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2017年12月27日 (水)

新潟市民病院が史上初の快挙を達成

年末になると今年の総括と言うものが盛んになる時期ですが、先日こんな興味深い記事が出ていました。

ブラック企業大賞、新潟市民病院は「業界賞」に(2017年12月25日看護goo)

長時間労働やパワハラ・セクハラなど、劣悪な労働環境を強いるブラック企業を選ぶ「ブラック企業大賞2017」が決定、医療機関で初めてのノミネートとなった新潟市民病院は「業界賞」を受賞しました。
新潟市民病院(676床)がブラック企業大賞にノミネートされたのは、2016年1月、長時間労働による過労が原因で、当時37歳の女性研修医が睡眠薬を服用して自殺したためです。女性の死は2017年5月に労災認定されています。
話題性の高いこのブラック企業大賞に医療機関が初めてノミネートされたとあって、医療関係者の間で注目が集まっていました。

業界賞の授賞理由で実行委員会は、
「研修医が亡くなる前の残業時間は月平均で過労死ラインの2倍に相当する187時間、最大で251時間に及び、これは本年のノミネート企業中最多
と指摘。「この悲劇が新潟市の運営する公立病院で起きたという事実も、強調されるべき点」だとしています。
その上で、これが新潟市民病院だけの問題ではなく、まさに「業界」に共通する問題だと言及している点に注目です。

授賞理由は次のように続きます。
    全国医師ユニオンが今年11月に公表した勤務医労働実態の調査結果によると、全国の勤務医のうち過労死ラインである月80時間を超える時間外労働を行っている医師は常勤医で4.9%、当直を行う常勤医で7.3%、初期研修医8.5%、後期研修医では18.9%に上り、このデータ通り近年、医師の過労死が多数報告されています。
    さらに日本看護協会が2013年に実施した調査では、全国の看護師の125人に一人が過労死ライン超えの働き方をしているとされています。
    人の命を救う医療・看護の現場において、その実務に携わる労働者たちの命が日常的に脅かされているなど、あってはならないことです。
(ブラック企業大賞ホームページより引用、太字は編集部)

新潟市民病院は2017年6月、「緊急対応宣言」を公表。スタッフの勤務時間の縮減などに取り組んでいます。今回の受賞については、「特にコメントはありません」としています。
医師だけでなく看護師も含めて、過重労働が常態化している医療現場。
その実態は以前から指摘されていましたが、医療という仕事の特殊性もあり、なかなか改善されない状況が続いています
ブラック企業大賞の実行委員会は、新潟市民病院への業界賞の授賞が、「全国の勤務医・看護師たちの労働環境が一日も早く適正化されるための、一助となるよう願う」としています。
医療機関初の受賞で、医療現場の働き方改革の後押しとなるか--。今後に注目です。

ちなみに同賞に医療機関がノミネートされたことも史上初なのだそうで、このたびの新潟市民病院の快挙?には驚くばかりですが、その背景にこれまで医療機関ばかりが聖域視されてきたことがあるとすれば問題ですよね。
今回の業界賞受賞に際しても実行委員会から残業時間が「本年のノミネート企業中最多」であったと認定されたことで、改めて医療機関における労働環境の異常ぶりクローズアップされずにはいられません。
それでもこうした病院で働きたいと思うのであればそれは個人の選択の自由として認めざるを得ませんが、国が音頭を取って働き方改革を推進する時代にあって、知らずにブラック企業・団体に関わる悲劇は避けたいものです。
先日以来開催されている医師の働き方検討会でも過労死遺族が証言に立つなど改めて働き方改革の必要性が叫ばれていますが、現場からのフィードバックにより何がどう問題なのかがある程度判ってきた気配もあります。

年明けに中間整理、厚労省「医師の働き方検討会」若手医師が提言「上限規制、労使協定遵守を」(2017年12月25日医療維新)

