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2018年8月 8日 (水)

働かされすぎた医師と、働きたい医師のニュースが話題に

本日まずは大きな話題になったあの事件について、ある意味予想されたとも言えるこんな続報が出ていました。

新潟市民病院で研修医過労自殺、市側は争う姿勢…第1回口頭弁論(2018年8月2日読売新聞)

 新潟市民病院の女性研修医(当時37歳)が2016年1月、長時間労働などが原因で自殺した問題で、病院を運営する市に安全配慮義務違反があったとして、遺族が市に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が1日、新潟地裁(今井弘晃裁判長)であった。市側は「自殺は予見できなかった」などとして請求棄却を求め、争う姿勢を示した

 原告代理人によると、研修医は15年4月から市民病院に勤務。月100時間超の時間外労働が続き、最長の8月には162時間に上り、9月頃にうつ病を発症。16年1月に自殺した。新潟労働基準監督署は17年5月、研修医について「過重労働が自殺の原因」として労災認定した。

 遺族側が昨年9月に労働審判を申し立てたが、不成立となり、訴訟になった。遺族側は「自殺と長時間労働には因果関係があり、市は是正する義務があった」と主張。市側は「勤務状況からはうつ病を確認できず、自殺は予見できなかった」としている。

新潟市民病院の女性医師過労自殺 遺族が安全配慮義務違反と提訴、市は争う姿勢

 新潟市民病院(新潟市中央区、写真)に勤務していた女性医師(当時37歳)が「極度の長時間労働」の結果、うつ病を発症して自殺した事案で、遺族が病院を運営する新潟市に安全配慮義務違反があったと提訴。これに対し、新潟地裁で8月1日に行われた第1回口頭弁論で市側は、因果関係が明らかでないなどと争う姿勢を示した。

 遺族は2017年11月2日、新潟市民病院が実施した労働環境改善策で、医師の自己研鑽時間を一律に労働時間から除外した点を問題視し、このままでは労働環境の是正が期待できないと労働審判に申し立てた。
 しかし、新潟市がうつ病の罹患、過労とうつ病罹患との因果関係、さらに安全配慮義務違反などの点で真正面から争ったため、和解成立の余地がなく、労働審判は不成立となった。第1回期日で労働審判は終了となり、労働審判法の規定によって自動的に提訴へと移行した。
 8月1日の第1回口頭弁論で、遺族側は改めて、女性医師が自殺に至ったのは病院を運営する市の安全配慮義務違反に当たると主張。これに対して、市側は過労と自殺との因果関係は明らかではないなどとして、争う姿勢を示した。

月160時間以上の「極度の長時間労働」でうつ病を発症

 女性医師は後期研修医として、2015年4月から新潟市民病院消化器外科に勤務。9カ月後の2016年1月に、市内の公園で死亡しているのが発見された。警察は自殺と判断したが、その原因を明らかにしたかった遺族は代理人を通じて調査を実施。その結果、同病院での時間外労働時間が4カ月連続で月200時間を超え、勤務開始から9カ月間の月平均時間外労働時間は190時間以上だったことが分かった。このため遺族は、「自殺したのは過重労働が原因」として2016年8月、新潟労働基準監督署に労災認定を申請した。
 同労基署は2017年5月31日、厚生労働省が「極度の長時間労働」と定める「月160時間以上の時間外労働」が認められ、その結果、うつ病を発症して自殺に至ったとし、過労死と認定した。
 同年6月2日、労基署は新潟市民病院に対して長時間労働の是正勧告を行った。これを受け新潟市は同年6月6日、市長が臨時の記者会見を開き「新潟市民病院緊急対応宣言」を発表した。

 実は、同病院に対する長時間労働の是正勧告は2009年にも行われていた。遺族らは、自殺という労働災害の発生以前に是正勧告を受けていたにもかかわらず、過労死を防げなかった点を問題視。労災認定後も、市に対して過労死の再発防止策の徹底を求めていた。

新潟市民病院については研修医の自殺を受けて自己責任であり、改善策は講じないと公言した経緯もあり、医療機関から史上初めてブラック企業大賞にノミネートされ、見事業界賞受賞の快挙を達成されたと言います。
そもそも何故労基法で労働時間の上限が規定されているかを考えると、予見出来なかったという言い訳はかなり苦しいものがありますが、この状況から市側がどのような反論を行っていくのか注目したいですね。
いずれにせよ都市部の基幹病院の多くは多忙で過労死レベルの労働を強いられる一方、暇な病院ではそれなりに良からぬ心も働くと言うことでしょうか、こんなニュースが話題になっていました。

徳島県職員の医師バイト 3年余3800万円、免職(2018年8月3日共同通信)

 徳島県は2日、県職員として採用され、県内のへき地の病院に派遣されていた男性医師(35)が3年余りの間、勤務時間外などに、県内外の民間病院で診療のアルバイトをして約3800万円の報酬を受けていたとして、懲戒免職処分とした。地方公務員法で定める職務に専念する義務や営利企業での従事制限違反に当たるとしている。

