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2017年6月 9日 (金)

常態化する労基法違反に意外なところから反撃ののろし上がる

最近では何かと独創的な発言で話題になることも多いこちらの方ですが、先日のこちらのコメントも賛否両論で話題になっているようです。

「子供がいるから夫を早く帰させて」 くわばたりえ「あさイチ」涙発言に賛否(2017年6月7日J-CASTニュース)

   お笑いコンビ「クワバタオハラ」のくわばたりえさん(41)が、NHKの情報番組「あさイチ」に出演中に突然泣き出し、ツイッター上などでその言い分が論議になっている。

   2017年6月7日に生放送されたあさイチでは、「大丈夫? あなたや夫の働き方」がテーマになった。
   ゲスト出演したくわばたさんは、家族で働き方などを話し合ったことがあるかと問われ、自らの夫のことについて口を開いた。くわばたさんは、子供ができたとき、夫には、「早く帰って来られへんの?」と懇願した。しかし、夫は、会社では、子供がいても誰も帰っておらず、上司も残っているのにそんなことは言えない、と説明したという。
   そこで、くわばたさんも 「お互い帰れるようになったら、周りも帰れるようになるんちゃう?」 と反論すると、ケンカ状態になり、くわばたさんは、 「じゃあ、もういいわ」 と、以後、早く帰ることは口にしなくなったと明かした。

   くわばたさんには、現在3人の子供がおり、番組では、
    「なんで3人増えたときに会社の人が『お前ちょっと早く帰れ』って誰か言うてくれへんねんかなって、テレビを通じて会社の人に言っています」
とカメラに向かって呼びかけた。
(略)
   さらに、「ほんで、みんなでご飯食べて...」と話したところで、突然くわばたさんの目に涙があふれてきた。
   「もう泣いちゃうけど、本当に。みんなでご飯食べて、お風呂入りたいんだもん」と言って、ハンカチを取り出して涙を拭いた。これに対し、同じゲストの石田ひかりさん(45)は、くわばたさんに「がんばってるんですよ」と声をかけた。

   くわばたさんの発言と涙が放送されると、ツイッター上などでは、「涙された気持ちがよく分かります」などとファンらから励ましの声が寄せられた一方、くわばたさんの言い分は現実離れしているとの指摘も相次いでいる。
    「職場の人だって子どもが3人いるかもしれないし、自分だけ大変みたいに思わない方がいい
    「子供がいるから、を理由にするのは何か違うのでは?単身者、子供のいない世帯ならいいのか?という話」
   自分の夫が早く帰れるよう会社に呼びかけたことについても、
    「テレビで会社の事を悪く言われて旦那が可哀想だ」
    「夫の立場悪くなると思う」
などと夫を心配する声も出ていた。

ここでは反論する声として興味深いのが、こんなことを言ってしまうと夫の職場内での立場が悪くなると言う懸念が非常に多いと言う点なのですが、この点からも未だ職場で長時間労働を強いられている人が非常に多いと言うこと、そして当の本人や家族はそれを望んでいるわけではないと言うことがうかがえるような気がします。
まあ子供がいるから早く帰してと言われると少子化も進行する今の時代、色々な方面から反発を招きかねないところではあるのでしょうが、家庭生活を犠牲にして企業戦士(と言う言葉もすでに死語ですが…)としての活動に専念すると言うライフスタイルが今の時代、どれほど広汎に受け入れられているものなのか?と言う疑問は改めて考えてみてもいいように思いますね。
医療の世界でも特にメジャー診療科の医師などは昔から家庭生活崩壊が当たり前と言う空気がありましたが、学生や若手医師のマイナー診療科志向の高まりも今さらの話題となっていて、ほとんど院内で生活しているような人生を当たり前に許容する人ばかりでもなくなってきていると言うことでしょうし、少なくとも過労死しかねないような労働環境を大好きだと言う医師はそうそうはいないでしょう。
幸いにも医師の労基法違反であっても労基署がきちんと動いてくれるようになったとは最近しばしば聞く話ですが、世間的にはすでにもう少し先のところまで事態が進んでいるのだそうで、先日はこんなケースが紹介されていました。

「夫が言えぬなら私が言う」労基署に行く妻たち 子供のサービス残業を告発する親も(2017年6月7日日経ビジネス)

