(略)
 地域や診療科間の偏在是正も課題となる。厚労省調査では、産婦人科や救急科、外科などの勤務医は半数前後が月80時間(年960時間)以上の残業をしている。特に医師不足の地域では、交代要員も少なく過労が常態化しやすい。村上正泰・山形大教授(医療政策学)は「地域医療を担う病院は『労働条件が厳しい』と敬遠され、医師確保が難しくなる悪循環に陥りかねない。重症患者向けの急性期医療は集約し、かかりつけ医との機能分担を進めて負担を減らすべきだ」と訴える。【酒井雅浩】

しかしすっかり日医は悪者になっている感がありますが、日医に限らず働かせる側のロジックだけで労働規制を行おうと言うこと自体に無理がある話で、労組的な組織のない医師と言う職業の課題であるとも言えます。
ただ一方で医師の場合は自分で職場を選べる自由も高いと言え、特に今回議論されているように年2000時間の残業を強いるような施設で働くかどうかは自らの裁量であり、自己責任であると言う意見もありますね。
実際に過労死推奨施設扱いされることになる指定医療機関が今後どうなるのかですが、しかし未だに「一時的であれ、医療の質が低下することが許容されるのか」などと言う先生もいるわけです。
昨今の医療費抑制の流れとも関連して医療にも制約があることは自明である以上、国民もさることながら医療従事者自身も意識改革が必要なところですが、むしろ後者の方が固定観念に囚われているかも知れません。

制度の面からの労働規制が困難である理由として、応召義務よりも日医が長年主張してきたアクセスの自由の方が効いている印象もありますが、この点は経営側の裁量も大きい部分です。
記事にもあるように一定の診療制限を実施すればある程度対応出来る部分でもありますが、出来高払いで常にフル操業でなければ赤字になる診療報酬設定が根本的原因だとも言えますね。
そうした制度的制約の中でスタッフを大切にするため創意工夫する施設ほどより多くのスタッフが集まり、長期的に見てより繁栄していくと言うことになれば理想的ではあるでしょう。
ただ現実的にはナショナルセンターなどを中心として、少なくとも当面は厳しい罰則で規制せざるを得ない部分も多いと思いますが、どのような罰則が実効性があるのかです。

医療のあり方が診療報酬次第で誘導されるように、経済的な面からの罰則がもっとも有効性が高いと思われますが、要するに日医が嫌いそうなペナルティを設定すればいいわけです。
地域医療計画では自治体が地域内の病床配分も決めていくことになりますが、例えば超過労働が多い施設から病床数削減していくなら自然と労働時間の平準化も進んでいくかも知れません。
過労死水準の倍という緩い労働時間規制ですら守れず超過させたり、あまつさえ実際に過労死など出してしまった施設には保険診療停止などのペナルティも考えてもいいでしょう。
この辺りは単純に罰則と言う意外に、営業停止的処分がそのまま超過労働対策にもなるわけで、スタッフの心身の健康維持が患者の健康を守ると言う観点からも意味がある話でもありますね。


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2019年1月13日 (日)

今日のぐり:「いわ屋」

先日話題になっていたのがこちらのびっくりニュースです。

中学生がマグロ「獲ったどー」 174センチ、97キロ、素手で格闘(2019年1月9日南海日日新聞)

 鹿児島県奄美市笠利町の中学生2人が8日午後、同町赤木名海岸に迷い込んだキハダマグロを素手で「確保」した。獲物は174センチ、97・6キロの大物。ご相伴に預かった住民は大喜び。2人は「あまりの大きさに、びっくりした」と笑顔で話した。

 大物を確保したのは赤木名中学校3年の男子生徒。2人はこの日午後2時ごろ、赤木名海岸へ向かった。海岸で遊んでいた小学生が「サメがいる」と騒いでいたので見ると、サメではなく、マグロだった。
 浅瀬だったこともあり、2人は「確保」を決意。近くに道具が見当たらなかったため、パンチとキックでマグロに立ち向かった。マグロは当然、暴れたが、しばらくすると、弱ってきたため、海岸にあったロープをマグロの尻尾に巻きつけて陸揚げした。この間、約1時間。

 あまりの大きさに2人はマグロと背比べもした。その後、大人の協力を得て近くの奄美漁協本所に運んで計量。記念写真も撮影してもらった。駆け付けた住民からは「すごい」「こんな大きいキハダマグロは見たことがない」と歓声が上がった。
 マグロは居酒屋の主人がさばいてくれ、近所に配った。中学生2人もマグロステーキをいただいた。住民は元気な少年の活躍に感心し、感謝していた。

