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2017年12月 8日 (金)

NHK受信料判決がもたらす近い将来の予想図

すでに各方面で大きく報じられている通り、先日NHK受信料を巡って最高裁がこんな判断を下したそうです。

NHK受信料制度「合憲」 最高裁が初判断 携帯視聴では論点残る(2017年12月6日産経新聞)

 テレビがあるのに受信契約を拒んだ男性に、NHKが受信料を請求できるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は6日、「放送法の規定は受信設備設置者に契約を強制するもの」とした上で、受信料制度は「表現の自由を実現するという放送法の趣旨にかなうもので合憲」との初判断を示した。契約の成立時期は、NHKが未契約者を相手に裁判を起こし、勝訴が確定した時点とした。大法廷は双方の上告を棄却。男性にテレビ設置以降の受信料支払いを命じた2審東京高裁判決が確定した。

 15人の裁判官のうち14人の結論。木内道祥裁判官は「放送法が定める契約義務は判決では強制できない」との反対意見を述べた。
 「受信設備を設置した者は、NHKと受信についての契約をしなければならない」とした放送法の規定の合憲性が最大の争点。900万件以上とされる未契約世帯への徴収業務に大きな影響を与えそうだ。
 一方、携帯電話のワンセグ機能をめぐる訴訟では司法判断が分かれており、受信料をめぐる論点は今後も残されている。
(略)

NHK受信契約、成立には裁判必要最高裁(2017年12月6日日本経済新聞)

NHK受信契約をめぐる6日の最高裁判決は、受信契約が成立する時期について「裁判で契約の承諾を命じる判決が確定すれば成立する」とした。「契約を申し込んだ時点で自動的に成立する」とのNHK側の主張は退けた。契約を拒む人から受信料を徴収するためには、今後も個別に裁判を起こさなければならない

またいつまでさかのぼって受信料を徴取できるかについては「テレビ設置時点まで遡って受信料の支払い義務がある」とした。

NHK受信契約訴訟 契約義務づけ規定は合憲 最高裁大法廷(2017年12月6日NHK)

(略)
判決では裁判官15人のうち鬼丸かおる裁判官が、契約者に受信料の支払いという経済的負担をもたらすことを考えると、契約の内容は法律で具体的に定めるのが望ましいという補足意見を述べたほか、木内道祥裁判官は、裁判の判決によって契約を成立させることはできず、別の形でNHKが請求すべきだという反対意見を述べました。
(略)
この裁判では、4つの論点が争われました。

1つ目は、「放送法64条の規定が憲法に違反するかどうか」です。
(略)
2つ目は、「受信契約はどの時点で成立するか」です。
これについて最高裁は、「契約を申し込んだ時に契約が成立する」というNHKの中心的な主張は認めず、「NHKが裁判を起こして訴えを認めた判決が確定した時」だと判断しました。

3つ目は、「いつから支払いの義務が生じるか」です。
NHKが「受信機を設置した時」だと主張したのに対して、男性側は「契約が成立した時」だと反論していました。最高裁は、「同じ時期に受信機を設置したのにすぐに契約を結んだ人と結ばなかった人との間で支払うべき受信料に差が生まれるのは公平とはいえない。受信機を設置した時に支払い義務が生じるとした規定は、公平を図るうえで必要かつ合理的だ」としてNHKの主張を認めました。

そして4つ目は、「いつから時効によって支払い義務が消滅するか」です。
受信料の時効は5年ですが、いつから数えて5年なのかが争われていました。最高裁は、判決が確定して契約が成立した時が起点になるという判断を示しました。契約の成立から5年が経過すると、5年以上前の分の支払い義務は消滅しますが、今回のケースでは6日の判決で契約が成立したため、過去の分は時効にならず、テレビを設置した時までさかのぼって受信料の支払いが命じられました。
(略)
平成28年度末時点の有料契約件数はおよそ4030万件、平成28年度の受信料収入は6769億円で、NHKの事業収入に占める割合は96%、受信料の支払い率は79%となっています。

今回の裁判で原告側主張における最大のポイントが万人に受信料支払いを強制する契約の合憲性だったはずですが、15人中14人の見解による判断と言うのは意外と意見が割れなかったものだと言う気がします。
個人的な見解としては公共放送として法的に規定しているものであれば、徴収など無駄な労力の多い受信料契約制度などやめて別な方法をとるべきだと思うのですが、ともかくも画期的な判決ではありますよね。
ただ実際問題として個別に見ていけば他の争点の方が興味深いと感じたのですが、注目点の一つとして受信契約は今回判決で自動的に成立するわけではなく、個別に裁判を起こして判決が確定する必要があるとのことです。
ただでさえ全国的に紛争化しているこの問題に関して、NHK側にかなり面倒な義務を課すことで一定の足かせをつけたとも言えますが、今後未契約者のうちどの程度の割合が裁判になるのかが注目されますね。

