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2018年6月 1日 (金)

例えば1%の顧客が10%のリソースを消費し0.1%の利益にしかならない場合に

不肖管理人もネット通販はよく利用するし、今まで商品トラブルで返品と言う経験は幸いなかったのですが、世の中そうではないと言う場合も少なくないようで、先日こんな興味深いニュースが出ていました。

Amazon、返品しすぎるユーザーを追放(2018年5月23日フロントロウ)

 オンラインサービスのアマゾン(Amazon)が返品を繰り返すユーザーに対して、注文できなくする措置を取っていることに批判が殺到している。

 世界中で3億人以上が利用するアマゾン(Amazon)には、届いた商品に問題があった場合に、無料で交換や返金が出来る返品サービスがある。
 このサービスを利用しすぎると警告を受けるほか、アカウントを閉鎖される厳しい処置がとられることに対して、不満の声が上がっている。

 ある利用者は1年間に返品サービスを6回利用しただけで警告書が届き、ほかの利用者は343のアイテムを購入し、そこから37のアイテムを返品したところ、アカウントが閉鎖されたという。
 さらに、The Wall Street Journal紙によると、何の通知もなく突然アカウントを閉鎖させられたユーザーもいるといい、こうした返品に関するクレームはSNSに多く投稿されている。

 アマゾンの返品ポリシーには、返品サービスの過剰利用を禁止するようなルールは存在しない。それにもかかわらず、「返品のしすぎ」によりアマゾンから何かしらの措置を受けるユーザーの声が多く上がり、波紋が広がっている。
 そんななか、Amazonの広報担当が声明文を発表。

 「すべてのユーザーがAmazonを使えるようになってほしいと思いますが、弊社のサービスを過剰利用しているケースが稀にあります」と説明し、返品サービスを過剰利用したユーザーに対してなんらかの措置を取っていることを認めた。
 そのうえで、不公平な対応をされたユーザーについては、問い合わせをすればアカウントを見直すということも声明で発表した。

 無料で返品できるからこそ、より多くの人が気軽に利用したこのサービス。世界中に3億人以上のユーザーを抱えるAmazonにとっては、その負担は思った以上に大きかったのかもしれない。

契約関係である以上、規定に示されていない対応を取られると言うのは愉快なものではありませんが、実際にこの種の通販サービスで過剰な返品問題は以前から問題になっていたと言いますね。
もともと日本では2009年に通販商品は原則8日間返品可能となる法改正がなされましたが、世界的に見ると通販業者にとってはしばしば4割にもなる返品率の高さが大きなコスト負担になっているそうです。
実物を見ずに取引する以上店頭販売より返品率が高まるのは理解出来るし、実際詐欺紛いとは言わないまでも実物が写真と違いすぎると言った事例も未だ少なくないのですが、利用者側も全く無問題としません。
半ば試着目的で大量に注文しほとんど返品してしまうとか、人によってはいわゆるインスタ映えする写真を撮るためだけに次々と注文と返品を繰り返すと言ったケースもあるそうで、利用者モラルも問題となりそうです。

明らかに法律違反レベルのトラブルはお断りしても仕方ないと思いますが、この種の微妙な顧客の足切りラインの線引きを曖昧にしてきた日本社会においても、最近取引お断り事例が散見されるようになっています。
冒頭の記事にあるようなケースでは微妙な判断になるとも思うのですが、業者側からすれば返品を繰り返す顧客とは確かに利益率の低い顧客であり、下手すれば赤字になる以上縁を切りたいのが本音でしょう。
当然ながら取引お断りとなれば新たな顧客トラブルになりやすく、現場スタッフの個々の判断ではなく組織としての明確なルールに基づいての対応が望ましいはずですが、先日はこんなニュースが出ていました。

タクシーの「合法的に乗車拒否」広まるか 背景に乗務員へのモラハラ、セクハラ問題(2018年5月23日乗り物ニュース)

「運送約款」に具体例とその対処を明文化

 タクシー乗務員が、客からモラルハラスメント、セクシャルハラスメント行為を受ける事例があるといいます。
 東京、横浜を中心にタクシー事業を展開する国際自動車(東京都港区)によると、たとえば禁煙車内での喫煙や、無理な要求を迫りドライバーを罵倒する行為のほか、女性ドライバーがお釣りを渡す際に手を握られたり、運転中に後ろから髪を触られたりするなどの事例があったそうです。
 同社はこのような事態に対応すべく、運送行為において企業と利用者のあいだのルールを定めた「運送約款」を2016年2月に変更し、乗務員が利用者からハラスメント行為などを受けた際の乗車拒絶や慰謝料請求、喫煙された際の清掃代請求などを明文化したといいます。
(略)
――どのような経緯で運送約款を変更したのでしょうか。
 職場環境を整えていく過程で、「乗務員の声」を集めたところ、乗務員がハラスメント行為に我慢を強いられていた実態が明らかになりました。たとえばお客様からセクハラ行為を受けても、営業所から「仕事しにくくなるから我慢しろ」と言われた経験を持つ者もいます。「それはよくない」ということになり、乗車拒否などの対処が合法的に可能になるよう、約款を変更しました。

