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2018年5月21日 (月)

横浜市で保育士の逃散事例が発生し話題に

待機児童問題や保育園建設反対運動など、近年保育所の存在にフォーカスが当たる機会が増えていますが、先日横浜発のこんなニュースが話題になっていました。

横浜の保育士“一斉移籍”、保護者の涙と怒りとその顛末(2018年5月14日NEWS ポストセブン)

 63人──これは神奈川県横浜市が2018年4月に発表した待機児童の数である。約1070世帯に1人の子供が保育園に入れない計算になる。同市は対応策として今年度は予算1462億円を投じ、約2800人分の児童受け入れ枠を拡大する計画を実施した。この4月から新たに認可保育園32園が新設され、「待機児童ゼロ」に向けて大きく舵を切った形となった。
しかし、その中の1つ「鶴見中央はなかご保育園」は前代未聞の形で誕生している。

「職員のかたがただけでなく、私たち親子も、この保育園にかかわる人みんなが裏切られた、その一言です」
涙ながらに語るのは、横浜市鶴見区にある認可保育園「寺谷にこにこ保育園」に子供を通わせていた保護者だ。
3月末、同園は、園長と主任を含む保育士11人が一気に退職した。その結果、4月からは認可保育園にもかかわらず、運営を縮小せざるを得ない状況に陥っている。新3~5才児クラスが廃止され、37人の園児たちは市内の別の保育園への転園を余儀なくされた。多くの被害者が生まれる中、思わぬ事実が発覚した。
「寺谷にこにこ保育園」を退職した11人のうち、園長と主任を含む7人は、前述した4月に新設されたばかりの「鶴見中央はなかご保育園」で働いているというのだ。

この問題を市議会で取り上げた横浜市議の古谷やすひこ氏が解説する。
「最初に辞職を申し出た園長に続いて、1か月もしないうちに主任も辞めると宣言し、その後、数名が同じように退職願を出しました。今回の問題は、単に保育士が辞めたから保育園を縮小するという単純な問題ではない。新しい保育園を開設するにあたって既存の保育園からごっそり職員を引き抜いたということが、騒動の発端だと聞いています」

◆「子供に、『早く帰りたい。いつ元の保育園に戻れるの?』と聞かれて…」

園長をはじめとする保育士たちはなぜ子供たちを置いて新しい保育園に移ってしまったのか。「寺谷にこにこ保育園」の前園長で「鶴見中央はなかご保育園」の新園長を務めるA子さんは、本誌の取材に対し、頭を下げながらこう語った。
「途中で園を移ってしまったことでお子さんや親御さんには迷惑をかけて申し訳ないと思っています。保護者のかたからも『子供たちに一生消えない傷を残した』と言われましたし、それは本当におっしゃる通りで、恨まれても仕方ないことをしたと思っています」
だが、「引き抜きがあった」という指摘に対しては否定する。
「私は筋を通して辞めたつもりですし、辞めた理由も決して引き抜きではありません。『寺谷にこにこ保育園』には10年勤めましたが、その中で代表と育児法をめぐって意見の食い違いがあり、心機一転して新しい場所で仕事をしたいと思っていました。
そんな時に『鶴見中央はなかご保育園』の募集を知って、転職しただけです。一緒に転園した他の保育士たちも無理矢理引き連れていった訳ではなく、私と同じ気持ちで、新しい場所で働きたかったのだと思います」
(略)
今回の2つの園はともに私立である。
「また、職業選択の自由が憲法で保障されている以上、保育士が別の保育園に転園すること自体に規制をかけることはできませんが、同園のように大量に保育士が転園するケースは前代未聞でしょう。事業者の責任も大きいですが、保育の実施責任は市にあり、監査も行っているはず。閉鎖する前に行政が真摯に対応すべきだったと思います」(猪熊氏)
「寺谷にこにこ保育園」では、大人数の退園が判明した時点で、この事態を打開すべく、同園の代表が、横浜市に園を運営する方法を探してほしいと掛け合った。
しかし実際に横浜市が動いたのは相談から2か月たった後だったという。前出の同園関係者が言う。
「それも『新しく保育士を採用するならば、こんなふうにしたらいい』などのアドバイスを少しくれた程度で、何の解決にもなりませんでした。そのうえ、市からは引き抜きのことは隠してほしいと言われてしまったのです」
前出のA子さんは“引き抜き”を否定していたが、横浜市は“引き抜き”と認識していたことになる。前出の同園関係者が続ける。
「市が引き抜きを隠そうとしたのは、この事実が明らかになって、市が掲げた保育園の数を増やし、児童受け入れ枠を拡大する計画が頓挫してしまうことを懸念したからではないでしょうか」

