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2018年6月 6日 (水)

ブラック企業=ただ働き強要の認識はすでに古い?!

あまりに非常識すぎると先日大きな話題になっていたのがこちらのニュースです。

「お金を払って働いて」まさかの求人に衝撃 告知の出版社「説明不足」と謝罪(2018年6月1日J-CASTニュース)

   試用期間中は「お金を払って働いていただく」――。出版社のエムエムブックス(岐阜県美濃市)が、こんな内容の求人告知を掲載したことが、インターネット上で波紋を広げている。
   ネット上で否定的な意見が相次いだことを受け、出版社側は「説明不足だった」などとして謝罪。あわせて、告知していた条件での求人は中止すると発表した。いったい、出版社側の狙いは何だったのか。

給与の支払いは「試用期間」の終了後

   エムエムブックスは2018年5月30日、「マネージャー&アシスタント募集」などとした告知を公式サイト上に掲載した。同社は、文筆家・編集者の服部みれい氏が設立した小規模な出版社で、ライフスタイル誌「マーマーマガジン」を発行している。
   今回の求人では、「『お金を払って働いていただく』という試みを行いたいと思います」と宣言。募集する人材の条件について、次のように記載していた。

    「試用期間中(1~3か月)、『ここで学んだ』ということに対して対価を払っていただける方

   スタッフが会社側へ支払う「対価」については、「みなさまが『学んだ』と思うに見合う額を自由にお支払いください」と説明。給与は、試用期間が終わった後から支払う予定としていた。
   業務内容に関しては、雑誌編集や書籍の執筆補助のほか、「畑仕事から犬の散歩まであらゆることが含まれます」。勤務時間は平日の朝9時から17時30分までだった。また、その他の募集条件として、

    (1)過去に編集経験があること
    (2)通勤時間が30分以内の場所に住んでいること

なども設けていた。

   こうした条件で人材を募集した理由について、服部氏は求人ページの中で、「仕事は、本当に『お金がもらえるから働く』がすべてでしょうか?」との持論を展開。続けて、
    「お金がほしいのではありません。お金が惜しいのでもありません。お金を払ってでもやってみたいという意欲がほしいのです。なぜなら、今後、本気で、人間がする仕事が、そういう仕事しか残っていかないとわたしも感じているからです」
などと訴えていた。

「労働基準法に思いっきり引っかかるのでは?」

   だが、労働者側が逆に会社に金銭を支払うという条件をめぐって、ツイッターやネット掲示板では批判的な意見が相次ぐことになった。「ブラックどころの騒ぎじゃない」「やりがい搾取より酷い」といった意見のほか、
    「そもそも労働基準法に思いっきり引っかかるのでは?」
と問題視するユーザーの姿も目立っていた。ただ一方で、雑誌のファンとみられるユーザーからは、「おもしろい採用方法」「すごい発想だ」との声も出ていた。
   こうしたネット上での反響を受けて、エムエムブックス側は31日朝までに、問題の告知ページを削除し、当初の条件での求人を中止すると発表。さらに服部氏の名義で、

    「不快な思いをされたかたにはたいへん説明不足だったと感じています。いずれにしても、不安感やお怒りを促してしまう結果になり、こころからお詫びをもうしあげます」

などと謝罪した。ただ、今後も求人は続けるとして、賃金や労働時間などの条件面については、
    「充分なお話し合いのなかで、適切な内容を決めさせていただけたら」
と改めて呼びかけていた。
(略)

不肖管理人は全く存じ上げなかったのですが、主力のライフスタイル誌は設立者氏のファンであれば読んでいて当然と言うものなのだそうで、意識の高い愛読者の方々からはかなり熱烈な支持を受けているようです。
同社側では社長までも含めて社内で十分に議論した上で打ち出した話だと言いますから大変なものですが、労基法上は実際に働かせた上で給料を払わなかった場合違法で、募集自体は違法ではないそうですね。
労働内容も非常にユニークで、雑誌編集部で編集経験者を求めると言えば編集業務かと思いきや、フルタイムの勤務で畑仕事から犬の散歩まであらゆることが含まれると言うのですから社畜どころの話ではありません。
現在同社では労働条件や待遇等に関しては世間には公表せず、当事者間で話し合った上で決めると言うことですが、今度は世間の目が届かない場所で何をしようとしているのかと訝しむ声もあるのは当然でしょう。
適正な労働と報酬に関して話題になることが増える中で、さすがにこうまでの話であればニュースにもなるのですが、むしろ世間的にはニュースにならないことの方が多く、先日こんないじましい記事が出ていました。

「お金の若者離れ」朝日新聞の投書が話題 「全国紙に載るようになったのは一歩前進」という声も(2018年5月7日キャリコネ)

若者の○○離れ」が聞かれて久しい。ライフスタイルや価値観の変化が影響していると見られるが、これらに加え1つの要因となっているのが「お金の若者離れ」だ。
朝日新聞に5月5日、「『お金の若者離れ』現実知って」という投書が掲載された。投稿者は20歳の大学生で、数々の「若者離れ」について「根源にあるのはお金の若者離れ」ではないかと疑問を呈している。

「高度成長期の人に『最近の若者は夢がない』と言われるのはうんざり」

国税庁の2016年の調査によると、20代前半の給与平均は258万円。投稿者はこの額を引き合いに出し、

    「月々の家賃や水道光熱費の支払いに加え、奨学金の返済がある人もいる」
    「支払われるかどうか分からない年金のことを考え、貯蓄に回す分を含めると、思うように使えるお金はほとんど手元に残らないのではないだろうか」

