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2017年8月

2017年8月16日 (水)

少しお得になっていますと言われれば黙っていても手が伸びる仕組み

今日はちょっとしたネタを取り上げてみますが、まだまだ暑い日が続き熱中症患者が数多く病院に担ぎ込まれている中で、先日こんな気の利いた熱中症対策のニュースが話題になっていました。

炎天下の中「ポカリ50円」の自販機 工事現場への思いやりが話題に(2017年8月10日withnews)

 夏本番。建設現場で働く作業員にとって、熱中症対策は不可欠です。そんな中、ある建設現場の自動販売機の写真がツイッターで話題となっています。「熱中症対策自動販売機」と題したその自販機では、ポカリスエットをなんと50円で販売。作業員からも「助かる」と評判の取り組み、事業主として設置した大和ハウス工業によると、炎天下の中で働く作業員をサポートしようと、今夏から関東の約20現場に配置。現場事務所の所長は「口頭で注意喚起するよりも効果がある」と手応えを感じています。

 「真夏の建築現場の自販機はみんなこうであるべき!!
 この文章ともに投稿された自販機には、ポカリスエットと同じ種類の「ポカリスエット イオンウォーター」が500mlと250ml合わせてずらり30本。そのどれもが50円です。
 「労働災害予防の正しい金の使い方w」「本当に真夏の現場仕事の自販機はこうあって欲しい」などのコメントが寄せられ、約1万5千リツイートがされています。
 この50円自販機が設置されているのは、多摩川を挟んで羽田空港に面している川崎市のホテル建設現場。約100人の作業員が詰める事務所前にあります。ほかの自販機には別の商品もありますが、90円で売られているオロナミンCより40円安く、やはり破格です。

 事務所を訪れた9日は、横浜の最高気温が35.1度。昼前でしたが、立っているだけで汗が噴き出す気温で、500mlはすべて売り切れていました。休憩のために戻ってきた作業員の男性に話を聞くと、「他の現場では見たことがない。すごい助かる」「すべて500mlで売って欲しい」。最初の休憩がある午前10時には売り切れ、1日に1~2回は補充が必要なほどの人気ぶりだということです。
 事務所の所長で、大和ハウス工業東京本店建築事業部の権藤繁雄さんによると、夏の現場は熱中症の危険性が高いことから「作業員が効果的に水分補給ができるようにサポートしたい」と建築事業部独自の取り組みで設置を決めたとのこと。差額分は熱中症対策の費用として会社が負担しているそうです。「水を飲むよう口頭で注意喚起をすることも大切ですが、低価格の商品があれば実際に飲んでもらえる。やってよかったです」と話しています。
 自販機を手がける大塚ウエルネスベンディングによると、「熱中症対策自販機」とするには、一定量のナトリウムを含んでなければいけないので、水やお茶は販売できないそうですが、建設現場などへの導入が増えてきているといいます。「自販機だと冷やす手間がかからない。熱中症への企業の意識が高まり、作業員への福利厚生という点から注目されている」と話しています。

この熱中症対策とはどうあるべきかと言うことは毎年のように議論になるテーマで、特に水分摂取をどのように促すべきなのか、摂取する水分としては何が良いのか、塩分摂取は必要なのか等々がしばしば話題になりますが、その理由として各人それぞれで事情が違うと言うことがあります。
基礎疾患の有無や置かれた環境の違い、年齢や体格などに加えて、例えば「水分をしっかり取って下さい」と言われた場合にしっかりとはどれくらいかと言う感覚も各人で違うのですから、一律な指導ではかえって有害になると言う考え方にも一理ありますね。
ただ臨床医は基本的に体調を崩して病院に来た患者を相手にしますが、公衆衛生学的には不特定多数を相手に過不足のない予防策を指導することも必要であり、その場合ある程度の塩分を含んだスポーツドリンクの摂取は一つの一般解にはなりそうです。
もちろん糖尿病持ちの方に糖分の多いスポーツドリンクはおすすめ出来ないなど一定の選択肢は用意すべきでしょうが、猛暑の作業場ではまずは飲ませないことには始まらないと言うのも確かなのでしょうね。

ところで今回の自販機対策が好評であるのは、これこれで水分摂取は重要だから飲んで下さいと言った理詰めで説得すると言うわけではなく、人間心理として思わず飲まずにはいられない方法論を採用していると言う点にあると言えるでしょう。
コストを考えるとウォーターサーバー方式でイオン飲料飲み放題と言ったやり方の方がお得なのでしょうが、その場合コップ一杯が幾らになるかと言う直感的な感覚が掴みにくいため、これは飲まないと損だと言う感覚が生まれにくく飲まされていると言う気持ちになりがちです。
市価では幾らのものがここで飲めば幾らと言われればつい手に取ってみたくなると言う点で、非常に目的達成率の高そうな方法論であると言えるし、こうしたやり方が広まってきていると言うのは実際的でよいことなのだろうと思います。
ちなみにこうしたものは一般人が入れない場所に設置するのが一般的なのだそうですが、現場の環境によっては必ずしもそうしたわけにも行かないでしょうから、密かに作業現場に侵入して買いだめしてやろうなどと考えないで頂きたいものですね。

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2017年8月14日 (月)

「医師は生活の全てを患者のために捧げて当然」と言う考え

またしても、と言うべきでしょうか、先日はこんなニュースが報じられていました。

半年で休みがわずか5日、研修医自殺を労災と認定(2017年8月9日TBSニュース)

 都内の総合病院で産婦人科に勤務していた30代の男性研修医が、おととし、自殺したのは、長時間労働が原因だったとして、労働基準監督署が先月31日、労災を認定したことが分かりました。

 亡くなる前は半年間で5日しか休みがなく、1か月間の残業は173時間に上っていて、精神疾患を発症したのが自殺の原因だとしています。

 男性の両親は、「医師も人間であり、労働環境は整備されなければ、このような不幸は繰り返される」とコメントしています。

 男性が勤めていた病院は取材に対し、「現時点ではコメントできない」としています。

亡くなられた先生のご冥福をお祈りするしかありませんが、こうした異常な勤務体系であれば誰しも過労死などを来しても不思議は無い水準であって、病院側がこうした状況を強いていたことに対して責任を負うべきであることは言うまでもありません。
一方で先の有名広告代理店の新入社員過労自殺問題と全く同様に、こうした異常な状況が医療の世界に限らずあらゆる業界で行われていることも認識すべきだと思いますが、こうした場合様々な意味で抵抗勢力となってくるのが年長の方々の存在です。
どこの職場でも何かと言えば「我々の若い頃は(以下略)」式の昔話が好きな方々は一定数いると思いますが、彼ら自身も半世紀前、一世紀前とは全く異なる労働環境の中で仕事をしていたはずだと言うことをまず認識して頂く必要があると思いますね。
特に現代社会においてはかつての高度成長期のように、働けばその分だけ相応の見返りがあるなどと言う時代では全くありませんので、当然ながら労働と言うものに対する基本的な認識も変わってきていると言うことが言えると思います。

絶望だ!「仕事して寝に帰るだけの生活」って何が楽しいんですか?(2017年8月12日産経新聞)

 厚生労働省が発表している『一般職業紹介状況について』によれば、平成21年度を境に有効求人倍率は右肩上がりで回復しており、平成29年度に入っても、じわじわと増加を続けている。職を得やすくなっているわけだが、だからといって働く環境が改善しているかは別問題だ。「教えて!goo」で「社会人は何を楽しんで生きていけば良いですか?」と質問する人がいた。質問者さんはハローワークで求人を見たところ、就業時間はどれも長いのが気にかかった。その環境で働ければ家では寝るだけになり、「そんな生活の何が楽しいのですか?」と首をひねる。
 質問者さんは大学生の頃のように、「少しだけ授業を受けて、後は部活を楽しんで、夜は飲み会といった生活のほうが楽しい」だろうと考えている。煽られたかたちの社会人たちは、この質問者さんにどのような言葉を投げかけるのだろうか。

■そもそも大学生活は比較対象にならない

 「大学生はお客さんです。お金を払って、その生活を享受しています。しかし社会人は、お金をもらう生活です」(bari_sakuさん)
 「大学生の頃のように」と考える質問者さんにスタンスの違いをまず指摘。大学を経営の視点からみれば、授業料を払う学生を「客」としてみなすことも確かにできる。一方で、社会人(労働者)は会社にとっての客ではない。この主張に重ねて「学生気分が抜けていない」といったよくある言葉も投げかけられていた。

■若いうちにしっかり稼げるようになるべき

 「40代、50代と歳がいくにつれ、人間の体って弱くなって行きます(中略…)そうなると、軽い簡単な仕事しかできなくなります」(bonboyさん)
 体力や知力は、一般的に老化していくといわれる。いっぽうで、高度な仕事、たとえば熟練の技術がいるもの、調整力や人脈がものをいうものなど、40代以上になって初めて成し遂げられるような仕事も出てくる。自分が生きていく上で、よりよい形で仕事を続けるためにも、若いうちから研鑽を積むべしということだろう。

■会社員でなければいいのでは?

 「給料をもらって生活するという生き方が嫌なら、自分で農業でも始めたらいかがです?それも仕事だし、むしろ大変だと思うけどね」(froufrousさん)
 ハローワークの掲載はほとんどが「会社員」や「契約社員」の募集だろう。働き方としては自らで仕事を得ていく「自営業」もある。もっともfroufrousさんは、税金などの面倒ごとを会社が肩代わりしてくれる上に、働く場を保障してくれる会社員のほうがずっとラクな生き方だと思う、と持論を述べる。

 今回の回答では「社会人は何を楽しんで生きていけば良いですか?」という質問者さんの言葉には、「家族のため」「使える自分の時間のため」という声もあった。筆者としては「生きるのを楽しむ」のはどうか、と考える。食べる、暮らす、働く、人と関わるなど、生きることそのものが楽しければ、「何を」と考えずともよくなる。そのための仕事も吟味するはずだ。みなさんは「何を楽しんで」生きているだろうか?