キハダでなかなかこんな大物はお目にかかれませんが、しかし素手でマグロと立ち向かい捕獲すると言うのも前代未聞ではないでしょうか。
本日は中学生2人の栄誉を称えて、世界中からそれはちょっとすごいと言うしかない方々のニュースを紹介してみましょう。

何だ天才か。「プラレール」のレールが足りず工夫した結果…神や(2017年12月28日MAG2ニュース)

トミカ、トミカ、プラレール♪ というわけで、男のお子さんのいるご家庭にはもれなくあると思われる国民的おもちゃ、それがタカラトミーの「プラレール」ですよね。
そんなプラレールのレールが足りなくなってしまったという親御さんが、天才的な解決方法でその窮地を脱した!とツイッター上で話題になっています。

天才的な動画を投稿したのは、ツイッターユーザーのごぢ?さん(@godi3)。
あ、神だ。もうダビンチとかエジソンくらいの天才だ、コレは。古代ギリシアなら、ユリーカ!と叫びながら町中を裸で走りまわるレベルの天才ですよ。
コレつかって、ピタゴラ何とかみたいな奴、作ってくれたら最高ですね。NHK映らないから知らんけど。。。

その状況は元記事の動画を参照いただきたいのですが、この発想はちょっとなかったと言うしかないですね。
日本でも時折報じられる悲劇的な事故を防いだ英雄が報じられていましたが、一人の英雄の陰には…と言う続報も話題になっていました。

マリ移民が救助の幼児、父親に執行猶予判決(2018年09月26日BBC)

パリ北部の18区で今年5月、集合住宅の4階ベランダからぶら下がった幼児を移民男性が建物をよじ登り救助した件で、この幼児の父親に3カ月の執行猶予判決が下った。
保護責任者遺棄罪で有罪となった父親はこのほか、より良い親になるための研修を受けるよう命令された。

幼児を助けたマリ移民のマモウドゥ・ガッサマさんは、素手でベランダを4階までよじ登り、見守られずに放置されていた男児を助けたことで、世界的な称賛を受けた。
ガッサマさんはその後、フランス市民権を与えられ、エマニュエル・マクロン仏大統領と面会した。

父親の名前は明かされていないが、検察によるとこの父親は幼児を家に置いたまま買い物に出かけ、ソーシャルゲーム「ポケモン・ゴー」で遊ぶために帰宅を遅らせたという。
幼児の母親は当時、一家の地元の仏領レユニオンに滞在していた。

父親を担当するロマン・ルイス弁護士は地元紙ル・フィガロに、父親は自分の過ちを十分に理解していると話した。
なお救助された幼児は、翌日に両親の元へ返されている。

これも驚くべき元記事の動画を参照いただきたいのですが、しかし日本でも全く他人事ではない事件ですよね。
時間にルーズであるのは嫌われるものですが、こちら見事なフォローに称讚が集まったニュースです。

結婚式に花嫁が遅刻! 花婿がとった行動に、会場は拍手喝さい(2017年12月13日Grape)

夫婦となり、これからの道を共に歩んでいくことを誓う結婚式。人生の記念すべき日であり、新しい人生の門出ともいえます。
しかし、そんな大切な日に限ってアクシデントが起こってしまうことも…。

結婚式の日を迎えた、とあるカップル。式場には大勢の人が来てくれたものの、主役の1人である花嫁が現れません。
どうやら花嫁は、なんらかの理由で結婚式に遅刻してしまったようです。
主役がそろわない以上、式を進めることはできません。そこで花婿がとった行動とは…。
(略)
こんなにも気遣いができて、エンターテイナーとしても一流な男性と結婚できる花嫁は、幸せですね!

これも是非元記事の動画を参照いただきたいと想いますが、確かにこれは盛り上がったことでしょう。
最後に取り上げますのはご存知ブリからのニュースですが、まずは記事から紹介してみましょう。

列車で起きたら膝に100ポンド、見知らぬ人に英国の女性が感謝(2018年01月30日BBC)

列車で眠っていた英リーズ在住のエラ・ジョハンセンさん(23)は、目を覚ましてびっくりしてしまった。紙ナプキンで覆った現金100ポンド(約1万5000円)が、膝の上においてあったからだ。

