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2017年7月24日 (月)

認知症高齢者の運転免許、剥奪が徐々に進む

このところたびたび重大事故が発生し、社会問題化している感もある高齢者の運転免許の問題ですが、先日警視庁の開催した有識者会議でこんな話が出ていたそうです。

免許更新時「認知症のおそれ」の18%が認知症(2017年7月5日日経メディカル)

 3月12日の改正道路交通法の施行から5月末までの81日間で、免許更新時の認知機能検査を受検した75歳以上の高齢者は41万6608人。そのうち「認知症のおそれ(第1分類)」と判定された人は1万1254人(2.7%)で、この中で5月末までに医師の診断を受けたのは1278人であり、うち14人は免許取り消しの処分を受けていた。6月下旬に警察庁が開催した高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議で公表された。
 また、「認知症のおそれ(第1分類)」と判定され医師の診断を受けた上記の1278人のうち、警察庁が把握している受験者873件の診断結果の内訳は、「認知症」が18.0%(157件)、「認知症ではないが認知機能の低下がみられ、今後認知症となるおそれ」が54.9%(479件)、「認知症ではない」が27.1%(237件)だった。

 免許取り消し者数が14人と少なかったことなどについて、警察庁交通局運転免許課理事官の佐藤昭一氏は、「診断書提出命令の提出期限が原則3カ月以内とされていることや、認知症と診断されても、行政処分を行うには聴聞等の手続を経る必要があることなどから、医師の診断や行政処分の対象となる方の大部分はその手続の途上にあると考えられる。このため、医師の診断や免許の取消し等を受ける方の数については、施行後81日間の状況がこのまま推移するとは考えておらず、これらが本格化する本年夏以降、加速度的に増加することが見込まれている」とコメントした。
 また、免許更新に訪れた75歳以上の高齢者のうち、「認知症のおそれ(第1分類)」と判定された人が2.7%だった点について佐藤氏は、「ここ数年、2014年が3.7%、2015年が3.3%、2016年が3.1%と減少傾向にある。近年、免許証の自主返納件数が急増していることから、認知症かもしれないとの自覚が本人にある場合や、そうした不安を家族が抱いている場合など、第1分類と判定される可能性の高い方が、検査を受ける前に免許証を自主返納したり、免許証の更新を断念したりするケースが増加していることも一因と考えられる」と話した。
 一方、免許更新時に「認知症のおそれ(第1分類)」と判定された人のうち、18.0%が医師により認知症と診断された点について、日経メディカル Onlineで連載「プライマリケア医のための認知症診療講座」を執筆する八千代病院(愛知県安城市)愛知県認知症疾患医療センター長の川畑信也氏は、「例年よりも認知症と診断される割合が少ない印象がある。原因としては、改正道路交通法の施行以降により多くの認知症でない人が『第1分類』と判定されたか、もしくは実際には認知症である患者を認知症と診断していない可能性が考えられる」と指摘。「改正道路交通法の施行をきっかけに、非専門医が頑張って認知症診断に取り組んでいる様子を耳にするが、現実には『認知症』と診断するハードルは非常に高いようで、長谷川式スケールの点数が非常に低いなど明らかに認知症を疑う例でも、『認知症でない』もしくは『認知症疑い』と診断しまっていると聞いている」とコメントした。

 なお、改正道路交通法が施行された3月を境に、診断協力医の数が増加したことも明らかになっている。診断協力医は、2017年2月末時点で指定医950人/指定医以外2192人だったが、5月末時点では指定医1087人/指定医以外3678人となっており、指定医以外の診断協力医の数が大きく増えている
 3月12日に施行された改正道路交通法では、75歳以上の高齢者は運転免許証更新時の認知機能検査で「認知症のおそれ(第1分類)」と判定されると、全員が公安委員会が指定する医師(認知症専門医)による臨時適性検査を受検するか、診断書の提出が必要になった。さらに更新のタイミングにかかわらず、75歳以上の高齢者が一定の違反行為を行った場合は臨時認知機能検査が課される(関連記事:免許更新の認知症診断に医療機関は対応できるか)。

有識者会議の議論の詳細についてはこちら警視庁のサイトから参照いただければと思いますが、免許更新時に認知症のおそれとして引っかけられた人のうち、後に認知症と診断されたのが2割弱だったと言う点についてはまあこんなものかと言う気もします。
一方で少し気になったのが認知症のおそれと言われながら実際に医師の診断を受けたのが把握されている限りで1割ほどであり、免許取り消しにまで至ったのは全体のわずか0.1%ほどにしか過ぎないと言う点ですが、こちらについては今後増加する見込みだと言います。
いずれにせよ社会的な関心も高まる中で心身の疾患により意識消失を来す可能性があったり、安全な運転が出来ないと判断された場合には今後免許取り消しも辞さずと言うことなのですが、それに対してこんな声も出ているようです。

