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2017年7月31日 (月)

沖縄離島でまたしても医療を巡る異常事態が話題に

先日沖縄県は北大東島で、飲酒運転の島民の車にぶつけられた島内唯一の女医が「通報したらどうなるか分かるよな」などと脅迫され、島外に逃げ出さざるを得ないと言うびっくりするような事件があったことはご記憶のことかと思いますが、背景には沖縄独自の交通事故解決法の習慣があったとも言います。
いずれにしても地元民からこうした対応を取られてはおちおち島外から赴任するのも難しい話ですが、先日今度は同じく沖縄県は石垣島に近い竹富島において、こんなびっくりするような状況が続き島民と医師が困惑していると言うニュースが出ていました。

軽症なのに「救急ヘリを」 竹富診療所、観光客対応に疲弊(2017年7月29日琉球新報)

 【竹富島=竹富】年間約50万人の観光客が訪れる竹富町竹富島で唯一の医療機関である町立竹富診療所が、一部の観光客の過大な要求に悩んでいる。軽症にもかかわらず夜間に「救急ヘリを呼んでほしい」などの求めがあるなど、現場が疲弊しているという。診療所は「離島の医療資源は限られており、そのことを知った上で宿泊してほしい」と訴えている。

 竹富診療所は所長の石橋興介医師(38)と看護師、事務職員の3人で運営されており、診療時間外の救急診療では、3人に加えて日中は別の職を持つ消防団員も駆け付ける。
 一方で、島内ホテルの宿泊客の一部からは「コンタクトレンズが外れない」という相談や、微熱で必要性が低いにもかかわらず夜間の診療を求められるケースもあり、その中には「船をチャーターしてほしい」「ヘリを呼んでほしい」などと要求をする観光客もいるという。

 竹富島では2009年4月~11年4月の2年間と14年7月~15年3月の9カ月間、常勤医が不在だった。石橋医師は「歴代の医師が抱えていた問題で、所長を離れる要因の一つになっている」と語る。「むちゃな要求をする観光客は感覚的に増えている印象がある」とする。
 「観光客はもちろん大切だが診療所は本来、島民のためにある。島民が診療所の負担を考えて急診を控える一方で、一部の観光客が安易に急診で夜間に呼び出す現状を知ってほしい」と強調する。

 竹富公民館長の上勢頭篤館長は「負担がさらに増えた結果、医師がいなくなって困るのは島民だ。観光客も都会感覚での急診は控えてほしいし、ホテルなどのオーナーも宿泊客に安易に急診しないよう呼び掛けてほしい」と求めた。(大嶺雅俊)

「救急ヘリを呼べ」観光客のモラルに、沖縄・竹富島の医師が「疲弊」訴え(2017年07月26日ハフィントンポスト)

沖縄・竹富島でたった1つの医療機関、竹富町立竹富診療所が、一部の観光客が無理な要求をしてくることで「スタッフが疲弊している」とFacebookで悲痛な訴えをしている。投稿した診療所の唯一の常勤医、石橋興介さん(38)は、ハフポストの取材に対して、「離島の医療資源は限られている。出来ないことが多いことを理解して、マナーを守って欲しい」と話した。
(略)
——投稿されたような観光客のモラル問題はいつ頃から浮上したことなのでしょうか?
実はずっと歴代の医師が同じ悩みを抱えています。石垣島から一番近い離島で、島の規模に対して非常に多くの観光客が訪れるからです。

——どんな患者さんに困っておられますか
日中は、白砂の道を自転車で走って転んだ、であるとか、熱中症などによる脱水症状などの訴えが多いですね。これは注意すれば防げる可能性があります。
投稿したような、軽症にも関わらず「船をチャーターしてほしい」「ヘリを呼んでほしい」という無理な訴えがあるのは主に夜間です。高級リゾートに宿泊していて「金ならあるんだ」と言う人もいましたし、軽症なので緊急搬送などは不要と診断しても「あなたは(特定の病気の)専門医じゃないから信じられない」となじられたりしたこともありました。