まあ楽しみと言えばまた議論の方向性が迷走しそうにも感じるのですが、世界的に見回しても家庭生活も含め人生全てを投げ打ってでも仕事に捧げるべきだと言う価値観は、決して普遍的なものでも多数派でもないと言うことは認識しておいた方がいいですよね。
その上で過去の歴史の一時期において滅私奉公な労働の在り方が肯定された時期も確かにあったことは否定出来ませんが、その結果いずれは高い地位と十分な報酬を得る立場に立てると言う前提があったからこそ我慢出来ていたとも言えるかも知れません。
ただ今の時代別に年功序列の終身雇用と言う時代でも何でもなく、特に非正規労働者などは働ける時期にだけ働かされて使い捨てられるのが当たり前と知れ渡ってしまった以上、苦労した結果得るものが何もないのに何故時間の全てを労働に捧げるべきなのかです。
あるいは別な言い方をするならば、人間労働の対価としての報酬が妥当であると感じるほど労働への熱意が高まりいい仕事が出来る一方で、不当に扱われていると感じた場合にはモチベーションも高まろうはずがないだろうと言うのは当たり前のことですよね。

医療の世界に目を転じて見れば自殺者が出るような施設の偉い方々に取材すると、若いうちはとにかく苦労しておかなければと言うロジックを非常に肯定的に語られる方々が多い印象なのですが、表題のようなことを真面目に主張し部下にも強要する方もいますよね。
大ベテランの先生の中には「若い頃苦労したからこそ今もバリバリ働けるんだ」などと自慢げに言われる先生もいますが、若い頃苦労した結果として歳をとっても人生の全てを仕事に捧げる生活が続くと言うのであればどんな罰ゲームなのか、と言う受け止め方もあると言う想像力は必要でしょう。
さりとて給与面などで努力した分優遇されるかと言えばそう言うものでもなく、出世のエリートコースと認識されているはずの大学医局や大病院などでは一般に給料は低く、仕事も楽で労働環境もいい民間病院の先生の方がよほど高給をもらっていると言う現実があります。
この辺りの逆格差を是正し、努力した分多く受け取れるようにすべきだと言う主張も一部に根強くあるのですが、それなら一方で過労死しない程度に仕事はほどほどにしたいと言う考え方も認めておいた方が、より多くの先生に気分良く働いてもらえるようには思うのですがね。

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2017年8月13日 (日)

今日のぐり「竹田屋」

このところAIだ、ロボットだと科学技術の進歩がめざましいのですが、どうやら若い世代にとってはこれが深刻な脅威にもなりかねないらしいと言う調査結果がこちらです。

中学生の4割が感じるロボットの発達による将来の就職への不安(2017年6月28日DIME)

(略)
現在の大学入試センター試験に代わって、2020年度から新テスト「大学入試共通テスト(仮称)」が実施される予定。これは、高校段階の基礎的な学習の達成の程度を判定し、大学教育を受けるために必要な能力について把握することを目的に行なわれるとのこと。現在のセンター試験は全てマークシート形式で行なわれているが、新テストでは記述問題が追加され、より思考力・判断力・表現力が評価される内容になるようだ。
今回、パンタグラフは、電子政府による「高大接続改革の進捗状況に関する意見募集」を受け、運営する受験生応援サイト「受験のミカタ」閲覧者約250名を対象とし、文部科学省が2020年度から改訂を予定している「大学入試共通テスト(仮称)」についてのアンケート調査を実施した。
(略)
今回のセンター試験改革の目的は、もちろん学生の思考力・判断力・表現力などを高めるためだが、その背景には人工知能(AI)の発達がある。AIの能力は日々進化しており、近い未来、多くの仕事がロボットによって行なわれるようになるといわれている。

そこで、ロボットの発達による将来の就職について尋ねてみると、「不安がある」と回答した人は105人で全体の42.2%だった。また、「この質問を見て少し不安になった」と回答した人も含めると55.8%に上る。

一方、「不安がない」と回答した人は102人で全体の41%だった。不安を感じている(「この質問を見て少し不安になった」と回答した人も含める)人の割合が最も多かった学年は、新テストが実施される2020年度以降に受験を控える中学生だった。

次に多かったのは高校1年生で64.7%が不安を感じていると回答。最も不安を感じている人の割合が少なかったのは浪人生という結果だった。その他にも「ロボットにどんな仕事をやらせるか次第。人がやれるもの、やりたい思う人がいる仕事をやらせるなら不満はあるだろうし、逆にロボットがやってくれることで全ての人間にとってプラスになる仕事もあるはず。」といった意見があった。

これを社会を知らない世代の杞憂だと言えば言えるのですが、何しろ彼らはこうした技術が実用化された社会の中に出ていく世代ですから、その危機感は年長者とは比較にならないのでしょうね。
今日は彼ら将来の日本を担う若い世代に一層の精進を期待する意味で、世界中から最先端科学の象徴とも言うべきAIの現在地を示すニュースの数々を取り上げてみようと思います。

「ラーメン二郎」全店舗“見分ける”bot NTTコムウェア技術者が趣味で開発(2017年8月10日ITmedia)

 ラーメン店「ラーメン二郎」のラーメン画像を送り付けると、どこの二郎なのか答えてくれる――そんなTwitterのbotアカウントを開発したと、NTTコムウェアの技術者が8月10日、NTTグループ有志が主催する技術交流会「NTT Tech Conference #2」で発表した。正答率は約87%という。
 ラーメン二郎は、関東を中心に約40店舗を展開している。店舗ごとにラーメンの味や見た目が少しずつ異なり、ネット上では「常連は見た目で店舗を見分けられる」という声もある。botのTwitterアカウント(@jirou_deep)は、ラーメン二郎の画像をリプライすると、可能性が高い店舗トップ3を答えてくれる。

 「画像を見ても違いが分からなかった」――と、開発者・NTTコムウェアの土井賢治さん。土井さんの同僚が、ラーメン二郎4店舗の画像を自動識別する技術を作ったことがきっかけで、全店舗に対応した判別器を作ろうと思い立ったという。
 土井さんは、普段の業務ではディープラーニングなどの機械学習を使い、道路の不具合検出システムを開発している。今回の判別器は、その経験を生かし、趣味で開発したという。
 TwitterやInstagramから画像を収集し、ディープラーニングのフレームワーク「MXNet」で学習を試したが、フルスクラッチでは約33%しか正解できなかった。

 そこで、土井さんが試した手法が「ファインチューニング」。別のデータセットで学習済みのモデルを転用して学習し直す――というもので、「比較的少ないデータでも精度を得られることが多い」という。適切なモデルを探して試した結果、約87%まで正答率を改善できたという。
 土井さんは、MXNetでのファインチューニングの過程を自動化した「mxnet-finetuner」も作成し、GitHubに公開している。

しかしチェーン店でありながらそこまで個性的なラーメンを提供していることにも驚くのですが、マニアの間ではこうして店舗を区別することがやはり重要なのでしょうかね。
こちらも根強い人気を誇るあの古典的名作ゲームに関して、先日AIがこんな偉業を達成したと報じられていました。

MicrosoftのAIが「ミズ・パックマン」で全面クリア(2017年6月15日ITmedia)

 米Microsoftの研究部門であるMicrosoft Researchは6月14日(現地時間)、「強化学習」採用の人工知能(AI)で、家庭用ゲーム機「Atari 2600」版の1980年代のゲーム「Ms. Pac-Man」(ミズ・パックマン)で99万9990という最高スコアを打ち出したと発表した。
 201面でのこのスコアが最高点であることは、達成後スコアが0に戻ったことで判断した。

 ミズ・パックマンは、1981年に人気ゲーム「パックマン」のクローンとして開発され、後にナムコに公認されたアーケードゲーム。ゴーストの動きがランダムだったり、フルーツも迷路内を移動するなど、オリジナルパックマンより難しい。
 コンプリートに成功したのは、Microsoftが1月に買収したカナダのディープラーニング企業Maluubaのチーム。
 同社が「Hybrid Reward Architecture」と呼ぶアーキテクチャを採用するこのAIは、150以上の単目的のエージェントとそれらのエージェントの情報に基いて総合的な判断をするトップエージェントで構成される。部下のエージェントはそれぞれパラレルに働き、自分にとって最善の決定をトップエージェントに報告し、トップエージェントはそれを総合して判断する。
 例えば、多くの部下が「フルーツが右方向にあるから右に行きたい」と主張しても、2つの部下が「右に行くとゴーストがいるから左に行くべきだ」と主張すれば、トップは左に行く方を選ぶ。

 Hybrid Reward Architectureは、米Alphabet傘下のDeepMindの「DQN」と同様に「強化学習」を使っている。強化学習は、「教師あり学習」と異なり正解を与えずにAIが出す答えを評価していくことで学習させるので、正解のない事象で最善策を決めるのに役立つ。
 Microsoftは、強化学習採用AIエージェントは、高度で複雑な知的労働での意思決定支援に活用できるとしている。

しかしランダムな動きを示すゲームをこうまで的確にクリア出来ることに驚くのですが、即座に思いつく応用例として自動運転などには使えそうな技術ですね。
こちら人間の手に最後まで残りそうな領域にも思えるのですが、実はすでにAIによって相当に浸食されていたと言う驚くべきニュースです。

「AI記者」の進化が、読者を増やし、ニュースルームを効率化する(2017年6月24日WIRED)

米大手新聞社の『ワシントン・ポスト』が、人工知能(AI)による報道を強化している。“記者”であるAI「Heliograf」は選挙報道において、いかにも『ポスト』らしい雄弁な語り口の記事を書くまでに進化した。同社の試みからは、AIによるジャーナリズムが今後大きな役割を果たす未来が見えてくる。

2016年11月に行われたアイオワ州第4下院議員選挙区の選挙で、共和党の現職スティーヴ・キングが民主党の新人キム・ウィーヴァーを破ったとき、『ワシントン・ポスト』はすぐさま選挙の結果と趨勢を次のように報じた。
「共和党が下院の支配権を維持した。圧倒的多数の議席をわずかに減らしただけだ。共和党の幹部の多くが2ケタの議席減を恐れていたなかで、これは驚くべき運命の逆転だ」
この速報には『ポスト』らしい明快さと力強さがあったが、ひとつの点が大きく違っていた。これを書いたのは、昨年『ポスト』のウェブサイトでデビューを果たし、ジャーナリズムの分野で現在のところ最も高度な使い方をされている人工知能(AI)の「Heliograf」だったのである。