 広告代理店最大手、電通の社員自殺事件を機に、国を挙げて働き方改革が加速している。それに伴い、かつてなく強化され始めたのが、過重労働を放置する企業への取り締まりだ。
 労働基準監督署は労働者からの情報提供によって、違法残業している事業場を特定していく。2015年に労働基準監督署が全国で立ち入り検査した事業場は15万5428件に達する。その約7割で違反が発覚し、1348社が総額99億9423万円の未払い残業代を支払う結果になった。
 労基署に情報提供するにはどうすれば良いのか。直接労基署を訪問したり、電話相談したりする方法がある。電話や窓口による相談は年間約120万件にもなる。このほか、労基署のウェブサイトに届く情報も大量にある。多くは社員や元社員など関係者からによるものだ。ある監督官は「会社に不満を抱えていて我々に相談しにくるケースもある。捜査対象の見極めがとても大事」と打ち明ける。同じ事業場から同様の相談がきたり、過労死の危険性が高そうな事案が優先的に立ち入り検査の対象となる。

 実は労基署への通報者は本人だけではない。最近増えているのが家族からの通報だ。本人が望まない形で労基署が立ち入り検査のきっかけとなる通報もある。
 「息子の帰りが遅くて心配です。調べて頂けませんか」。中堅広告代理店に勤める若手社員の親が、息子の帰りが遅いと心配になって通報してきたケースだ。たしかにその息子の会社は残業時間が長い職場だったが、本人はその働き方に満足していた。
 この親の通報が功を奏したのか、ある日労基署から会社の代表電話に連絡があった。社長は残業代を全て払っていたので、思い当たる節はない。特に対応する必要性を見いだせず、無視することにした。すると、また2週間後に連絡がきた。
 この時点でやっと人事担当役員が弁護士に相談した。その弁護士が「放っておくと、役員が送検される可能性がある」とアドバイスされた。自分の身に危険があると分かった役員は慌てて、社長に報告し、労基署へ連絡した。
 数日後、労基署がやってきた。出勤簿を確認すると、長時間残業がひと目で分かる。労働基準法は全ての事業所に対し、従業員の所定労働時間は「1人当たり週40時間」までとするよう定めている。もっとも、現実問題としてこれで仕事が終わる企業は少ないので、そうした事業所は「時間外・休日労働に関する協定届(通称:36協定)」を労基署へ提出することで、「1人当たり月45時間」までの残業が認められる仕組みになっている。これでも足りない企業は「36協定の特別条項」により、年に6カ月間に限り、労使間で自由に残業時間を設定することが可能だ。この会社は特別条項は結んでいなかった
 だが社長は「残業代払っているのに何が悪い」と開き直った。あっさりとクロが確定してしまったため、労働基準監督官から是正勧告書が手渡された。
 勧告署に従って、改善することになったのだが、社員にとって喜ばしいものではなかった。社長は社員に対し21時以降の残業を禁止した。そのため残業代が支払われなくなり、社員の月給が15万ほど下がった。残業代を見込んで生活設計していた人も多く、稼ぎたい人を中心に辞めてしまった。社員同士で飲みに行くことも減り、コミュニケーションも悪くなった。中堅広告代理店の社長は「社員が望んでいないし、もう少し柔軟な働き方を認めてくれたら」と愚痴をこぼす
(略)
 こうした家族からの通報が増える要因のひとつとして、過労死予防に対する世間の関心の高まりがある。インターネットで検索すると労働基準監督署への情報提供方法を指南するサイトもある。弁護士が「相談、着手金無料で残業代を取り返します」といった宣伝文句で社員や家族を煽る例もある。社員の満足度を高めるだけでは足らず、家族までもケアしなければない。企業にとっては大きな課題だ。

いやまあ、21時以降も当たり前に残業している体制を柔軟な働き方と言っていいのかどうか、むしろ仕事以外何もない日常で生活が硬直しまくっているのではないかと言う素朴な疑問もあるのですが、記事にもあるように当事者はしばしば問題意識が乏しいものであり、そうであるからこそ雇用主にとっては長時間労働の利便性が高かったとも言えるのかも知れません。
残業問題で常に話題になるのが一つには記事にもあるように残業代が減ることでむしろ嫌がる労働者もいると言う点、そしてもう一つが単に仕事が遅いだけでダラダラと居残っている人の方が多くの残業代を稼ぐのはおかしいと言う点ですが、この辺りは労働報酬体系の問題であったり、そもそも人生における家庭生活の位置づけの問題であったりだとも言える話で単純明快な答えはないものなのだろうとも思います。
ただ一方で雇用主から望まない長時間労働をを強いられ、過労死にまで追い込まれてしまう方々も現実にいらっしゃるわけで、近ごろ多いセクハラ訴訟にしばしば見られるように「嫌がっているとは思わなかった」と言う認識のズレを改めるにはどうしたらいいのか、嫌がっている人に過重な時間外労働を強いずにすむ体制になっているのかと言ったことも検証しておくべきなのでしょうね。

