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2018年12月 4日 (火)

あまりにも不人気な地域枠が改めて話題に

先日こんなニュースが問題になったのをご存知でしょうか。

30大学で地域枠埋まらず 18年度入試で190人 不適切運用、直近まで(2018年11月28日共同通信)

 地方での医師不足解消に向け、地元で一定期間働く代わりに都道府県から奨学金が貸与される大学医学部の「地域枠制度」に関し、厚生労働省と文部科学省が2018年度の入試分を調べた結果、全国の約30大学で計約190人分の定員が埋まっていなかったことが27日、関係者への取材で分かった。
 希望者が少なかったことなどが原因で、学生を勤務地に制限のない「一般枠」に振り分けた大学もあったとみられる。都市部と地方との医師偏在問題の解消を目指し、医学部の定員は地域枠に限り定員増が認められているが、理念とかけ離れた不適切な運用が今春まで続いていたことになる。

 調査によると、18年度の地域枠の定員は計約千人。充足率が10~20%台だった大学もあることも分かった。文科省は、充足率が低い医学部の地域枠については20年度以降、定員を削減する方針を決めている。
 厚労省は10月、既に過去11年間で計約2600人分の地域枠が埋まらず、一般枠に振り分けられていたと発表したが、大学数などは明らかにしていなかった。今回の調査結果には大学ごとの人数も含まれており、医師の偏在対策を議論する厚労省の有識者会議で28日に報告される。
 地域枠と一般枠を区別して選抜する「別枠方式」よりも、一緒に選抜し、入試前後に希望者を募る「手挙げ方式」での定員割れが多く、厚労省は既に20年度以降に入学する学生の選抜に関しては、別枠方式に一本化するよう通知を出している。
(略)

それは若い時期に何年も進路を縛られる地域枠で入学するよりも、一般枠で入学した方がいいと考えるのが自然ですし、同枠での選抜が行われている以上こうした結果になるのはごく当たり前の結果と言えます。
ただここで問題視されているのは別枠での地域枠として定数を増やしたはずが枠が埋まらず、一般枠に余った地域枠の定員分を振り分けて単純な定員増として扱っている大学が多いと言う点です。
本来定員増加分は地域枠だけに限って認められたと言う経緯があり、こうした運用自体が不適切であると言う声が上がってくるのは理解出来るのですが、こちらの記事も参照いただきましょう。

「医学部の地域枠、一般枠と峻別を」、自民議連が決議(2018年10月24日医療維新)

 自民の衆参両院の国会議員約180人で組織する「医師養成の過程から医師偏在是正を求める議員連盟」(会長:河村建夫・衆院議員)は10月24日の総会で、大学医学部入試において、地域枠は「別枠方式」、つまりそれ以外の入試枠と峻別して募集を行い、必要な地域枠学生の確保を確実にすることなど、3項目から成る医師偏在対策の決議文を採択した(文末を参照)。来週、柴山昌彦文科相、根本匠厚労相に提出予定。

 医学部の地域枠の定員は、2008年度の医学部定員増に伴い、増加してきた。医師偏在対策が目的だが、決議文では「地域枠による臨時定員増と称しながら、一部の大学において地域枠が充足されていない上、その不足分を一般枠等に用いてきたという実態が明らかになった」と問題視している。
 地域枠には、入試段階から別に行う「別枠方式」と、入試は同じ枠で行い、入学前後に地域枠希望者を募る「手挙げ方式」に大別できる。厚生労働省が都道府県に対して、この9月から10月にかけて実施した調査では、「別枠方式」は、募集数の91%に奨学金貸与実績(確保率)があり、義務年限(卒後9年相当)の推定履行率は95%(2008年度以降の医学部の臨時定員増関連)。一方、「手挙げ方式」の確保率は79%にとどまり、推定履行率も86%。決議文で、「別枠方式」を求めているのはこのためだ。同日開かれた厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の第23回医師需給分科会でも、都道府県知事は大学に対して、「別枠方式」の地域枠を要請することで意見の一致を見ている。