ジョハンセンさんは27日、英中部ピーターバラから北部リーズへ列車で移動中、いかに家計が厳しくて、いかに「ストレスだらけでイライラしているか」を電話で母親に訴えていた。
それからしばらくうとうとしたジョハンセンさんがやがて目を覚ますと、膝の上に紙ナプキンがかぶせてあり、その下に20ポンド紙幣5枚があるのに気づいた。このプレゼントのおかげで、当座借越の限度額を超えずに済むという。
見知らぬ恩人を見つけようとするジョハンセンさんのフェイスブック投稿は、英国時間30日朝までに6500回以上シェアされた。

ジョハンセンさんはリーズ・ベケット大学の卒業生。最終学年の時、勉強に専念するためアルバイトを諦めたため、借金ができてしまったとBBCに話した。
「素晴らしい人」
「自分がどれだけ金欠で、どれだけお金のことが心配かを母親に話して、落ち込んでしまった」とジョハンセンさんはフェイスブックに書いている。
目が覚めて現金を見つけ、見知らぬ人の優しさが「あまりにありがたく」て、泣き出してしまったという。

ジョハンセンさんは「父と父方の祖父母を両方ともなくして、ひどい18カ月間だったけれども、世界は優しいし、善い人たちがいると実感できた」とも書いている。
「助けてくれた人に、どれほど素晴らしい人か伝えたい。あなたのおかげでどれほど元気が出たか、どれほどありがたかったかと」
ジョハンセンさんは自分も慈善活動にボランティアとして参加することで、自分が受けた「優しさを次の人へ」つなげたいと話している。

何やらブリ発でありながら妙に良い話っぽいのが一番のびっくりニュースですが、しかしこういう方もいらっしゃるのですね。
今年のびっくりニュースも数多くあるのでしょうが、どれも喜ばしいものばかりであればこれに越したことはありません。

今日のぐり:「いわ屋」

倉敷市南部の水島地区は幹線道路沿いにあるこちらのお店、以前は別のうどん屋だったようですが、数年前から讃岐うどんのお店が出来ています。
まだまだ知名度は高くないにも関わらずすっかり人気店になっているそうで、この日も開店早々にも関わらず席待ち状態でした。

ジンジャエールありますとの張り紙が気になりますが、メニューはごくベーシックなものばかりで、湯だめと釜揚げはちゃんと別扱いになっていますね。
ひとまず冷たいぶっかけうどんを頼んでみましたが、薬味としてワサビと生姜を選べるのですが、全体としては岡山風のぶっかけうどんに仕上がっています。
この一見岡山風の柔らかめ、もっちりしたうどんがなかなかのもので、特にこのコシの強さは特筆ものですし、汁の塩梅もバッチリでこれはうまいうどんですね。
見ていますと全部乗せのスペシャルなども人気のようですが、これの大盛りはちょっとすごい盛り具合で、味も量もうどんだけで十分満足出来る内容です。

ご主人は脱サラして香川で修行しこの店を開いたのだそうですが、しかしここまでのうどんが出せるのなら本物で、人気の高さも納得するしかありません。
https://kurashiki.keizai.biz/headline/370/
全体に岡山県は香川県より柔らかめのうどんが好まれる印象がありますが、うどんのコシとは何かを知りたければこちらのうどんを食べてみるといいのでしょうね。

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2019年1月10日 (木)

医療現場へのコストパフォーマンス評価、導入進む見込み

以前からその導入が検討されている医療の費用対効果評価について、先日こんな記事が出ていました。

製薬団体「費用対効果評価は一部新規収載品に限るべき」中医協合同部会でヒアリング、「補助的な手段」と主張(2018年12月19日医療維新)

 中央社会保険医療協議会は12月19日に費用対効果評価、薬価、保険医療材料の各専門部会の合同部会を開催し、費用対効果評価の本格的導入検討に関して関係団体からヒアリングを行った。日本製薬団体連合会(日薬連)、日本製薬工業協会(製薬協)、米国研究製薬工業協会(FhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)を代表して意見陳述した製薬協会長の中山讓治氏は、「新規収載品のうち、算定方式にかかわらず、一定率以上の有用性加算が適用され、かつピーク時の売上高が一定額以上になると予測される品目とすべき」などと述べ、既収載品などは対象外とするべきだと主張した(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 中山氏は、諸外国では日本のような精緻な薬価基準制度がないために費用対効果評価が用いられているとして、薬価基準制度との整合性を保持し、保険償還の可否判断には用いるべきではなく、新薬評価の補助的な手段として用いられるべきだと説明。企業による分析の期間を6カ月以上確保することや、価格調整率を加算率の50%以内、かつ価格全体の10%以内にすることなどを求めた。さらに、FhRMAとEFPIAは連名で、価格調整の対象は加算部分のみとすることなどを求めた。
(略)
 日本歯科医師会常任理事の遠藤秀樹氏は、意見陳述の中でハニンジャー氏が費用対効果評価によりアクセス制限が生じる可能性があると言及したことについて、「どんな要因でどんなアクセス制限があるのか」と問いただした。FhRMA在日執行委員会委員長代行のジェームズ・フェリシアーノ氏は「世界の製薬企業が日本で上市することを優先する市場になってきたが、この3年で変わってきている。非常に厳しい費用対効果評価が日本で導入されれば、日本に優先的に投資を行う魅力が薄くなる。アクセス制限につながるリスクがある」と指摘。
 ハニンジャー氏は「英国はICER(増分費用効果比)が保険適用の判断にも使われ、新しい乳がんの治療薬の上市を妨げている。ヨーロッパでのがんの生存率が英国のそれを上回っている。これは全てICERをベースに保険適用の可否を決めていることによる。英国のような制度をあえて導入するのか。皆様のご判断だ」と述べた。

