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2017年9月15日 (金)

福岡県鞍手町唯一の病院で逃散事件が発生

またぞろ逃散の報告が届いていますが、先日報じられたこちらのニュースを御覧になったでしょうか。

くらて病院 医師6人が辞職表明 来年3月末/福岡(2017年9月13日毎日新聞)

 鞍手町の地方独立行政法人「くらて病院」の内科医6人が来年3月末で辞職することを表明した。病院には「来年4月には診療に支障をきたす可能性が高く、近隣の病院、医院を紹介する」旨の張り紙が出され、深刻な事態となっている。

 病院側は、背景として、徳島真次町長が人事に介入するなど逸脱した権限行使があるとして、「職員一同」名で徳島町長に要望書、町議会に嘆願書を提出した。11日の議会一般質問の答弁で、病院側の指摘について、徳島町長はすべて否定した。

 同病院は17診療科、224床で、2013年度に町立から独法に移行した。8月に就任した河野(こうの)公俊理事長は「後任医師探しは難航しており、このままでは病院の存続も危ぶまれる」と話す。徳島町長は「患者に迷惑がかかるのが一番の問題で、設置者として地方独立行政法人法に基づき、病院に改善命令を出すことも考えている」としている。【武内靖広】

全内科常勤医退職を表明 くらて病院 「町長が逸脱した権限行使」 徳島町長は否定「無責任」 [福岡県] (2017年9月12日西日本新聞)

 鞍手町の地方独立行政法人「くらて病院」の院長を含めた内科常勤医師6人全員が来年3月末までに退職を表明している問題が11日、町議会一般質問で取り上げられた。病院職員約270人は「町長独断の逸脱した権限行使で町への不信感が募った」と徳島真次町長への要求書、町議会議長への嘆願書を提出している。徳島町長は要求書の内容を全面的に否定した上で「6人の医師が辞めるのは無責任」と話している。

 要求書などによると、徳島町長の「逸脱した権限行使」として(1)事務統括・新病院建設担当の副理事長を退職に追い込んだ(2)外部理事3人を含む役員構成を指示した―など6項目を挙げ、6人の医師の診療継続が困難と主張している。内科医の退職に伴い、産業医科大病院からの医師派遣も困難になるという。要求書などは病院職員約330人の大半の署名を添え、8月30日付で町と議会に提出された。

 一般質問では、無所属の岡崎邦博議員が嘆願書の内容などをただした。徳島町長は6項目全てについて否定。取材に対して「6人の医師の退職はあるまじき行為。町として対抗策を考えていかなければならないが、まだ話し合う余地はある。町民にも説明したい」と語った。

 一方、病院関係者は「内科医がいなければ外科の手術も困難になる」「このままでは病院の存続が危うい」と危機感を募らせている。8月に就任した河野公俊理事長は「各大学を回っているが、常勤医師の確保は厳しい。地域医療を守るため、今後もできる限りリクルート(求人)は続ける」という。

 くらて病院は、元炭鉱の病院を町が譲り受け、1965年に町立病院として開設。2013年に地方独立行政法人に移行した。町で唯一20床以上の入院施設を持つ医療機関。17診療科で、222床。1日220~230人の外来がある。町は老朽化などを理由に移転新築を予定。同病院整備基本構想では18年度着工、20年度完成を目指している。

ちなみに鞍手町とは福岡県北部の筑豊地域に位置する人口1万5千人ほどの町で、北九州市に隣接し福岡市とも通勤圏内と言いますからなかなか良い立地なのでしょうが、そんな小さな町に224床の町立病院があると言うのも驚きですよね。
さらに驚くのはこの地方自治体病院の経営が厳しいご時世に黒字であったと言うことなのですが、以前の公立病院時代はご多分に漏れず万年赤字であったものを、近年独法化後は経営改革もあって黒字が続いているようで、なかなか立派なものですよね。
その経営的には安定している同病院が町長への反発から内科医逃散を招き、さらに外科など各診療科も後追いしかねない勢いだと言うのですが、注目すべきは病院職員の大多数もこれに賛同しているらしいと言う点で、雇用面でも地域に密着したこの種施設には珍しい現象です。
またこれだけ様々な問題点が指摘されていることに対して町長が完全否定している点もなかなか強気に思えるのですが、しかし病院に改善命令を出して何がどうなると言うつもりなのかも興味深い話だと思いますね。

