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2018年2月15日 (木)

後発医薬品問題に見え隠れする(一部)医師(団体)の薬剤師敵視傾向

本日まずは、多くの臨床医がまあそうなんだろうな…と感じるであろうこんなニュースから取り上げてみましょう。

解熱鎮痛剤後発3品目が溶出に遅れ(2018年1月31日化学工業日報)

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は26日、昨年8月に開催された第19回ジェネリック医薬品品質情報検討会の概要を公表した。今回は解熱鎮痛消炎剤8品目を対象に品質評価を行い、ジェネリック医薬品(後発薬)と先発品の適合性を検証。このうち大原薬品工業の「エトドラク錠」、辰巳化学の「メロキシカム錠」「アクタリット錠」について、規格には適合するものの溶出曲線が先発品と異なる結果を得た。メーカー各社は原因究明と溶出性の改善に向けた検討を行う。

 解熱鎮痛消炎剤8品目について、4種類の試験液を用いて溶出試験を行い先発品やオレンジブックの規格と比較した。このうち大原薬品のエトドラク錠100/200ミリグラム製剤と辰巳化学のアクタリット錠100ミリグラム製剤は、規格には適合するものの複数の試験液で溶出が遅く、オレンジブック、先発品の溶出曲線と類似の範囲になかった。辰巳化学のメロキシカム錠5ミリグラム製剤も規格には適合していたが一つの試験液で溶出が遅く、先発品の範囲と類似しなかった。

 メーカー側が行った試験でも同様の溶出挙動が確認され、各社は溶出性の改善に向けた検討を行う。アクタリットは評価したロットの直近2ロットでは問題がなかったため、ロット間で溶出挙動が異なった原因についても調査する。

俗にゾロとも呼ばれるこの後発医薬品問題、医療費削減を目的として政府が率先して使用を呼びかけていますが、当然ながら有効成分が同じだけ含まれているからと言って薬として同じであると言うわけではありません。
この辺りは同じ小麦粉と塩と水を使っても出来上がったうどんは同じとは限らないと言うのと同じ理屈ですが、特に問題となるのは効果が明らかに違うだとか、余計な成分のせいでアレルギーが出たりと言った場合ですよね。
以前に東京都保険医協会が「ジェネリックの中で効くものを医師と相談しましょう」と言う率直すぎるポスターを出してマスコミに批判されたことがありますが、要するにジェネリックを選ぶ=薬を選ぶのと同じだとも言えるわけです。
となると処方権と言うものの独占にうるさい某医師団体などが、薬局窓口で薬剤師と患者との間で勝手に薬を変えられることにいい顔をするはずもありませんが、先日こんな記事が出ていました。

新設の調剤報酬で「医師と薬剤師、相互理解を 」(2018年2月8日医療維新)

 2018年度診療報酬改定について、中医協の診療側委員である日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏は2月7日に記者会見し、多剤投薬の適正化など医薬品の適正使用に関する取り組みを評価するため新たに設ける調剤報酬「服用薬剤調整支援料」について、「すぐさま取れる点数ではないこともあり、しっかり育てていかないといけない点数だ」と述べ、要件は厳しいとの認識を示した。その上で、「処方する医師に対し、薬局側が薬学的知見に基づき情報提供できるので、医師と薬剤師が互いに互いの仕事をより理解するきっかけになればいいと考えている」と付け加えた。
(略)
 新設点数の服用薬剤調整支援料は、6種類以上の内服薬処方について、薬局の薬剤師 が処方医に対して文書で処方変更を提案した結果、内服薬が2種類以上減った場合に算定できる。月1回125点。
 安部氏は会見で新設の同支援料について、医療機関側の報酬点数にある「薬剤総合評価調整管理料」と対になると説明。「わが国では処方薬剤が多い、もしくは抗生物質が使われすぎている、あるいは向精神薬やベンゾジアゼピン(BZ)系が多いなどの状況」と指摘し、「医師だけでなく、薬剤師も薬学的な観点から積極的に意見なり情報提供なりするのは重要」と述べた。「例えばBZ系は、減らせばいいだけでなく、やめるときの退薬をどうするかが大事で、失敗すると逆効果もある」と解説した上で、「(報酬に基づく)仕組みができるので、薬剤師が研修しながら、生涯学習の中で薬剤師らしい機能を発揮できればいい」とも述べ、医療の質向上で薬剤師が担う役割は重いとの認識も示した。
(略)
 今改定では、政府が掲げている後発医薬品の使用割合80%達成に向けた内容も実施。「後発医薬品調剤体制加算」の算定基準引き上げと、「後発医薬品の数量シェアが著しく低い薬局の調剤基本料の減算」規定(20%以下で2点減点)を新たに設ける(『後発品「85%以上」、入院、外来、調剤とも高評価』を参照)。
 安部氏は、処方医や患者の意向もあって薬局が後発品の使用を決められるわけでないため減算措置は厳しいと訴えた上で、妥当性もあるとの見方を示した。「国の目標は、(調剤割合が)すごく低いところがたくさんあると達成できない。医療の質と同時に、財政にも貢献するための、そういった観点から、メッセージとして、いたしかたない」と理解を示した。
(略)