医療財源が逼迫する折ですから、医療現場においても費用対効果の考え方も必要であると言う総論には誰しも異論ないところだと思いますが、その実際に関しては意見の分かれるところでしょうね。
日本の場合新薬は既存薬よりも優れていなければ保険収載されず、同時に既存薬よりも優れていると言う点からより高い値付けをされる制度ですが、その結果新薬はどんどん高価なものになっていく道理です。
費用対効果の考え方でコスパが悪い場合はそもそも新薬として認めないのか、あるいは効果相応に価格を引き下げるのか一定範囲の減額に留めるのかなど、検証の結果をどう反映するかによっても影響の大きさはずいぶん変わってきそうですね。
さて、こうした費用対効果のいわば枠外にあるのが保険外の診療と言うことですが、先日全国各地で行われている自治体の癌検診についてもこんな記事が出ていました。

推奨外がん検診に注意喚起 厚労省が指針改定へ 8割の自治体が実施(2019年1月7日共同通信)

 市区町村が住民向けに行うがん検診について厚生労働省は5日までに、死亡率の低減効果が不明確なものは推奨していないことを国の指針に明記し、注意喚起する方針を決めた。前立腺や卵巣がんなど推奨外の検診を87%の自治体が行っている現状を改善するためで、どの検査方法を「推奨しない」とするか検討し、2019年度にも指針を改定する。

 厚労省は公費で行う自治体のがん検診について、死亡率を下げる効果が確認された胃、子宮頸部(けいぶ)、肺、乳房、大腸の5種類のがんの検診を推奨。検査方法、開始年齢、受診間隔を指針で示している。だが、これまでは勧めない検診が何かは特定していなかった
 全国1730自治体の16年度の状況を調べると、推奨されていない前立腺がんのPSA検査を82%が実施していた。PSA検査は前立腺の組織が壊れると増えるタンパク質を採血で量るもので、推奨の根拠を提供する国立がん研究センターなどの研究班は「効果を判断する証拠が現状では不十分」としている。一方、日本泌尿器科学会は「死亡率は低下する」として強く推奨し、見解が分かれている
 他に、日本では効果が明確になっていない上、米国では「不利益が利益を上回る」とされた卵巣がん検診が5%、甲状腺がん検診は4%の自治体で行われていた。

 検診自体に大きな危険があるわけではないが、放置しても命取りにならないがんを見つけて治療することになる過剰診断や、精密検査に伴う合併症などの不利益を被ることもある。このため厚労省は、死亡率を下げるという利益が不利益を上回る検診のみを推奨している。
 推奨は自治体の事業が対象で、個人が自己判断で人間ドックなどを受けることは妨げていない

完全な自費で行う人間ドック等の任意健診の場合は特に制約がないのは当然ですが、自治体が公費を投じて行う癌検診においても費用対効果が求められるのも当然と言えば当然でしょう。
この検診項目については以前から議論があるところですが、当然ながら医師の間でも意見が分かれるところですし、PSAなどは腫瘍マーカーの中ではむしろ有用性が高いものとして定評があるものです。
この点では人間ドックのオプション検査でやたらと多数の腫瘍マーカーを選択し、高値が出たからと保険診療でフルセットの全身検査を要求するようなケースの方がよほど医療財政に悪影響はありそうにも想いますね。