「認知症でも運転できる」 改正道交法に当事者や医師ら(2017年7月21日ヤフーニュース)

75歳以上の高齢者が運転免許の更新時か違反時に「認知症のおそれあり」と判定されたら、例外なく医師の診断が必要になり、“クロ診断”なら運転免許は打ち切りにー。そんな新ルールがこの3月から始まっている。認知症のドライバーを早期に見つけ、事故を減らす狙いだが、当事者団体や学会などからは「認知症、即免許停止は乱暴」「危険運転との因果関係は証明できていない」といった批判が消えない。運転能力のある認知症の人もいるうえ、高齢者にも豊かな生活を営む権利があるからだ、という。車がないと生活できない高齢者も存在する中、この新ルールをどう捉えたらいいのだろうか。(益田美樹/Yahoo!ニュース 特集編集部)

診断書の依頼、医師が断る

認知症臨床専門医の池田健さん(57)がその電話を受けたのは5月29日だった。東京都多摩市の天本病院。相手は以前診察した高齢の男性患者で、「認知症かどうかの診断書をすぐ書いてほしい」と言う。「半月以内に必要です」とも訴えていた。
池田さんは年間延べ約2000人を診る認知症のエキスパートだ。ところが、病院内での協議も経て、池田さんは依頼を断った。「免許取り消しになったら困る」という男性患者を前に、「そんなデリケートな診断を短期間で下すのは医師として無責任」と考えたからだ。
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認知症でも安全に運転できる人はいます。『認知症がイコール運転不適格者』はかなり乱暴。原因となる病気によって認知症は症状に違いがあり、できること、できないことの内容や程度は千差万別。病気の進行程度や個人差もある。だから、一人ひとりの運転能力をチェックせず、『認知症』というだけで免許取り消しを図る制度に合理性はありません

一律の運転禁止、学会も疑問符

「認知症=免許取り上げ」は乱暴ではないかー。その考えは池田さんに限らず、医学界にも広がっている。
国会で新制度が議論されていた昨年11月、日本精神科病院協会や日本老年精神医学会などは、「提言」や「要望」の形で次々と疑問を投げかけた。このうち、日本精神神経学会の要望は「そもそも認知症と危険な運転との因果関係は明らかではありません。認知症であっても運転能力が残存しているのであれば、それを奪うことは不当」と明記している。
NPO法人日本身障運転者支援機構の佐藤正樹理事長(53)も「運転能力のある認知症の人もいます。住み慣れた街で自分らしく生きることを、『認知症だからダメ』と一律に禁じていいのでしょうか」と言う。
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高齢者のよろよろした運転、中央線をはみ出して走る運転。そんな場面を自分で目の当たりにする機会も多くなってきた。それでも「認知症イコール免許停止」には納得していない。
「要はどこで線を引くか、の問題です。それなのに『事故を起こす前に一律に運転をやめさせろ』という考えが、社会全体に広がっている。それは、やはりおかしい。認知症や高齢者の人には『自分らしく生きる権利』はないのでしょうか?」
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今回、Yahoo!ニュース 特集編集部が同グループの認知症メンバーに取材を申し込むと、ていねいな断りがあった。
代わって対応してくれた事務局の渡辺紀子さん(46)によると、取材を断ったのは、認知症の当事者が意見すると、エゴと捉えられかねないからだという。高齢者による交通事故が盛んに報道され、子どもが犠牲になることもある。そんな社会の状況を考えると、当事者としては訴えたい言葉を発信しにくい、というわけだ。
グループ内の議論でも「せっかく、認知症の早期診断が可能になり、進行を緩やかにすることもできるようになってきたのに、認知症という診断だけで免許更新ができないとしたら、診断そのものをためらう人も出てくるのではないか」という声が認知症の人たちから出されているという。
日本認知症ワーキンググループの活動に参加する永田久美子さん(57)は、認知症介護研究・研修東京センターの研究部長でもある。東京都杉並区の仕事場に足を運ぶと、「認知症の常識は変わってきたんです」と語り始めた。
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永田さんによると、欧米や豪州では、「ドライブサポート」という考え方が広がっている。加齢とともに運転能力が衰えるのは当たり前。だから、その低下に合わせ、長く安全に運転できるよう対策する。「日中のみの運転を許可」「高速道路での運転は認めず、一般道は許可」といった対策もある。
細やかな具体策もないまま、「0か100かで免許停止に至るのが今の日本です」と永田さんは言う。
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最後にもう一つ、当事者団体の声を紹介しよう。公益社団法人「認知症の人と家族の会」。本部は京都市の観光名所・二条城のすぐ北側にある。
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認知症でも運転できる人はいる。一律に運転させないのはおかしいー。そんな声をどう捉えているのだろうか。
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「認知症と診断されたら運転はさせない方がいい。これが会の基本的な立場です。(認知症の人に運転させないという)改正道交法には反対しません。人権侵害だ、権利の抑圧だ、などとも言いません」
新ルールに賛同するのは、事故を起こせば、第三者を巻き込む恐れが常にあるからだ。そして、ある時点での診断がどうであれ、認知症は進行していくからだ。
「きょう運転に問題がなくても、あすは問題があるかもしれません。家族は、事故の可能性を危惧しているんです。家族にしてみると、『どうやったら運転をやめさせることができるか』が一番の課題。運転を続けたいと譲らないおじいちゃん、おばあちゃんに、家族がどれほど苦労しているか
考えなければならないのは、「免許がなくなった後」のことです、と高見さんは力説する。認知症の人でも安心して自由に移動できるよう、公共交通機関網の充実や割引制度の拡充を図ってほしい、と毎年のように要望しているのもそのためです、と。
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しかし認知症の専門家であっても診断書を書くのに躊躇すると言うのですから、ましてや一般臨床医ではなかなか責任あるものは出せないでしょうが、今後も増え続ける高齢ドライバーに対して誰が最後の「引導」を渡すのかは難しい問題だと思いますね。
以前から言われていることに特に地方において運転免許を取り上げると日常生活に大きな支障が出る高齢者はあって、そうした方々に対して何ら代案も用意することなく突然免許を取り上げ運転を禁止するのは無理があるのではないかと言う問題があります。
法律とはそうしたものだとも言えますが、本当に認知症があれば免許を取り上げようが運転を禁止しようが車に乗る可能性もあるわけで、厳しくするばかりでは実際の社会的安全に結びつくのかどうかが判らない部分もありますね。