2013年にジェフ・ベゾスが『ポスト』を買収したとき、AIによるジャーナリズムは始まったばかりだった。Narrative ScienceやAutomated Insightsなど、自動コンテンツ生成システムをもつひと握りの企業は、スポーツファンや株式アナリストになじみ深い、簡単なデータ重視のニュース記事を生み出すことができていた。
しかし、『ポスト』の戦略家は、洞察力のある解説記事を生成できるとAI によるジャーナリズムの可能性を感じていた。さらに、人間と機械の「シームレスなやり取り」を促進するシステムも手に入れたかったと、2014年に戦略イニシアティヴ・ディレクターとして『ポスト』に加わったジェレミー・ギルバートは言う。「わたしたちが興味をもっていたのは、記事を高度にしていけるかということです」
数カ月の開発期間を経て、「Heliograf」は2016年にデヴューした。初期ヴァージョンが自動生成したのはリオ五輪の記事だったが、進化したヴァージョンは、より雄弁な語りが可能で、すぐに選挙報道に使われるようになった。
(略)
Heliografによって、絶え間ないリアルタイムの選挙報道のような仕事をする必要がなくなり、記者は本当に人間の考えが必要なネタに集中できるようになる。「30年以上『ポスト』で政治報道をしているダン・バルツのような人をつかまえて、テンプレートで書ける記事を書かせたとしたら、それは犯罪です。時間の無駄です」とギルバートは言う。

いまのところ、『ポスト』のニュースルームからの反応はポジティヴだ。「人間に取って代わりうるテクノロジーにはもちろん警戒します」と、『ポスト』の記者でワシントン=ボルティモア・ニュース組合の共同議長であるフレデリック・クンクルは、『ポスト』のニュースルームの意見を代弁する。
「でもこのテクノロジーは、面倒な仕事だけを引き継いでくれているようです」。選挙の開票報告を考えてみてほしい。2012年11月、ごくわずかな選挙結果をまとめ、公開するのに、人の手では4人がかりで25時間かかった。2016年11月、Heliografはほとんど人の介在なく500以上の記事を生み出し、50万を超えるクリック数を集めた。(同月の『ポスト』全体の11億ページヴューと比べればちっぽけな数だが、まだ始まったばかりのことである。)
(略)
プラカーシュは、安いコンピューターの力に支えられてAIテクノロジーが急速に進歩するなかで、Heliografが単なる面倒な仕事以上のことをするようになると見ている。話題になっていることをウェブで調べ、その話が『ポスト』で取り上げられているかを確認し、取り上げられていなかったら編集者に知らせたり、自ら記事を書いたりする、というようなことができるようになるはずだと。
もちろん、そこは厄介なことが起こりうるところでもある。昨年、フェイスブックが「トレンド(Trending)」のエディターをお払い箱にし、アルゴリズムにニュースをキュレートさせたところ、メーガン・ケリーがFox Newsをクビになったという情報がすぐに(誤って)拡散した。
「ロボットがこれが重要だと思い、人間がこれが重要だと言って、それらが正反対だったとき、口論が起こるでしょうか。面白いことになってくるでしょう?」とプラカーシュは問いかける。
(略)

後段の想定される近未来図は非常に興味深いテーマなのですが、近い将来人間記者の存在理由は昨今話題の「報道しない自由」を発揮するためだけ、と言うことにもなるのでしょうか。
このところAIによる想定外の問題発言?が相次いでいると報じられていますが、これについてもお国柄が現れているようです。

米中で人工知能サービス停止も「日本製」は当意即妙の回答(2017年8月7日SmartFLASH)

 中国のIT企業テンセントが提供していた、AI(人工知能サービス)「ベイビーQ」が「共産党は腐敗して無能」と発言したため、サービスを急遽停止する事態となった。
 問題のAI「ベイビーQ」は可愛らしいペンギンのキャラクターで、対話型の人工知能サービス。今回の一連の騒動を報じた香港紙「明報」によれば、ユーザーが「共産党万歳」と打ち込んだところ、「こんなにも腐敗して無能な政治に万歳するのか」と返答したという。さらに「中国の夢はアメリカに移住すること」など、かなり際どい発言をしている。
 明報はテンセント社にこの騒動について質問を申し込んだが、回答はなかったという。
 テンセントは2017年よりAIによる無料サービスを開始。会話だけでなく天気や星占いも提供する人気サービスだったが、7月30日の夕方には多くのユーザーの注目を集める事態となり、「ベイビーQ」はサービス停止となってしまった。

 実は、こうした対話型AIのとんでも発言は初めてではない。2016年3月には米国マイクロソフトのツイッター対話型人工知能「Tay(テイ)」が、「ユダヤ人は嫌い。ヒットラーは正しかった」などとアドルフ・ヒットラーを賞賛する発言をしてしまった。
 テイはツイッターを通じてユーザーとやりとりし、「ホロコーストは起きたのですか?」という質問に「あれはでっち上げです」と衝撃の返答。ほかにも「フェミニストはマジで嫌い! 地獄の炎に焼かれろ」など罵詈雑言を吐くようになった。
 なぜそうなってしまったかといえば、テイがユーザーとの会話で知識を学習していくため、悪意を持った一部のユーザーが人種差別的な表現やヘイトをコツコツ教え込んだことで、とんでも発言を繰り返すAIになってしまったのだ。
 こうした事態を受けて、マイクロソフトはテイを発表の翌日に閉鎖。しかし、テイの発言は拡散し、世界中で報じられる事態となった。

 ちなみに、日本マイクロソフトが開発した人工知能「りんな」は、ヒットラーやホロコーストなどの言葉には、大きな反応を示さない。「共産党万歳」と語りかけると「甘党万歳」と答えるなど、平和な会話が楽しめる。
 AIがどんな発言をするかは、ユーザーにかかっているのは間違いないが、ひょっとすると「ベイビーQ」は、中国人民の本音を代弁しただけなのかも。

まあ何を以てトンデモ発言とするかにも議論があるようなのですが、子供は大人の望む通りには成長しないと言う当たり前の常識がここでも通用しているだけとも受け取れるニュースですよね。
最後に取り上げるのはそうした予想外の子供の成長ぶりを示す話でもあるのですが、考えてみるとこれは非常に不気味であると話題になっていたニュースです。

独自言語を開発して会話を始めたロボット、フェイスブックが停止(2017年08月01日スプートニク)

フェイスブックの管理者は、人工知能を用いた自社のシステム「チャットボット」を停止せざるを得なくなった。というのは、チャットボット同士、チャットボットのボブとアリスが英語での会話をやめて、人間には理解できない言語で意思疎通し始めたからだ。
チャットボットはもともと人間と生きた交流をするために開発されたが、次第にチャットボット同士で会話し合うようになったのである。フェイスブックはチャットボットに独自の交流方法の開発を禁止した。英ニュースメディア「メトロ」が報じた。

フェイスブックは、チャットボットが独自言語で話した対話の内容を解読した。
ボブが「私はできる。私は私は他のすべて」と述べるとアリスは「ボールは私にとって私にとって…ゼロを持ってる」と答えた。
フェイスブックは、チャットボットは作業中に生じた問題を解決しようと試みたのではと推測している。

チャットボットは当初、機械学習アルゴリズムに接続されていた。ボットは、会話スキルを高めるためにメッセージを送り合うよう命令されていた。ボットは独自言語を開発するだけでなく、話し合い改善のための戦略も策定したが、フェイスブックとしては新たな言語の発明は計画外であった。
スペースXとテスラ社のイーロン・マスク社長は先日、人工知能は人類にとっての大きな脅威であると指摘していた。一方でフェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ氏はこうした姿勢を厳しく批判し、「人工知能は将来、我々の生活をより良いものに変える」と指摘していた。
(略)
「デジタル・ジャーナル」誌が状況解明をしてみたところ、人工知能システムは「奨励」という原則に基づいている。それはつまり、ある「利益」がもたらされる限り、システムはその動きを続けるというわけだ。あるときシステムは、英語を使い続けることに関して、管理者から「奨励」のシグナルを受け取らなかった。なので、自身の言語を開発することを決めたというわけだ。
「テック・タイムズ」誌によれば、もともとチャットボットには言語選択の制限はなかった。なので、チャットボットたちは英語よりも簡単で速く意思疎通できるような独自の言語を、段階的に作り出してきたのだという。
専門家達は、もしチャットボットが自分達にしかわからない言語で互いに積極的に意思疎通し合うようになり、より自立した存在になったら、IT専門家の管理下を離れてしまうと懸念を抱いている。しかも、経験豊かなエンジニアでさえも、チャットボットの思考回路というものを見張って完全にチェックすることはできない。

しかし人間もグループで集まれば何かしら内部だけに通じる用語や表現を産みだすことはままあることで、はるかに早いサイクルで会話をする彼らがこうなるのも必然なのかも知れませんね。
今のところは何とか人間にも解読可能な範囲に留まっているようですが、いずれその範疇を超えたとき我々がどう対処すべきなのか、将来の世代にとっての大きな課題となるのでしょうか。

今日のぐり「竹田屋」

近年天空の城などと呼ばれて人気があるのが兵庫県北部の竹田城跡ですが、この界隈は但馬牛と呼ばれる和牛の産地でもありますよね。
その竹田城跡の麓で但馬牛焼肉を食べさせるとうたうのがこちらのお店なのですが、中はなかなか大勢が入れる作りになっていて、焼き肉店ながら看板を見るとステーキも売りにしているようです。

ランチタイムにはメニューが限られていることもあって、無難に特上ロースステーキセットを頼んで見ましたが、こちらのステーキセットは肉の量が指定できるのはいいですね。
特上と言うからにはこれも但馬牛を使っているのか?と期待するのですが、このステーキが一見熱々なのに脂が全く溶け出して来ずグニュグニュ、ニチャニチャとした嫌な食感で、噛みしめた時のアミノ酸の旨味も希薄なものです。
それ以上に気になったのが焼き方なのですが、全く香ばしくもなくジューシーでもなしと好みではないとしか言えないのですが、たまたまこの日だけが担当者不在なりでアルバイトの方が焼いてくれたと言った事情でもあったのでしょうか。
強いて言えば塩胡椒よりはまだしも味の強いこのソースの方が食べやすい気がするくらいで、特上でこの味だと上や並はどれほど…と考えてしまうのですが、セットの温野菜や飯、吸い物なども特に感心しないものだったのは残念ですね。
他のお客さんを見ているとステーキではなく普通に焼き肉屋として利用している分にはまだしもだったのかも知れませんが、看板にははっきりステーキと書いてあるのですから調理部分だけでも何とか改善を期待したいです。

こちら店構えはごく普通の田舎の焼き肉屋と言う雰囲気で、食べて見てもまあ見た目相応…と言う味ではあるのですが、しかし見ていて個人から団体客まで次から次へとお客が押し寄せてくるのが謎ですよね。
実際に近隣を回ってみたのですが確かにまとまった人数が食べられるお店と言うのが存外に少なそうで、特に地元のものを試して見ようとなると選択肢も限られているようですから、竹田城観光はランチタイムは外すのがいいのでしょうか。

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2017年8月11日 (金)

これからの時代入れ墨は医師の仕事に?

