« 若い医師ほど腕が良い? | トップページ | 主義主張に忠実に生きる人々 »

2017年5月24日 (水)

どこの世界でも後に待っている人が多いのに長尻する人は好かれません

本日の本題に入る前に、先日は医療サービスの質が高い国ランキングと言うものが出ていたのですが、それが意外な理由で話題になっていました。

医療サービスの質が高い国ランキング、日本はトップ10逃す(2017年05月19日AFP)

【5月19日 AFP】世界195か国を対象に医療サービスの質を比較したランキングが19日、英医学誌ランセット(Lancet)に発表されたが、日本やカナダはトップ10入りを逃し、米国は35位に沈んだ

「ヘルスケア・アクセス・アンド・クオリティー(HAQ)インデックス」は、適切な医療を受ければ予防や効果的な治療が可能な32疾患の死亡率に基づいたもの。今回発表されたランキングは2015年の状況を反映している。
 1位は前回に引き続き、フランスとスペインに挟まれた小国・アンドラで、2位は北欧のアイスランド。人口100万人以上の国で最上位にランクインしたのはスイスで、3位だった。上位20か国中、オーストラリア(6位)と日本(11位)以外は全て欧州の国だった。
 欧州はほとんどの国が何らかの形で国民皆医療保険制度を導入している。ただ、英国は期待されるレベルに大きく届かず、30位にとどまった。一方、多くの米国人に初めて保険適用の恩恵をもたらした米医療保険制度改革(通称オバマケア、Obamacare)の撤廃を与党・共和党が求めている米国は、英国に次ぐ31位だった。

■医療サービスの質が高い国トップ10(HAQインデックスによる)

1. アンドラ
2. アイスランド
3. スイス
4. スウェーデン
5. ノルウェー
6. オーストラリア
7. フィンランド
8. スペイン
9. オランダ
10. ルクセンブルク

日本は11位だったと言うことが高いのか低いのか微妙なところですが、それよりも何よりも多くの人が真っ先に感じたのが「アンドラってどこの国?」と言う疑問だったようで、近年ようやく国内が安定し経済発展著しいと言うアフリカ西岸のアンゴラのことか?と勘違いした方もいらっしゃるかも知れません。
正解はフランスとスペインの国境に挟まれた山間の小国だそうで、面積が金沢市とほぼ同じで人口はわずか8万人足らずだと言いますからまさしく小さな田舎町レベルですが、一応首都には総合病院もあるらしいとは言えこうした小さな国の医療水準を大きな国と同列で比較すると言うのもどうなのでしょうかね。
ともかくも上位に並んでいるのは人口規模の小さな西欧諸国が多いと言う点が特徴的で、日本が11位に入っているのは検討していると言えるのではないかと思うのですが、そもそも今回の調査では死亡率に基づいて順位が算出されているのだそうで、確かに医療の質の評価にはいいのでしょうが医療サービスと言えばもう少し主観的な部分も評価したいですよね。
日本の医療に関して各種客観的指標では世界トップクラスであるにも関わらず、国民の医療満足度が極めて低いことが一つの特徴としてあげられていて、先の記事でも下位に沈んだ「医療崩壊先進国」英国などは逆にこの点で国民から高く評価されているのと好対照ですが、その理由の一つとして顧客満足度の低さもあげられるのではないかと言う気がします。

医者は患者にコレを言われると、内心ものすごくムッとする(2017年5月19日週刊現代)

(略)
医療ジャーナリストの松井宏夫氏が語る。
「最近は雑誌だけでなく、テレビやネットなどでも医療特集をよく見かけます。そこで見た情報を医療機関に持ち込み『こんなことが書いてあったけど、どうなんですか?』と医師に問い合わせるケースがかなり増えている。こういった状況に嫌気がさしている医師の声をよく聞きます。
中には、あなたの症状はこうだから、こういう治療をしているんですよと、きちんと説明してくれる医師もいますが、心の中では『そんなに私の言うことが聞けないのだったら、他の病院へどうぞ』と開き直っている医師も少なくない
なかには、目の前で週刊現代を破り捨てた医者もいたと、患者から本誌に投稿が寄せられたこともある。
(略)
医者は患者に意見されると不快に感じる。その理由は、彼らが「医者は患者よりも偉い」と思っているからだ。
東京有明医療大学教授で一般社団法人東洋医学研究所附属クリニックの川嶋朗氏はこう語る。
「あくまで一般論ですが、医者はプライドの高い人が多いです。それは難易度の高い大学医学部を出て、医師国家試験も通過して医師免許をもっているから。自分は医学を修めたという自負をもっている。だから医学的に素人である患者さんに反論されるとムッとしてしまう人が多いのも事実です」
(略)
また、外来に訪れた患者に、くどくどと要領を得ない長話をされ、内心イラッとしている医師もいるという。ではどうやって医者に自分の症状を説明すれば、快く診てもらえるのか。
「外来ではどうしても一人当たりの診察時間が限られているので、要点を2~3個に絞って、説明、質問するといいでしょう。
口下手な人、あがりやすい人は、あらかじめ病気の経過や疑問点を1枚の用紙にまとめて、それを受付で渡すのも上手な受診法です」(フリーの麻酔科医・筒井冨美氏)

