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2018年11月 5日 (月)

AV業界が激震しているもっともな理由

考えてみると当然のリスクではあるのですが、先日こんな興味深いニュースが配信されていました。

AV女優にHIV感染が発覚、「遅すぎる」発表に現場から不安の声(2018年10月30日日刊SPA!)

 今、AV業界が揺れている。事の発端は10月22日夜、「AV人権倫理機構」から出されたリポートにおいて、“今年9月にAV女優1名がHIVに感染していることが性感染症検査において判明した”と書かれていたのだ。
(略)
 文書では、HIVが蔓延することを未然に防ぐことができたとされているが、長く業界に身を置き出演もこなすAV監督のA氏がこう話す。
「正直、不安でしかないです。感染者がAV女優ということは発表されていますが、どうやって確かめたのか、いつ感染が発覚したのか、いつから感染していたのか、感染した可能性があるまま出演した本数などの時系列や事実関係が一切明かされていません。『AV撮影に関する感染ではなかった』と明記してありますが、本当に共演した男優や女優に感染していないと断言できるのか、専門機関とはどういった機関で、どのような検査をしたのでしょうか。明記されていないことが多過ぎます」
(略)
「行く先々の現場でだれなのか特定するような話まで出ていますが、問題はそこじゃないんです。彼女のプライバシーを守る必要はありますが、噂では検査を受けずに現場に出ていたらしく、それを認めているとしたらメーカーや事務所の責任もあると思います。私は、仕事をする時は必ず検査を受けさせられますし、撮影当日に写真付き身分証と検査結果がわかる物がなければ撮影してもらえません。それがないとメイクも始まらない。それぐらい厳密にやってます。彼女の感染が発覚した後、絡んだ男優と女優には内密に連絡がいき、検査を受けさせられたらしいのですが、検査結果が出るまでにも仕事をしているらしく、相手に黙って性行為をしたら傷害罪にあたるのではないでしょうか。その間にその男優と絡んでいたら……そう考えるとゾッとします」
(略)
 文書の中では『プロダクション団体はこれまでも性感染症予防のセミナーを定期的に開催し、健康・安全面に特段の配慮をしてまいりました』と記されている。日本でもAVに出演する際には、事前に感染症の検査は必須のはず。しかし、内情はそうでもないらしい。女優同士のつながりから、Bさんはさまざまな話を耳にするという。
「単体の女優さんは必ず検査を受けていますが、企画単体や企画の場合は、検査を受けさせないで出演させてしまうメーカーがあるって。都内じゃないメーカーは結構ゆるいらしいです」
 AV女優の世界には、単体女優、企画単体(キカタン)女優、企画女優の順番で階級のようなものが存在している。
検査代は約13000円かかるのですが、今日明日のお金に困ってAV出演を決める子の中には、その13000円を捻出できない子もいるんです。でもメーカーや事務所はうるさいことを言って、その子の気が変わって出演をやめてしまうのが怖いから『とりあえず撮っちゃおう』って考える。だから今回みたいなことになってしまう。それで巡り巡って、まともにやってる私たちがヒヤヒヤすることになるんです」
(略)
「当たり前のことですが、今後は全メーカーで検査を徹底するべき。HIVだけではなく、クラミジアや淋病も徹底して調べなければなりません。そして、HIVだけでなく何らかの感染が発覚した場合の対処法のマニュアルを考えるべきだと思います。感染が確認された時点で休業するのは当然で、潜伏期間に接触した相手への報告を義務付けるとか。このままでは、出演者たちは安心して仕事ができず、業界を去る人も増えるだろうし、今後は新人が入ってこなくなってしまうでしょう」
 そう言って、AV業界の未来を危惧するA氏。そもそも「AV人権倫理機構」とは、“AV出演強要問題”をきっかけに、弁護士や大学教授などが集まり発足したAV業界の第三者機関。2017年10月よりAV業界の改善に向けて活動を開始しているが、一般的にはあまり知られていないのが現実だろう。HIV感染の事実があったことを、AV業界にも周知が徹底されていなかったことにも疑問を呈す。
「サイト内で発表されたのみで、Twitterの公式アカウントがあるにも関わらず、ツイートもしていない(記事執筆10月25日時点)。一般層まで拡散させる必要はないと思いますが、せめてAV業界の人たちには周知させなければ意味がない
(略)