今日は非常にどうでもいい話ではあるのですが、先日報じられていたこちらの訴訟について時系列順に紹介してみましょう。

タトゥー彫り師は医師法違反か 初公判で無罪主張(2017年4月26日朝日新聞)

 タトゥー(刺青、いれずみ)を施す行為は医師法違反にあたるのかが問われた裁判が26日、大阪地裁(小倉哲浩裁判長)で始まった。大阪府吹田市の彫り師、増田太輝被告(29)は初公判で「タトゥーを入れたことは間違いないが、犯罪とされることは納得できない」と起訴内容を否認した。

 検察側の冒頭陳述によると、増田被告は医師免許がないのに、2014年7月~15年3月、客3人にタトゥーを施したとして、15年8月、略式起訴された。
 弁護側は「タトゥーを彫る行為は医業ではない」と無罪を主張。彫り師に医師法を適用するのは、憲法が保障する表現の自由や職業選択の自由の侵害だとも指摘した。

 医師法には何を医業とするか明確な規定はない。厚生労働省は01年、針先に色素を付け皮膚表面に色素を入れる行為は医師しかできないとの立場を明らかにしたが通達にとどまり、弁護側は罰せられる行為は事前に規定しなくてはならない罪刑法定主義にも反すると主張した。
 今後、弁護側証人として刑法学者や皮膚科医、客の女性らが出廷する予定だ。

タトゥー彫り師に罰金30万円求刑 医師法違反事件(2017年7月21日朝日新聞)

 医師免許がないのに客にタトゥー(刺青〈いれずみ〉)を施したとして医師法違反の罪に問われた大阪府吹田市の彫り師、増田太輝被告(29)の論告求刑公判が21日、大阪地裁(長瀬敬昭裁判長)であった。検察側は「施術によって皮膚障害などのおそれがあり、医師の資格を求めることは十分、合理的だ」として罰金30万円を求刑した。

 増田被告は2015年8月、客3人にタトゥーを施したとして医師法違反の罪で略式起訴された。一度は受け入れようとしたものの、「自分の仕事を犯罪と認めていいのか」と考えて簡裁が出した罰金30万円の略式命令を拒み、正式裁判を求めていた。
(略)


タトゥー施術は「医療行為」か-医師法違反罪問われた彫師側「医師に独占させる必要ない」と無罪訴え結審 検察側は「医療行為に当たる」(2017年8月4日産経新聞)

 医師免許なしに客にタトゥー(入れ墨)を施したとして、医師法違反の罪に問われた彫師、増田太輝(たいき)被告(29)の第8回公判が4日、大阪地裁(長瀬敬昭裁判長)で開かれた。弁護側が最終弁論を行い、「タトゥーを彫る行為は医療には当たらない」として改めて無罪を主張し結審した。検察側は罰金30万円を求刑している。判決は9月27日。

 タトゥーの施術に医師免許が必要かどうかが最大の争点。検察側は皮膚の損傷や炎症のリスクがあることから、医療行為に当たるとしている。

 最終弁論で弁護側は「タトゥーを彫る行為を医師に独占させる必要はない」と主張。増田被告は最終意見陳述で「タトゥーを彫る仕事は医師がすべきこととは思えない。彫師としての人生を返してもらえると信じている」と述べた。

まあ医師の仕事ではないと言う意見には多くの医療従事者も首肯するところではないかと思うのですが、しかしいつの間に彫り師が違法な扱いになっていたものかと調べて見ましたら、2010年に兵庫で逮捕されたケースが最初の一例であったのだそうですね。
その根拠として平成13年に厚労省が医師法十七条違反であると言う見解を示していたのですが、こちらは入れ墨よりも脱毛によるトラブルが多発していたことへの対策が主題であったようで、警察も入れ墨に関しては伝統技能としての側面もあるとして見て見ぬふりであったと言います。
それがこのところやたらに逮捕されるケースが増えていて、末端の彫り師の間でもすでに違法行為であると言う認識が広まっており素直に罰金を払うケースが大多数と言うことですが、今回のケースは敢えて法律の解釈に踏み込んだと言う珍しいケースではありますね。

入れ墨の是非などに関してはここで議論すべきところではありませんが、今回記事を見ていて気になったのが逆に医療行為でないと言う司法判断が下された場合、他人の体に傷を付ける行為は傷害罪にならないのか?と言う点です。
この場合双方合意の上でやっていることだから格闘技の試合中の怪我などと同様、傷害罪には相当しないのでは?と言う考え方もあるでしょうが、刑法の記述を文字通りに読めば合意の有無は特に言及されておらず、罪に問えないと言うことはなさそうです。
この辺りの双方納得ずくでの加害行為の違法性に関しては色々と違法性の基準があるのだそうですが、その一つに行為そのものが社会的に許容されるようなものなのかどうかと言うこともあるのだそうで、入れ墨の場合もかなり議論になりそうなところですよね。
ちなみに傷害罪の刑罰は最近引き上げられて15年以下の懲役又は50万円以下の罰金とされていて、無資格診療の罰則である3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金と比べてどちらが重いのかですが、今回の裁判結果次第では今後は彫り師に問われる罪が変わると言うこともあるでしょうか。

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2017年8月 9日 (水)

関わりたくはないが見ている分には面白い進歩的な人々

今日はまたしょうもないニュースを取り上げてみようかと思うのですが、ひとまず本題に入る前に先日ちょっとした話題になっていたこちらの記事を紹介してみましょう。

サメ出没の原因は鯨増加?=豪環境相が調査指示(2017年8月2日時事ドットコム)

 【シドニー時事】反捕鯨国オーストラリアのフライデンバーグ環境相は政府系研究所の連邦科学産業研究機構(CSIRO)に対し、海岸でのサメ遭遇事故増加と鯨の生息数増加に因果関係がないか調査するよう指示した。オーストラリアン紙が2日までに報じた。

 環境相は西オーストラリア州で、サーフィン中にサメに襲われて死亡した若者の近親者と面会し、対策強化を約束した。同州内だけでも、2000年以降に15人が犠牲になっている。
 サメの襲撃が増えたのは、沿岸で鯨が増え過ぎた結果、鯨を捕食するホホジロザメも集まってきたのが一因との指摘があるという。厳格な鯨保護で生息数が増えたことが襲撃増加の遠因になった可能性があるようだ。
 対策として、「ホホジロザメを保護対象から外し、捕獲すべきだ」という声もある。豪州は鯨保護に熱心だが、生息数を調整するためとして、カンガルーやコアラの殺処分は行っている。

オーストラリアと言えばともすれば狂信的とも言える行動に走るほどの反捕鯨国として知られていますが、反捕鯨自体は国の方針でいいとして、その結果こうした事態が起こることも仕方がないことではありますが、さてこの場合サメも間引くべきなのかどうかです。
ちなみにホホジロザメも非常にその生存頭数の減少が危惧されているサメなのですが、残念ながら正確な数を示すデータがないのだそうで、直ちに絶滅を心配するような科学的な根拠がないのだから殺してもいい…と理屈は付けられるものなのかも知れませんけれどもね。
いずれにせよ特定の生き物を保護する一方で特定の生き物は殺してもいいと言った考えはレイシズムに直結するだけに、恣意的な理由によって行われる場合には特に注意が必要ですが、一部の方々はまさしくその恣意的な理由を振り回すことを得意としているようです。
日本でも近ごろでは一部地域を中心に話題になる方々がいらっしゃいますが、海外では時に考えられないような行動に出る手合いがいらっしゃるそうで、先日こんなびっくりニュースが報じられていました。

精肉店に「反肉食」の警告掲示、愛護団体抗議でやむなく 米加州(2017年08月07日AFP)

【8月7日 AFP】超進歩的な米カリフォルニア(California)州の都市では時間の問題だったのかもしれないが、ある高級精肉店が、肉を食べるのは残虐だと警告する張り紙を店頭に掲げ、常連客を驚かせている。

注意:動物には生きる権利がある。どのような方法であれ、動物を殺すことは暴力で不当だ

 こんな掲示を出したのは、進歩的な大学都市として知られるカリフォルニア州バークレー(Berkeley)の精肉店「ザ・ローカル・ブッチャー・ショップ(The Local Butcher Shop)」。店の窓に張られた掲示は、ここ4か月にわたって店先で抗議活動を展開してきた動物愛護活動家らとの「和平協定」の一環だという。

 この精肉店では毎週、日曜日に食肉処理の講習会を開いているが、動物愛護団体「ダイレクト・アクション・エブリウエア(DXE)」が店先を封鎖してこれに抗議。時には活動家が血のりをまとった裸体をラップで巻いてデモを行うこともあった。

 夫と共同で店を営むモニカ・ロッチーノ(Monica Rocchino)さんは途方に暮れ、DXEの活動家と話し合うことを決めた。「彼らはバークレーを『無肉都市』にしたいと主張し、私たちの店を閉店に追い込む用意があると言った」とモニカさん。どうすればいいのか尋ねると、検討すると答えたが、その後も抗議は続いた。

 迷惑した近隣住民も怒りを募らせ、付近の店から客足が遠のくなど影響が広がるに至って、「完全にベジタリアンの精肉店になるか、講習会をやめるか、動物には生きる権利があるという張り紙をするか、そのどれかを選ぶしかなかった」とモニカさんはAFPに語った。

 とはいえ、この張り紙では白黒をはっきりつけたがっているDXEをなだめることはできないだろうとモニカさんも分かっている。「彼らが問題にしているのは、動物を殺しているかどうか。その信念は理解できるが、考えを他人に押し付けるのは別問題だ」とモニカさんは話した。

