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2018年9月10日 (月)

医学部合格率、やはり女性の方が低かったが忖度はなし?

先日の東京医大女医排除問題に関して、厚労省の緊急調査の結果が出てきたそうです。

医学部合格率、男性が女性の1.18倍、8割の大学で上回る(2018年9月5日医療維新)

 文部科学省は9月4日、全国81の大学を対象に実施した「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査」の結果速報を公表、2013年度から2018年度までの過去6年間の入試合格率は、平均で男性受験者が女性受験者の1.18倍であることが明らかになった。受験者に対する合格者の割合は、男性の11.25%に対し、女性は9.55%。
 男性の合格率が女性を上回ったのは、毎年度46~57大学と幅があるが、平均では81大学中、63大学(77.8%)。ただし、東京医科大学以外は「特定の受験者に対して、加点等を行ったとの大学からの回答はなかった」という。

 6年間全てで入試を実施した79大学を見ると、男性の合格率が女性より最も高かったのは、順天堂大学で1.67倍、以下、昭和大学1.54倍、日本大学1.49倍、九州大学1.43倍、慶應義塾大学1.37倍などと続いた(6年間の平均)。2016年度医学科新設の東北医科薬科大学は、3年間平均で1.54倍。
 一方、男性の合格率が女性よりも最も低かったのは、弘前大学で0.75倍。以下、岐阜大学0.84倍、徳島大学0.87倍、三重大学0.88倍、産業医科大学0.89倍など。
 国公私立別では、男性の合格率が女性を上回ったのは、国立42大学中、31大学(73.8%)。公立8大学中、8大学(100%)。私立31大学中、24大学(77.4%)
 6年連続で男性が上回ったのは、19大学だが、東京医科大学は含まれていない。国立では、筑波大学、新潟大学、金沢大学、名古屋大学、京都大学、岡山大学、九州大学、熊本大学。公立では、横浜市立大学、大阪市立大学。私立では、岩手医科大学、埼玉医科大学、慶應義塾大学、順天堂大学、昭和大学、日本大学、日本医科大学、大阪医科大学、近畿大学。
 年齢別の合格率は、2018年度の場合、全大学の平均で「18歳以下」と「19歳」がいずれも男性15%、女性11%、「20歳」男性11%、女性8%、「21歳」男性8%、女性7%、「22歳以上」男性5%、女性4%と、年齢が上がるにつれ、低下した。
(略)

実際の男女差は元記事の表を参照いただきたいところですが、合格数における男女差と比べるとずいぶんと大人しい差と言うのでしょうか、やはり受検者の間でも医学部は男社会と言う認識があるのですかね。
入試における忖度と言う点では過去に京都大学のような有名大学でも多浪生に対する調整が行われていたと言い、群馬大学では年齢による不合格とされた学生が大学を訴えると言った話もあるなど実例があります。
それだけ当たり前に行われてきた各種調整が、こと男女に関してだけは行われていなかったと言うのも実際どうなのかですが、こうして問われればやっていないと答えるしかないのが大人の事情と言うものですね。
医療現場で実際に多忙な実臨床に従事している先生方の間からは、一定程度のことは必要悪だと言う声も少なからずあるようですが、選別自体の是非とは別に女医に対するこんな声もあるようです。

全員当直、女性も努力を 木戸道子・日赤医療センター第1産婦人科部長 「女性医師3割の壁 大学合格抑制を考える」(2018年9月6日共同通信)

 日本赤十字社医療センター(東京・渋谷)は年間約3千件のお産を扱う。危険度が高い妊婦にも24時間対応する。常勤医師26人中22人が女性だ。未就学児を持つ母親もいるが、全員が夜勤、休日勤務をこなす。2交代を徹底し、長時間勤務はない。働く環境を整備すれば、子育て中でも働ける。環境整備は費用も手間もかかるため、雇う側がやりたがらないだけだ。
 当センターもかつては当直の日の午前に出勤し、翌日夕方まで働くのが常態化していた。2009年に労働基準監督署の指導が入って状況が変わった。東京医科大は女性に離職が多いことを理由に挙げているようだが、問題のすり替え