患者の話を親身になって聞かない医者は問題だ。だが患者自身も自らを省みるべきケースもあるだろう。
(略)
特に「医者だから治せて当たり前でしょ」といった態度をとるのは、もっとも医者の神経を逆なでする行為だ。
「医療トラブルの多くは、患者側の誤解によるものが7割を占める」と語るのは、日々、病院で起こるトラブルの相談を受け、「トラブルバスター」の異名を持つ、大阪府保険医協会・事務局参与の尾内康彦氏だ。
「'90年代半ばから、国は病院に対して『これからは医療もサービス業』であると通達しました。その影響が昨今はますます強まり『患者はお客様である』と誤解している人が増えています。
(略)
とはいえ卑屈になり過ぎて、医師の言いなりになるのもよくない。しっかりと医師に自分の症状を伝え、相談することは、良質な医療を受けるためにも、もちろん必要なことだ。
「『医者にこんなことを話していいのかな』と不安に思う患者さんがいますが、気を遣いすぎるのもよくありません。医者は神様ではないので、患者さんに言ってもらわないと分からない
患者さんの何気ない一言で、検査をした結果、がんが早期に見つかったというケースも多数あります。
医者と患者のどちらが傲慢でも、絶対に治療は上手くいかない。医療というのは消費サービスではなく、医者と患者の相互関係によって作り上げていくものなんです。それを誤解してはいけません」(前出の尾内氏)
医者が病気を治すのではなく、病気を治すのはあくまで患者自身。その手助けをするのが医者の役目だ。それを勘違いしてはいけない。

元記事の方は週刊現代だけにあまり真面目に受け取らない方がよさそうな内容ではあるのですが、前向きなメッセージとして解釈するなら医師と患者の間のトラブルが医療満足度を大きく引き下げる要因になっているとは容易に想像出来ることですし、経験的に考えても医療の質がどうこうと言う以前のちょっとしたコミュニケーションの問題に起因する部分も多いんじゃないかと思えます。
この辺りは日本の医療の場合医療に対するアクセスが極めて容易であることからか、諸外国の医師と比べてとにかく入院と外来とを問わず医師の担当する患者数が多いことが知られていて、年間外来患者数などを見ても諸外国の医師の数倍にも及ぶ数を捌いているし、そうしなければ経営が成り立たないような診療報酬体系に設定されていることにも問題があるかも知れません。
要するに現場が忙しすぎて一人の患者に長い時間をかけられない状況である以上、いい患者であることの絶対条件として余計な手間や面倒をかけないと言うことが重視されているのではないかと言うことですが、これ自体は別に医療の世界に限った話でも何でもないし、この真逆の存在が昨今どこの業界でも忌避されているモンスター、クレーマーと呼ばれる類の顧客と言えますよね。

ただ医療トラブルの経験が豊富な尾内氏が「医療トラブルの多くは、患者側の誤解によるものが7割を占める」と言っている点を見れば、やはり幾らか余計な労力を払ってでも患者の誤解を解いておいた方が後々のトラブルを減らすことになるのではないかと言う気はするのですが、この点で昨今どこの業界でも増えているマニュアル対応のように全ての患者に公平平等な対応と言うのも無駄が多そうではあります。
理想的には一人一人の患者に応じたオーダーメードの説明をと言うことなのでしょうが、そこまで行かずとも患者の年齢や理解力などによって何種類かのバリエーションが用意出来れば多少なりともマシになりそうですから、コメディカルなどがよく使っている説明用の書式なども院内統一で一種類だけではなく、いくつかのバリエーションがあればなお良いのでしょうね。
結局のところ医師と患者の双方がもう少し空気を読む努力をすれば円滑なコミュニケーションも成り立つのは確かだとして、医師の側に余裕がない分患者にはほんの少しばかり大きな努力を払っていただければ大いに助かると言うのが正直なところだと思いますが、患者がなかなか捌けずに待ち時間が長くなってきた時に備えて診察室にチャイムなりお茶漬けなりの用意でもしておいた方がいいのでしょうかね。

|

« 若い医師ほど腕が良い? | トップページ | 主義主張に忠実に生きる人々 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

お友達の健康相談もほどほどにしてほしいかな。

投稿: ぽん太 | 2017年5月24日 (水) 08時21分

↑「診ないと分かりません」で、終了かとw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2017年5月24日 (水) 10時21分

長く待たされるんだから相談くらいいいじゃない

投稿: | 2017年5月24日 (水) 11時07分

自分が長く待ったんだから後の奴はもっと長く待たせろやということですねわかります

投稿: | 2017年5月24日 (水) 11時53分

予約制で予約時間を大幅超過した時などは、ある程度過剰サービスを求めたくなる心理は判る気はします。
自分であればただでさえ予定より遅くなっているのだから、さっさと済ませてくれと思いそうですが。

投稿: 管理人nobu | 2017年5月24日 (水) 20時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/65318558

この記事へのトラックバック一覧です: どこの世界でも後に待っている人が多いのに長尻する人は好かれません:

« 若い医師ほど腕が良い? | トップページ | 主義主張に忠実に生きる人々 »