 議連後、事務局長を務める自見はなこ・参院議員は、「地域枠に関する実態が明らかになるのは今回が初めて」と断った上で、「地域枠卒の医師は、地域医療に従事していると思っていたが、手挙げ方式では思ったほど高くはなかった」と語った。地域枠として定員増が認められた部分を一般枠に振り替えることは「不誠実」であり、定員が埋まらなかった場合にはその分を返上すべきだと指摘。「文科省には、突っ込んだ対応をしてもらうことが必要」(自見氏)。
(略)
 冨岡勉・衆院議員は、「長崎県では、医師が余っている現状がある」と指摘し、医師不足や医師偏在の現状認識を質した。厚労省医政局医事課長の佐々木健氏は、「将来的には医師が過剰になっていくのは明らかだが、地域や診療科の偏在があるのは確かなので、偏在問題については引き続き是正をしていくことを考えている」と回答した。
(略)

記事を読んでみますともちろんタテマエ論の部分もあるのですが、背景の状況として地域枠分を医師偏在対策に用いたかったのだがそれは達成できず、単に総数的な医師不足だけが解消しつつあると言うことでしょうか。
医師偏在解消策にも様々な考え方がありますが、医師の多い都市部で医師が余った分が次第に地方へと流れていくことを漫然と期待していたのでは、全体としては医師過剰になってしまうと言う予測があります。
財務省など国にしろ医療系団体にしろ医師過剰は望んでいない以上、余る前に配置の工夫によって偏在問題を解消したいのは当然ですが、その道具として地域枠は今ひとつ機能していないと言うことですね。

この点で極論すれば国としては医師偏在が解消されればいいので、例えば専門医取得維持の要件なり開業や施設管理者就任の条件なりで僻地勤務を義務づければ、別に地域枠にこだわる必要はないと言えます。
他方で既得権益の代弁者である医療系団体とすれば、学生や若い先生を人身御供に差し出すことで話が済むのであればそれにこしたことはないわけで、その意を受けた議員さんも地域枠制度是正に動く道理です。
この辺りは当事者である学生に需要のないものを無理矢理押しつけると言うことにもなりかねない話ですが、今後地域枠の実態に応じて医学部定員が削減されれば学生が真っ先に影響を被る形になります。
地域の研修病院にしても現状の定員を元に研修医のマンパワーを見込んでいるとすれば、卒業していく若い先生にとっても仕事量が増える可能性もあり、いずれにせよ若い方々にとってメリットのない話ではありますね。

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コメント

都市部で過剰になって喰えなくなれば、自然と過疎地に分散していくでしょ?

投稿: | 2018年12月 5日 (水) 08時45分

長崎県では医師が余っているってのは本当かなあ?本当ならその余っている医師はどこで働いているのかなあ?

一般論として、地域枠が自治医大に進学した学生の半分以下の奨学金で、卒業後の身分も自治医大卒業生以下で、拘束期間が同じってのは、
学生を馬鹿にしているとしか思えないのですけれどもねえ・・・

投稿: クマ | 2018年12月 5日 (水) 08時50分

実際馬鹿なんだから仕方無いんじゃないすかぁ偏差値的な意味でw

と、バブル期の3流私大生が呟いてみるてすつ

投稿: 10年前にドロッポしました | 2018年12月 5日 (水) 09時17分

卒業後御礼奉公をドロップアウトした上で勤務先病院に借金返済もお願いすると言う腹づもりであれば、入学のハードルが低い地域枠入学を選ぶ考え方もありかとは思います。

投稿: 管理人nobu | 2018年12月 5日 (水) 16時26分

本当に定員割れなのではなく、入試の順位が定員内であっても、一定の線引きを設けてあまりにも点数の低い受験生は弾いているのでは?

投稿: boyon | 2018年12月11日 (火) 21時50分

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