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2017年9月 6日 (水)

司法の世界に関わる最近の興味深いニュース

本日の本題に入る前に、専門家の見解と言うものはしばしば素人目には判りにくいものがありますが、先日多くの人々が「んなアホな」と突っ込んだと言うのがこちらのニュースです。

強制わいせつで無罪判決「女性が好意と誤信」 名古屋地裁(2017年9月5日サンスポ)

 電車内で女性に無理やりキスをしたなどとして、強制わいせつの罪に問われたブラジル国籍の男性(44)に名古屋地裁は5日、「自分に好意を抱いていると誤信した可能性があり、女性の意思に反していたとまでは言えない」として無罪を言い渡した。検察側は懲役2年を求刑していた。

 判決理由で田辺三保子裁判官は「女性は隣に座った男性に名前や勤務先を教えており、周囲に助けも求めなかった」と指摘した上で「私的な情報を教えてもらい、男性が好意を抱かれていると誤信した可能性がある」と結論付けた。

 男性は昨年6月26日、名古屋市熱田区の名鉄金山駅に向かう電車内で、23歳だった女性の頭をつかんでキスしたり、手を引っ張って自分の下半身に触らせたりしたとして今年4月、起訴された。

しかし公衆の面前で何とも破廉恥な行為に及んだものだと思いますが、名前や勤務先を教えればこうした行為をされても仕方がないと言うのであれば、世の営業職の方々はうっかり求められて名刺も渡せないと言うことになりそうですよね。
この判決を出した裁判官が女性であることに何らかの意味を見いだしたい方々もいらっしゃるようなのですが、田辺裁判長と言えば自分の女性器データを公表した女性漫画家に「表現の自由は無制限ではない」として有罪判決を出した裁判官としても知られています。
過去の判決などをざっと見る限りどちらかと言えば保守的思想をお持ちの方なのか?とも感じたのですが、いずれにせよこのまま控訴せず確定するものなのかどうか、今後の成り行きにも注目していきたい興味深い判決だと思いますね。

ところで裁判も一審判決が二審でひっくり返ると言うことがままあるように、司法の世界でも専門家各人によって判断が分かれると言うことは当然あることだと思うのですが、このところ全弁護士の意見を代表するかのような行動が目立っているのがご存知日弁連です。
医師会などと違ってこちらは全員加入が義務づけられた組織であるだけに、その権力は日医などとは比較にならないようですが、個人の思想信条の自由にも関わる政治的見解などに関しても組織として特定の意見を発信しすぎると会員からも不満の声が出ていますね。
この日弁連の活動に対して先日こんな公開質問状が出されたと報じられていましたが、これがなかなか興味深い内容なので紹介してみましょう。

死刑廃止「阻止の法的根拠示せ」 弁護士106人が日弁連に質問状(2017年8月28日産経新聞)

 「死刑廃止宣言」を採択した日本弁護士連合会(日弁連)に対し、「全国犯罪被害者の会(あすの会)」顧問の岡村勲氏ら弁護士106人が28日、「法相の義務である死刑執行を阻止しようとする法的根拠」などを示すよう求める公開質問状を提出した。
 回答期限は3週間。日弁連は昨年10月の人権擁護大会で「2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきだ」とする宣言を採択したが、犯罪被害者支援に取り組む弁護士を中心に「被害者の人権への配慮がない」など、反対の声が上がっていた。

 質問状は、人権擁護大会での決議参加者が全会員の約2・1%だったにも関わらず、日弁連が「死刑廃止および関連する刑罰制度改革実現本部」を設置し、平成29年度予算に2500万円の支出を計上したことから「死刑廃止を求める活動方針が組織決定かのように対応している」と指摘。死刑廃止宣言が日弁連の意思として効力を持つ法的根拠を示すよう求めている。
 また、「法の支配を常に主張する日弁連が、法相の死刑執行を阻止しようとする法的根拠」のほか、日弁連が死刑廃止活動をすることで「被害者と弁護士の信頼関係構築を困難にしないか」「裁判員に予断や不当なプレッシャーを与えないか」といった質問への見解を示すよう求めている。

 東京・霞が関の司法記者クラブで会見した岡村氏は「死刑制度に関しては弁護士によって賛否がある。廃止の活動をするなら、弁護士会の名前と会費を使うのではなく個々の弁護士の名前と資金で活動すべきだ」と述べた。

ちなみに同大会参加者のうち死刑制度賛成がおよそ7割程度と言う調査結果があるのだそうで、多数派の支持を得ていると言う言い方は出来るのでしょうが、こうした思想信条にも関わる重要な問題に対して多数決でいいのかと進歩的な方々から声も挙がりそうです。
世間的にも当然ながら賛否両論ある問題なのですが、弁護士の場合職業上自らの思想信条に反して弁護活動を強いられる場合もあるのでしょうし、そもそも死刑制度に限らず組織として特定の意見を主張する必要があるのかと言う声も根強くあると言います。
特に興味深いと思ったのが、「法の支配を常に主張する日弁連が、法相の死刑執行を阻止しようとする法的根拠」云々の下りなのですが、法改正に先んじて法に反した行為を求めると言うのでは法によって立つ職業人としていささか問題なしとはしないように思えますね。

皆で集まって決めたことだから従えと言う声もありますが、全会員のごくごく一部が参加しただけの場で話を進めていくことには反発も強く、そもそもこれだけ通信技術も発達した今の時代に大勢がスケジュールを合わせて一堂に会さなければ決められないものではないでしょう。
それでも敢えてこうしたイベントに参加する人間は平均的な会員の意見を代表すると言うよりも、むしろ強い目的意識を持ったごく一部の特殊な例外とも言えるかも知れませんが、そうした少数派の意見だけで自分達のお金が妙なことに使われるは確かに嫌でしょうね。
日医などの活動についても全く同様の批判の声があり、実際に地方の医師会が日医の意向に反するような行動を取るケースも見られますが、幸いこちらは強制参加の組織ではありませんので、多くの先生方はそもそも加入せず相手にしない自由を発揮していらっしゃるようです。

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コメント

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投稿: | 2017年9月 7日 (木) 04時49分

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