医療技術の進歩と言う点から考えますと、わずかな検体で多数の癌を調べられると言った技術が実用化間近な段階で、将来的にどこまで検診等に使っていくかと言う判断を迫られることになりそうです。
PET-CTなども検診目的で使うには高価過ぎると思われていた検査も、担癌患者の評価など今や医療現場に完全に定着しているものもあり、どんな検査も使い方を間違えなければ相応に有効なはずです。
検査自体は一見して多少割高に思えても、検査に要するマンパワーを大きく節約出来ると言うことであれば人材不足の医療現場では有用性が高いとも言え、今後そうした点も含めての評価が必要でしょうね。

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2019年1月 7日 (月)

地域医療構想、良くも悪くも首長の医療への影響力が増大する可能性大

以前にも紹介しました奈良県の診療報酬一律カット計画が頓挫したらしいと報じられていましたが、結局は奈良県知事も地元医師団体と闘うよりは協調路線を選択したようです。
これはこれで実現すれば興味深いことになっていたのではと期待していただけに残念ですが、地域医療については今後地域医療構想に基づき各地の自治体が主体となって整備することとなっています。
当然ながら今後は国の医療政策を批判するだけではなく、自ら明確なビジョンを提示し地に足のついた医療計画を策定する必要がありますが、自治体レベルでそうした面を構想できる人材がいるのかどうかです。
この点で奈良県のみならずやはり首長の意向はかなり大きなものになるのではないかとも想像するのですが、先日興味深い記事が出ていたことを紹介してみましょう。

地域医療構想、実現を阻むのは「首長」(2018年12月21日医療維新)

 厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・九州大学名誉教授)の第17回会議で12月21日、山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授の村上正泰氏は、地域医療構想の協議で感じる課題として、「公立病院においては政治的影響があり、首長などの意向に判断が左右される」ことを挙げ、調整会議で話し合っても、それが実現しにくい現状があると指摘した(資料は、厚労省のホームページ)。
 村上氏は、「病床利用率が低下しても、少ない人口の範囲内でそれぞれが病院の体裁の維持に固執し、ダウンサイジングや再編・統合には消極的」と説明。依然として「拡大路線」を志向する首長の存在が、地域医療構想実現の阻害要因になっているとした。
 奈良県立医科大学教授の今村知明氏も、「ほぼ同じ課題を感じている」と述べ、「首長にどこまで踏みとどまってもらえるかだ」と指摘した。ダウンサイジングや再編・統合の協議が始まると、反対運動、さらには落選運動が起きたり、反対派が首長に当選したりするという難しさがあるとした。
 全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏からは、「信じられない。そんな首長がいるのか」との声も上がった。「今は人口減だから、ダウンサイジングしようという動きがある。地域に必要な医療を維持するには、再編統合等が必要。自分の一存で決めるなんて、考えられない」(小熊氏)。
 日本医師会副会長の中川俊男氏も、村上氏が紹介したような公立病院の動きは、「地域医療構想策定ガイドラインに抵触しているのではないか」と問題視。さらに「公立病院の改革は、首長の権限の範囲内にしなければいけないのか、と思ってしまう」と述べつつ、「しっかりと考える首長もいれば、次の選挙を気にする首長もいる。いくら新公立病院改革プランを出して協議を求めても、『無理だな』と考えてしまいがちだが、諦めずに頑張る必要がある」と関係者に呼びかけた。
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 村上氏は、「地域医療構想の協議で感じる課題」として、(1)制度的問題、(2)公立病院における政治的影響、(3)調整会議の機能――に分けて、提示。(2)の中で挙げたのが、「首長などの意向に左右される判断」。
 「地域の患者数自体が減少し、病床利用率が低迷していても、『それは医師が少ないから』と言って、医師の増員を求めるなど、ダウンサイジングには消極的」と指摘。
 ある公立病院の事例では、新築、移転の際に、話し合いの場では、「現状維持、あるいはダウンサイジングが必要」という意見が出ていた。しかし、病院を設置している自治体の長の最終的な判断によって、病床は減らしたものの、救命救急センターを新設、診療科も10近く増やす予定になったという。「地域医療構想と、ややずれると感じられることが、首長の意向によって出てくる」。
 日本病院会副会長の岡留健一郎氏が、「地域医療構想アドバイザーとして強く言えないのか」と尋ねると、村上氏は「病床利用率が低下している中小規模の公立病院について、再編統合を急がなければいけないという共通認識が医療関係者の間に出ていても、首長の選挙前だからといって動かない。選挙が終わってもなかなか動かず、結局、また次の選挙の時期が来てしまう。公立病院のガバナンスは大きな問題」と指摘した。
 その他、村上氏は、県の医療政策担当部局と病院事業担当部局の連携不足で、足並みが揃わないことも指摘。「医療政策担当部局の職員も、ローテーションで代わるので、あまり詳しくない人が担当になると、また基本的なところからやらなければいけないという問題もある。ノウハウの蓄積と部局間の連携が必要だが、それができていない」。
(略)