この点で結局何故運転免許を取り上げるのかと言えば、一つには認知症高齢者が事故を起こした場合責任は取れるのかと言うことで、幾ら運転能力を保持していようが事故を起こした時に責任が取れないのであれば運転をしてもらっては困るわけです。
この点で高齢者に関しては免許だけではなく所有車輛のチェックも入れるだとか、任意保険加入を義務化する等の対策も考えられますが、しかし極端なことを言えば免許更新すら行わず車検切れの車に延々乗り続けていると言うことも考えられる話です。
また予想される事故リスク上昇に伴う安全性確保の問題がありますが、この場合運転する高齢者当人のそれと、周囲の赤の他人のそれとは分けて考えなければならないはずで、この辺りは喫煙の議論と通じるものもありますね。
ちなみに記事にもあるように海外においては免許の制限を設けることでなるべく長く運転を認めると言う考え方もあって、実際田舎の農道林道を走っている分には本人の転落等のリスクはともかく、他人の危険に結びつく恐れは少ないとも言えますよね。

その意味で本人のリスクは本人で勝手に負ってもらえるのであれば、例えば所属自治体内など特定地域内限定での免許なども一つの方法ではあると思うのですが、当然交通量の多い都市部では使えない話ですから、居住地により不公平が出てしまうとも言えますね。
もちろん都市部では公共交通機関も発達しているのだから、そうしたものが存在しない僻地に限定した特例として認めると言う手はあるかと思うのですが、地域制限を担保する手段としてGPS連動の装置などの組み込みをすると言った手段はあるでしょう。
また自動運転などの安全技術も未だ完全ではありませんが、交通量が少ない僻地専用と言うことであればかなり高精度のものが出来るでしょうから、その種の装備を義務づけるなど機械的サポートの有無を要件とすれば一定の安全性も保たれそうには思います。
最終的には車を運転する権利をどこまで普遍的に認めるべきかと言った議論ともつながりそうですが、認めるにしても認知症高齢者にどこまでの責任が負えるのかと言う話で、何かあったら家族に巨額賠償請求が来るようなことにはならないようにしなければならないでしょう。

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コメント

運転免許の問題なのだから、実際に運転させて判定すればいいと思います。
しばらく前に、いずれそうなる予定と報道されていたような気がします。

投稿: JSJ | 2017年7月24日 (月) 07時54分

抑制力に欠けてる暴走ドライバーも規制してほしいなと。

投稿: ぽん太 | 2017年7月24日 (月) 08時32分

今のルールではてんかんや統合失調症などと違い、なぜか認知症の場合は診断してしまうと問答無用で免許取り消しですからねえ・・・
認知症と診断されていてもアリセプトなどの薬物治療で認知機能が改善しているケースもありますし、認知症の診断=免許取り消しの運用は若干乱暴すぎる気がします。
認知症の診断を下した上で運転にどのくらい支障があるかを判定したほうが、他の疾患と同じ扱いになってわかりやすいように思われます。

投稿: クマ | 2017年7月24日 (月) 08時49分

認知症に限らず、ハイリスク運転手の運転技能チェックについては検討いただきたいところですが、実効性のある方法論を考えるのは意外に難題そうにも思えます。

投稿: 管理人nobu | 2017年7月24日 (月) 12時49分

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