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2018年7月 9日 (月)

言われてみれば確かにと言う話ですが

セクハラパワハラの類は今や全く同情の余地なく断罪される風潮になってきていますが、先日出ていたこちらの処分は重いのか軽いのか意見が分かれているようです。

新潟大教授パワハラで停職 部下に長時間勤務強要(2018年3月16日共同通信)

 新潟大は16日、部下の教員らに長時間勤務を強要するなどのパワーハラスメントをしたとして、医歯学系の50代の男性教授を停職15日間の懲戒処分にしたと発表した。処分は15日付。

 新潟大によると、教授は2010年9月~13年8月ごろ、研究や診療で部下の複数の教員を指導する際、無理な長時間勤務を強要するなどして精神的苦痛を与え、職場の秩序を乱したとしている。
 13年8月に部下の相談を受け、大学が調査していた。教授はパワハラ行為を認め、「指導のつもりだったが、深く反省している」と話しているという。

 高橋姿(たかはし・すがた)学長は「職員に対するより一層の意識の徹底を図り、再発防止に努める」とのコメントを出した。

しかし労基法無視の長時間労働を強制するのは確かにパワハラだと言われれば納得するしかないのですが、こういう方向から医療現場の過重労働を考えてみるのも面白いかも知れませんね。
この種の行為は大学に限らず世の中の医療現場に満ちあふれているのだと思うのですが、興味深いのは部下が直接大学当局に相談し処分が下っていると言うことで、今の時代黙って耐えてばかりではないと言うことですね。
深く反省した結果停職明けにどのように変わるのかと言うことも興味があるのですが、一般に教授選考では講座の運営能力などはあまり問われないようですので、選任の在り方にも再考の余地があるかも知れません。
いずれにせよきちんと処分が下ったと言う点で組織としてまだ健全性を保っていると言えますが、これも組織のトップの考え方一つでどうなるかは判らないもので、先日こんな記事が話題になっていました。

労基署介入「労働時間の短縮のみ、センスがない」、聖路加・福井院長(2018年7月4日医療維新)

 聖路加国際病院の院長を務める福井次矢氏(聖路加国際大学学長)は6月29日、石川県金沢市内で開かれた第68回日本病院学会のシンポジウムで登壇し、2016年6月に労働基準監督署から是正勧告を受けて診療体制を縮小するなどの対応を余儀なくされた自院の経験を振り返った上で、私見として「医師の労働時間を短縮することだけに注力しており、行政に携わる者としてセンスがない」と一刀両断した。
 「労基署にも厚生労働省にも問い合わせたが、現時点では医療における時間外労働の定義、自己研鑽と労働の区分けを明示できない。にもかかわらず、『労働時間の是正』と称して病院に次々介入している現状はおかしい」と理由を説明し、理不尽な対応になっていると苦言を呈した。「医師の分布を理想的な状態に近づけるための施策を併行して強力に押し進めるなどの対応が必要」とも訴えた。

 福井氏は、「救急で夜勤が多くなり、うつになっていないか、診療の質が低下していないかなど、医師個人のモニタリングは最も重要」と述べ、医師個人の健康管理については最重要事項に位置付けた。その上で、「医師の労働時間に関する取り組みが米国では医療事故が発端だったのに対し、日本では医師の自殺がきっかけなので、患者に対する医療やケアの質という面が二の次になっている印象が強い」との見方を示した。
 さらに、「時間だけの論議が進むと、恐らくどこかの時点で、目の前で苦しんでいる人がいて、命にかかわる状況なのに、『自分の時間外労働はもうできないから』という理由で立ち去る医師が出てくるのではないかと危惧している」との考えも吐露。「医師のプロフェッショナリズム・モラルの低下、学習速度も臨床研究も低下する。同じ労働ではあるが、特殊性があるというところだけは法律を作る際に考慮していただきたい」とも述べた。また、「(医療において)労働と自己研鑽を本気で線引きするのか。私は、「患者を診ることイコール勉強」だとさえ思っているので、我々現場では(線引きは)不可能だ。あえて線を引くなら国の責任でやっていただきたい」と述べ、医師個人に一定の裁量権を認めるような措置の必要性を強調した。

 労基署介入後の聖路加国際病院については、さまざまな工夫で残業自体を減らし、月平均40時間未満の状況が続いていると説明。一方、若い医師からは「自己研鑽・学習のために(聖路加へ)来たのに話が違うじゃないか」などの苦情が届いていることも明かした。
 残業時間を減らす取り組みについては、下記の2つを柱に進めたと説明。
・当直体制の見直し
・医師に「患者の治療・ケアに携わる以外の時間は病院を出てほしい」と依頼

