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2017年7月14日 (金)

過度な他人への攻撃性は匿名だからこそ発揮される?

ところ変われば何もかも違っている可能性があるとはついつい忘れてしまいがちなことですが、先日パキスタンでこうした判決が出たと話題になっていました。

ネット上の侮辱で死刑判決(2017年6月12日産経新聞)

 ロイター通信などによると、パキスタン中部パンジャブ州バハワルプルの法廷は11日までに、フェイスブック上でイスラム教の預言者ムハンマドを侮辱したとして、冒涜罪に問われた男性(30)に死刑判決を言い渡した。検察当局が明らかにした。

 パキスタン政府はソーシャルメディアの取り締まりを厳格化しており、検察当局はソーシャルメディア上での冒涜罪に対する初の死刑判決としている。判決は10日付。男性は上訴できるという。

 冒涜罪は少数派弾圧の手段に使われているとして、人権団体が批判している。男性は同国で少数派のイスラム教シーア派に属しているという。

近年ではイスラム世界の法体系に関してどちらかと言えば批判的に取り上げられることが多く、一部の方々は熱心な反対運動までやっているとも聞くのですが、この件に関してはやり過ぎだと言う意見以外に「ネットなら何でもありではない」と一定の評価をする声も少なくないようです。
今回の場合は宗教的な権威に対するそれですが、個人や団体に対する誹謗中傷は何処の国でもありふれた話となっており、多くの場合ネットの匿名性を盾に好き放題言っていると言う反発が大きいせいか、韓国のようにネット実名性を取り入れたり中国のように人肉捜索などと言われる私的なつるし上げが行われる場合もあるようです。
日本においては匿名性の保持に関しては根強い支持があるものの、行き過ぎた個人攻撃や誹謗中傷などに対しては発信者の個人情報開示も行われるようになってきていて、大阪などは開示義務を示した条例まで作ったものの、必ずしも情報が明らかになるケースばかりでもないようですね。
いずれにせよ実社会で考えてみれば一方的に他人を集団で袋だたきにする行為と言うものは当事者はもちろん、周囲の第三者に取っても必ずしも楽しいものではない場合も多いのですが、先日こんなCMが登場したことが注目されているのもネット上ではこの種の行為が行き過ぎる嫌いがあると言うことへの問題提起と言うことでしょう。

「窃盗だろw」「桃の気持ち考えろ」…桃太郎で“ネット炎上”描く広告、狙いは? ACジャパンに聞く(2017年7月5日産経新聞)

 「窃盗だろw」「早く謝ってください」「桃の気持ち考えたことがあるのか!
 桃太郎を題材に「ネット炎上」の惨状を描いた公共広告「苦情殺到!桃太郎」を、ACジャパンがこのほど公開した。「(第三者の)悪意ある言葉が、当事者や家族の心を傷つけるトラブルも多い」として「おおらかな心の大切さを訴える」としている。

 動画広告は、おばあさんが川上から流れてきた桃を拾ったところ、匿名の苦情が殺到するというストーリー。「窃盗だろw」「泥棒ワロタ」「炎上案件キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!」「ていうか、川で洗濯するなよ」「旦那は山で柴刈りしている人らしいよ」「背景から住所分かるかも」などのコメントが画面を埋め尽くし、おばあさんが涙ぐむ様子が収められている。
 ACジャパンが毎年7月に実施している広告キャンペーンの一環。動画をテレビCMとして流すほか、ラジオ広告、新聞広告も展開する。

■なぜ、桃太郎を題材に?

