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2018年1月17日 (水)

労働を労働と認識出来ない人間がトップに居座る組織の悲劇

それはちょっとおかしいのでは?と思うことがまかり通る世の中ですが、先日こんなおかしなことが明らかになったと報じられていました。

過労死ラインの2倍 医師の残業、月200時間容認 日赤医療センター労使協定(2018年1月14日産経新聞)

 日赤医療センター(東京都渋谷区)が医師の残業時間を「過労死ライン」の2倍に当たる月200時間まで容認する労使協定(三六協定)を結んでいることが13日、分かった。医師20人は平成27年9月からの1年間で月200時間の上限を超えて残業。渋谷労働基準監督署は昨年3月、センターに協定を順守するよう是正勧告した。

 労災の過労死が認められる目安は月100時間の残業とされているが、現行では労使間合意があれば残業時間の上限に制限はない。日赤医療センターは日本初の赤十字病院で常勤医師約260人、約700床の大型総合病院。月200時間の上限を過重だったと認め協定を見直すとしている。

いくら協定を結んでいようが200時間はいささかどうよ?と思いますが、その200時間すら越えて働かせていたと言うのですから驚きで、どうも日赤と言う組織には遵法意識は存在しないと言うことなのでしょうか。
先日は岐阜市民病院が労使協定上限の100時間を越える残業を強いていたと指導を受け、新たに150時間まで残業を認める労使協定を結び直したことが話題になりましたが、医療の世界はとかく発想がユニークですよね。
どうして医療の世界ではこうも労働管理がいい加減なのか、その理由の一端を知る手がかりとして先日非常に興味深い意識調査が発表されていたので紹介してみましょう。

「医師の労働」とは何か?◆Vol.8「区別困難」や「区別必要なし」との意見も(2018年1月14日医療維新)

 医師の一日は診療から事務作業、各種委員会や勉強会、自己研鑽など多岐にわたり、「労働時間」の議論に入る前に、そもそも「どこからどこまでが労働か」が問題になる。「医師の労働」とは何かを聞いた。

Q: 下記のうちどれが労働(対価として給与をもらう仕事)に該当するとお考えですか。(複数選択)

 多くの項目で、理事長や院長など高い地位にある場合に「労働には該当しない」と考える傾向が見られた。診療やそれに伴う事務作業、当直、日直は多くの医師が「労働」と考えているが、いずれも1~2割程度は「労働に該当しない」と考える医師もいた。
 「オンコール」や「研修医やコメディカルの教育・指導」、「カンファレンス出席」は立場によって大きく意見が分かれた。「オンコール」は理事長・院長では労働と考えるのはちょうど半数だが、実際に現場に立つ層では副院長・部長・科長が65.5%、医長が70.7%、役職なし・研修医などが68.4%と「労働に該当する」と考える医師の割合が比較的高かった。「研修医やコメディカルの教育・指導」と「カンファレンス出席」も同様の傾向だ。
 どの層でも「労働に該当する」と考える医師が少ないのは、「論文・医学書で勉強」や「研究や論文執筆」、勉強会などの準備や出席だ。「自己研鑽」の色合いが強くなるこれらの項目では、「労働に該当する」と答えた医師はいずれも半数に満たない。「区別は困難」や「区別する必要はない」との回答も、1割に満たないとはいえ見られた。

この調査で興味深いのは何が労働に当たるかを立場毎に調査している点で、特に現場でいわば働かされている末端勤務医と、彼らを働かせている管理職とで顕著に労働とは何かと言う認識が異なる点が注目されます。
この差が顕著なものとしてオンコールは医長や研修医は7割が労働と考えているのに対し理事長・院長ではわずか5割、スタッフの教育指導もそれぞれ7割に対して4割、カンファレンスは6割に対して4割と言った具合です。
当然ながら世間的にはこれらは全て労働扱いになることは言うまでもありませんが、理事長や院長が労働と言うものに対してこうも特異な認識を持つに至った理由が何なのかと言うことが気になりますよね。

当然ながらこうした組織管理責任者の浮世離れした認識がスタッフの過重労働改善が進まない一因となっていると思われますが、それが経営的判断から為にするものなのか、それとも真性そう思い込んでいるのかが問題です。
単純に俺達の若い頃は式の旧世紀以来の伝統的思考をお持ちの高齢者の方々がトップに居座っていると考えるにせよ、思考のアップデートが出来ないと言うのはこの業界にあって致命的欠陥と言うべきでしょうね。
ちなみにごくごく大まかに言えば上司に命じられた行為は全て労働時間となるわけですが、興味深いのはいわゆる自発的残業や持ち帰り残業も黙認や許容があった場合には労働時間と見なされると解釈されている点です。
逆にこれらを労働時間としてカウントさせないために何が必要かと言えば、はっきり明示的にそれらの行為を禁止する、中止させると言った指示を出す必要があるのだそうで、医療業界でそれを行っている組織は希少でしょうね。

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コメント

この違いが年代的な差なのか地位による差なのか?
でも部長クラスは医長以下と似たようなもんですもんね。
医師も出世したら医は算術になっちゃうってことなのかなあ。

投稿: 下っ端ですが | 2018年1月17日 (水) 07時46分

>それが経営的判断から為にするものなのか、それとも真性そう思い込んでいるのかが問題です。

前者であればまぁ…ですが、多分後者でしょうね。やっぱ縛り首(ry

>医師も出世したら医は算術になっちゃうってことなのかなあ。

むしろ最初っから算術に徹してさえいればこのような惨状は呈してないかと。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2018年1月17日 (水) 09時48分

200時間も何やってるんですか?ってところが一番の問題なんですが。
マスコミ各社にはそこまで突っ込んでほしいですね。
どうせ来なくてもいいのに土日に出てきたりしているんでしょうけれども。

投稿: クマ | 2018年1月17日 (水) 14時10分

本来労働生産性を高めることは雇用主にとっての利益にもなるはずなのですが、量の議論に終始して効率の改善が進んでいないようにも思います。

投稿: 管理人nobu | 2018年1月17日 (水) 16時22分

>むしろ最初っから算術に徹してさえいればこのような惨状は呈してないかと。
久々にドロッポ師匠と完全に意見が一致しました。なんかあったら責任しょいきれずに助けを呼ぶ下っ端ならまだしも、なんで一人前の医者がタダでオンコールせなあかんねや、でフリーター化が基本的な流れです。オンコール代払って、赤字になるなら、救急止めて定期手術だけにすれば良いだけの話。今の無能経営者は、何も対策せずに、責任を勤務医にタダで押し付けているだけです。

投稿: 麻酔フリーター | 2018年1月19日 (金) 10時21分

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