« 職員過労死で国立病院機構が史上初めての書類送検 | トップページ | 今日のぐり:「台湾料理 四季紅/金源 玉島店」 »

2018年8月 1日 (水)

最近目にしたニュース三題

今日は最近目にした興味深いニュースを紹介してみますが、まずは先日大いに話題になっていたのがこちらのニュースです。

「おい、生ビール」なら1杯1000円 頼み方で値段が変わる居酒屋のユニーク貼り紙、運営元に話を聞いた(2018年7月23日ねとらば)

 頼み方が「おい、生ビール」なら1000円……居酒屋の壁に貼られた貼り紙がTwitterで「素晴らしい」と注目を集めています。
 貼り紙は東京・神田の「大衆和牛酒場 コンロ家」というお店に貼られていたもの。「おい、生ビール」の他にも、「生一つ持ってきて」なら500円、「すいません、生一つください」なら380円(定価)と頼み方に応じて変わるビールの値段が書かれています。その下にはさらに「お客様は神様ではありません。また、当店のスタッフはお客様の奴隷ではありません」とも書かれています。
 Twitterユーザーの銀嶺さんが「これ好き」と投稿すると、「最高の店主」「店員を大事にしてる」「行ってみたい」と大きな反響が寄せられ、飲食関係者からは「うちでもやりたい」「このお店の気持ちが分かる」という声が上がりました。一部には「こういう店には行きたくない」といった否定的な意見や、こういった貼り紙をしなければならない現状を嘆く人も見られました。
(略)
 貼り紙を見たお客さんの反応について聞いてみると、「面白いね」とコメントしたり、写真を撮ったりする人が見られ、今のところ明らかに気分を害した、クレームが入ったなどの報告はないそうです。
 また実際に「おい、生ビール」で1000円を請求することはあったのかも聞きました。「夢を壊すようで恐縮ですが、請求した実績はありませんし、スタッフにも請求するような教育は行っておりません」と蒲池さん。
 「実際に『おい、生ビール』と言われたところで、特に生ビールの価格、質は何も変わりません。当社スタッフがいつもよりほんの少しだけ嫌な思いをするだけです。あくまでも当社のコンセプトの一つである『売れることより、面白いこと』を表現したジョークツールの一つです。今回話題となっております貼り紙などを『面白いね』と言ってくれるような方を、当社は大切にしていきたいと考えております」(蒲池さん)
(略)

オーダーの仕方が乱暴だからすなわち問題顧客と言うわけでもないのでしょうが、少なくとも赤の他人には相応に礼儀を払えるタイプの顧客の方に、問題顧客は少ないと言う予測はそれなりに妥当に感じられます。
こうした張り紙で客層が変わったり問題行動が減ったりするものかは今後の検証を待ちたいところですが、いきなりこれでカチンとくるタイプの顧客はそもそも利用しないでしょうし、まずは選別手段として有用かどうかです。
医療の場合は全国統一価格の定額制でこうした張り紙は難しいですが、例えば以前に取り上げた順天堂の会員制サービスなどは顧客差別化の一手段であり、当然ながら問題顧客の締め出しにも有効でしょうね。
続いてこちら、ありそうで実際にはなかなかないトラブルなのかも知れませんが、まずは記事をそのまま引用してみましょう。

余命宣告トラブル 医師から「1年」、それから5年…仕事や財産手放し困惑(2018年7月30日西日本新聞)

 「余命1年もないと医師に宣告されながら、5年たっても生きています」。難治性血液がんの成人T細胞白血病(ATL)と診断された男性から、西日本新聞の特命取材班に悲痛な声が届いた。死を受け入れ、仕事や財産などの整理も済ませたという。「何も手元に残していない。どう生きていけば…」。そもそも余命宣告とは-。
 声を寄せてくれたのは、福岡県久留米市の笠井駿さん(71)。自宅を訪ねると、日記帳をめくりながら経過を説明してくれた。

 2013年1月、顔と上半身に紅斑が現れた。同県内の病院に検査入院し、ATLと診断された。体内にウイルスHTLV1があることは知っていたという。
 ATLは主に母乳を介して感染するHTLV1が原因。保有して必ず発症するわけではないが、発症すると免疫機能が低下したり、リンパ節が腫れたりする。根治が難しく、「発症後の平均生存期間は半年から1年と短い」という研究成果もある。
 笠井さんは「医師から『次の誕生日は120パーセント迎えられない』と説明を受けた」と言う。取引先にあいさつして回り、経営する設計企画事務所を閉じた。財産は売却したり、子どもに譲ったりしたほか、親族には別れの手紙を書いた。ホスピスにも一時入所した。
 診断から5年。体に痛みがあり通院しているものの、「死」が訪れる気配は感じていない。抗がん剤治療の影響で歩行が難しくなり、車の運転もできなくなった。生きていることは喜ばしいことだが、「ATLというのは誤診だったのでは。納得できない」と憤る。

