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2017年7月20日 (木)

乳癌で亡くなられた著名人が引き続き話題に

このところ著名人の訃報が単に流れると言うだけに留まらず、その亡くなられ方にまで言及される機会が増えてきていますが、その一因としてSNS等の発信手段の多様化もあって生前や死後に当事者サイドから多くの情報が出てくるようになったことが挙げられそうです。
ただこれらはしばしば当事者の肉声として貴重なものではあるものと、時として客観的な事実と整合性がないのではと指摘されることもあるようで、先日亡くなったこちらの著名人を巡っても最近こんなニュースが相次いでいます。

「あのとき信じなければ」小林麻央さんも後悔 がんを見落とす医者(2017年7月16日週間現代)

「心配いらないですよ」
乳がんで亡くなった小林麻央さんは、生前、ブログにこんな言葉を残している。
〈私も後悔していること、あります(中略)あのとき、/もうひとつ病院に行けばよかった/あのとき、/信じなければよかった〉('16年9月4日付)
その言葉からは、病院や治療の選び方についての後悔が滲む。とりわけ彼女は、がん告知までの医師、病院の選択を深く悔いていた。なぜなら、その過程で医師が、がんを見落とした可能性があるからだ。

麻央さんが初めてがんを意識したのは、'14年2月。夫の市川海老蔵と人間ドックを受け、医師にこう告げられた。
「左乳房に腫瘤があります。これはしっかり検査して診てもらったほうがいいので、なるべく早く病院へ行ってください」
麻央さんが「がんの可能性もあるということですか」と尋ねると、
「五分五分です」
この段階で、がんのリスクはハッキリと麻央さんに提示されていた。

しかしその直後、麻央さんは都内の虎の門病院で、マンモグラフィ検査などを受け、がんを疑う状況ではないと告げられる
麻央さんは重ねて、細胞を直接採取して調べる「生検」の必要はないかと確認したが、
医師は、「必要ないでしょう。心配いらないですよ。半年後くらいに、念のためまた診てみましょう」と答えた。
麻央さんはホッと息をついた。

ところが検査から8ヵ月経った同年10月、麻央さんは左乳房にパチンコ玉のようなしこりに気づき、不安を胸に、再診を受ける。しこりについて虎の門病院の医師に報告し、触診を受けた。
だがこの段階でも医師は、「大丈夫だと思います」と判断していたという。
しかし、エコー検査をすると医師の表情が曇る。腋にもしこりがあると分かり、ようやく生検を受けることになった。そして、検査から約10日後の10月21日、がんが告知された――。
麻央さんの担当医は、かなり迂闊だったと思います」と指摘するのは、乳がんを専門とし、数千の手術を行ってきたベテラン医師である。
「検査の段階でつまずいていた可能性が高い。当初、担当医はマンモグラフィを使ったようですが、授乳中はマンモグラフィが映りづらい。様々な可能性を考えて、生検も行うべきだったと思います。
もちろん乳がんは診断が難しいですが、麻央さんの例に限らず、医師が独りよがりに診断を下してしまい、『これで診察は終わり』と打ち切ってしまうケースは見受けられます。大抵は経験が浅かったり、過去の失敗の反省がない医師ですね」

がんは、数ヵ月発見の時期が遅れただけで患者の運命が大きく左右される病気だ。だからこそ患者は、医師はがんを真剣に見つけてくれるだろう、見逃すことなどないだろうと信じてしまう。
しかし、そうした患者の不安をよそに、流れ作業のように診察を行って検査結果を見落としてしまう医師や、十分な検査さえしない医師もいる。
(略)
師はがんを見落とすものだ――そう想定し、自衛したほうがいい。

小林麻央さん、標準治療を受け入れず… 命を奪った忌わしき「民間療法」(2017年07月13日デイリー新潮)

(略)
 2014年2月、PL東京健康管理センターで人間ドックを受けた際、左乳房に「しこり」が見つかった。「精査すべし」と判断が下り、虎の門病院へ。診察を受けたところ、腫瘍の存在が確認されたうえで、
「若い女性に多い良性の乳腺線維腺腫に見受けられたようです。全く問題がなさそうなら半年後と言うのですが、白黒はっきりしないので“3カ月後に来てください”と伝えたのです。彼女のブログには〈「授乳中のしこりですし、心配いらないですよ。半年後くらいに、念のため、また診てみましょう」と言われました〉と綴られていますが……」
 と、虎の門関係者。ところが、麻央さんは多忙だったためか、受診が遅れ、再検査を受けたのはその8カ月後だった。
「その時にがんが見つかり、針生検の結果、脇のリンパ節への転移がわかった。比較的、進行が速かったけれどこの段階で治療に取りかかれば5年生存率は90%超。当然、標準治療を勧めたのですが、麻央さん側は首を縦に振らなかったと言います」(同)
(略)
 いずれにせよ標準治療から遠ざかったのは事実だが、その理由は定かではない
 つまり14年10月から、16年6月9日にスポーツ報知が〈麻央夫人 進行性がん〉とスクープし、これを受けた会見で海老蔵が乳がんだと認めるまで、いや、その後も含めて、どこで何をしていたのか判然としなかったのだ。
(略)
 だが、ここへきてその一端が伝わってきたのである。
 事情を知る関係者は、
「気功に頼っていたのです。いわゆる標準治療は全くしていなかったと言います」
 と告白する。
(略)