 「いつの時代も、分かりやすく伝えようとすると、広告コミュニケーションは難しい」--今回のキャンペーンを手掛けたACジャパンの担当者はそう話す。
 個人ユーザーのSNSや企業広告など、さまざまな内容が炎上する中、「子どもから高齢者まで幅広い世代が知っている『桃太郎』を選ぶことで、意図を伝えたかった」という。
 画面を埋め尽くす苦情コメントは、マイルドな表現にすることも考えたが、「リアリティーを追求し、実際に使われるネットスラングを取り入れた」(担当者)
 「ACジャパンは、こうした公共広告でしかメッセージを伝えられない。今回の取り組みを通じて、いま一度ネットモラルを考えてもらう機会になればと考えている」


ACが「苦情殺到!桃太郎」のCMで炎上に苦言 専門家は「普通の人がうっ憤を晴らそうとして起きる」と指摘(2017年7月5日キャリコね)

公益社団法人ACジャパンがネットモラルの向上を目指して作成したテレビCMが話題だ。7月1日に公開されたCMは、昔話の桃太郎をアレンジし、ネットで批判が殺到する「炎上」で傷つく人がいることを訴えるものになっている。
炎上はどういった人々が、どのような理由で引き起こしているのか。専門家は「炎上の背景にはネットの『共感の文化』がある」と指摘する。
(略)
2015年度版の情報通信白書によると、SNS炎上に関する新聞記事は2013年を境に大幅に増加している。炎上そのものが増加し、新聞社がそれを取り上げる頻度も増えていることがわかる。炎上しても仕方がないような事例も中にはあるが、批判が過度に殺到したり、理不尽な「クソリプ」が大量に送り付けられたりすることの背景には何があるのだろうか。
ソーシャルメディア活用を専門とするネットメディア攻略研究所代表の落合正和さんは、「炎上が発生するのはインターネットが匿名で利用されているから」だという。
    「ツイッターの利用者は5000万人に上りますが、匿名で利用している人が多い。日頃のうっ憤を晴らすため、顔の見えない相手を攻撃する人が多いのでしょう。クソリプを送ったり、炎上させたりしている人は、憂さ晴らしをしたいだけのごくごく普通の人だと思います」
2014年度の情報通信白書によると、日本では匿名でSNSを利用する人の割合が他国よりも高い。フェイスブックでは実名利用する人が匿名利用する人の割合を上回っているが、ツイッターでは匿名利用が7割を超えている。アメリカやフランス、韓国ではツイッターでも実名利用の方が多いこととは対照的だ。

落合さんは、ネット独自の「共感の文化」も炎上を引き起こす一因だという。
    「ネットには元々、気に入った投稿に『いいね!』を押す共感の文化があります。共感できるかどうかが1つの基準になっているんです。それが『同じ意見じゃないと認めない』『共感できないものは排除する』という姿勢につながってしまうのかもしれません」
(略)

件の動画はこちらなどから参照頂ければと思いますが、個人的にはツッコミを入れるなら竹取物語などの方がよほど突っ込み甲斐があるのではとも思うのですが、今回のCMがシリーズの第一弾で引き続き様々な古典が題材として取り上げられることもあるのでしょうかね。
注意していただきたいのは何であれ他人の行為に対して様々な感想を抱くのが人間と言う存在であり、同じ行為に対しても好感情もあれば悪感情もあり得るのが当然ですが、雑多な個人の感情も一定数集まるとそれは世論と呼ばれる一つの権威になるわけです。
こうした現象が極大化すると炎上と言われる現象となりますが、もともと一方的な他者へのバッシングを繰り返し、世論の誘導喚起によって社会的炎上を発生させることを生業としてきたのが新聞やテレビなど既存のマスメディアであり、言ってみれば炎上させるプロとも言えます。
社会の木鐸を自称する朝日新聞などが実名主義を掲げている点を見ても、この種の現象に匿名性などは本質的に無関係であることが容易に想像出来そうに思うのですが、業務として行うのであれば炎上させるだけでなく鎮火の方法まで用意してから行って頂きたい気がします。

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コメント

http://news.ameba.jp/20170706-4ho

投稿: | 2017年7月14日 (金) 07時57分

アサヒの場合自ら灯油かぶってライター握ってるようなところもこれ有り

投稿: | 2017年7月14日 (金) 22時14分

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