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コメント

「休めないなら辞めます」イマドキ20代が余暇を優先する理由
https://dot.asahi.com/wa/2017060200048.html

どっちもすげえよ

投稿: | 2017年6月 9日 (金) 07時49分

上司も頭の中身のアップデートが必要ってことですかね。
いつまでたっても「オレの若いころは」じゃ通用しないのはあたりまえ。

投稿: ぽん太 | 2017年6月 9日 (金) 08時16分

残業代のためだとか自己実現のためだとかでもっと労働者は働きたがっていると言う声は上司の伝聞ばかりで、当事者の肉声としてはほとんど記事に出てこないのは興味深いと思います。

投稿: 管理人nobu | 2017年6月 9日 (金) 12時25分

http://www.excite.co.jp/News/column_g/20170608/Bizjournal_mixi201706_post-9931.html

投稿: | 2017年6月 9日 (金) 15時34分

>弁護士が「相談、着手金無料で残業代を取り返します」といった宣伝文句で社員や家族を煽る例もある。

ネット上では過払い金利、医療の次はコレだ!ってずいぶん前から予言されてましたがようやくですねw。量産型弁護士がんがれw超がんがれww

>「休めないなら辞めます」イマドキ20代が余暇を優先する理由
https://dot.asahi.com/wa/2017060200048.html

>>周囲に迷惑をかけないよう、休みの前には猛スピードで仕事を進めようと張り切っていたのに。休みが取りやすいという環境も入社の大きな動機だったのに──。反発心に火が付き、収まらず、こう言い放った。

>>「せっかく与えられた初めての有給休暇なのに、休みたいときに休めないんなら、辞めます」

>>その瞬間、上司の苦笑いは消え、表情がこわばった。「取得OK」と申請が通ったのは、その翌日のことだった。桜木さんは言う。

>>「それから2回、残りの有給休暇を取得して、台湾と韓国にも行きました。2回目からは、上司も半ば諦めモードで認めてくれるようになった。上司からすれば、私はたぶん、異次元の人種。私は取れる休みはしっかり取って、旅行もしたいし勉強もしたい。やりたいことがいっぱいあるんです。今年ももちろん、有給休暇は全て使う予定です」

かっけえww!マジかっけぇwww!!!

>上司の伝聞ばかりで、当事者の肉声としてはほとんど記事に出てこない

wwwwwww

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2017年6月 9日 (金) 15時40分

この手の労働紛争って証拠がはっきりしていれば余裕のよっちゃんらしいですねえ。
最近の病院は電子カルテだから時間外労働の証拠収集が非常に楽ですし。

投稿: クマ | 2017年6月 9日 (金) 15時49分

話はズレるんですが、山形大学第二外科の分析をリンクから拝見しましたが、これはツッコミ待ちなんでしょうか?
それとも本気で言っているんでしょうか?
つーか、人間らしい生活を送りたいだけなのに金銭至上主義とか言われる学生さんが気の毒になってきました

私、小児科医ですけど後輩に小児科入れとは言いませんでしたぜ?
あの待遇と生活を他人に強いるのは、後で刺されても文句言えねえって思いましたもん

投稿: 通りすがり | 2017年6月 9日 (金) 23時03分

まだ、ナンバー外科が残っている、糞大学に敬礼。

投稿: 麻酔フリーター | 2017年6月10日 (土) 06時39分

ああいう硬直した思考しかできない老害が権力を握っているうちは何も話が進まない
いまのとこ危ないとこには近寄らない、ダメならさっさと逃散が正解かな
そのうち自然淘汰されて今よりはまともなとこが残ってくだろ

投稿: | 2017年6月10日 (土) 10時05分

>山形大学第二外科の分析
>>労働対価を冷静に比べた金銭至上主義

多分褒められたw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2017年6月10日 (土) 15時13分

こっちだった。
政府、企業側の言い草 「日本は労働生産性が低い」 は
単に「低賃金で使い倒してきた」だけ。 まだわかんないのかな。
金融資産で食っていける階層のお題目「円安なら株価が上がる」を当然のこととして
唯々諾々として投票を続ける低賃金長時間労働上等な奴隷どもが
バブル後20年を作り上げたんだよ。 

投稿: | 2017年6月10日 (土) 21時30分

嫌なら辞めろ

投稿: | 2017年6月11日 (日) 10時56分

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