もう一点として興味深いのは支払い義務が受信機設置の時点であるとされたことですが、今までは受信契約を結んだ時点からの支払いだったものが、非常に大きな変化であるようにも感じられます。
未払い分を請求するために必要な判断とも言えますが、逆に言えば未契約者に対していわば懲罰的な支払いを命じるルールであるとも受け取れ、未払い得は許さないとも受信料契約を促すとも受け取れる話です。
一般の契約視聴者は関係ないと考えるかも知れませんが、すでに報じられているようにNHKはテレビを持っていなくともネット同時配信をスマホで受信できる人々にも受信料を求めていく考えであるそうです。
これも当然NHKは見ないからと支払いを拒否するわけにはいかない道理で、将来的にある日突然過去のスマホ所有日に遡って受信料を請求されると言うことになるのかも知れませんね。


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コメント

 NHKは、営業職員約900人、戸別訪問する地域スタッフ約2千人、委託先の外部会社約300社という態勢(平成27年度の集計)で受信料の契約、徴収を行っている。対象の数は約5400万世帯、約550万事業所と膨大だ。現場からは「摩擦も多く、ストレスが大きい」との悲鳴も上がる。

 ケーブルテレビの加入時や家電店でのテレビ購入時に契約手続きを進めるなど、他の業種とも連携して効率化を図る。だが未契約者が自ら受信料の支払いを申し出る例は少なく、戸別訪問によってテレビの設置を確認し、契約を勧める活動は欠かせない。

 営業職員の一人によると、地域スタッフや外部会社の社員は、それぞれ1日当たり100~200件の訪問をこなす。対象が未契約や不払いの世帯のため、営業職員は「摩擦も多く、ストレスが大きい仕事」と漏らす。

http://www.sankei.com/affairs/news/171206/afr1712060055-n1.html

投稿: | 2017年12月 8日 (金) 08時48分

何も変わらないかと。犬HKの一方的な書類送付で契約は成立しないという判例が出ました。従来通り、裁判が必要です。今後、地裁で憲法論争がなくなって、テレビ設置日のみが争点になります。その分裁判が簡略化されるだけです。私も含めた1000万世帯を全部訴えるのに、何年かかるでしょうね。楽しみです。

投稿: | 2017年12月 8日 (金) 10時14分

受信料の契約、徴収の業者の経費の無駄さ加減を考えたら、受信者負担なんてやめて税金で運営させたほうがまし
今の体制って、業者の雇用維持と業者と癒着してる権益のため以外になにか理由があるのかなあ

投稿: | 2017年12月 8日 (金) 10時59分

公的放送として任意ではなく強制的に契約関係が成立すると言うことであれば、ご指摘のように現状の受信料システムは無駄も多く改善すべきものと考えます。

投稿: 管理人nobu | 2017年12月 8日 (金) 13時28分

なぜ有料放送の設定の様に、契約者(お金を払ってる人)だけに映像が届くようにできないのでしょうか?

投稿: K.I. | 2017年12月 8日 (金) 14時25分

NHKはスクランブル放送を導入しない理由について、公式サイトの「よくある質問集」の中で次のように説明している。

まずNHKは「公共放送」であり、「特定の利益や視聴率に左右されず、社会生活の基本となる確かな情報や、豊かな文化を育む多様な番組を、いつでも、どこでも、誰にでも分けへだてなく提供する役割」を担っているとする。災害時には迅速に正確な情報を提供するほか、教育、福祉、古典芸能といった「視聴率だけでは計ることの出来ない番組」も数多く放送している。

このような性格から、受信料を払わない人が視聴不可能となるスクランブル化は「一見合理的に見えるが、NHKが担っている役割と矛盾するため、公共放送としては問題があると考えます」と説明。また、仮にスクランブル化すると、「どうしても『よく見られる』番組に偏り、内容が画一化していく懸念があり、結果として、視聴者にとって、番組視聴の選択肢が狭まって、放送法(編注:1条)がうたう『健全な民主主義の発達』の上でも問題があると考えます」とも主張している。
http://news.livedoor.com/article/detail/13992026/

だそうです。

投稿: | 2017年12月 8日 (金) 15時30分

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