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2018年3月 7日 (水)

消防救急、搬送しない場合のルールを策定

以前からその必要性が言われていることですが、先日こんなニュースが報じられていました。

緊急性なければ搬送せず 消防庁、判定マニュアル作成へ(2018年3月6日朝日新聞)

 全国的に出動が増えている救急車を有効活用するため、総務省消防庁は、救急現場で緊急性がないと判断された人を搬送しない際の、隊員の対応マニュアルや教育体制の整備を新年度から進める。こうした対応は一部の地域で取り組んでいるが、トラブルを懸念する声が出ていた。今年度末にまとめる検討会の報告書に方針を盛り込む。

「緊急でない」判断、誤りだったら…搬送現場のジレンマ

 2016年の救急出動は10年前より97万件多い621万件、増加傾向が続く。10年で救急隊も全国で約300隊増えたが、現場到着にかかる時間は約2分延びている。出動数が多い都市部や1回の出動に時間がかかる過疎地などは、一刻を争う患者搬送が遅れかねず、地域によっては全ての救急車が出払う事態が起きている
 こうした中、緊急度の高い人を把握し、出動態勢を手厚くしたり、適切な医療機関を選んだりする、緊急度判定を導入する消防本部が増えてきている
 総務省消防庁の昨年度の調査では、全国の消防本部の74・9%が、救急現場で緊急性が低いと判断された人に、救急車以外の手段を勧める取り組みが「必要だと思う」と回答。同庁は昨年度の報告書で「緊急度を判定し、救急搬送の要否を判断することが求められる」と対応を促した。

 ただ、救急搬送が必要な人への「判断ミス」があった地域もあり、運ばない判断への慎重論は根強い。同庁の昨年度の調査でも、96・7%の本部が、後で容体が悪化した際の責任問題を不安に挙げた
 こうした状況から、18年度に患者への説明、搬送しなかったときのアフターケア、記録の残し方などのマニュアルをつくるとともに、職員の教育体制づくりを目指す。速くて正確な判定のための技術開発も同庁の研究班(班長=森村尚登・東京大教授)が進める。19年度にいくつかの消防本部と協力してモデル地域で検証する方針だ。(阿部彰芳)
     ◇
 〈救急の緊急度判定〉 119番通報の時は通信指令員が患者の訴えや状態をもとに判断し、救急現場では隊員が患者を観察し、呼吸、脈拍などの情報も踏まえて決める。判定の過程や留意点をまとめた手順書を総務省消防庁が公表しているほか、独自に手順を決めている地域もある。同庁の報告書では、緊急度が低ければ「時間的余裕があるため、自力での受診が可能」としている。

まあしかしどう見ても救急搬送の対象ではないケースも数多いので、こうした明らかな事例をお断り出来るようになるだけでもずいぶんと違うのではないかと言う気がしますけれどもね。
ただ近年救急搬送業務の逼迫が言われていることは周知の通りで、その是正策の一環であることは言うまでもないのですが、個別の判断での対応ではなく全国一律の公定マニュアル化であることに意味があります。
家が丸焼けになっても消防隊が何故訴えられないのかと言う話がありますが、救急搬送も搬送遅れや搬送漏れなど様々なトラブルが時折報じられるものの、搬送ミスだと隊員が訴えられると言うケースはあまり聞きませんよね。
その理由の一つに消防救急は個人ではなくあくまで組織として活動していると言うことも挙げられると思いますが、組織として判断し組織として活動した結果なのだから、文句があるなら消防庁に言えと言うことになるのでしょうか。
とは言え医賠責などと同じように搬送業務についての賠償保険もちゃんとあるのだそうですが、ともかくも救急隊としては徹底的に組織としてのルールを策定し、それに従って動くと言う姿勢を貫くようですね。

ひるがえって医療の世界ではガイドラインなどと言うものに対する反発も未だに多く、医療現場は何事もルール通りにはいかないのが当たり前で、何でも杓子定規に決められては困ると言う声がともすれば挙がってきます。
医療訴訟絡みでガイドラインに外れていれば負けると言う誤解がありますが、ガイドラインに外れていても根拠や妥当性があれば大丈夫なのだそうで、ガイドライン通りにやっていれば負けることはないと言う方が正しいのだそうです。
ひと頃の救急医療崩壊と騒ぎになったことがありましたが、これも何でもかんでも受けられるわけがないのは当然で、本来ならルールを策定し公表した上でそれに従ってお断りすると言う形であれば混乱が少なかったでしょうね。
ルールを決めるだけでなく、それをきちんと公表して世間に周知してもらうと言うことは余計なトラブルを回避する手段としても有効ですし、結局は現場の無駄なストレスの軽減にもつながるのではないかと言う気がします。

こうしたルールは必ず安全性のマージンを織り込んで策定されるはずですが、当然ながらこれに従った判断であっても結果的に間違っていたとか、逆に過剰なマージンの取り過ぎで業務軽減にならないと言うこともあり得るでしょう。
進歩的なメディアの中の人などは万に一つでも何かあれば鬼の首を取ったかのように大騒ぎするのが常で、ルールに従い事故でも起ころうものなら必ずそれみたことかと猛批判するでしょうが、一定の間違いは必ず起こるでしょう。
結果的にどの程度の不利益が新たに起こり、それに対してどの程度過密な業務改善が進んだかを検証し改訂していく作業が必要ですが、救急隊に余裕が出来れば搬送が効率化し、結果的に助かる命も出てくる理屈です。
稀なレアケースに備えて日常的に不具合が多発するよりは、一定の不利益はあっても日常的に大きなメリットをとった方がいいとは思うのですが、当然レアケースに対しての補償なりもセットで用意しておくべきでしょうね。

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コメント

これタクシーがわりに救急車呼ぶタイプがいちばん揉めそうな気が。

投稿: ぽん太 | 2018年3月 7日 (水) 08時31分

>全国の消防本部の74・9%が、救急現場で緊急性が低いと判断された人に、救急車以外の手段を勧める取り組みが「必要だと思う」と回答

そんなものを勧めたら必要性があったんじゃないかと勘ぐられる予感。
マニュアル通りばっさり切り捨てた方がトラブルが少ないのではないかと思われますが、どうでしょうか?

投稿: クマ | 2018年3月 7日 (水) 15時52分

ひとまずマニュアルの内容がどうなるか確認したいところですが、移動の足がないなど社会的理由による搬送依頼の方が、案外と対応は難しくなるかも知れません。

投稿: 管理人nobu | 2018年3月 7日 (水) 16時36分

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