 厚生労働省は12月22日に第5回「医師の働き方改革に関する検討会」を開催し、年明けにも開催する次回会議で、これまでの議論やヒアリングを受けた中間整理と、緊急に行うべき取り組みをまとめることを決めた。22日の会議では、勤務医の健康確保について、3人の参考人からヒアリングを行い、東京大学大学院公衆衛生学博士課程の阿部計大氏が、若手医師、医学生を対象に行った調査を基に「医師は、原則として国の定める労働時間の上限規制と労使協定を遵守する必要があると考える。それは患者の医療安全と医師の安寧を保ち、医療の持続可能性を高めることにつながる」などと提言した(資料は厚労省ホームページ)。

 阿部氏は、検討会構成員で青葉アーバンクリニック総合診療医の三島千明氏、東京医科歯科大学医学部附属病院救命救急センター医師の赤星昂己氏らとともに、「Advocacy team of Young Medical Doctors and Students」を組織。日本医師会ジュニアドクターズネットワークなどの協力を得て、11月に卒後10年以下の若手医師と医学生を対象にインターネットで調査し、821人から回答を得た。
 調査では、若手医師が現行の労働時間の上限や労使協定を遵守できない理由として、「日本の保険制度、日本人の価値観」や「勤務医不足、管理者の理解不足」、「社会的要望、遵守しようとする風潮がない」、「長時間勤務を善しとする文化、事務仕事の多さ」などの声が自由記述で寄せられた。
 提言では、こうした風潮に対し、「日本の人口構造の変化やさまざまな医療提供体制の問題、業務量の多さ、⾧時間労働を美徳とする医師の慣習や封建的な風潮によって⾧時間労働を余儀なくされている」と危機感を表明。また、現行の労働時間の上限や労使協定について「理解していない」との回答が若手医師で59%、医学生で68%に上ったことから、卒前、卒後の教育研修で労働基準法を理解し、それを遵守する必要性を学ぶ機会を設けることを提案。「医師が労働環境を守れるような労働環境を段階的に実現していくよう求める」としている。

 1999年に小児科医の夫を亡くした、東京過労死を考える家族の会代表の中原のり子氏は、労基法では、「当直」は定時の巡回など軽微な業務に限り認められる一方、病院の「当直」は通常の労働そのものである現状を強調。「交代制勤務がないことが、医師の心身をむしばんでいる」などと訴えた。
 労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所産業疫学研究グループ部長の高橋正也氏は、「睡眠と疲労」とのテーマで発言。徹夜が飲酒と同程度に作業能力を低下させることや、短い睡眠の日が続くと「睡眠負債」がたまった状態になって誤りが増えるなどの研究結果を示し、「睡眠を確保できる労働環境、条件の整備が必要」と訴えた。

応招義務考えるいい機会

 討論では、日本医師会副会長の今村聡氏が「産業保健から最も取り残されているのが医療者だ。36協定や勤務時間の管理、面談の実施など、今ある仕組みの中でやるべきことができていない」と指摘。中原氏も、夫の事例では「36協定も面談も、産業医の指導もなかった。年に一度の健康診断も多忙で受けられなかった。医師は労働者であるという原点を守ってほしい」と訴えた。東北大学環境・安全推進センター教授の黒澤一氏は、「背景には医療機関の経営や、患者が来たら断れない状況がある。突き詰めれば応招義務だ。これが決まった時代と、今のシステムは違う。応招義務について考えるいい機会だ」と、医師の働き方に関する議論で繰り返されてきたテーマを、改めて指摘した。
(略)
 事務局の厚労省が論点として医師の負担軽減につながる業務移譲についても提示。今村氏は「タスク・シフティングやタスク・シェアリングという言葉が独り歩きしている感がある。本来医師がやらなくてもいい行為はやってもらえばいいが、医行為をどうするかだ」と述べ、訪問看護ステーション愛美園所長の中島由美子氏は「看護師の特定行為の周知、理解に不足がある。どんな医行為でニーズがあるか見極めが必要だ」と指摘。社会医療法人ペガサス理事長の馬場武彦氏は、「タスク・シェアリングは効果があると思うので推進したいが、医療界の風土や意識もあり、効果が出るまでには時間がかかると思う。(労働時間の上限規制の猶予期間である)5年間で効果が出るかは疑問だ」と述べた。