この選挙と絡んだ首長の意向が地域の医療に大きく影響してくると言う問題、古くはUターン、Jターンを進めるような地方の小さな自治体でも問題視されてきた経緯があります。
地元に自治体病院がありますだとか、小児医療は全て無料にしますと言った政策が選挙民や移住希望者への受けも良いのは事実でしょうし、そうした政策を掲げ推進することが当落に直結してきた経緯もあるのでしょう。
とは言え、実際に医療を担当する現場としてはまた別な意見もあるはずですから、あまりに現場の感覚と乖離したトップダウンの政策では医療は立ちゆかないと言う事もあり得るはずですね。

逆に首長のトップダウンによって医療現場の負担軽減のための政策を推進した事例として、以前に岩手県立病院再編に関わる経緯を紹介しましたが、知事は県議会の場で土下座までしたと伝えられています。
地域住民の根強い反対を知事が押し切ったと言う形ですが、興味深いのは報道各社が批判的な住民の声を大々的に取り上げたにも関わらず、知事はその後の知事選も連続して再選していると言うことです。
声の大きい人達の意見が必ずしも多数派ではないと言うことはままあることですが、外野からの意見に過度に左右されることなくどれだけのビジョンを提示出来るか、今後は各首長の見識が問われそうですね。

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2019年1月 4日 (金)

今日のぐり:「かんだやぶそば」

遅ればせながら、2019年も当「ぐり研」をよろしくお願い申し上げます。
さて、もっとも有名な韓国人の一人とも言えるお方が、先日亡くなったと言う残念なニュースが報じられていました。

“扇風機おばさん”が死去…整形の副作用で苦しむ姿が日本でも話題に(2018年12月18日スポーツソウル)

不法な整形手術の副作用で“扇風機おばさん”と呼ばれたハン・ヘギョン氏が、この世を去った事実が知らされた。
ハン・ヘギョン氏は去る12月15日、享年57歳で死去した。彼女の家族は病院で静かに葬儀を行い、17日に出棺を終えた。

“扇風機おばさん”ハン・ヘギョン氏は去る2004年、SBSの『瞬間捕捉 世の中にこんなことが』の「失われた顔」編で紹介された。当時ハン・ヘギョン氏は、自らの顔に大豆油、パラフィンなどを注入するなどの整形中毒の副作用に苦しんでいた。
生活が不可能なほどの痛みを訴えていたハン・ヘギョン氏の姿に視聴者は、多くの声援を送った。ハン・ヘギョン氏は顔の中の異物を抜き出す手術を数回経て、少しずつ好転していた。

2008年、ハン・ヘギョン氏は『世の中にこんなことが』500回特集で、「未だに顔を見ると、整形したい気持ちがあるが、気を引き締めている」とリハビリに励んでいることを伝えた。
ハン・ヘギョン氏はその後、いくつかのメディアを介してニュースを伝えたが、12月15日にこの世を去った。

ちなみにこの扇風機おばさん、今回の報道に絡めて元々が大変な美人だと話題にもなっていたのですが、何事も過ぎたるは及ばざるがごとしですね。
本日は扇風機おばさんに哀悼の意を表して、世界中から極めて珍しい症例を伝えるニュースを取り上げてみましょう。

小学生の頃にペンのキャップを誤飲した女性 40年後に肺から摘出(2018年8月17日テックインサイト)

子供の頃に誤飲したペンのキャップが、40年後に体内で発見されるという驚くべき出来事が中国の女性の身に起こった。キャップは手術で無事に取り出され、女性は現在回復中だという。『新浪江西』『Daily Mail Online』などが伝えている。

中国・山東省に住むヤンさん(49歳)は腹部の痛みを訴え、聊城(りょうじょう)市高唐郡人民病院へやってきた。断続的な痛みを右下腹部に感じていたヤンさんは、最初に婦人科を訪れ、医師らは女性の上部生殖器(子宮頸部、子宮、卵管、および卵巣)の感染症である骨盤内炎症性疾患を疑った。しかしレントゲン検査でヤンさんの胸腔に影があることを確認した医師が、さらにCT検査を行ったところ、右肺下部分に異物があることが判明した。その異物は、ヤンさんが9歳の時に誤飲したペンのキャップであった。

