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2018年11月 7日 (水)

進む財務省の医療介入、意外と強力なツールにも?

財務省が医療に口を出すことは今や全く日常的な光景となっていますが、先日はこんなニュースが出ていたことをご存知でしょうか。

財務省「病床数と入院医療費は相関、病床削減を」財政審で提案、国保の法定外一般会計繰り入れ解消も(2018年10月30日医療維新)

 財務省は10月30日の財政制度審議会財政制度等分科会(分科会長:榊原定征東レ相談役)に、入院医療費と病床数に強い相関が見られるとして、病床数削減など地方ごとの「医療提供体制適正化」の取り組みを求めた。地域医療構想の進捗が遅く、公立・公的医療機関だけを見ても地域差があるとも指摘し、民間医療機関も含めて具体的対応方針作成の推進や病床の機能分化・連携を進めるため、都道府県の権限強化を検討することも求めた。
 国民健康保険では、制度上の公費支出に加え、決算補填などの目的で法定外一般会計繰り入れが市町村により毎年度3000億円以上行われている。収支圧迫の要因となっており、給付と負担の対応関係が不明確になるとして、都道府県単位の運営となることを機にやめることを求めた。

 財務省が提出した資料では、入院医療費(年齢調整後)と病床数に強い相関があるとして、「高齢化率等の年齢構成の違いでは説明できない地域差である」と主張。医療費は医療提供体制に強い影響を受けると考えられ、「各地方による医療提供体制適正化の取り組みが重要」だと求めた。
 地域医療構想の推進に関しては、2025年までに増減すべき病床数について、具体的対応方針に合意済みの施設数が約1万4000のうち約280施設にとどまり、公立・公的医療機関約1650施設の進捗状況を見ても、合意した施設や議論を開始していない施設の割合で地域差が大きいことを指摘した。推進のためには都道府県の権限強化を推進するべきと提言し、記者会見した分科会長代理の増田寛也東京大学公共政策大学院客員教授によると、委員の1人からも、「民間病院を含めて地域全体の取り組みが必要で、そのためには知事の権限強化を考えるべきでは」との意見があったという。

 この日の会議ではニッセイ基礎研究所准主任研究員の三原岳氏からのヒアリングも行われ、同氏は「社会保障制度改革における自治体の役割を問う~医療行政の都道府県化の現状と課題~」としてプレゼンをした。その中で、「地域医療構想の実情」として、政府文書や当局の説明で「過剰な病床の適正化」と「提供体制構築」という2つの目的が混在しており、当初は前者、特に急性期病床の適正化のための政策としてスタートしたものが政策形成のプロセスで変化したのではないか、と指摘。2025年の必要病床数について地域医療構想で「削減目標ではない」と明記した都道府県が過半数の29に上ったことを明らかにした。
 三原氏は、地域医療構想と国保の都道府県化、医療費適正化を「3点セット」とし、「これを地域医療構想の中で明確にリンクさせたのが奈良県のみで、他の都道府県は、地域医療構想を医療費に絡めて説明した場合の地元医師会の反発を避けた可能性があり、ガバナンス強化を促す国と都道府県との間に認識のギャップがあるのではないか、また都道府県は過剰病床の適正化による医療費削減に消極的で、ここにも国と認識のギャップがあるのではないか」と指摘した。地域医療構想の策定に携わった委員の1人は、「これらの指摘はガイドラインをつくったときに想定内で、初めはどうしてもそうなるだろうということだった。これから適正化をしていくことが重要だ」と述べたという

このベッド数問題に関連して先日川崎市で外国人向けのメディカルツーリズムを標榜する病院を開設すると言う話があり、医療系団体がそれに反対するコメントを出したことが報じられていました。
医療ツーリズムはさておき、自由診療でやる分には地域医療計画等での病床数規制の対象外であることが、いわば抜け道として機能する危惧があると言う意見が出されているようですね。
外国人医療問題に関しては昨今の外国人労働者受け入れ拡大に伴い、今後各地で無保険外国人の医療費問題が頻発するとも予想されるのですが、特に地方の末端医療機関にとっては頭の痛い問題です。
外国人を受け入れた雇用者側には健康保険もセットで付けることを義務づけるくらいのことはしておいた方が良いのではないかと思うのですが、この方面でもきちんとルールを決めておく必要があると思いますね。

いささか脱線しましたが、奈良県と言えば先日は医療費適正化のために診療報酬一律カットを目指すと報じられていましたが、財務省的視点で見ると極めて先進的で高い評価に値する方針であると言うことですよね。
この診療報酬と病床数との関係は古くからあるテーマで、昔から日本ではベッド数が諸外国に比べて多いと言われていますが、逆に療養型の病床数は少ないことから、単純に国毎の分類の違いもあるとは言います。
とは言え高い医療費を要する急性期病床が多いことは事実であり、医療費を多く消費すると言うことは医療リソースも多く使っていると言うことですから、日本の医療は多くのマンパワーを要する構造であるとも言えます。
このことから考えるならば、特に急性期の病床数削減は医療費を削減するのみならず求める医療リソースとりわけマンパワーも削減することにつながるとも言えますが、その結果として医療現場の過重労働がどうなるのかです。

先日出たばかりの過労死等防止対策白書2018年版では、過労死ラインの残業月80時間を越える医師がいる病院が2割強あったと言うのですが、急性期で勤務している先生にとってはたった2割?が実感でしょう。
これも先日出たばかりの医師の働き方改革に関する検討会の調査結果によれば、病床数の多い病院ほど医師が長時間の時間外労働を強いられている実態が明らかで、ベッドの多さも過労の原因か?と思えます。
では逆にベッド数を減らせば労働時間も減るのかですが、基本的に外来患者より入院患者の方が手がかかる以上、入院患者が減れば少なくとも一定程度は労働時間削減効果が期待出来るだとうとは思いますね。
財務省の目的は全く別なところにあるのは明らかですが、医療費削減すなわち診療報酬を産みだしている医師の労働削減とも言える以上、案外とこの方面から考えてみるのも興味深い結果を生むかも知れません。

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コメント

出来高払いで財務省が医療費コントロールできるものなのか?

投稿: 素朴な疑問 | 2018年11月 7日 (水) 11時08分

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