——ちょっと信じられないような事態ですね...
万一、命に関わるような事態には、船などでの救急搬送も不可能ではありません。しかし、観光客の方には、離島はリスクだということを知ってもらいたい。限られた医療資源を大切に使うために、観光で来る方にも理解とマナーが大切です。
私がもう1つ訴えたかったことは、島の人たちは診療所を維持するために我慢している、ということです。
島の人たちは医者がいなくて、不安な苦しい暮らしを強いられた経験がありますから、無茶なことは言いません。週末に体調を崩しても、迷惑をかけてはいけないと診療所に連絡せず、「よく我慢したな」と思うような方さえいました。
島の診療所は本来、そういう島の方たちの健康を維持するためにあって、私もそのために働いているんです。

竹富島と医療

竹富島は石垣島から高速船で約10分。昔ながらの沖縄の町並みが残る島として近年、人気が高まっている観光地だ。
島の人口は364人(2017年1月末)。これに対して観光客は年間約48万2000人(2016年)が訪れる。1989年の約8万6000人から5倍近くに増えており、観光の環境は激変した。
島で唯一の医療機関である町立竹富診療所は、2009年4月〜2011年4月の2年間、2014年7月〜2015年3月までの9カ月間、常勤医が不在だった。
福岡県内の医療機関に勤務していた石橋さんが2015年の4月に常勤医として着任し、現在は医師、看護師、事務職員の3人で診療所が運営されている。夜間の急患の際には3人に加えて、ボランティアの消防団員が駆けつけることになるという。
石橋さんは診療以外にも、65歳未満の死亡率が高いなどの健康課題を解決するため、島をあげての予防医学活動に取り組んでいる。

しかしヘリを呼べ、船をチャーターしろとはずいぶんと豪勢な話のように聞こえるのですが、無駄にお金を持った観光客が多いと言うこともこうした傾向に拍車をかけていると言うことなのでしょうか、地域経済に大きな影響力を持つだけに観光産業の在り方も問われるところですね。
個人的に気になったのは地元観光業界や自治体などが島の医療体制に関してどのようなアナウンスをしているのかで、例えばどこかのリゾートホテルなりが「離島ですがいざとなればいつでも救急ヘリで即搬送!安心の医療体制!」などと宣伝していたりと言ったオチはないものかと言うことです。
いずれにせよ大ざっぱに記事を分類するならば全国どこにでもあるコンビニ受診や安易な救急搬送要請と同じ文脈で語られそうな話であり、当然ながらそれぞれの地元でそうした習慣を持ち込んだ観光客が旅先で同様の振る舞いに及んでいる可能性が高いと言う想像も出来ます。
その結果医療崩壊だ、救急破綻だと言われる状況に陥りつつあるのもこれまた全国共通の課題と言っていいと思いますが、旅の恥はかき捨て的な感覚でいるからなのか、高い料金を払っているから当然と言う考えなのか、ともかくも地元では大迷惑であると言うことです。

この種の問題で思い出すのが山岳や海難救助に関して同様に、あまりに安易にリソースを浪費している人々が存在すると言う問題ですが、こちらはつい先日山岳救助ヘリ有料化を巡る議論について紹介したように、当事者にリスクマネジメントについて再考させる契機になるとも期待されています。
ただ一般に全国どこでも無料で好き放題に救急車が呼べると言う状況の中で、離島でだけ救急搬送に高い料金を取るのは不公平ではないかと言う議論も当然予想されるわけで、この辺りは全国統一料金で同じ医療を提供している建前の皆保険制度が産んだ弊害とも言えるかも知れません。
それならいっそこの際に救急車も有料化してしまえと言う声も出てきそうですが、これまた根強い反対意見があるように未だ具体化に向けた話が進んでいないところで、意識低い系の方々に性善説的な対応がどこまで可能なのかと言う懸念は当面続きそうな気配ですね。

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コメント

これってお金払って有料サービスを利用するなら構わないのでは?

投稿: | 2017年7月31日 (月) 11時31分

以前お仕事で訪問した某離島では本土まで船をたてて移動すると10万円でした。今は値上がりしているかもしれません。
竹富島はどうなのでしょう。

投稿: クマ | 2017年7月31日 (月) 13時20分

今回のニュースを見て僻地離島での救急搬送態勢の整備について、どの程度が国民の権利あるいは消防庁等の責務として認められるものなのかが気になりました。

投稿: 管理人nobu | 2017年7月31日 (月) 15時12分

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