応招義務なるものが諸悪の根源とは言わないまでも、かなり大きな問題の要因になっていることは明らかになってきていると思いますが、むしろ問題はその現状を認識した上で何をどう考え行動するべきかと言う点になります。
働き方改革検討会などの議論を見ていて思うのは、応招義務によって医師が過重労働を強いられていると言う現実を踏まえた上で、だから医師の働き方改革など実現しないよと否定する材料に使う人々がいると言うことです。
どうやれば問題を解決出来るかを考える場で、根本原因の一つが明らかになっている状況で、その原因がある以上この問題は解決出来ないのだと主張するのは無意味なことで、普通は原因をどう除くかを考えますよね。
応招義務が悪いのであればそれを改め、あるいはなくするためにどうすべきかと言う議論を行うべきなのですが、どうもこの応招義務を聖域視する方々にとってはむしろその存在が結論を導く手段になっている気配もあります。

医師の業務を他職種に委託することに関しても同様で、何かあったときに他人のした行為の責任まで医師に負わせるのが嫌だから反対と言うのではなく、どうすればそうならないかの方法論を考えていくべきかと言う気がします。
この辺りは指示系統の明確化と言うのでしょうか、医師の指示と補助補助職の行為とを1対1で結びつようとするからこそ起こる問題であって、両者を直結させなければ指示を出した医師の責任が問われることはないはずです。
例えばレントゲンは医師が出した指示を個々の技師が受けるのでなく、放射線科と言う組織で引き受ける形ですが、だからこそ検査室内で何かトラブルがあったからと言ってオーダーした医師個人がその責任を問われることはないですよね。
業務の仕組みをどう改めていけばより効率的でブラック認定されにくいシステムが出来上がるのかを一度考えてみる必要がありますが、こうした部分の改善に後ろ向きな組織こそ本当のブラックと呼ばれるべきなのかも知れませんね。

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コメント

>それは個人の選択の自由として認めざるを得ませんが、

認めたくないものだな…、奴隷医自身の…歪んだ使命感故の過ちというものを…
*つーこって労働ダンピングする奴隷医は全労働者の敵だからして縛り首<しつこい

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2017年12月27日 (水) 09時28分

個人的な印象では研修医世代はむしろドライで、中堅以上の年長者の方が縛られている印象があります。

投稿: 管理人nobu | 2017年12月27日 (水) 20時13分

>中堅以上の年長者の方が縛られている印象

っつっても大野病院大淀病院事件とかでネット医師達がアツく議論交わしていたのは既に10年以上前で、当時の「若手」、例えば雪月花先生(先生自身はとうに足を洗われているでしょうけどw)あたりの世代が既に中堅クラスな筈なワケで…。

もしかして、皆さんネット番長なだけで実際はどっぷり奴隷医なまま?

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2017年12月29日 (金) 16時42分

奴隷医の定義によるでしょうね。金のために、下手糞外科医の手術にも最後まで黙って付き合っている私は、ドロッポ師匠からみれば、奴隷医の部類に入りそうです。私が批判して、ドロッポ師匠等から怒られた、15時や16時で手術麻酔ほったらかして帰る女医こそが、医師としての手本と考えれば、奴隷医が9割超えると思います。

投稿: 麻酔フリーター | 2017年12月31日 (日) 11時11分

今年は有給休暇を15日取得できました。
今日で5日消失しますのでやっぱり奴隷医なのかもしれませんね。

投稿: クマ | 2017年12月31日 (日) 22時39分

おいどんドロッポ医やっで、年末年始は優雅にニュージーランドに行ってましたw。うはwwwブラウントラウト大漁wwwwwwwww

>ドロッポ師匠からみれば、奴隷医の部類に入りそうです。

先生は個人事業主ですよね?だったらアニメーターとかの偽装請負でない限りはどんだけ働こうがそれこそ自己裁量かと。そもそも私定義では、奴隷ってのはタダ、若しくは不当な廉価で労働搾取されている気の毒な労働者の事なので、ご自身で「金のため」と明言されている先生は奴隷ではありません!(断言

>9割超えると思います。

色々な意味で絶望的ですね…。

>今日で5日消失しますのでやっぱり奴隷医なのかもしれませんね。

それは紛う事なき奴隷ですねw。全労働者の見本たるべき医師たるもの、断固として転職すべきです!!(断言

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2018年1月10日 (水) 17時51分

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