ヤンさんは40年前の小学生の時、教室でクラスメートと遊んでいる最中に誤ってペンのキャップを飲み込んでしまった。それを知った両親はヤンさんを病院へ連れて行ったが、目立った症状がなかったことからキャップは排泄物と一緒に体外から出たと医師は結論付けた。しかし30歳になって、ヤンさんは周期的な咳き込みに襲われるようになったという。19年間続いた咳の発作は、おそらく40年間肺に留まったままになっていたキャップが原因ではないかとみられている。
同病院の胸心泌尿外科部長であるリ・バイミン医師は、内視鏡による手術でヤンさんの肺から40年ぶりにキャップを取り除いた。現在のヤンさんは、自宅で回復中とのことだ。

日本であればどこかの時点でレントゲンの一枚も撮っていたでしょうが、医療費の高い中国では珍しくないのかも知れませんね。
同じく呼吸器疾患の患者ですが、こちらその画像的なインパクトが大きいニュースです。

せきをした男性が「気管支状に固まった巨大な血の塊」を吐き出す(2018年12月10日GigaZiNE)

末期の心臓病によって集中治療室(ICU)に担ぎ込まれたアメリカの男性が、「気管支の形に固まった血の塊を吐き出す」という驚くべき症例が報告されました。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校の外科医であるGeorg Wieselthaler氏は、重篤な心臓病を患っていた36歳の男性の治療に当たっていたとのこと。病気によって男性の心機能が非常に弱っていたため、Wieselthaler氏は男性の血液を体に送り出す心室補助ポンプに接続しました。この処置に使われるタイプの心室補助ポンプには、患者の体内で血液が凝固する危険性が高まってしまうという欠点があるそうです。Wieselthaler氏は「この心室補助ポンプを使用する患者には、血液を固まらせないために抗凝固剤を投与する必要があります」と語っています。
実際にWieselthaler氏は抗凝固剤を投与しましたが、血液が固まりにくくなるという作用にはデメリットもあります。人間の体は血が裂け目などが発生したことで血管外に流れ出すと、血液が凝固して裂け目を覆うようにかさぶたを作り、血液の流出がストップするようになっています。しかし抗凝固剤を投与されている人の場合、血液が固まらずに裂け目からどんどん血液が流れ出てしまうという危険性があります。
今回Wieselthaler氏が担当した患者も、肺の血管から血液が流れ出して気管支に入り込んでしまったそうです。はじめのうち、患者は数日にわたってせきをして小さな血の塊を吐いていました。ところが、ある日普段よりも長く激しいせきをしていた患者がとても巨大な血の塊を吐き出したとのこと。Wieselthaler氏らが慎重に折りたたまれていた血の塊を広げていったところ、なんと血の塊は気管支の形をしっかりと保持していたとWieselthaler氏は公表しています。

「私たちは非常に驚きました」とWieselthaler氏は語っており、気管支の形を保持したままの血塊が吐き出されるという奇妙な事例に好奇心を抱いています。血の塊はなんと6インチ(約15cm)もの大きさがあり、気管支の形から血の塊が右肺の気管支内で凝固したものだと判別することさえできたそうです。
(略)
患者の男性は心臓病などに関わるさまざまな症状を呈しており、その中には血液中のフィブリン濃度が通常よりも高くなるという症状もありました。これによって気道内にたまった血液がゴム状に凝固し、形を保持したまませきと共に吐き出された可能性があるとのこと。
Wieselthaler氏によると、男性は血の塊を吐き出すと一時的に気分がよくなったものの、明らかに末期状態だったため、一週間後に心臓病の合併症により亡くなったそうです。

どれほど気管支の形通りであったかは画像を参照いただきたいのですが、こんなものが喀出されたのであれば一時的にせよ楽にはなれたのでしょうか。
忘れた頃に報じられる希少感染症のニュースですが、こちら思いがけない経路での感染が話題になっています。

水道水で鼻うがいをしていた女性、脳を食べるアメーバに感染して死亡(2018年12月12日gizmodo)

脳喰いアメーバの恐怖は身近にあります。
シアトルにいる68歳の女性が、水道水で鼻うがいをしていたことで脳を食べる珍しいアメーバを摂り込んでしまい、亡くなりました。
この件について、感染症国際ジャーナル「International Journal of Infectious Diseases」の新しいケース・スタディーで、このように記述されました。

    この感染症は当初、脳腫瘍として誤診されていました。疑いのある腫瘍を取り除く手術中、シアトルのスウェディッシュ・メディカル・センター神経外科医の執刀医チャールズ・コブズ医師は、脳の損傷の程度に驚き、さらなるテストのためサンプルを抽出しました
コブズ医師は、The Seattle Timesにてこの状況についてこう語っています。