と、給与額の不十分さを指摘。車や旅行の需要が下がったのではなく、「若者に回るお金は少なく、車や旅行が高嶺の花」だという見方を示した。こうした状況の中で、上の世代から「若者は夢がない」と言われることについては、

    「右肩上がりに経済が成長した時代の感覚で物事を考えている人から『最近の若者は夢がない。欲がない』と言われるのはうんざりだ

と不満を爆発させている。

DeNAトラベルが10代から30代の若者を対象に実施した調査によれば、「本当はやってみたいこと」の1位は旅行だったという。自動車工業協会が若年層向けに行った調査では、「車を買いたい」「買いたくない」がほぼ半々に分かれた。買いたくない理由に、「今まで以上にお金がかかる」「貯金が少ない」など、経済的な要因を上げる人も多い
投稿者の大学生が言うように、「お金があればやりたい・買いたい」と考えている若者も相当数いることだろう。

「今は『若者』の段階を過ぎて『お金の国民離れ』に突入していると思う」

ネットでは、記事を読んだ人から様々な反応が上がっている。「10年前から言われてることじゃん」「今更感が凄い」という感想もあるが、「全国紙に載るようになったというのは一歩前進…なのかなぁ」と肯定的に受け止める声もあった。上の世代からも、
    「我々の若い頃も、お金があったわけではないけれど、親の援助が多少あったりしてもう少し余裕があったように思う。今は親子とも余裕が無く、さらに学費は高くなり、何もかも厳しい。とても若者に問題があるとは思えない」
と、共感する意見が出ていた。
(略)

雇用状況は改善傾向にあるとは言え、若い世代の節約志向は完全に定着しているようですが、ここで注目頂きたいのはマスコミがしばしば使いたがる「若者の○○離れ」式フレーズへの反発の根強さです。
大部分の○○離れに関しては、そもそも若者は離れる以前に最初から近づいてもいないと言う意見もあるそうですが、ともかくも若者自身へのアンケートでもっとも若者が離れているものに選ばれたのが車で、要するに不要不急の贅沢品扱いだと言うことですね。
これに対して車を持つことが当たり前だった年長世代からは今の若者は物欲がないとの声もあるそうですが、冗談ではない、あなた達が安月給での長時間労働を強いるから車など買えないのだと反発するのも当然です。
車の価格も年々高くなる一方ですから、安月給の中から将来のための貯蓄に回している堅実な若者ほど車離れが深刻であるとも言えるし、黙って給料を上げれば車離れなど解消すると言われればそうかとも思えますが、そもそも論として問題視すべきなのかどうかです。

元より時代とともに興味の対象が移り変わるのは当然で、若者の○○離れを嘆く年長世代もまさか自分達の若い時代に立派な太刀や豪華な鎧兜を大金を払ってでも手に入れたいとは思わなかっただろうと思います。
実際にお金があっても車など買わない、必要ないと言う人も少なくないとも言いますが、他方で若者のやりたいことのトップは旅行なのだそうで、自由になるお金や時間が乏しいのだろうなと想像させられる話ですよね。
そして若者にしろ年長者にしろ結局は時代の変化であり、無理に昔ながらの流儀を追う必要はないと言う声が少なくないのですが、その点で興味深いのは若者の○○離れと熱心に語りたがるのがほぼマスコミに限られていると言う点です。
○○離れを批判する前提として、○○に寄り添うことが正しいと言うニュアンスも感じるのですが、マスコミが本音でもっとも気にしているのが年々急速に進んでいる若者の新聞離れ、テレビ離れであるのかも知れませんね。

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コメント

さすがにこれは後で返してくれるんでしょ?
ところで私大の入学寄付金ってのも問題だと思うんですけど。

投稿: ぽん太 | 2018年6月 6日 (水) 08時26分

>「仕事は、本当に『お金がもらえるから働く』がすべてでしょうか?

ょぅι゛ょレ○プしてぇw!とか公言してるも同然なんですが…ねえw?
https://togetter.com/li/887586

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2018年6月 6日 (水) 10時33分

他人にただ働きせよと言う人間は、当然ながら自分もただ働きしているのだろうかと言う疑問を覚えます。

投稿: 管理人nobu | 2018年6月 6日 (水) 17時30分

↑他人にただ働きさせようなんて目論むような強欲な人間がただで働くワケないかとw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2018年6月 6日 (水) 18時08分

それ世間じゃ搾取って言うんじゃw

投稿: | 2018年6月 7日 (木) 08時03分

研修生名目で受け入れればいいのに、なぜわざわざ法律に抵触するようなやり方にしたのでしょうかねえ?
出版業界全体が労働法をあまり理解していないのでしょうか?

投稿: クマ | 2018年6月 7日 (木) 08時38分

わかっていてただ働きとか、お金を払ってするものは、「仕事」とは言いません。

投稿: | 2018年6月 7日 (木) 09時02分

募集の条件が編集経験者求むなのにいまさら研修もクソもないでしょ
ああ編集業務以外の雑用を研修させるってこと?w
通勤時間30分以内って呼び出したらいつでも来いってことだよねw

投稿: | 2018年6月 7日 (木) 09時18分

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