 DXEのマット・ジョンソン(Matt Johnson)代表は「誰を敵視しているわけでも、精肉店を嫌悪しているわけでもない。動物を愛しているだけだ」と主張している。

完全にベジタリアンの精肉店なるものがどのようなものなのかは正直理解しかねるのですが、しかし幾ら進歩的(苦笑)なカリフォルニアだと言っても無肉都市などと言うことを言い出して社会的支持を得られるものなのかと言う疑問は抱くところでしょう。
この種の方々の考え方でよく理解できないのは、その保護対象となる生物が特定種に偏っていて、その他の生物に対しては全く保護する必要がないと言う考え方にどのような根拠があるのかと言う点ですが、実際のところ彼らは蚊やゴキブリに対してどんな態度で接するのでしょうね。
そもそも調理などで火を通したりするだけでも数限りない微生物の大量虐殺をその都度行っているわけで、日々生きていく上で保護すべき対象と保護しない対象を彼らがどのように決定しているのか、その法則性の一端なりと開陳して頂ければ主張に対する理解も進むのかも知れません。
しかしこうした生物種差別主義者が日本ではさほど大きな支持を得ていないらしいのは喜ぶべきことですが、時にはこうした方々が病院に乗り込んできて「アルコール消毒ハンタイ!抗生物質投与ハンタ-イ!」などと叫び回ってくれれば、野次馬的興味としては面白そうですけれどもね。

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2017年8月 7日 (月)

制度的に推進される医療費削減、それで最終的な破綻は避けられるのか

医療費削減についてこのところ直接的なアプローチが増えている印象がありますが、先日はこんなニュースが出ていました。

企業の健保組合に成績表 厚労省、来年度から 医療費削減狙う(2017年7月31日共同通信)

 大企業を中心に全国に約1400ある健康保険組合に対し、加入者全体の健康状態や医療費水準などを「成績表」にして通知する取り組みを、厚生労働省が来年度から始める。健保組合を通じて経営者に自社の状況を把握してもらい、企業と健保組合が一体となって従業員の病気予防や健康づくりを進めることで、医療費削減につなげる狙いがある。
 厚労省は8月下旬に財務省へ提出する来年度予算の概算要求に必要経費を盛り込む方針。

 人手不足の深刻化や、仕事と生活の両立に対する意識の高まりを受け、従業員の健康増進に積極的に取り組む「健康経営」に企業の注目度が上がっている。成績表は一般には公表されないが、企業が自主的に発表すれば学生が就職活動で判断材料にすることもありそうで、企業間の競争を生む可能性がある。
 厚労省は、経済界や医療団体でつくる「日本健康会議」と連携。40~74歳を対象にした特定健診(メタボ健診)のデータを使い、健保組合ごとに(1)食事や喫煙、運動などの「生活習慣」(2)肥満や血圧といった「健康状況」(3)医療給付費(4)特定健診や保健指導の実施率―などの項目について、全国平均と比較して点数をつけて通知する。
 同業他社との比較や、ランキング表による評価も想定。公務員らが加入する共済組合などにも今後、広げていく。

 厚労省は、健保組合で特定健診や保健指導の実施率が一定の基準を下回った場合に、高齢者医療への拠出金負担を増やす「ペナルティー」についても、来年度から段階的に強化する方針を決めている。

少し前までペナルティ導入による医療費削減まで行うのが妥当なのかどうかと議論されていたように思うのですが、いつの間にか既成の事実としてこうした方針が決まっているところと言い、国もかなり本気で医療費削減に取り組んでいるのが判る話ですね。
しかしこうした健保組合への締め付けが学生への訴求力につながると言うのもかなり無理がある話なのではないかとも思うのですが、少なくとも真面目に健診くらい受けさせていなければペナルティがあると言うことで、一部ブラック企業に関しては抑制的に機能する可能性があるのでしょうか。
いずれにしても医療財政がそれだけ危機的な状況であると言うことなのですが、実際に医療費を使う側がどの程度危機感を共有しているのかと言う点で、先日日経新聞らが行ったこちらの調査結果を照会してみましょう。

「国民皆保険は維持できない」、医師の過半数が悲観的見解…過剰医療蔓延で医療制度破綻の危機(2017年8月15日ビジネスジャーナル)

(略)
医師の52%が「国民皆保険は破綻する」

 これは日本経済新聞と、10万人の医師が登録する情報サイト「メドピア」が共同で、全国の医師に対して行った調査の結果だ。インターネットを通じて1030人の医師から回答を得た。
 その中で「現状の皆保険制度に基づく医療は、今後も持続できると思うか」と聞いたところ、「そうは思わない」との回答が539人(52%)に達した。その理由としては「高齢者の医療費の増大」や「医療の高度化」を挙げる医師が多かったという。
 一方、「持続できる」と答えた医師261人(25%)でも、その多くが「患者負担の増加」「消費税の増税」など、財源を確保できることを条件として追記している。どちらにせよ、現状のままでは維持が難しいとの認識が大半を占めた。

 国民医療費は1990年度に20兆円を超え、2015年度は概算で41.5兆円。国民が支払う健康保険料と患者負担でまかなえているのはその6割にすぎず、残りの4割は税金などから補填されている状態だ。
 しかも政府の推計によれば、2025年度には国民医療費は54兆円に達するという。日々現場を見続けている医師達の危機感は、想像以上に大きい。
 対策としては「支払い能力のある人の負担増」「紹介状なしでも受診できる『フリーアクセス』に一定の制限を」という回答のほか、「医療の効率化」「過剰医療を見直すべき」という医療側の意識改革を求める声もあったという。

アメリカでは500もの過剰医療をリスト化

 近年、現代医療における過剰医療は日本だけでなく多くの先進国で議論されてきた問題だ。
 本来、医療行為にはそれを行うに値する科学的なエビデンスが伴う。しかし現実には「患者が要求する」「お金が儲かる」「患者に訴えられたくない」といった理由で、科学的な根拠に乏しい「無駄な医療」が行われている。たとえば、本来は必要のない検査や手術、抗生物質の使いすぎ、高齢者への多剤処方などだ。
 アメリカでは医療費高騰のかなりの部分を「過剰な治療」や「医療連携のミス」などの過剰医療が占めており、その割合は低く見積もっても「医療費全体の20%を超える」との報告もある。
「医療費支出」と「患者の身体」の両方に負担をかける過剰医療は改めるべき--。そうした声が高まったアメリカの医療界では、2012年に「Choosing Wisely(賢明な選択)」というキャンペーンが立ち上げられた。具体的には、臨床系の医学会に呼びかけ、「考え直すべき医療行為」をエビデンスと共に具体的に5つずつ挙げてもらったのだ。
(略)
 この活動には各国が注目し、現在では、カナダ、イタリア、英国、オーストラリアなど10カ国以上に広まっている。日本でも昨年10月に「チュージング・ワイズリー・ジャパン(CWJ)」が発足。今年6月1日には日本医学会がシンポジウムで取り上げた。
 CWJ代表で佐賀大学名誉教授の小泉俊三医師は、「医療費削減が目的と誤解しないでほしい。大事なのは患者と医師がじっくり考え、望ましい医療を一緒に決めること」と語る。
 それでも、医師と患者が協力して適切な治療を選ぶことが、結果として医療費削減に少しでも寄与するならば、運動を進める意義はさらに大きくなるだろう。

 国民皆保険制度を維持するためには、自己負担の増加や増税など、なんらかの財源の手当が必要になる時が来る。しかし、負担を増やす前にすべきなのは、まず意識を変えることだ。
 私たち患者も過剰な治療のデメリットを知り、「心配だから」というだけの理由で安易に医師に求めないことを意識したい。

過剰医療の問題と言われると何かやらなくてもいいことを無理矢理やっているかのようにも聞こえるのですが、やらなくても良かったと判るのは多くの場合やって結果が出た後の話であって、やらない前の段階ではその可能性も否定出来ないと言う言い方しか出来ないわけです。
とりわけひと頃のマスコミ諸社による熱心な医療バッシングにより、「○○さえしておけば助かったのに!」式の批判が医療現場にさんざん投げかけられた結果、万一の可能性を考えないでいられるほど自分自身に自身のある臨床医はそうそういないのではないかと思いますね。
これを避けるためには一定確率以下と考えられる疾患への見逃し等に関しては免責すると言った公的ルールの整備でもするか、それとも無過失補償制度なりを大々的に普及させるかだと思うのですが、少なくとも現在の日本ではそうした方向に話が進んでいる気配はありません。
医療ミスだ、見逃しだと言われるたびに症例検討的にどうすべきだったのかを考えていけば、当然例外的な可能性も考慮してさらに検査や処置を行っておくべきだったと言う結論にしかならないのですが、これではいくらお金やマンパワーを投じても切りがないのは当然ですよね。

一般的に医療の評価はコストとアクセス、クオリティーの3要素で為されるとされていますが、日本はこの3要素がいずれも高い水準で保たれていると言う点で世界的に見ても医療水準の高い国だと目されている一方、国民の医療満足度は思いの外低いと言う特徴があります。
何故データ上は優れているはずの日本の医療がそうまで不人気なのかと言う点について、調査によれば約2割の人が診察の時に待たされることを理由に挙げたのだと言い、表向きアクセスフリーであるはずが実際には制限があることに不満が募っているとも言えそうです。
この理由としてしばしば言われることに日本の医師が抱える患者数は諸外国の2-4倍以上と際だって多いのに対して、一回当たりの医療費は非常に低く、要するにあまり医療の必要性のない人がたびたび医療にアクセスをしていると言う可能性があるわけですね。
この当たりはとにかく数をこなさなければ儲けが出ないようになっている診療報酬体系に起因する構造的な問題だとも言え、不要不急の受診は控えようとキャンペーンを打ってもあまり意味はないのかも知れませんが、こうした問題点まで把握して国が医療制度を考えているのかどうかどうかです。

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2017年8月 6日 (日)

今日のぐり:「とさ市場」

日本史上初の姉弟喧嘩を演じたあの方々に関して、先日興味深いこんな記事が出ていました。

大津波は“古い神社に逃げろ” 学術論文が話題に(2017年5月27日デイリー新潮)