    私がこの女性に手術をしたとき、脳のゴルフボール大ほどの部分が血まみれになっていたんです。そこには脳細胞を食べるアメーバがそこら中に巣食っていたのですが、我々は最初それが何なのかわかりませんでした。
    そこで組織を切り取って調べたら……アメーバだということが判明したのです

その後の生検レポートには、女性に寄生していたのは「バラミュージア・マンドリラリス(Balamuthia mandrillaris)」というアメーバだったことが示されました。この種の感染症は非常にまれですが、特にこの事件は、「鼻うがいからと思われる、Balamuthia mandrillaris脳感染の最初のケース」である、と珍しい事例として記載されたのでした。
鼻うがいとは急須のようなネティー・ポットを使い、鼻の穴に水を注ぐことで副鼻腔の圧迫感を軽減するものですが、この女性は煮沸した水または生理食塩水の代わりに、購入した水用フィルターを通して濾過した水道水を使用したとのこと。
米Gizmodoのドヴォルスキー記者も、ネティー・ポットで鼻うがいをするとのことですが、煮沸した水や生理食塩水を使うことは知らなかったのだそうです。おそらくほかの多くの人々にとっても驚きだと思う、と述べています。
(略)
しかしながら、鼻うがい自体は止めるべきではないともいっています。容器を適切に洗い、煮沸した食塩水または生理食塩水を使用する限り、大丈夫なのです。せっかく健康のためにやるのなら、正しくやらないといけませんね。

鼻うがいと言う行為を煮沸した生食でやっている人がどれほどいるのか存じ上げないのですが、まさかこんなことになるとは当事者も含め誰も思わなかったことでしょう。
最後に取り上げるのも極めて稀なケースですが、まずは記事から紹介してみましょう。

リアル『寄生獣』?4歳の少年に宿った「小さな生命」の意外な結末(2018年12月23日マイジツ)

カリフォルニアに住む4歳の少年が海岸で膝小僧を擦りむいてしまい、家で母親に消毒をして貰ったが中々治らず、しまいには傷口が膿んでドンドン大きくなってしまったそうだ。心配した両親は少年を病院に連れて行き診察を受けたところ、何と傷口から『タマビキガイ』という小さな巻き貝が、ニュルっと出てきたというのだ!

専門家によればタマビキガイは乾燥や高温に強く、海岸に産み付けられたタマビキガイの『卵』がぐうぜん膝の傷口に入り込み、傷口の中で卵からかえって成長し、稚貝(貝の赤ちゃん)になったのではないか? という見解を出したそうだが、こんなことが本当にあるのだろうか?

この事件には面白い『後日談』がある。傷から血だらけで摘出された巻き貝に眉をひそめる両親とは裏腹に、何故か少年は自分の膝小僧から出てきたタマビキガイに“大きな愛着“を持ちはじめ、“ターボ“という名前を付けると『ペット』として飼うことにしたのだ。
(略)

画像を見ればたしかに小さな巻き貝なのですが、しかしこんなものに寄生されるとはびっくりですね。
試みに貝類の寄生について検索してみるとずいぶんと様々なタイプがあるようですが、幸い今回の巻き貝は永住するタイプではないようです。

今日のぐり:「かんだやぶそば」

東京は神田のやぶそばと言えば、いわゆる藪系列の本家本元として知らぬ者がない存在ですが、さすがに開店前から大行列となっていました。
ちなみについ数年前に火事に遭ったことが報じられていましたが、今や立派に再建されていらっしゃいますね。

まずは定番のせいろうそば(盛り)を食べて見ましたが、相変わらず盛りは控えめなのですが緑ががっている蕎麦の見事な色艶が目に付きます。
細打ちの蕎麦はしゃっきりやや硬めな茹で上がりで洗い、水切りとも絶妙、伝統の辛い蕎麦つゆもこの返しの濃さで出汁が負けてないのはさすがでした。
温かい蕎麦として玉子とじを頼んでみましたが、玉子の加減もいいですが蕎麦も負けず劣らず、またこの汁が何ともしみじみうまいですね。

しかし江戸の蕎麦は腹を膨らませるためのものではないとも聞くのですが、こういう蕎麦で腹一杯に出来れば幸せでしょうね。
老舗中の老舗だけに接遇は手馴れていて、さりげない目配りも行き届いていますが、繁盛店だけに時間には余裕を持っておく必要がありそうです。

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