後発医薬品問題に関して言えば、薬局とすれば後発品比率が低ければ報酬が減るわけですから死活問題で、是非とも患者を誘導してどんどん後発品に切り替えて行きたいのは当然ですが、処方医としてはどうなのかです。
医師は処方箋上A薬を出しているつもりなのに薬局でB薬にされている、それで問題が起こった場合患者としてはB薬が悪いと思わずA薬が悪いと考えるはずで、クレームは薬局ではなく医師の方に行くことになるでしょうね。
またB薬の供給がいつまで続くかの保証がないのが後発品の問題点でもあって、今日はB薬がないからC薬でと毎回薬が変わったのでは医師も薬の効果を評価するのに四苦八苦することになるでしょう。
この辺りはメーカーによる効果の違い等後発品毎の差異を薬局が把握した上でのことならまだしもなのですが、単純に値段や在庫のあるなしだけで決めていないか?と言う不信感が拭えないのではないかと言う気がします。

記事の前段部分にある薬剤師による処方変更の提案も議論があるところですが、単純に同効薬を重複処方されていたと言ったことであればこれは当然指摘いただければいいのですが、そうでない場合がどうなのかです。
医師にしてみれば当然患者の状態や基礎疾患など様々な事情を総合的に判断して薬を出しているつもりですから、ろくに患者の状態を知りもしない薬剤師風情が何を言うかと言う気持ちもあるのだろうとは思いますね。
ただ先日は某医師団体が医師から薬剤師へ検査データを提供する厚労省の提案を拒否したと報じられていて、要するに医師側としては薬屋は黙って袋詰め作業に専念していればいいのだと言う意志表示でしょうか。
処方権の位置づけなど難しい議論もあることですが、相手が院内薬剤師であれば患者データを見て仕事をするのは当たり前のことで、敢えて情報を開示しないことに医学的なメリットがあるようには思えないのですけれどもね。

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コメント

多くの勤務医にありがちでしょうが、基本同僚の名前で自分の薬を定期処方します。眼圧とか視野検査とか、自分でできない検査は受診するのですが、後発品の点眼薬使用をとがめられて説教されました。眼圧はちゃんと下がっていたのですが、何が気に食わないでしょうか?
解熱性鎮痛薬って、溶出曲線が異なると、効果が異なるのでしょうか?経口投与している時点で、静注や経直腸に比べて、どうせ劣るのに、目糞鼻糞ではないのですか?

投稿: 麻酔フリーター | 2018年2月15日 (木) 13時24分

基本的にはどのような薬であれ効果を見ながら用量調節をしていくのが当然なので、アレルギー問題等でなければどこの後発品を使おうがその都度調節すればいいはずではあるのですけれどもね。
ただ患者あるいは薬局によってはたびたびメーカーを変更することもあるようなので、毎回外来に来るたびにどこのメーカーのものを使っているか、効果はどうかをチェックするのは面倒かつ高コストではあるでしょう。

投稿: 管理人nobu | 2018年2月15日 (木) 16時42分

>後発医薬品問題に関して言えば、薬局とすれば後発品比率が低ければ報酬が減るわけですから死活問題で、

懇意にしている薬剤師先生に先日まさにそのようなご相談を受け、豪華夕御飯を奢って頂いたので早速全部ゼネリック可、にしたら速攻で青い顔した先発品メーカーのMRが飛んで来ましたw。
*キミ達最近奢ってくれないやんw

>基本同僚の名前で自分の薬を定期処方します。

カラフトマスを生食して日本海裂頭条虫にヤラレた時それやったら、処方する医師に対し、薬局側が薬学的知見に基づき情報提供されそうになって往生しましたw

>眼圧はちゃんと下がっていたのですが、何が気に食わないでしょうか?

直接聞きゃええやないですかw、って気もしないではないですが、眼科医と刃物持った強盗の言う事は聞いといた方がいいんじゃないすか~?(鼻ホジ

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2018年2月15日 (木) 16時45分

>*キミ達最近奢ってくれないやんw
まだ、奢ってくれた頃は、一部製品に対して、院内薬の後発品変更を阻止していました。義理堅くね。
でも、もう全く接待ゼロになって、7-8年かなあ?もう薬剤師には、俺に確認せんと変えてええで。ちゃんとアンプルにシールついていたら、それでええで、にしました。
>眼科医と刃物持った強盗の言う事は聞いといた方がいいんじゃないすか~?
薬の処方だけの内科なんて、自分でもできるからどうでも良いんですが、眼科耳鼻科あたりは、目耳鼻は覗けないので、大事な存在です。実際にはほとんどの眼科医耳鼻科医は、麻酔科医は特別待遇してくれるんで、助かっています。内科は、ほんの一握りの、腕のある内視鏡医にだけ、媚売っています。

投稿: 麻酔フリーター | 2018年2月15日 (木) 19時09分

でも、もう全く接待ゼロになって、7-8年かなあ?

2012年4月から、だそうです。
http://netaatoz.jp/archives/9747101.html

…どうして自分の死刑執行命令書にサインするかなあ…?

>薬の処方だけの内科

自己流処方で思わしくなくて内科受診したりしますが、大概処方自体は変わりませんねぇ。プロのお墨付きって安心感はあるけどw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2018年2月16日 (金) 15時26分

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