市内の保育園を管理、運営する横浜市保育・教育運営課に今回の一件について話を聞いた。
「鶴見中央はなかご保育園に関しては、引き抜きではないと聞いています。また市が寺谷にこにこ保育園に引き抜きの隠蔽を依頼したということは、一切把握しておりません

記事にも出ている古谷市議が事態の推移経過を掲載しているのですが、一人二人と抜けたら後はバタバタと言う印象で、人手不足で一杯一杯だった職場であればしばしば発生する現象だなと言う印象を受けます。
実際に集団離職による運営の破綻自体は他地域でも報じられているようなのですが、今回の場合離職したスタッフ一同が近隣別施設にまとめて勤めることになったと言う点が珍しいと言うことでしょうかね。
また興味深いのは今回引き抜かれた側の法人代表と、引き抜いた側の法人代表とは親戚関係であるそうで、こうした騒動に至るまでに何かしら親族間でのやり取りなどがなかったのかどうかです。
この辺りの事情も含めて一番不思議なのは、何故一番の責任者であるだろう同園の代表に取材しないのかと言う点なのですが、現場を仕切る園長以下のスタッフに責任を押しつけたいと言う意図でもあったのでしょうか。

別な記事では当該保育園を運営する「株式会社にこにこ」代表取締役社長にインタビューしているのですが、何ら実態がはっきりしない通り一遍のコメントだけで、意見の食い違い云々の詳細ははっきりしません。
同記事では待遇面にも触れているのですが、寺谷にこにこ保育園の短大卒の正社員の基本給は16万5000円、手当などを含めた総支給額は20万円だと言い、保育士平均給与額の21万4200円に比べ低めに見えます。
ただ同系列で運営している他の施設も似たような待遇であるはずなのに退職者が出ていないことから、何かしら待遇面以外の事情もあったのかと推測していますが、園長のコメントは想像をかき立てられますよね。
園長が退職を決めた直後に他のスタッフも続々後を追って退職し、いわば園長に追随しているように見える点からすると、経営者よりも園長の方に現場スタッフの支持があったのかなと推測はされるところでしょうか。

冒頭の記事の中略部分でさんざん利用者家族からの恨み言が書き連ねてあって、それは年度途中で保育園が立ちゆかなくなれば困りもするでしょうが、基本的には退職は仕方のないことであり、労働者の正当な権利です。
近所の行きつけのお店でスタッフが大量退職して休業になったとして、普通辞めた従業員よりも店の経営者に責任を問うべきだろうと思うのですが、退職した従業員を責めるかのような論調はいささか意外な気もしますね。
普段労働者の権利擁護に努めているはずの進歩的マスコミであれば、労働者をこうまで追い込んだ経営者側の責任を厳しく糾弾しそうなのですが、見た限りそうした論調をとるメディアはないようでした。
保育園を巡っては先日スタッフの妊娠の順番まで決められていると言うびっくりニュースも報じられていて、保育士の労働環境にも注目が集まっているだけに、何故こうした報道の方向性になったのかと言う点は興味深いことですね。


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コメント

どこでも引く手数多だろうになんでみんな同じ保育園に再就職したんですかね?

投稿: ぽん太 | 2018年5月21日 (月) 08時42分

待遇面等客観的な条件は分からないのですが、何かしらの口コミ的なものはあったのだろうと言う気がします。

投稿: 管理人nobu | 2018年5月21日 (月) 21時36分

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