AV女優の「HIV感染」公表 いつもは穏やかな男優が激高しだした 業界につきつけられた「重い宿題」(2018年10月25日withnews)

(略)
 「初めて聞いてびっくりしている。梅毒など性感染症に対する情報は、自分たちの身を守るため男優間で共有しているのに…」
 業界歴の長いある男優は、記者からの問い合わせでAV女優のHIV感染判明を知りました。文書が公表された10月22日夜のことです。
(略)
 AV女優の多くがプロダクションに所属するのと違って、男優は個人で活動します。頼れる組織、会社はありません。性感染症にかかると撮影に行けず、収入が得られません
 HIVに感染しても、AIDS発症は薬でコントロールできるようになりました。「エイズは死に至る病」と誤解している人は今も少なくありませんが、感染を早期に発見し、治療を受ければ普通の生活を送ることができるようになっています。予防はコンドームの使用が有効とされています。
 ただし、HIV感染の男性が男優業をすることはできません。性行為で女性を感染させる可能性があるからです。
 普段穏やかな男優が心を乱したのも、そんな経済的なリスクが背景にあるからです。
(略)
 今回、確かにAV女優のHIV感染を出演者に対する性感染症検査で見つけ、撮影での拡大を未然に防ぎました。普段からの「特段の配慮」が生んだ結果と言えそうです。
 一方で、そもそもAV撮影自体に「性感染症等の罹患」のリスクがあり、「安全管理の徹底」をさせていかなければならない状態にあることも事実です。
(略)
 今回の文書を読み解くと、性感染症リスクの話だけでなく、出演強要の根絶や作品性の向上などAV業界が取り組むべき課題が浮かび上がってきます。

このところAV業界と言えば出演女優に対する強要問題で女優側の権利が問題になってきた経緯がありますが、記事を読んでいて気になったのがむしろ男優側にとって大きな問題であると言う点です。
一部の人気男優でせいぜい5万円、大多数の名もなきAV男優の出演料はせいぜい1-3万円ほどだそうで、モブ俳優ともなると数千円と言う場合もあるそうですが、出演するにあたって検査での証明がいるのだそうです。
これが自費で1万8千円、メーカー負担があっても数千円が必要なのだと言い、撮影入りする前に証明書の確認があるそうですから、出演作が多ければ年間数十万円が検査代に消えていくと言うのも納得です。
性感染症のリスクとしては一般に男性よりも女性の方が高いとしても、安い報酬で多数の出演をこなさなければならないとすれば、男優側にとってもこの種のリスクは大いにあると言えそうですね。

海外では自ら性感染症に罹患していると知った上で他人と予防措置なしの性行為に及んだ場合、傷害罪等の罪に問われると言うことが時折報じられていますが、この場合も民事訴訟くらいは当然あり得る話です。
感染リスクのある行為をさせている以上、出演者の健康状態を管理するのは出演させる側の責任だと言う考えもありますが、この点で以前から断続的に問題が表面化してきたのが格闘技の世界です。
柔道やレスリングでは白癬菌感染がたびたび話題になり、特に学生スポーツでは指導者の責任が問われるところですが、残念ながら部活動レベルできちんとした対策を講じている学校はむしろ少数派ではないでしょうか。
出血の危険性があるプロ格闘技団体においては試合前の診断書提出を求めるものもありますが、これも選手の金銭的負担の問題がつきまとっていて、金が無いから診断書を出せないと言うこともあり得るわけです。

またAV俳優にしろ格闘選手にしろ、感染が判明した場合その後の生活に直接的な影響が出ないではいられませんが、当然ながら自費で検査をした当事者は結果を知り、場合によっては隠そうともするでしょう。
こうした事態を避ける意味でも個人の努力義務ではなく、管理する組織として対応した方が確実であるとも言えますが、例として言えばボクシングの世界における網膜剥離などの扱いがこれに相当するのでしょうか。
過去にも有名プロボクサーが網膜剥離が判明して引退に追い込まれた事例などもありますが、辞めさせられた人間にとっては早速食っていくのにも困るわけで、引退を強制するなら生活の保障もせよと言う話ですね。
最初からこの種のリスクに対する保険料的なものも込みでやっていては経営的に成り立たない業界も多いのでしょうが、プロと呼ばれる客商売の場合最終的にその負担は顧客の側が負うべきなのかとも思います。

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コメント

お世話になってます o(_ _)oペコッ

投稿: | 2018年11月 5日 (月) 08時43分

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