« 信じる者が救われるのはそうではないよりは救いのある話ですが | トップページ | 今日のぐり:「骨付鳥 味鶴」 »

2017年9月 1日 (金)

朝日新聞が高齢者の高額治療を批判?!

このところ高齢者医療費の抑制について、以前であれば門前払いされていたようなかなり踏み込んだ議論も表立って見かけるようになってきていますが、先日こんなそのものズバリなニュースが出ていました。

超高齢者に保険で700万円治療 命の重さと医療費膨張(2017年8月27日朝日新聞)

 日本は世界に誇る長寿国となった一方、それが医療費を膨張させている。薬や医療機器の高額化も進むなか、高齢者への医療はどうあるべきなのか。

■余命短い超高齢者、どこまで施術?

 西日本のある病院に昨年末、90代後半の重症心不全の女性が運び込まれた。心臓から血液を全身に送るための弁が硬くなり、呼吸困難に陥った。本来なら胸を切って人工弁を埋める外科手術が必要だが、高齢過ぎて体力的に耐えられない。
 そこで、太ももの血管から細い管を通して人工心臓弁を届ける「経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI〈タビ〉)」という治療が行われた。体への負担が少ない最先端の技術で費用は700万円ほど。保険が利くので患者負担は少ないが、保険料や公費の負担は大きい
 治療は成功して女性は無事に退院したが、その数カ月後に肺炎で亡くなった。治療を担当した医師は振り返る。「症状が悪化するまで畑仕事をしており、『もう一度元気になりたい』という思いが強かった。高齢になるほど肺炎や脳梗塞(こうそく)のリスクは高くなるが、発症するのか予測は難しい」

 TAVIは国内では2013年に保険適用され、8千例以上行われた。だが、比較的余命が短い「超高齢者」にどこまで使うのか、医療現場は模索している。
 北里大学では、95歳の患者まで対象としたことがある。阿古潤哉教授は「体力や認知能力などから適応をしっかり選んで実施している。国民皆保険がこのまま持つかどうか懸念はあるが、年齢だけで区切っていいのか難しい」と漏らす。
 TAVIの費用対効果は高いとされるが、合併症を起こす可能性が大きい高齢者には費用対効果が低いという海外の研究もある。TAVIの関連学会協議会の事務局を務める鳥飼慶・大阪大講師は「手術できない高齢者にとってTAVIは福音となる技術。ただ、超高齢者にどこまで適応をするかは、医療費の観点も含めて議論していく必要があるのではないか」と話す。

急性期医療に投じられるコストを知れば誰しも一度は抱く疑問ではありますが、注目すべきはこの記事が進歩的メディアとして有名な朝日新聞に掲載されている点で、当然ながらこの後「だがちょっと待って欲しい」と続くのが本音であろうと思われるところです。
医療費削減のために一生懸命努力している一方で、老い先短い方々のわずかばかりの余命延長のためにこんな巨額のコストを投じるのは無駄であると考える人も多かろうし、実際昨今では各種学会においてもこうしたケースでは抑制的な対応を求める考えが増えているようです。
とは言えこの種の議論になると90代では駄目だが80代ならいいのか、700万は多すぎるが500万なら許容範囲かと言った話になりがちであり、結局のところ個々の患者の考え方や状態にもよることで一律には決められないと言う玉虫色の結論になりがちですよね。
制度的に見ればせっかく後期高齢者医療制度で高齢者を別枠にしたのですから、高齢者に新規の透析導入は保険で認めないと言ったやり方は出来るはずですが、厚労省としても国民世論が喚起されるのを気長に待っていると言うところでしょうか。

高額な医療費と言う点で昨今新規抗癌剤なども話題に上る機会が増えていますが、国立がん研究センターの報告によれば高齢者の癌治療は若年者とは異なる傾向があり、特に超高齢者になると無治療も少なくないと言いますが、それが誰の意志に基づくものなのかです。
同センターでは高齢者への抗癌剤投与は延命効果がないと言う報告も出していますが、エヴィデンスのない治療を保険収載すべきなのかと言う観点から考えても、今後制度的にも高齢者の癌治療は見直されてくる可能性もありますよね。
癌などは比較的国民の間でも死病と言う認識があることがあって、ある程度コンセンサスが得られやすいと思うのですが、高齢者が血圧やコレステロールなど山ほどの薬をもらっている現状を考えると、いずれ高齢者向けの医療の在り方を考え直す必要性は高そうに思えます。

|

« 信じる者が救われるのはそうではないよりは救いのある話ですが | トップページ | 今日のぐり:「骨付鳥 味鶴」 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

マッチポンプ屋ですから、単によく考えずに、「700万円も、病院医者儲けすぎ。」という記事ですよ。いざ、年齢で医療費制限したら、真っ先に叩いてくれますよ。

投稿: 麻酔フリーター | 2017年9月 1日 (金) 10時08分

診療単価は保険のルールで決められていることなので、クレームはお国の方にお願いしたいところですが。

投稿: 管理人nobu | 2017年9月 1日 (金) 13時15分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/65734929

この記事へのトラックバック一覧です: 朝日新聞が高齢者の高額治療を批判?!:

« 信じる者が救われるのはそうではないよりは救いのある話ですが | トップページ | 今日のぐり:「骨付鳥 味鶴」 »