 県によると、医師は2014年10月から今年2月、計324日間、同県や香川県の病院でアルバイトをしていた。昨年4月から今年2月には、週1回の参加が必要だった徳島大での研修に参加せずアルバイトをしていた。
 医師は自治医科大を卒業。主にへき地医療に従事する人材として採用されていた。医師は「自分の技量を高める欲求に勝てず、他の病院のアルバイトに行っていた」と話している。

バイト診療か 公務員医師を免職(2018年8月3日NHK)

自治体が運営する過疎地の病院に派遣された県職員の医師が、別の民間病院でアルバイトで当直などを行うために合わせて40日以上無断で欠勤していたなどとして懲戒免職処分になりました。
医師は3年余りにわたってアルバイトを続け、およそ3800万円の報酬を得ていたということです。

懲戒免職処分になったのは、県医療政策課の主任で那賀町が運営する過疎地の病院に派遣されていた35歳の男性医師です。
県によりますと、医師は平成26年10月から今年2月にかけて、知事の許可を得ずに勤務の時間外に徳島県と香川県の4つの民間病院で324日間、外来や当直のアルバイトをしていたということです。
このうち去年4月から今年2月までの間は、大学病院で週1回研修を受けるとうそを言ってアルバイトをし、職務にあたる研修をあわせて42日間欠勤していたということです。

県は2日付けで医師を懲戒免職処分にしました。県によりますと、医師はアルバイトをしていた3年余りの間でおよそ3800万円の報酬を得ていたということです。
県に対し医師は「違反だとわかっていたが、技術を高めたいという欲求に勝てなかった」などと話しているということです。
県保健福祉部の三好誠治副部長は「県民の信頼を損ない申し訳ない。研修を行うなど再発防止を徹底したい」などと述べ、謝罪しました。

色々と言いたいこともあろうかと思いますが、一般論として僻地自治体病院では給料自体はかなり優遇されていて、都心部の病院と比べて1.5倍~2倍程度の高給が担保されている場合が珍しくありません。
この点で都市部で加算が付いたりする一般の職業とでは給与体系の常識が異なると言えますが、興味深いのは一般に多忙な病院ほど給料が安く、暇な病院ほど給料が高いと言う法則が成立しそうだと言う点でしょうか。
今後医師数が増えてくるにつれてこの種の逆転現象が解消されていくのかどうかですが、要するにそれだけ高給を支払わなければ僻地病院に医師などやってこないと言うことで、需要と供給から成り立つ市場価格だとも言えます。
そうした前提を承知した上で考えると、記事では高いバイト代を取っていたことを批判する論調ですが、主たる目的はやはり医師の主張するように「技術を高めたいと言う欲求」があったのではないかと言う気もしますね。

ちなみに自治医大の場合現在のいわゆる地域枠の原型とも言える制度で、在学中の2000万円余の学費を借金と言う形で背負わされ、卒業後9年間の地域医療に従事することで返済免除になると言う仕組みです。
この地域医療なるものも本当の僻地診療から、県庁所在地での勤務まで様々なスタイルがあるそうですが、医師として最も伸びる時期に指導者もいない僻地病院に拘束されるのでは面白くないと考える人もいることでしょう。
地域枠にしても同様ですが、この辺りは制度的に例えば卒後30年なりの長期間の間での御礼奉公を認めると言った制度に変更してもよさそうですが、自治医大の場合すでに毎年の赴任が予約済みで難しいのでしょうか。
今回の先生もあまりに勉強熱心なあまりに僻地の勤務が耐えられなかったのでしょうが、結果的に先生本人にとっても良い形で終わったとも言え、心機一転し今後のますますの研鑽を期待したいところですよね。

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コメント

この免職になった医師の今後ですが市職員の身分を失ったことで
①より酷い僻地に飛ばされる のか
②自治医大による僻地勤務の軛からのがれられる のか
どんな形になっていく事が考えられるのでしょう??

投稿: | 2018年8月 8日 (水) 07時09分

医師の奴隷根性度し難い

投稿: | 2018年8月 8日 (水) 08時29分

>医師として最も伸びる時期に指導者もいない僻地病院に拘束されるのでは面白くない

面白くない以前にフツーに危ないかと訴訟的な意味で

>医師の奴隷根性度し難い

やはり縛り首にしなきゃ!(使命感

投稿: 10年前にドロッポしました | 2018年8月 8日 (水) 09時19分

少なくとも借金を返済する程度には所得があったはずなので、本人に自治医ローテから足抜けする意志があれば可能な状況ではあると思います。

投稿: 管理人nobu | 2018年8月 8日 (水) 17時03分

 前記事にコメントしましたが こっちに書くべきでした。Re:医奴医畜
 元凶は患者様の過大な要求(オープンアクセスでかつ青天井な医療スペック)なのですから、現場に増えた女医さんがまったり人間的に仕事をして、患者様の考え違いを改めていただくのがよいかと。保険制度を破たんさせるよりよほどまし。

投稿: | 2018年8月 9日 (木) 13時57分

自治医大卒で35歳でまだ年季奉公中なのでしょうか?

投稿: クマ | 2018年8月 9日 (木) 22時01分

奉公中でないのに田舎の自治体病院に行く奴っているの?

投稿: | 2018年8月10日 (金) 08時23分

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