 笠井さんによると、双方の代理人弁護士がやりとりした書面の中で病院側は「次の誕生日は120パーセント迎えられない」との発言を否定。「診断に誤りはなく、治療が奏功して症状が改善した」などと説明しているという。病院側は本紙取材に「コメントを控えさせてもらう」とした。
 九州大の萩原明人教授(医療コミュニケーション学)は「医師が『120パーセント』という言葉で説明することは一般的に考えにくい」としつつ、「いさかいの原因は、医師の説明と患者の理解に食い違いがあったのではないか」と推察する。
 一般的に、余命について医師は、同じ病の患者の平均的な生存期間である「生存期間中央値」や、診断を受けて5年後や10年後に生存する患者の比率を示す「5年生存率」「10年生存率」を説明する場合が多いという。過去の多くの患者から計算された平均的なデータにすぎないが、「個人差があることを考えずに受け取られる恐れがある。医師は工夫が必要だ」という。
 患者の心理状態も影響する。「どんな患者でも動揺する。医師の説明を、自分が理解しやすいように楽観的に解釈する場合もあるし、悲観的に捉えて頭に刷り込むこともある
(略)
 患者が主治医以外の医師から意見を聞くセカンドオピニオンもあり、「財産整理など、大きな決断をする前には第三者の意見を求めた方がいいかもしれない」と萩原教授。終末期医療に詳しく、在宅ケアに取り組む「にのさかクリニック」(福岡市)の二ノ坂保喜院長は「信頼関係は当然必要だが、医師の言うことはあてにならないと思うくらいでいい」と言う。
(略)

幾ら何でも終活の手回しが良すぎるのではないかとも思うところなのですが、記事から読む限りでは治療としては非常にうまくいったケースであり、本来的には万々歳で喜ぶべき状態ではなかったかと言う印象を受けます。
ただ120パーセント云々と言った発言は一般常識としては医師が口にするものではないとも言えますが、実際患者が正しい理解に至っていなかったとは言える状況で、程度の差はあれありがちな事態でもありますよね。
死亡確定の宣告を受けたと患者が勘違いした結果、本来まだまだ生きられる状態であったにも関わらず自殺してしまったと言った事例も聞くところですが、まずは診断に誤りがあったと言う誤解は解くべきかとも思えます。
しかし医師の説明が不十分、あるは下手であったために誤解を受けるのであれば人為的な失敗としてまだしも納得出来るかも知れませんが、こちら今後発生する可能性がある問題を取り上げた記事が出ていました。

「AIがなぜ誤診」、患者に説明できない恐れも(2018年7月20日CBニュース)

総務省情報通信政策研究所は、AIのネットワーク化に関する報告書を公表した。有識者会議が取りまとめたもので、医療診断などで想定される便益や課題を提示。AIの誤診で患者の症状が悪化した場合、ブラックボックス化されていて判断の経緯などを説明できないと、患者やその家族らの理解が得られない恐れがあることを挙げている。

この報告書は、「AIネットワーク社会推進会議」(議長=須藤修・東大大学院情報学環教授)が取りまとめたもので、さまざまな分野でAIが活用されることを想定し、AIのネットワーク化が社会・経済にもたらす影響の評価を行った上で課題を整理した。
 医療診断については、AIによる画像診断で病気の早期発見や見落としの改善につながるほか、医師の負担が軽減されることを指摘。遠隔診断で専門医のいない地域でも適切な診断を受けられるようになり、「医師不足・偏在などの問題の解決に貢献できるようになる」と予測している。
 その一方で、想定される課題も挙げている。AIの誤診によって適切な治療が行われず、患者の症状が悪化した場合、「なぜ誤診したのか、AIがどのような判断をしたのか説明できないと、患者や家族などの理解が得られない恐れがある」としている。
(略)

もちろんAIを鵜呑みにする先生はいないと思いますが、現状においてもCTなどの検査レポートの記載内容に間違いがあり、担当医が診断治療を誤った場合誰が責任をとるべきかと言う問題は存在するわけです。
この場合レポートを書いたのはその道の専門家ではあるはずですが、それを解釈する担当医側もまた専門家であって、他人の書いた誤ったレポートを鵜呑みにしたのでは責任は免れないと言う考えもあるでしょう。
現実的に患者に対面し説明や治療をするのは担当医であり、幾らレポート記載が間違っていたと主張しても患者が見たことも会ったこともない検査担当者に怒りを向けるとは考えにくく、同様のトラブルはあり得る話ですよね。
当然ながらAIの活用によってこうした誤診のリスクもある一方で、それよりはるかに大きな利益もあるはずですが、総合的に見てどれだけ利益が多かろうが自分が不利益を被っても構わないと考える患者は多くはないはずです。
一人当直で専門外の救急疾患を見るような一刻を争う事態にこそAIのサポートが欲しいところですが、最終的にはAIの診断アルゴリズムにおいて何を重視するかで、開発段階での現場との摺り合わせが重要になりそうですね。

|

« 職員過労死で国立病院機構が史上初めての書類送検 | トップページ | 今日のぐり:「台湾料理 四季紅/金源 玉島店」 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

少し前に検査会社が間違った結果持って来てそれを元に患者さんにムンテラした産科医院が矢面に立たされてましたがアレどうなったんだろう?

投稿: 10年前にドロッポしました | 2018年8月 1日 (水) 15時59分

考えられる対策としてレピートを返すまでの各段階でダブルチェックといった方法がありますが、コストとマンパワー、時間が際限なくかかるでしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2018年8月 1日 (水) 18時26分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/67003763

この記事へのトラックバック一覧です: 最近目にしたニュース三題:

« 職員過労死で国立病院機構が史上初めての書類送検 | トップページ | 今日のぐり:「台湾料理 四季紅/金源 玉島店」 »