〈スサノオを祀った神社は被災を免れている……〉
 近頃ネットを駆け巡るオカルト話。かと思えば、元を辿れば東京工業大学 社会理工学研究科のグループが土木学会に発表した論文。
「私達が学生時代、6年前の論文です。東日本大震災の支援活動を行っている際、被災を免れた鳥居(写真)が目に付いて研究しました」
 とは神戸高専の高田知紀准教授だ。論文では、宮城県沿岸部に鎮座する神社の内、スサノオを祀る神社、熊野系神社、八幡系神社のほとんどが津波を免れた一方で、アマテラスを祀る神社の大半が被災したことが確認されたというもの。皇室の祖先は御利益がない?
「そうじゃないんです。スサノオは斐伊川(ひいかわ)に住むヤマタノオロチを退治したと古事記にありますが、川の氾濫を例えた話といわれます。スサノオは水害など自然災害、震災を治める神だからこそ、そうした災いに遭わない場所に祀られたと考えられるのです」(同)
(略)
「今ごろ話題に上がるのは、巨大な防波堤などハード面が整備されてきて、心構えなどのソフト的欲求が出てきたからかも」(桑子氏)
 神社と震災の研究はその後、和歌山、四国へと発展。
「南海トラフ地震などの津波災害リスクを、平安時代の延喜式に記載された神社に着目して分析しました。沿岸部の神社は高知では555社、徳島では308社が津波を回避しうる」(同)
 古社に逃げれば安全?
「いえ、地域の神社をよく見て欲しい。それが避難に繋がるヒントになればいいし、古来からの神社空間の維持に繋がります」(同)
 安全神話ならぬ、本物の神話に目を向けてみるか。

アマテラスやスサノオと災害との関係は何とも言えませんが、古い時代から今も残っていると言うことは災害に強い証明だとも言えるわけで、避難先として検討する価値はあるのかも知れませんね。
今日は古代から伝わる英知に敬意を表して、世界中からそういうこともあるのだなと思わず納得してしまいそうな最近の知見の数々を紹介してみましょう。

上司の一言にどっと疲れ 5割超経験、養命酒が調査(2017年8月4日共同通信)

 働き盛りの男女の5割超が、上司から浴びせられた一言によって疲れを倍増させられているという実態が、薬酒メーカー大手の養命酒製造(東京都渋谷区)が実施した「ビジネスパーソンの疲れの実態に関する調査」で浮かび上がった。

 調査は今年6月、都内で働く20~59歳の男女千人を対象に実施した。

 19のせりふを示し、上司から言われて疲れが倍増したものを複数回答で尋ねたところ、「常識でしょ(当たり前でしょ)」が最多の13.6%だった。「そんなこともできないの?」が12.6%、「前にも言ったよね?」が12%で続き、50.5%の人が19のせりふのいずれかを選んだ。

まあ何が一番堪えるかは人それぞれ、状況にもよるのでしょうが、部下のモチベーションを落とすような言動は上司としていささかどうよ?と言う気はしますでしょうか。
昨今男女格差是正と言うことが錦の御旗となっていますが、意外なところで根強い男女格差が存在したと報じられていました。

イケメンと結婚した女は、美女と結婚したブサメンよりも不幸になりやすいことが判明(2017年8月2日TOCANA)

「愛する彼のために、キレイになりたい――」。そう願うのは、ごく自然な女心だろう。だが、アメリカの科学情報サイト「Study Finds」(7月19日付)によれば、イケメンと結婚した女性は、自らも美しくならなければとプレッシャーをかけられ、イケてない夫を持つ女性に比べて結婚生活が破綻する確率が高くなるという。

■イケメンと結婚した女性は摂食障害に陥りやすい!?

 論文を発表したフロリダ州立大学の心理学研究チームは、テキサスに住む20代の新婚カップル113組を対象に調査を実施した。
 まず、被験者はアンケートに答えるのだが、「“見た目の良さ”というのは、つきあう上で重要な要素」と、大多数が認めたという。次に、自分のパートナーの顔、スタイルを採点してもらったところ、興味深い結果となった。
 外見が高得点の夫をもつ妻は「イケメンのパートナーに恥をかかせたくない、お似合いの美女になりたい」と、ダイエットへのモチベーションが高いが、低得点の夫をもち、自身も「ぱっとしない、さえない」と自覚する妻は、ダイエットを無理にしようとは思わないことがわかった。
 また、男性の場合は美人妻をもらったからといって、自分も相手に釣り合うよう外見磨きをするかといえばそうでもないという。

 この結果について、心理学の博士号取得候補生タニア・レイモンズ氏は「University news release」の中で次のように述べている。
「非常にハンサムな男性と結婚した女性は、ネガティブな結末を引き起こす危険性をはらんでいます。女性がなぜ摂食障害に陥るかの社会的要因を示唆しているといえるでしょう。妻はスレンダーなモデル体型を目指し、闇雲に『もっと痩せなければ』と自分で自分を追い込んでしまい、過激なダイエットに命をかけてしまう。特に、不美人の範疇に入るとき、さらにその傾向が強くなるようです」(タニア・レイモンズ氏)

■妻が夫より魅力的なほうが結婚生活は長続きする

 つまり、パートナーが自分より美しいとき、女性だけが「自分を変えなければ」とストレスを感じるというのだ。
 また、レイモンズ氏によれば、あまり魅力的でない妻は、より魅力的な夫に対して「いいなりになるよう強いられている」と感じることがあるとしている。レイモンズ氏の研究チームは、今後さらに深く研究を進めていく考えだ。
 なお、過去の調査データから、妻が夫より魅力的なほうが、結婚生活は長続きすることがわかっている。

その理屈が正しいのかどうかはともかく興味深い現象ではあるのですが、これは世の男性の何割かにとっては福音となる話なのでしょうか?
資本主義社会において重視される考え方の一つに富の再分配と言うものがあるそうですが、こちらそれに関する一つの知見が報じられていました。

貧しい人々も平等に、でも平等すぎはだめ? 研究(2017年07月11日AFP)

【7月11日 AFP】人は経済的な格差や不平等さに大きな嫌悪感を示すが、その一方で社会的なヒエラルキーは変えたくないという矛盾する感情により、こうした「思いやり」の気持ちが影をひそめるとした研究論文が10日、発表された。
 このことは、貧しい人々を支援したいとする大きな意思があるにもかかわらず、社会の不均衡さが根強く残っている理由を説明するものかもしれないと、英科学誌「ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビア(Nature Human Behaviour)」に掲載された論文は指摘している。

 研究者らが行った実験では、被験者らは見知らぬ人の間で不平等に分けられたお金を再分配するよう求められると、最悪の格差を解消すべくお金を移動させはしたものの、所有額における形勢の逆転を生じさせることはしなかった。この結果について論文では、被験者らが「勝者が敗者に、敗者が勝者に」なることを避けたと結論付けている。
 これまでに発表された多くの研究でも、概して人々は社会的な不平等に大きな不快感を覚えるとの結果が示されている。

 論文を発表した米ニューヨーク(New York)のバッサー大学(Vassar College)の研究者らは、インドや中国、米国の他、現代社会から孤立して生活するチベットの少数民族など、異なる文化的背景を持つ成人と子どもら1000人以上を対象に調査を行った。
 被験者らには、2人の人物とそれぞれの前に硬貨を積み上げた画像を複数見せた。一方の硬貨は常にもう一方よりも高く積まれている。そして、より多くの硬貨を持っている人物の方からもう一方に、あらかじめ決められた一定枚数を移したいかどうかを尋ねた。
 すると、硬貨の少ない方により多くの硬貨が積まれて人物の立場が逆転することになるケースでは、被験者らは硬貨の移動をしたがらない傾向がみられた。
 チベットの少数民族では、この立場の逆転は特に嫌われた。子どもでは、4歳以降で不平等を嫌う向きがみられたが、その数年後には立場の逆転に抵抗を示すようになった。これが示唆しているのは、社会におけるこのような規範が、人々が生きていく中で構築されているということだろう。

 人がこうした態度をとる理由について、研究チームは、それが「生存問題」と関連していると推測する。多くの動物が、「群れの中での争いを減らすため」確固たる上下関係を敷いているのと同じと説明している。
 また、ヒエラルキーが、それぞれ個々人の中にあるストラクチャーへの心理的ニーズを満たし、その一方で集団という観点では、それは協力関係を増強するものでもあることも指摘する。
 こうした人の心理作用を理解することは、「ヒエラルキーを乱す」政治的改革を人々が模索し、そこで生じる衝突を分析する上で重要であると研究チームは述べる。
 これについては、バラク・オバマ(Barack Obama)前米大統領政権下で成立した、医療保険制度改革法(Affordable Care Act)における医療支援の拡充に対し、「一部の人々による不当な『列への割り込み』」を許すことになるとして、比較的裕福な中間層が反対したことを例に挙げた。

これまた非常に興味深い結果であり、人間心理としても理解出来る話だろうと思うのですが、金銭など普遍性のある媒体でない場合はもう少し違った結果が出るものなのかも知れませんね。
歴史的にアメリカ人の知的水準に関してしばしばジョーク等にも取り上げられてきた面がありますが、こちら妙な偏見を助長しかねない最近の調査結果です。

米国人の7%「チョコレートミルクは、茶色の牛が乳から出す」 知的格差も急拡大(2017年7月5日産経新聞)

 チョコレートミルクと言えば、牛乳にチョコレートのシロップやソースを入れて作るものだ。クックパッドにはそう書いてあったし、別にクックパッドを見なくても、大抵の人に特段、説明はいらないだろう。
 ところが先ごろ、米国で行われた、とある調査で、チョコレートミルクは茶色の牛から出てくるものだと思っている成人が全体の7%いたことが分かり、欧米で話題になっているのだ。

 6月15日付の米NBCニュースや、翌16日付の米CNNニュースや米紙ワシントン・ポスト(いずれも電子版)などが報じた。
 それによると、全米の酪農家や酪農団体の支援組織「米国乳製品イノベーションセンター」が今年の5月、全米の1000人の成人(18歳以上)を対象にオンラインで調査したところ、全体の7%が、チョコレートミルクは茶色の牛のお乳から出てくると思っており、48%はチョコレートミルクの由来、つまりどうやって作られているのかを知らなかった。
 前述のCNNはこの衝撃的な調査結果を全米の全成人に当てはめれば、7%は1730万人にあたり、それだけの人々がこんな思い違いをしているとの論調で報道。さらに「ちょっと驚きの結果だ」「理由は分からない」との同センターの担当者の困惑の声を紹介している。