 女性も努力が求められる。子育てを理由に負担の軽い勤務だけを続けていると、年齢を重ねてもリーダーにはなれない。当センターで全員が当直を務める理由は、頼れる人がいない夜間に修羅場を経験し、適切な判断を下す能力を身に付けてほしいからだ。
 私が大学入学時には90人の同期のうち女性は3人だった。医師の更衣室に女性の場所はなかった。男女雇用機会均等法施行直後だったが、そんな状況だった。
 今は多くの病院で女性管理職が増えた。まだ十分ではないが医師を目指す女性たちも背中を見て続いてほしい。ただ猛烈に働くスーパーウーマンだけではなく、誰もが安心して能力を発揮できるシステムが必要だ。人材の多様性を増やし、層を厚くする必要がある。

 医師の働き方を改めずに、入り口で女性を排除して現状維持を図るべきではない。男女に関係なく、まともに働く環境を整えないと、男性も目指さなくなる。少子化で人口が減っている。医師の世界に女性を締め出す余裕はないはずだ。

 きど・みちこ 88年東大医学部卒。3人の子どもを育てながら、長野赤十字病院などを経て02年から同センター勤務。

ここでさすが女医さんだなと思うのは、女医に対してもこれだけ厳しい努力を求めていると言う点で、なかなか男の立場からは言いにくいことでもこれだけ子育てにも臨床にもキャリアがあれば説得力が違いますね。
木戸先生の御意見にはおおむね同意で、女医が無理なく働ける環境の構築は男医にとっても望ましいはずですが、雇う側の立場に近いエラい先生ほど現状維持路線とも言うべき反対意見が根強い印象もあります。
無論こうした勤務体系を実現するためには最初は根強い反対もあるでしょうが、特に当事者である医師の意識改革が最も重要で、365日24時間いつでも応需を前提にした就労体系への問題意識があるのかですね。
また特に子育て中の女医などはフルタイムよりもパートタイムの労働の方がよいと言う声もありますが、男性であっても柔軟な働き方を望む声はあるはずで、女医問題を働き方改革の突破口にしようと言う動きもあります。

女性の社会的地位向上は今や文明社会のバロメーターのような扱いですが、以前に見かけた興味深い話として女性の書いた本は男性の書いた本の半分の値段で売られていると言う調査結果があるそうです。
何かしら世間的な目線の影響でしょうが、医療の世界では逆に女医にかかった方が長生き出来ると言うレポートが話題になったり、過去には高齢のベテランよりも若い医師にかかった方が成績がいいと言った報告もありました。
この辺りは様々な解釈が可能な結果ではありますが、少なくとも女医の方が戦力価値が低いから排除が正当化されると言う立場であれば、それ相応のエヴィデンスを示した上で論ずるべきなのは当然ではあるでしょうね。
ただ女医に対する反発の根本には、働きの内容に関わらず卒後年数で一律に決められることの多かった医師の報酬体系の問題があるとも言え、特に公立病院などはもっと柔軟な勤務と報酬の体系を工夫する余地はありそうに思います。

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コメント

近年よく聞くこういう催し。
黙っていても受験生が集まってくるこの時世に、何を・何故やっているのかと思ったら、将来の便利な奴隷への意識づけを高校生のうちからやっておこう、という物だったのですね。
https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20180831-OYT8T50013.html?from=ytop_os2
「国語力が大事」という一点のみ賛同します。

投稿: JSJ | 2018年9月10日 (月) 07時52分

何をされても文句を言わない若者を求めているんだよw

投稿: | 2018年9月10日 (月) 08時40分

>年齢を重ねてもリーダーにはなれない。

リーダーなんかになっても何もいい事はなさそうなんですがそれは…

投稿: 10年前にドロッポしました | 2018年9月10日 (月) 09時31分

昨今では管理職となるとまた雑用も増えたり残業代が出なかったりであまり有り難みがありませんが、現場の実質的リーダーとなると臨床家の間でもそれなりに需要はあるのかなと言う気もします。

投稿: 管理人nobu | 2018年9月10日 (月) 18時08分

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