« 今日のぐり:「さかりば」 | トップページ | 認知症ではないとして免許を更新していた高齢者による重大事故発生 »

2018年1月 9日 (火)

三六協定?結んでいませんが何か?な藤田保衛大がやはり労基署から是正勧告を受けていた件

先日は共同通信のアンケートで医師と三六協定など結んでいないと堂々と回答したことが注目された藤田保衛大ですが、案の定違法残業が蔓延していたとして是正勧告を受けていたそうです。

三六協定なく医師呼び出し 違法時間外労働で是正勧告 未払い残業も、愛知の病院(2017年12月27日共同通信)

 藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)が、医師との間に時間外労働(残業)に関する労使協定(三六協定)を結ばず緊急呼び出しを繰り返し、割増賃金も支払っていなかったとして、名古屋東労働基準監督署から是正勧告を受けたことが26日、関係者への取材で分かった。勧告は11月22日付。
 同病院は病床数が1400以上で、高度医療を提供する特定機能病院。各地の病院で三六協定の上限を超えた違法残業が明るみに出て医師の長時間労働が問題となる中、重症患者の救急受け入れなどを担う大規模病院で、協定なしの違法残業が放置されていた実態が明らかになった。
 厚生労働省幹部は「この規模で協定が結ばれていないのは通常あり得ない。組織の在り方として問題だ」と批判。病院を運営する学校法人藤田学園は「医師は労働時間の正確な把握が難しく三六協定の対象に含めていなかったが、緊急呼び出しは時間外労働に当たると認識を改め、対象に加えて再締結し、労基署に提出した」としている。

 関係者によると、労基署は同病院の少なくとも5人の医師が、休日や就業時間後に緊急呼び出しを受け、入院患者に対応していたことを確認。ある医師では週の所定労働時間が約39時間だったが、呼び出しによる業務は最長約9時間に及んでいた。同病院が締結している三六協定の対象に医師が含まれていないことから、違法な時間外労働に当たると認定した。
 また、病院の就業規則に緊急呼び出しに対する割増賃金の規定がない上、医師らに支払われている緊急呼び出し手当などは、算定方法が時間単位になっておらず、実質的な割増賃金にも当たらないと判断した。
 通常の勤務時間以降の居残り時間が、労働に当たるのか私的な研究に当たるのかの区別が付かなくなっているとして、労働時間の適正な把握に努めることも指導した。
(略)

事務部門でも違法残業 愛知の病院、昨年是正勧告(2017年12月28日共同通信)

 医師との間で労使協定(三六協定)を結ばずに時間外労働をさせていた藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)が、協定を結んでいた事務部門の職員らにも、上限時間を超える違法な残業をさせたとして、昨年2月に名古屋東労働基準監督署の是正勧告を受けていたことが27日、関係者への取材で分かった。

 関係者によると、労基署が2015年10月から総務部などの職員を対象に行った調査で、14年度の1年間に、厚生労働省が時間外労働の上限として示す「月45時間」を毎月上回っていた職員がいたことが判明。
 調査前の半年間に、労災認定の目安とされる月100時間の「過労死ライン」を超える時間外労働をしていた職員が13人いたことも分かった。最長は141時間だった。

 同病院は出入館の時刻をICカードで管理し、時間外労働は自己申告するシステムを使用。退館時刻と自己申告の終業時刻の差が2時間を上回った場合、理由を入力する必要があるが、残業代が付かない「自己研鑽(けんさん)」との申告が多用されていた。最長で6時間を超える「自己研鑽」をしていた職員もいたという。
 労基署は、こうしたケースについても居残りの理由などを詳しく調べ、残業と認められる場合には未払い分を支払うよう指導した。
(略)