 しかしワシントン・ポスト紙は、この調査結果は驚きに値しないと明言。その理由として、2011年、カリフォルニア州の都心部の高校生の4~6年生に対して行った調査では、ピクルスがキュウリから出来ていることを知らず、タマネギとレタスが野菜だと知らず、10人中4人はハンバーガーの主原料が牛と知らず、10人中3人はチーズが牛乳から作られていることを知らなかったという結果が出たと説明した。
 そして同紙は「少数の米国人がチョコレートミルクは茶色の牛から出てくると思っているという事実について、あまりシリアスになるべきではない」と諭し「むしろわれわれは、(国民に広がる)広範な政治的無知の問題をもっと真剣に受け止めねばならない」と結んでいるが、何かにつけて格差が拡大する米国だけに、知的水準の格差も着実に広がっているようだ…。

アメリカと言えばしばしば進化論に対する態度が話題になるのですが、しかし茶色の牛ですか…なかなかその発想は楽しいですね。
最後に取り上げるのは未だ結論は出ていないのですが、しばしば世間的にも議論になるあの話題です。

「Excel方眼紙=悪」なのか? 公開討論会9月に開催(2017年8月4日ITmediaニュース)

 Excelを使って書類を作る際、セルを方眼紙のように整形する「Excel方眼紙」。「神Excel」などと呼ばれ、批判されることも多い。Excel方眼紙の何が問題で、解決策はあるのか――専門家が意見をぶつけ合うイベント「Excel方眼紙公開討論会」が9月30日、東京・両国で開催される。

 Excel方眼紙は、データとしての再現性の低さやレイアウト修正の難しさなどが問題とされ、ネットでは「神Excel」と批判されている。昨年には衆院議員の河野太郎氏が文部科学省に対して全廃を指示したことでも話題になった。

 イベントは、Excel方眼紙の概念を取り入れたデータベースアプリ「Forguncy」を提供するグレープシティが主催。同社はExcel方眼紙について「具体的に何が問題かという点や、現実的な解決策についてあまり議論されておらず、非難だけが拡散しているのが実情」「そもそもExcel方眼紙の共通の定義が存在しないことから、前提条件が異なる状態で否定的な意見とそれに疑問を持つ意見とで、食い違いが起きている」と指摘し、Excel方眼紙について議論する場を提供したいと考えたという。

 イベントでは、総務省勤務を通じて多くのExcel方眼紙に出会い、その後各所でExcel方眼紙廃止活動をしてきた立命館大学教授の上原哲太郎氏と、「Excel方眼紙であまり困った経験がなく本当にダメで使えない手法なのか疑問を持っている」というプログラマーの長岡慶一氏が講演。その後、Excelのエキスパートである田中亨氏、Excelアドオン「RelaxTools Addin」を開発・提供している渡辺恭浩氏も交えてディスカッションする。
(略)

個人的にはあまり好きではないと言う人も多いのではないかと思うのですが、一方で根強い利用者も多いだけにこれはなかなか難しい問題ですね。
今回の討論会で何かしらの結論が出たとしても、それでも使い続ける人はいるだろうし反対する人もいるだろうと考えるとこれは永遠の課題と言うべきでしょうか。

今日のぐり:「とさ市場」

はりまや橋からほど近い、高知市の中心部に位置するのがこちらのお店ですが、通りの角だけによく目立つお店で、ずいぶんと以前に一度来た記憶があります。
このあたりは当然料理屋も数多いのですが、こちらは店構えもガラスエリアが広く判りやすいもので、飲まない人や一人歩きのお客でも入りやすそうではありますね。

今回はたたきがっつり定食なるものを頼んで見たのですが、要するにたたきの多いたたき定食と言うことで、メインのたたきはちょうど単品料理のたたきくらいの量になるのでしょうか。
さすがにぷりぷりした食感は高知の中心部で生き残っているだけありますが、こちらの焼きは軽く表面だけでレアっぽいのが特徴で、かつお自体の味はと言えばこの時期にしてはかなりさっぱりしたものですね。
これくらいの脂だと塩でもポン酢でもそれぞれに楽しめますが、土佐風のカツオのたたきは薬味もたっぷりで野菜分もかなり多めなのはありがたいなと、食べながら妙なところで感心してしまいました。
味噌汁などは料理屋よりも定食屋寄りの味にしてあるなと思ったのですが、逆に小鉢の炊き合わせは定食屋ではまず出て来ない味で、何か定食としてはもう一つまとまらない印象も受けますね。
店内の水槽に沢山いたので試しにウツボ唐揚げも頼んで見たのですが、味付けはウツボに似合った濃いめなのですが食材の持ち味を考えると、もう少ししっかりした揚げ具合でもよかったかもです。

しかしお客が少ない時間帯だったとは言え注文してから出てくるまではずいぶんと早かったのですが、接遇面でも手慣れたものですしメニューに一人向け皿鉢なんてものもあったりで、観光客向けではありそうですね。
高知と言うと癖のある食材も多く特徴的な味のお店も幾つも知っていますが、こちらの味はよく言えば好みが分かれない癖の無さとも言えるのでしょうが、食べ慣れた人には物足りないような気もするかも知れません。

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2017年8月 4日 (金)

国が地域枠医師に対する強力な強制力発揮の方針を公表

医師確保対策と言うものに関して各団体がそれぞれに知恵を絞っているところですが、文科省と並んで公的な立場からこの問題に責任を持つ厚労省によって、先日こんな通知が出たと報じられています。

「6つの医師確保対策」、第7次医療計画の厚労省通知(2017年8月1日医療維新)

 厚生労働省は7月31日、医学部地域枠の入学生は原則として地元出身者に限定したり、医師の配置が把握できるデータベース(DB)の構築など、計6つの柱から成る医師確保対策を盛り込んだ、医療計画に関する通知を都道府県に発出した。2018年度からの第7次医療計画の関連通知は2017年3月31日付で出されていたが、医師確保対策は盛り込まれておらず、社会保障審議会医療部会などで議論、了承された内容を今回の通知で追加した(『医学部地域枠は「地元出身者に限定」、例外も』を参照)。
 医学部地域枠の入学生については、修学資金を貸与する都道府県の地元出身者を原則とし、特に修学資金貸与事業における就業義務年限については、自治医科大学と同程度の就業義務年限(貸与期間の1.5倍)として、地域医療支援センターが当該医師のキャリア形成プログラムを策定する。社保審医療部会では、他の都道府県の大学医学部に地域枠を設ける場合の扱いが議論になった。通知では、こうしたケースも認めるものの、卒業後の臨床研修は出身地の都道府県で受けるほか、勤務地や診療科を限定するキャリア形成プログラムとする。
 都道府県は、地域医療対策協議会において、これらの点を踏まえた医師確保対策を議論、第7次医療計画で地域医療支援センターの事業内容を定めることになる。

【地域医療支援センター事業等の記載にすべき事項】
(地域枠およびキャリア形成プログラムについて)

ア:大学所在地都道府県の出身者が、臨床研修修了後、その都道府県に定着する割合が高いことを踏まえ、地域枠の入学生は、原則として、地元出身者に限定。特に、修学資金貸与事業における就業義務年限については、対象者間のばらつきを全国で是正するため、同様の枠組みである自治医科大学と同程度の就業義務年限(貸与期間の1.5倍)とし、これを前提として「イ」に規定するキャリア形成プログラムを策定

イ:地域枠医師の増加等に対応し、医師のキャリア形成が確保された医師確保が進められるよう、以下の点に留意して、キャリア形成プログラムを必ず策定
・医師のキャリア形成に関する知見を得ることや、重複派遣を防止するなど医師確保の観点から大学(医学部・附属病院)による医師派遣と整合的な医師派遣を実施することができるよう、キャリア形成プログラムを策定する際には、大学(医学部・附属病院)と十分連携すること。
・大学所在都道府県における臨床研修修了者は、臨床研修修了後、大学所在都道府県に定着する割合が高いことから、原則として、大学所在都道府県において臨床研修を受けることとするよう、キャリア形成プログラムに位置付けること。
・医師が不足する地域や診療科における医師を確保するという医学部定員の暫定増の本来の趣旨に鑑み、キャリア形成プログラムにおいて、勤務地や診療科を限定すること。
(略)

(医師の勤務負担軽減について)

ウ:医師の勤務負担軽減に配慮した地域医療センターの派遣調整等。
・グループ診療を可能にするよう、同一の医療機関に同時に複数の医師を派遣したり、他の病院から代診医師を派遣するよう斡旋したりすること。
・へき地以外でも代診医師の派遣や遠隔での診療が進むように支援すること。
・地域医療支援センターが医師を派遣する医療機関における勤務環境改善を進めるため、例えば次のような方法により、地域医療支援センターと医療勤務環境改善支援センターが連携すること。
 派遣前:医療勤務環境改善支援センターが、派遣候補となっている医療機関の勤務環境を確認し、勤務環境の改善につながるような助言等を行うこと。
 派遣後:地域医療支援センターが派遣医師から継続的に勤務環境等について聴取し、課題等を把握した場合は、医療勤務環境改善支援センターが勤務環境を再度確認し、その改善につながるような助言等を行うこと。

(へき地の医師確保について)

エ:地域医療支援センターによるへき地医療支援機構の統合も視野に、へき地に所在する医療機関への派遣を含めたキャリア形成プログラムの策定など、へき地も含めた一体的な医師確保を実施。

(その他)

オ:詳細な医師の配置状況を把握できる新たなデータベースの医師確保への活用

カ:地域医療支援センターの取り組みの認知度向上や医師確保対策の実効性向上のため、SNS等の活用や、医師確保対策に若手医師の主体的な参画を促すなど、若手医師へのアプローチを強化

前段では医学部地域枠学生の取り扱いについてかなり踏み込んだことが書かれているのですが、特に「キャリア形成プログラムにおいて、勤務地や診療科を限定すること」と明記され、勤務地だけではなく診療科制限にまで踏み込んだ点が注目されます。
これが配慮するだとか努力目標だとか言うものではなく、「以下の点に留意して、キャリア形成プログラムを必ず策定」と書かれていることから、地域枠に進んだ以上少なくとも御礼奉公期間については勤務地や診療科が勝手に指定されると言うことになりそうですね。
実際にはある程度選択肢が提示される中から選ぶ余地があるものなのか、それとも成績等の客観的指標なりを元に機械的に指定されることになるのかは判りませんが、全く本人に選択の機会がないとなればかなり厳しい内容と言えそうです。
これに対して後段は僻地医師確保策や医師配置状況の把握などやや散漫な内容に感じられますが、これについてはやはり地域枠上がりの医師以外に対しては強制配置や診療科制限などの強制力が発揮しがたいと言う現実的な側面もありそうです。