 当直体制については、「若い医師に圧倒的な負担がかかっていたのを、40~50代の医師にも入っていただくようにした。当直医の数も、以前は17~18人だったのを12~13人までに減らしてきた。救急、小児科、産婦人科、外科、内科、集中治療なども全部合わせた体制として。また、内科では年齢制限なく、60歳に近い先生も当直に入っている」と明かした。
 医師への依頼については、「自己研鑽と業務の区別などを示す国の指針が固まるまでは、病院にいる時間も時間外業務として残業代などを支払わなければならなくなり、経営が困難になるという状況を説明した」と述べ、苦渋の選択だったと振り返った。また、「あらかじめ夜間まで手術がある場合は通常の労働時間に組み込む『変形労働時間制』も導入した」と述べた。
(略)
 労働時間の短縮が困難な領域としては「救急」「小児科」「産婦人科」「集中治療」を挙げた。「シフト制にしようにも医師が十分におらず、新規雇用も難しい。ほとんど不可能ではないか。我々のように病院全体の医師数は多くても、診療科偏在もあり、なかなか難しい」と述べた。

聖路加病院への労基署介入事件については以前にも取り上げたところですが、この結果聖路加では土曜外来を全廃したり夜間の病状説明を取りやめたそうで、おかげで患者家族からクレームが来て困っているそうです(苦笑)。
そもそも論としてこの先生は何故労基法で労働時間が制限されているのかご存じないのかと思うのですが、命にかかわる状況で過労死寸前の医師に働かせてどうやって医療安全を保とうと考えているのでしょうか。
医師個人に裁量権が無く過剰な労働を強いられている状況で裁量権を認めることは結構なことだが、それは国では無く施設長ら幹部が労使交渉の中で決めることで、過剰に労働させるためのお墨付きであってはなりませんね。

全体に記事を見る限りどうも病院のトップとして当事者意識が欠けていると言うのか、現状を是正する意志が乏しいと受け止められても仕方がないと思うのですが、問題はこれを読んで全国の医師がどう感じるかです。
何故多忙なのかと言えば業務量が多すぎると言うことももちろんですが、少なくとも相対的あるいは絶対的な人材不足が背景にあるはずで、では人材を集めるためにどうするのかと考えるとやはり自院のアピールが必要でしょう。
この記事を読んで聖路加の院長先生はセンスがあって素晴らしい、是非自分もこんな素敵な施設でバリバリ働きたいと全国から医師が集まってくるようになるのかどうか、そちらの行く末についても注目したいですよね。

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コメント

昔の外科は体育会系でパワハラ上等ってイメージありましたけどね。
学位とるときはさんざんパワハラされたけど我慢するほどの価値はなかったなあ。

投稿: ぽん太 | 2018年7月 9日 (月) 07時48分

あれ?ドロッポ師匠のいつものがまだない。もう夏休み?

投稿: 麻酔フリーター | 2018年7月 9日 (月) 17時50分

この場合嫌なら(以下略)とか、そういった台詞がふさわしいのでしょうか。

投稿: 管理人nobu | 2018年7月 9日 (月) 20時23分

避難指示が出て川が溢れる寸前大増水!ゲロ濁りだったのでコレは絶対イケる!と、雨が止むのを待って自転車で10分くらいの川にウナギ釣りに行って参りました。
…まさかのボウズ!管理人様の呪いだ!!!

で、余りに悔しいので早起きしてウチの前のドブ川(数日前には溢れていたw)で穴釣り。子供の腕くらいありそうな大物ゲットw。2尾ロストしたけど…。1尾は針が劣化してて折れたw。

その後下流に移動しつつふと見ると浅瀬に2kgクラスのスッポンが!通常スッポンは警戒心が強く、人の気配を感じるとすぐ逃げるのですが(そのクセ莫迦だからそこに置きバリしとけば確実に獲れるw)、多分洪水でへろへろだったんでしょうね。素手でなんなく取り押さえました。

ウチの真ん前が小学校なのであんまり粘って通学時間帯とかち合うと通報されかねないのでそこで終了。残りは明日ww

…で、やっぱ言わなきゃダメ?めんどくさいなぁ。
ブラック病院勤務医は全労働者の敵だから縛り首にすべし!!!!!!!

投稿: 10年前にドロッポしました@毎日が夏休み | 2018年7月10日 (火) 09時39分

気楽な商売だなオイw

投稿: | 2018年7月10日 (火) 17時32分

自己研鑽と労働を区別できないのであれば、全部労働として処理したらいいだけですよ。
そんなに区別したいのであれば頑張って区別してもいいですけれど。

あと、残業手当ごときで聖路加国際病院の経営が行き詰まるとはとうてい思えないのですが、そんなにかつかつなのでしょうか?

投稿: クマ | 2018年7月10日 (火) 17時35分

>クマ様

http://president.jp/articles/-/21994

どこまで本当かはわかりませんが,身近な施設の収支も確認してみてはいかがでしょうか?

投稿: 耳鼻科医 | 2018年7月11日 (水) 08時21分

耳鼻科医さまへ

記事の紹介ありがとうございます。確かにあまりゆとりがあるわけではなさそうですね。
ただ、あの会計でボーナス遅配が起こるのは少し解せません。いくらでも融通つけられそうですけれども・・・

ちなみに私が勤務する病院は補助金が無かったら赤字です。。

投稿: クマ | 2018年7月13日 (金) 19時59分

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