しかし大学当局のコメントを見ると今まで緊急呼び出しは時間外労働には当たらないと認識していたとしか受け取れないのですが、彼らが何故そのような斜め上の発想に至ったのかと言う思考過程にはかなり興味が湧きますね。
医師相手であればいや応招義務が云々と誤魔化しも効いていたかも知れないものを、一般職にも同じような違法労働を強いていたことで単にトンデモ病院であることが全国に知れ渡った形となってしまいました。
厚労省もあり得ないと驚く無法ぶりですが、もともと私大付属病院などは医師の労働環境としては最底辺とも言われてきた歴史があり、伝統的に給料も決して良い訳ではありませんから、これだけで済むのかどうかです。
中の人から風の噂に聞くところではずいぶんと組織的な記録の改ざんや隠蔽工作が日常的に行われていたそうですが、しかし今の時代これが通るのですから逆説的に医局の力もまだまだ捨てたものではないのでしょうね。

昨年末には研修医を過労死に追い込んだ新潟市民病院が、医療機関として史上初めてブラック企業大賞の業界賞を受賞したと話題になっていましたが、近ごろでは国も働き方改革のかけ声のもと指導監督も甘くはないようです。
昨今ではブラック企業リストなるものを厚労省が発表していますが、これは労働関連法規違反で送検されたケースが掲載されると言うことで、必ずしも世に言うところのブラック企業なるものとは一致していない部分がありますね。
ただ人手不足感がどこの業界でも顕著であり、また新卒学生などの間にもブラック企業は忌避する風潮が定着してきていると言うことですので、この種のリストアップが長期的には相応に有効となってくるのかも知れません。

医療業界に関してもブラック認定されている施設は決して少なくありませんが、興味深いのは看護師などからは忌避されやすいのに対して、医師の場合必ずしもブラックだから求職者が少ないわけでもないらしいのですね。
この辺りは自己研鑽のためにはより厳しい環境に身を置いた方が力がつくと言う考えが未だ根強いのかも知れませんが、少なくとも過労死レベルの労働環境が能力開発に有利であるとは常識的に考えにくいところです。
医師の場合受験などのいわば勝ち組で、苦労すればその分見返りも大きいと経験的に確信している人の率が高いと言う説もありますが、根拠に基づかない徒なハードワーク至上主義は日本のスポーツなどでも指摘されてきた課題でもあります。
トップアスリートの世界では伝統的なスポ根式トレーニングは今やすっかり科学的な方法論に取って代わられましたが、せっかく自分で臨床研修先も選べる時代になったのですから、効率的なキャリアアップの方法論についても考えてみたいところですね。

|

« 今日のぐり:「さかりば」 | トップページ | 認知症ではないとして免許を更新していた高齢者による重大事故発生 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

今までずっとこれでやってたのに労基署にはスルーされてたんですね。

投稿: ぽん太 | 2018年1月 9日 (火) 08時29分

事務部門の職員の「自己研鑽」って何なのでしょうかねー(棒

あと、私の出身医局には「私的な研究」なんてものはなかったような気がしましたけれども、結構あることなのでしょうか?

投稿: クマ | 2018年1月 9日 (火) 08時51分

以前に某私学でのこととして聞いた話では、名目は様々ですが学位取得に関連する費用については実質自己負担と言える状態なのだそうで、あるいは私的な研究とはそうしたものを指すのかも知れません(棒)。

投稿: 管理人nobu | 2018年1月 9日 (火) 12時52分

>今までずっとこれでやってたのに労基署にはスルーされてたんですね。

所詮はお役所ですからね。逆に言うと、国が本気で発破かければ動かざるを得ないワケで…。

>あるいは私的な研究とはそうしたものを

おいどんの年末年始のニュージーランドにおけるブラウントラウトフィッシィング研究とかそんな感じw?

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2018年1月10日 (水) 17時58分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/66256741

この記事へのトラックバック一覧です: 三六協定?結んでいませんが何か?な藤田保衛大がやはり労基署から是正勧告を受けていた件:

« 今日のぐり:「さかりば」 | トップページ | 認知症ではないとして免許を更新していた高齢者による重大事故発生 »