この事例を巡ってはお亡くなりになる前から噂レベルも含めて様々な情報が駆け巡っていたものの、このところ話題になっているのは主に2点で、最初に診断された時点でそれが本来行われるべき時期よりも遅れた診断であったのか、いわゆる見落としがあったのかと言う点です。
一部には見落としがあったことを前提にしているような報道もあり、今回の記事も含め他の見落とし事例などと絡めて仕立て上げられた記事も少なくないのですが、無論どのような場合であれ人間である医師が決して見落としをしないことなどあり得ないことです。
ただ一方で医師はごく標準的な対応をしていただけであると言う見解もあり、特に授乳中の乳癌診断はしばしば難しいと言うことですから、後段の記事にあるように念のため3ヶ月後に再診をと指示されていたのであれば確かに特別おかしな対応ではなさそうに思われますね。
問題は当事者が自己発信している情報としてそうではなかった、次回は半年後と言われたと明記していることとどちらが正しいのかですが、当然ながらこの辺りはカルテにははっきりと事実関係が記載されているのだろうとは思います。

もう一つ多くの方々が疑問に感じている点として、仮に半年後の発見であったにせよこの時点から治療を始めていればまだ十分治る見込みがあったはずにもかかわらず、その後1年半もの間一体何をやっていたのかと言う点ですが、少なくとも標準的治療は何もしていなかったことは事実であるようです。
1年半の後に別な病院を受診した際にはすでに骨や肺にも転移した状態だったとのことで、専門家の中にも最初に診断した医師が「標準治療の有用性をもっと真摯に説明していたら、状況は変わっていたはず」だと批判する方もいるようですが、何故こうした判断に至ったのか本人以外には判らない部分もあるでしょう。
ともあれ先日ちょうど今回の事例とも関連した「癌患者さんに民間療法を受けたいと言われたら」と言う記事を見かけたのですが、高価でなくどうしてもやってみたいなら駄目元のつもりで許容はするものの、とても積極的に勧める気にはならないと言う意見は臨床医の最大公約数的な見解なのかも知れませんね。

先年も胆管癌を罹患した著名人が標準治療ではなく民間医療を受け亡くなった事例があり、あちらの場合では標準治療での成績があまり芳しくないことから意見が分かれる部分もありましたが、今回の場合比較的標準的な治療によって効果がそれなりに期待出来る乳癌であったと言うことも判断を難しくするところです。
もちろん初診の段階できちんと診断がつき、標準的治療を行ったところで100%完治するものではなかった可能性もあるのでしょうが、正しい時期に一定の根拠のある標準治療を行っていれば高い確率でよりよい結果が得られていたのではと考えると、民間医療に費やした時間は果たしてどうだったのかと誰しも感じるところではないでしょうか。
なお一部メディアの真偽不明の報道によればご遺族は病院と訴訟も辞さずの構えであるとのことですが、興味深いことにその対象は本人が悔いていたと言う虎ノ門病院ではなく、根拠に乏しい民間医療を行った施設でもなく、最後に患者を受け入れ在宅医療に移行する直前まで治療を受けていた有名病院だと言うことです。

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コメント

リンク先よりですが
>しかし、病院側に治療方針が正しかったかの確認・再検証を求め、その結論が出るまで治療費の支払いを止めている状況。不信感を募らせ、訴訟も辞さない構えだというのだ。

インフォームド・コンセントを受けた上での納得づくの治療のはずでは?
こんな事言われたんじゃ先日亡くなった彼の名誉院長もウカウカ寝てられんでしょうね。
どうも実費治療の場合、コストの先払いをさせなければいけないのは外国人だけではないようです。

投稿: | 2017年7月20日 (木) 07時43分

ところでその気功師とやらには取材しなくていいの?>マスコミ
普通だったらいちばん炎上しそうなのそこでしょ。

投稿: ぽん太 | 2017年7月20日 (木) 08時41分

週刊誌の憶測なので事実無根である可能性も高いのですが、もし本当にそうした訴訟を検討していると言うことであれば、訴える相手が違うのではと言う気はしてしまいます。

投稿: 管理人nobu | 2017年7月20日 (木) 12時01分

単に借金まみれで金がないだけとは体面上言えんわな

投稿: | 2017年7月20日 (木) 17時18分

やっぱデマじゃん

 歌舞伎俳優の市川海老蔵(39)が、亡くなった妻小林麻央さんの治療費3000万円の支払いを拒否していると一部週刊誌で報じられたことを受け、「嘘記事やめてくれー」と訴えた。
 18日発売の「女性自身」は、海老蔵が病院に対して治療費の支払いを拒否していると報じた。海老蔵は20日、「記事になった事を確認したら未払いありました!」とのタイトルでブログを更新。「記事では3000万円という事ですが、なんと未払いは3万円でした」と金額は大きく違うものの、未払い金があったことを報告した。
 しかし記事内容については「兎にも角にも笑うしかない 今皆で笑ってます。こまったこまった」と困惑。21日に更新したブログでは周囲からも心配されているとし、「何気に疲れるから嘘記事やめてくれー」と訴えた。

投稿: | 2017年7月21日 (金) 13時34分

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