真偽不明の便所の落書きによれば、近く予定されている病院新築移転に絡んで町長のゴリ押しによる人事が病院側の反発を招いたと言うことなのですが、特に全く医療素人の新事務長や経営コンサルタントの押しつけに反発が強かったと言います。
ちなみに新病院は1.5万m2で建築費が56億円余と言うことで単純計算ではm2あたり約38万、病床辺り約2500万円につく計算ですが、せっかく独法化したにも関わらず総務省の公立病院向けガイドラインも越える相当な高単価に思えるのも気になるところですね。
新築計画は独法化と言っても町が主導して行っていることで、特にこうした小さな自治体にとってはそう滅多にない巨大事業とも言えるわけですから、事業の在り方についてはきちんと透明性の担保されたものになっているのかどうかです。

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コメント

いまどき黒字経営ってだけでも尊敬モノなのにもったいない。

投稿: ぽん太 | 2017年9月15日 (金) 08時38分

普通の会社ならニュースにならない。病院内の人事や内紛で嫌気さして辞めた位で、ニュースにならない時代が来ることを願っています。

投稿: 麻酔フリーター | 2017年9月15日 (金) 09時24分

町長逆ギレで斜め上な展開希望w

投稿: | 2017年9月15日 (金) 12時34分

普通の企業であれば問答無用でブラック認定されるところですが、何故か病院と言えば弁解の余地があると考える方も少なくない印象です。

投稿: 管理人nobu | 2017年9月15日 (金) 17時39分

医師の一斉退職という爆弾

2009年3月、鳥取大学病院救命救急センターで、教授を含む救急医4人全員が一斉退職した。病院の待遇に対する抗議を込めての退職であった。

2012年3月末、に大分大学病院の外科医7人が一斉退職。常勤医10人の内の7人が突然退職するのであるから大変な事態である。

2014年3月末、国立成育医療研究センターで、小児集中治療室(PICU)の医師9人が一斉に退職し、病床を減らして運用。

2016年3月末、名古屋大病院で救急科の医師21人のうち半数近い9人が一斉に退職した。余りに勤務条件が過酷だったらしい。

2017年3月末、東京都港区のJCHO東京高輪病院で、感染症内科(7人)を中心に、医師が一斉退職した。

2017年3月末、市立札幌病院の救命救急センター所属の医師12人のうち7人が退職。病院側の救急医療に対する方針への反発があるとみられる。

2017年3月9月、全内科常勤医退職を表明 くらて病院 「町長が逸脱した権限行使」 徳島町長は否定「無責任」

投稿: | 2017年9月15日 (金) 20時29分

・元産業医大学長を理事長としてスカウト
・元学長は周辺の大学に日参して医師派遣を交渉していた
・町長が事務長兼副理事長をクビにして、医療業界未経験の人を事務長に押しつけようとした
・また黒字経営なのに経営コンサルタントを連れてきて経営に関与させようとした
・元学長兼理事長は、事務長予定者は経験皆無なので一般事務員としてなら採用可能とした
・また黒字運営のためコンサルタントは不要であるとした
・町長は元学長兼理事長を命令に従わないとしてクビにして、新しい理事長を据えた
・産業医大から来ていた内科医6人が退職を表明
・町長は他の大学病院に派遣を依頼したがすべての大学から断られる
・残った外科系医師も内科がいないと無理ということで退職を検討中

投稿: | 2017年9月16日 (土) 20時32分

まじすか ↑ ソースは。。。?

投稿: | 2017年9月17日 (日) 10時55分

>町として対抗策を考えていかなければならないが
"対策"じゃなく『対抗策』な件

投稿: | 2017年9月21日 (木) 12時19分

町長がわび入れたらしい

「くらて病院」問題 町長、権限逸脱認め謝罪 議会特別委追及に一転 /福岡
https://mainichi.jp/articles/20171021/ddl/k40/040/441000c?ck=1

投稿: | 2017年10月22日 (日) 21時25分

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