――約款変更後、乗車拒否などを実際に行ったことはあるのでしょうか?
 いえ、約款変更から現在に至るまで、実際に乗車拒否などに及んだことはなく、お客様によるハラスメント行為も顕在化していません。変更から半年間は、具体的なハラスメント行為をイラストで示したお知らせを運転席ヘッドレストの裏に掲示しました。これによりお客様の理解が深まったこともありますが、犯罪行為が抑止できている要因は約款の内容だけでなく、車内を撮影するドライブレコーダーの存在も影響しているでしょう。どちらかが欠けていては、抑止効果が薄いのではないかと考えています。

被害者は本当に多い? それでも約款変更が相次ぐワケ

 国際自動車は、約款変更の効果が最も実感されるのは、利用者への対処というよりも、「安全に働ける職場であると外部にアピールできたこと」だと話します。同社では2010(平成22)年から約款を変更した2016年までに新卒の乗務員を300人近く採用したといい、運送約款の変更は、若者を含むすべての人が安心して働ける環境を整える目的があったそうです。
 運送約款の変更には、その地域を管轄する運輸局に届け出て認可を受ける必要がありますが、国際自動車によると、同社が約款変更を発表して以後、東京都内を拠点とする事業者の6割がその届け出を行ったとのこと。大阪や広島など、他府県のタクシー協会からも問い合わせを受けたといいます。実際に同社へ詳細を問い合わせたという広島県タクシー協会の担当者は、次のように話します。
「もともと、各社の運送約款にはたいてい、『運送の引き受け及び継続の拒絶』といった項目があります。ただその内容には『公序良俗に反する行為があった場合』といったあいまいなものがあり、たとえば乗務員がお客様から暴言を受けた際、これに反しているのかどうか、その場では判断できないという声がありました。そこに、具体のハラスメント行為や、それへの対処を明記した条文を付け加える形で運送約款を変更しているのです」(広島県タクシー協会 担当者)
 担当者によると、県内のタクシー事業者から乗務員がセクハラ、モラハラ行為を受けた話は耳にするものの、実際の事例としてはそれほど多くはないとのこと。それでも、乗務員を守るために、運送約款の変更を運輸局に届け出る事業者が増えているといいます。
(略)

非常に興味深い話だと思うのですが、特にその効果として実際のトラブル減少と言うよりも、従業員採用の面での効果が大きいと期待されていると言うのは、この人手不足の時代にあって理解出来る話ですね。
特にありそうな話だと思うのが、明文化されたルールがなかった時代にはたとえ顧客から問題行為を受けても、上司から我慢しろなどと不当な対応を強いられたと言う点で、何処の組織でもあり得る話だと思います。
現場の危機感に対して鈍感な組織は当然ながら他の面でもスタッフに配慮が行き届いているはずもないので、トラブル対策のあり方も職場の働きやすさを評価するための重要な指標になり得ると言うことですね。

こうしたルールを決めると顧客差別とはケシカラン式のことを言い出す人もいらっしゃるようですが、利用マナーレベルならまだしも明らかに問題ある行為は許容されざることは当然で、むしろ今までが甘すぎたと言えます。
こうして明文化しなければ現場も対処に困ると言うことであればルールを決め、それに同意いただいた顧客にご利用いただくと言うことで良いのでしょうし、拒否されるなら他にもタクシー会社の選択肢は多いわけです。
うるさいことを言い出した結果売り上げが減って会社の経営が傾くのか、意識の高い会社であると利用者にかえって好評とともに迎えられるのか、今の時代むしろ後者の可能性もありそうに思いますけれどもね。

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コメント

オーショーギムイハンガー………

投稿: | 2018年6月 1日 (金) 09時20分

輸血拒否患者の対応に見られるように、院内ルールを整備した上でそれに基づいて対応する限り何ら応召義務に抵触するものではないと思います。

投稿: 管理人nobu | 2018年6月 1日 (金) 14時00分

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