« 千葉県の救急車を絶対断らない病院、救急搬送受け入れを停止 | トップページ | 今日のぐり:「黒潮ひろば」 »

2018年6月27日 (水)

医療とお金に関わる最近の話題

このところ当「ぐり研」でも取り上げている外国人診療のいわゆる健康保険タダ乗り問題について、先日こんなセミナーがあったそうです。

外国人診療、「医療機関ではどうにもならない問題」医療機関有志が都内で議論、「北風より太陽を」とも(2018年6月16日医療維新)

 東京都内の医療機関を中心とした有志による「外国人の健康保険」利用に関する勉強会の成果を報告するセミナーが6月13日、三井記念病院で開催された。各医療機関の事例や、諸外国の対応方針などを紹介し、活発な議論が行われた。

 NTT東日本関東病院医療連携室の海老原功氏は、医療に関する在留資格要件の問題が生じるビザとして、「経営・管理ビザ〔500万円以上出資で取得〕」「留学ビザ」「特定活動(医療)〔観光ビザで来日し受診、その診断書でビザ取得〕」について事例を交えて説明。協会けんぽを持つ外国人患者で、扶養対象となる家族が頻繁に受診した事例では、2DKのアパートに12人が住んでいると登録されており、同じ男性が通訳として帯同していた。居住実態が疑われると指摘した。
 港町診療所(横浜市神奈川区)所長の沢田貴志氏は「実際に滞在している人が医療を使いづらくなると日本全体が不幸になる。日本の信用も落としてしまう」と訴えた。神奈川では県庁が178人の通訳ボランティアを任命し、12カ国語で年間約6000件の医療通訳を行っていると説明。途上国の人が集まる場所に出向いて健康診断をすることなどで、結核患者に占める外国生まれの人の割合が全国平均以下に抑えられていると紹介した。県による外国人患者未払い補填額も、通訳制度が普及するにつれて減少しているとし、沢田氏は「北風だけでなく、太陽の政策が必要。不正に対してはソーシャルワーカーが入って、明らかにすることが対策になる」と指摘した。

 同様の問題は海外でも生じており、オーストラリアや台湾の対策が紹介された。オーストラリアでは留学生は一般国民と違う保険に入るような制度となっており、高額な抗癌剤治療が必要な場合は、母国から持ってくることが求められる。台湾でも、HIVの治療では入国から2年間は保険が適用されないという。
 演者や会場からは「扶養家族の対象を子どもだけにする」「保険取得から一定期間の高額療養費の制限(事故は除く)」「制度改正を急ぐのではなく、まずは運用を適正化すべき」といった意見が寄せられた。
 主催者の一人は「「医療機関ではどうにもならない問題であり、勉強会を続けてきたが、国や議員も動いてくれるようになった。医療が国民が信頼されるためにも、対策を考えていきたい。外国人の方の労働力は日本にとってかかせない。制度にほころびが生じているのであり、外国人を非難するようなことはしないでほしい」と話した。

外国人労働者も増えている中で当然ながら適正な保険診療の利用までも制限されては困りますが、この場合困る主体は被保険者である外国人よりも無保険診療を強いられる医療機関側であると言えます。
対策として例えば保険取得から一定期間の高額療養費の制限と言っても、肝炎ウイルス治療薬などは緊急性がなく、治療開始前にあらかじめ早めに保険取得手続きをしておけば対応されてしまいそうです。
制度に関してはどのようなものであれ悪用する気になれば出来てしまうものなので、最終的には診療コストの負担をどのようにすべきかと言う点にも議論を進めていくべきなのかも知れませんが、道は遠そうですね。
他方で外国人患者に限らず問題化しやすいのが無保険患者や支払い拒否患者にしばしば見られる未収金問題ですが、この点にも関連して先日こんなニュースが出ていたことを紹介してみましょう。

農業、医療も非現金化を 推進協に参加呼び掛けへ(2018年6月21日共同通信)

 電子マネーやクレジットカードなど現金を使わない支払い手段の普及を官民で目指す「キャッシュレス推進協議会」の設立準備組織は20日、今後の活動予定を発表した。7月上旬の協議会発足に向け、銀行や百貨店のほか、病院や農漁協、自治体など市民に商品やサービスを提供する幅広い企業や団体に参加を呼び掛ける

 非現金決済が普及すれば、店舗や窓口に現金を用意する手間が省ける。一方で、クレジットカード端末に加え、電子マネーの規格ごとに決済機器を用意すれば店舗の費用負担が大きくなる。こうした負担を減らす方法についても検討する。
 準備組織は6月25、26日に東京で説明会を開催。7月2日に法人格を取得し、同月末には設立大会を開く予定だ。

 「QRコード」を使った非現金決済の標準化を目指しており、参加した企業や団体から使い勝手などの意見を聞いて、2018年度内に規格統一などの課題を洗い出す。既に非現金決済のサービスに乗り出しているLINE(ライン)やNTTドコモ、楽天などの参加も期待している。自動販売機のキャッシュレス化や紙の売上票を不要とするペーパーレス化も後押しする。

 経済産業省は18%にとどまる非現金決済の比率を、25年に40%に引き上げ、将来的に80%にする目標を掲げる。日本発の規格によって、中国の電子商取引最大手アリババグループの決済サービス「アリペイ」などに対抗する狙いもある。

日本の医療現場では窓口負担が少なかったせいか、予め見積もり等を出して支払い金額に了承いただきながら診療を進めることはまずありませんが、今どき言い値で事後支払いを求められるのはかなり珍しいことです。
特にクレーマーでなくとも思いがけない高額支払いに驚く場合も少なくありませんし、実際問題支払い金額不明では幾らお金を用意すればいいかも判らず困りますが、今まで医療機関では現金払いが中心でした。
その理由としてクレジットカードを利用した場合手数料負担が発生し、元より利益率の低い医療機関にとっては赤字診療になりかねないと言う問題がありますが、未収金対策としてもある程度有効そうではあります。
機材の準備や手数料負担などのコストに関しては、例えばカード決済率を増やした場合診療報酬に色をつけると言った導入誘導策も考えられますが、経産省がどこまで本気で導入を図りたいのかですね。

|

« 千葉県の救急車を絶対断らない病院、救急搬送受け入れを停止 | トップページ | 今日のぐり:「黒潮ひろば」 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

窓口での自己負担分を健康保険組合が直接患者さんから徴収してくれたほうが、
システムとしてもシンプルになりますし、病院はキャッシュレスになって助かるんですけれどもね。

投稿: クマ | 2018年6月27日 (水) 09時01分

後日精算にしたらますますムダな受診が増えそうだ

投稿: | 2018年6月27日 (水) 10時08分

自己負担分は本来的に保険者の仕事を代行徴収している形だと思うのですが、未収金の場合保険者に支払い義務があるのかどうかが気になっています。

投稿: 管理人nobu | 2018年6月28日 (木) 11時02分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/66869449

この記事へのトラックバック一覧です: 医療とお金に関わる最近の話題:

« 千葉県の救急車を絶対断らない病院、救急搬送受け入れを停止 | トップページ | 今日のぐり:「黒潮ひろば」 »