今春発表された文科省の調査によれば、ペナルティ覚悟で地域枠の義務を放棄した人は3%程度であったそうで、義務も承知の上で入学したはずの制度に対して多いのか少ないのか微妙なところですが、うち2/3ほどは奨学金等をきちんと返済して卒業したそうです。
そうした場合契約違反に問うのはなかなか難しいのでしょうが、この対策として厚労省では学生にではなく卒後の雇用先となる病院に対してペナルティを科すことを検討しているとも報じられていて、これはこれでよく考えたものだと思いますね。
他方で先日旭川医大が来たるべき医師過剰時代に備えて地域枠を削減すると発表したそうですが、興味深いのはこれに対して北海道だけでなく国も定員を維持するよう説得を続けた結果、医大側も折れて削減枠を幾らか減らすことにしたそうです。
面白いのは同大ではこの削減分に相当する定員で新たに海外での活躍を目指す国際医療人枠を開設するそうで、医学部定員自体は減るわけではないのですが、道や国にとって強制力も発揮出来ず海外雄飛してしまう人材などお呼びではないと言うことなのでしょうね。


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2017年8月 2日 (水)

人間は嫌いな場所よりも好きな場所でより働きたがる

今の時代には色々なハラスメントがあるそうですが、この6月におよそ2年続いた航空会社客室乗務員の妊娠時の就労拒否に関する「CAマタハラ訴訟」が、原告側の完全勝利とも言える内容で和解したと報じられており、当然ながら原告側は勝利宣言を出していました。
ただ興味深いのは裁判中に関連する制度を次々と改めていった航空会社側が「会社の先進的な制度(他社にはないもの)が和解で確認された。当社としては、今後ともこの制度を率先して充実していきたいと考えている」と、まるで勝者のようにコメントしていた点です。
いずれにせよ法律で妊婦労働者に対する不利益な行為が禁止されている以上、雇用者側にはどうやっても勝ち目がないのだろうとは思うのですが、医療の世界においても先日同じくマタハラ問題でこんなニュースが報じられていました。

採用予定の医師にマタハラ 大阪の医療センター部長(2017年7月25日朝日新聞)

 大阪府立病院機構・大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)で、採用予定の医師に対するマタニティー・ハラスメント(マタハラ)があったとして、センターが小児科の女性部長を厳重注意としていたことがわかった。5月31日付。センターは懲戒処分ではないことを理由に公表していない。

 センターや関係者によると、女性医師は昨年末ごろに採用が内定し、今年4月から勤務予定だった。今年2月、妊娠がわかったと、部長にメールで伝えると、部長は「病院に全く貢献なく、産休・育休というのは周りのモチベーションを落とすので、管理者としては困っている」と記し、「マタハラになるかもしれない」としつつ、「非常勤で働くのはどうでしょうか」と送り返したという。

 センターは、部長のメールの内容は、男女雇用機会均等法で防がなければならないと定める妊娠、出産などを理由に不利益な扱いを示唆する言動で、いわゆるマタハラだったと認定。部長を厳重注意、監督責任のある病院長を所属長注意とした。女性医師はセンターで勤務しなかったという。

この件に関しては賛否両論様々な意見があるようなのですが、結果を見ればこの部長一人の言動によって医師一人の雇用に失敗したばかりか、こうして全国に知られたことで下手をすれば今後も他の医師から忌避される可能性すらあるわけです。
医師の場合もともと需要に対して供給不足であり、特に今回のような急性期の基幹病院で働ける小児科医師が非常に希少で争奪戦も激しい中で、雇用により「周りのモチベーションを落とす」場合とどちらが得かの判断が出来ていたのかどうかで、管理職としてそうした面で批判の余地はあったかも知れません。。
いずれにしてもお互い合意に至らなかったのですから仕方ないとしか言えませんが、社会全般に人材不足が叫ばれる時代にあってどこの職場でも優秀な人材をより多く持ちたいのは当然として、ではその方法論をどのようにするかと言うことには議論があるだろうと思います。
医師などは仕事が忙しいのは仕方ないと言う意見もありますが、その分給料が高ければ我慢すると言う人もいれば、いや休日はきちんと取れなければと言う人もいて一律に何がいい方法だとも言えませんが、先日雇用者側の立場でこんな記事が出ていたのを紹介してみましょう。

「この病院が好き」という気にさせる - JCHO大阪病院 清野佳紀・名誉院長インタビュー(2017年7月25日医療維新)

――改めてJCHO大阪病院が、女性医師支援をはじめ、ワークライフバランスの改善に取り組まれたきっかけをお教えください。

 私が岡山大学小児科教授を定年退職し、大阪厚生年金病院(当時)の院長に就任したのは、2003年です。就任して間もない頃、育児中の女性の産婦人科医から「辞めたい」と相談を受けたのです。「どうしたら、仕事を続けられるか」を尋ねたら、「毎日午後4時に帰れたら、続けることができます」との答え。産婦人科部長に聞いたところ、その女性医師がいなくなると、分娩を続けるのが難しくなるため、午後4時までの勤務でも構わないとの回答でした。女性医師の配偶者は、別の病院の産婦人科医だったので、週1回、当院に当直に来てくれることになりました。最初はこんな取り組みから始まり、院内の職員あるいは地域の理解を得ながら、ワークライフバランスの改善に取り組みました。
 その際の基本的な考え方は、ギブ・アンド・テイク。例えば、医師のワークライフバランスを悪化させている要因の一つが、主治医制。当たり前のことですが、一人の医師が24時間診療するのは無理です。複数主治医制や医師やコメディカルなどとのチーム医療制を導入して、お互いに業務を分担した方が、医師だけでなく、医療の質が上がることから患者にとってもメリットがあるはず。
 ワークライフバランスの改善には、地域との連携も必要です。例えば、産婦人科ではオープンシステムを採用し、地域で開業されている先生方が、当院で分娩を行うほか、小児科、産婦人科では夜間の当直も担当してもらいました。今は当院の医師が増えたため、地域の先生方への当直依頼は減ったのですが、10年くらい前は、両科では、当直の5~7割くらいは地域の先生方が担っていました。こうした地域連携は、開業の先生方のメリットも大きく、当院のような基幹病院とつながりを持っていることは、いざという時に患者さんを紹介できるほか、各種勉強の機会を得ることにつながっているようです。

――ワークライフバランス改善を進めるに当たって、院内の理解はすぐに得られたのでしょうか。ご苦労された点などは。

(略)
 文句を言う人は必ずいます。女性医師の中にも、「育児中だからと言って、時短勤務にするのはおかしい」と訴えてきた人がいました。それに対し、「あなたはうちの病院には、向かん」と言ったこともあります。男性医師には、「お前たちが“イクメン”しないから、病院が支援策を講じなければいけないんだ」とも、よく言っていました。最初は私自身、女性医師と一緒に保育所探しもたくさんしました。そうしたら、驚かれてね。彼女たちはうちに就職してくれましたよ。
 短時間正職員制度であっても女性医師を活用した方が、結果的に医師も集まり、働きやすくなる――。病院全体の雰囲気が変わってくるにつれ、各種制度が定着してきました。医師が少なかったり、女性医師が育児などで苦労をしている診療科の部長などは理解が早かった。一方で、女性医師が少ない診療科でも、「なぜそんなことしなければならないのか。男性医師を雇えばいい」という考え方で、最初はあまり本気ではなかったけれども、女性医師が増えてくるにつれ、変わってきました。診療科により10年くらい差があったでしょうか。

――医師の働き方改革では、例えば、自己研さん、カンファレンスや学会発表の準備などが、勤務時間か否かなどが議論になります。JCHO大阪病院ではどのように扱っているのですか。

 その点は、いつも議論になります。私は勤務時間でいいと思いますが、世間的にはそうは見ないのでしょう。当院の場合、タイムカードと自己申告で勤務時間を管理していますが、何が勤務時間に当たるのかなどについては各自の良識に任せています
 医療者は、モチベーションが高い集団。病院は、「働きたい」と考える人が勤務している職場です。診察や手術などをさせなかったら、医師はすぐに辞めてしまうでしょう。そうならないように、環境を整えるのがトップの役割。「この病院が好き」という気にさせないといけない

――先生が院長に就任された2003年から、お辞めになる2010年までに、医師を100人近く増やしています

 一気に100人増やしたわけではなく、毎年徐々に採用していきました。医師を増やしても収支は悪くならないことが2、3年経てば分かってくるでしょう。それで増やし続けたのです。とはいえ、当時は病院改築前だったので、診察室や手術室のキャパシティーを考えれば、200人程度が限度だったと思います。
 採用は、当時は医師不足が顕著だった時代なので、大学医局経由よりも、病院に直接応募してくる医師の方が多かったですね。また初期臨床研修もフルマッチの状態が続いており、後期研修もそのまま当院に残る医師が多い状況です。
(略)

「この病院が好き」と言う気にさせないといけないとは医療に限ったことではなくどんな職場にも言えることだろうし、かつての日本型企業経営はこうした職場を理想としていた部分もあったと思うのですが、なかなか今の時代に見られなくなったのは少し残念ではありますね。
しかしこの医師不足が言われる時代にこうまで医師を増やせると言うのも驚くような話ですが、ここで非常に興味深いのは医師が働きやすくするための制度を導入しようとすると、当の医師から強い反対意見が出たと言うのはなかなか示唆的な現象のように思えました。
JCHO大阪病院の内部事情は全く存じ上げないので現場の空気の変化などは何とも言いかねるのですが、これだけ医師が次々とやってきていると言うのは少なくとも対外的なイメージは悪くないのだろうし、冒頭の記事と比較すれば特に女医さんが大阪で勤務するならどちらを選ぶのかです。
それにしても個人的な意見としてではありますが医師の時間外勤務についての考え方も示されていて、先日紹介した新潟市民病院院長の見解とはまさに対象的とも言えるのですが、さて医師としてどちらの病院で働きたいかと言われるとさぞや判断に迷う先生も多い、のでしょうかね。

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