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2018年11月19日 (月)

タトゥー施術は医療行為ではないとの高裁判決下る

以前に話題になっていた裁判の続報ですが、大阪高裁で無罪判決が出たそうです。

タトゥー彫師に逆転無罪 「医療行為に当たらず」 医師法違反事件、大阪高裁(2018年11月15日共同通信)

医師免許を持たずに客にタトゥー(入れ墨)を施したとして医師法違反の罪に問われた大阪府吹田市の彫師増田太輝(ますだ・たいき)被告(30)の控訴審判決で、大阪高裁は14日「タトゥー施術は医療関連性を欠いており、医師法上の医療行為に該当しない」とし、罰金15万円とした一審大阪地裁判決を破棄、逆転無罪を言い渡した。
 判決理由で西田真基(にしだ・まさき)裁判長は、タトゥーは歴史や現代社会における位置付けに照らすと装飾的、象徴的な要素や美術的な意義があり「医療目的の行為ではない」と指摘。施術に求められるのは美的センスやデザインの素養で、医学的技能を基本とする医療業務とは根本的に異なり「医師に施術を独占的に行わせるのは相当ではない」とし、医療と関連がない行為は医師法の規制対象外と判断した。

 公判で弁護側は、彫師に医師免許を求めるのは職業選択や表現の自由を侵害し違憲だと主張。この点について判決は「タトゥー施術に医師法を適用すると職業選択の自由との関係で疑義が生じる」と言及したものの、憲法違反かどうかの判断は示さなかった。
 施術に伴う保健衛生上の危険性については、業界による自主規制や行政指導などで対処するのが相当だとした。
 昨年9月の一審判決は、医療行為に当たると認め「皮膚障害やアレルギー反応など、医師でなければ保健衛生上の危害が生じる恐れがある」とし、有罪としていた。

 判決によると、2014年7月~15年3月、自宅兼スタジオで、針を取り付けた施術用具を使い、女性客3人の腕などに色素を注入した。被告は15年8月に略式起訴され、罰金30万円の略式命令を受けたが、納付を拒否して正式裁判となった

このタトゥー問題に関しては以前にも取り上げたものですが、もともとは特に問題視されていなかったものが2000年代から取り締まりが厳しくなり、その背景に2001年の厚労省の医師法違反との見解があったようです。
この見解自体は主に美容的な目的での脱毛行為を取り締まることが主目的だったようですが、あわせて入れ墨行為についても医師法違反としており、2010年以後各地で彫り師の逮捕が報じられるようになりました。
警察としても歴史的経緯などもあってか、素直に罰金を支払えばそれ以上のお咎めなしと言う扱いだったそうですが、今回素直に罰金を払わず裁判になった結果がこの判決に至ったと言うことですね。

厚労省の出した見解自体は人体に悪影響を及ぼす可能性がある以上、医師法違反であると言う解釈も一面の真理ではあると思いますが、ではその考えが行き着くところがどこなのかが問題です。
例えば理容師と言う職業はかつては外科医や歯科医の業務も兼ねていたことは有名ですが、現代においても危険な刃物を人体に振るい体の一部を切除しているわけで、文字通り解釈すれば危険な業務です。
うっかり手を滑らせて体を傷付けるリスクがある点では脱毛などと同様ですが、こちらに関しては理容師法によって資格が定められていると言う点で、医師法違反とはされていないわけです。
裁判所の言うところの「業界による侍従規制や行政指導などで対処するのが相当」だとはまさにそうしたことが念頭にあったのでしょうが、今後適切な資格の創設なりが求められると言うことでしょうか。

一連の経過を見ていて感じるのが医師法と言うものをこうした取り締まりの道具として使うことの是非ですが、そもそも論として医療現場は多忙であり、外来に入れ墨希望の患者に押し寄せられても困るわけです。
その意味で各業界が感染防止対策や技術研修、認定などの適切な対策を講じた上で、それぞれの仕事をきちんとこなしてくれることが歓迎される面もありますが、他方で反対の考え方もありますね。
その医療業界から批判を受ける業界の例として、最近全国的に増えていると言う柔道整復師の問題が挙げられますが、保険診療を取り扱っている以上医療財政を圧迫すると言う点からも問題視されています。
ただこれも慢性腰痛の患者が整形外科に押し寄せパンクさせるよりは、きちんと対応してくれる施設があれば行ってもらいたいと言う声もあり、柔整業界自身がきちんと改善を図ってくれることが望ましいところです。

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コメント

この判決を鵜呑みにすると、美容整形やアートメイクや歯のホワイトニングも免許無しでOKってことになっちゃいませんかね?

投稿: クマ | 2018年11月19日 (月) 13時16分

同じ針を刺す行為でも注射は駄目でタトゥーは可と言うのも判りにくいのですが、今回の判決に関しては一般論よりも各論寄りの判断だったのだろうと思います。

投稿: 管理人nobu | 2018年11月19日 (月) 20時26分

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